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≪査読付論文≫「地域レベルの市民活動」の顕出と振興:「特定非営利活動」(特定非営利活動促進法 別表第20号)の設定および運用を事例として

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大阪商業大学教授 初谷 勇
関東学院大学地域創生実践研究所客員研究員 藤澤浩子

キーワード:

地域レベルの市民活動 特定非営利活動 特定非営利活動促進法別表第20号
条例設定 認証事務 地方自治体の自律性

要 旨:

 1998年、民法の特別法として制定された特定非営利活動促進法で、公益法人との「棲み分け」のため、特定非営利活動は12項目が限定列挙され、その後、2002年に 5 項目、2011年に 3 項目が追加され、現在、第 1 ~20号の20項目となっている。2006年の公益法人制度改革により、一般法人法と特定非営利活動促進法が並立関係となり、特定非営利活動は例示列挙化したと考えられる。  
 2011年に追加された第20号は、「前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動」である。第20号は、都道府県等が条例制定により、地域課題の解決に資する独自の特定非営利活動を提示し、市民の選択に委ねることができる。  
 第20号を活動に選択して認証された特定非営利活動法人数はまだ少数ながら、全国的に漸増している。都道府県等が、区域内の地域課題を明示し、それに取り組む「地域レベルの市民活動団体」を顕出させ振興する視点を持って、第20号をNPO政策のツールとしてさらに活用することが期待される

構 成:

Ⅰ 問題関心
Ⅱ 「市民活動」概念の形成および普及過 程と「特定非営利活動」の定位
Ⅲ 「特定非営利活動」の拡充
Ⅳ 「特定非営利活動」の条例設定(NPO 法別表第20号)の意義と状況
Ⅴ 考察

Abstract
 In 1998, the Act on Promotion of Specified Non-Profit Activities, enacted as a special law under the Civil Code, limited the enumeration of specified non-profit activities to 12 items in order to segregate them from public interest corporations. Five specified non-profit activities were then added in 2002 and three activities were added in 2011. There are currently 20 activities, from No. 1 to 20.  
 With the 2006 reform of the public interest corporation system, the Act on General Incorporated Associations and General Incorporated Foundations and the Act on Promotion of Specified Non-Profit Activities became parallel, and specified non-profit activities are enumerated as examples.  
 Item 20, which was added in 2011, defines activities specified by Ordinance of the prefecture or designated city as equivalent to the activities set forth in the preceding items. No. 20 allows prefectures and designated cities to present their own specified non-profit activities that help address local issues through the enactment of ordinances, and to leave it to the citizens to choose their own activities.  
 Although the number of corporations engaging in specified non-profit activities that have been certified by selecting No. 20 as their activities remains small, the number is gradually increasing nationwide. It is expected that prefectures and designated cities, etc., will further utilize No. 20 as a tool for NPO policy with the goal of clearly indicating local issues within the area, and revealing and promoting local-level civic activity organizations that address those issues.

※ 本論文は学会誌編集委員会の査読のうえ、掲載されたものです。  

 

Ⅰ 問題関心

 1998年特定非営利活動促進法(以下「NPO法」という)制定当初12項目が限定列挙されていた特定非営利活動は、2002年法改正で 5 項目(現・ 第14~18号。以下各号の「第」を省略)、2011年改正で 3 項目( 4 、 5 号及び20号)が追加され、現在 1 ~20号の20項目が列挙されている。この間認証された特定非営利活動法人(以下「NPO法人」という)が「主たる目的」として選択し定款に記載した項目の推移を見ると、項目(号)によって増減の傾向に大きな相違がある。  
 20項目のうち末尾の20号は、「前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動」であるが、同号に基づくNPO法人数は少数ながら漸増しており、増加傾向にある活動分野の一つとして注目される。  
 NPO法が一般法としての民法の特別法として制定された当初、公益法人と「棲み分け」のために採られた「特定非営利活動」の限定列挙1) は、2006年民法改正及び公益法人制度改革関連三法制定によって一般法人法とNPO法がともに非営利法人の個別根拠法として並立する関係となったことから、もはや限定の必要がなくなり、例示列挙化していると考えられる。  
 公益法人制度改革後の2011年法改正により追加された20号は、そうした例示の一つとして、 都道府県・指定都市にとって、自律的に「準ずる活動」を定めることを通じて独自の特定非営利活動を提示して利用者の選択に委ね、NPO政策(非営利法人政策)2)を創出し展開するツールとなりうる存在である。  
 筆者らは、認証NPO法人総数が2014年以降漸減傾向にある中で、NPO法人の「新たな展 開を促す、あるいは推進する方法、手段(政策、事業等)」を検討してきたが、その一つとして「特定非営利活動」をその発足の背景に立ち返り、市民活動の観点から再定位して活用を促進・ 推進することが有効ではないかと考えている3)。  
 NPO法人は、設立認証申請に当たり「主たる目的」とする特定非営利活動を法別表から選択して定款に記載する必要がある。いかなる活動を特定非営利活動として法定するかは、活動分野選択に影響を与える法政策でもある。20号の追加趣旨に立ち返り、その活用を検討することは、NPO法人の新展開を考える鍵ともなろう。  
 そこで本論では、都道府県と指定都市による20号に基づく「条例設定」および同号による認証の運用状況を調査検討のうえ、「条例設定」の意義と課題について考察し、課題への対応方策について提言を試みることとしたい。  
 なお、NPO法人制度には、パブリック・サポート・テストの各基準のうち「条例個別指定」 制度がある4)。本論では、これと区別するため、20号にいう「前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める」ことを「条例設定」と称するものとする。

Ⅱ 「市民活動」概念の形成および普及過程と「特定非営利活動」の定位

1  「市民活動」概念の形成及び普及過程

 わが国において「市民活動」概念はどのように形成され普及してきたか。  
 「市民活動」に言及、論及する先行研究を学際的、時系列的に追跡し整理を試みた藤澤 [2011]は、「先行的研究の成果から、60年代後半から70年代前半の住民運動の最盛期、政治・ 行政への参加や気運の高まりとともに革新自治体が数を増していく中で、地域主義や地方分権が唱えられ、80年代初頭には、地域/地方における自治の担い手として、市民活動団体が注目されるようになった」とする[藤澤2011:28]。  
 そして、「市民活動」概念が、学術的に確定した定義が共有されている状況とは言い難いことから、「地域における自然保護分野の市民活動」の「長期継続要因」を研究するにあたり、山岡義典の示した概念上の位置づけ等を整理し、「わが国における地域レベルの市民活動とその担い手組織、市民活動団体の現状を概観」するというアプローチを採っている[同上:31]。  
 その上で、「地域レベル」の「市民活動」とそれを行う組織をどのようにとらえるか、という理念的な問いと、その活動が、どのような組織によって、どのように展開されてきたのか、という具体的な問いに関する探究を行っている[同上:13]。そこでは、「市民活 動」を「民間で持続的に行われる非営利目的の組織的活動」ととらえ、「市民活動を行う団体」 を「市民活動団体」といい、「法人格の有無および法人種別を問わない民間の非営利組織」を指すとしている。また、人間の日常的な生活圏域を「地域」ととらえる観点から、「地域レベル」 を、「一つの市区町村内から複数の県にまたがる範囲」ととらえている[同上:13-14]。  
 以下、本論でも、「地域レベルの市民活動」の概念を同様にとらえて援用する

2  「特定非営利活動」と「市民活動」の関係

 NPO法は、「第 1 章 総則」で目的規定と定義規定を置いている。まず、第 1 条(目的)において「ボランティア活動をはじめとする市民 が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的とする」とし、「特定非営利活動」は、「市民が行う自由な社会貢献活動」と同視され、「ボランティア活動」を包含するものと定めている。ここにいう「市民が行う自由な社会貢献活動」は、前掲の「市民活動」 概念に近似し、ほぼ「市民活動」と同視することができる。  
 次いで、第 2 条(定義)において「特定非営利活動」は「別表に掲げる活動に該当する活動」であることが求められ、かつ「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするもの」とされている。つまり、①別表に列挙された「活動」リストへの該当性と②「公益目的」の充足という二重の限定、画定がなされている。  
 以上より、「特定非営利活動」は、従来形成され普及してきた「市民活動」概念を継承、体現しつつも、①と②の限定により市民活動から一定範囲の活動を抽出したものと理解される。

3  民間非営利セクターにおける「地域レベル の市民活動団体」の定位

 図表 1 は、NPO法制定当初、「市民活動」の観点から、特定非営利活動と、旧公益法人制度の公益法人(社団法人・財団法人)の事業活動との関係を図解している[藤澤2010:33、図 1 - 1 ]。同図は、「山岡(2005:59)の『民間非営利セクターを構成する三層の組織類型の概念図』をもとに、市民活動団体および地域レベルで活動する市民活動団体の概念を付加したものである。同図は、地域レベルの市民活動団体が、主に市町村内もしくは都道府県域程度の広がりで活動する比較的小規模の団体で、組織形態は通常、任意団体あるいはNPO法人であることが多いが、その他の非営利・公益法人や財団法人・社団法人の場合もある、ということを示している」[藤澤2010:32-33]。  
 NPO法制定以降、都道府県・指定都市では、任意団体、NPO法人、公益法人を対象として多様なNPO政策を展開してきた。「地域レベルの市民活動」は、これら大規模自治体にとっても、そのNPO政策やPPP(Public Private Partnership)の対象として常に関心が寄せられてきた。 図表 2 は、現状における地域レベルの市民活動団体の概念図(2024年現在)を示している。



図表 1  地域レベルの市民活動団体の概念図(NPO法制定 当初)

出所:藤澤[2011:33]



図表 2  地域レベルの市民活動団体の概念図(2024年 現在)

出所:図表 1 を改訂し筆者作成


Ⅲ 「特定非営利活動」の拡充

 次に、特定非営利活動が20項目となった2012年以降の活動分野(号数)別(以下「分野別」という)法人数の増減を見る。 図表 3 は内閣府NPOホームページで公表されている分野別法人数推移表の公表開始時点 (2012年 6 月末)及び最新時点(2024年 3 月末) の両時点の法人総数(A・C)に占める分野別法人数の割合(B・D)(%)、及び両時点間の分野別法人件数の増減(C-A)と割合の増減(D-B)(%pt)を示す。全国の認証法人数は、 12年間で4,195件 増加しているが、 2018年 3 月末の51,866件をピークに、その後現在まで微減傾向で推移している。分野別にみると、各分野とも件数の減少は見られない。しかし、法人総数に占める割合でみると、7 号、11号、 18号、14号が各々減少している(号の 順は減少割合の大きい順)。20号が法人 数に占める割合は法人数の 1 %に満たない。  
 次に、図表4 は、分野別のNPO法人数の推移(2012-2024)を示す。  
 さらに、 図表5 は、所轄庁別のNPO法人数の推移を⑴から⑸の傾向別に分類したものである。2012年から 2024年の間に、⑴⑵⑶で認証法人数が増加し、⑷⑸で減少している。⑴の13都道府県 3 指定都市では、概ね右肩上がりに増加している。
 ⑴の右肩上がりの増加傾向のカテゴリーに、後述する20号を条例設定している三重、鳥取の 2 県が含まれている点、20号認証法人数上位12県中10県が⑴から⑶に含まれている点は興味深い。

図表 3  分野別NPO法人数 推移(2012-24)
分野別法人数推移表の開始時点(2012/ 6 /30)と最新時点(2024/ 3 /31)の法人総数及び分野別件 数と割合一覧(全国)
出所:筆者作成


図表 4  分野別NPO法人数推移の傾向(2012-24
出所:筆者作成


図表 5  所轄庁別NPO法人数推移(2012-24)の傾向
注)〇番号は第20号認証法人数順位
出所:筆者作成

Ⅳ 「特定非営利活動」の条例設定 (NPO法別表第20号)の意義と状況

1  20号に基づく条例設定の意義

 前掲のように、民法改正及び公益法人制度改革関連三法制定により、NPO法と一般社団・財団法人法は、それぞれNPO法人と一般社団・ 財団法人の個別根拠法として並立する関係となった。その結果、2011年改正で追加された 4 、 5号及び20号を含め、現在の特定非営利活動20項目は、認証時に公益法人の公益目的事業との棲み分けを特に考慮する必要がない。  
 20号は、19号までに掲げる活動に「準ずる活動」として都道府県又は指定都市の条例で定める活動とされている。ここにいう「準ずる」とは、 1 ~19号がおのおのどのような活動を意味するかという立法趣旨の普及や各号の特定非営利活動の適用、運用の結果、一般に一定共有されている意味内容を基準として、それにならい、それに見合った「上乗せ」(例えば既存の分野を複数たばねるようなテーマを顕出)や「横出し」(例えば既存の分野には無いテーマを顕出)の取扱いをすることと考えられる(図表 6 参照)。  
 例えば、 1 号「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」は、法制定当初の条文解説では「この号は、衆議院での修正で、医療活動が含まれることを明確にするため、『医療』の文言が加えられました。人々の健康の保持、生活衛生や障害者等の保健等の向上などに資する活動を示すものです」とされていた[橘、正木1998: 56]。20号を適用することにより、都道府県及び指定都市は、地域特性も考慮に入れつつ 1 号の意味内容を基準としてそれにならい、それに見合った取扱いをするものとして、既存の「保 健、医療又は福祉」の概念の分化や範疇の伸縮に対応した「準ずる活動」を上乗せ・横出しにより自由に設定できる。  
 本論のⅡの 2 で述べたように、「特定非営利活動」は、従来形成され普及してきた「市民活動」概念を継承、体現していると考えられるが、①別表に列挙された活動への該当性と、②「公益目的」の充足という画定によって「市民活動」の中から一定範囲を抽出した活動といえる。しかし、20号は、従来どおり②「公益目的」の充足性を求めつつ、①列挙された活動への該当性の点で、所轄庁に活動設定の自律性を「準ずる活動」という条件の下に認めたものといえる。  
 特定非営利活動は、当初、限定列挙であるとともに、列挙されている活動しか選択できないという制限列挙でもあった。本来、市民活動は新たな社会課題が浮上すれば、その解決のために活動も新たなものが生まれるという性格のものであるから、活動のリストは例示列挙で概括列挙であるほうが、社会環境や情勢の変化に適応しやすいはずである(例えば「その他」条項を設けるなど)。しかし、NPO法は、公益法人との棲み分けの要請から別表を限定列挙かつ制限列挙の活動リストとしてスタートした。  
 2011年改正で、20号が追加されたのは、1 ~ 19号を例示列挙あるいは概括列挙ととらえうる余地を都道府県と指定都市に認めたものともいえる。都道府県や指定都市にとっては、NPO法人の認証権限に加え、認証対象となりうるNPO法人が「主たる目的」とすべき「特定非営利活動」を自律的に独自設定するという自治体立法政策上の裁量を付与されたわけである。  20号が追加されて10年を経たが、この間、都道府県や指定都市は、この新たな権限をどのように理解し、活用してきたといえるだろうか。

図表 6  特定非営利活動第20号の「準ずる活動」(イメージ図)

出所:筆者作成

2  20号に基づく条例設定の状況

 20号に基づく条例設定の運用状況について、ま ず、全国の所轄庁別の20号法人数を見る(図表 7 )。  
 20号法人総数は都道府県:375、指定都市: 11、合計:386である(2024年 7 月29日現在)。 図表 7 では、順位Aとして20号法人数順位を示した。上位10位(法人数10件以上)は、①三重県:133、②福島県:35、③鳥取県:24、④ 岩手県:21、⑤滋賀県:19、⑥宮城県:15、⑥ 和歌山県:15、⑦大阪府:13、⑧大分県:12、 ⑨栃木県11、⑩島根県:10となっている。  
 このうち、条例設定を行っている団体(以下 「条例設定団体」という)は①三重県と③鳥取県の 2 県のみで、合わせて157法人ある。  
 条例設定を行っていない団体(以下「条例未 設定団体」という)のうち20号法人数が多い②福島県、④岩手県、⑤滋賀県、⑥宮城県、⑥和歌山県について、各県の特定非営利活動促進法施行条例と「特定非営利活動法人 設立・管理運営の手引き」等を見ると、「第20号の活動について、条例では定めていません」等の注記が福島・岩手・宮城の 3 県で確認できた5)。  
 以上より、現在のところ、都道府県や指定都市が、20号に基づき特定非営利活動を独自に条例設定する権限を積極的に活用しているとは言い難い。一方、条例未設定団体である所轄庁(三重・鳥取両県以外)において、認証された20号法人が合計229(386-157)ある。この認証状況はどのような事情によるものだろうか。  
 そこで、上記の20号法人数の多い都道府県等 の認証実務担当者に、[ 1 ]条例設定の検討の有無とその理由、[ 2 ]20号に係る認証事務の 運用状況等を2024年 9 月架電聴取した(回答は 口頭・文書含む)。  
 回答の得られた11団体6)への聴取結果を見ると、まず、[ 1 ]条例未設定団体で、2011年改正による20号の追加以降、条例設定に向けた検討を行った事実(記録)は確認できなかった。 1 県から「平成23年のNPO法改正により、これまで以上に広範な分野が活動分野として認められたことから、条例による新たな活動分野の設定については、これまでの運用状況を勘案し、追加の必要が無かったものと考えます」(宮城県)と顧みる回答があった。  
 次に、[ 2 ]認証事務における20号の運用状況を見ると、条例設定団体(三重・鳥取両県)では、20号に基づく独自の特定非営利活動の存在を選択肢として検討するよう注意喚起している。一方、条例未設定団体の場合、申請者が20号を選択しようとしているときに、⒜許容する例( 2 団体)と、⒝20号に基づく「準ずる活動」の条例設定が無いことを示し、(b-1)20号を選 択しないよう(又は 1 ~19号から選択するよう)、あるいは(b-2)定款に記載した20号を削除し修正するよう、注意喚起する例( 4団体)、⒞黙過、 不干渉( 2 団体)、⒟不明( 1 団体)に分かれる。 なお、条例未設定団体の中には、NPO法人の設立・運営に係る手引き等で上記の⒝未設定や(b-1)の不選択を示唆する例がある(後掲・注 5 ) 参照)。

図表 7  特定非営利活動第20号による所轄庁別認証法人数(2024年 7 月29日 現在)
出所:筆者作成

3  20号の運用状況:上位 3 県の場合

 都道府県と指定都市において、20号の活用の有無を分ける政策的思考や運用上の差異は何に由来するのだろうか。本論では、条例設定を行い20号法人数が多い①三重県及び③鳥取県、条例設定を行っていないが20号法人数が多い②福島県の 3 県について、担当課に対し設定に係る経緯と考え方、運用状況について架電調査した結果に拠りつつ検討する。

⑴ 三重県
[1] 条例設定の理由  
 三重県は、2011年改正NPO法を受けて、2012年条例第31号として三重県特定非営利活動 促進法施行条例を一部改正し、第27条で次のよ うに定めた。   
 「(法別表各号に掲げる活動に準ずる活動)   
 第二十七条 法別表第二十号の条例で定める活動は、次に掲げる活動とする。   
 一 地域防災活動   
 二 障がい者の自立と共生社会(障がいのある人とない人が、相互に人格と個性を尊重 し合い、それぞれの違いを認め合いながら共に生きる社会をいう。)の実現を図る活動
 三 多文化共生社会(国籍、民族等の異なる人々が、互いの文化的違いを認め合い、対等な関係の下で地域社会の構成員として安心して共に生きる社会をいう。)づくりの推進を図る活動   
 追加〔平成二四年条例三一号〕」  
 条例制定に先立つ平成24年第 1 回定例会の生活文化環境森林常任委員会(2012年 3 月 8 日)の説明資料によれば、「改正理由」は、「特定非営利活動促進法の一部改正に鑑み、認定特定非営利活動法人制度の創設等に関し、規程を整備します」とし、「改正内容」として「⑴認証制度(法人格の付与)関係規定の改正/NPO法人の認証制度の見直しとして、手続きの簡素化・柔軟化、及び法人の信頼性向上のための措置が講じられたことに対応するため、次の規定等を整備します。/①県が独自に定める特定非営利活動/・ 地域防災活動/・障がい者の自立と共生社会の実現を図る活動/・多文化共生社会づくりの推進を図る活動(②以下略)」としている7)。  
 同委員会では条例設定について直接の質疑はないが、同日の予算決算常任委員会生活文化環境森林分科会では「三重県災害ボランティア支援及び特定非営利活動促進基金条例案」が審議されており、同基金の最終目的は、NPOが参画することにより災害に強いまちづくりをしていこうとするところにあるとしている点8)が、独自設定された「・地域防災活動」と通底するものとして注目される。

[2] 20号に係る認証事務の運用状況  
 同県のNPO法人設立事務の手引きでは、設立認証申請添付書類として掲げた定款例の第 4条(特定非営利活動の種類)で、「別表第 1 ~19 号に掲げる活動」及び「別表第20号に規定する条例で定める活動として施行条例第27条各号の活動」から各々活動を選択・記載し、「活動が別表の複数の項目にまたがる場合」を例示している9)。  
 条例第27条に掲げる 3 つの活動を、 1 ~19号の活動に紐付けたり読み込む解釈を採らずに特掲し、並べて選択対象としたことは、次のような意義があると考えられる。  
 まず、近年、県内の地域で多く取り上げられている課題や、今後県民の取組みを期待する活動を訴求することになる。つまり、これらの活動を選択するNPO法人が県内に増えてほしいという意向を表明したものと解することができる。  
 また、例えば「共生社会」のように、最近の国・自治体の政策上頻出するようになっていながら実は多義的で不確定的な概念について、当該自治体における意味を明示し、その実現を目指す活動を振興し促進支援することを可能とする。「障がい者の自立と共生社会の実現を図る活動」と「多文化共生社会づくりの推進を図る活動」を別々に規定したことは、同じく共生概念であっても、異なる経緯や意味合いの概念を区別し、それぞれ独立して解決すべき重要課題であることを明示したものといえる。この規定がない場合、「共生社会」の実現や整備に係る取り組みは、既存の活動分野と所管部課に振り分けられ、概念の多義性が顕示、顕出され難くなる。
⑵ 鳥取県
[1] 条例設定の理由  
鳥取県では、2013(平成25)年条例第 9 号として鳥取県特定非営利活動促進法施行条例の一部改正により第 1 条の 2 で次のように定めた。   
 「(特定非営利活動に含まれる活動)
 第 1 条の 2  法別表第20号の条例で定める活動は、鳥取県の地域ならではの資源及び人材を活かし、地域の活力及び魅力を創造する活動とする。(平25条例 9 ・追加)」  
 これを受けて、県民向けのNPO法人制度に係るガイドブックでは、別表に「⑳鳥取県の地域の活力・魅力創造」と活動の略称を掲載している。  
 また、県のウェブサイトでは、「法別表第20号に定める活動分野について」と題し、20号について、「鳥取県では、『鳥取県の地域ならではの資源および人材を活かし、地域の活力及び魅力を創造する活動』と定め、地域固有の事情に応じた柔軟な法人運営の促進を図ることにしました」と制定趣旨を述べている。
[2] 20号に係る認証事務の運用状況  
 県のウェブサイトでは、続けて、「認証を受けるための活動分野を選択し、定款で規定することができます」と案内し、「・すでに認証を受けている県内NPO法人がこの活動分野を定款で規定する(追加する)ためには、定款変更の認証を受ける必要があります」とも付言して いる。  
 鳥取県の場合、この条例設定の前から、知事の主導のもと全県的に推進されていた「鳥取力創造運動」があり、20号の独自設定も、NPO法の一部改正の時機をとらえて鳥取県オリジナルの分野を加え、県のNPO政策の分野で鳥取力創造の理念を具現化したものといえる10)
⑶ 福島県
[1] 条例設定の検討の有無とその理由  
 福島県では、福島県特定非営利活動促進法施行条例において「準ずる活動」を定めていない。過去に条例設定について検討がなされたこともない。県民向けの「特定非営利活動法人の設立・ 管理運営の手引き」でもその旨説明されている。
[2] 20号に係る認証事務の運用状況  
 条例設定していない同県ではあるが、20号法人は35件ある。認証実務において、20号を選択した申請に対し修正を求めたり不選択を促すようなことはしていない。将来、20号に基づく「準ずる活動」の条例設定に備え、あらかじめ活動分野に含めて申請しているものと受けとめ、申請者の意向を容認している。

Ⅴ 考察

1  20号に基づく条例設定の意義  

 以上より、20号に基づく条例設定は、自治体や市民活動団体、市民にとって、次のような意義があることが見出される。
⑴ 地域ならではの課題の解決に取り組む市民活動団体を「顕出」  
 第一に、当該地域ならではの地域課題あるいは一般的な社会課題であっても地域性に配慮した解決が求められる課題について、その解決に資する活動を「準ずる活動」として独自に設定することにより、それらの課題解決に取り組む市民活動団体を「顕出」させることができる。  
 例として鳥取県による「地域固有の事情に応じた柔軟な法人運営の促進」を図るための条例設定などは、地域資源の再発見や利活用による市民活動を促すことにも通じるものといえる。
⑵ 地域ならではの課題の解決に取り組む市民活動団体・法人への関心の喚起(「振興」)  
 第二に、条例の制定・改正過程で、当該課題や課題解決への取組み、ひいては市民活動団体の設立やNPO法人の認証申請に対して県民・ 市民の関心を喚起することが可能となる。  条例の制定・改正過程で、県民・市民が独自設定すべき「準ずる活動」について意見や提言を述べる機会を設けるならば、県民・市民の参加や活動を開始し継続するモチベーションも高まることが期待できる11)
⑶ NPO法別表の既存の特定非営利活動を見直し、上書き・追加修正する「問題提起」
 第三に、別表第 1 ~19号の既存の特定非営利活動を、国際環境や国内の社会経済環境の変化に対応させて見直し、上書きや追加、修正することを問題提起する契機となる。  
 このように、条例設定には有為の市民活動団体の①顕出、②振興、さらに③既存の特定非営利活動の見直し、問題提起といった積極的意義が見出される。都道府県・指定都市が、ある政 策分野、政策課題に対する積極的な意思を表明 し訴求するツールとなる。また、ある都道府県・ 指定都市が独自に設定した活動が、他の自治体 の支持を得て波及すれば、既存の特定非営利活動の見直しの契機ともなりうる。  
 都道府県・指定都市では、この30年近く自律的に数多のNPO政策を展開しており現在も進行中である。神奈川県や宮城県など特色ある中間支援組織の設立や支援施設の開設、支援基金の設置、協働事業のモデル化など個性的な政策創造や政策革新で全国自治体のNPO政策をけん引してきた事例も少なくない。  
 自治体にとって、区域内の「地域レベルの市民活動団体」は、県民・市民による県政・市政への参画をはじめ公共サービス提供の協働や共創の連携主体として貴重な組織資源である。その存在や活動の伸展を顕出し振興することは自治体政策推進、地域住民による地域自治促進 の両方の観点からも大いに要請される。

2  20号に基づく条例設定の課題  

 一方、各団体に対する調査も踏まえると、条例設定には次のような課題が見て取れる。 ⑴ 広がらない条例設定
 第一に、条例設定が都道府県・指定都市間で広がっていない。20号に基づく条例は、「法定事務条例(執行条例)」12)と考えられるが、都道府県・指定都市が条例設定に消極的な原因は何か。  
 考えられる理由の一つ目に、設立認証事務(以下「認証事務」という)の位置づけや自治体立法である条例に対する理解の問題がある。  
 NPO法制定当初、NPO法人の認証事務は「団体委任事務」だった[橘・正木1998:96]。1999年地方分権改革一括法により機関委任事務及び団体委任事務は廃止され、法定受託事務及び自治事務に再編されたことから、認証事務も自治事務となった。本論で検討している「条例設定」はすぐれて自治力、自律性を発揮しうる テーマであるが、自治事務としての認識が未だ浅いのではないか。  
 二つ目に、条例設定主体となる所轄庁の組織的な問題がある。NPO法制定当初、同法の所管は経済企画庁だったが、2000年の中央省庁再編を経て内閣府に移管された。地方では当初都道府県、のち指定都市が所轄庁に追加されたが、各自治体内での所管部局は市民活動支援を担当する県民生活・市民生活部門が今も多数を占めている。今回の架電調査でも聴取されたが、県民生活等を一政策分野と意識している場合、分野横断的あるいは分野超越的な視野をもって「準ずる活動」の条例設定を全庁的に発起提案する動機には至らない憾みがある。  
 また、認証権限については、条例による事務処理特例制度(地方自治法第252条の17の 2 )の活用により、全国的に都道府県から管内基礎自治体への権限移譲が進んでおり移譲先の市町村にも違いがある。「管内全市町村に認証権限を移譲しており、県では認証実務の現況を了知していない」との感想も聴かれた。県では市民活動の顕出・振興や独自のNPO政策を開発する政策法務的な視点を持ち続ける当事者意識が後退している可能性がある。  
 三つ目に、認証事務への取組み方の問題がある。今回の調査に対する回答でも聴かれたところであるが、認証に際して、特定非営利活動を 1 ~19号の所与の法定リストとしてとらえる限り、申請法人の事業内容を各号の活動と照合してあてはめや読み込みをすれば事が足り、ことさら20号で独自の条例設定をする必要性を感じないことが考えられる。  
 四つ目に、当事者意識の後退とも関連しようが、市民活動に関する理解や認識の不足がありうる。そもそも必要に応じて生じるという市民活動本来の特性には、新たな分野や範疇化の萌芽として顕出、振興の対象とされる必然性が内包されている。しかし、そうした理解がなければ、条例設定の必要性も認識し難い。
⑵ 条例設定に先行する20号認証  
 第二に、条例設定を行っていない都道府県・ 指定都市で、20号法人が漸増し活動している点をどのように考えるべきか。これらの認証法人は主たる活動に20号のみ選択しているわけではなく、他の号と併せて20号を挙げて認証されている。この点に関しては、認証における行政指導、都道府県・指定都市とのPPPに向けた関連づけ等が問題となろう。  
 所轄庁は認証主義を前提としつつ、前掲のとおり法人に対して申請の形式面で行政指導を行っている。合規性を確認する認証権限下とはいえ、20号を選択しないという不作為(あるいは選択を削除させるという作為)を求める指導が、20号の趣旨に照らしたとき果たして必要か、その要否を含め望ましい取り扱いの方向性を所轄庁には改めて示唆する必要がある。

3  20号に基づく条例設定の課題への対応  

 条例設定に上記 2 のような課題があることを踏まえ、今後、20号について、都道府県・指定都市はいかに運用し、市民活動団体はいかに活用していくことが望ましいだろうか。 ⑴ 都道府県・指定都市に期待される対応  
 第一に、都道府県・指定都市においては、一つ目には、自治事務である認証事務の前提として、20号による特定非営利活動の条例設定の積極的な意義について理解を深めることが求められる。  
 二つ目には、みずからの管内にどのような地域課題があるのか、その解決に現に取組みあるいは志す「地域レベルの市民活動団体」と分野横断的あるいは分野超越的な視野に立った定期的なコミュニケーションの機会をもつことを推奨する。管内の市民活動団体やNPO法人の活動分野への選好や志向等を把握し、既存の活動分野の分化や伸縮を踏まえた新たな分野設定の可能性を検討する政策的思考が期待される。  
 なお、市民活動団体やNPO法人への支援業務をNPO支援センターなど中間支援組織に委 託している自治体も少なくないが、任せきりにならないよう委託者として情報共有に努める必要がある。所管課が、そうした業務の中から「準ずる活動」として条例設定すべき分野を探索し発起提案することは、地域(組織)力の培養にもつながるものとして、首長や議会が奨励し積極的な評価をすることも支えとなる。
 都道府県が認証事務を市町村に権限移譲している場合は、移譲先市町村の認証事務担当課とのコミュニケーションを密にして、広域自治体としてのNPO政策の当事者意識を保持する必要がある。
⑵ 市民活動団体に期待される対応  
 第二に、市民活動団体においては、一つ目には、市民活動団体やNPO法人が、20号が他の活動分野と複合化して活動を展開し事業化を図るうえで探索や提案の契機となることを認識することを期待したい。条例未設定団体においても、むしろ設立認証申請時あるいは認証更新時に、将来設定されうる活動分野でのPPPを期して20号を先行して選択している旨を表明し条例設定を要請する能動性も期待される。  
 二つ目には、条例設定に向けた自治体立法過程が行政主導で終始するのではなく、市民はもとより地域レベルの市民活動団体からの提案を得て、それを活かしながら適切に設定されるような制度設計を要請し、実際に参加することが必要である。  
 以上、前節 2 で示した課題⑴・⑵の実態を精査し、本節 3 で示した期待される対応⑴・⑵の 可能性を探索するため、所轄庁・認証法人双方に対する悉皆調査の企画実施を他日に期すこととしたい。  
 20号に基づく条例設定は、地方分権時代に、自治体とNPO法人の連携・協働による取組みが期待される新たな地域課題(NPO法人から見れば活動分野)を設定したり、それらの課題解決を目指すPPPの刷新や拡充に向けた一つのツールとなる。  都道府県、指定都市をはじめ権限移譲を受けている基礎的自治体には、「地域レベルの市民 活動団体」を顕出させ振興する視点と、地域課題への鋭敏な認識や問題提起の視点を持って、自律的な政策裁量を発揮することが期待される。

[注]
1)衆議院法制局でNPO法立法実務を担当した橘幸信らは、法制定当初の12項目について、「この12項目は、『民法の特別法』としてのいわゆる『棲み分け』の要件ですから、単な る例示ではなくあくまでも限定列挙であり、特定非営利活動法人の主たる目的は、この12 項目のいずれか(複数に該当しても構いません) に該当しなければなりません。」とする。[橘、 正木1998:55]
2)筆者らは、本学会のNPO法人研究会(2021.9.- 2023.9.)の委員として、共通論題「NPO法人 の特長と新たな展開の可能性」のもとに共同研究を行い、2023年度全国大会分野別研究会報告で最終報告後、「最終報告書」を学会ウェブサイトで公開した((公社)非営利法人研究学会NPO法人研究会[2024])。NPO法人の「新 たな展開を促す、あるいは推進する方法、手段(政策、事業等)」として、「⑴『特定非営利活動』を活用」する可能性を検討した中で、「②第20号の有効活用」について考察してい る[同2024:90-92]。本論は、筆者らが、こ の最終報告内容を踏まえてさらに調査検討を加えた結果を報告するとともに、自治体の NPO政策について問題提起を行うものである。
3)NPO政策の意味、種類、分析枠組み等について、初谷[2001:第 1 章]、同[2012:序章]。
4)「条例個別指定」とは、認定NPO法人としての認定申請書の提出前日までに、事務所のある都道府県又は市区町村の条例により、個人住民税の寄附金税額控除の対象となる法人として個別に指定を受けていることを求める基準であり、認定申請書の提出前日までに条例 の効力が生じている必要がある(内閣府ウェ ブサイト参照)。
5)5 県の手引き等における20号に係る記載は次のとおり。②福島県[2017: 4 ]:「(※)福島県では、第20号の活動について条例では定めていません。19の活動分野から該当する活動を定款に記載してください。」/④岩手県 [2024: 2 ]:「(ト)前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動 ※上記(ト)については、 岩手県では条例で定めていないので、定款に記載は不要です。」/⑥宮城県[2023: 2 ]: 「※⒇の活動は、現在宮城県では定めていません(令和 5 年 4 月 1 日時点)。」/⑤滋賀県 [2023]及び⑥和歌山県[2024]では、特定非営利活動の説明、定款例、Q&A等において、 20号の活動を条例で定めていないことにはふれていない。
6)10位までのうち①三重県、②福島県、③鳥取県、④岩手県、⑤滋賀県、⑥宮城県、⑥和歌山県、⑨栃木県(及び同県の権限移譲先のうち認証法人数最多の宇都宮市)、11位以下から東 京都、神奈川県、岐阜県の計12団体の所管課の本調査へのご回答にお礼申し上げる。
7)同委員会説明資料、 1 頁。
8)同委員会会議録、生活・文化部 人権・社会参画・国際分野総括室長の答弁参照。
9)三重県環境生活部 ダイバーシティ社会推進課NPO班[2023:21]。
10)鳥取県未来づくり推進局鳥取力創造課は、以前の協働連携推進課の後継組織として2010年 度に設置。「鳥取力創造運動(市民活動支援)」 等を所管。初谷[2017:第 6 章 鳥取方式] 参照。   
 また、2013年 3 月 1 日:平成25年 2 月定例会(第 3 号)における浜田妙子議員の代表質問とそれに対する平井伸治知事の答弁参照。 知事は、NPOについて「ニュー・パブリック・ オーガニゼーション、新しい公共を担う組織」と称したら元気が出るのではないかとの 山岡義典の言葉を引いて、行政と民、NPOとのパートナーシップ、新しい関係性づくり が必要と述べた上で、地域レベルの市民活動団体について次のように言及している。/「鳥取県内でもユニークな活動が生まれてきていますし、大切だと思われることが出てきてい ると思います。一つ一つの団体は地域で活動しておられますからびっくりするような大き なことができるわけではないわけでありますが、その地域にとって絶対に必要なこと、大 切なことを小回りをきかせて自分たちの発想で一番最適な形でされている面があろうかと思います。…(中略)…/鳥取力とは何なのかということは、私はその地域の資源と人間 との掛け算で生まれる力だというふうに考えています。」―本論で取り上げた「地域レベルの市民活動」の価値と振興を首長が説く例として注目される。
11)立法への市民参加について、山岡[2007]参照。
12)法定事務条例については、磯崎[2023:第10 章(221-243)]参照。自治体の事務のうち法律に基づいて処理する「法定事務」について制定する条例を法定事務条例という。法定事務条例は、法律の委任・授権に基づいて制定する「委任条例」と、法律の委任・授権に基づかず、執行権を有する自治体が法定事務を執行するために必要と認める事項について制定する「執行条例」に分けられる。なお、分権改革の下での条例を巡る論点について北村[2024]、地域の実情に応じた課題解決のための立法分権を説く磯崎[2021]参照

[参考文献]
 磯崎初仁[2021]『立法分権のすすめ―地域の実情に即した課題解決へ』、ぎょうせい。
 磯崎初仁[2023]『地方分権と条例―開発規制からコロナ対策まで』、第一法規。
 北村喜宣[2024]『分権改革と条例』弘文堂。
 橘幸信、正木寛也[1998]『やさしいNPO法の解説』、礼文出版。
 初谷勇[2001]『NPO政策の理論と展開』、大阪大学出版会。
 初谷勇[2012]『公共マネジメントとNPO政策』、 ぎょうせい。
 初谷勇[2017]『地域ブランド政策論:地域冠政策方式による都市の魅力創造』、日本評論社。 (公社)
 非営利法人研究学会NPO法人研究会 [2024]「NPO法人研究会(2021.9.-2023.9.)最 終報告書」、(公社)非営利法人研究学会。
 藤澤浩子[2007]「「市民活動」概念形成過程に関する一考察:「三浦半島自然保護の会」 1950~1970年代の活動史から」、『法政大学大学院紀要』、第59巻、143-167頁。
 藤澤浩子[2010]「自然環境保全分野における市民活動とその長期継続要因」、『ノンプロ フィット・レビュー』、10⑴、37-48頁。
 藤澤浩子[2011]『自然保護分野の市民活動の研究』、芙蓉書房出版。
 山岡義典編著、田代正美、久住剛、早瀬昇、片山正夫著[2005]『NPO基礎講座 新版』、 ぎょうせい。
 山岡義典[2007]「第 5 章 特定非営利活動法人と公益法人制度改革関連 3 法の立法過程― 特に立法への市民参加の視点から―」、
 小島 武司編著[2007]『日本法制の改革:立法と実務の最前線』、中央大学出版部、549-608頁。

[ウェブサイト](2024年 9 月12日閲覧)
 岩手県[2024]「特定非営利活動法人制度の手引き」(令和 6 年 3 月)。
 滋賀県総合企画部県民活動生活課県民活動・協働推進室[2022]「特定非営利活動法人の設 立および管理・運営の手引き」(令和 4 年 4 月)。
 鳥取県輝く鳥取創造本部とっとり暮らし推進局協働参画課[2024]「特定非営利活動法人の 手引き」(令和 6 年 4 月改訂)。
 福島県企画調整部文化スポーツ局文化振興課編[2017]「特定非営利活動法人の設立・管理 運営の手引き」(平成29年 4 月)。
 三重県議会[2012]「平成24年 3 月 8 日生活文化環境森林常任委員会 予算決算常任委員会 生活文化環境森林分科会 会議録」。
 三重県環境生活部 ダイバーシティ社会推進課NPO班[2023]「特定非営利活動法人事務の 手引き―法人設立編―」(令和 5 年 1 月)。
 宮城県環境生活部共同参画社会推進課NPO・ 協働社会推進班[2023]「NPO法人ガイドブッ ク 法人設立申請版」(令和 5 年 4 月)。
 和歌山県[2024]「特定非営利活動法人の設立及び管理・運営の手引き」(令和 6 年 4 月)。

論稿提出:令和 6 年12月27日
加筆修正:令和 7 年 5 月26日

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