学会賞・学術奨励賞の審査結果

第12回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告

平成25年9月21日
非営利法人研究学会
審査委員長:堀田和宏

 

非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第12回学会賞(平成24年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(平成24年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(平成24年度全国大会における報告に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果、今次は学会賞、学術奨励賞特賞に該当する論文はなく、下記の論文を学術奨励賞に値するものと認め選定しましたので、ここに報告いたします。


1. 学会賞
 該当作なし


2. 学術奨励賞
深山誠也「社会福祉法人の競争戦略と組織―高齢者介護組織を対象とする実証研究―」(平成24年度非営利法人研究学会全国大会自由論題報告、於:北星学園大学、『非営利法人研究学会誌』Vol.15所収)
【受賞理由】
【論文の概要及び授賞理由】
 平成25年度「学術奨励賞」は、深山誠也氏の論文「社会福祉法人の競争戦略と組織―高齢者介護組織を対象とする実証研究―」が選考されました。なお、本論文は、本年8月に刊行されました『非営利法人研究学会誌』第15巻に収録されています。
 本論文は、北海道において高齢者介護事業を展開している全部で394の社会福祉法人のうちの298法人から得られた質問票調査データにもとづいて、社会福祉法人の競争戦略と組織特性の相互関係を実証的に解明した研究です。
 本論文の内容を簡単に紹介します。
 Ⅰ 節において、本論文の目的が、社会福祉法人の環境-競争戦略-組織特性-組織成果間の相互関係の解明であることを述べています。具体的には、⑴社会福祉法人はいかなる競争戦略を採用しているのか、⑵競争戦略は固有の組織特性を備えているのか、⑶競争戦略と組織特性が適合的である場合、組織成果は高いのか、の3点を明らかにすることである。
 Ⅱ節において、この分野の先行研究を検討し、それらの問題点を明らかにしています。
 Ⅲ節において、競争戦略と組織特性の相互関係を実証的に解明するための準備として、まず検証されるべき3つの仮説を提示するとともに、これら3つの仮説間の関係を示す理論的枠組を明らかにしています。さらに、仮説を構成する概念の測定方法を定義しています。
 Ⅳ節において、①調査対象と②調査方法が示されています。
 Ⅴ節において、調査結果の詳細な定量的分析が試みられています。
 最後のⅥ節において、本研究の意義と今後の課題が明らかにされています。
 本研究の第1に評価すべき点は、従来、経営学ではほとんど注目されてこなかった社会福祉法人を分析対象として取りあげていることです。高齢者介護の進展や介護保険制度の導入等によって、高齢者介護事業を展開している社会福祉法人の効果的・効率的経営は、益々求められています。したがって、社会福祉法人の経営の実態の解明は、極めて重要な課題であるといえます。
 第2に評価すべき点は、第1の点とも関連しますが、高齢者介護事業を展開している社会福祉法人の経営全体の包括的な分析を試みていることです。この分野の数少ない先行研究は、もっぱら介護老人福祉施設の運営を分析するものがほとんどであり、その分析項目は、施設長のリーダーシップ等に限定されていました。
 第3に評価すべき点は、この社会福祉法人の経営全体の包括的な実証分析の結果、次の4点を明らかにしていることです。⑴社会福祉法人においては、有効な3つの競争戦略(コスト志向戦略、差別化志向戦略、差別化・コスト併用戦略)が存在する。⑵環境不確実性の認知が異なる場合、採用される競争戦略が異なる。⑶競争戦略が異なる場合、採用される組織特性は異なる。⑷競争戦略
が異なる場合、有効な組織特性の組み合わせは異なる。
 しかし、本論文にも問題点がない訳ではありません。これら環境-競争戦略-組織特性-組織成果間の相互関係が、「なぜ」「どのよう」にして形成されたのか、すなわち、競争戦略と組織特性の形成プロセスについては、本論文では必ずしも解明されていません。この点で、本研究は静態的な分析に止まっています。研究が静態的分析に止まっている点に関しては、筆者も認識しており、今後の研究課題として、競争戦略と組織特性の動態的分析の必要性があげられています。
 以上のように、本論文は、高齢者介護事業を展開している社会福祉法人の経営の実態を組織論の研究方法にもとづいて解明した非常に手堅い研究成果であるといえます。
 したがって、審査委員会は、全員一致で、本論文が「学術奨励賞」を受賞するに値するものと決定いたしました。

 

3. 学術奨励賞特賞
 該当作なし

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