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  • 第11回学会賞・学術奨励賞 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    学会賞・学術奨励賞の審査結果 第11回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成24年8月25日 非営利法人研究学会 審査委員長:堀田和宏    非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第11回学会賞(平成23年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(平成23年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(平成23年度全国大会における報告 に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。 1. 学会賞  該当作なし 2. 学術奨励賞  該当作なし  3. 学術奨励賞特賞  該当作なし

  • 第27回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第27回大会記 2023年9月16日~17日 大阪商業大学 統一論題 「非営利法人(非営利組織)の振興と支援」 1 はじめに  公益社団法人非営利法人研究学会第27回全国大会が、2023(令和5)年9月16日(土)・17日(日) の両日、大阪商業大学(大阪府東大阪市)のユニバーシティホール蒼天、4号館2階・3階等を会場として開催された。  2023年5月に新型コロナウィルス感染症も5類感染症に移行したことから、本大会もすべてのプログラムを対面で実施した。幸い両日とも好天に恵まれ、全国から90名を超える多数の会員・非会員の出席をいただいた。  本大会では、統一論題を「非営利法人(非営利組織)の振興と支援」と設定し、社会の中で非営利法人(非営利組織)をいっそう振興し、幅広く支援する政策や活動、制度や仕組みのあり方について、研究報告や討論会を行うこととした。  大会中は統一論題報告、自由論題報告、四つの分野別研究会と一つのスタディグループによる研究報告が行われた。また、本大会独自の企画ワークショップや企画セッションでは、非営利法人による公益的活動の持続的発展や柔軟な展開に資する法制や税制、支援のあり方について、理論と実務の両面から議論を深めることができた。  大会前日の9月15日(金)に常任理事会と理事会、16日(土)に社員総会と新理事会が開催された。 2 統一論題 報告及び討論  かつて東西冷戦の終結を背景として、世界的な民間非営利セクターの台頭が論じられた。爾来四半世紀余りを経て、わが国でも非営利法人(非営利組織は、社会や地域の充実・発展に不可欠な 主体として大いに普及、定着してきた。一方、公益法人制度をはじめさまざまな法人類型にわたり不断に改革が重ねられている。  ロシアによるウクライナ侵攻など国内外における政治・経済・社会の激変の下、政府、民間企業と鼎立する非営利法人(非営利組織)は、改めてその存在意義や果たし得る役割、機能を強く問われている。  そこで、本大会では、前掲のとおり、統一論題を「非営利法人(非営利組織)の振興と支援」と設定し、3名の会員による「報告」、座長の進行の下「討論」を行った。 2.1 統一論題報告 (16日、13:00-14:45) (1) 解題(統一論題趣旨説明) [司会]初谷 勇 氏(大阪商業大学)    導入として、統一論題を「非営利法人(非営利組織)の振興と支援」と設定した趣旨説明と本論題に込めた問題関心、次いで3名の報告者の紹介ならびに報告を依頼した趣旨など「解題」がなされた。  統一論題報告では、非営利法人(非営利組織)の一層の充実と伸展を支える振興策や支援活動等 について、現状を把握、評価し、解決の急がれる課題について、取り組むべき方策等も含めて論ずるものとした。特に、「国民、市民や専門家など個人」、「民間企業、中間支援団体、士業団体など組織や団体」、「国・地方自治体の政策、制度」の各々による振興と支援という3つの側面と、それらの側面相互の関連性も踏まえつつ、理論と実践をつなぐ活発な議論を目指すものとした。  次いで、各報告者から以下の研究報告がなされた。 (2) 第1報告 「専門職・士業団体による公益的活動と非営利法人の振興と支援:弁護士及び弁護士会の取り組みを事例として」 三木秀夫 氏(弁護士)  本報告では、まず、三木氏が弁護士、プロボノとして早期から培われた非営利法人(非営利組織)への持続的な関心と、さまざまな非営利法人への多角的な関与の経験が紹介された。  その上で、「専門職・士業団体の制度的な位置づけと、その公益的活動とは何か。それらの公益的活動には、非営利法人の振興と支援に当たるものがあるのか」という問題関心の下に、①個々の弁護士個人による自発的な公益的活動、②単位弁護士会やそれらの連合会という組織の活動、③弁護士や弁護士会の運動や提言に基づき、あるいは契機として推進、整備されている政策や制度、という3つの局面から見た非営利法人(非営利組織)の振興と支援について論じられた。 (3) 第2報告 「非営利法人の振興に寄与する『中間支援』とは何か:NPOそして中間支援組織の言語論的転回の視点」 吉田忠彦 氏(近畿大学)  本報告では、まず経営学、組織論の研究者として、吉田氏が非営利法人(非営利組織)への問題意識を抱いた経緯と、多年にわたり研究対象としてきた「中間支援組織」の系譜、現状の紹介がなされた。 その上で、「非営利法人の振興に寄与する『中間支援』とは何かを論究」し、「『NPO』、『中間支援組織』を、言語と活動との関係から分析する」ことを研究目的とし、その考察のために、わが国で非営利法人(非営利組織)の「中間支援組織」と見なされる組織の系譜と発展の経緯、それらの組織の設立パターンを整理された。 次いで、「NPO」、「中間支援組織」という言語と、実際の組織やその活動の実体との結びつきに「ゆれ」があるとし、「中間支援組織」という用語とその意味を分析するアプローチとして、「人文学における言語論的転回の視点を導入」して説明された。 (4) 第3報告 「非営利法人の官民協働理論の応用としての『フィランソロピー首都』創造に向けた取り組み」 出口正之 氏(国立民族学博物館)  本報告では、まず、非営利研究者として、文化人類学的な視点から会計問題に関心を伸展させてきた出口氏の、非営利セクターの振興と支援に関するこれまでの取り組みが紹介された。  その上で、「アンソロビジョン(人類学的思考)で非営利法人制度を再検討」するため、大阪府・ 市の政策に参与し、その「副首都ビジョン」(2017年)で副首都の4機能の1つに挙げられた「民都」の具現化を図り、非営利セクター全体の民間組織を目指す「『民都・大阪』フィランソロピー会議」 を発足させて運営してきた経験とその活動成果について報告された。  次いで、この「民都・大阪」フィランソロピー会議の運営の羅針盤として、Bryson、Crosby、Stoneらの論文で示された「セクター間協働」の成功の要素に係る「22の提案」を参照したことが紹介され、実際に適用・援用した結果を評価された。 2.2 統一論題討論 (16日、17:15-18:15)  統一論題「非営利法人(非営利組織)の振興と支援」について上記の3報告を受けて、同日後刻 に、統一論題の討論が行われた。  討論者を兼ねる座長(初谷 勇 氏)から、3報告に対してコメントと質問がなされ、三木秀夫 氏、 吉田忠彦 氏、出口正之 氏の各パネリストから回答やコメントが返され、活発な討論が行われた。フロアから寄せられた質問にも、指名を受けたパネリストから応答がなされた。 3 自由論題報告  今大会は、2022年12月に改正された新たな学会諸規程に基づき運営したところであるが、自由論題報告についても、地域部会での報告、推薦を得て応募する方法に加え、大会準備委員会に直接申し込み応募する方法が整えられたことから、2023年6月末の締切までに、両方法の選択により計7名の会員の応募があった。  7月初旬に準備委員会を開催し、応募原稿の形式・内容を確認の上、全ての応募を採択し、大会で報告をいただいた。後掲のスタディグループ中間報告と合わせて、大会両日とも同時に4会場に分かれ、おのおの個別に司会者を立て、平行して以下の自由論題報告がなされた。各会場では、報告に対して真摯な質疑応答が交わされた。 3.1 自由論題報告① (16日、16:20-17:00) (1) 第1報告 (16日、1-1) [司会]馬場英朗 氏(関西大学) 「公益法人に要求される収支相償の考察 ― 特定費用準備資金と地方財政法等に係る積立基金の比較 ―」 苅米 裕 氏(税理士)  本報告では、公益認定基準の一つである収支相償に対する問題意識から、「年度間の財源調整等の規定が、地方公共団体には前年度までの歳入欠陥を埋めるための財源、及び災害等により生じた経費又は減収の財源として、財政調整基金の積立による対応が図られているが、公益法人には過去の正味財産の減少額を充当すること、また、災害等の不確実な事象に対するその対応措置が存していない」ことに着目し、「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」の最終報告で当該対応の欠落をフォローする公益充実資金(仮称)の措置を求める旨の記載がなされていることを評価し、「地方公共団体の財政運営に類似する環境下を参考とする対応」を期待するとされた。 (2) 第2報告 (16日、1-2) [司会]中嶋貴子 氏(大阪商業大学)  「自治体外郭団体の運営実態に関する研究 ― 自己組織性の視角による考察に基づいて―」 吉永光利 氏((公財)倉敷市スポーツ振興協会)  本報告は、「自治体外郭団体が国等による多様な行政施策に対応しながら、どのような運営を行っているのか、自己組織性の視角から、その実態を考察するものである」。  外郭団体は、「その特性から、組織の存続可否も含めて、国等が行う施策の影響を受けることが多い」が、「従来の国等による支配的・管理的な運営から脱却し、自律性をもった運営へと転換している事例が見られる」。そこで、本報告では、「自治体外郭団体の運営がどのように変わっているのか、とくに、変容の起点となる人(職員)の意識や行動に焦点を当てて、運営の実態を考察」している。 ⑶ 第3報告 (16日、①-3) [司会]吉田初恵 氏(天理大学) 「戦中期自伝からみる企業家フィランソロピストの篤志観形成史 ― 石橋正二郎と水明荘夜話」 川野祐二 氏(下関市立大学)    本報告では、「日本を代表する非営利法人の多くが、日本を代表する企業家たちによって創設され、また支援されてきた」こと、また、「時代を象徴する社会貢献事業は、企業を率いた『企業家』によって実行に移された」との認識の下、「ブリジストンの創業者にして、石橋財団や九州医学専門学校 などを創設、芸術と教育の社会事業家でもあった石橋正二郎をとりあげ」ている。1944(昭和19)年11月という「戦中期に記された石橋正二郎初の自伝『水明荘夜話』に注目し、戦中期およびその前後における彼の篤志観の一端を歴史的に考察」された。 3.2 自由論題報告② (17日、16:20-17:00) ⑴ 第4報告 (17日、②-1) [司会]馬場英朗 氏(関西大学) 「決算書から見るNPO法人会計の問題点 ― 北海道をケースとして ―」 大原昌明 氏(北星学園大学)    本報告では、「適正な決算書を作成することは、法人のミッションを遂行するための会費収入や寄付金収入を安定的に受け取るための大前提」としたうえで、「NPO法人の決算書作成実務に存在する問題点を、実態調査(北海道内のNPO法人の全数調査)を通して抽出し、その問題点を解決するための方策を考察する検討資料」を提示している。決算書作成にかかわる問題点として、⑴会計基準準拠か否か、⑵計算構造周知の不徹底さ、⑶すべてがゼロ法人、⑷区分表示と項目の適否の4点、また、情報開示の現状に関する問題点として、3割程度の法人が事業報告書等を所轄庁に未提出であることを指摘し、これらの問題点を解決し、信頼性を高め、比較可能性を担保するためにも、会計基準準拠の決算書作成をなお一層啓発すべきと提言されている。 ⑵ 第5報告 (17日、②-2) [司会]中嶋貴子 氏(大阪商業大学) 「地方自治体が推進する要保護児童を対象とした就農プロジェクト~きつきプロジェトの事例~」 山田敦弘 氏(日本総合研究所)    本報告では、近年「人口減少などに起因する様々な課題を抱える地方自治体において」、「福祉を推進することで地域再生も合わせて推進することができれば、理想的な取組みである」との問題意識の下に、報告者も深くかかわった大分県杵築市における「きつきプロジェクト」(大分県内の九つの児童養護施設の入所児童を対象に、杵築市の農家及び農業法人で1日~数日の就農体験をしてもらう事業)の事例研究を行っている。「福祉の推進」と「地域再生」の連携の可能性、直面する課題、解決ポイントなどについて、主に地方自治体の立場に立って分析した成果が発表された。 ⑶ 第6報告 (17日、②-3) [司会]森美智子 氏(熊本県立大学) 「我が国の非営利組織会計統一化の必要性 ― 病院及び社会福祉法人会計の相違点に焦点を当てて ―」 谷光 透 氏(川崎医療福祉大学)    本報告では、「医療法人であっても社会福祉事業を行うことができるため、社会福祉事業を主たる事業としている社会福祉法人と事業が重複しており、それぞれ会計基準が異なるために事業の横断的理解が困難」な現状にあるとの問題意識の下、「⑴病院会計準則、医療法及び社会福祉法の目的」 と「⑵それらの目的に沿った情報開示制度の現状」の視点から、非営利組織会計統一の必要性について検討がなされた。 ⑷ 第7報告 (17日、②-4) [司会]藤澤浩子 氏(法政大学) 「地域担当職員制度の真価」 井寺美穂 氏(熊本県立大学)    本報告では、「人口減少時代の地域経営/自治体経営のためには、地域と行政の対話や協働を促し、双方が知恵を出し合いながら、効率的に問題へ対処していく必要があり」、「地域問題に対応可能な地域の自治力を向上・維持するためには、自治力を補完する仕組みの構築が必要である」との問題認識の下に、仕組みの「一つである地域担当職員制度」を取り上げている。    多くの自治体に注目されながらも、浸透していない同制度の「問題点を考察しながら、その有用性に注目し、地域への適応可能性について検討」している。熊本市、長洲町など熊本県内4市町における同制度運用状況の調査結果も踏まえ、地域担当職員制度の機能と逆機能を挙げ、それらの逆機能を解消し、有用性を高めるよう、「自治体組織全体による総合的な仕組みづくりに関わるような制度設計」の必要性を説かれた。 4 分野別研究会報告(17日、9:30~12:10)    分野別研究会報告は、大会2日目の17日午前に、四つの研究会の報告を連続して実施した。分野別研究会は2年間の活動期間とされており、「公益・一般法人研究会」は初年度をおえての中間報告、  「NPO法人研究会」、「医療・福祉系法人研究会」、「大学等学校法人研究会」の3者は2年度目をおえての最終報告であった。    なお、2022年12月の学会諸規程の改正により、現行の分野別研究会は、各々その最終報告をもって終了するものとされ、新たに特別委員会が設置されることとなった(その後、今大会時の理事会で二つの特別委員会の設置が承認されている)。 4.1 分野別研究会報告⑴ (17日、9:30~10:10) 「公益・一般法人研究会」 (中間報告) [座長]尾上選哉 氏(日本大学) [司会]櫛部幸子 氏(大阪学院大学)    公益・一般法人研究会では、「寄付という経済事象に関わる種々の現状や課題を明らかにするとともに、課題に対する解決策をも可能な限り模索し提示することを目的として」、「寄付について、会計・法律・税務・経営という多角的な視点から考察・検討を行うもの」とされている。  今回の中間報告では、全5章からなる中間報告書が提出され、座長の尾上選哉氏の司会により、 「研究報告の章立て」(予定)のうち、「第1章 寄付にかかる会計のあり方」(尾上選哉氏)、「第3章 寄付の使途拘束をめぐる慣行と法的問題―公益法人の自律性と説明責任を踏まえたリスクマネジメント―」(久保秀雄氏)、「第4章 寄付にかかる税務」(上松公雄氏)の3報告が行われた。 なお、次年度全国大会での最終報告では第2章、第5章を中心に報告を行い、最終報告書を作成、配布の予定とされた。 ①「寄付にかかるスチュワードシップ会計」 尾上選哉 氏(日本大学)    本報告では、「非営利組織における寄付の受領の重要性という観点から、自発的な反対給付を伴わない寄付を受領し、その寄付を主な資金源として活動する非営利組織において、どのような会計を行うことが、非営利組織のミッション(使命)継続につながるかを考察・検討された。 ②「寄付の使途拘束をめぐる慣行と法的問題 ― 公益法人の自律性と説明責任を踏まえたリスクマネジメント―」 久保秀雄 氏(京都産業大学)    本報告では、「使途に制限が課された使途拘束のある寄付に関して、受領者が何らかの事情でその制限に従うことができなくなった場合、受領者はどのように対処するのが望ましいのか」との問題関心の下、寄付の使途拘束をめぐる慣行と法的問題を検討している。公益法人を主な対象に、若干の事例に関する探索的調査から、寄付者の意思を受領者(受贈者)がいわば拡大解釈して使途の変更を行い、寄付の有効活用が図られている現状を把握し、そうした対処のリスクを法的問題と寄付の促進に対するブレーキという観点から指摘した上で、有効な対策の提案を試みられた。 ③「寄付に係る税務」 上松公雄 氏(大原大学院大学)    本報告では、「誰が、どのような資産を、どのような機会、経緯、理由によって、どのような非営利法人に寄附をした場合に、どのような租税法規及び税務上の取扱いが適用されるのかについて整理すること」を目的として、まず課税上の原則的取扱い、寄付の実施形態を述べ、拠出者が個人である場合の租税負担軽減または非課税の特例等と、租税回避防止規定が検討された。 4.2 分野別研究会報告 ⑵(10:10~10:50) 「NPO法人研究会」 (最終報告) [座長]初谷 勇 氏(大阪商業大学) [司会]澤田道夫 氏(熊本県立大学) 「共通論題:NPO法人制度の特長と新たな展開の可能性」    NPO法人研究会では「NPO法人制度の特長と新たな展開の可能性」を共通論題として設定し、 各委員による個別論題の研究報告やゲストによる報告など議論を重ねてきたことが示され、今回は、最終報告として、委員の澤田道夫氏の司会により、4委員から次の4報告がなされた。 ①「非営利法人の体系とNPO法人」 初谷 勇 氏(大阪商業大学)    本報告では、非営利法人の体系化のとらえ方(枠組み)と、NPO法人の位置づけや意義について、系統分類学や文化系統学の先行研究も踏まえて「系統」と「分類」の観点から整理した上で、まず「系統」問題として、一般法人法の一般法化とそのなかでのNPO法のあり方やNPO法人の方針選択について、また「分類」問題として、非営利法人の類型(形態)分類、事業分類等における分類基準について論じられた。 ②「町内会・自治会基盤の非営利組織法人化の意義と課題:横浜市内18区地区センター指定管理者 調査から」 藤澤浩子 氏(法政大学)    本報告では、横浜市において、従来、施設管理目的の地縁系団体であった「区民利用施設協会」 を前身とする法人が、18区の地区センター等複数の住民利用施設の指定管理者となっていることに着目し、「地縁系組織の法人化」のケーススタディとして、その法人形態、組織体制、組織化の沿革、業務内容・組織運営等について精査した結果に基づき考察を加えられた。 ③「地域コミュニティの持続可能性とNPO法人制度」 澤田道夫 氏(熊本県立大学)    本報告では、「NPO法人等の活用による自治会等の法人化が、地縁組織の活性化を可能とするのではないか」との問題意識に基づき、きらりよしじまネットワーク(山形県)、東陽まちづくり協議会子育て支援ネットワーク(熊本県)、坪井川遊水池の会(同左)の三つのNPO法人の事例調査も踏まえ、地縁組織の法人化に求められる当事者の意識とNPO法人の強みについて論じられた。 ④「コロナ禍がNPO法人の財務に与えた影響」 中尾さゆり 氏((特活)ボランタリーネイバーズ)    コロナ禍は、NPO法人の活動に大きな影響を与えた。人が集まり交流する活動ができず存続の危機に直面した団体がある一方で、困難を抱える人々への支援活動が拡大し、新たな寄付金や助成金を獲得し、活動を広げた団体もある。    本報告では、2020年度分・2021年度分として名古屋市に提出されたNPO法人の財務諸表を分析し、コロナ禍がNPO法人の財政状態に与えた影響を調査するとともに、各法人の事業報告書から各種施策の活用状況等を把握した。これらの調査結果を通じて、コロナ禍におけるNPO法人の財務基盤の状況を踏まえた支援について検討、考察がなされた。 4.3 分野別研究会報告⑶ (17日、10:50~11:30) 「医療福祉系法人研究会」 (最終報告) [座長]・[司会]鷹野宏行 氏(武蔵野大学)    医療福祉系法人研究会では、今回、最終報告として、委員3名の報告がなされた。 ①「労働者協同組合会計基準のあり方~会計基準の設定主体論の見地から~」 鷹野宏行 氏(武蔵野大学)    「平成18年、各種協同組合法の改正により、本法ないし施行規則に公正なる会計慣行へのいわゆる『しん酌規定』が明文化された」。「令和4年10月に労働者協同組合法が施行され、同法第75条には、『組合の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする』とし、いわゆるしん酌規定が明文化されている」。    本報告では、「労働者協同組合法の施行により、労協における会計基準も議論のそ上にのせるべき」であり、「株式会社とは似て非なる協同組合における独自の制度を企業会計との比較において検討することも、それなりに意義があると思われる」との問題意識から、協同組合セクターの中の農業協同組合、中小企業等協同組合、生活協同組合の各系統の協同組合における会計基準について、その有無、名称、設定主体を比較し、労働者協同組合会計基準の設定の必要性、設定主体、内容等の論点を指摘された。 ②「社会福祉法人の大規模化・協働化の政策課題と方向性」 千葉正展 氏(独立行政法人福祉医療機構)    中小・零細な事業者が多いとされる社会福祉法人について、国の審議会等で、医療・介護・福祉の効率化の観点から規模の拡大・協働化を求める意見が度々示されている。一方、社会福祉法人の規模の議論では、法人の有する施設数に係る「1法人1施設の解消」と、一つ一つの施設の規模(=定員数)に係る「施設の規模拡大」の二つの側面の混同も見受けられる。社会福祉法人の事業の性格(労働集約型産業に類する事業)や、社会福祉施設に定められている各種の最低基準の存在などが、規模の経済性の制約要因となっている可能性もある。    本報告は、こうした問題意識の下、「社会福祉法人の規模の経済性について、社会福祉法人の財務諸表電子開示システムのデータを用いて分析し、現下進められている社会福祉法人の事業展開を誘導する政策についての方向性・あり方を検討」し、「拠点規模を拡大しつつ、そこで提供されるサービスについては、個別ケア、地域密着ケアが提供されることを目指すのが有効ではないか」とされた。 ③「労働者協同組合の設立動向 ~ 労協ながのへのインタビューをふまえて ~」 佐藤正隆 氏(武蔵野大学)    本報告では、「長野県で第1号の労働者協同組合の法人格の取得団体」である労協ながのに対するインタビュー調査を通じて、法人格取得の動機や意思決定、「出資」・「労働」・「経営」の三点における根本的な考え方や運営状況、同組合の今後の課題等を明らかにし、労働者協同組合の設立動向について説かれた。 4.4 分野別研究会報告 ⑷(17日、11:30~12:10) 「大学等学校法人研究会」 (最終報告) [座長]・[司会]柴 健次 氏(関西大学)    今期の大学等学校法人研究会は、前期研究会の主題(「大学のガバナンスとアカウンタビリティ」)を引き継ぎつつ、さらに「経営体としての大学に求められること」を主題(研究テーマ)に掲げ、本報告時に全11章からなる最終報告書を提出された。    本報告では、同研究会の最終報告として、座長の柴健次氏の司会の下、次の2報告が行われた。 ①「経営体としての大学に求められること」 柴 健次 氏(関西大学)    本報告では、柴健次氏が、座長として研究会の主題:「経営体としての大学に求められること」につき研究を推進するため提示された「図解」に基づき、研究会で行われた各委員等の個別報告(最終報告書の各章に収録)を俯瞰し、それらの主題との関わり、位置づけを明らかにしつつ、各々の要旨を説かれた。    同図解は、「大学の経営」を中心に据えて、上方に経営を統制する「ガバナンス」を置き、下方に経営の結果の報告につながる「会計やその他の報告(特に統合報告)」を置く縦のライン、左方に「研究」を置き、右方に「教育」を置く横のラインを想定している。同研究会では縦のラインと横のラインを総合的に考えて、「経営体としての大学」を追求している例として東京大学を研究の中心に据えたことから、座長より、委員である青木志帆氏の「実践事例:『公共を担う経営体』としての東京大学の取組」の要点も紹介、解説された。 ②「世界大学ランキングとその問題点」 工藤栄一郎 氏(西南学院大学)    本報告では、わが国において、従来「事前規制型コントロール」として機能していた大学設置基準から、大綱化以降、自己点検・評価に基づく認証評価制度が「事後確認型コントロール」として質保証が図られていること、他方、高等教育の市場(教員学生)のグローバル化を背景として「市場型大学評価」として世界大学ランキングが登場したことを踏まえ、ランキングの特性(評価主体、評価方法)、3大世界大学ランキング、評価指標の仕組み(メソドロジー)、ランキングがもたらすさまざまな問題について論じられた。 5 スタディグループ報告(中間報告)(16日、11:00-11:50)  スタディグループは、昨年度活動期間の1年延長が承認され、2回目の中間報告がなされた。 「非営利組織の持続可能性と連携:ソーシャル・サービスの連携推進の発展可能性をめぐる多角的検討」 [座長]・[司会]國見真理子 氏(田園調布学園大学) ①「今期のSG研究活動に関するご報告」 國見真理子 氏(田園調布学園大学)、榎本芳人 氏(厚生労働省)    「医療や福祉等の分野では、ソーシャル・サービス提供の持続可能性の面から『連携推進法人』 を発足させる動きがある。」    本報告では、まず座長の國見氏から、「これらの連携推進がどのような内容でどのように展開されているのかという特徴や現況の把握、現状ではどのようなメリットやデメリットがあるかについて検討」し、同制度の今後の展開について考察された。    次いで、榎本氏から、スタディグループによる連携推進法人の訪問調査の結果として、社会福祉法人(京都府、滋賀県)、社会福祉連携推進法人(和歌山県)、地域医療連携推進法人(滋賀県)の4事例が報告された。 ②「ソーシャル・サービスの連携推進の海外事例:米国のIntegrated Healthcare Networkを中心に」 尾上選哉 氏(日本大学)    本報告では、2017年に地域医療連携推進法人が創設された背景を確認した上で、同法人創設の際に参考とされた米国のIntegrated Healthcare Network(IHN)の経緯や、「医療の質向上とコスト抑制をも追求する」「医療事業体」としての特徴を考察し、その形態別の構成員のあり方や意思決定の一元化など今後の検討課題を提示された。 ③「米国の非営利組織会計におけるヘルスケア事業体の位置づけ」 金子良太 氏(國學院大學)    本報告では、「日本の連携推進法人制度を検討するにあたり、より広域連携や医療組織の大規模化が進んでいる米国の事例を参照することは有用」との認識の下、FASBが統一的に設定する非営利組織会計の中で特有の規定が置かれるヘルスケア事業体について検討し、その特徴等が考察された。 6 企画ワークショップ(17日、13:00-14:50)    大会準備委員会による企画ワークショップとして、「NPO法人の事業承継の特性を探る~中小企 業の事業承継との比較から」が開催された。 「NPO法人の事業承継の特性を探る~中小企業の事業承継との比較から」 [司会]中尾さゆり 氏(NPO法人ボランタリーネイバーズ、税理士) パネリスト:下園美保子 氏(NPO法人アダージョちくさ)、長瀬充寛 氏(税理士法人TAG経営)、 早坂 毅 氏(税理士) (趣旨)    「NPO法成立から25年近くが経過し、NPO法人においても事業承継・世代交代が組織運営の課題として浮上しており、すでに事業承継を済ませている法人もある。    政策サイドの高い問題意識や法制度の整備により、中小企業の事業承継に関する学術的な議論は一定の蓄積がある。一方、非営利法人、特にNPO法人については、体系的に研究の蓄積がされている状況に至ってはいないように見受けられる。    本ワークショップでは、「中小企業の事業承継と非営利法人(NPO法人)の事業承継の相違点から、非営利組織の事業承継の特性を探り、事業承継についての論点整理を行う」ことを趣旨とする。中小企業の事業承継との比較、NPO法人の特性を考慮しながら、今後NPO法人をはじめと する非営利組織の事業承継に関する論点を探索するものとする。」    本ワークショップでは、司会者の中尾さゆり 氏によりテーマの解題がなされた後、「NPO法人の事業承継」を当事者として実践したり、経営や税務等の相談・助言実績を重ねているパネリスト3名による以下の報告がなされ、次いで、パネリスト間のフリーディスカッション、フロアからの質疑、議論が活発に行われた。 ①「中小企業の事業承継の現状 ~ 非営利法人の事業承継との比較のために~」 長瀬充寛 氏(税理士法人TAG経営)    本報告では、中小企業の事業承継の現状(経営者の高齢化と事業承継実施企業と非実施企業の二極化)、事業承継時の悩み・相談例(親族の内外で区分)、事業承継の全体像、事業承継の実務で遭遇する落とし穴、事業承継計画のポイントなどの解説を通じて、非営利法人の事業承継と比較検討する上での視点、論点を示された。 ②「NPO法人事業承継実践事例」 下園美保子 氏(NPO法人アダージョちくさ)    本報告では、精神障害者に対する障害者福祉制度、就労継続支援B型の動向を述べた上で、その1つであるNPO法人アダージョちくさ(名古屋市)の事業承継を当事者(承継者)として実践した体験に基づき、就任時の課題とその解決のために行った改革、その結果を紹介し、「小規模かつ時代変遷に沿った事業承継に必要なこと」を4点集約された。 ③「NPO法人等非営利組織の事業承継事例とその特徴」 早坂 毅 氏(税理士)    本報告では、報告者が実務上携わった事業承継・世代交代の多数の事例について、代表者の属性や理事・事業内容の変更などに着目して一定の「類型」を区分し、各類型に該当する6事例について、その概要とそこから見て取れる非営利組織の事業承継の問題点や論点を指摘された。 7 企画セッション(17日、15:00-16:10)    大会準備委員会による企画セッションを、次の開催趣旨に基づき開催した。  「非営利法人による公益活動の振興に資する公益認定法改正とは~ 会計・ガバナンスの観点から」 [司会]松前江里子氏(日本公認会計士協会) [特別報告]北川 修氏(内閣府) [パネリスト]北川 修氏、齋藤真哉氏(横浜国立大学)、 大原昌明氏(北星学園大学)、石津寿惠氏(明治大学) (趣旨)  新しい時代に即応した公益法人制度の改革が進められている。  2023年6月、「新しい公益法人制度の在り方に関する有識者会議」の最終報告が公表され、政府では「社会的課題を解決する経済社会システムの構築」の一環として、「社会的課題を解決する NPO・公益法人等への支援」の下、「公益法人の改革」(公益認定法の改正)を掲げ(「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」)、推進中である。2024年には改正法案の国会提出、2025年には新(改正)公益法人制度の施行が目指されている。     本学会は、これまで民間非営利活動の拡大に合わせ「公益法人研究学会」から「非営利法人研究学会」に改称し、公益認定を受けて公益社団法人として活動を続けている。非営利法人研究の推進や研究成果の公表とともに、「非営利法人に関する啓発」を重要な事業の一つとする。  そこで、本大会の機会に学会外にも門戸を開き(注:CPD、税理士会研修に申請等)、学術的・ 実務的観点から関心の高い公益法人制度改革の潮流について、理解と考察を深める機会を設けることとする。    制度改革の実務に当たる内閣府の公益法人行政担当室長から制度見直しの方向性と進捗状況について特別報告をいただき、会員の内に専門とする会員も多い会計とガバナンスの観点から、改革の課題と論点について考察する。  本セッションでは、会計・ガバナンスの観点から、今後の法改正や政策推進上、特に重要と考えられる課題や論点に焦点を絞って行うが、一般・公益法人にとどまらず、広く非営利法人を視野に入れた示唆や触発も期待するところである。参加者、聴き手である会員・非会員(CPD・税 理士会研修受講者)の理論・実務両面からの関心にも配慮するものとしたい。」      本セッションでは、松前江里子 氏(公認会計士)の司会の下、まず、北川 修 氏(内閣府)による「特別報告」が行われた。その後、北川 氏、齋藤真哉 氏(横浜国立大学)、大原昌明 氏(北星学 園大学)、石津寿惠 氏(明治大学)をパネリストとしてフリーディスカッションが行われた。 ⑴ 特別報告 「非営利法人による公益活動の振興に資する公益認定法改正とは ~ 会計・ガバナンスの観点から」 北川 修 氏(内閣府)  北川修 氏(内閣府大臣官房公益法人行政担当室長/内閣府公益認定等委員会事務局事務局長)の特別報告では、まず、公益法人制度改革について、2006年改革と今回検討中の改革の対比がなされた。    今回の改革は、「『収支相償』等の規制に対する批判(一方で、不祥事に鑑みた広義公益法人のガバナンス強化論)」を政治的・社会的背景とし、「新資本主義実現会議における経済界からの問題提起」を直接的な契機として、「社会的課題解決に資する民間の公益的活動の活性化」を制度改革目的としている。政策的な位置づけは、「新しい資本主義実現(経済成長戦略)」であり、改革の基幹コンセプトは、「法人活動の自由度拡大」と「(広義の)ガバナンスの充実」である。経済財政政策担当大臣の下、内閣府大臣官房公益法人行政担当室が担当部局となり、検討の場として「新しい公益法人制度の在り方に関する有識者会議」が設けられた。    次いで、今回検討中の改革について、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(令和 4年6月7日閣議決定)以降、上記「有識者会議」の開催(令和4年10月~令和5年5月)及び最終報告(令和5年6月)、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」及び「経済財政運営と改革の基本方針2023」(ともに令和5年6月16日閣議決定)などでの検討状況や主要論点の解説、今後の政策展開の見通し、将来に向けて残された課題などについて述べられた。 ⑵ パネルディスカッション パネリスト:北川 修 氏(内閣府)、齋藤真哉 氏(横浜国立大学)、大原昌明 氏(北星学園大学)、 石津寿惠 氏(明治大学)    パネルディスカッションでは、北川 修 氏、齋藤真哉 氏、大原昌明 氏、石津寿惠 氏の4名のパネリストにより、北川氏の「特別報告」を受けて、今回の改革の意義や政策的な位置付け、基幹コンセプト2点の具体的な意味の問い直しをはじめ、主要論点の中でも、特に「収支相償原則の見直し」、「遊休財産規制の見直し」、「わかりやすい財務情報の開示」、「法人機関ガバナンスの充実」などについてディスカッションが行われた。    会計とガバナンスに関わる理論的な観点はもとより、各パネリストの公益認定等に係る各都道府県合議制機関での実務経験も踏まえた視点から、率直かつ活発な意見が交わされるとともに、フロアからの質問に北川氏がきめ細かく応答、説明されるなど、今回の制度改革について認識を深めるとともに、本学会としても改めて学術的に検討を加える貴重な契機、機会となった。 8 謝辞    第27回大会は、9月17日(日)17:30に終了した。    今大会は、大阪商業大学が開催校であるが、大会準備委員会は、専門領域、活動分野、所属等を異にする会員5名で構成した。    準備委員会は、2022年末の学会諸規程の改正を踏まえ、大会開催概要の編成に本格的に着手した。1月の常任理事会で統一論題案の承認を得るとともに、新たに選任された東西両地域部会長とも調整のうえ、自由論題報告の募集・審査手続の細目と日程案を詰め、自由論題報告募集要領の方向性についても了承を得た。    大会プログラムでは、統一論題報告・討論はもとより、自由論題報告の募集・審査、分野別研究会・スタディグループ報告の報告者と内容の確定、企画ワークショップ及び企画セッションの企画・準備等において、報告者、司会者をはじめ各研究会等の座長・委員、登壇者の皆様のご理解ご協力により、改正規程に則った運営を行なうことができた。    自由論題報告については、応募ルートが拡充、複線化した結果、地域部会報告を経ての応募が4件、準備委員会への直接応募が3件となり、新たな仕組みも会員に円滑に活用していただけたようである。また、東西両地域部会長には、応募期限(6月末)までにおのおの複数回の部会を開催するなど研究報告機会の設定にご協力いただけた。    なお、準備委員会で決定し常任理事会に報告して公開した当初のプログラムから、大会当日までに生じた報告者や司会者の変更等については、それぞれ事前に各座長およびご本人から速やかに届出をいただき、大会前に変更の旨を参加者に告知することができた。本大会記もすべて実施結果に基づくことを申し添えたい。    大会における報告者、パネリスト、司会者(討論者)、各報告へのご出席者をはじめ、企画プログラム登壇者のご所属機関(内閣府等)、当日の運営をご支援いただいた学会事務局(全国公益法人協会)、さらに本大会をそれぞれCPD(継続的専門能力開発)、認定研修会に採択いただいた日本公認会計士協会ならびに近畿税理士会などすべての関係者に厚く御礼申し上げます。    最後に、大会の会場準備・運営にご配慮いただいた開催校の関係者及び学生スタッフの皆さんに感謝申し上げます。       2024年3月31日                                    (公社)非営利法人研究学会第27回全国大会準備委員会                 準備委員長 初谷 勇(大阪商業大学)                       委員 中嶋貴子(大阪商業大学)                       櫛部幸子(大阪学院大学)                       馬場英朗(関西大学)                         中尾さゆり((特活)ボランタリーネイバーズ)

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    第10回大会記 2006.9.1-2 北海道大学 統一論題 非営利法人制度改革の動向と問題点─現実と理念の架橋を求めて─ 関東学院大学  古庄 修  2006年9月1日と2日の両日、非営利法人研究学会第10回全国大会が、北海道大学(準備委員長:小島廣光氏)において開催された。1日目は、会員総会に引き続き、大矢知浩司氏(九州産業大学)の司会により、本大会の統一論題「非営利法人制度改革の動向と問題点—現実と理念の架橋を求めて—」の報告と討論が行われた。   統一論題の報告者ならびに報告テーマは、⑴中藤 泉氏(内閣審議官  行政改革推進本部事務局次長)「公益法人制度の抜本改革について」、⑵出口正之氏(国立民俗学博物館、国際NPO・NGO学会会長、政府税制調査会特別委員)「租税法定主義とネット・サイズ理論—非営利法人制度改革における現実と理念の架橋の重要性—」、⑶道明義弘氏(奈良大学)・伊藤研一氏(摂南大学)「組織論はF.D.ローズベルトを助けたか?」、⑷東海林邦彦氏(日本大学)「民事法的視点から見た(2006年)非営利法人法制改革」であった。   本大会における報告の概要  各氏の統一論題の報告要旨および質疑の内容は以下のとおりである。 ⑴ 中藤 泉氏の報告要旨  公益法人制度改革に直接携われた中藤氏は、今般の制度改革が「官が決める公益活動」から「民が決める公益活動」への転換を図るものであり、法人設立等に係る従前の主務官庁制・許可主義を廃止した新制度の特徴および新制度への移行措置等について分かりやすく説明された。氏は、新制度の周知徹底、政省令や内閣府令の制定、公益性の認定に係る第三者機関の設置、税制上の措置等を今後の制度上の課題として示された。また、法人自治の確立、寄附文化を醸成する説明責任の履行と積極的な情報公開等が各法人に求められることを強調された。 ⑵ 出口正之氏の報告要旨  出口氏は、公益法人改革関連3法において積極的位置づけが謳われている「民間が担う公共(公益)」の本質を㈰非営利性の議論、㈪民間性の議論および㈫公益性の議論に求めて詳述し、主として税制上の問題を検討された。氏は、「新しい公共」の担い手として非営利・非政府セクターの重要性を強調するとともに、公共財の供給に係る「租税歳入論」と「寄附による投票」および租税回避をめぐる「メッシュ・サイズ理論(ネット・サイズ理論)」等について独自の議論を展開して、非営利セクターの常識にあった制度設計の必要を主張された。 ⑶ 道明義弘氏・伊藤研一氏の報告要旨  道明氏ならびに伊藤氏は、米国のニューディール政策が実行される中で、行政機能が拡大した結果、行政コストが増加しコントロール問題が生じてきたことを契機として、節約と効率が大きな課題となったことを膨大かつ詳細な資料によって実証された。両氏は、1930年代当時の米国が抱えた問題は、今日のわが国の非営利組織が直面している問題と軌を一にするとの認識を共有するものであり、本報告では、特にブラウンロー委員会の構成と提言について論及し、行政組織改革に伝統的な管理原則論が理論的支柱として援用されたこと、また予算機能と効率の関係等について研究の方向を示唆された。 (4) 東海林邦彦氏の報告要旨  東海林氏は、今般の非営利法人法制改革は、民間非営利組織に対する行政的規制・官益的乱用等の旧来の悪弊の是正および民間非営利組織の内部的ないし外部的ガバナンス体制の整備の点で評価されるとする一方で、幾つかの問題点ないし課題が残されているとして、特に民事法的視点から9つの論点を示された。氏は、いわゆる「一階部分」と「二階部分」からなる新法の基本構造、「一階部分」が公益的団体と共益的団体とを区別しないこと、「一階部分」における一般社団法人と一般財団法人の二元的類型等について、批判的な議論を展開された。   報告後の討論では、公益法人制度改革後、特例民法法人となる現行公益法人の公益社団・財団法人または一般社団・財団法人の移行あるいは解散・営利転換等の予想される動向について、公益性の認定に係る問題について、公益法人をめぐるガバナンス問題について、公益法人制度と税制をめぐる問題について、わが国が直面している問題に対する米国の政府組織改革のインプリケーションについて、効率性と有効性の概念規定および当該概念の非営利組織に対する適用をめぐる問題等々について、活発な質疑が行われた。  大会2日目には、午前中に9名の会員による自由論題報告が3会場に分かれて行われほか、午後にはYOSAKOIソーラン祭り組織委員会専務理事の長谷川 岳氏による特別講演「YOSAKOIソーラン祭り—街づくりNPOの経営学—」が行われた。また、これに続いて、原田満範氏(松山大学)の司会により、東日本研究部会(主査:小島廣光氏)「NPO、政府、企業間の戦略的協働」および特別研究部会(主査:石崎忠司氏(中央大学))「公益法人の財源(贈与・遺贈等)に関する多角的検討」の各報告と討議が行われた。 新制度の施行に向けた節目の年に2日間にわたり、緑多き広大なキャンパスの中で晴れやかな初秋の風を感じながら、本大会は多数の参加者(106名)を得て盛会のうちに幕を閉じた。   新制度の施行に向けた節目の年に 翻って、本大会は学会創立から10回目を数え、しかも新しい公益法人制度が成立した大きな節目の年に開催された大会でもあった。まさに時宜を得た統一論題報告をはじめ、充実した大会プログラムをご準備頂いた小島大会準備委員長ほか大会関係者の方々に心から御礼を申し上げたい。   なお、大会初日の会員総会において、創立以来今日までの学会の運営に係る功労を称えて、(株)全国非営利法人協会(理事長 深町辰次郎氏)に対して、学会から感謝状と記念品の贈呈が行われた。また、現会長の松葉邦敏氏(成蹊大学名誉教授)が本大会をもって辞意を表明されたことを受けて、理事会の議を経て、大矢知浩司氏が次期会長に選出された。 付記:本大会会員総会において、藤井秀樹氏(京都大学)が学会賞を受賞された。受賞論文は「非営利組織の制度進化と新しい役割」(『非営利法人研究学会誌』第8号、2006年)である。

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    学会からお知らせ・更新情報 ◆スタディ・グループ公募のお知らせ(26/3/2)  当学会のスタディ・グループ運営規程に基づきまして、スタディ・グループの公募をいたします。 【公募要領】 1.目的:添付の規程及び設立趣旨をご覧ください。 2.構成員:  3名以上の会員。なお、研究課題の性質等を  考慮して、常任理事会の承認を得ることで会員以外の方を  研究協力者とすることができます。 3.活動期間:原則2年 4.活動費:15万円 5.申請方法:  スタディグループ設立申請書に必要事項をご入力後、  会長宛(送付先 事務局:office※npobp.or.jp)にご提出ください。 6.申請締め切り:令和8年4月末日まで 7.申請書の審査から発足までの流れ:   令和8年5月 常任理事会審査   令和8年6月 理事会審議   令和8年9月 正式発足 ◆全国大会ご参加の御礼(25/10/13)  第29回全国大会が熊本学園大学で開催され、盛況裡に閉会いたしました。ご参加された皆様、準備委員の先生方、誠に有難うございました。 ◆新役員(25/10/12)  10/11(土)定時社員総会で理事が選任され、その後の理事会で会長、副会長、常任理事が決定いたしました。確認はコチラ(クリック) ◆2025年度 全国大会の参加申込期日延長のお知らせ(25/9/22)  熊本学園大学で開催される全国大会の参加申込期日が、  9月22日(月)→9月28日(日)に変更となりました。 ◆2025年度 全国大会のプログラム公開(25/8/20)  10月11日(土)・12日(日)に熊本学園大学で開催される全国大会のプログラムが準備委員会から公開され、参加申込を開始しました。  詳細 ⇒ 大会詳細ページをクリック   ◆2025年度全国大会・自由論題募集のご案内  本年度の大会主催校(熊本学園大学)より自由論題報告募集のお知らせがあります。  募集の詳細はこちら(クリック) をご覧ください。  ★自由論題申込書はこちら(クリック)★   【第29回全国大会】  日程:2025年10月11日(土)・12日(日)  統一論題テーマ:調整中  プログラム:調整中  会場:熊本学園大学  準備委員長:日野修造(熊本学園大学)  ※テーマ・プログラムは決定後にお知らせいたします。 ◆高等教育機関(大学)特別委員会ワーキングペーパー、公開のお知らせ(25/3/24)  高等教育機関(大学)特別委員会(委員長:柴健次氏)からワーキングペーパが公表されました。内容はコチラ(クリック) からご覧いただけます。 ◆公益・一般法人研究会最終報告書、公開のお知らせ(24/11/1)  明治大学での全国大会で最終報告を行った公益・一般法人研究会の最終報告書を公開しました。コチラ(クリック) からご覧いただけます。 地域部会についてのお知らせ ◆東日本部会の報告者募集のお知らせ◆(26/4/7) 開催日時:2026年5月16日(土)14時から 会場:武蔵野大学有明キャンパス (会場教室等は改めてお知らせします。)     《報告者の募集方法》 メールの件名を「東日本部会の報告希望」とし、下記の連絡先あてに お名前とともに「ご所属」および「論題」をお知らせ下さい。 報告時間はおよそ30分でお願いいたします。 なお、ご報告希望の受付の締切日は 「2026年4月26日(日)」とさせて頂きます。 連絡先 higashi-nihon※npobp.info      (返信時は※を@に変更してください) ◆西日本部会開催のお知らせ◆(26/3/3) 1.開催日  2026年3月21日(土) 2.開催場所 九州産業大学 1号館10階中会議室        〒813-0004 福岡県福岡市東区松香台2丁目3−1        アクセスマップURL        https://www.kyusan-u.ac.jp/guide/summary/access.html 3.開催方式 対面       ※Zoom等によるリモート開催はございません。 4.研究会 14:00~16:00 開会行事・準備 14:00~14:10 第1報告 14:10~15:00(報告30分 質疑応答20分) 報告者  日野修造氏(熊本学園大学) タイトル 「公益法人会計基準改訂における制度設計と合理性の検討       - 寄付促進の視点から -」(仮題) 第2報告 15:10~16:00(報告30分 質疑応答20分) 報告者  吉永光利氏(九州共立大学) タイトル 「自治体外郭団体における制度適応から主体的関与への転換       - 制度変動期における実践分析 -」 懇親会  17:00~      博多駅周辺で実施の予定 5.参加申込方法 レジュメ・懇親会会場の準備の都合上、ご出席いただける場合には、 研究会への出席、懇親会への出席、それぞれにつきまして 3/12(木)までに、次のメールアドレスに ご連絡いただきますようお願い申し上げます。 (西⽇本部会代表メールアドレス) nishi-nihon※npobp.info  ※⇒@に変更しお送りください。 ◆東日本部会開催中止のお知らせ◆(26/2/24) 3/21(土)に予定しておりました東日本部会は開催中止となりましたのでお知らせいたします。 ◆東日本部会の報告者募集のお知らせ◆(26/2/4) 開催日時:2026年3月21日(土)14時から 会場:九州産業大学(福岡市東区松香台2-3-1)     《報告者の募集方法》 メールの件名を「西日本部会の報告希望」とし、下記の連絡先あてに お名前とともに「ご所属」および「論題」をお知らせ下さい。 報告時間はおよそ30分でお願いいたします。 なお、ご報告希望の受付の締切日は 「2026年2月28日(土)」とさせて頂きます。 連絡先 nishi-nihon※npobp.info      (返信時は※を@に変更してください) ◆東日本部会の報告者募集のお知らせ◆(26/1/30) 開催日時:2026年3月7日(土)14時から 会場:日本大学経済学部(東京・水道橋)     《報告者の募集方法》 メールの件名を「東日本部会の報告希望」とし、下記の連絡先あてに お名前とともに「ご所属」および「論題」をお知らせ下さい。 報告時間はおよそ30分でお願いいたします。 なお、ご報告希望の受付の締切日は 「2026年2月20日(金)」とさせて頂きます。 連絡先 higashi-nihon※npobp.info      (返信時は※を@に変更してください) ◆西日本部会開催のお知らせ◆(25/11/20) 日 時: 2025年11月29日(土) 11:00ー12:30 場 所: オンライン(Zoom) 表 題: NPO支援組織の新展開:     京都におけるふるさと応援協働推進スキーム 報 告: 平尾剛之(きょうとNPOセンター統括)    +解説:吉田忠彦(近畿大学)  内 容: 非営利法人の中でもとりわけ市民活動団体においては財源確保が大きな課題となっている。ところが、この課題に対してNPO支援組織もなかなか有効な方法を見出せなかった。その中で公益財団法人による市民ファンドはひとつのブレイクスルーとなり、京都地域創造基金を嚆矢として全国的に普及しはじめている。今回、さらに京都府ときょうとNPOセンターとの協働によって、ふるさと納税の仕組みを使った市民活動支援の仕組みが開発され、運用が開始された。NPO支援組織の新たな展開として注目される。この仕組みの開発に携わった平尾氏からその事業の内容、計画から実装にいたるまでの経緯などについて報告してもらう。 参加費: 無料 参加申し込み: 以下よりお申込みください。どなたでもご参加いただけます。 https://forms.gle/VA2yY9DZV4BdKcn87 ◆2025年度第三回東日本部会開催のお知らせ◆(25/11/19) 1. 日時:2025 年12 月13 日(土)14:00~18:30 2. 会場:弘前大学 文京地区キャンパス     人文社会科学部4 階多目的ホール     (青森県弘前市文京町一番地) 3. 交通アクセス(クリック) 4. プログラム 13:30~ 受付(会場4 階 多目的ホールにて) 14:00 開会の挨拶(開催校および部会長) 14:05~ 実務との交流(報告30 分、質疑等30 分)    「青森県りんご協会における事業活動と公益法人化に伴う実務的課題」     講演者 中野真太郎氏(公益財団法人青森県りんご協会技師)     コーディネーター 内藤周子氏(弘前大学) 15:05~ 研究報告(報告30 分、質疑等25 分)    司会:尾上選哉 氏(日本大学)    (1)櫛部幸子氏(大阪学院大学)      「新公益法人会計基準の表示の検討(仮)」    (2)富田亜紀氏(東洋大学)      「新しい資本主義におけるNPO 法人の役割についての一考察」    (3)境裕治氏(第一勧業信用組合)、吉原清嗣氏(㈱データルーペ)、吉川晃史氏(関西学院大学)他      「協同組織金融機関の顧客支援力の数値化~事例研究:第一勧業信用組合の取り組み(株式会社データルーペとの共同研究)~」 18:30 頃~ 懇親会(弘前駅周辺の会場等の詳細は、当日ご案内いたします。) 5.参加申込方法 レジュメ・懇親会会場の準備の都合上、ご出席いただける場合には、 研究会への出席、懇親会への出席、それぞれにつきまして 12⽉2⽇(火)までに、次のメールアドレスにご連絡いただきますようお願い申し上げます。 参加申込先  higashi-nihon※npobp.info(東日本部会運営委員会)        返信時は※を@に変更してください 案内PDF(クリック) ◆2025年度第三回東日本部会の報告者募集のお知らせ◆(25/10/17) 開催日時:2025年12月13日(土)14:00~ 会場:弘前大学(対面式)青森県弘前市内    キャンパス、教室等の詳細は改めてご連絡します。 懇親会は、近隣の施設にて予定しております。こちらも改めてお知らせします。     《報告者の募集方法》 メールの件名を「東日本部会の報告希望」とし、下記の連絡先あてに お名前とともに「ご所属」および「論題」をお知らせ下さい。 報告時間はおよそ30分でお願いいたします。 なお、ご報告希望の受付の締切日は 「2025年11月16日(日)」とさせて頂きます。 連絡先 higashi-nihon※npobp.info       (返信時は※を@に変更してください)

  • 第2回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    統一論題 公益法人のレーゾン・デートルを考える  1 非営利組織のマネジメント  2 「公益性」の概念に関わる論点  3 公益法人のレーゾン・デートル─財政学の視点から 青山学院大学  杉山 学 第2回大会記 1998.10.3 近畿大学  去る1998年10月3日、公益法人研究学会(守永誠治氏(静岡産業大学))の第2回大会が、近畿大学において開催された。  統一論題『公益法人のレーゾン・デートルを考える』のもと、松葉邦敏氏(成蹊大学)の総合司会により、3題の研究報告並びに討論が行われた。また、自由論題の報告と記念講演も併せて行われた。  自由論題は、会場をA会場とB会場に分け、A会場(11月ホール小ホール)(司会:藤井秀樹氏(京都大学))では、「公益法人の事業戦略」田口敏行氏(静岡産業大学)、「営利企業による非営利活動の実態と今後の動向」竹内拓氏(産能短期大学)が、B会場(20号館5A)(司会:杉山学氏(青山学院大学))では、「非営利組織における理事会と経営者の役割」吉田忠彦氏(近畿大学豊岡短期大学)、「学校法人会計の問題点と財政状況開示の現状」早川幸夫氏(村田簿記学校)の計4題が発表された。  また、記念講演では柿木昇治氏(広島修道大学)に「シニア研究の視点−心理学研究からみた老人問題あれこれ」と題してご講演いただき、大会に華を添えた。  以下、統一論題の報告の要旨を杉山 学氏(青山学院大学)にまとめていただいた。 1 非営利組織のマネジメント    報告:小島廣光氏(北海道大学)  非営利組織を社会的ニーズの充足と市民の社会参加を実現する、という2つの課題に挑戦している組織と捉える。まず環境適応理論に依拠しながら非営利組織を分析するための概念的枠組と分析視角が提示される。概念的枠組では、⑴組織間環境、⑵技術、⑶市場環境が考察される。分析視角は、⑴資源依存モデル(技術戦略・統治との関係及び環境状況と組織特性との関係)である。  非営利組織を資源依存性とタスクの不確実性という2次元により4つのセルに分類し、それぞれのセルに属する非営利組織の特性を示し、その結果として4つの仮説を演繹する。そして、4つの仮説を社会福祉法人北海道いのちの電話ほけ2つの非営利組織を対象にして検証している。さらに、環境状況−戦略−組織特性に関する基本モデルを示し、6つの仮説を演繹し、当該仮説を141の非営利組織を対象に検証している。使用された分析視角は、もっぱら営利組織の分析のために開発されたものであるが、非営利組織に対しても有効であると小島氏は主張する。したがって、本研究で得られた分析結果は非営利組織のみならず、営利法人にも有効であることを示唆している。 2 「公益性」の概念に関わる論点    報告:渋谷幸夫氏(株式会社ケイネット)  民法34条に公益性の概念規定がなされていないことが、公益法人等をめぐる問題の根源であるという問題意識から、⑴公益性の概念、⑵指導監督基準における公益性、⑶行政と公益性、⑷公益性の概念と非営利性概念、⑸公益性の認定、に関して考察する。  公益を「社会全般の利益、すなわち不特定多数の者の利益を目的とするものである」との通説は、「公益を目的としていないが、公益に関するものであればよい」とする民法規定より厳格である。しかし、現存する公益法人の中には特定多数の者の利益を目的としているものもあり、公益性の定義としての「不特定多数の者の利益」とは何か、が問われている。民法は法人を営利法人と公益法人に区分している。民法34条の規定には公益性と非営利性の2つの基準が存在しており、たとえば、公益性はあるが、営利を目的とする法人は公益法人とはなり得ないという、問題が生ずる。渋谷氏は、営利・非営利を、まず事業内容から、次に団体構成員に利益を分配するか否かの観点から判断する、とする能見教授の見解とを比較検討し、民法の改正を含めて抜本的改革を提唱する。 3 公益法人のレーゾン・デートル    報告:植田和弘氏(京都大学)  貧困の克服・不平等の是正・恐慌循環の対処を課題とする経済学を起点に、「安価な政府」論と経費膨張の法則という概念を用いた現代財政システムの基本問題から、公共サービスの供給システムの確立過程を史的考察する。国営中心の福祉政策は官僚制の拡大から重税をもたらすこととなった。1978年カリフォルニア州13号提案は、公共サービスの充実による税負担の過重に対する納税者の反乱であった。しかし、その結果、教育・福祉のカットを含む行政水準が低下した。ここに福祉サービス供給システムにおける公共と民間の分担が課題となり、官僚制によるサービスの硬直性からニーズに合ったサービスを提供できる非営利組織が注目されることとなった。非営利組織の役割は公共サービスの官僚化を防止することにあり、受益者は公共機関、民間、非営利組織それぞれによって提供されるサービスを選択する必要がある。植田氏は選択するための情報の開示が不十分であること、また、在るべき非営利組織のサービスと現実とのギャップを克服する条件の整備が課題であると指摘する。  討論会では座長:戸田博之氏(神戸学院大学)の司会のもと、上記3者の報告に関して、藤井秀樹氏(京都大学)、吉田忠彦氏(近畿大学豊岡短期大学)、樽見弘紀氏(立教大学)、亀岡保夫氏(公認会計士)、建部好治氏(公認会計士)、川野裕二氏(豊田財団)、守永誠治氏(静岡産業大学)から、公益性と非営利性の概念及び相互関連性などに関して質疑応答があり、報告者相互間やフロアを交えての活発な討論が行われた。  その後、場所を同大学の地下食堂に移し、懇親会が催され、終始なごやかなうちに会員の親睦がはかられた。

  • 文献四季報 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    書 名:非営利法人経営論 執筆者:岩﨑保道[編著] 所属機関:高知大学評価改革機構 発行所:大学教育出版 発行年月:2014年10月 総ページ数:190 書 名:非営利組織のソーシャル・アカウンティング― 社会価値会計・社会性評価のフレームワーク構築に向けて ― 執筆者:馬場英朗 所属機関:関西大学 発行所:日本評論社 発行年月:2013年10月 総ページ数:218 書 名:ボランティアの今を考える 執筆者:桜井政成[編著] 所属機関:立命館大学 発行所:ミネルヴァ書房 発行年月:2013年9月 総ページ数:222 書 名:戦略的協働の経営 執筆者:後藤祐一 所属機関:長崎大学 発行所:白桃書房 発行年月:2013年4月 総ページ数:140 書 名:非営利組織の理論と今日的課題 執筆者:堀田和宏 所属機関:近畿大学 発行所:公益情報サービス 発行年月:2012年3月 総ページ数:917 書 名:非営利組織の理論と今日的課題 執筆者:堀田和宏 所属機関:近畿大学 発行所:公益情報サービス 発行年月:2012年3月 総ページ数:917 書 名:市民社会政策論―3・11後の政府・NPO・ボランティアを考えるために― 執筆者:田中弥生 所属機関:(独法)大学評価・学位授与機構 発行所:明石書店 発行年月:2011年8月 総ページ数:384 書 名:現代企業簿記会計 執筆者:横山和夫 所属機関:東京理科大学 発行所:中央経済社 発行年月:2002年9月 総ページ数:504 書 名:非営利組織体の会計 執筆者:杉山 学 他 編著 所属機関:青山学院大学 発行所:中央経済社 発行年月:2002年9月 総ページ数:330 文献四季報  このページは本学会会員が発表した図書・学術論文を収録するものです。会員の研究学績を広く社会に紹介するために設けました。情報がありましたらメール等にてお寄せください。  なお、執筆者の所属機関は発表当時のものです。 ■図書の部

  • 第13回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第13回大会記 2009.9.26-27 名古屋大学 統一論題 非営利法人の会計基準統一の可能性をさぐる 税理士  橋本俊也 はじめに  非非営利法人研究学会の第13回全国大会は、2009年9月26日・27日の両日、名古屋大学野依記念学術交流館(準備委員長:佐藤倫正)において開催された。その前日(9月25日)には理事会が開催され、事務局からの会務報告のほか、会員総会に提出するための平成20年度決算案、平成22年度予算案等の議案承認が行われた。  大会1日目は会員総会に引き続き、松葉邦敏氏(成蹊大学)の司会の下に、本大会の統一論題「非営利法人の会計基準統一の可能性をさぐる」の報告と討論が行われた。統一論題の各氏の報告要旨は、以下のとおり。 【統一論題報告要旨】 (1)川村義則氏(早稲田大学)「公益法人会計基準にみる非営利法人会計の基準」  現行の公益法人会計基準の設定プロセスから、非営利法人会計の基礎概念を抽出し、企業会計と非営利法人会計を統合する基礎概念を模索することが必要であると述べられた。その上で統合を考えた場合には、企業会計を中心に非営利法人会計(さらに公会計)との統合を進めることよりも、上位の会計一般の考え方に照らして非営利法人会計のあり方を探っていくことが重要であると指摘された。 (2)江田 寛氏(公認会計士)「NPO会計基準を民間で作成することの意義」  国民生活審議会総合企画部報告において、「特定非営利活動法人制度の見直しに向けて」が公表され、民間主体で会計基準を作成する必要性が強調された。これを受けて、平成21年3月31日に全国のNPO支援センターが集まり、NPO会計基準協議会を結成し、NPO法人の会計基準を策定する試みがスタートしたという経緯を述べられた。そして、NPO会計基準協議会では、それぞれのNPO法人が公表する会計報告の重要性を考える基盤を提供して行きたいと主張された。 (3)水口 剛氏(高崎経済大学)「NPO法人会計基準の策定の動向と課題」  NPO法人会計基準を「どのように」策定すべきかを考察する方法としては、「演繹的アプローチ」と「帰納的アプローチ」の2つのアプローチがあること、そして、「演繹的アプローチ」を採用した場合には、現場感覚と懸け離れた産物となる危険があり、また、「帰納的アプローチ」を採用した場合にも、現場の実務が成熟していない状況で、経験の蒸留という方法で帰納的に策定することは困難であることを指摘された。さらに、制度としてNPO法人会計を考える場合には、①NPO側の納得感、②情報利用者側の納得感、③各NPOの対応能力、④社会インフラ(教育、テキスト、会計ソフト、人材等)、㈭他の組織の会計基準との整合性、が必要であると主張された。 (4)藤井秀樹氏(京都大学)「非営利法人の会計基準統一の可能性」  わが国においては、非営利法人と国民の接点が増大し、非営利法人の財務報告の利用者が今後増加することが予想されるため、非営利法人のアカウンタビリティの向上を図るとともに、財務情報の比較可能性を確保し、改善することが必要であると主張された。そして、非営利法人会計基準の統一の可能性は、設立根拠法の異なる非営利法人間での会計目的の統一化の可能性に依存すると述べられた。さらに、健全な事業運営に資することを会計の基本目的とする場合には、財産計算と有機的に連携した成果計算が、基本的機能として重視されると強調、その機能をより完成された形態で具備されているのはアメリカ(FASB)基準であると指摘された。 4氏の報告後、多数の会員から寄せられた質問への回答を踏まえて、活発な討論が行われた。統一論題討議後、名古屋大学レストラン花の木において、懇親会が開催された。大会準備委員長の佐藤倫正氏の挨拶に続いて、会長の大矢知浩司氏による謝辞のあと、会員を中心に終始和やかな雰囲気のなか進められ、20時に散会した。 大会2日目午前中は、4会場に分かれて会員による自由論題報告が行われた。論題及び報告者は以下のとおりである。 【自由論題報告要旨】 第1会場〔司会:会田一雄氏(慶應義塾大学)〕  ①鷹野宏行氏(大原大学院大学)「協同組合における事業分量配当金(割戻金)の会計的性格−事業分量配当金(割戻金)の出資金振替処理を巡っ て−」、②岡村勝義氏(神奈川大学)「正味財産と資産対応の課題と展望」、③上原優子氏(青山学院大学大学院)「英国非営利組織における会計」、④葛西正輝氏(青山学院大学大学院)「非営利組織体の業績評価に関するディスクロージャーに関して」 第2会場〔司会:小島廣光氏(北海道大学)〕  ①桜井政成氏(立命館大学)「NPOにおける組織ネットワークの類型と意義−NPO法人を対象とした探索的調査から−」、②後藤祐一氏(北海道大学大学院)「戦略的協働の比較研究_ツール・ド・北海道と車粉問題の事例」、③野口寛樹氏(京都大学大学院)「行政から見るNPOに求めるものとは−行政サービス供給多様性の視点から−」、④小田切康彦氏(同志社大学)「非営利組織と自治体の協働に伴うサービスの質およびコストの変化」 第3会場〔司会:原田満範氏(松山大学)〕  ①馬場英朗氏(愛知学泉大学)/青木孝弘氏(東北公益文科大学大学院)「社会的企業のソーシャルアカウンティング−福祉サービス事業の事例から−」、②金川幸司氏(岡山理科大学)「社会的企業の概念規定とその政策的枠組み」、③八島雄士氏(九州共立大学)「ソーシャル・キャピタルと管理会計に関する_考察−公園行政の事例を手がかりとして−」 第4会場〔司会:堀田和宏氏(近畿大学)〕  ①永島公孝氏(税理士)「共通経費−公益認定と法人税−」、②河口弘雄氏(学習院大学)「M.P.フォレットの調整理論と非営利組織」、③東郷寛氏(近畿大学)「英国の公民パートナーシップ組織のマネジメント」、④川野祐二氏(下関市立大学)「近代市民結社群にみる組織間関係と中間組織の機能」  午後からは、馬場英朗氏の司会の下、市民活動を支える新たな仕組みとしての「NPOバンク」をテーマに荻江大輔氏、中山学氏、三村聡氏の3氏による特別講演が行われた。  さらに、その後、岡村勝義氏の司会の下で、東日本研究部会報告「公益認定に関する諸問題」〔主査:小林麻理氏(早稲田大学)〕が行われ、研究部会報告に対する質疑応答を経て、午後3時30分に大会は盛況のうちに幕を閉じた。

  • 第19回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第19回大会記 2015.9.16-17 神戸大学 統一論題 非営利組織会計と営利組織会計との相互関係―会計基準の統一化を目指して 兵庫県立大学  兵頭和花子  非営利法人研究学会第19回大会は、本年9月16日(水)から9月17日(木)の日程で神戸大学(大会準備委員長:中野常男氏〔神戸大学〕)を会場に開催された。会員を含め約80名の参加者が集まった。なお、前日の9月15日(火)には、常任理事会及び理事会が開催された。 大会第1日目  大会1日目には会員総会が開催され、大会準備委員長及び会長である堀田和宏氏(近畿大学)からの挨拶の後、事務局より会務の報告(新入会員の審査結果、学会誌Vol.16及びVol.17の刊行、地域部会〔北海道、関東、中部、関西、九州〕の活動、委託研究〔公益法人会計研究委員会、新公益法人制度普及啓発委員会〕の中間報告、投稿論文申合せの変更、第20回大会と主催校の選定及び実行委員長の選任、第14回学会賞・学術奨励賞・学術奨励賞特賞の審査結果など)が行われた。  その後、平成26年度収支決算の承認、本会の法人化の定款案及び規定案の承認、平成28年度事業計画及び収支予算案承認の件、理事等の任期満了に伴う改選等について審議が行われ、新たに選任された理事等による理事会も開催し、堀田会長が再任された。 記念講演 佐々木弘 氏  新理事会終了後、佐々木弘氏(神戸大学名誉教授)の記念講演が中野氏の司会によって行われた。佐々木氏の非営利組織に対する関心から社会全体のメリット、自他を考える思考があった。公営企業、公益企業、協同組合の分野を研究され、所有や資本の観点から非営利組織の特徴を述べられた。また、公益企業における料金の決定・規制、病院の経営、博物館などの経営についても触れられた。そして、経営学がこれまで営利性を中心として述べられていることから、営利性とは異なった、社会性や倫理性などもっと多様な観点から企業の評価や研究が行われるべきであると述べられた。 統一論題 藤井秀樹 氏  そして引き続き、統一論題「非営利組織会計と営利組織会計との相互関係―会計基準の統一化を目指して―」の報告(司会:藤井秀樹氏〔京都大学〕)が行われた。非営利組織の現状について財政的制約の中、民間の非営利組織の役割、非営利組織会計の構築、非営利組織会計の統一化、業績評価などの点から問題点や現状について述べられた。 統一論題報告 第1報告 竹中徹 氏  第1報告として竹中徹氏(石巻専修大学)による「財務諸表の構成要素を巡る相互関係―貸借対照表の現代的変容の視点から―」についての報告が行われた。その他の包括利益と企業会計における貸借対照表の現代的変容として企業会計における財務諸表の構成要素と計算構造、企業会計における資産負債アプローチの背景について述べられ、さらに拘束性に基づく純資産区分とフロー計算の多元化として、非営利組織会計における財務諸表の構成要素と計算構造、拘束性に基づく純資産とフロー計算の区分について述べられた。 第2報告 髙山昌茂 氏  第2報告として髙山昌茂氏(公認会計士)による「非営利組織会計と営利組織会計との相互関係―『 非営利組織の財務報告の在り方に関する論点整理』論点9. 連結情報の開示についての考察」についての報告が行われた。非営利組織で作成する連結財務諸表に着目し、営利組織会計において連結財務諸表が必要とされる理由を明らかにされた。その後、非支配株主持分に対する疑義や関連当事者の注記の重要性について述べられ、非営利会計基準設定のアプローチについて述べられ、独立行政法人会計基準における連結情報、持分法適用の必要性と実価法適用の可能性について示された。 第3報告 宮本幸平 氏  第3報告として宮本幸平氏(神戸学院大学)による「非営利組織と営利組織の財務諸表表示基準統一の可能性考察」についての報告が行われた。フロー計算書における表示の統一化考察の前提としての現状を把握するために、公益法人会計方式、学校法人・社会福祉法人会計方式、国際会計基準方式に分析され、統一化に向けた提案が示された。とくに企業会計との統一化を指向した財務諸表・表示基準(案)の策定を目途に演繹的推論(実践的推論)による結論の導出を図られた。 統一論題報告・論点整理  その後司会の藤井秀樹氏より、第1報告の竹中氏は、①非営利組織会計と営利組織会計の共通性、②非営利組織会計と営利組織会計の統一化の可能性、第2報告の髙山氏は、①連結財務諸表を作成した場合の問題点、②相互連携を考慮した場合の提案、第3報告の宮本氏は、①フロー計算書における表示の統一化を考える前提としての現状把握、②統一化に向けた提案、として報告の論点整理が行われた。統一論題報告・論点整理終了後、神戸大学アカデミア館にて懇親会が行われた。 大会第2日目  大会2日目は午前中に自由論題報告が行われた。自由論題は3つの会場に分かれ計9本の報告が行われた。各会場の報告者及び論題は以下のとおりである。 第1会場 報 告① 川﨑紘宗氏(高松大学)/司会:安井一浩氏(神戸学院大学) 「McKinseyによるBudgetary Control(1922)生成の背景―標準の概念と政府の予算制度―」 報告② 佐藤 恵氏(千葉経済大学)/司会:尾上選哉氏(大原大学院大学) 「非営利組織会計における収入構造の表示」 報告③ 兵頭和花子氏(兵庫県立大学)/司会:石津寿恵氏(明治大学) 「非営利組織における会計制度構築の要因と可能性」 第2会場 報告① 永島公孝氏(税理士)/司会:橋本俊也氏(税理士) 「法人税の収益事業課税に関する裁判例をふまえて」 報告② 岩崎保通氏(高知大学)/司会:小島廣光氏(椙山女子大学) 「高知県におけるNPO法人の成果と課題 ― NPO法人を対象としたアンケート調査分析―」 報告③ 出口正之氏(国立民族学博物館)/司会:江田 寛氏(公認会計士) 「“クリープ現象”としての収支相償論」 第3会場 報告① 井寺美穂氏(熊本県立大学)/司会:明石照久氏(熊本県立大学) 「地方政府における職員の専門性とその限界」 報告② 髙屋雅彦氏(近畿大学)/司会:吉田初恵氏(関西福祉科学大学) 「一般病院と精神科病院における階層性と法人に関して―医療技術、専門医制度、法制度の進化との関連 ― 」 報告③ 渡辺 亨氏(熊本市都市政策研究所)/司会:伊佐 淳氏(久留米大学) 「協働に関する概念的試論 ― 熊本都市圏における官民協働事業を事例として―」  自由論題終了後に統一論題の討議が藤井秀樹氏(京都大学)を座長として、以下のような点について行われた。①純資産の拘束性について3区分あるいは2区分の内容、②非営利組織研究における会計の貢献、③海外基準への言及、④非営利組織が連結財務諸表を作成する問題点、⑤非営利組織に持分法を適用する点、⑥寄付文化・寄付社会を前提とした場合の非営利組織の会計・表示の統一あるいは、非営利組織個別の財務諸表の意義について、⑦資源の効率的配分についての決定は市場であるのか政府であるのかなど、非営利組織会計について活発な議論が行われた。

  • 第20回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第20回大会記 2016.9.17-18 成蹊大学 統一論題 非営利法人研究の回顧と展望 成蹊大学  成道秀雄  記念すべき非営利法人研究学会第20回大会は、平成28年9 月17日(土) から18日(日)の日程で、欅並木が秋色を帯びた成蹊大学にて開催された。今大会の統一テーマは「非営利法人研究の回顧と展望」として、102名の参加者が集まった。非営利法人研究学会(学会創設当初の名称は「公益法人研究学会」) が創立して、はや20年が経ち、総括的な意味でこの20年を振り返ると共に、将来の展望を、制度・経営・会計・税務の4 つの領域から探求することとし、白熱した議論が展開された。なお、前日の9 月16日(金)には、常任理事会及び理事会が開催された。 大会第1日目  大会1日目には、まず会員総会が開催され、冒頭、会長である堀田和宏氏(近畿大学)による挨拶の後、担当者より種々の会務報告がなされた。このなかで次回大会の開催地が神戸学院大学とされ、その実行委員長として同学教授の宮本幸平氏が選任された。 また、学会賞及び学術奨励賞等の選考結果として、学会賞に李庸吉氏(龍谷大学)の単著『医療紛争の法的分析と解決システム―韓国法からの示唆―』(晃洋書房)、学術奨励賞に佐藤恵氏(千葉経済大学)の論文「非営利組織会計の純資産区分に関する試論―財務的弾力性の観点から―」(『非営利法人研究学会誌』Vol.18所収)を選定した旨を発表し、授賞式を執り行った。  これに加え、研究学会創立20周年を記念して、創設時より継続して支援を行ってきた全国公益法人協会への感謝状及び記念品の贈呈式も行われた(次頁写真)。統一論題報告 統一論題報告は、総合司会に小島廣光氏(星城大学)を迎えて行われた。まず、吉田忠彦氏(近畿大学)から総論として「非営利法人制度の変遷と今後の課題」の報告があり、次に各論として江田寛氏(公認会計士)の「民間非営利法人の経営/実務家的視点からのアプローチ」、藤井秀樹氏(京都大学)の「非営利法人会計制度の回顧と展望―公益法人会計基準の検討を中心に―」、橋本俊也氏(税理士)の「非営利法人に対する税制と課題」が報告された。  続いて20周年の記念講演として非営利法人研究学会会長である堀田和宏氏(近畿大学)の「非営利法人研究学会の20年を振り返る」が行われた。 大会第2日目  大会2 日目は午前中に自由論題報告が行われた。自由論題は3つの会場に分かれ計8本の報告が行われた。各会場の報告者及び報告タイトルは以下のとおりである。  第1会場 401号室司会:尾上選哉氏(大原大学院大学)  ・報告① 日野修造氏(中村学園大学)  「FASB非営利組織体会計基準改定案の検討  ―純資産の分野を中心として―」  ・報告② 林 兵磨氏(常葉大学)  「日本の学校法人会計基準を巡る検討  ―大学の分野別考察から―」  第2会場 402号室司会:吉田初恵氏(関西福祉科学大学)  ・報告①  千葉正展氏(独立行政法人福祉医療機構・法政大学)  「社会福祉法人改革の背景と諸問題」  ・報告② 髙屋雅彦氏(近畿大学)  「 精神科病院における医療圏間の偏在と医療圏内のヒエラルキーの形成   ―医療法人における可視的な    内部及び外部コントロールとの関連―」  ・報告③ 李 庸吉氏(龍谷大学)  「 裁判外紛争解決手続における公正性と専門性―韓国における医療ADRを素材に―」  第3会場 403号室司会:齋藤真哉氏(横浜国立大学)  ・報告① 出口正之氏(国立民族学博物館)  「法人格から見たチャリティ資格の国際比較」  ・報告② 古市雄一朗氏(大原大学院大学)  「 公益認定取消しとモニタリングについての諸問題」  ・報告③ 西村友幸氏(小樽商科大学)  「組織間分析の独立性基準」  午後からは第1日目の統一テーマを受けてのシンポジウムが行われた。総合司会の小島廣光氏のもと、活発な質疑応答が行われた。

  • 全国大会の歩み | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    大会     開催日          開催場所    統一論題 第29回大会  令和7年10月11・12日  熊本学園大学  地方創生と災害復興:非営利法人がつなぐ復興と発展の未来 第28回大会  令和6年10月5・6日  明治大学    公益法人改革の方向性―非営利組織や社会への影響― 第27回大会  令和5年9月15・16日  大阪商業大学  非営利法人(非営利組織)の振興と支援 第26回大会  令和4年10月1・2日  國學院大學   非営利組織の財政基盤の確立へ向けて―ミッション達成と両立する取り組み― 第25回大会  令和3年9月25・26日  関西大学    非営利法人の理念と制度 第24回大会  令和2年9月26・27日  日本大学    非営利組織のガバナンス問題―現状と課題― 第23回大会  令和元年9月15・16日  久留米大学   公益法人制度改革10周年―公益法人の可能性と課題を探る― 第22回大会  平成30年9月7・8日  武蔵野大学   NPO法施行20年~その回顧と展望~ 第21回大会  平成29年9月5・6日  神戸学院大学  非営利法人の収入と支出に係る会計諸課題 第20回大会  平成28年9月17・18日  成蹊大学    非営利法人研究の回顧と展望 第19回大会  平成27年9月16・17日  神戸大学    非営利組織会計と営利組織会計との相互関係 第18回大会  平成26年9月10・11日  横浜国立大学  公益性の判断基準 第17回大会  平成25年9月21・22日  近畿大学    非営利法人における制度・会計・税制の改革を総括する 第16回大会  平成24年8月25・26日  北星学園大学  地域活性化と非営利活動 第15回大会  平成23年9月14・15日  熊本県立大学  地域の公共サービスと非営利活動 第14回大会  平成22年9月25・26日  早稲田大学   非営利法人制度改革と市民社会ガバナンス 第13回大会  平成21年9月26・27日  名古屋大学   非営利法人の会計基準統一の可能性をさぐる 第12回大会  平成20年9月5・6日  日本大学    非営利組織の業績測定・評価に関する多角的アプローチ 第11回大会  平成19年9月8・9日  近畿大学    非営利組織研究の課題と展望 第10回大会  平成18年9月1・2日  北海道大学   非営利法人制度改革の動向と問題点 第9回大会  平成17年9月9・10日  神奈川大学   非営利組織の今日的課題と展望 第8回大会  平成16年9月3・4日  九州産業大学  非営利組織のガバナンスと活動のディスクロージャー 第7回大会  平成15年10月10・11日  成蹊大学    非営利組織の経営と課題 第6回大会  平成14年7月26・27日  京都大学    非営利組織のアカウンタビリティと業績評価 第5回大会  平成13年10月5・6日  中央大学    公益法人の社会的機能と責任 第4回大会  平成12年10月6・7日  神戸学院大学  あらためて『公益』を問う 第3回大会  平成11年10月1・2日  国士舘大学   公益法人の課題と21世紀への期待 第2回大会  平成10年10月2・3日  近畿大学    公益法人のレーゾン・デートル 第1回大会  平成9年10月3・4日  青山学院大学  公益法人研究の現状と課題  非営利法人研究学会では、毎年全国大会を開催。固有の課題のもと、活発な議論を行い、研究を深めています。 全国大会 大会の歩み

  • 第26回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第26回大会記 2022年10月1日~2日 國學院大學 1. はじめ に  非 営利法人研究学会第26回全国大会が、2022年10月1 日(土)14時30分より、國學院大學渋谷キャ ンパス1号館1階1103教室を会場に行われた。90名以上の参加者を迎え、金子良太 大会準備委員長 (國學院大學教授)から挨拶があった後、研究報告・討論会が行われた。  第26回目を迎える本大会では、新型コロナの異常事態の中だからこそ、非営利組織が運営基盤の確立とミッションの達成を両立しうることを願い、統一論題のテーマを「非営利組織の財政基盤の確立へ向けて―ミッション達成と両立する取り組み―」と設定し、それぞれ報告と討論会を行うこととした。また、大会中は3名の統一論題報告、5名の自由論題報告、分野別研究会及び受託研究報告、スタディ・グループ報告が行われた。  昨年の全国大会終了後も新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、対面開催が危ぶまれたが、 本大会は久々の対面開催となった。  非営利組織もまた、その使命を全うするために日々努力されているが、コロナ禍において資金があっても十分な活動ができないケース、また社会的課題に立ち向かう必要性が認識されながらも資源が不足するなどの制約でミッションを達成する活動が大きな制約を受けるケースもある。非営利組織が運営基盤の確立とミッションの達成を両立しうることを願って、統一論題を「非営利組織の財政基盤の確立へ向けて―ミッション達成と両立する取り組み―」とした。 2. 統一論題 (1) 石津寿惠氏(司会・明治大学)   統一論題のテーマに基づき、以下の3報告に共通するミッション達成と両立するための取り組みとして、非営利組織の財政基盤の特徴、ミッションと事業そして評価を巡る状況整理と問題提起がなされた。これに続き、各パネリストから以下の研究報告がなされた。 (2) 馬場英朗氏(関西大学) テーマ「成果の可視化と非営利のミッション―PFS・SIB・休眠預金等活用・社会的投資などの視点から」  成果の可視化の観点からミッションの達成の評価方法の課題について、日本のPFS事業例の紹介 やアメリカやイギリスと日本の非営利組織の事業評価方法の比較検討やSIB、休眠預金口座の活用とその評価等に関するご報告があった。 (3) 金子良太氏(國學院大學) テーマ「非営利組織におけるクラウドファンディングやファンドレイジング費用の会計的課題―」  非営利組織の経営上重要な寄付手段としてのクラウドファンディング(CF)に関する課題として、 寄付型CFの会計処理の特徴、そして会計的に事業性をどう捉えるのかという論点整理、そして海外の非営利組織への現地調査結果を踏まえた報告があった。 (4) 千葉正展氏(独立行政法人福祉医療機構) テーマ「非営利組織における経営基盤の強化と法人間の連携―社会福祉法人のミッションと社会福祉連携推進法人の動向等に着目して」  社会福祉法人のミッションを巡り、戦後に政府主導で認可された社会福祉法人制度創設前後の状況、そして最近の社会福祉連携推進法人創設といった社会福祉法人制度の歴史的展開を踏まえたご報告がなされた。 3.   シンポジウム(分野別研究会 ワークショップ)   尾上選哉 氏(日本大学)のファシリテーションの下、座長の藤井 誠 氏(日本大学)の方から「公益・一般法人における税務問題の実務視点からの研究」に関するご報告があった。これを受けて江田 寛 氏(公認会計士)からオンラインでコメントが寄せられた。 4. 記念講演  非営利用語辞典編集代表の堀田和宏 氏(非営利法人研究学会前会長)から、本辞典を取りまとめるにあたり多くの執筆者の協力で本企画が実現できたことに対する感謝の言葉がビデオメッセージ で寄せられた。 5. 分野別報告(中間報告)   森美智代 氏(熊本県立大学)の司会の下、3つの研究会から研究活動報告がなされた。 (1) 「NPO法人研究会」(座長 初谷 勇氏(大阪商業大学)  NPO法人の研究意義から再検討を行い、本研究会の方向性についてメンバー間で議論・再確認しあった結果、核となる議題としてNPO法人と非営利組織との存在意義の連動性、寄附税制との関係、外部環境変化への対応、市民自治や地域自治に整理した点や4回の活動内容についてのご報告があった。 (2) 「医療福祉系法人研究会」(座長 鷹野宏行氏(武蔵野大学)  最近の研究会開催状況やZOOM会議映像公開に関するご説明等がなされた。 (3) 「大学等学校法人研究会」(座長 柴 健次氏(関西大学)  従前のテーマであった「大学のガバナンスとアカウンタビリティ」を引き継ぎつつ、更に「経営体としての大学に求められること」を主題に掲げ、6つの研究報告を収録した中間報告書の議論を中心としたご報告がなされた。 6. 受託研究報告 「非営利法人の会計に関わる試験に関する研究」(最終報告)  大原昌明 氏(北星学園大学)の司会の下、座長の故成川正晃 氏に代わり座長代行の齋藤真哉 氏(横 浜国立大学)を中心に研究メンバー(生島和樹 氏・石田万由里 氏・黒木 淳 氏。石田晴美 氏は当日欠席)の方から、非営利法人の会計試験を巡る状況として、公益法人検定試験の意義と課題、社会福祉法人会計簿記検定試験の現状と課題、そして試験を利用する法人や合格者へのアンケート調査結果に関する研究成果についてのご報告がなされた。 7. スタディ・グループ報告 「非営利組織の持続可能性と連携:ソーシャル・サービスの連携推進の発展可能性をめぐる多角的検討」  大原昌明 氏(北星学園大学)の司会の下、國見真理子 氏(田園調布学園大学)を座長とするスタ ディ・グループから、法律・会計・経営・海外制度比較・社会保障等の多角的側面からの分析を通じて、非営利組織のソーシャル・サービスの連携推進の発展可能性を明らかにするご報告がなされた。 8. 自由論題報告 (1) 自由論題報告①   柴 健次 氏(関西大学)の司会の下、第1報告・第2報告がなされた。 第1報告 「NPOにおける「社会投資収益率(SROI)」評価の問題点考察―費用便益分析との比較において―」 宮本幸平 氏(神戸学院大学)  社会投資収益率(SROI)の評価におけるインパクトの評価について、費用便益分析における評価と対比しながら、問題点の指摘や代替案の導出に関するご報告がなされた。 第2報告 「人口減少社会における私立大学の維持と役割について」 林 兵磨 氏(京都西山短期大学)  人口減少社会における私立大学、とりわけ中小規模大学の維持と役割について国の私学助成金制度のあり方等の観点からご報告がなされた。 (2) 自由論題報告②  初谷 勇 氏(大阪商業大学)の司会の下、第3報告・第4報告がなされた。 第3報告 「マルチステークホルダー・プロセスにおける境界連結単位の役割」 伊藤 葵 氏(富山国際大学)  地域課題課題にむけた活動プロセスがどのようにマネジメントされていくのか、またマネジメントの主体はどのような特性や機能を有する必要があるかについてのご報告がなされた。 第4報告 「企業家の社会事業と公益観―石橋正二郎を中心に」 川野祐二 氏(下関市立大学)  石橋正二郎の自伝『水明荘夜話』とその実質的な執筆者である佐野朝男について、石橋正二郎の公益観と社会貢献意欲に関する思想を明らかにするご報告がなされた。 (3) 自由論題報告③  吉田初恵 氏(関西福祉科学大学)の司会の下、第5報告がなされた。 第5報告 「地方私立大学における地域貢献の意義と運営体制に関する考察」 渡辺 亨 氏(日本経済大学)  私立大学の地域貢献とその課題について、実際の事例を通じて、取り組みの阻害要因と課題の解決に向けた協働体制の構築方法に関するご報告がなされた。 9. 統一論題討論   事前に寄せられた質問に対して各パネリストからのコメントと当日フロアから寄せられた質問に 対する応答等を通じて、活発な討論が行われた。  大会は、10月2日(日)17時30分に終了した。大会準備委員長として、スムーズな運営にご協力 いただいた事務局、参加者の皆様、運営のお手伝いをいただいた学生に心から感謝申し上げます。 2023年1月4日 非営利法人研究学会第26回全国大会準備委員会 準備委員長 金子 良太(國學院大學) 委員 國見真理子(田園調布学園大学) 中田 有祐(國學院大學)  

  • 第7回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第7回大会記 2003.10.10–11 成蹊大学 統一論題 非営利組織の経営と課題  1 非営利組織とNPO法  2 非営利組織の社会貢献  3 非営利組織の業績評価をめぐる諸問題の会計学的考察  4 非営利組織の税務に関する諸問題 白鴎大学  鷹野宏行  公益法人研究学会第7回全国大会は、2003年10月10日(金)〜11日(土)の日程で、成蹊大学において開催された。両日ともに秋らしい好天に恵まれた。第1日目は理事会の開催に当てられた。以下では、第2日目の研究報告大会の模様を中心に、学会開催状況を紹介することにする。 自由論題  午前中は3会場に分かれて自由論題が行われた。自由論題報告の報告者と報告テーマは、以下のとおりである。連休初日、かつ午前中の開催にもかかわらず、多数の会員の参加を得て、各会場で熱心な質疑応答が交わされた。 第一会場 司会・永島公朗氏(公認会計士) 1. 江田 寛氏(公認会計士)「収益事業課税における資本取引及び損益取引概念の検討」 2. 早坂 毅氏(税理士)「現物給付と割引販売−わが国の非営利法人会計における取り扱いの現実とその望ましい姿−」 第二会場 司会・松倉達夫氏(ルーテル学院大学) 1. 渡辺孝雄氏(第一福祉大学)「福祉サービスにおける成果主義にもとづく目標管理の導入について」 2. 大森 信氏(城西国際大学)「福祉ビジネスに関する研究−訪問介護ビジネスを展開する企業間比較−」 3. 吉田忠彦氏(近畿大学)「非営利組織のパートナーシップ政策」 第三会場 司会・島田 恒氏(龍谷大学) 1. 東海林邦彦氏(北海道大学)「非営利組織法制改革・試案−総論的部分に限定して」 2. 西村友幸氏(釧路公立大学)「自律協働体系としてのボランタリー組織」 研究部会報告  引き続いて、興津裕康氏(近畿大学)の司会により、研究部会報告が行われた。研究テーマは以下のとおりである。 1. 東日本部会 主査・松葉邦敏氏(国士舘大学)       「わが国の公益法人会計に関する研究」 2. 西日本部会 主査・堀田和弘氏(近畿大学)       「非営利組織におけるマネジメントの多角的検討」 総 会  昼食・休憩の後、会員総会より午後の部のプログラムにはいった。本学会事務局・常任理事の川崎貴嗣氏(公益情報サービス)から、会務報告、会計報告等が行われ、理事会提案は総会においてすべて承認された。続いて、昨年より創設された学会賞及び学術奨励賞の発表が行われた。第2回学会賞は該当者なし、第2回学術奨励賞には江頭幸代氏(広島商船専門学校)「環境コストと撤去コスト」、及び今枝千樹氏(京都大学大学院)「非営利組織の業績評価と会計情報拡張の必要性」を選定したことが審査委員会から報告され、審査委員長の守永誠治氏より賞状と副賞が授与された。 統一論題報告・統一論題シンポジウム  総会終了後、統一論題報告・統一論題シンポジウムが石崎忠司氏(中央大学)の総合司会のもと行われた。報告者と報告要旨は以下のとおりである。 1.小島廣光氏(北海道大学)「非営利組織とNPO法」  小島氏の発表は、わが国において長い間、必要性が認識されながらも立法化されてこなかったNPO法が、阪神・淡路大震災の発生からわずか6年間で「なぜ」そして「どのように」して立法化されたのかについて焦点を当て検討がなされた。小島氏はまず、NPO法の立法過程を分析するための理論的枠組みとして「改訂・政策の窓モデル」を導出する。その後、NPO法の全立法過程を6つの期間に区分し、詳細な年代記分析を試みている。そして、立法過程の実態を17の命題として整理され、その命題は、①如何なる参加者が、NPO法に対する思いをまず自らの信念として認識したのか、②如何なる政策アクティビストが、その信念を具体的に固め、法律案骨子を社会的に創造したのか、③如何なる場で、そのような法律案骨子の創造が行われたのか、④その法律案骨子が、より大きな場で法律案として提示された結果、如何にしてNPO法の立法問題が「政府・国会のアジェンダ」における高い優先順位を獲得したのか、という4つの問に対する答えになっていると主張した。 2.作間逸雄氏(専修大学)「非営利組織の社会貢献」  作間氏の発表は、標準的経済理論を「合理的な愚か者」の理論として批判することにより、「公共性」の観点から非営利組織の社会貢献の可能性を検討することに主眼が置かれた。作間氏に主張では、「合理的な愚か者」の理論とは、ノーベル経済学賞受賞のセン教授により展開された理論で、正統派規範理論は個人が持つ選好を唯一の繊細な道具として、「個人の私的利害の追求」、「個人の厚生の評価」、「個人の選択行動の合理化」という3つの異なるタイプの問題に対処しようとしているとするもので、選好、利害、厚生、選択を必然的に連結する正統派規範理論は、人間行動の動機の多様性をすべて捨象して、人間をたった1つの選好に隷属する「合理的な愚か者」として処遇するものであるとセン教授の批判するところを引き合いに出される。そして作間氏は、セン教授の「機能」と「ケイパビリティー」という概念を援用して、分析を試みられた。 3.今枝千樹氏(京都大学大学院)「非営利組織の業績評価をめぐる諸問題の会計学的考察」  今枝氏の発表は、非営利組織における業績の考え方について整理したうえで、アメリカの非営利組織における業績評価の現状、とりわけ非営利組織に対する第三者評価機関の視点及び役割について、整理検討することに焦点が当てられた。まず、今枝氏は、非営利組織に対しての3E(economy,efficiency,effectiveness)評価の適用可能性について、肯定的な視点で議論を展開される。そして、アメリカにおけるインターミディアリ(intermediary)の存在について紹介し、その評価の視点と役割について、複数の団体の事例を引き合いに出して、その評価基準ついても敷衍する。インターミディアリによる外部評価は、非営利組織自らが行う内部評価に関する情報に信頼性を付与することによって、非営利組織と寄附者を結び付ける役割を果していると結論づけた。 4.畑山 紀氏(札幌学院大学)「非営利組織の税務に関する諸問題」  畑山氏は大会直前に体調を崩され欠席された。急遽、大会準備委員長の成道秀雄氏(成蹊大学)よりレジュメの代読が行われた。内容については上記事情に鑑み省略する。 以上の報告の後に、シンポジウムが開催され、統一論題報告に対する多数の質問が寄せられた。高橋選哉氏(福山大学)、保谷六郎氏(社会経済研究会)、江田 寛氏(公認会計士)、山田康裕氏(滋賀大学)、千葉正展氏(福祉医療機構)、菊池章夫氏(岩手県立大学)、橋本俊也氏(税理士)、藤井秀樹氏(京都大学)、東海林邦彦氏(北海道大学)などから質問が寄せられ、活発な討論が行われた。 懇親会  統一論題報告・統一論題シンポジウム終了後、成蹊大学10号館12階ホールにて懇親会が開催された。大会準備委員長の成道秀雄氏(成蹊大学)からの開会の辞に続き、成蹊大学経済学部長の高木新太郎氏から式辞が述べられた。続いて、新会長に選出された松葉邦敏氏(国士舘大学)による挨拶があり、戸田博之氏(神戸学院大学)の乾杯の発声により懇親会が始められた。懇親会は終始和やかな雰囲気のもと執り行われ、19時00分に散会した。

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