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- 入会のご案内 | 公益社団法人 非営利法人研究学会
入会のご案内 ■会員区分と年会費 正会員(個人会員) 10,000 円 学生会員※1 5,000 円 賛助会員(個人・法人・団体) 30,000 円 名誉会員 8,000円 シニア会員※2 5,000円 ※令和元年9月15日の理事会で会費金額が変更となりました。詳しくは「会費等に関する規則」 をご覧ください。 ※1 学生会員は会費を納付する毎に在学証明書を提出いただきます。 ※2 正会員は、本学会に正会員として10 年以上在籍し、本人の年齢が70 歳に達した場合、事務局に届け出ることによりシニア会員になることができます。 ■会員特典 ・学会誌その他の資料送付 ・各研究会・全国大会への参加・発表 ・学会ML(メーリングリスト)への登録 ・学会誌への投稿(査読付) ・ワーキングペーパーへの投稿 ■お申込み方法 入会のお申込みはWEBフォーム(クリック) からご入力いただくか、申込書(Word文書・クリック) をダウンロードし、必要事項をご記入のうえ、弊会事務局までFAX(宛先:03-6631-4285)もしくはEメール(宛先:office@npobp.or.jp )にてご送付下さい。 入会申込みフォーム(クリック)
- 第19回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会
第19回大会記 2015.9.16-17 神戸大学 統一論題 非営利組織会計と営利組織会計との相互関係―会計基準の統一化を目指して 兵庫県立大学 兵頭和花子 非営利法人研究学会第19回大会は、本年9月16日(水)から9月17日(木)の日程で神戸大学(大会準備委員長:中野常男氏〔神戸大学〕)を会場に開催された。会員を含め約80名の参加者が集まった。なお、前日の9月15日(火)には、常任理事会及び理事会が開催された。 大会第1日目 大会1日目には会員総会が開催され、大会準備委員長及び会長である堀田和宏氏(近畿大学)からの挨拶の後、事務局より会務の報告(新入会員の審査結果、学会誌Vol.16及びVol.17の刊行、地域部会〔北海道、関東、中部、関西、九州〕の活動、委託研究〔公益法人会計研究委員会、新公益法人制度普及啓発委員会〕の中間報告、投稿論文申合せの変更、第20回大会と主催校の選定及び実行委員長の選任、第14回学会賞・学術奨励賞・学術奨励賞特賞の審査結果など)が行われた。 その後、平成26年度収支決算の承認、本会の法人化の定款案及び規定案の承認、平成28年度事業計画及び収支予算案承認の件、理事等の任期満了に伴う改選等について審議が行われ、新たに選任された理事等による理事会も開催し、堀田会長が再任された。 記念講演 佐々木弘 氏 新理事会終了後、佐々木弘氏(神戸大学名誉教授)の記念講演が中野氏の司会によって行われた。佐々木氏の非営利組織に対する関心から社会全体のメリット、自他を考える思考があった。公営企業、公益企業、協同組合の分野を研究され、所有や資本の観点から非営利組織の特徴を述べられた。また、公益企業における料金の決定・規制、病院の経営、博物館などの経営についても触れられた。そして、経営学がこれまで営利性を中心として述べられていることから、営利性とは異なった、社会性や倫理性などもっと多様な観点から企業の評価や研究が行われるべきであると述べられた。 統一論題 藤井秀樹 氏 そして引き続き、統一論題「非営利組織会計と営利組織会計との相互関係―会計基準の統一化を目指して―」の報告(司会:藤井秀樹氏〔京都大学〕)が行われた。非営利組織の現状について財政的制約の中、民間の非営利組織の役割、非営利組織会計の構築、非営利組織会計の統一化、業績評価などの点から問題点や現状について述べられた。 統一論題報告 第1報告 竹中徹 氏 第1報告として竹中徹氏(石巻専修大学)による「財務諸表の構成要素を巡る相互関係―貸借対照表の現代的変容の視点から―」についての報告が行われた。その他の包括利益と企業会計における貸借対照表の現代的変容として企業会計における財務諸表の構成要素と計算構造、企業会計における資産負債アプローチの背景について述べられ、さらに拘束性に基づく純資産区分とフロー計算の多元化として、非営利組織会計における財務諸表の構成要素と計算構造、拘束性に基づく純資産とフロー計算の区分について述べられた。 第2報告 髙山昌茂 氏 第2報告として髙山昌茂氏(公認会計士)による「非営利組織会計と営利組織会計との相互関係―『 非営利組織の財務報告の在り方に関する論点整理』論点9. 連結情報の開示についての考察」についての報告が行われた。非営利組織で作成する連結財務諸表に着目し、営利組織会計において連結財務諸表が必要とされる理由を明らかにされた。その後、非支配株主持分に対する疑義や関連当事者の注記の重要性について述べられ、非営利会計基準設定のアプローチについて述べられ、独立行政法人会計基準における連結情報、持分法適用の必要性と実価法適用の可能性について示された。 第3報告 宮本幸平 氏 第3報告として宮本幸平氏(神戸学院大学)による「非営利組織と営利組織の財務諸表表示基準統一の可能性考察」についての報告が行われた。フロー計算書における表示の統一化考察の前提としての現状を把握するために、公益法人会計方式、学校法人・社会福祉法人会計方式、国際会計基準方式に分析され、統一化に向けた提案が示された。とくに企業会計との統一化を指向した財務諸表・表示基準(案)の策定を目途に演繹的推論(実践的推論)による結論の導出を図られた。 統一論題報告・論点整理 その後司会の藤井秀樹氏より、第1報告の竹中氏は、①非営利組織会計と営利組織会計の共通性、②非営利組織会計と営利組織会計の統一化の可能性、第2報告の髙山氏は、①連結財務諸表を作成した場合の問題点、②相互連携を考慮した場合の提案、第3報告の宮本氏は、①フロー計算書における表示の統一化を考える前提としての現状把握、②統一化に向けた提案、として報告の論点整理が行われた。統一論題報告・論点整理終了後、神戸大学アカデミア館にて懇親会が行われた。 大会第2日目 大会2日目は午前中に自由論題報告が行われた。自由論題は3つの会場に分かれ計9本の報告が行われた。各会場の報告者及び論題は以下のとおりである。 第1会場 報 告① 川﨑紘宗氏(高松大学)/司会:安井一浩氏(神戸学院大学) 「McKinseyによるBudgetary Control(1922)生成の背景―標準の概念と政府の予算制度―」 報告② 佐藤 恵氏(千葉経済大学)/司会:尾上選哉氏(大原大学院大学) 「非営利組織会計における収入構造の表示」 報告③ 兵頭和花子氏(兵庫県立大学)/司会:石津寿恵氏(明治大学) 「非営利組織における会計制度構築の要因と可能性」 第2会場 報告① 永島公孝氏(税理士)/司会:橋本俊也氏(税理士) 「法人税の収益事業課税に関する裁判例をふまえて」 報告② 岩崎保通氏(高知大学)/司会:小島廣光氏(椙山女子大学) 「高知県におけるNPO法人の成果と課題 ― NPO法人を対象としたアンケート調査分析―」 報告③ 出口正之氏(国立民族学博物館)/司会:江田 寛氏(公認会計士) 「“クリープ現象”としての収支相償論」 第3会場 報告① 井寺美穂氏(熊本県立大学)/司会:明石照久氏(熊本県立大学) 「地方政府における職員の専門性とその限界」 報告② 髙屋雅彦氏(近畿大学)/司会:吉田初恵氏(関西福祉科学大学) 「一般病院と精神科病院における階層性と法人に関して―医療技術、専門医制度、法制度の進化との関連 ― 」 報告③ 渡辺 亨氏(熊本市都市政策研究所)/司会:伊佐 淳氏(久留米大学) 「協働に関する概念的試論 ― 熊本都市圏における官民協働事業を事例として―」 自由論題終了後に統一論題の討議が藤井秀樹氏(京都大学)を座長として、以下のような点について行われた。①純資産の拘束性について3区分あるいは2区分の内容、②非営利組織研究における会計の貢献、③海外基準への言及、④非営利組織が連結財務諸表を作成する問題点、⑤非営利組織に持分法を適用する点、⑥寄付文化・寄付社会を前提とした場合の非営利組織の会計・表示の統一あるいは、非営利組織個別の財務諸表の意義について、⑦資源の効率的配分についての決定は市場であるのか政府であるのかなど、非営利組織会計について活発な議論が行われた。
- 中間報告(公益・一般法人研究会) | 公益社団法人 非営利法人研究学会
非営利法人研究学会 公益・一般法人研究会 公益・一般法人制度の研究【2016年度中間報告】 -日・英・米の制度の比較研究-
- 第2回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会
統一論題 公益法人のレーゾン・デートルを考える 1 非営利組織のマネジメント 2 「公益性」の 概念に関わる論点 3 公益法人のレーゾン・デートル─財政学の視点から 青山学院大学 杉山 学 第2回大会記 1998.10.3 近畿大学 去る1998年10月3日、公益法人研究学会(守永誠治氏(静岡産業大学))の第2回大会が、近畿大学において開催された。 統一論題『公益法人のレーゾン・デートルを考える』のもと、松葉邦敏氏(成蹊大学)の総合司会により、3題の研究報告並びに討論が行われた。また、自由論題の報告と記念講演も併せて行われた。 自由論題は、会場をA会場とB会場に分け、A会場(11月ホール小ホール)(司会:藤井秀樹氏(京都大学))では、「公益法人の事業戦略」田口敏行氏(静岡産業大学)、「営利企業による非営利活動の実態と今後の動向」竹内拓氏(産能短期大学)が、B会場(20号館5A)(司会:杉山学氏(青山学院大学))では、「非営利組織における理事会と経営者の役割」吉田忠彦氏(近畿大学豊岡短期大学)、「学校法人会計の問題点と財政状況開示の現状」早川幸夫氏(村田簿記学校)の計4題が発表された。 また、記念講演では柿木昇治氏(広島修道大学)に「シニア研究の視点−心理学研究からみた老人問題あれこれ」と題してご講演いただき、大会に華を添えた。 以下、統一論題の報告の要旨を杉山 学氏(青山学院大学)にまとめていただいた。 1 非営利組織のマネジメント 報告:小島廣光氏(北海道大学) 非営利組織を社会的ニーズの充足と市民の社会参加を実現する、という2つの課題に挑戦している組織と捉える。まず環境適応理論に依拠しながら非営利組織を分析するための概念的枠組と分析視角が提示される。概念的枠組では、⑴組織間環境、⑵技術、⑶市場環境が考察される。分析視角は、⑴資源依存モデル(技術戦略・統治との関係及び環境状況と組織特性との関係)である。 非営利組織を資源依存性とタスクの不確実性という2次元により4つのセルに分類し、それぞれのセルに属する非営利組織の特性を示し、その結果として4つの仮説を演繹する。そして、4つの仮説を社会福祉法人北海道いのちの電話ほけ2つの非営利組織を対象にして検証している。さらに、環境状況−戦略−組織特性に関する基本モデルを示し、6つの仮説を演繹し、当該仮説を141の非営利組織を対象に検証している。使用された分析視角は、もっぱら営利組織の分析のために開発されたものであるが、非営利組織に対しても有効であると小島氏は主張する。したがって、本研究で得られた分析結果は非営利組織のみならず、営利法人にも有効であることを示唆している。 2 「公益性」の概念に関わる論点 報告:渋谷幸夫氏(株式会社ケイネット) 民法34条に公益性の概念規定がなされていないことが、公益法人等をめぐる問題の根源であるという問題意識から、⑴公益性の概念、⑵指導監督基準における公益性、⑶行政と公益性、⑷公益性の概念と非営利性概念、⑸公益性の認定、に関して考察する。 公益を「社会全般の利益、すなわち不特定多数の者の利益を目的とするものである」との通説は、「公益を目的としていないが、公益に関するものであればよい」とする民法規定より厳格である。しかし、現存する公益法人の中には特定多数の者の利益を目的としているものもあり、公益性の定義としての「不特定多数の者の利益」とは何か、が問われている。民法は法人を営利法人と公益法人に区分している。民法34条の規定には公益性と非営利性の2つの基準が存在しており、たとえば、公益性はあるが、営利を目的とする法人は公益法人とはなり得ないという、問題が生ずる。渋谷氏は、営利・非営利を、まず事業内容から、次に団体構成員に利益を分配するか否かの観点から判断する、とする能見教授の見解とを比較検討し、民法の改正を含めて抜本的改革を提唱する。 3 公益法人のレーゾン・デートル 報告:植田和弘氏(京都大学) 貧困の克服・不平等の是正・恐慌循環の対処を課題とする経済学を起点に、「安価な政府」論と経費膨張の法則という概念を用いた現代財政システムの基本問題から、公共サービスの供給システムの確立過程を史的考察する。国営中心の福祉政策は官僚制の拡大から重税をもたらすこととなった。1978年カリフォルニア州13号提案は、公共サービスの充実による税負担の過重に対する納税者の反乱であった。しかし、その結果、教育・福祉のカットを含む行政水準が低下した。ここに福祉サービス供給システムにおける公共と民間の分担が課題となり、官僚制によるサービスの硬直性からニーズに合ったサービスを提供できる非営利組織が注目されることとなった。非営利組織の役割は公共サービスの官僚化を防止することにあり、受益者は公共機関、民間、非営利組織それぞれによって提供されるサービスを選択する必要がある。植田氏は選択するための情報の開示が不十分であること、また、在るべき非営利組織のサービスと現実とのギャップを克服する条件の整備が課題であると指摘する。 討論会では座長:戸田博之氏(神戸学院大学)の司会のもと、上記3者の報告に関して、藤井秀樹氏(京都大学)、吉田忠彦氏(近畿大学豊岡短期大学)、樽見弘紀氏(立教大学)、亀岡保夫氏(公認会計士)、建部好治氏(公認会計士)、川野裕二氏(豊田財団)、守永誠治氏(静岡産業大学)から、公益性と非営利性の概念及び相互関連性などに関して質疑応答があり、報告者相互間やフロアを交えての活発な討論が行われた。 その後、場所を同大学の地下食堂に移し、懇親会が催され、終始なごやかなうちに会員の親睦がはかられた。
- 発行物への投稿 | 公益社団法人 非営利法人研究学会
学会誌への投稿 『非営利法人研究学会誌』は年に一度、8月上旬の発行となっております。投稿の締切は前年の12月中旬となっておりますので、投稿を希望される方はお早めにお申込み下さい。 学会賞及び学術奨励賞等に関する規程 投稿論文執筆に関する申合せ 原稿執筆要領 ワーキングペーパーへの投稿 本学会では、非営利分野の発展に寄与することを目的として『ワーキングペーパー』を発行しています。投稿は随時受付を行っています。 ワーキングペーパー投稿規程
- 第9回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会
第9回大会記 2005.9.9-10 神奈川大学 統一論題 1 非営利組織の制度進化と新しい役割 2 非営利組織の失敗—その原因と予防装置— 3 公益法人制度改革で何が変わるか 4 非営利法人課税制度への提言 文京学院大学 依田俊伸 公益法人研究学会第9回全国大会は、2005年9月9日(金)・10日(土)の日程で、神奈川大学において開催された。第1日目は、理事会の開催に充てられた。以下では、第2日目の研究報告大会の模様を中心に、学会の開催状況を紹介する。 1 自由論題報告 4会場で行われ、以下の9題が報告された(氏名のカッコ内は所属機関)。 第1会場〔司会:金川一夫氏(九州産業大学)〕⑴東郷寛氏(公共・非営利組織研究フォーラム)「イングランドの官民協働における非営利組織の役割」、⑵今井良広氏(兵庫県健康生活部)「英国における地域協定(LAAs)の意義と役割—非営利組織の活動基盤としての可能性—」、⑶兵頭和花子氏(兵庫県立大学)「非営利組織体の情報開示—非営利組織体のミッション評価の必要性とその実態—」 第2会場〔司会:吉田初恵氏(関西福祉科学大学)〕⑴永島公孝氏(筑波大学大学院)「非営利法人における委員会手当の所得区分」、⑵成田伸一氏(社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)「社団法人における賛助会員に関する考察」、⑶小笠原修身氏(社会福祉法人ふじの郷さつき学園)「社会福祉法人の監査制度とその課題」 第3会場〔司会:小島廣光氏(北海道大学)〕⑴早坂毅氏(関東学院大学大学院)「非営利組織の現物寄附と現状分析—NPO法人100件を分析して—」、⑵丸山真紀子氏(久留米大学病院)「e—ヘルスネットワークについての一考察—データー利用を中心にして—」、⑶吉田忠彦氏(近畿大学)「NPO支援センターのタイプ別機能特性」 第4会場〔司会:江田寛氏(公認会計士)〕⑴王妹三氏(九州産業大学大学院)「非営利組織における収支計算書の問題点—目的と基本概念—」、⑵江頭幸代氏(広島商船高等専門学校)「営利企業の非営利活動の研究—とくに環境コストとライフサイクル・コスト—」、⑶関口博正氏(神奈川大学)「公会計における非交換取引(Non—Exchange Transaction)の認識と測定—運営費交付金等の処理を中心にして—」 2 研究部会報告 大矢知浩司氏(九州産業大学)の司会により、以下の3報告が順次行われた。 ⑴東日本研究部会〔主査・小島廣光氏(前出)〕「NPO、政府、企業間の戦略的パートナーシップ」 ⑵西日本研究部会〔主査・吉田忠彦氏(前出)〕「地域と非営利組織のマネジメント」 ⑶特別研究部会〔主査・石崎忠司氏(中央大学)〕「公益法人の財源(贈与・遺贈等)に関する多角的検討」 午後に入り、会員総会では、報告事項・審議事項すべて原案どおり承認されたが、その結果、会則改定により本学会が「非営利法人研究学会」に改称されることとなった。また、2005年学会賞・学術奨励賞の選考結果が報告され、本年の学会賞は、該当作なし、学術奨励賞は、吉田初恵氏(前出)「介護保険制度改革に向けての論点」が受賞、本賞と副賞が授与された。 3 統一論題報告と討論 「非営利組織の今日的課題と展望—新しい『非営利法人制度』も視野に入れて—」をテーマとして、杉山学氏(青山学院大学)の司会の下に、次の4氏により行われた。 ⑴藤井秀樹氏(京都大学)「非営利組織の制度進化と新しい役割」 藤井氏の報告では、まず、わが国における非営利組織の制度進化のプロセスが、比較制度分析の手法を用いて明らかにされた。これを踏まえ、公益法人制度改革における未解決の問題として、(a)公益性の判断基準の不明確性、(b)モラル・ハザードの可能性、(c)公益性と市場原理の関係の未整理といった点が提起され、その解決のためには、成果重視型マネジメント及び非営利組織を財務面で有効に支援しうる優遇税制が必要であるとの指摘がなされた。 ⑵島田恒氏(京都文教大学)「非営利組織の失敗—その原因と予防装置—」 島田氏は、非営利組織の本質に属する要因から派生する失敗に焦点を合わせ、その原因と予防措置を検討した結果、「外部評価の機会の希薄性」という本質から、非営利組織の失敗(「クライアント視点の欠如」、「競争市場への埋没」)が生み出されるとし、その予防措置として、「絶えざるミッションの問い直し」の下での「適切なガバナンス」、「行政や企業との協働」を提言した。 ⑶山岡義典氏(法政大学)「公益法人制度改革で何が変わるか」 山岡氏は、公益法人制度改革の現状を踏まえ、新しい法人制度・税制の要点及び新しい非営利法人制度とNPO法人制度の関係の行方を展望する報告を行った。その中で、特に法人制度では新たな非営利法人の解散時の財産帰属及び公益性の認定、税制では公益性の認定による課税環境の激変が要点であると強調、新しい非営利法人制度とNPO法人制度の関係については、NPO法人よりも新しい非営利法人のほうが選好され、やがてNPO法人制度が新しい非営利法人制度に統合されるのが望ましいとの見解を表明した。 ⑷成道秀雄氏(成蹊大学)「非営利法人課税制度への提言」 成道氏の報告では、「公益法人制度改革の基本的枠組み」に基づき公表された「新たな非営利法人に関する課税及び寄附金税制についての基本的考え方」に検討が加えられ、新たな非営利法人課税制度への問題提起が行われた。そのうえで、「公益性判断」に関して具体的で形式的な判断基準が必要であること、「収益事業課税」に関して特掲収益事業を廃止し原則課税とすべきこと、「寄附金控除制度」に関しては政府による事業活動への干渉に対して十分な配慮がなされるべきであり、自由な公益活動を阻害してはならないことが提言された。 4氏の報告後、多数の会員から寄せられた質問への回答を基に、さらにフロアの会員と報告者の間で議論が展開され、活発な討論が行われた。 統一論題報告・統一論題討議終了後、神奈川大学ラックスホールにて懇親会が開催された。本学会会長松葉邦敏氏(成蹊大学)の挨拶があり、懇親会は終始和やかな雰囲気の中19時散会した。
- 2025WP(特別委員会・大学) | 公益社団法人 非営利法人研究学会
非営利法人研究学会 高等教育機関(大学)特別委員会 ワーキングペーパー(2025年3月) 高等教育機関(大学)特別委員会中間間報告におけるRQ の解説
- 第3回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会
国士舘大学 戸田容弘・臼田正利 統一論題 公益法人の課題と21世紀への期待 1 ミッションベイスト・マネジメント 2 独立行政法人の創設について 3 公益活動における継続事業の概念 4 非営利組織の評価の課題 第3回大会記 1999.10.2 国士舘大学 1999年10月2日(土)、午前10時から公益法人研究学会第3回全国大会が国士舘大学・世田谷キャンパスにおいて開催された。80数名の参加者を得、活発な報告と討論が展開され、最後に懇親会を経て閉会した。 本大会の統一論題は「公益法人の課題と21世紀への期待—公益活動におけるミッションを巡る諸問題—」であり、司会・座長=堀田和宏氏(近畿大学)のもとに4題の研究報告並びに討論が行われた。 自由論題報告は2つの会場に分かれて行われた。A会場では、永島公朗氏(日本大学)の司会のもと、若林茂信氏(公認会計士)「公益法人会計にも国際化の洗礼を」、立岡 浩氏(広島国際大学)「NPO及び組織間関係NPOにおけるマネジメント研究」、B会場では、竹内 拓氏(産能短期大学)の司会のもと、高橋選哉氏(青山学院大学)「NPO法人税制の現状と課題」、樽見弘紀氏(北海学園大学) 「共同募金システムの中心課題〜米国ユナイテッド・ウェイの<ドナー・チョイス>をめぐって〜」の計4題の報告が行われた。 記念講演として、本会会長の守永誠治氏(静岡産業大学)に「大航海時代より大公開時代へ」を講演していただいた。大公開時代に備えて今後の公益法人の発展のためには、本公益法人研究学会の研究とその実務への適用が期待される。 統一論題の報告要旨及び討論は以下のとおりである。 なお、以下の報告要旨のまとめについては、国士舘大学の戸田容弘氏及び臼田正利氏によるものである。 1 ミッションベイスト・マネジメント 報告:島田 恒氏(龍谷大学) 公益法人の存在と活動の本質はそのミッションであり、またその組織発展の原理もミッションに根ざすものである。 したがって、公益法人は、自らの卓越した意図をミッションに表現し、それを成果に獲得して「もう一つの社会」に貢献していく。 20世紀「産業社会」を歴史的に掘り下げ、その発展と限界をDruckerやSimonの所説を説明しながら、自由主義産業社会では、産業の発展、経済の発展は人々に物的豊かさをもたらしはしたが、政治は経済発展を優先し、文化価値が経済的交換価値で値踏みされ、教育は偏差値序列で評価され、「あまりにも経済」という病理を社会にもたらした、と指摘する。そこで、非営利組織の存在の座標を、効率性や公平性・画一性原理ではなく、人間性・市民性・社会性の原理に基づかせ、非常利組織の存在の意義を確保している。 本来ミッションとは、人間を変え社会を変えていくキリスト教の根源的使命を表現する言葉であり、島田氏が関係する日本キリスト教海外医療協力会や(財)アジア保健研修財団のミッションの実践を通して、 独自性と多様性のある非営利組織の第3セクターとして存在感を深めている実証を示した。 それには、絶えす、ミッションを見直し、問い直し、金ではなく、人による協力、 草の根の協力に徹することを確認した。それを支えるものがボランティアとスタッフ、ボラン夕リズムの重要性であり、その源泉はミッションに対する共鳴にほかならない、と指摘している。 2 独立行政法人の創設について 報告:岡本義朗氏(中央省庁等改革推進本部) 平成11年4月27日、「中央省庁等改革推進に関する方針」が中央省庁等改革推進本部(全閣僚により構成)で決定された。それに基づき、独立行政法人(独法と略称)制度が設けられ、その基本となる共通法律事項は、独立行政法人通則法に規定され、本年7月8日国会で成立した。この独法制度の特徴は、第一に、国の事務・事業の実施部門を国家行政組織から独立させた。第二に、国の事務・事業の実施部門に対して、民間の企業経営における長所をとりいれた(独法の特性に応じた形での企業会計原則の導入、自己責任に基づく業務運営の目玉としての評価システムの導入)制度設計である。 この独法には、本来的に追求すべき3つの価値(公共性、自主性、透明性)がある。つまり、公共上の見地から確実に実施され、適性・効率的に運営され、運営の自主性は十分に配慮され、その業務内容を公表して組織及び運営の状況を国民に明らかにすることである。そのため、独法の制度には、①業務運営では、自己責任、目標管理、事後評価(客観性の確保)を導入、②人事管理システムでは、業績給与の導入、役員の公募制、解任の仕組み等を導入、③アカウンタビリティとディスクロージャーの仕組みでは、広範かつ徹底したディスクロージャーのもとに、独法の業務内容、業績、評価等に関する広範な事項を国民に公表する、㈬財務会計制度(国からの予算措置、弾力的な執行、企業会計原則の導入等)により、発生主義の考え方や、複式簿記に従った会計処理が行われ、財務諸表として貸借対照表、損益計算書が作成される。また、その適正性、客観性を担保するため、原則として会計監査人の監査を義務づけた。 企業会計原則導入に伴う主要論点として、①アカウンタビリティの確保、㈪業績評価の観点、課題として、(ア)企業会計における収益と費用の関係、(イ)資本と利益の区別の原則には、独法の制度上の特性に応じて必要な修正を加えて理解する。 特に、運営費交付金、施設費、減価償却の取扱い及び独法の損益計算について、 現時点での意義をこの制度の設定主体者側の立場から論じ、報告している。 3 公益活動における継続事業の概念 報告:小宮 徹氏(公認会計士) 公益事業体は、設立目的そのものが公益的貢献であり使命であるので、社会ニーズに可能な限り応えていくことが公益活動の命題であり、継続事業の存続要件である。 ゴーイング・コンサーンとしての公益事業体は、公益活動を維持・遂行するため収入と支出を伴う。収支の均衡・不均衡は事業体の財産状態に影替を与える。財政的基盤としての純財産(正味財産)は公益活動に必要であり、その適正水準は保持されなければならない。公益事業体は収入面に制約があり、支出面が優先されるので、企業経営よりさらに厳しいチェックアンドバランスの管理手法が適用されるべきであろう。 「公益法人会計基準」では、貸借対照表の作成は取得原価主義に拠るべきことを定めているが、過去の記録である取得原価によって作成される貸借対照表にはその情報的価値に限界がある。公益法人会計でも、貸借対照表は時価主義によって作成することが望ましい。 公益法人の内部留保の計算方式は、総資産から公益法人に必須の財産と純負債(引当資産を控除した後の)を差し引く方式であり、合理的である。 財政安定のため支出は収入の範囲にとどめ、特に長期収入と長期支出の均衡を図る。正味財産の増減は長期財政収支の均衡を示す。長期事業計画に基づき長期予算を編成し財政収支の行先を見通し、採算性の維続的維持を図る。長期予算編成には、予算による計数管埋が不可欠で、①長期事業方針、②収入予測、③資金調達計画が特に重要でめる。 公益活動の成果は、公益事業体が提供するサービスとして、その受益者等の利害関係者から評価される。しかし、その質的成果や量的評価は難しい。公益活動の社会的貢献の尺度を計測可能な財務的数値に求めるとすれば、その成果は、資金を如何に効果的に公益活動に投下したかで評価され得る。資金財源の調達、公益活動のコストの負担も評価の一面である。 それらの社会的評価のもとで、公益事業体は、ゴーイング・コンサーンとして支持を得、存続する、と指摘している。 4 非営利組織の評価の課題 報告:石崎忠司氏(中央大学) 非営利組織の評価は財政の評価だけでは不十分である。多面的な評価判断が必要である。非営利組織の評価を営利組織の評価との比較によって検討している。 1 非営利組繊のミッションと経済合理性の両立 組織目的・形態からみた不経済性では、経済合理性、コスト、品質、時間を戦略要因と認識した経営戦略をとっているか。経済合理性が組織の存続を左右し、組織存続のためには戦略が重要である。 2 非営利組織の評価体系 営利企業の業績評価が多元化しており、この背景が非営利組織の評価にも影響を与えている。その評価体系には、㈰「成果評価」=ミッションの達成度の評価、㈪「組織評価」=組織の多面的な総合評価、を指摘する。「成果評価」としての有効性、公益性、経済性の評価では、「公益性の良否は有効性の良否を左右する」、「有効性の良否は経済性の良否を左右する」、「経済性の良否は公益性を左右する」という関係にある。 3 有効性(ミッションの達成度)の評価方法——成果評価 資金が拠出されている場合にはガバナンスが生じる。ミッションの成果の要因分析においては、①ミッションの妥当性、②顧客ニーズの把握の妥当性、③ミッション遂行計画の妥当性を挙げている。 4 公益性(ミッションの戦略・計画)評価方法 5 経済性(資金の制約)の評価方法 非営利組織の会計制度の体系化が進んでいないため、経済効率の評価、財務安全性の評価、組織間比較に困難性がある。 6 非営利組織の組織評価 複数の指標による総合評価=効果性、公益性、経済性をまとめた多様な総合評価の必要性を指摘している。 また、評価の課題として、情報の公開、第三者機関による評価、評価指標の開発と標準値の算定・公開、社会性、環境パフォーマンスの評価方法の確立など多様な課題を指摘している。 討論会では座長:堀田和宏氏(近畿大学)の司会のもと、発表者4人の報告に基づいて、以下の諸先生から、社会的ニーズとしてのミッションの在り方、ミッションベイスト・マネジメントの評価、ボランティア組織のガバナンス、非営利組織の成果評価、企業会計原則の導入と公会計原則の在り方、減価償却の取扱いなどについて 質疑応答があり、熱心な討論が行われた。質問者は次のとおりである。 臼田克昌氏(日本赤十字社)、吉田忠彦氏(近畿大学豊岡短大)、亀岡保夫氏(公認会計士)、岡村勝義氏(神奈川大学短期大学部)、会田一雄氏(慶應義塾大学)、菊谷正人氏(国士舘大学)、斎藤真哉氏(青山学院大学)、小島廣光氏(北海道大学)、立岡 浩氏(広島国際大学)、守永誠治氏(静岡産業大学)、江田 寛氏(公認会計士)、高橋選哉氏(青山学院大学)、服部信男氏(静岡産業大学)、樽見弘紀氏(北海学園大学)、武田昌輔氏(成蹊大学)、早坂 毅氏(関東学院大学)、保谷六郎氏(聖学院大学)、松葉邦敏氏(国士舘大学)、薄井正徳氏(目黒寄生虫館)。 統一論題発表報告・討論終了後、5号館学生ホールにおいて懇親会が開催された。 開催校を代表して国士舘大学・三浦信行学長の挨拶があり、 なごやかな雰囲気のなか19時30分終了した。
- 文献四季報 | 公益社団法人 非営利法人研究学会
書 名:非営利法人経営論 執筆者:岩﨑保道[編著] 所属機関:高知大学評価改革機構 発行所:大学教育出版 発行年月:2014年10月 総ページ数:190 書 名:非営利組織のソーシャル・アカウンティング― 社会価値会計・社会性評価のフレームワーク構築に向けて ― 執筆者:馬場英朗 所属機関:関西大学 発行所:日本評論社 発行年月:2013年10月 総ページ数:218 書 名:ボランティアの今を考える 執筆者:桜井政成[編著] 所属機関:立命館大学 発行所:ミネルヴァ書房 発行年月:2013年9月 総ページ数:222 書 名:戦略的協働の経営 執筆者:後藤祐一 所属機関:長崎大学 発行所:白桃書房 発行年月:2013年4月 総ページ数:140 書 名:非営利組織の理論と今日的課題 執筆者:堀田和宏 所属機関:近畿大学 発行所:公益情報サービス 発行年月:2012年3月 総ページ数:917 書 名:非営利組織の理論と今日的課題 執筆者:堀田和宏 所属機関:近畿大学 発行所:公益情報サービス 発行年月:2012年3月 総ページ数:917 書 名:市民社会政策論―3・11後の政府・NPO・ボランティアを考えるために― 執筆者:田中弥生 所属機関:(独法)大学評価・学位授与機構 発行所:明石書店 発行年月:2011年8月 総ページ数:384 書 名:現代企業簿記会計 執筆者:横山和夫 所属機関:東京理科大学 発行所:中央経済社 発行年月:2002年9月 総ページ数:504 書 名:非営利組織体の会計 執筆者:杉山 学 他 編著 所属機関:青山学院大学 発行所:中央経済社 発行年月:2002年9月 総ページ数:330 文献四季報 このページは本学会会員が発表した図書・学術論文を収録するものです。会員の研究学績を広く社会に紹介するために設けました。情報がありましたらメール等にてお寄せください。 なお、執筆者の所属機関は発表当時のものです。 ■図書の部
- 2023最終報告(NPO法人研究会) | 公益社団法人 非営利法人研究学会
非営利法人研究学会 NPO法人研究会 最終報告 (2021年9月-2023年9月) NPO法人制度の特長と新たな展開の可能性
- 第22回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会
第22回大会記 2018.9.8-9 武蔵野大学 統一論題 NPO法施行20年~その回顧と展望~ 平成30年9 月7 日(金)より9 日(日)の日程で、非営利法人研究学会第22回全国大会が行われた。会場は、2020年東京オリンピックのメイン会場として様々な工事が急ピッチで進められる江東区有明に所在する武蔵野大学有明キャンパスにおいて、武蔵野大学に所属する5 名の準備委員のもと、本大会は盛大に開催された。本稿は、今大会の概要を報告するものである。 今回の大会の統一論題テーマは、「NPO法施行20年~その回顧と展望~」であり、1998年のNPO法施行より、20年間経過した現時点で回顧を試み、これからの20年間を展望することを目的として設定された。 まず、基調講演として、1998年当時、NPO法の制度設計に経済企画庁国民生活局長という立場で携わった井出亜夫氏(元経済企画庁国民生活局長、元慶應義塾大学教授)による「NPO法制定当時を回顧する」というテーマで行われた。その後、統一論題報告者として、濱口博史氏(弁護士)および江田寛氏(公認会計士)による報告が行われた。井出氏は制度設計から、濱口氏は法律専門家から、江田氏は会計専門家からこの20年間のNPOの諸制度を牽引してきた立役者であり、含蓄のある報告が行われた。以後、報告要旨を掲載する。 また、自由論題報告は、各地方部会での予備報告を経た10の報告が行われ、各会場ともに闊達な議論が展開された。なお、本稿に掲載の要旨は、各報告の司会者に依頼したため、原文に忠実に掲載するため、文字数等の体裁に少々の不統一さがあるが、ご了解いただきたい。 基調講演 「NPO法制定当時を回顧する」(井出亜夫・元経済企画庁国民生活局長、元慶應義塾大学教授) 井出報告の要旨は以下の通りである。まず、市場経済のグローバル化に伴いNPO活動が活発に展開されるようになってきた。しかし、日本においては、1995年の阪神・淡路大震災がその契機となったが、わが国民法は、その具体的受け皿を欠き、戦後の民法改正においても公益は国家(行 政)が司るという公益国家(行政)管理主義が貫かれていた。NPO法の制定は、この明治憲法思想を延長する考えを是正する一歩を切り開いたが、長年にわたる公益国家管理主義思想は一朝にして変わるものではない。冷戦の終結に伴い、市場経済システムは格差の拡大等の問題も発生させ、企業の社会的責任を求める声も大きくなっている。より高度な市民社会の形成に当ってNPOの役割は大きい、とする。 統一論題報告 第1 報告 「法律専門家から見たNPO法20年」(濱口博史・弁護士) 濱田報告の要旨は以下の通りである。NPO法の制定時においてはNPO法人と旧民法法人とのすみわけが論ぜられたが、民法改正と一般法人法及び公益認定法の制定によって状況が変わった。そこでは、所轄庁による認証に基づく設立の意味が問われている。また、準則主義をとり、税法上ではあるが非営利型の類型をもつ一般法人法との関係が問題となるに至った。そして、これらを踏まえたとき、NPO法の今後の方向性が問われる。 本報告では、認証にかかわる部分について、一般法人法との関係について、の二点に場合分けして、今後のあるべき姿について濱田氏の私見が述べられた。 第2 報告 「NPO法人会計基準の考え方と2017年12月改正の方向性」(江田寛・公認会計士) 江田報告の要旨は以下の通りである。まず、報告の前半は、NPO法人会計基準制定以前の状況について言及し、NPO法人会計基準の策定がいかに必要性であったかを強調される。引き続き本報告では、同基準が提示した重要なテーマについて言及した後、策定以後の状況について課題を含 めて検討している。 そして最後に江田氏のメッセージとして、以下の2 点が強調された。まず、市民とNPO法人を繋ぐ架け橋としてのNPO法人会計基準が「市民の手」でよりブラッシュアップされ、NPO法人の社会的評価の確立に貢献してほしいと思っていること。加えて、本非営利法人研究学会所属の研究 者及び実務家諸氏のサポートを強く期待すること。 自由論題報告 自由論題報告第一会場 第1 報告 「非営利組織とはどのような組織か」(松原由美・早稲田大学) 松原報告は、非営利組織の定義の再考を検討したものである。まず、定義を「ある概念 L. M.サラモン(1982)」による非営利組織の定義、公益法人制度改革(『有識者会議報告書』2004年)や経済産業研究所の『新しい非営利法人制度研究会報告書』における非営利組織(法人)の定義を検討し、問題点を指摘している。そして松原報告は、⑴まず、営利を定義(営利とは、利益を上げること)し、⑵営利の否定語として非営利の定義(非営利とは、利益を上げないこと)をし、⑶非営利組織を「利益を上げない組織」と定義する。さらに、この定義における「利益」とは「将来のコスト」であると主張された。 第2 報告 「東大阪市版地域分権制度確立にむけての軌跡と課題」(中塚華奈・大阪商業大学) 中塚報告は、2012年度から始まった東大阪市の地域分権制度の確立に向けての取り組みの経緯と軌跡を概観し、東大阪市の「協働のまちづくり部」と共同で著者が実施した関係諸団体へのアンケート調査や聞き取り調査をもとにして、制度確立を阻む要因の抽出と課題を明らかにしたものである。中塚報告では、結論として次の4 つの課題をあげている。⑴既存活動の後押しもできる制度への拡充の検討。⑵様々な立場の市民が存在することから、情報公開・伝達方法の検討および拡充。⑶条例策定のような原理原則、価値観、方針の決定にはトップダウン的アプローチ、具体的な行動や判断についてはボトムアップ的アプローチという、両者の特性を活かしたアプローチの検討。⑷地域分権には「地域=地域」、「地域=役所」、「役所=役所」の協働が必須であるが、今回は「役所=役所」の協働が機能せず、縦割り行政の弊害であると考えられるので、部局横断的に進める権限を有する部署の必要性。 第3 報告 「社会的投資によるコミュニティ再生―英国のコミュニティ・シェアーズを事例に―」(今井良広・兵庫県地域創生局長) 今井報告は、近年財政制約が深刻化する中で多様化・複雑化する社会課題の解決方策としての役割が拡大しつつある社会的投資について、その概念、理論的背景を探り、英国の事例を用いて社会的投資をめぐる政策形成・展開過程を考察した。特にコミュニティへの参加型投資スキームであるコミュニティ・シェアーズ(community shares)に焦点をあて、その普及・拡大状況を明らかにした。わが国でも社会的投資の拡大に向けた検討が進められており、休眠口座の活用、法人制度の創設などとともに、個人投資家層の充実について提言がなされている。そのなかでコミュニティ・シェアーズの市民参加型の取り組みを参考にすべきことも多いとの報告がされた。今後、コミュニティへの資金供給の流れを拡大し、持続的なものにしていくには、コミュニティ・シェアーズに適用される投資減税制度や自主的認証制度、情報開示方法なども参照していくべきとの提言がなされた。 第4 報告 「職業能力開発と非営利法人:技能継承の担い手として」(初谷勇・大阪商業大学) 初谷報告は、NPO政策の規範的検討として、NPOの存立や発展を支援する「基底的NPO政策」とNPOとの政策遂行主体との間での協業関係におけるNPOの位置を検討する「派生的NPO政策」とを峻別し、さらにこのフレームワークをNPO法人だけでなく、広く公益法人や特別法に基づく 法人にも広げて検討を試みる。本報告はそうした流れにおいて特別法に基づく法人として職業訓練法(職業能力開発促進法)に基づく職業訓練法人に焦点を当てた。同法人制度の立法経過、改正経緯、役割期待や活用の実態を考察し、存在意義、法人の現況とその問題の摘出、解決の道筋を検討する。また、働き方改革などの雇用・労働政策の改正が進められるなか、政策体系の一翼を担う職業訓練(職業能力開発)政策について『「鼎立するNPO政策」の構図と枠組み』を適用することにより見出された課題についても検討した。 第5 報告 「日本のNPO支援組織の展開」(吉田忠彦・近畿大学) 日本のNPO支援組織は、NPOの普及にしたがって事業内容や方向性を変化させてきた。「NPOサポートセンター」と呼ばれたりする時期もあったが、近年では「中間支援組織」という呼び方が定着してきた。報告では支援組織の類型が報告され、最近の動向を写真と共に紹介された。日本における「中間支援組織」は、その名称のルーツと思われる「intermediary (organization)」とは若干のズレがあることが報告された。特に多くのNPOが必要とする財源確保への支援が手薄であったが、最近になってそのズレを埋めるような動向として「市民ファンド」や「日本ファンドレイジング協会」に代表されるような動きが報告された。一方では行政による市民活動支援施設の設置はさらに普及している。この報告では、それらの日本のNPO支援組織の動向を紹介し、今後の展開の可能性が示された。 自由論題報告第二会場 第1 報告 「NPO経営者におけるアカウンタビリティの質的データ分析」(中嶋貴子・大阪商業大学) 本発表は、岡田彩氏(金沢県立大学)との共同研究であるが、今回は中嶋氏のみの発表となる。発表の要旨は次のとおりである。 日本の非営利セクターはNPO法施行20年を迎えたものの、特にNPO経営者が考えているアカウンタビリティ概念については十分に論じられていない。そこで、NPOの代表理事などの経営に携わる人を対象にインタビュー調査を実施し、質的データ分析法に従ってコンテンツ分析を行い、彼 らが有するアカウンタビリティ概念の共通性を明らかにすることが本発表の目的である。 インタビューは8 団体9 名を対象に実施された。コンテンツ分析で対象とした13項目の利害関係者に関する項目のうち、重視する利害関係者として、「一般市民・地域住民」「政府機関」「日本国 内の他のNPO」の3 つが共通概念として浮かび上がった。次に、説明責任の果たし方に関する対応方法に関する20項目のうち「活動の成果を高める」「協同的なパートナーシップ構築・維持する」「正確な情報を提供する(財務に関する情報以外)」「様々な意見に対応し、運営にフィードバックする」の4 つが共通概念として浮かび上がった。最後に、利害関係者と対応方法のコンテンツ分析の結果をクロス集計し、それぞれの共通概念の関係性を示す概念マトリックスを作成した。その結果、「成果向上に対する交渉的アカウンタビリティ」「ミッションに基づく先見的アカウンタビリティ」「参加促進に対する創造的アカウンタビリティ」の3 つが示された。 以上の発表に対して、フロアーからは対象となるNPO経営に携わる人の範囲がもっと広いのではないかという質問が寄せられた。 第2 報告 「『創業者統治』の機能からみるガバナンス―ミッションとアカウンタビリティの相克―」(川野祐二・下関市立大学) 発表の要旨は次のとおりである。非営利法人の創業者・設置者によるガバナンス(創業者統治)体制は、非営利法人経営者の暴走を防ぎ、ミッションを確実に履行するための統治手段の一つとなる。しかし、創業者統治が強力に行われると、経営者が創業者へのアカウンタビリティを重視するあまり、かえってミッションを軽視する可能性を秘めている。このアカウンタビリティとミッションの関係性の矛盾と克服を考察する必要があるが、その先には実は天下り問題があり、個々の非営利法人のガバナンスの在り方を考えるうえで、創業者と経営者の関係性の構築は主柱の一つとなる。 非営利法人のガバナンスを考えるうえで起点に据えるべきはミッションであり、誰のものでもない非営利法人は「誰のため、何のため」という視点からガバナンスを構築すべきである。しかし、それでもいくつかの問題を抱えることになる。例えば、経営者が暴走した場合、営利企業の株主総会では、所有者たる株主が「もの言う株主」となってそれを是正する機能を有している。しかし非営利法人の場合は、最高意思決定機関である社員総会や評議委員会を構成するメンバーは法人所有者ではない。したがって、所有意識のない構成メンバーがミッションの維持や経営の健全性に無関心になる傾向があることを心得る必要がある。むしろ非営利法人の方が、経営者の暴走を見過ごす傾向があるといっても過言ではない。こうした状況で非営利法人は、「ミッションを健全に目指す経営をいかにして確保すればよいのか」が問題となる。 発表そのものは15分ほどで終わり、そのあと質問となったが、フロアーから質問が出なかったので、司会者が最近のスポーツ系非営利法人のガバナンス問題を例に質問をし、多少の議論を行った。そのあと、岡本仁宏氏(関西学院大学)より、高所大所からアドバイスがあった。 第3 報告 「公益法人税制改革における政府税制調査会の役割」(出口正之・国立民族学博物館) 公益法人税制改革において、政府税制調査会の果たした役割は大きなものがあった。 政府税調は、公益法人に対しては、不公平税制の是正という観点から、一般法人の事業との競合性がある場合、収益事業課税の原則に則ることが適当であるとしてきた。しかしながら、平成17年の答申では、公益法人制度改革に合わせて、「理念としての税制」を検討している。すなわち、「わが国においては、寄附文化はこれまで比較的希薄と言われており、寄附文化を発展させるためには、寄附金税制の抜本的な改革のみならず、公益的な非営利法人において適正な事業活動や情報公開により寄附者の理解を得るための一層の努力が求められる」としている。このような経緯を経て、わが国における公益法人税制改革において、新たな寄附金制度が導入された。 公益法人に関する税制改革は、公益法人制度改革に合わせて、政府税制調査会におけるこのような議論を踏まえて、理念の税制として捉えなおした結果であるといえる。 第4 報告 「一般法人の非営利性についての再検討―非分配制約の意義を中心に―」(古市雄一朗・大原大学院大学) 営利法人と非営利法人を分類する基準として、組織の活動期間中に剰余金の分配を行わない事および残余財産を特定の者に分配しないという非分配制約は、制度においても重要な役割を果たしている。非営利組織は、非分配制約を課されることで、社会からの信頼を得て活動を推進することができ、例えば、寄付や補助金という資源の提供を受け入れやすいことがある。 一般法人の場合、剰余金及び残余財産の分配が行われないことが制度上求められていると理解されている。しかしながら、一般法人法第239条第2 項は、定款の規定により残余財産の帰属が定まらないときには、「その帰属は、清算法人の社員総会又は評議員会の決議によって定める」と規定している。このため、特定の社員や設立者、その他利害関係者に残余財産を分配することが可能となっている。残余財産が実質的に分配可能な一般法人は、非営利組織として分類されることに検討の余地があるといえる。 第5 報告 「非営利法人における実質的配分可能性」(齋藤真哉・横浜国立大学) 非営利法人の特性として、剰余または残余財産についての非分配性を挙げることができるが、現実には実質的に非分配性を否定する状況が見受けられるとの問題意識にもとづき、⑴剰余等が実質的に分配されている可能性はどのような状況で生じうるのか、⑵公益性のある事業の拡大・充実を図ろうとする場合に、剰余等の実質的分配可能性にどのように対応する必要があるか、について検討がなされた。 まず、実質的分配可能性の状況として、齋藤氏は、①残余財産の帰属(例えば、出捐者(設立者)に対する残余財産の寄附や、当該法人の管理者が統制している他の非営利法人への非合理的な財産移転の場合)、②役員報酬等(例えば、当該法人の役員に就任している出捐者や社員、その家族等に対して、社会通念上妥当と考えられる金額を超えた額が報酬等として支払われる場合)、③利益相反取引(例えば、出捐者や社員が役員を務める株式会社(営利法人)との間で、当該株式会社に超過収益を与えるような価格で取引がなされる場合)の3 つを提示された。 そのうえで、公益性のある活動の「真の発展」に向けて、行政の外郭団体を民間非営利法人としての位置づけから除外すること、税制上の非営利型の再検討、公益性の判断を実質的に行うこと、情報公開の充実とアクセスの容易化、これが求められるとの提言がなされた。 介護・福祉系法人研究部会セッション 今回の全国大会では、新しい試みとして研究部会の研究成果を中心とした小規模なセッションを企画した。その目的は、地域包括ケアシステムの運用が始まり、また新しい非営利の法人格として、地域連携推進法人の設立が可能となったからである。制度改革の渦中にある医療・福祉系の非営利法人に関する情報を共有し、学会の有識のメンバーからの意見等をくみ上げ、今後の展開にむけて有意義な議論を喚起することが本セッションの役割である。 本セッションは、千葉正展氏(独立行政法人福祉医療機構)の司会により、「包括化」をキーワードに、吉田初恵氏(関西福祉科学大学)による「介護の包括化」、玉置隼人氏(厚生労働省地域福祉課)による「福祉の包括化」、上村知宏氏(独立行政法人福祉医療機構)による「医療の包括化」という論点で報告が行われ、その後、パネルディスカッションが行われた。当代、制度設計の最先端をひた走る気鋭の面々による最先端の議論は、極めて有益な内容となった。 本セッションの報告要旨は、千葉氏による別稿により、改めて開示する予定であり、本稿では割愛させていただいた。
- 各種規程 | 公益社団法人 非営利法人研究学会
定款 会費等に関する規則 部会運営規程 (令和4年12月27日改正) 分野別研究会運営規程 ( 令和4年12月27日改正) 特別委員会運営規程 (令和4年12月27日新設) 学会誌に関する規程 ( 令和5年9月15日改正) 学会誌以外の著作物に関する申し合わせ 学会賞及び学術奨励賞等に関する規程 ワーキングペーパー投稿規程 スタディグループ運営規程 研究倫理規程 全国大会運営規定 (令和4年12月27日改正) 自由論題報告申込書(Word) (PDF) 各種規程
