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学会賞・学術奨励賞の審査結果

第10回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告

平成23年9月14日
非営利法人研究学会
審査委員長:石崎忠司

 非営利法人研究学会学会賞審査委員会は、第10回学会賞、学術奨励賞、学術奨励賞特賞の候補作を慎重に選考審議した結果、今次は下記の論文を学術奨励賞に値するものと認め、選定しましたので、ここに報告いたします。


1. 学会賞
 該当作なし


2. 学術奨励賞
 佐久間義浩「非営利組織における内部統制の現状―自治体病院におけるアンケート調査による分析―」
【受賞理由】
 本論文は,全国の自治体病院を対象にアンケート調査を実施し,内部統制の構築・運用の実態を明らかにするとともに,調査データの統計分析を通じて自治体病院における内部統制の導入要因の検証を試みたものである。本論文における調査・分析の結果,回答した病院の6割弱がすでに内部統制を導入していること,そして内部統制の導入要因としては病院の規模が相対的に強く作用していることが,明らかにされている。
 今日,患者のニーズに対応したきめ細かい医療サービスの提供が今まで以上に強く求められる一方で,自治体病院をはじめとした医療機関の財政問題が深刻化している。しかし,これまで医療機関の管理運営においては「経営」や「ガバナンス」といった視点からのアプローチがなされることは極めて稀であり,そうした事情が,医療機関における情報開示制度の未成熟性と相俟って,社会科学分野での研究の進展を阻む要因となってきた。本論文は,こうした制約を持つ未開拓分野の研究に真正面から取り組んだものであり,学界に大きな一石を投じる好著に仕上がっている。本論文は,医療機関の経営分析を手掛ける後続の研究が必ず踏まえなくてはならない先行研究になるであろう。これが本論文の第1の功績である。
 また,本論文では,実態の解明に際して周到な実証研究の手続きがとられており,研究の貢献と課題が明確に提示されている。こうした本格的な実証研究論文が本学会誌に掲載されたのは本論文が最初であり,その意味で本論文は,非営利組織研究の新しい分野を切り拓いたものと位置づけることができる。本学会のとりわけ若手会員の今後の研究を活性化する貴重な先行事例となるであろう。これが本論文の第2の功績である。
 本論文では,医療機関が抱える固有の経営問題への言及がなく,また実証分析を通じて得られた知見も常識の域を出ないなどの問題点もあるが,それらは,著者の今後の研究課題を示すものであって,本論文の学術的価値をいささかも損なうものではない。以上の理由から,本論文は,学術奨励賞授賞に相応しい著作であると,審査委員会は全会一致で認めた。

3. 学術奨励賞特賞 

 該当作なし

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