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≪査読付論文≫同一説と相違説:非営利会計の本質を考える国内外の議論の視点 / 出口正之(国立民族学博物館名誉教授)

更新日:2023年1月16日

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国立民族学博物館名誉教授 出口正之


キーワード:同一説 相違説 現金主義 発生主義 ハイブリッド型 国際非営利会計基準 IFR4NPO


要 旨

 本稿は、非営利組織の会計を考える「起点」において、企業会計との関係で2 つの立場が存在していることを明らかにしている。それは「同一説」と「相違説」である。「同一説」とは企業と非営利組織の会計は資金の流れは共通しているのだから、基本的には企業会計と非営利会計とは同一であり、相違する部分を考慮すればよいという立場である。他方で「相違説」とは企業と非営利組織は、目的や行動原理が異なるものであり、会計も原則的には異なっているものという点を出発点とする立場である。両者は、出発点の相違であり、本来ならば、どちらの起点からでも同じ結論に導けるはずだが、考察のプロセスまで束縛しているならば、最初の立場の違いがそのまま主張の違いとなって十分に議論がかみ合わなくなる可能性がある。この点を国内の議論と、今まさに非営利会計の国際基準の議論が進行しているIFR4NPOを事例に検討したものである。


構 成

Ⅰ はじめに

Ⅱ わが国の非営利会計の濫立の起点

Ⅲ 同一説/相違説の分岐のメルクマール

Ⅳ  「国際非営利会計基準」(IFR4NPO)策定議論の起点

Ⅴ IFR4NPOの構成と同一説

Ⅵ 結論


Abstract

This paper reveals that there are two starting positions for considering about not-for-profitaccounting in relation to business accounting: the "identical theory" and the "different theory."The identical theory holds that the accounting of enterprises and not-for-profit organizationsshare the same flow of funds or money, so basically it is the same business accounting as not-forprofitaccounting, and it is only possible to consider the different parts.On the other hand, a "difference" is a starting position that begins with the fact that a shareholdingcompany and a not-for-profit organization have different objectives and principles ofaction, and that accounting is, in principle, different.The two differ in their starting points. Therefore, they should lead to the same conclusion fromboth points of origin. However, if they are constrained to the process of consideration, thendifferences in their initial positions may become directly different in their assertions, making themless sufficiently discussion.This is a case study of a domestic discussion and the ongoing discussion of internationalstandards for not-for-profit accounting, IFR4NPO.


※ 本論文は学会誌編集委員会の査読のうえ、掲載されたものです。


 

Ⅰ はじめに

 学術においてある事象を考察する場合、同異を考えることは基本中の基本であろう。他方で、会計基準を議論するような実務的な場面でこうした根本原理の議論が省かれることも往々にしてある。しかし、学術の役割として常に根本原理に立ち返りその論理を検証していくことが必要と考える。

 非営利会計と企業会計とに異なる部分と同じ部分が存在することについて、異を唱える人はいない。しかし、非営利会計と企業会計を同一である点を起点として考察するのか、相違しているものとして考察するのかについては、いささかアプローチが異なる。ここでは前者の立場を「同一説」と呼ぶ1 )。収益や費用、あるいは資産や負債は法人の種類によって変わることはないから、非営利会計も企業会計と大筋同じとみて構わないとする立場である2 )。この立場に立てば、企業会計と同一であると考える部分について検証を要しない3 )。したがって、「企業会計と異なるのではないか」という指摘があったときに、即座に「同じである」と主張することもあり得る。

 他方で、非営利会計と企業会計との相違点を起点として考察する立場を「相違説」と呼ぶ4 )。この立場であれば、企業会計と同一とみえる部分についても常に検証を要する。後者は時間を要する主張ではあるが、「企業会計と異なるのではないか」と指摘があったときに、即座に「同じである」とは回答はできない。

 また、柴健次のように、哲学に着目する考え方もある。柴は2 つの会計哲学があり、1つは「会計は経済取引に従う」というものであり、他は「会計は組織目的に従う」というものであると主張する(柴[2012][2018])。前者に立てば非営利会計は一般論として議論が可能であるし、後者に立てば、個別論が必要なこととなる。 柴の指摘は学術上極めて重要である。ある事象から導かれた理論は常に特殊論として存在し、その特殊論が一般性を有するかどうかについては常に検証が必要だからである。会計学が組織としては極めて特殊な企業から発展していった一般会計学である以上、その理論の汎用性については学術としては重大な関心を寄せる必要がある。

 同一説と相違説については、純理論的に考えれば、あらゆる事象に考察を及ぼすことで起点をどちらにしても本来は同じ結論に導けるはずであるが、広く支持されているBourdieuの仮説によれば、人は「ハビトゥス」(habitus)と呼ばれる慣習的な認識システムによって物事を思考してしまう(Bourdieu[1977])。このような形で起点の相違が思考プロセスまで制約してしまうと5 )、起点の相違がそのまま結論の相違に繋がってしまうことになる。柴が「哲学」といういい方をしているのは、議論として2 つの哲学が交わらないからであろう。同一説と相違説については、そこまでアプリオリに哲学といい切れないところがあるにせよ、思考プロセスまで制約することになれば、非営利会計に関する理論対立は、論理の世界ではなく、立場の世界にとどまることになるだろう6 )。実際に、立場だけを表明しているだけでは永遠に学術の議論とはなり得ないことにも注意が必要である。

 本稿では、非営利会計に関する国内外の議論を検討しながら、起点の相違があっても同じ結論に導き得るのか、立場の相違にとどまってしまうのかを明らかにしていきたい。併せて、国内では十分に紹介がされていない非営利会計の国際標準化問題についてもこの点を明らかにしていきたい。


Ⅱ わが国の非営利会計の濫立の起点

 わが国においては、非営利の法人制度が主務官庁による公益法人制度から、戦後の特別法に基づく学校法人等への分岐があり、その会計も主務官庁別に指導を受けており、統一的なものが当初から存在していなかった。この状況を打破しようとしたのは番場嘉一郎であり、「相違説」に基づく昭和52年の公益法人会計基準を策定後、各方面からの指摘を受け、昭和60年公益法人会計基準(以下、「番場資金収支会計」という。)として完成させた(出口[2021])。

 番場は自らこの会計基準を非営利組織に汎用的なものとして位置付けており7 )、さらに「現金」をもとにした資金収支会計と貸借対照表を連動させる画期的な方法を創案した。

 番場にとって不運だったのは、この大発明が公益法人の実務の中だけでとどまり、学術の世界で十分な評価を受けていなかったことであろう。

 「番場資金収支会計」の特徴は、以下のとおりである。

 第1 に、現金主義を基調としながら法人自身が、「資金」の範囲を自ら定義し、一部については、減価償却、未払金、未収金、預り金などを発生主義として取り入れることが可能であった(番場[1978]、番場・新井[1986])。いわば、現金・発生ハイブリッド型(modifi ed cash-base)であったことである。いうなれば、使用する組織が自由にカスタマイズすることができる反面、他方で「比較可能性」では大きな難点となる。

 第2 に、現金主義を基調としながら、複式簿記を採用していた点である(番場[1978]、番場・新井[1986])。

 第3 に、fund accountingおよびprojectaccountingを含めていたという点である8 )。資金収支会計であり、たとえば、特別会計として助成金の使途報告書と収支計算書とを一致させることができる点は大きな利点である。

 第4 に、「剰余金」という用語を採用せずに、「次期繰越収支差額」という用語を用いることで、一種の長期的な収支相償の考え方を取り入れ、非営利組織のボトムラインの意味を明確にさせたことである(番場[1978]、番場・新井[1986])。

 第5 に、資金収支会計と貸借対照表を整合させることに成功した点である。これは、国際水準の大発明といってよいものと考える。他方で、借入金が生じた場合や固定資産の取得時などに、「一取引二仕訳」を行う必要がある(番場[1978]、番場・新井[1986])。この「一取引二仕訳」は、後に番場資金収支会計基準の大きな欠点という象徴的なレッテルが貼られ、企業会計にはない作業が必要となっていた。この点は、「同一説」論者から格好の批判の的となった9 )。 以上のような特徴から、番場資金収支会計基準は前世紀末には幅広く公益法人に取り入れられていた。さらに、学校法人会計、社会福祉法人会計も、番場資金収支会計基準をもとに、各法律の要件が加味されており、前世紀末の段階で日本の非営利会計は、資金収支会計とそのグループという点で統一が取れていたのである。

 藤井秀樹は日本における非営利会計の変遷を第一期と第二期とに分け、第一期は官庁主導の「原初的形態」として、第二期の「基準のアップデート」とに分けている(藤井[2017])。これは正統な会計学の標準的な見方であろう。第一期と第二期を画するのが平成16(2004)年公益法人会計基準である。同会計基準については策定の中心となっていた加古宜士が企業と公益法人の活動には経済的な差異はなく、「同一の経済事象には同一の会計処理方法を適用する」(加古[2005]23頁)との「同一説」の考え方を表明した10)。「公益法人会計基準については、昭和52年に公益法人監督事務連絡協議会において申し合わせた後、昭和60年に公益法人指導監督連絡会議決定による改正を経て、公益法人が計算書類等を作成するための基準として定着し、今日に至っている。(中略)企業会計や公会計の分野においても、国際的な調和の観点等から、会計基準の新設・改訂等が行われている」ことを理由に強引に変更が行われることになった(公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚幹事会申合せ[2002] 1 頁。下線部筆者加筆)。その結果、「平成16年公益法人会計基準」として、資金収支会計から損益計算会計へと大転換が行われた。これは定着しているものをわざわざ企業会計の改訂などに合わせたことを意味している。平成16年公益法人会計基準では改訂の理由として「企業会計の国際的調和」をあげているのであり、これも典型的な「同一説」に則った変更であることを示している。同基準はそれまでの番場資金収支会計基準をベースに議論したというよりも、米国のFinancial AccountingStandards Board(以下、「FASB」という。)の影響を非常に強く受けている11)

 この転換について当事者は、以下のとおり説明している。「なぜ企業会計を採用するのか」という質問に対して「基本的な発想は、冒頭から話題になっているように、国民向けの財務諸表を作るという立場です。では国民にとってわかりやすい財務諸表とはどういうものかという問題ですが、とりあえず現行の公益法人会計を所与とせずに考えた場合には、多くの方々が企業会計で作成している貸借対照表、損益計算書に慣れている。一般の国民にとってみれば、企業のほうに慣れ親しんでいるであろうから、公益法人会計についても、そちらの目から見た方がわかりやすいのではないか、と考えました。」(公益法人協会[2003] 8 頁。下線部筆者加筆)12)。当時、2 万余りの公益法人のほとんどが採用し、「定着し、今日に至っている」と認めたうえで、歴史的経路を無視して、「現行の方法を所与とせず」というのは議論を放棄しているのに等しいといえる。さらに、「一般の国民にとってみれば、企業のほうに慣れ親しんでいるであろうから、公益法人会計についても、そちらの目から見た方がわかりやすいのではないか」というのは、「定着し、今日に至っている」公益法人の会計実務担当者というマイノリティを切り捨て、企業社会にいるマジョリティによる一種の同化政策ではないかと指摘することができる13)

 “Generally Accepted”という会計の基本的な考え方からいうと、公益法人一般に定着していたものを急激に変更したことになる。いやそうではなく、社会一般に受け入れられているのは企業会計だから、企業会計こそ“GenerallyAccepted”だとするのは「同一説」の態度の表明以外の何物でもない。

 その結果、「非営利会計の混迷」(長谷川[2012])14)などの議論が盛んになって、非営利会計の不統一が会計関係者、会計研究者の耳目を集めることになった。一部分だけ企業会計の考え方を取り入れることで、「一般の国民にとってみれば、企業のほうに慣れ親しんでいるであろうから、公益法人会計についても、そちらの目から見た方がわかりやすいのではないか」という平成16年会計基準の目論見は果たして成功したのであろうか?それともかえって混迷の度を深めたのか、しっかりとした検証が必要であろう。

 また、平成20(2008)年公益法人会計基準は公益法人制度改革の影響を受けて、平成16年公益会計基準よりも公益認定法に関連する箇所が多くなるとともに、財務諸表の定義を変更するなど企業会計への接近をより明確にした(齋藤[2014]、尾上[2014][2020]、Onoe[2017])。設定者である公益認定等委員会の議論ですら、委員のほとんどが企業会計に近付けることに対して異議を唱えていた(内閣府公益認定等委員会[2008]第33回議事録)のであり、十分な「議論の交流」が行われていたとはいい難かった。さらに公益法人会計基準の変化は社会福祉法人会計や医療法人会計にも影響を与えていった15)

 こうした事態を受け、濫立する非営利会計の状態に対して日本公認会計士協会はモデル会計基準を発表した。これほど濫立してくると、モデル会計基準を策定しようとする動きを低く評価すべきではない。しかし、「財務報告の基礎概念、認識及び測定に関する個別論点の検討に当たっては、非営利組織の財務報告目的及び組織特性の反映を基軸としつつ、企業会計との整合性を考慮した。したがって、財務報告目的や組織特性の相違による影響がない場合においては、企業会計との同様の認識及び測定方法を採用している」(日本公認会計士協会[2019]12頁)と相違に配慮しつつも、相違による影響の有無を検討することなく「相違による影響がない場合」(日本公認会計士協会[2019]10頁)16)を企業会計に合わせるという「同一説」の典型的な論理パターンを表明していることにも、学術的には留意が必要である。

 以上のとおり、日本の非営利の会計基準は世界的にも例がないほど濫立しているが、その議論において、もともと汎用的な非営利会計基準としてつくられた番場資金収支会計基準をあっさり放棄した結果、「同一説」と「相違説」が十分に議論を交錯させたとはいい難い形で非営利会計の分化が鮮明化し、さらに標準化を目指そうとしていたことは否めない。このまま議論が進んでも立場の相違が解消されないままに、統一を目指そうとすればするほど、多くの会計基準を結果的に濫立させかねないだろう17)


Ⅲ  同一説/相違説の分岐のメルクマール

 基本的に、同一説と相違説については、「コインの表と裏」であるはずなので、簡単には分類できないのではないかとも考えられるかもしれない。そこで両者を明確に分ける分岐点として、改訂のプロセスに注目したい。

 企業会計の改定に伴い、平成20年公益法人会計基準に対する解釈変更を行う場合に、「内閣府公益法人の会計に関する研究会」(以下、「会計研究会」という。)が使用する手法は、たとえば「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」については、「賃貸収益又はキャピタル・ゲインの獲得を目的として保有されている『賃貸等不動産』について、その概要、時価の期中における主な変動、期末における時価の算定方法、 損益等を注記することとしている。公益法人の賃貸等不動産の時価等に関する注記を本基準によることに支障はなく、また、準拠すべき他の方法もみられないことから、本基準は、公益法人にも適用されるべきである。」(内閣府公益認定等委員会会計に関する研究会[2016] 9 頁。下線部筆者加筆)という論理が展開されている。新しい基準を平成20年会計基準に採用する際に、変更した場合のデメリットの有無で採用を決定している。これは、同一説ゆえに可能な論理である。他方で、通常のステイタス・クオの論理からいえば、制度の解釈変更は、「現状を維持することのデメリット」の有無が決定要因となる。したがって、改訂するときには「現状ではこれこれの問題が生じておりないしは生じる可能性があり、変更することによってその問題が解決する」というところまでの説明が必要となってくる。なぜならば、ルールの変更は必ず現場に混乱をもたらすからである18)。また、会計研究会が議事録も公開せずに、一般との対話する機会も設けていない点は、極めて異例のことである。その結果、「同一説」と「相違説」は立場の違いに終始して、起点が異なることだけで議論が交わるということがない時代になっている。

 会計目的の「同一説」に立脚した場合、「一般目的」、「外部のステークホルダー」、「わかりやすい会計」、「効率性」、「意思決定有用性」「情報利用者」の等の言説が繰り返し主張されるが、「同一説」に立脚している以上、かかる点が企業の場合と非営利の場合について同じか否かについての基礎的な論証が省かれる傾向にある。たとえば、「一般目的」といいながら、企業会計は投資家や金融機関をキー・ステークホルダー(Arens&Brouthers[2001])として、そのための時価評価重視の会計になっているのではないか。それは果たして、株主の存在しない非営利組織、借入金が存在しない非営利組織に対しても時価評価を重視する会計が「一般目的」といえるのかといった点の議論が決定的に不足しているのである。他方で、繰り返される論理としては会計顧問や監査側の要請、つまり、いろんな種類の会計基準があれば、監査する側など会計実務専門家が困るではないかという主張であり、この種の主張が随所に現れている19)


Ⅳ  「国際非営利会計基準」20)(IFR4NPO)策定議論の起点

 企業会計の国際基準である国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards: IFRS)、国際的な公会計の基準である国際公会計基準(International Public Sector Accounting Standards:IPSAS)などが国際的な会計基準として存在している。非営利会計については国ベースの会計基準は存在しているが、国際的な会計基準は存在していない。この点については長年の議論が積み重ねられてきた。2012年に国際会計基準委員会(International Accounting Standards Board: IASB)と国際公共部門会計基準委員会(InternationalPublic Sector Accounting Standards Board:IPSASB)の代表者、および3 つの英国の主要な会計専門家とチャリティ委員会の上級メンバーとの会議が行われた(CCAB[2014])。

 その後、2014年、英国とアイルランドの会計機関の共同プラットフォームConsultativeCommittee of Accountancy Body(CCAB)21)は、非営利組織(NPO)のための国際会計基準の必要性に関する独立した委託研究を実施した。

 実に179か国でNPOの報告に関与した605人に調査を行ったが、その回答者の72%が「NPOの会計処理に国際基準を設けることは有用」とし、企業会計や公会計とは異なる「国際会計基準」への期待を表明したのである(CCAB[2014])。

 この結果を受けて、IASBも非営利組織の透明な財務報告要件の必要性の支持を表明した。

 2017年にはCIPFA(英国勅許公共財務会計協会)のWebサイトに国際的な非営利の報告プラットフォームが立ち上がった。IFRSをはじめとする国際的会計標準設定者は非営利セクターに概念的な枠組みを提供しておらず(Laughlin[2008]、Valentinov[2011]、 Ryan et a[l. 2014])、企業会計と公会計からの援用に終始していた(Crawford eta[l. 2018])からである。

 CCABでは、明確な相違説の立場から、非営利法人会計の他の会計との相違を15点も列挙し、その相違説に基づいて非営利会計の国際基準の議論の誕生が主張された(Ashford [2007]、CCAB[ 2014]、 MANGO[ 2015])。

 その後、2019年7 月11日にワシントンDCで1,000人を超える非営利団体の専門家が参加したカンファレンスで、正式にInternationalFinancial Reporting for Non Profit Organizations、IFR4NPOが立ち上がったのである。事務局はCIPFAと国際NGOであるHumentumが務めている(IFR4NPO[2020])。

 相違の15点とは以下のとおりである(Davies andMaddock[s 2012]、CCAB[2014]、Breen et a[l. 2018])22)

【所有権】①法人形態②所有権と残余財産③株式の譲渡可能性④マネジメントと制御⑤議決権の形態⑥株式無しの連携

【受益者】⑦ビジネスモデルと責任[入るを量りて出と為すVS利潤最大化]⑧推定的債務に対する考え方⑨割引の目的

【社会的目的】⑩非経済活動と地域社会との結合⑪キャッシュフローと資産活用⑫ボランティア⑬社会課題と税制優遇

【資金調達】⑭ビジネスモデルと利益(多様性VS単一性)⑮非交換取引

 また、CCABの調査によれば、現行の非営利会計については現金主義が24%、ハイブリッドが8 %、発生主義が68%となっている(CCAB[2014] 7 頁)。この点も実はハイブリッドを含めて現金主義が「まだ」32%もあるのか、という立場と、32%も現金主義を採用しているのに、国単位の「会計基準」は発生主義ばかりなのはなぜなのかという立場がある。 日本の議論との関係でいえば、UK Charityのうち 現金主義を使用しているものは実に80%近くに及んでいる(CCAB[2014]36頁)。


Ⅴ IFR4NPOの構成と同一説

 IFR4NPOの特徴としては、議論のプロセスがオープンでかつ各層の意見を取り入れていることである。これは、日本のNPO法人会計基準の議論の方法とよく似ている。基本的な方向性を決めているこれまで国際会計基準の策定に関わった会計士の専門家チーム(TAG)と、現場の意見を反映させるチーム(PAG)と、助成機関の立場から意見をいう(DRG)と、さらに全体のガバナンスをチェックする運営グループ(Steering Group)が現在構成されている(IFR4NPO)。日本からはPAGに筆者が、DRGには機関として日本財団が参加している。情報を公開しながら議論しているところが、新しい手法であろう。

 国内ですら非営利の会計が濫立している日本の非営利会計は世界の中でも異様であるが、ある意味でさまざまな問題が顕在化しており、また、多くの異なる経験を有する日本が貢献できる余地は潜在的には小さくないはずである。

 現行案では「国際基準」を作るのだから、「既存の国際基準をベースに」と堂々と「同一説」が展開されている。一方、PAGでは実務の観点からさまざまな問題を提出し、たとえば発生主義を前提とすることにも反対意見が出されている23)。スコットランドの非営利会計基準は現金ベースであり、イングランドとウエールズのチャリティ委員会は現金主義を許容している。その中で発生主義から議論を開始することは「現金主義を議論することは『部屋の中の象』(重要な問題なのに誰も触れてはいけないという意味の英語の慣用句)なのか」という指摘も出されている(PAG[2020])。

 国際的な議論は「相違説」で出発しながら、「同一説」の主張により議論が屈折しているものの、「同一説」論者もすべての質問に丁寧に答えようとする努力が垣間みえる。IFR4NPOにおいて実際の草案を記載しているのはTAGチームであり、その影響力はPAGは到底及ばないが、最終的な結論がどのように帰着しても、「同一説」と「相違説」は相互に意見を交わしながら進んでいる。


Ⅵ 結論

 非営利会計の議論が企業会計と「同じ/違う」という二律背反的な一種のイデオロギー論争になりかねない。言い換えれば、非営利会計の議論は、

 同一説起点→同一説による思考プロセス→同一説による結論、

 相違説起点→相違説による思考プロセス→相違説による結論、

となりかねずに、両起点は交流することなく、起点の立場の違いがそのまま結論の違いとなってしまいかねない。そこで非営利会計の建設的な議論に「同一説/相違説」をもち出すことによって、対立する理由を明らかにすること繋がり、ひいては「議論を交流」させる上で有効と考える。 立場だけで同一説に固執すると、相違説からのグレイゾーンに対する疑問に丁寧に答えるのではなく、蓋をしてしまう可能性がある。他方で、「相違説」の疑問にすべて回答を与えていくと膨大な時間と膨大な費用をかけることになる。「基準設定に関わるコストも無視できない課題」(金子[2018]54頁)という主張もあることも現実論として無視できない24)。その点で実務における結論と学術における結論とは分けなければならないだろう。IFR4NPOの議論では、実際に「国際基準を使ってもらわなければ意味がない」という実利を繰り返し主張しているが、現実的に法令上の取り扱いが各国で異なっている非営利の会計基準は国際的なものができあがったとしても、各国にどこまで普及するのかは未知数である。むしろ、議論そのものがCCABの相違説から出発していることを思えば、このプロジェクトにできるだけ多くの方が参加することで、「同一説/相違説」の溝の存在を周知し、それを乗り越える議論の交流を実施することこそ重要と考える。


[謝辞]

 本研究は科研費挑戦的研究(開拓)20K20280の支援を受けている。また査読者から大変貴重なご指摘を受けた。ここに厚く謝意を表したい。


[注]

1)筆者が「同一説」「相違説」の用語を初めて使ったのは、2019年10月5 日の大阪会計研究会においてである。その後、同年10月8 日にブログ「会計関係者の論理矛盾を剥ぐ ― その1 」において公表し、出口[2021]で用語として使用している。

2)現在の主流の会計学者は企業会計と非営利会計との相違点は意識しつつも、この立場に立っているのではないかと考える(たとえば、加古[2005]、古市[2010])とりわけ、利害関係者、一般目的、財務的継続能力、意思決定有用性などについて、同一説がとられることが多い。また、Anthony[1978]を根拠に、非営利会計と企業会計とは変わることがないと日本で主張されることが多いが、Anthonyが主張したのはoperating performanceの点であり、非営利会計のうち同一のものと相違するものとを区別し、同一の部分だけを企業会計と変わることがないと主張しているにすぎない。Anthonyの議論は典型的な非営利会計の特質による会計の区分の主張であり、企業会計と同一の部分と非営利会計特有の部分とを分離しろという主張である。したがって、Anthonyが日本においてはやや曲解されているのではないかと思うが、その後のAnthony[1995]による非常に強いFASB批判の論点をみると、Anthonyを引き合いに出して企業会計と非営利会計は基本的には同一であると主張することには慎重であるべきだ。とりわけ、この点については藤井[2008]に詳しい。

3)同一説/相違説というのは議論の起点のことをいうだけであり、極端なことをいえば、相違説を出発点として相違点をすべて検証した結果、仮に「非営利独自の会計は必要はなく、企業会計だけでよい」という結論があった場合、相違説はそのことを否定するものではない。言い換えれば、非営利セクターの会計基準はセクター中立であって当然という考え方やOne size fits allの考え方で、単一の会計基準が望ましいという主張そのものをすべて排除するものではない。本稿の関心はこうした考え方が何の検証もなされない場合が存在することである。セクター中立会計については金子[2018]が紹介している。

4)以下のような論者の主張は、「相違説」に基づくものとして捉える。「公益法人は公益を目的としている法人であり、したがって営利法人とは基本的にその目的を異にしている」(番場[1975] 3 頁)、「公益法人会計基準は、企業会計に適用されている会計基準に非常に類似してきたように思われるが、果たしてこれでよいのであろか。………非営利の会計の色彩が失われてきているのではないだろうか。失われたものが必ず不必要なものとは言い切れないのではないだろうか。」(興津[2009]182頁)「非営利法人には資本主に該当する存在がない。企業会計をそのまま非営利法人に適用するのは、誰の立場で会計をするかという会計主体論のレベルでミスマッチを起こしている。会計主体論を明確にしないまま改訂がなされたのではないか。」(佐藤倫正[2013]1 頁)なお、佐藤のこの一文は、資金収支会計を番場が採用した合理的理由と平成16年会計基準の改定に対する疑問が本稿とほぼ同じスタンスで記載されている。

5)ここでいう「思考のプロセス」とは、相違説に立てば、「同じであること」と認識してしまうことに対して本当に「同じか」について立証の必要が出てくるのに対して、同一説に立てば「異なること」に対して立証の必要が出てくることになる。たとえば、「同一説」に立てば、企業も非営利組織も「同じ」効率性を求めることになるから、両者の「効率性」の相違について考察の対象から外すという思考プロセスを「ハビトゥス」として辿ることになる。他方で、「相違説」に立てば、企業と非営利組織の「効率性」について同じものかどうかについて立証の必要が生じる。コロナ患者を受け入れた病院と受け入れない病院とでは、医師や看護師の「効率性」はコロナ患者を受け入れた場合には受け入れない場合より遥かに低下すると考えられる。このような事象を考えるのか、考えないのかという「思考プロセス」に影響を与えるということをここでは述べている。同様に、「継続組織の前提」を、たとえばナホトカ号の重油流出事故(1997年)での重油の回収のための現地の非営利の組織における「継続組織の前提」について考察するのかしないのかということにも影響を与えるだろう。利潤を追求する企業の場合には、組織は手段でしかなく、利潤を追求するために継続企業を前提とすることは、ミッションとの関係で矛盾が生じないが、ナホトカ号の重油流出事故の回収作業を目的とした組織の場合には、ミッションの達成には、組織そのものの終焉が内包されているため、「継続組織を前提」とすることは、重油が回収されないということを前提としなければならないからである。このことは企業を前提とした「会計公準」が非営利組織には当てはまらない可能性を示唆する。同様に、「一般目的」、「比較可能性」、「外部のステークホルダー」、「わかりやすい会計」、「意思決定有用性」、「情報利用者」といった企業会計では疑問の余地のない概念について、企業と非営利組織とで同じか否かを考察するのかしないのかというプロセスが両起点の間では異なってくる。

 さらに、「基準の改訂」の場面では、両説は決定的に異なってくる。この点は本文のⅢ同一説/相違説の分岐のメルクマールに記載した。

6)非営利の世界には貨幣を媒介にしない贈与等の財・サービスの提供が数多く存在する。「同一説」に立てば、贈与であっても貨幣価値に換算する「測定」の会計処理だけを問題にすればよい。たとえば、コメの寄贈があったときに、そのコメの公正価値等による「測定」でコメを貨幣換算して10万円の寄付があったという会計処理を考察する。その場合にはそれを認識するかどうかを含めて「測定」方法だけが議論となり得る。他方で、企業とは異なることを前提とする「相違説」に立てば、すべてのものが貨幣換算可能なのかという「会計公準」そのものから思考の対象となり得る。たとえば弥生時代の土器の破片に数粒付着した炭化したコメを出土先から土器ごと寄贈を受けた非営利組織は、そのコメに対する貨幣測定の「方法」ばかりではなく「意義」をも考察しなければならなくなるだろう。とりわけ、寄付を受けた時点における公正価値など分かりようがないのである。仮に、実際に市場で取引がされれば「取得価格」は自動的に決まるが、市場で取引がされておらず今後も取引が想定されない贈与の世界では、「市場価格」は空想でしかない財も存在するのである。

7 )「この公益法人会計基準は、 民法の定めによって設立された公益法人(いわゆる民法法人)にのみこれを適用することを建前としているが、他の法律の定めによって設立された公益法人で特に会計、経理に係る別段の会計基準が存在していないものがあって、当該法人が個々に会計基準を作成しようとする場合には、この『公益法人会計基準』の内容が良い参考として利用されうる。そのように考えることができる」(番場[1978]11頁)と、総理府内閣総理大臣官房管理室の解説を引用する形であるが、法令上の制約がないその他の非営利組織の会計基準としても用いられる汎用性を意識していた。さらに、「もしも将来、公益法人に対するより詳細な会計法規が制定されることありとすれば、またその法規の改正がなされることありとすれば、この公益法人会計基準ないしその改正基準が十分に尊重されて然るべきものである」(番場[1984]48頁)とまで述べ、自らの番場資金収支会計の汎用性に自信をみせていた。

8)Fund accountingについて、番場自身も「資金収支会計」と訳したことから(番場[1974])、「資金収支会計」が一般的である。ただ、fund accountingについては、非営利に特有の会計として、会計の中に基金別に「ラベル」を貼付する意味もあり[平成16年公益法人会計基準議論] では、この意味でのfundaccountingで使用されている。支出まで含めた場合にはほぼproject accountingに近い意味でも用いられ、特別会計という方に近い場合もある。(Blazek[1996])

9)この点は、通常の企業会計でも決算仕訳を含め、1 つの取引に対して複数の仕訳が生じることがあり、単なる「慣れ」の問題である(出口[2021])。

10)これは「同一説宣言」とも呼ぶべきものである。

11)FASBの非営利組織についての議論の経緯は池田[2007]、金子[2016]などが丁寧な論考を行っている。

12)この座談会では典型的にあらわれているが、「なぜ企業会計を採用するのか」の問いに対して、「既存の会計基準を所与としない場合には」と前提を置くことで、議論が交流しておらず、立場の違いを説明しているに過ぎない。現金ベースの家計簿を使用している人を含め「一般国民は企業会計の方がわかりやすい」という一方的主張は理由の説明とはなっていない。こうした、あたかも議論したようで立場の違いを表明しているに過ぎないことを本稿では「議論の交流を欠いている状態」とし、たとえば、番場嘉一郎ほどの泰斗が「尊重されてしかるべきもの」(番場[1984]48頁)とまでいい切った番場収支計算書をどういう理由から損益計算書に変更し、仮にその場合のデメリット・メリットなどが十分議論されることを「議論の交流」と呼ぶ。この立場に立てば、番場収支資金会計から発生主義会計への変化は劇的すぎるわりに、「議論の交流」が行われていたとはいい難い。

  また、NPO法人会計基準についても、6割のNPOが現金主義会計を使用していたにも関わらず、発生主義会計が導入された。

13)出口[2021]は自文化中心主義を意味するエスノセントリズムを援用してビジネスセントリズムという用語で説明した。

14)奇しくもAnthony[1995]の論文の日本語訳と同じになっている。また、出口は日本の状況を法人法を含めてガラパゴス化と指摘した(出口[2015])。

15)NPO法人会計基準は、NPO法の制定を受けて、同一説に基づき、NPO法人会計基準協議会が結成され、議論を公開しながら「NPO法人会計基準」が完成した。公益法人会計基準改訂の影響は直接受けていない。NPO法人会計策定の関係者は、策定の議論に入る前に、米国で「同一説」の説明を聞いて、「同一説」で議論を開始したことを回顧している(NPO法人会計基準協議会[2020])。

16)この部分を論理的に分解すれば、「(企業と非営利組織との相違)があったとしても、(企業会計を使用することに)影響がない場合」には「企業会計に合わせる」ということであり、「影響がない」ということに対しての立証の必要が生じるのが「相違説」、生じないのが「同一説」である。

17)たとえば非営利分野に関する新しい法律である、民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律(平成28年法律第101号)では、「第26条第3 項指定活用団体は、第1 項の認可を受けたときは、遅滞なく、その事業計画及び収支予算を公表しなければならない。同第4 項指定活用団体は、毎事業年度経過後3 月以内に、その事業年度の事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を作成し、内閣総理大臣に提出するとともに、これを公表しなければならない。」とされ、収支予算書と収支決算書の作成が義務付けられ、同時に貸借対照表も義務付けられている。収支予算書は内閣総理大臣の認可が必要であり、収支決算書はそれに整合する必要がある。これらを整合し得る会計基準は番場資金収支会計基準だけである。

18)「ルールの変更は現場に混乱をもたらす」というのは普遍則である。他方で、企業会計の変更についてのみ認知している公認会計士の立場に立てば、企業会計の変更がそのまま他の会計に適用をされない場合には、「公認会計士の現場」に混乱をもたらせることになる。言い換えると、同一説と相違説は公益法人の現場と公認会計士の現場との立場の違いを鮮明にしているともいえる。

19)たとえば以下のような発言である。「企業会計の勉強をして公認会計士になったのはいいけれども非営利の世界にはなかなか足を踏み込めないというような捉え方をしていた方もいます。そういう意味では、今回の基準は、かなり参入障壁を低める効果があるのではないかと思います。」(公益法人協会[2003] 8 頁)

20)直訳すれば、「非営利組織のための財務報告会計」であるが、議論の実際は「財務報告会計」にすべきか否かまで議論されていることから、「国際非営利会計基準」の訳語を当てている。また、このプロジェクト全体に「財務報告」の名称を当てることが同一説/相違説議論にバイアスを与えることにも配慮した。

21)イングランドおよびウエールズ勅許会計士協会(ICAEW)、勅許公認会計士会(ACCA)、スコットランド勅許会計士協会(ICAS)、英国勅許公共財務会計協会(CIPFA)および公認会計士アイルランド(Chartered AccountantsIreland)の5 団体を傘下にもつ公認会計士の団体。

22)CCABには16とあるが、15しか出ておらず、校正ミスと考えられる。

23)現金主義を支持する最も有力な主張は、非営利組織にとって最も重要なステークホルダーである寄付者、助成機関は、寄付や助成金の支出明細を求めており、それは現金ベースで記載する必要があり、外部への提出書類と組織全体の財務諸表を一致する観点から主張される。また、寄付者等が複数いた場合に、1つの支出を両方の寄付者へ報告する“DoubleAccounting Fraud”(二重会計不正)が発生しやすく、これを防止するには、収入と支出の対応しやすい現金ベースの方がよいというものである。

24)金子[2018]はニュージーランドの非営利会計の変遷からわが国の非営利会計にも触れてこの点を指摘した。実際にTAGチームは、時間制約を理由としてあげて、既存国際会計基準のどれが1 番適用可能かという観点から議論した。


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(論稿提出:令和3 年6 月9 日)

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