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≪査読付論文≫社会的投資によるコミュニティ再生―英国のコミュニティ・シェアーズを事例に―

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兵庫県地域創生局長 今井良広


キーワード:

社会的投資 コミュニティ・シェアーズ 社会的企業 コミュニティ益増進組合 エンパワメント


要 旨:

 本稿では、参加型社会的投資スキームの先導事例として英国のコミュニティ・シェアーズを取り上げ、その意義と可能性について論じている。まずコミュニティ・シェアーズの特徴、実績、制度枠組を概観したのち、それが共感をベースとした投資であり、メインストリームの社会的投資へのオルタナティブとして市場の裾野拡大に貢献してきたことを指摘している。次いで、そのスキームが投資家個人にコミュニティへの能動的、多元的な関与を求める点で、資金面だけでなくエンパワメントの側面からも意義を有することを明らかにしている。最後に、それが我が国における参加型社会的投資制度の設計に際して、対象法人の形態や金融商品としての取扱い、支援制度の整備等に関し多くの示唆を与えるものであると結論づけている。このほか、今後の課題として、コミュニティ・シェアーズの実施・未実施コミュニティ間の特徴的差異を明らかにする研究の必要性を提起している。


構 成:

Ⅰ はじめに

Ⅱ 社会的投資の概念

Ⅲ コミュニティ・シェアーズの展開状況

Ⅳ 考察

Ⅴ おわりに


Abstract

 This paper focuses on the case of ‘community shares’, a leading participatory social investment scheme in the UK to discuss the significance and possibility of social investment for community revitalization. It highlights the following findings of the case study.

 Firstly, ‘community shares’ is an investment based on empathy. It functions as an alternative to mainstream social investments and it contributes to expanding the market. These characteristics were observed after reviewing its core features, achievements, and institutional arrangements.

 Secondly, ‘community shares’ is highly significant from both funding and empowerment perspectives. This scheme requires individual investors to be actively engaged in the community through a multiplicity of stakeholder roles.

 Finally, ‘community shares’, as practiced in the UK, offers valuable insights for the design of a participatory social investment scheme in Japan, including: preferred cooperation form ; treatment as a financial product ; and development of support system.

 The paper acknowledges the need for further research to clarify the striking differences between the communities that implemented ‘community shares’ for community revitalization and other communities.


※ 本論文は学会誌編集委員会の査読を経て掲載されたものです。

Ⅰ はじめに

 公的部門の財政制約が深刻化するなか、市民社会セクターへの主要な資金供給手段の1つとして、社会的投資(Social Investment)の役割が重要になりつつある。その活用により、社会的企業1)等への支援とともに、複雑化・多様化する社会的課題の解決が進むことが期待されている。社会的投資の拡大は、G8の取り組み2)に象徴されるように、今や世界各国の共通テーマとなっている。

 我が国でも、休眠預金活用法の施行(2018年1月)により、社会的投資への新たな流れが生み出されようとしている。地域でも、事業創造にクラウド・ファンディングの利用が進みつつあり、ふるさと納税と並んで、社会的投資への期待が大きくなりつつある。しかし、各地で相次いで導入されるソーシャル・インパクト・ボンド(SIB:Social Impact Bond)や、開発の進む社会的インパクト評価の手法などに比べ、地域をベースとした参加型社会的投資制度の検討はまだ緒についたばかりといえる。

 そこで、本稿では先導事例として英国の参加型投資スキームであるコミュニティ・シェアーズ(Community Shares3))を取り上げ、その意義、可能性を論ずる。以下では、社会的投資の概念を示したのち、コミュニティ・シェアーズの展開状況を明らかにし、その政策的意義及び参加型社会的投資の制度検討をめぐる我が国へのインプリケーションについて考察する。そして最後に、今後の研究課題に言及する。


Ⅱ 社会的投資の概念

 社会的投資の概念については、様々な定義がなされているが、一般には「社会的、金銭的(経済的)利益を生み出す資本提供」であり、かつ「チャリティ・社会的企業への返済を前提とした資金供給」と規定される(BSC HP1)。

 すなわち、社会的投資は経済的、社会的利益(目的)の‘双方’の実現をめざすものであり、この点で(経済的利益を求めない)フィランソロピー(Philanthropy)とは区別される。また、それは「市民社会セクター組織への投資」(ACSI [2015] p.27)であり、『目的』、『対象』のいずれもが‘社会的’であることを求められている。

 返済を前提とした資金(Repayable Finance)である点では、社会的投資は通常の民間投資と何ら変わりはない。しかし、『経済的利益(リターン)』の在り方をめぐっては、投資家は柔軟な考え方に立つ。すなわち、元本の返却や利子・配当の提供を期待しつつも、社会的利益が達成されるような状況下では、投資家は元本の毀損や非金銭での配当(財・サービスの提供)を許容する可能性もある。

 ところで近年、「社会的投資」に代わって、「社会的インパクト投資」という用語が頻繁に用いられるようになっている。これはインパクトという言葉を加えることで、「成果を評価する投資」(G8SIIT [2014] p.1)を含意とし、投資の社会的成果の数値化・可視化を強調するものとなっている(ACSI [2015] p.31)。

 このインパクトの達成に重きを置く社会的インパクト投資では、投資先は必ずしも市民社会セクターとは限らない。その投資先には、社会的企業だけでなく、民間企業、民間ファンドも含まれる(小林 [2015] p.223)。つまり、『対象』という点で、社会的インパクト投資は社会的投資よりも幅広い概念として捉えられる(BSC HP1)。このため、コミュニティの社会的企業に焦点を当てる本稿では、一貫して「社会的投資」という言葉を用いることとする。


Ⅲ コミュニティ・シェアーズの展開状況

 以下では、コミュニティ・シェアーズの趣旨・導入経緯、公募主体・株式の特徴、投資実績、制度的枠組・環境(標準マーク、支援プログラム、税額控除、監督機関)を概観したのち、株式発行の実態(公募形態・手続、投資額・配当利回り、投資家属性)を明らかにする。

1 趣旨・経緯

 コミュニティ・シェアーズは、株式投資を通じて、コミュニティの持続的発展に資する事業、イニシアティブを長期にわたって支援するビジネスモデル(投資スキーム、資金供給システム)である(コミュニティ・シェアーズは、投資対象となる株式そのものを指す言葉であると同時に、スキーム全体の総称としても用いられている)。

 今日、英国の各地域では、コミュニティの店舗継続からパブ・醸造所の救済、再生エネルギーの発電、ホール等の施設改修、地元農産品の生産拡大、サッカー・クラブの運営支援、歴史的建造物の修復等に至るまで、様々な事業・分野でその活用が図られている。

 コミュニティ・シェアーズのコンセプトは、地域開発トラストの全国組織であるDTA(Development Trusts Association)が、その2008年の報告書のなかで発案したものである(CSU [2018a] p.2)。内閣府、コミュニティ・地方自治省(DCLG)の支援を受けたDTAは、その翌年にCo-operatives UK(英国協同組合連合会)と共同でプログラムを開始し、2012年までの間に、70を超える団体のコミュニティ・シェアーズの公募を支援した。そして2012年からは、DCLGの支援のもと、Co-operatives UK とLocality(DTAの後継団体)が共同で普及啓発団体、基準認証団体としてCommunity Shares Unit4)(CSU)を設置し、コミュニティ・シェアーズの普及・拡大を後押ししている。


2 公募主体・株式

 コミュニティ・シェアーズは「法定あるいは任意でアセット・ロック(資産譲渡制限条項)を規約に位置づけた組合が発行する」株式である(CSU [2018a] p.2)。その発行は、2014年登録組合法(Co-operative and Community Benefit Societies Act 20145))のもと、協同組合(Co-operative Society)、コミュニティ益増進組合(Community Benefit Society6):略称=ベンコム/BenCom)及びチャリタブル・コミュニティ益増進組合7)に登録している団体にのみ認められている。

 コミュニティ・シェアーズは、登録組合の発行株式では一般的な「譲渡(売却)不可能、引き出し可能な株式(withdrawable share)」として発行される(CSU [2018a] p.2)。出資者はそれを組合に売却し換金できるものの、第三者には売却・譲渡できない。また、配当金に制限が設けられ、キャピタル・ゲインを得ることも認められていない。これらの点で、コミュニティ・シェアーズは、株式会社が発行する一般の株式(transferable share)とは性格を大きく異にする(表1参照)。


表1 コミュニティ・シェアーズと一般的な株式の相違点


 加えて、コミュニティ・シェアーズでは、個人が全株式を所有可能な一般の株式とは異なり、(独占・寡占を防ぐ目的で)登録組合法により個人の持ち分に最大10万ポンドの制限が設けられている。さらに、民主的運営のために、協同組合原則に基づき、出資額にかかわらず、出資者1人あたり1票の議決権が与えられている。これも、一般的な株式(1株1票)との大きな相違点である。

 なお、CSUでは、名目上の株式発行の防止と‘純粋な’コミュニティ所有の実現のため、コミュニティ・シェアーズを総額1万ポンド以上の株式を発行し、かつ少なくとも20人以上のメンバーから出資を募るものと規定している(CSU [2018a] p.2)。


3 実 績

 2009年以降、コミュニティ・シェアーズのスキームを通じて、12万人以上の投資家が英国の400超の団体(コミュニティ・ビジネス)に約1億ポンドにのぼる投資を実行している(CSU [2016a] p.1)。2015年末現在、英国の社会的投資(残高)は、15億2,500万ポンドに達すると推計されているが、コミュニティ・シェアーズはその約6%を占めている(Robinson [2016] p.3, 9:表2参照)。

 CSUによると、コミュニティ・シェアーズの公募を目的に登録した団体は、プログラム開始以降、2016年までの間(2009年~2016年11月)に、781に達する(CSU [2016b] p.7)。この間のコミュニティ・シェアーズの公募件数は405件にのぼり、(仮に1団体1公募とすると)約半数(51.9%)の団体が公募に至っている(CSU [2016b] p.9)。1公募当たりの投資家数(応募数)は、250名前後が最も多い8)

 コミュニティ・シェアーズによる調達金額は1億1,158万ポンド(2009年~2016年11月)にのぼり、調達目標額(1億6,726万ポンド)に対する調達率は7割近く(69.2%)に達している(CSU [2016b] p.10)。

 分野別データ(2016年)をみると、登録団体数では、コミュニティ土地信託・住宅が最も多く、約4分の1(26%)を占め、次いでエネルギー・環境(12%)、パブ・醸造(10%)、スポーツ(10%)、食物・農業(9%)、近隣商業(6%)、ICT・メディア(5%)、社会福祉(4%)の順となっている(CSU [2016b] p.8)。一方、公募件数では、この年はエネルギー・環境が突出し、全体の5分の3以上(61%)を占め、他を圧倒している(CSU [2016b] p.12)。


表2 英国の社会的投資残高(2015年末時点)


4 制度的枠組・環境8)

⑴ 標準マーク(認証基準)

 コミュニティ・シェアーズは、金融商品の販売勧誘に関する規則(Financial Promotion Rules)が適用されず、公的な補償制度やオンブズマン制度からも対象外の扱いを受けている(CSU [2016a] p.8、CSU [2018a] p.99)。すなわち、ひとたび発行団体の事業が破綻すれば、投資家は投資額の全てを失う危険性がある。

 このため、CSUでは投資家保護の観点から、公募されるコミュニティ・シェアーズが全国標準の株式公開基準を適正に満たすものであることを認める自主的な認証制度を設けている。コミュニティ・シェアーズ・標準マーク(Community Shares Standard Mark)と呼ばれるそれは、2015年に導入され、これまで約100団体がその認証を得ている9)

 この標準マークの主な認証要件は次の通りである。

 ・分かりやすい文書(株式公開、購入申請に係る文書)の作成

 ・投資決定に必要な全ての情報の公開、提供10)

 ・記載事項が年間収支計画、事業計画によって裏付けられていること

 ・文書内に意図的な誤記や混乱、事実誤認を誘う記載がないこと

 標準マークの認証を求める団体は、これらの要件を記した行動規範に署名し、投資家がCSUに不服申し立てを行う権利を認めなければならない。CSUは、団体が規範を遵守しなかった場合に認証を取り消す権利を保持する。

 認証作業は、コミュニティ・シェアーズの公募経験があるCSU認定の実務家によって執り行なわれる。彼らは株式公開文書、申請様式、組合規約、年間収支計画、事業計画などを審査し、認証の是非を判断するが、公開されるコミュニティ・シェアーズ自体が有望な(あるいは安全な)投資案件であることを評価するわけではない(CSU [2016a] p.8)。すなわち、標準マークは当該事業の成功を保証するものではない。

⑵ 支援プログラム

 コミュニティ・シェアーズの公募を行う(予定する)団体に対しては、手厚い支援プログラムが用意されている。コミュニティ・シェアーズ推進プログラム(Community Shares Booster Programme)と呼ばれるそれは、助成財団(Power to Change)から300万ポンドの資金拠出を得て創設されたもので、運営はCSUが担っている(CSU [2018b] p.2)。プログラム期間は2017~2021年度の5年間で、最初の3年間に約60の(イングランド内の)株式公募に対し資金支援を行う計画が立てられている。

 このプログラムでは、Co-operatives UKがインパクトや革新性の高い事業の実施を目的として公募されるコミュニティ・シェアーズに対し、株式の買取りという形でマッチング・ファンドの提供を行っている(CSU [2018b] pp.11-12)。買取り限度額は10万ポンドで、持分比率は全株式の50%未満と定められている。なお、マッチング・ファンドの申請にあたっては、標準マークの認証を得ていることが前提となる(株式の買取り支援は、休眠預金等を原資とした世界初の社会的投資卸売銀行であるビッグ・ソサエティ・キャピタル(Big Society Capital)のファンド11)でも行われている)。

 他方、プログラムでは公募を予定している団体を対象とした事業開発補助(限度額:1万ポンド)制度も設け、ビジネスプラン作成、コミュニティ内での調整、標準マーク審査、株式公開等に係る費用を助成している(CSU [2018b] p.9)。

⑶ 税額控除

 英国では、社会的企業への個人投資を喚起するため、2014年4月から社会的投資税額控除(SITR:Social Investment Tax Relief)制度が導入されている(CSU [2018a] pp.105-106、BSC [2018]、Fountain [2016]、FTAdiviser [2018])。このSITRは、中小企業向けの企業投資スキーム(EIS:Enterprise Investment Scheme)をモデルに制度設計されたもので、2017年の規則改正を経て、要件緩和、対象拡大等制度の拡充が図られている。

 SITRの枠組では、個人は年間100万ポンドを上限として、社会的企業への投資額の30%の所得税控除を受けることができる。あわせて、キャピタル・ゲイン税の延期・免除や所得税・相続税の損失控除なども適用される。控除対象となる投資は株式もしくは債権で、投資家は少なくとも3年間は投資を継続する必要がある。なお、個人は投資する社会的企業の株を30%以上保有できない。

 対象となる法人形態は、コミュニティ益増進組合あるいはコミュニティ利益会社(CIC:Community Interest Company)、チャリティ等で、法的なアセット・ロックのない協同組合は対象外とされている12)。対象法人の規模は、従業者250人未満かつ総資産1,500万ポンド未満の組織と定められている。また、リスクの低い分野(発電、不動産開発、貸付・リース、社会的企業への金融サービス、老人・介護施設運営等)については予め対象から除外されている。

 対象となる法人は、取引開始後7年未満ならば、通算150万ポンドまでSITRの枠組での投資を受け入れることができる(7年以上ならば3年内に約30万ポンドまで)。なお、SITRにより得た資金については、28カ月以内に利用しなければならない。

 SITRの利用にあたっては、歳入関税庁(HMRC)の認可が必要である。HMRCは申請を受理すると、その法的適合性を審査し、適法と判断した際には、申請法人が証明書を全投資家に発行することを認める(Fountain [2016] p.19)。投資家はその証明書を用いて、HMRCに直接控除申請を行う。

⑷ 監督機関

 コミュニティ益増進組合や協同組合の設立にあたっては、全ての金融機関を対象に金融行為規制と健全性規制を行う金融行為監督機構(FCA:Financial Conduct Authority)に規約の登録が必要になる(CSU [2018a] pp.40-41)。

 規約のなかには、次の14の条項を盛り込む必要ある:①名称、②目的、③住所、④メンバー入会条件(3名以上の創立メンバーを記載)、⑤会議の開催、⑥運営委員会役員、⑦株式上限額、⑧貸付・預金、⑨株式資本に係る条件、⑩監査・監査者、⑪メンバーシップの終了、⑫利益の活用、⑬公式書類、⑭投資(CSU [2018a] pp.41-49)。なお、Co-operative UKなど支援団体作成のモデル規約は、事前にFCAの同意を得ているので、それらを活用すると、効率的に登録を済ますことができる(CSU [2018a] p.50)。

 登録組合は、帳簿管理を適切に行い、年間収支をFCAに報告しなければならない。名称の変更や規約の改正なども、FCAに改めて認可を得る必要がある。年間売上が560万ポンド以上、あるいは保有資産が280万ポンド以上の登録組合は、会計士による全面的な監査か会計検査報告書の提出を求められる(CSU [2018a] p.51)。


図1 コミュニティ・シェアーズのスキーム


5 株式公募の実態

⑴ 公募形態・手続

 コミュニティ・シェアーズの公募形態のうち、最も一般的なのが時限公募(Time-bounded Offer13))である(CSU [2018a] pp.58-66、CSU [2016a] pp.12-13)。これは、クラウド・ファンディング(CF)と同様に、一定期間内に特定の投資事業に必要な資本を調達するために実施されるものである。公募の手続きは、発行団体自身が行うのが一般的ではあるが、近年は、安全性、簡便さ等から、CFプラットフォーム事業者に委託14)するケースも多くなってきている。

 公募文書では、公募期間、公募(事業)目的、資金使途、投資インパクト(メンバー・コミュニティへの恩恵)などを明らかにするとともに、調達目標の最高金額、最少金額を示す必要がある。購入額が最高金額を上回れば公募は終了し、最少金額に達しなければ購入者に返金される。

 また、投資家(メンバー)の条件(年齢、居住地等)や個人投資額の上限・下限も公募文書に記載しておく必要がある。株式の換金条件(一定期間保有の義務等)や配当利回りの上限、税控除の適用可能性なども明記しておかなければならない。もちろん、投資判断に際し必要となるガバナンスや財務状況、投資家の権利などの情報の掲載も必須である。

 そして何にもまして重要なのが、投資リスクに関する注意喚起である。特に、コミュニティ・シェアーズの場合、法の規制(補償、償還請求権)の対象外である旨、明記しておかなければならない。

⑵ 投資額・配当利回り

 個人の投資上限額は、法定の10万ポンド以下で、通常は、特定の個人投資家への依存を避けるため、最少調達目標金額の30%未満に設定されている。一方、投資額の下限は、近年50ポンド~1,000ポンドで推移している(CSU [2018a] pp.62-63)。

 実際の投資額(2009~2014年)をみると、101~500ポンドの層が全体の40%を占め最も多く、次いで、51~100ポンド(31%)となっており、少額投資が大半である(CSU [2015] p.28)。投資家の約3分の2(65%)は、投資額が失っても差し支えない金額であることをコミュニティ・シェアーズへの投資理由に挙げている(CSU [2015] p.30)。

 株式の配当利回り15)に関しては、金融行為監督機構(FCA)が登録の手引きのなかで、「支払予定時期に先立って事前に(規約などのなかで)上限利回りを公表しておく」(CSU [2018a] p.84)よう求めている。仮に予測時点よりも収益が上がっていても、各団体は予め設定した利回り以下に設定しなければならない。また、将来の株式買取りやコミュニティへの再投資に備えて必要な資金を内部留保できることが、支払いの前提となる。

 配当利回りの水準について、FCAは「団体の目的遂行に深く関与する人々から必要な資金を獲得するに足るだけの利回り」(CSU [2018a] p.84)と述べているが、その決定方法、基準については言及していない。モデル規約では、イングランド銀行基準貸付利率を上回ること2%(もしくは全体として5%のいずれか高い方を選択)など一定の水準が示されているが、実際の公募にあたっての上限利回りは、ゼロから10%超まで様々である(そのなかで、基準レート+4%の水準(あるいは4.1%~5%のレンジ)が最も多い)(CSU [2018a] pp.84-85、CSU [2015] pp.20-21)。

⑶ 投資家の属性

 NESTA(英国国立科学・技術・芸術基金)とケンブリッジ大学の共同調査(2014年)によると、コミュニティ・シェアーズの投資家は、壮年層、なかでも55~64歳の層が最も多く、全体の約3割(31%)にのぼる(CSU [2015] pp.25-26)。年収では25,001~35,000ポンドと、常用雇用者の平均年収(27,200ポンド:2014年)前後の層が全体の23%を占め、最も多い(CSU [2015] pp.26-27)。

 投資家のうち、公募団体が提供するサービスや施設を自ら利用できる人は53%にとどまる(CSU [2015] p.34)。すなわち、半数近くがコミュニティ内外の他者が利用するサービスや施設に‘利他的’に投資していることになる。また、投資家として重視すべき事柄では、年次総会への出席(36%)、組織・事業への参加(31%)に比べ、利子・配当金の受け取り(26%)の回答は少なく、金銭的利得のみを目的とした投資家は少数であることが分かる(CSU [2015] pp.35-36)。

 投資の原資は、過半数(56%)が貯蓄であり、投資先は1件のみが4分の3以上(77%)にのぼる(CSU [2015] pp.29-31)。他方、62%の投資家がコミュニティ・シェアーズの発行元の組織・関係者と個人的なつながりがあり、関係性(ソーシャル・キャピタル)が投資の重要な要因となっていることがうかがえる(CSU [2015] pp.32-33)。また、32%にのぼる投資家が、発行団体のPR、キャンペーンに参加していると回答しており、一定程度参画と協働が進展している状況がみてとれる(CSU [2015] p.35)。


Ⅳ 考 察

1 政策的意義

⑴ 社会的投資政策としての意義

 コミュニティ・シェアーズは、比較的簡単でわかりやすい仕組みなうえ、小口投資が可能なスキームである。このため、投資へのハードルが低く、これまで数多くの個人投資家を惹きつけることに成功している(CSU [2018a])。‘純粋な’金融商品ではないコミュニティ・シェアーズへの投資にあたって、投資家は全リスクを背負わなければならないが、その社会目的に共感した人たちはリスクを甘受し、投資を実行している。

 英国の社会的投資市場全体に目を向けると、民間金融機関、機関投資家の参入や仲介機関の成長などもあり、市場規模は着実に拡大している。それとともに、投資の社会的効果、成果がこれまで以上に重視されるようになり、投資の判断基準となる客観的な成果指標に基づくインパクト評価の開発が加速している。また、それに基づきソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)やディベロップメント・インパクト・ボンド(DIB:

Development Impact Bond16))のような成果連動型投資スキームの導入も進んでいる。

 このように社会的投資がメインストリーム化、高度化し、成果、インパクト重視へと移行するなか、コミュニティ・シェアーズは、個人がその共感に基づく投資や身の丈にあった投資を行える機会を提供している。それは金融商品としての社会的投資と寄付の‘狭間’に、‘非金融商品’としての参加型、地域密着型投資という1つのジャンルを創り上げることで、市場の裾野拡大に寄与している。

 社会的企業17)へのエクイティ投資としては、公開有限会社(plc:public limited company)の形態を採るコミュニティ利益会社(CIC)への株式投資も考えられる(CSU [2018a] pp.5-6)。アセット・ロックがかかり、自主的な認証基準(社会的企業マーク)を有する点等で、CICはコミュニティ益増進組合と似通っているが、その株式は持ち分や配当利回りの制限がない18)点等で、コミュニティ・シェアーズとは性格を異にする(CSU [2018a] pp.5-6)。CSU責任者のサイモン・ボーキン氏は、「コミュニティ・シェアーズは規制枠組、株式形態、利益配分、民主的コントロールといった点で、CIC(の株式)や株式投資型CFとは明確に区別される9)」と指摘している。

⑵ コミュニティ政策としての意義

 コミュニティ・シェアーズは、生活サービスやインフラ施設の提供などコミュニティの福利増進を目的とした様々な取り組みに活用されている。コミュニティの核となるアセット(ホール、パブなど)の取得・改修にも盛んに用いられており、シンボリックな空間の再生という意味でも、その果たす役割は大きい。さらには、雇用・所得機会の創出やコミュニティにおける資金循環など、経済面でもその効果が期待されている。

 コミュニティ・シェアーズの意義は、エンパワメントの側面でも大きい。すなわちそれは、発行団体であるコミュニティ組織の基盤強化(経営の安定化、ガバナンスの民主化等)に資するだけでなく、コミュニティ内外の人々の参画と協働を促進する重要な手段となる。個人は一旦投資家になると、メンバーとして総会に出席し意見を表明するだけでなく、ボランティア、スタッフ、役員として、事業運営、サービス提供に直接携わることを期待される。また、サービスの顧客になるにとどまらず、アンバサダーとしてPRに努めることも要請される。各人が複数のステークホルダーの役割を果たしながら、事業、コミュニティへの関与を深めていくところに、このスキームの特色がある。

 資金調達手段としてみると、言うまでもなく、コミュニティ・シェアーズよりも、返済の必要のない「寄付」や「助成」のほうが望ましい。しかし、コミュニティ・シェアーズでは、資金調達と同時に、事業に能動的に関わる可能性を持った人材がプールされる。資源・人材の結集、それによる多元的な関係性の構築やコミュニティの一体感の醸成が、その強みといえよう。すなわち、コミュニティ・シェアーズは、株式資本+人的資本+社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)の蓄積を図る仕組みとして理解することが適切であろう。


2 我が国へのインプリケーション

 G8社会的インパクト投資タスクフォースの一員であった我が国では、これまでその国内諮問委員会を中心に社会的投資の拡大に向けた検討が幅広く進められてきた。その検討のなかでは、休眠預金の活用、SIB・DIBの導入、法人制度・認証制度の創設、投資減税制度の立ち上げ、社会的インパクト評価の浸透などとともに、個人投資家層の充実についても提言がなされている(GSG [2018])。しかし、その内容は個人投資家向け情報プラットフォームの構築にとどまり、新たな個人向け投資スキーム構築への姿勢はうかがえない。その一方で、投資減税の導入や社会的インパクト評価の普及等によって、自ずと個人投資家の拡大が図られるとの見解が示されている(GSG [2018] pp.71-72)。

 他方、地域に目を転じると、地域運営組織19)の法人化の動きが顕在化するなかで、国はコミュニティ・ビジネスや住民向け生活サービスを営む株式会社への住民出資に対し、所得税の控除制度(小さな拠点税制)を時限的に導入し、その取り組みを後押ししようとしている。また、少額投資への参入要件緩和を盛り込んだ金融商品取引法の改正(2015年5月施行)を受けて、クラウド・ファンディング等を活用した「ふるさと投資20)」の促進にも乗りだしている(「ふるさと投資」連絡会議 [2015])。しかし、今までのところ、情報提供、関係機関の連携、既存制度の活用以外で明確な動きはみられない。

 こうした状況のなかで、今後地域への社会的投資を全国各地で加速させていくためには、一般的な投資型クラウド・ファンディングとは異なる、独自の参加型、地域密着型社会的投資制度の構築も視野に入れていく必要がある。そして、そのための制度設計・整備の面で多くの示唆を与えているのが、英国のコミュニティ・シェアーズである。

 もちろん、コミュニティ・シェアーズの発行団体は組合21)に限定されるため、その制度をそのまま‘移入’することは現実的ではない。しかし、参加型社会的投資の対象となるコミュニティ益の増進を目的とする法人の要件を検討する際には、社会性を担保するその枠組(ミッション・ロック、アセット・ロック、民主的ガバナンス、株式規定等)から多くの示唆を得ることができよう。また、認知度、信頼性向上に向け、モデル定款の作成や全国的な認証制度(標準マーク)の運用等標準化を図るその取り組みも参考となろう。

 他方、コミュニティ・シェアーズの金融法制度上の取り扱い、つまり、投資型クラウド・ファンディング(CF)とは区別される‘非金融商品’としてのそのステータスにも目を向ける必要がある。そのことで、投資家保護の面では懸念される一方で、発行団体にとっては、規制を被らず、コストがあまりかからないという‘利点’も生じている。参加型社会的投資制度の検討にあたっては、新たなカテゴリーの金融商品あるいは法の規制緩和による独自制度とする可能性を探ってみるべきであろう。そのなかでは、自治体並びにCFプラットフォーム事業者等金融事業者の望ましい関与の在り方についても議論していく必要がある。

 また、支援プログラムの原資自体がほぼ社会的投資によって賄われている現状も、休眠預金の活用を控えた我が国にとって参考になろう。ユニークな取り組みである株式の買取りとそれに伴うハンズオン支援についても、発行団体の組織運営、ガバナンスにどのような効果をもたらしているのか今後検証してみる価値があろう。

 さらに、普及啓発機関としてのCSUの役割も注目される。情報提供、普及啓発、コンサルティング、補助・認証制度におけるその役割を理解することは、参加型社会的投資制度の全国的な支援団体の組成・運営の検討に役立つであろう。

 このほか、我が国でも導入の機運があり、注目されている社会的投資税額控除(SITR)の効果についても見定める必要がある。中小企業向けスキーム(EIS)に比べると、当初必ずしも成功とはいえない状況にあったSITR22)の適用対象・範囲・条件等を分析し、運用上の課題を明らかにすることは、我が国における今後の制度設計の検討に資することになろう。

 このような実務的、技術的検討の一方で、コミュニティ・シェアーズをめぐる政策や政策的背景にも目を向けねばならない。すなわち、緊縮財政下で提起されたローカリズム(Localism)の実現に向け、コミュニティ・シェアーズがエンパワメントの目的にも手段にもなってきたことに留意する必要がある。それは「公共支出から社会的投資へ」の転換を先導する施策であったと同時に、コミュニティ自身による資産取得、施設運営、サービス提供、ハード整備等を推進する手段・媒介としての役割を果たしてきた。

 すなわち、地方創生の推進にあたっては、地域への参加型社会的投資の普及・定着とともに、それを活かして、如何に主体的な地域づくりを進めるのかが問われている。エンパワメントの発想に立って、その具体的な活用イメージを描きながら、制度設計にあたっていく必要がある。特に、人口減少・高齢化が進むなか、地域の活力維持には、域外からの「関係人口23)」の取り込みが不可欠なことから、参加型社会的投資を通じて内外の人々が新たに結びつく仕組み(ビジネスモデル)の構築が期待される。


Ⅴ おわりに

 約10年にわたって展開されてきたコミュニティ・シェアーズは、オルタナティブな社会的投資として市場の裾野拡大に貢献してきた。社会的投資のメインストリームが社会的インパクトの追求へと向かうなか、それは共感や志をベースとした投資を喚起してきた。また、そのスキームは資金提供だけでなく、コミュニティへの能動的、多元的な関与を求める点で、社会的投資、エンパワメントの両側面において新たなスタイル(「参加のための投資」9))を提起するものとなっている。

 英国の社会的投資政策がコミュニティ再生24)を出発点とすることを鑑みると、コミュニティ・シェアーズこそが本来のメインストリームと主張してもよいのかもしれない。しかしながら、コミュニティ・シェアーズは、必ずしも全ての地域にとってコミュニティ再生の万能薬となっているわけではない。その実施箇所をみると、都市部でも、農村地域でも‘ホットスポット’がある一方で、空白エリアも存在している(CSU [2015], p.16)。

 調査にあたったCSUでは、この偏在の要因をコミュニティのスキル、信頼、熱意の違いにあるとしているが、それは言い換えれば、コミュニティの問題解決能力、事業遂行能力の差に他ならない。今後、その実態解明に向け、コミュニティ・シェアーズの実施・未実施コミュニティ間の特徴的差異を明らかにする研究の進展が期待される。あわせて、スキーム導入が困難な、事業遂行能力に欠ける困窮コミュニティの底上げ、キャパシティ・ビルディングも、研究課題の1つとなろう。これらの研究は、英国のローカリズムと同じく、地域の主体性を喚起するアプローチを志向する我が国の地方創生にとっても、有益なものとなる筈である。

[注] 1)本稿では、社会的企業を「社会的目的を第一とし、その余剰が主に事業もしくはコミュニティの目的の実現のために再投資される事業体」(CSU [2018a] p.1)と規定する。

2)2013年G8サミット議長国であった英国のキャメロン首相の呼びかけのもと、インパクト投資をグローバルに推進することを目的として「G8社会的インパクト投資タスクフォース」が設立された。2015年よりG8以外の国にもメンバーを拡大し、「Global Social Impact Investment Steering Group(通称GSG)」と呼ばれるようになる。現在16か国が加盟。日本をはじめ各国には、その下部組織として国内諮問委員会が設置されている。

3)本稿の執筆にあたっては、Community Shares Unit(CSU)の責任者、サイモン・ボーキン(Simon Borikin)氏に対してインタビュー(2018年9月13日)を行い、その結果を考察での論考等に反映している。

4)DCLGからの補助は、2016年3月に終了。現在は、Power to ChangeやAccess(Big Society Capitalが一部資金を提供)といった助成財団からの補助で運営されている。

5)多様な共済組合や協同組合に関する法律を一本化し修正した法律。2014年8月1日発効(詳細は石村[2015] pp.236-250 を参照)。

6)コミュニティの利益増進を目的に事業、取引を進める共済組合。2003年の「1965年勤労者共済組合法」(Industrial & Provident Society 1965)の刷新時に、本来は互助組織である共済組合を、コミュニティ再生の担い手として育成する目的で創設された。資金や利益(剰余金)を社会的目的に積極的に活用できる制度設計がなされている(CSU [2018a] p.16、石村[2015] pp.236-237)。

7)チャリタブル・コミュニティ益増進組合は、純粋に慈善目的の組織であり、通常のチャリティと同様の税控除を受けることができる。しかし、コミュニティ益増進組合とは違い、その主目的やそれに付随する活動として事業を行えない(事業実施のためには、子会社の設立が必要)。チャリティ法に基づく法定のアセット・ロックがかかる(コミュニティ益増進組合は、法定・任意のいずれも選択可能。協同組合は任意)(CSU [2018a] pp.16-18)。

8)コミュニティ・シェアーズをめぐる制度枠組・環境や法の適用は、英国内でも必ずしも一律ではない。ここでは主にイングランドにおける状況を記している。

9)サイモン・ボーキン(Simon Borikin)氏のインタビュー時のコメントに基づく。

10)株式の公募条件以外に、投資事業の目的、事業内容、収支予測、資金運用、リスク分析、ガバナンス(組織統治)、コミュニティの関与等についての情報提供が求められる。

11)Big Society Capitalが1,000万ポンドを拠出して設置したこのファンド(Big Society Capital Crowd Match Fund)は、社会的投資税額控除の対象となるチャリティ・社会的企業への個人投資に対しマッチング・ファンドを提供している。実際の運用はクラウド・ファンディング・プラットフォーム事業者3社に委ねられている(Big Society Capital HP2)。

12)2009~2014年のデータでは、チャリタブルを含むコミュニティ益増進組合が7割以上(72.4%:178組合)を占めているが(協同組合=27.6%:68組合)、SITRの導入以降、その適用を受けるコミュニティ益増進組合を選択する傾向がさらに強くなるであろうことが指摘されている(CSU [2015] pp.16-17)。

13)①時限公募(Time-bounded Offer)のほか、②新メンバーを募るメンバー公募(Membership Offer)、③ハイリスク・キャピタルへの出資を募るパイオニア公募(Pioneer Offer)、④メンバーの補充を行うオープン公募(Open Offer)の形態がある(CSU [2016a] pp.10-11)。

14)CSUは、CFプラットフォーム事業者と公式の関係性を有しておらず、利用を推奨しているわけではないが、標準マークの普及にあたっては連携している旨表明している。CSUによると、各CFプラットフォーム事業者は、コミュニティ・シェアーズの公募受託に際し、調達額の1.5~2.5%相当の金額と手数料を請求している(CSU HP)。

15)配当の代わりに商品・サービスを提供するケースもある。また、投資へのインセンテイブとして、発行団体の商品・サービスの割引を申し出る団体もある(CSU [2018a] p.84 )。

16)SIBを途上国開発に応用する用語(GSG [2018] p.61)

17)英国の社会的企業の法的形態は、チャリティ、公益法人(CIO)、非営利保証有限責任会社、コミュニティ利益会社(CIC)、協同組合、コミュニティ益増進組合など多岐にわたる(CSU [2018a] p.1)。

18)CICは会社法の適用を受ける。配当利回りの制限は現在廃止され、配当総額上限規制(処分可能利益の35%)のみ残存している(CSU [2018a] p.6)。

19)「地域の暮らしを守るため、地域で暮らす人々が中心となって形成され、<中略>地域課題の解決に向けた取組を持続的に実践する組織」と定義されている(総務省 [2016] p.3)

20)「地域資源の活用やブランド化など、地方創生等の地域活性化に資する取り組みを支えるさまざまな事業に対するクラウドファンディング等の手法を用いた小口投資であって、地域の地方公共団体等の活動と調和が図られるもの」と定義されている(「ふるさと投資」連絡会議 [2015] p.4)。

21)地域運営組織の法人形態のなかで比較的コミュニティ益増進組合に近いものが、合同会社(LLC:Limited Liability Company)である。合同会社は出資額にかかわらず、1人1票が原則であり、出資者自身が社員として会社の経営に携わる。

22)2014~16年度の間にSITRへの申請が認められた社会的企業は50にとどまる。SITR資金のローン返済への利用禁止など、使い勝手の悪さが指摘されている(FTAdiviser [2018])。

23)「移住した『定住人口』でもなく、観光に来た『交流人口』でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々」のことを指す(総務省『関係人口』ポータルサイト)

24)英国では、労働党(ニューレーバー)が政権に就いた1997年以降、社会的投資の導入が本格化する。政権ブレーンのギデンズ(Giddens)が、著書『第三の道』([1998] p.117)のなかで、ポスト福祉国家像として「社会的投資国家」を提起すると、政権はそれに呼応する形で、社会的に排除されている人々や荒廃するコミュニティへの投資促進(1999~2002年)に乗り出す(ACSI [2015] pp.20-21)。以後、社会的投資の中心は市民社会セクター(2002~10年)、ソーシャル・イノベーション(社会的課題の解決)(2010年~)への投資にシフトしていく(Spear, Paton & Nicolls [2015]、小林 [2015])。

[参考文献]

石村耕治 [2015]「イギリスのチャリティと非営利団体制度改革に伴う法制の変容:2011年チャリティ法制の分析を中心に」、『白鴎法學』21⑵、pp.61-251

小林立明 [2015]「社会的投資政策の展開」(第4章Ⅱ)(公財)公益法人協会編『英国チャリティ-その変容と日本への示唆』、弘文堂、pp.219-238

G8SIIT(G8社会的インパクト投資タスクフォース)[2014]『社会的インパクト投資:市場の見えざる心-アントレプレナーシップ、イノベーションと公益に資するファイナンス』

GSG(GSG国内諮問委員会) [2018]『日本における社会的インパクト投資の現状2017』

総務省(総務省地域力創造グループ地域振興室)[2016] 『暮らしを支える地域運営組織に関する調査研究事業報告書』

総務省『関係人口』ポータルサイト http://www.soumu.go.jp/kankeijinkou/

「ふるさと投資」連絡会議 [2015]『「ふるさと投資」の手引き』

ACSI(The Alternative Commission on Social Investment)[2015] After the Gold Rush : The Report of the Alternative Commission on Social Investment.

BSC(Big Society Capital)[2018] An Essential Guide to Social Investment Tax Relief.

BSC(Big Society Capital)HP1 

 https://www.bigsocietycapital.com/

BSC(Big Society Capital)HP2

 https://www.bigsocietycapital.com/what-we-do/investor/investments/crowd-match-fund

CSU(Community Shares Unit) [2015] Community Shares - Inside the Market Report - June 2015.

CSU(Community Shares Unit) [2016a] Investing in Community Shares.

CSU(Community Shares Unit) [2016b] Community Shares Unit : How to Make the Most of Community Shares-15 November 2016.

CSU(Community Shares Unit) [2018a] The Community Shares Handbook , last updated on 17th Apr 2018.

CSU(Community Shares Unit) [2018b] Community Shares Booster Programme Guidance , last updated on 14th May 2018.

CSU(Community Shares Unit)HP

 http://communityshares.org.uk/using-crowdfunding-platforms

DTA(Development Trusts Association)& Co-operatives UK [2010] Investing in Community Shares.

Fountain, M. [2016] DIY Social Investment : A Social Entrepreneur’s Guide to Creating Your Own Social Investment through Social Investment Tax Relief (SITR) , For Social Enterprises and Charities , Flip Finance.

FTAdiviser [2018] Understanding Social Investment Tax Relief and How to Make It Work , July 10, 2018.

Giddens, A. [1998] The Third Way. The Renewal of Social Democracy, Cambridge : Polity Press.(佐和隆光訳 [1999]『第三の道-効率と公正の新たな同盟』、日本経済新聞社)

Robinson, M. [2016] The Size and Composition of Social Investment in the UK : Social Investment Insights Series, London : Big Social Capital.

Spear, R., Paton, R. & Nicholls, A. [2015] Public Policy for Social Finance in Context, in eds, Nicholls, A., Paton, R.& Emerson, J., Social Finance, pp.460-487, Oxford : Oxford University Press.

※ HPについては平成30年12月10日に確認

(論稿提出:平成30年12月10日)




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