非営利法人(会計)における収入の意義

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関西大学教授 柴 健次


キーワード:

非営利組織 非営利法人 収入目的組織 支出目的組織 会計は組織目的に従う 会計は経済活動に従う


要 旨:

 非営利組織は理論的には支出目的組織である。その収入は手段としての財源である。一方、非営利法人は根拠法に基づく制度的存在である。そこでは、支出目的組織の性格が貫徹しない。非営利法人を論ずる場合、支出目的と収入目的が混在すると考えた方がよい。「会計は組織目的に従う」という哲学に従うなら非営利法人会計は立法趣旨に基づき理解される。

 その具体として学校法人を例にとる。私立大学に適用される学校法人会計は、非営利組織の一般会計より演繹されたものではなく、学校法人の収支の非弾力性を根拠として、会計の内容を予算制度と基本金制度から拘束している。

 ここでの議論から、政策的制約が加わった非営利法人は、管理の観点から見て予算重視か会計重視に分かれる。また、予算制度が優先するか会計制度が優先するかという視点も加わる。この整理から学校法人会計は「予算管理/会計制度」優先の会計といえる。


構 成:

Ⅰ はじめに

Ⅱ 会計哲学と組織目的

Ⅲ 学校法人会計の検討

Ⅳ 本報告における理論提言


Abstract

 Nonprofit Organizations are theoretically organizations that fulfill their objectives mainly through expenses. Revenues are only means for getting the necessary resources. On the other hand, Nonprofit Legal Entities are created by governing laws. Under these laws, the characteristic of being an organization that fulfills its objectives by expenses is not fully accomplished. When we discuss about Nonprofit Legal Entities, we have to think that there is a mixture of expense purposes and revenue purposes. If we follow the theory that “Accounting follows the objectives of the organization”, we consider that accounting for Nonprofit Legal Entities should be understood based on the intentions of their laws.

 We can take the School Legal Entities as an example. The accounting rules for School Legal Entities to be applied in a private university are not those deducted from general accounting rules for Nonprofit Organizations, but rules binding accounting contents in budget system and basic fund system, based on the non-elasticity of their revenues and expenses.

 From discussions here, in the case of Nonprofit Legal entities, where policy restrictions were introduced, we can distinguish two positions from management point of view: one laying importance on budget, and the other on accounting. There are also considerations of preference in the budget system or in the accounting system. Thus, we can say that accounting for School Legal Entities is an accounting giving preference to “budget management/accounting system”.

Ⅰ はじめに

 収入は支出に対する概念であるがその意義は支出とともにそれが置かれた会計によって変わる。この議論を進めるにあたっては本稿では収益と費用の概念を考慮しないことが賢明である。これらを同時に考慮すると意図しないにもかかわらず特定の会計に引きずられた議論になると考えられる。収益と費用を排除した議論に馴染めないかもしれないが、概念上収益が存在しない状況が理解されるメリットもある。なぜ支出に焦点を合わせないのかという疑問には支出を同時に議論すると収入の議論がおろそかになると答えておく。

 次に「非営利法人(会計)」と限定して議論する目的は何か。本学会の主たる関心が非営利法人にあり、非営利組織にはあまりない状況に配慮したのである。本学会の公益法人会計研究委員会が『非営利組織会計の研究』を刊行しているが、意識的にかもしれないが非営利組織と非営利法人を明確に区別していない。そこにはメンバー間の暗黙知があるのかもしれないが読者には伝わらない。しかしながら概念上、非営利法人は非営利組織の下位概念なので、具体的な非営利法人の収入の議論は理念的な非営利組織の収入の意義とどういう関係にあるかを慎重に議論する必要がある。


Ⅱ 会計哲学と組織目的

1 2つの会計哲学

 私は会計の基本的考え方は2つに収斂できると考える。この考えがいつ私の中に生まれたかは特定できないが、今や確信になっている。しかも他の論者が説明しない事柄である。第1は「会計は経済取引に従う」という会計哲学である。会計基準の統一という運動の背景にある哲学である。第2は「会計は組織目的に従う」という会計哲学である。比較可能性より優先すべき目的適合的な会計であるべきとの哲学である。

 「会計は経済取引に従う」という哲学では、あらゆる組織の経済活動(取引)の共通性に関心がある。そこでは、収入と支出に特殊な意義は追求されない。政府の税収が収益だと定義しても無頓着にそれを受け入れる。そこでの収入は取引の結果としての現金の増加という事実のみが重要である。収入が当該組織にとって目的か手段かは問われない。そのため、本稿の関心の対象から外れることになる。収入は組織にとっては現金の増加であること以外の意義づけは求められないからである。

 「会計は組織目的に従う」という哲学では、あらゆる組織の経済活動(取引)に共通性を求めるという本質はない。それぞれの組織が組織目的(使命、ミッション)を達成できるように会計は構築されるべきと考えることができる。営利企業会計は利益追求という組織目的に適合した会計が構築されている。そこではミッションステートメントである損益計算書が独自の意義を有している。一方、非営利組織はこのミッションステートメントを有していない。これは欠陥ではないかというのが私の意見である。しかし、ミッションの類型化に基づく個別非営利組織論、あるいは法人制度に基づく個別非営利法人論では議論が可能となる。そこで収入と支出の意義は現金の出納以上の意義を有することになる。すなわち、取引に特殊な意義が付されるので、目的に照らした収入や支出の意義が求められる。


2 2つの会計主体

 営利企業中心の会計に慣れると、営利組織とそれ以外に分けたくなる。後者は非営利組織となろう。それらは政府組織とその他組織からなる。同じく、政府組織と非政府組織という分類の後者では営利組織とその他組織からなる。その他組織こそ非営利組織である。しかし、非営利組織に政府組織を含まない、非政府組織に営利組織を含まないとして、非営利組織と非政府組織が一致すると仮定しても、この非営利組織に対して「非・非営利組織」を対置させたりしない。「その他」の補集合を「その他・その他」といわないからである。にもかかわらず、「非営利組織」があたかも純粋な集合概念かのように使われている。

 これでは大変わかりにくいので、生産経済主体である営利組織を収入目的組織、消費経済組織である政府組織や家計組織を支出目的組織と呼べば組織の本質に迫ることができる。この分類によると、中間組織である非営利組織は基本的に支出目的組織であるものの、収入目的が混在する可能性がある。すなわち、現存する非営利組織は混合組織であることが多い。

 収入目的組織では、予算においても収入が重視される。収入はいわば目標として提示される。それゆえ目標金額を超えることが推奨される。この組織では支出は収入を下回ることが求められる。一方、支出目的組織では、予算においては支出が重要である。その支出は一般に上限として提示される。この組織では支出に対応する財源の手当てが重要になる。しかしこれは甘い。本来は調達財源の範囲内での支出が求められる。いわゆる財政の基本的論争に係る意見の相違である。この発想が収支均衡の概念を生む。


3 会計哲学と収支目的

 前2項の議論を組み合わせると表1のようになる。

 このような理念型において、非営利組織は基本的には政府組織に近いが、非営利組織の一部である非営利法人において収益事業が認められているとき、部分的には営利企業に近い。いわゆる混合経済になぞらえて、混合組織と呼んでもよいし、中間組織でもよい。

 このように整理するとき、非営利組織の一般論は展開できないことに気付く。その理由は、各種の法律の適用を受ける非営利組織である非営利法人と、そうでない組織に共通性を求めにくいからである。法適用を受ける法人とは、法制上の保護を受けるとともに、義務を負う組織である。法人格を有しない非営利組織は結局は注目されない組織のままとなる。


表1 組織と会計


4 現実的な会計の考え方

 会計制度は異なる会計哲学が調整される結果としていずれの理想からもずれると大方が感じる。ヒストリアンはビジネスが表舞台に登場するや、組織目的に従うとする会計哲学が優先し、会計は利益計算の手段として発達してきたという「事実」を主張するだろう。公認会計士はその存立基盤である複式簿記と最新の会計ルールを最優先する。しかし、会計は営利企業のみのために存在するわけではない。にもかかわらず、営利企業のための利益計算システムというモデルから非営利組織あるいは具体的には非営利法人の会計を判断しがちである。そのため、政府会計や非営利法人会計が企業会計の論理から議論される危うさがある。

 そもそも組織目的の異なる会計を単純に統一できるのか。後に議論する学校法人会計は企業会計と異なる。政府会計とも異なる。他の種類の非営利法人会計と類似性が多いかというと必ずしもそうではない。しかも、同じ教育機関の会計であっても、国立大学法人会計とも異なる。こうした法人別に多様な会計が存在する状況に対して、比較可能性に欠けるという理由から統一会計をめざせという主張もありうる。この場合、法人固有の目的的会計表現よりも他の種類の法人との比較可能性が優先される。しかし、何のための比較可能性かという肝心なところが議論されない。一方、学校に関する複数の会計の統一や、病院に関する複数の会計の統一に範囲をとどめるという主張もありうる。


Ⅲ 学校法人会計の検討

1 学校法人会計の特徴

 私は、学校法人における予算制度と基本金制度に素朴な疑問を感じる。学校法人の予算制度は、民間企業の予算とも異なるし、政府の予算とも異なる。利益計画の一環としての企業の予算とも異なる。財政権の付与としての政府の予算とも異なる。学校法人の予算の意義は将来収支の硬直性を理由とする順守すべき予定を意味するようである。そのことが学校経営の硬直化に通ずるのではないか。その上で、予算は作成されることが何よりも重要である、当初予算は狂えば補正すればよい、そういう安直な考えを生み出す可能性を感じる。

 学校法人会計における基本金制度には一定の意義があるものの、予算と同じで、制度を守っていればよいという風潮を生む。企業会計から学校法人会計を見れば基本金制度が特殊であると見える。しかし、学校法人会計から企業会計を見ると資本金制度の特殊性が見えてくる。両方の制度から統一地方公会計を見るとその純資産が極めて脆弱であると見える。つまり組織目的に従う会計哲学の関心は純資産の扱いにフォーカスされると考えられる。とりわけ基本金制度の検討を通して会計の本質に迫ることができると考える。


2 学校法人の収支の特徴

 日本会計研究学会「スタディ・グループ学校法人会計」(1968~1972)は、学校法人会計の収支の特徴を指摘したのちに、予算制度と監査、予算原則、予算監査の重要性を唱えるものである。その公表年は45年も前になるが、そこでの指摘は今日にも通じる。

 「1 教育プログラムのサイクル―例えば、大学学部教育においては4年、高校・中学においては各3年―の期間は収入・支出ともに非弾力的である。(略)ゆえに、所与の教育プログラムの実施過程において、教員の教育努力を追加して投入したとしても、それによって収入の増加を実現することは不可能である。支出も、その教育プログラムの1サイクルが終了するまでは、これに必要な支出として当初計画した額を自由に変更すること、特に削減することはほとんど不可能である。」と収支の非弾力性を指摘する。

 「2 また教育の成果は収入の多少を以て測定評価できないから、収入と支出との間に短期的な相関関係はほとんど見出せない」し、「3支出の上限は決定しがたく、他方、これを賄う収入は有限である」とも指摘する。

 ここに指摘された3つの特徴のうち、第1の収支の非弾力性は学校に特徴的なのかもしれない。しかし、第2に指摘された成果と収入の多少に短期的な相関関係が見出しえない点と、第3に指摘された支出の上限の決定困難性に対する収入の有限性という点は、非営利組織なかでも政府組織に見出せる共通する特徴である。非営利組織でも、学校法人以外の非営利法人が収支の非弾力性という特徴を備えているかどうかは個々に見ないと一般的な見解は述べられない。それにしても、収支が弾力的な営利企業とは全く異なることは誰にでも理解できるところである。


3 学校法人会計への拘束

 学校法人会計は社会福祉法人会計とともに、非営利法人会計の中で例外的位置を占めている。将来の問題として統一非営利法人会計が模索されるとして、かかる統一会計に学校法人会計を包含できるか否か微妙である。第1に、学校法人は予算の策定とその忠実な執行が強制される。そこで、学校法人会計は政府会計と近似する側面を有している。第2に、法人財産の維持拘束性という観点から基本金制度が強制される。その制度は学校財産の維持を求めるものであるが、この発想は企業会計、政府会計、そして学校法人会計以外の非営利法人会計とも異なるようである。学校法人における維持拘束性は教育サービスに不可欠な資産の維持拘束性に求められる点にその特殊性がある。それゆえ、学校法人会計における基本金制度は学校法人固有の維持拘束性として理解される。


4 学校法人の収支

 学校法人は、実際に学生数が決まると将来支出がほぼ決まるということなので、将来収入もショートしないように措置される必要がある。一見、政府組織と同じように見えるが、政府予算の場合には、歳出の内容は本来的には住民の要求と財源の調整を受けて決まるものであるから可変的なのに対して、学校の場合には、年度によって支出対象を変えるということは難しい。そういう意味で、学校の場合には、予定の段階から財政は硬直的である。他方、政府の場合は、過大支出が原因で財政が硬直的になる。こうした違いを考える時、学校法人の予算は、予定収入と予定支出の性格が強くなる。


5 学校法人の予算制度の問題

 学校法人において予算制度が重視される理由はその非弾力的収支構造と法人の資産に対する所有権・持分権の不存在に求められる。これに対して企業は弾力的収支構造を有し、企業の財産に対する所有権・持分権が存在するため、決算制度が重要とされる。また、予算制度を必要とする同じ理由から、学校法人の存続を確実にするため基本金制度が編み出されている。決算よりも予算を重視すること、所有権・持分権なき組織の存続を図るために基本金制度を設けることに特徴があるがゆえに現行の学校法人会計が存在しているという立場に立つとしても、なお学校法人会計には検討すべき課題が存する。

 予算の重要性が高まるほど決算の意義が薄れる。予算が絶対的であるとき、決算は予算執行の確認作業の意味しかない。予算が遵守目標であるとき、予算と決算の差異分析が正当化の観点から意味を持つ。予算が動機付け数値であるとき、予算と決算の差異分析は業績評価の観点から意味を持つ。いずれの場合であっても、当初予算を補正することは認められることなのかもしれない。しかしながら補正の基準があいまいであると浪費をもたらし予算による行動規制が機能しなくなる。予算が絶対的であるときに補正が弾力的だと実質的に予算統制が機能しなくなる。予算が目標であるとき補正が弾力的だと実質的に目標管理が機能しなくなる。予算が動機付けの場合、補正が弾力的だと、経営の士気をそぐ可能性もある。

 学校ではその収支の拘束性ゆえに予算が絶対的であることを認めるにしても、その「立法趣旨」が理解されない形式主義が横行する。すなわち、予算の通りに間違いなく執行するか、予算に反しても執行を認めるかの判断を持たなければならない。予算に反しても予算の趣旨に合致している支出を、事務レベルにおいて認めないという「予算に対する誤った理解」が見受けられる。


6 学校法人の基本金制度の問題 

 学校法人会計の基本金制度は営利企業の資本金制度との対比で理解されることが多い。両者の共通性は法人財産への維持拘束性である。相違点はその維持拘束の方法にある。学校法人においては具体的な教育施設等を維持拘束すべく、純資産の側において、教育施設等の金額を基本金として設ける方法を採る。一方、企業会計においては、払込資本等で示される抽象的な維持拘束額を、純資産の側において、資本金を設ける方法を採る。ここでは、具体的な資産を維持拘束するわけではない。ちなみに、新地方公会計では、資産負債差額としての純資産額が算定されたのち、事後的に(簿外で)固定資産等形成分と余剰分(不足分)を示す方法を採用している。すなわち、基本金制度も資本金制度も採用していないのである。

 学校法人には出資(所有権)がないので、事業収入の中から維持拘束すべき金額を造成するのである。すなわち、基本金は稼得利益の資本化額を示す。この発想からすれば、所有権なき企業を作ることができる。すなわち借入金等で事業投資の財源を確保し、毎期の純利益の一部を資本金に振り替える方法である。別の方法によると、当期純利益の計算に先立ち、総収益から一定金額を資本金に振り替えたのち、振替金控除後の総収益から利益計算を行う方法である。後者は学校法人の基本金会計の仕組みに相当する。

 企業会計を一般的だとみれば、学校法人会計の特殊性が見えてくる。資本制度を有する会社会計から学校法人を見れば、基本金は疑似的出資とみなしうる。しかも維持拘束すべき資産等があって初めて、疑似出資たる金額を事業収入から控除して基本金に組み込むのである。この疑似資本たる基本金は維持すべき金額を示しているが、その背景に出資者はいない。そこで、学校法人の理事者が出資なき法人の維持すべき金額たる基本金を管理するのである。

 このように純資産は多義的である。それは純資産の会計処理にこそ、組織目的が反映されるからである。しかも、純資産の構成要素に維持拘束すべき金額を勘定として設定しても良いし、しなくても良い。営利企業における資本金勘定の場合、その増加要因と減少原因を資本金に代替する科目として設定し、純利益を算定したのちに資本金に加減する。学校法人における基本金勘定の場合、基本金の増加(組み入れ)原因と減少(取り崩し)原因を勘定として設定しない。地方公共団体の純資産の場合、資本金や基本金に相当する科目を設定しないままに、純資産の増減原因を勘定で示すことはできる。

 多義的な会計制度あるいは多義的な純資産制度に直面するとき、安直に統一化を主張する方法もあろう。その際の殺し文句が「比較可能性」である。何ゆえに比較可能でなければならないかが明らかにならないから「安直」なのである。その証拠に会計における最高規範は比較可能性かと問えば否定されるであろう。比較可能性より優先する価値(真実かつ公正なる概観であったり、意思決定有用性であったりする)がある。


Ⅳ 本報告における理論提言

 学校法人における予算制度と基本金制度(を含む会計制度)を考えてきた結果、制度だけでは多義的状況を把握しきれないことに気づいた。そこで、管理という補助線を設ければよいと気づく。その組み合わせが表2のとおりである。


表2 管理と制度


 予算制度と会計制度は異なる制度であるが、両者の要請を同時に満たせない可能性がある。統一的な地方公会計では、会計は予算制度に対する補完制度だと解釈することで決着がついた。これは制度面では、予算制度優先である。これに対して、営利企業における予算の意義を認めるものの、予算通りの決算を求められていない。そこでは、実際の経営活動を反映した会計が重要になる。以上に対して、非営利組織、非営利法人はいかなる位置にあるかの議論が重要である。

 他方、管理の面においても予算を重視するのか、会計を重視するのかが問われる。日々の活動が予算の観点から事前に評価されるのか、日々の活動が会計的事実として把握され、それが事後的に評価対象になるかは大きな違いである。

 予算制度重視と会計管理重視は矛盾するのではないかという疑念も起きよう。しかし予算は細部にわたり事前に決まっているわけではないので、予算制度を守りつつも、勘定科目間の振替や、内部組織横断的に予算を提供しあう慣行により、予算管理を事実上形骸化させ、会計管理を優先するというのも現実である。

 以上のように考えると、4つのタイプのいずれにも非営利法人が位置する。非営利法人では学校法人と社会福祉法人がタイプBと考えられる一方、公益法人とNPO法人はタイプCと考えられる。我々が検討してきた学校法人はタイプBであるから、予算管理と会計制度が矛盾なく機能する方法が模索されればよいというタイプである。

 いよいよ理論的検討の暫定的結論を述べる必要がある。理論的で一般論に終始する非営利組織にとっての収入は当該組織の目的に照らして手段であるから、当該組織は収入目的組織であり、その収入は財源措置等の手段的収入であるといえる。他方、非営利法人にとっての収入はその意義が十分に検討されていないと思う。軽減税率は住民から当該法人への寄付の意義があるがその合意が形成されているか、政府等からの補助金は収益なのか収