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  • 受賞者一覧 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    学会賞・学術奨励賞の受賞者一覧 ■学会賞受賞者一覧 (号、受賞日、氏名、受賞著書または論文名、発行所・掲載誌) 第1号 平成14年7月27日 堀田和宏 非営利事業の社会的機能と責任 学会誌Vol.4 第2号 平成16年9月4日 小島廣光 政策形成とNPO法―問題、政策、そして政治 有斐閣 第3号 平成18年9月1日 藤井秀樹 非営利組織の制度進化と新しい役割 学会誌Vol.8 第4号 平成21年9月26日 伊藤研一・道明義弘 大統領府創設の“ねらい”―行政組織の効率測定と予算配分:サイモンとバーナード 学会誌Vol.11 第5号 平成28年9月17日 李 庸吉 医療紛争の法的分析と解決システム―韓国法からの示唆― 晃洋書房 第6号 令和元年9月15日 黒木 淳 非営利組織会計の実証分析 中央経済社  ■学術奨励賞受賞者一覧 (号、受賞日、氏名、受賞著書または論文名、発行所・掲載誌) 第1号 平成14年7月27日 梅津亮子 看護サービスの活動レベルの原価標準設定 学会誌Vol.4 第2号 平成15年10月11日 今枝千樹 非営利組織の業績評価と会計情報拡張の必要性 学会誌Vol.5 第3号 平成15年10月11日 江頭幸代 環境コストと撤去コスト 学会誌Vol.5 第4号 平成17年9月10日 吉田初恵 介護保険制度改革に向けての論点 学会誌Vol.7 第5号 平成20年9月4日 池田享誉 非営利組織会計概念形成論 森山書店 第6号 平成23年9月14日 佐久間義浩 非営利組織における内部統制の現状―自治体病院におけるアンケート調査による分析― 学会誌Vol.13 第7号 平成25年9月21日 深山誠也 社会福祉法人の競争戦略と組織―高齢者介護組織を対象とする実証研究― 学会誌Vol.15 第8号 平成26年9月10日 後藤祐一 戦略的協働の経営 白桃書房 第9号 平成28年9月17日 佐藤 恵 非営利組織会計の純資産区分に関する試論―財務的弾力性の観点から― 学会誌Vol.18 ■学術奨励賞特賞受賞者一覧 (号、受賞日、氏名、受賞著書または論文名、発行所・掲載誌) 第1号 平成22年9月4日 江田 寛 NPO会計基準を民間で作成することの意義 学会誌Vol.12

  • 第12回学会賞・学術奨励賞 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    学会賞・学術奨励賞の審査結果 第12回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成25年9月21日 非営利法人研究学会 審査委員長:堀田和宏   非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第12回学会賞(平成24年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(平成24年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(平成24年度全国大会における報告に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果、今次は学会賞、学術奨励賞特賞に該当する論文はなく、下記の論文を学術奨励賞に値するものと認め選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞  該当作なし 2. 学術奨励賞 深山誠也「社会福祉法人の競争戦略と組織―高齢者介護組織を対象とする実証研究―」(平成24年度非営利法人研究学会全国大会自由論題報告、於:北星学園大学、『非営利法人研究学会誌』Vol.15所収) 【受賞理由】 【論文の概要及び授賞理由】  平成25年度「学術奨励賞」は、深山誠也氏の論文「社会福祉法人の競争戦略と組織―高齢者介護組織を対象とする実証研究―」が選考されました。なお、本論文は、本年8月に刊行されました『非営利法人研究学会誌』第15巻に収録されています。  本論文は、北海道において高齢者介護事業を展開している全部で394の社会福祉法人のうちの298法人から得られた質問票調査データにもとづいて、社会福祉法人の競争戦略と組織特性の相互関係を実証的に解明した研究です。  本論文の内容を簡単に紹介します。  Ⅰ 節において、本論文の目的が、社会福祉法人の環境-競争戦略-組織特性-組織成果間の相互関係の解明であることを述べています。具体的には、⑴社会福祉法人はいかなる競争戦略を採用しているのか、⑵競争戦略は固有の組織特性を備えているのか、⑶競争戦略と組織特性が適合的である場合、組織成果は高いのか、の3点を明らかにすることである。  Ⅱ節において、この分野の先行研究を検討し、それらの問題点を明らかにしています。  Ⅲ節において、競争戦略と組織特性の相互関係を実証的に解明するための準備として、まず検証されるべき3つの仮説を提示するとともに、これら3つの仮説間の関係を示す理論的枠組を明らかにしています。さらに、仮説を構成する概念の測定方法を定義しています。  Ⅳ節において、①調査対象と②調査方法が示されています。  Ⅴ節において、調査結果の詳細な定量的分析が試みられています。  最後のⅥ節において、本研究の意義と今後の課題が明らかにされています。  本研究の第1に評価すべき点は、従来、経営学ではほとんど注目されてこなかった社会福祉法人を分析対象として取りあげていることです。高齢者介護の進展や介護保険制度の導入等によって、高齢者介護事業を展開している社会福祉法人の効果的・効率的経営は、益々求められています。したがって、社会福祉法人の経営の実態の解明は、極めて重要な課題であるといえます。  第2に評価すべき点は、第1の点とも関連しますが、高齢者介護事業を展開している社会福祉法人の経営全体の包括的な分析を試みていることです。この分野の数少ない先行研究は、もっぱら介護老人福祉施設の運営を分析するものがほとんどであり、その分析項目は、施設長のリーダーシップ等に限定されていました。  第3に評価すべき点は、この社会福祉法人の経営全体の包括的な実証分析の結果、次の4点を明らかにしていることです。⑴社会福祉法人においては、有効な3つの競争戦略(コスト志向戦略、差別化志向戦略、差別化・コスト併用戦略)が存在する。⑵環境不確実性の認知が異なる場合、採用される競争戦略が異なる。⑶競争戦略が異なる場合、採用される組織特性は異なる。⑷競争戦略 が異なる場合、有効な組織特性の組み合わせは異なる。  しかし、本論文にも問題点がない訳ではありません。これら環境-競争戦略-組織特性-組織成果間の相互関係が、「なぜ」「どのよう」にして形成されたのか、すなわち、競争戦略と組織特性の形成プロセスについては、本論文では必ずしも解明されていません。この点で、本研究は静態的な分析に止まっています。研究が静態的分析に止まっている点に関しては、筆者も認識しており、今後の研究課題として、競争戦略と組織特性の動態的分析の必要性があげられています。  以上のように、本論文は、高齢者介護事業を展開している社会福祉法人の経営の実態を組織論の研究方法にもとづいて解明した非常に手堅い研究成果であるといえます。  したがって、審査委員会は、全員一致で、本論文が「学術奨励賞」を受賞するに値するものと決定いたしました。 3. 学術奨励賞特賞  該当作なし

  • 第20回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第20回大会記 2016.9.17-18 成蹊大学 統一論題 非営利法人研究の回顧と展望 成蹊大学  成道秀雄  記念すべき非営利法人研究学会第20回大会は、平成28年9 月17日(土) から18日(日)の日程で、欅並木が秋色を帯びた成蹊大学にて開催された。今大会の統一テーマは「非営利法人研究の回顧と展望」として、102名の参加者が集まった。非営利法人研究学会(学会創設当初の名称は「公益法人研究学会」) が創立して、はや20年が経ち、総括的な意味でこの20年を振り返ると共に、将来の展望を、制度・経営・会計・税務の4 つの領域から探求することとし、白熱した議論が展開された。なお、前日の9 月16日(金)には、常任理事会及び理事会が開催された。 大会第1日目  大会1日目には、まず会員総会が開催され、冒頭、会長である堀田和宏氏(近畿大学)による挨拶の後、担当者より種々の会務報告がなされた。このなかで次回大会の開催地が神戸学院大学とされ、その実行委員長として同学教授の宮本幸平氏が選任された。 また、学会賞及び学術奨励賞等の選考結果として、学会賞に李庸吉氏(龍谷大学)の単著『医療紛争の法的分析と解決システム―韓国法からの示唆―』(晃洋書房)、学術奨励賞に佐藤恵氏(千葉経済大学)の論文「非営利組織会計の純資産区分に関する試論―財務的弾力性の観点から―」(『非営利法人研究学会誌』Vol.18所収)を選定した旨を発表し、授賞式を執り行った。  これに加え、研究学会創立20周年を記念して、創設時より継続して支援を行ってきた全国公益法人協会への感謝状及び記念品の贈呈式も行われた(次頁写真)。統一論題報告 統一論題報告は、総合司会に小島廣光氏(星城大学)を迎えて行われた。まず、吉田忠彦氏(近畿大学)から総論として「非営利法人制度の変遷と今後の課題」の報告があり、次に各論として江田寛氏(公認会計士)の「民間非営利法人の経営/実務家的視点からのアプローチ」、藤井秀樹氏(京都大学)の「非営利法人会計制度の回顧と展望―公益法人会計基準の検討を中心に―」、橋本俊也氏(税理士)の「非営利法人に対する税制と課題」が報告された。  続いて20周年の記念講演として非営利法人研究学会会長である堀田和宏氏(近畿大学)の「非営利法人研究学会の20年を振り返る」が行われた。 大会第2日目  大会2 日目は午前中に自由論題報告が行われた。自由論題は3つの会場に分かれ計8本の報告が行われた。各会場の報告者及び報告タイトルは以下のとおりである。  第1会場 401号室司会:尾上選哉氏(大原大学院大学)  ・報告① 日野修造氏(中村学園大学)  「FASB非営利組織体会計基準改定案の検討  ―純資産の分野を中心として―」  ・報告② 林 兵磨氏(常葉大学)  「日本の学校法人会計基準を巡る検討  ―大学の分野別考察から―」  第2会場 402号室司会:吉田初恵氏(関西福祉科学大学)  ・報告①  千葉正展氏(独立行政法人福祉医療機構・法政大学)  「社会福祉法人改革の背景と諸問題」  ・報告② 髙屋雅彦氏(近畿大学)  「 精神科病院における医療圏間の偏在と医療圏内のヒエラルキーの形成   ―医療法人における可視的な    内部及び外部コントロールとの関連―」  ・報告③ 李 庸吉氏(龍谷大学)  「 裁判外紛争解決手続における公正性と専門性―韓国における医療ADRを素材に―」  第3会場 403号室司会:齋藤真哉氏(横浜国立大学)  ・報告① 出口正之氏(国立民族学博物館)  「法人格から見たチャリティ資格の国際比較」  ・報告② 古市雄一朗氏(大原大学院大学)  「 公益認定取消しとモニタリングについての諸問題」  ・報告③ 西村友幸氏(小樽商科大学)  「組織間分析の独立性基準」  午後からは第1日目の統一テーマを受けてのシンポジウムが行われた。総合司会の小島廣光氏のもと、活発な質疑応答が行われた。

  • 第24回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第24回大会記 2020.9.25-26 日本大学 統一論題 非営利組織のガバナンス問題―現状と課題―  2020年(令和2 年) 9 月26日(土)から27日(日)の日程で、非営利法人研究学会第24回全国大会が日本大学を主催校として開催された。統一論題は「非営利組織のガバナンス問題―現状と課題―」であった。  本年度の全国大会は、日本国内においても新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が増加し、その終息について大変不透明な状況下にあって、熟慮に熟慮を重ねた結果、対面開催を断念し、本学会においては初めての試みとして、オンデマンド配信とライブ配信を組み合わせたオンライン大会として実施することになった。また、本大会は2 日間のプログラムを編成し、25日の常任理事会および理事会に続き、26日に会員総会、統一論題報告および討論をはじめとするすべての研究報告等を集約した。  特に、本年度は、コロナ禍にあってその尊い使命を果たされている公益社団法人日本看護協会常任理事の鎌田久美子氏にご講演をお願いした。   なお、本大会においては、本学会に所属する日本大学の会員が、学部の垣根を越えて「オール日大」として大会準備委員会に名を連ね、大会運営に係る役割を果たしたことも併せて記しておきたい。  本大会の概要は以下のとおりである。 統一論題報告(Zoomによるリモート開催・LIVE) 趣旨  日本の上場企業によるコーポレート・ガバナンス改革の進展を背景として、最近では非営利組織においても「ガバナンス」の問題が取り上げられるようになった。そこでは、非営利組織の不正や不祥事、あるいは不適切な運営の実態を踏まえて、制度的な枠組みの中で非営利組織のガバナンスの在り方を規制する動きも強まっており、さらに「非営利組織版ガバナンス・コード」の設定も議論され始めている。  統一論題においては、吉見 宏氏(北海道大学)に座長をお願いした。特に公益法人、社会福祉法人におけるガバナンスをめぐる問題についてその現状を分析するとともに、ひとつの座標軸として地方自治体における議論にも視野を広げることにより、非営利組織と営利組織あるいは地方自治体との共通点と異同点を浮き彫りにし、非営利組織独自のガバナンス問題の論点と課題について其々の観点から考察し、質疑応答が行われた。 第1 報告 「地方自治体の内部統制の現状と課題―パブリック・ガバナンスの充実強化に向けて―」( 石川恵子氏・日本大学)   本報告は、地方自治体の内部統制の現状と課題を取り上げ、パブリック・ガバナンスの充実強化に向けた展望について議論することを目的とした。本報告においては、その出発点として地方自治体における人手不足が内部統制に及ぼす影響を考察した。次に、小規模な市町村で顕在化した職場環境内におけるガバナンス上の課題を抽出したうえで、2020年4 月より施行された内部統制の整備・運用について、その制度化に至る議論の整理と事例の紹介が行われた。 第2 報告 「公益法人におけるガバナンスの現状と課題」( 岡村勝義氏・神奈川大学)  本報告は、新公益法人制度がその施行から10年を迎えたことを機に、公益法人のガバナンスをめぐる様々な指摘や関心の高まりに着目し、とりわけ公益法人においてガバナンスの機能不全を引き起こしている3 つの要因、すなわち①公益法人制度それ自体に内在する要因、②公益法人制度の使い手たる法人側の要因、および③公益法人制度に対する社会(国民)の側の要因を明示した。また、ガバナンス機能の改善・強化に向けた諸要因に対するアプローチについて具体的な検討が行われた。 第3 報告 「社会福祉法人のガバナンスの現状と課題」( 吉田初恵氏・関西福祉科学大学)  本報告は、社会福祉法人の実態と法人経営に共通する諸問題を整理するとともに、公益法人制度改革を参考にした社会福祉法人制度改革のポイントを説明したうえで、ガバナンス強化の必要性が主張された。すなわち、①評議員会・理事会、②情報公開、③法人規模の各観点から社会福祉法人のガバナンスの課題を指摘するとともに、行政指導・監査の強化およびガバナンス・コードの策定や公益を担保するためのマルチステークホルダーとの対話・協働等の新たなガバナンスの方向性が示された。 特別講演会(オンデマンド配信) 「公益社団法人 日本看護協会の使命とコロナ禍における取り組み」( 鎌田久美子氏・日本看護協会)  特別講演会として、これまで人々の人間としての尊厳を維持し、健康な生活の実現に貢献されてきた公益社団法人日本看護協会の鎌田久美子氏をお招きした。日本看護協会の基本理念と基本戦略、および看護の将来ビジョン等についてご説明頂いたうえで、新型コロナウイルス感染症に関する現下の取り組みと成果について、看護職員の確保、現場支援、国への要望等について詳細かつ具体的に解説していただいた。「新しい生活様式」の広がりに向けて看護職の働きを支える公益法人としての同協会の使命と役割について学ぶ貴重な機会となった(なお、同協会のご理解を賜り、学会終了後も一定期間、本学会ホームページにおいてオンデマンド配信による視聴をお認めいただいたことに厚く御礼を申し上げたい)。 委託研究報告(Zoomによるリモート開催・LIVE) 「「一般社団・財団法人が公益法人会計基準を適用する場合の諸課題とその解決策の検討」について」 ( 髙山昌茂氏・公認会計士/一般法人会計研究委員会)  本研究報告は、委託研究として組織された「一般法人への公益法人会計基準の適用に関する研究委員会」の研究報告である。旧特例民法法人ではない一般法人や公益目的支出計画を終了した一般法人が公益法人会計基準を適用する場合に如何なる問題が存在するかを洗い出し、どのような改善策を講じることが可能かを調査・研究することを目的として設置された。当該研究報告は、本研究委員会を代表して髙山昌茂氏が行った。   当日は、本研究委員会における議論の経緯について概説するとともに、まったく新しい「一般法人」会計基準を策定するのではなく、公益法人会計基準を補完する会計基準を策定する観点から、20年基準のマイナーチェンジ版を目指し、日本公認会計士協会が公表した「モデル会計基準」との主な差異を踏まえた各論点に係る検討の結果が示され、その後質疑が行われた。 自由論題報告(報告:オンデマンド配信 質疑応答:Zoomによるリモート開催・LIVE) 第1 報告 「非営利組織における租税回避行動に関する実証分析」( 黒木 淳氏・横浜市立大学、夏吉裕貴氏・横浜市立大学大学院)   本報告は、16,487の公益法人を対象として、租税回避行動を目的とした費用配分の実態および費用配分に対するガバナンスの影響について調査することを目的とするものである。検証の結果、日本の一部の公益法人において収益事業を通じた租税回避行動が行われているが、米国に比べてその規模が小さいこと、また非常勤理事、寄付者、規制によるモニタリングが租税回避行動を抑制していると考えられること等を見出している。 第2 報告 「孤立死の量的・質的分析と二地域における孤立死対策への取り組み比較」( 小川寛子氏・京都産業大学大学院)  本報告は、急速な高齢化の進展のなかで、社会的孤立や孤立死が大きな社会的問題となっていることを背景として、孤立状況で発見された自宅独居死亡者(孤立死相当)について、量的・質的な検討を行うものである。孤立死に係る高リスク要因を特定するとともに、孤立死対策に取り組んでいる複数の地域を取り上げ、対策に至る状況や内容を調査した。その結果を踏まえて、各地域における取り組みに共通する点や相違点を比較・整理している。 第3 報告 「コミュニティ病院を所有する米国非営利組織の財務諸表に関する一考察―メイヨークリニックを題材として―」 ( 谷光 透氏・川崎医療福祉大学)   本報告は、日本の非営利組織会計が影響を受けている米国における非営利組織の新会計基準の経緯を確認したうえで、特にコミュニティ病院を所有する米国のメイヨークリニックを取り上げ、その連結財務諸表における開示内容を検討した。かかる考察を基礎として、日本の非営利組織に共通する会計枠組みへの示唆を得るとともに、病院を所有する日本の非営利組織特有の情報開示の在り方を考察することを意図した。 第4 報告 「NPO法人による交通空白地有償運送の効率性評価」 ( 小熊 仁氏・高崎経済大学)  本報告は、交通空白地有償運送が地域住民の交通手段として継続的な役割を担うためには、これに携わる非営利組織がいかに効率的なサービスを提供できるかが重要になるとの観点から、内閣府NPOホームページから得られた30件のNPO法人を対象に、包括分析法(DEA)に基づいて交通空白地有償運送のサービス供給に関する効率性の評価を行った。実際に非効率が生じているとの分析結果から、金銭的支援や人的支援の必要性や近接する団体間の連携・統合等を指摘している。   第5 報告 「公益法人の財務三基準のシステム論的理解」( 久保秀雄氏・京都産業大学、出口正之氏・国立民族学博物館)  本報告は、公益法人制度における収支相償について、ガイドライン策定時にはなかった批判が年を追うごとに大きくなっているとの認識に基づいて、収支相償を含めた財務三基準をシステム論的に捉え直し、公益法人をめぐる規制と制度の趣旨である公益の増進との関係について考察するものである。システムである財務三基準を要素還元主義的に緩和しようとして規制強化が生じているとの解釈について議論を展開するとともに、システム論の見地から実証を要する課題が示されている。 第6 報告 「相違説に基づく非営利会計の本質と国際的非営利会計基準の議論」( 出口正之氏・国立民族学博物館)  本報告は、非営利法人会計を考えるにあたって起点となる二つの立場として、非営利法人会計と企業会計を同一である点を原則として考察する「同一説」と、両者の相違点を原則として考察する「相違説」を掲げるとともに、どちらにデフォルトを置くかによって非営利法人会計における議論の方法が変わることを論じている。また、今般の「国際非営利会計基準」(IFR4NPO)」の公表の経緯と意義について相違説を支持しつつ、その評価を行った。 第7 報告 「中間支援組織が主体となるマルチステークホルダー型実践的課題解決の取組み―福(副)業の可能性を探る―」 ( 平尾剛之氏・特定非営利活動法人きょうとNPOセンター、吉田忠彦氏・近畿大学)    本報告は、中間支援組織である特定非営利活動法人きょうとNPOセンターによる副業支援の取り組みについて説明が行われた。すなわち、公益財団法人トヨタ財団の「そだてる助成」を受けて、中間支援組織であるNPO法人が主体となってマルチステークホルダー型で構成している「副業推進プロジェクト」を通じてその研究成果がまとめられた経緯、その中で副業支援において相談機能、研修機能および広報機能等を果たす中間支援組織の意義が示された。 補足 本大会のリモート開催に至る経緯について  第24回全国大会の開催にあたり、準備委員会は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスクを想定した準備を進めていたが、大学事務局の指示により、感染拡大防止の観点から、大学キャンパス内の施設を会場として使用することができなくなった。  これを受けて、準備委員会は学外の施設を借用し、会場を設営するための検討を重ねたが、当時においてCOVID-19の終息はまったく不透明であり、しかも感染者が増加傾向にある中で、会場内においていわゆる「3 密回避」を徹底したとしても、会場までの会員の移動や、会場内での感染リスクを完全に排除することは不可能であるとの結論に至った。  また、大学内においては対面授業に代わりオンライン授業が行われており、学生との接触も厳しく制限されていたため、大会運営のために学生を動員し、会場に配置すること自体、大きな非難を受けるであろうこと等、熟慮に熟慮を重ねた結果、本学会の常任理事会との議論を重ねる中で、齋藤会長をはじめとする常任理事の理解とご支援を受けて、「完全リモート」での開催を決断した。  今回初めての試みとなったオンデマンド配信とライブ配信を組み合わせたオンライン大会にもかかわらず、多数の自由論題報告者と参加者を得たことに対しては、ここに改めて御礼を申し上げたい。  また、オンライン大会の運営に係るマニュアル等が一切なかった中で、すべての技術的な問題を解決し、大きな問題もなく予定のプログラムを最後まで進行できたのは、ひとえに大会準備委員であった日本大学経済学部の尾上選哉氏ならびに日本大学商学部の藤井 誠氏のおかげである。大会記に覚えて感謝の意を表したい。

  • 第23回全国大会の詳細 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    非営利法人研究学会、第23回全国大会の詳細  9月15日(日)から16日(月・敬老の日)にかけて、公益社団法人非営利法人研究学会(会長:堀田和宏近畿大学名誉教授)の全国大会が久留米大学御井キャンパスにて開催される。  第23回目を迎える本大会では、「⺠による公益の増進」を目的として公益法⼈制度改⾰関連三法が平成20年12⽉に施⾏されてから10年が経過したのを機に、統一論題のテーマを「公益法人制度改革10周年―公益法人の可能性と課題を探る―」と設定し、併せて、日本公認会計士協会(非営利組織会計検討会)「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」と題した特別企画を設け、それぞれ報告とパネルディスカッションを行うこととした。また、大会2日目には、4会場において12の自由論題報告と、NPO法人研究部会ワークショップ、分野別研究会報告が行われる予定である。  以下に全国大会のプログラムを掲載したので参照されたい。 非営利法人研究学会 第23回全国大会 統一論題      公益法人制度改革10周年―公益法人の可能性と課題を探る― 開催日       令和元年9月15日(日)・16日(月・敬老の日) 開催場所      久留米大学(御井キャンパス・本館)           福岡県久留米市御井町1635 費用:参加費3,000円 懇親会費4,000円 弁当代(9/15・16)1,600円※どちらか1日分であれば800円。 ※振り込み先口座  銀行名:ジャパンネット銀行  支店名:ビジネス営業部  預金種目:普通  口座:2524425 口座名義:公益社団法人非営利法人研究学会全国大会準備委員会 ※ 銀行振込は通信欄がないため、大学名で振り込む場合は、大変お手数ですが、メールの題名を「学会参加申込み」とし、本文に「参加費、懇親会費、お弁当代の内訳と合計の金額」を記載のうえ、大会準備委員長宛にご連絡をお願いします。 ※ 令和元年9 月4日(水)までに下記宛にご送金下さい。ご入金の確認と申込者名の確認をもちまして参加申込みの受付とさせて頂きます。尚、参加取消による返金はご容赦下さいますようお願い申し上げます。 ※ ご参加の際に名札用として「名刺」を1 枚お持ち頂きますようお願い致します。 ※ キャンパス内の学食は15日と16日の両日休業予定のためご注意ください。(コンビニエンス・ストアは3店舗あります。) 問合せ先:第23回全国大会準備委員会 準備委員長 伊佐 淳(久留米大学)      isa.atsushi*gmail.com → *を@に変えてください。 申込要領 9月14日(土)久留米大学(御井キャンパス本館3階132教室) 常任理事会 14:00〜15:00 【本館3階132教室】 理事会 15:00〜17:00 【本館3階132教室】 理事会等のご案内 <1日目> :9月15日(日) 参加受付 11:00〜17:30【本館1階】 社員総会 12:30〜13:20【本館3階13A教室】 統一論題報告及びパネルディスカッション  13:30〜16:00【本館3階13A教室】  「公益法人制度改革10周年―公益法人の可能性と課題を探る―」    コーディネーター 齋藤真哉(横浜国立大学)    パネリスト 尾上選哉(大原大学院大学)         「会計からみる公益法人制度改革の課題と可能性」          苅米 裕(苅米裕税理士事務所)         「公益法人の拡充のために公益法人税制が果たすべき機能の考察」          出口正之(国立民族学博物館)         「税制優遇のルビンの壺:価値的多様性と手段的多様性の奨励」  【特別企画】  日本公認会計士協会(非営利組織会計検討会)「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」に関する報告及びパネルディスカッション  16:10〜17:40【 本館3階13A教室 】   日本公認会計士協会『非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~』に関する報告」     松前江里子(日本公認会計士協会研究員)   パネルディスカッション    コーディネーター     会田一雄(慶應義塾大学・非営利組織会計検討会座長)    パネリスト     藤井秀樹(京都大学)     日野修造(中村学園大学)     松前江里子(日本公認会計士協会研究員) 懇親会 18:00〜20:00【本館8階スカイラウンジB・C】 <2日目> :9月16日(月) 自由論題報告<第1会場>【本館3階130教室】 司会  川野祐二(下関市立大学) 9 :30〜10:20 ⑴ 「副(福)業の可能性を拓く―福祉職の人材基盤強化にむけた中間支援組織の挑戦」  平尾剛之(きょうとNPOセンター)・吉田忠彦(近畿大学) 10:30〜11:20 ⑵  「非営利組織におけるコア・スタッフの育成と確保のための人的資源管理施策―中間支援組織を事例として」  東郷寛・團泰雄(近畿大学) 11:30~12:20 (3) 「NPO支援をめぐる施設、組織、政策―アクターネットワーク・セオリーの視点から」  吉田忠彦(近畿大学) 自由論題報告<第2会場>【本館3階131教室】 司会  森 美智代(熊本県立大学) 9 :30〜10:20 ⑴ 「地方創生と公民協働のまちづくり」  澤田道夫(熊本県立大学) 10:30〜11:20 ⑵  「民間非営利活動と地域資源活用に関する経済学的考察―広島安芸高田神楽の事例研究―」  今枝千樹(愛知産業大学)・藤井秀樹(京都大学) 11:30~12:20 (3) 「中山間地域を支える非営利法人の地域おこし活動―その意義と活動構造を中心に―」  井寺美穂(熊本県立大学) 論題報告<第3会場>【本館3階132教室】 司会  小島廣光(星城大学) 9 :30〜10:20 ⑴ 「子ども食堂におけるドメインの定義」  菅原浩信(北海学園大学) 10:30〜11:20 ⑵  「NPO法人の認定制度からみえてきた問題点について―支援団体からの聞き取りを通じて―」  川村基(四国大学) 11:30~12:20 (3) 「災害とソーシャル・キャピタルに関する一考察」  黒木誉之(長崎県立大学) 論題報告<第4会場>【本館3階133教室】 司会  日野修造(中村学園大学) 9 :30〜10:20 ⑴ 「18世紀の懐徳堂から考察する資本維持」  水谷文宣(関東学院大学) 10:30〜11:20 ⑵ 「非営利法人会計における公正価値情報の有用性の考察」  宮本 幸平 (神戸学院大学) 11:30~12:20 (3) 「英国の小規模チャリティと会計」  上原優子(立命館アジア太平洋大学) 12:30~13:30 休憩・昼食 NPO法人研究部会ワークショップ「現場の声に耳を傾ける」  13:30〜15:10【本館3階13A教室】 ファシリテーター 出口正之(国立民族学博物館・NPO法人研究部会座長)          伊佐 淳(久留米大学)   報告者 吉村興太郎(公益財団法人佐賀未来創造基金専務理事)       宮原信孝(認定NPO法人ピースウィンズジャパン・Asia Pacific Alliance for Disaster Management(A-PAD)上席顧問、一般財団法人筑後川コミュニティ財団理事長) 分野別研究会報告 15:20〜16:50【本館3階13A教室】  医療・福祉系法人研究会  公益・一般法人研究会  大学等学校法人研究会  NPO法人研究会 ―交通のご案内― 久留米大学御井キャンパスまでの交通アクセス http://www.kurume-u.ac.jp/soshiki/3/access.html 久留米大学御井キャンパス本館の配置図 http://www.kurume-u.ac.jp/uploaded/attachment/5544.pdf ―宿泊につきまして―  御井キャンパスへは西鉄久留米駅前より西鉄バスに乗車するのがお薦めです(御井キャンパスまで15~25分)。  ハイネスホテル久留米→西鉄久留米駅東口の目の前にあるホテル  久留米ホテル・エスプリ→西鉄久留米駅西口より徒歩1分  東横イン西鉄久留米駅東口→西鉄久留米駅東口より徒歩3分  ホステル・イルファーロ久留米→西鉄久留米駅西口より徒歩1~2分  久留米ワシントンホテルプラザ→西鉄久留米駅西口より徒歩5分  ホテルニュープラザ久留米→西鉄久留米駅西口より徒歩7分  ホテルセントラルイン→西鉄久留米駅西口より徒歩8分、夕食&朝食無料  グリーンリッチホテル久留米【天然温泉六ツ門の湯】→西鉄久留米駅西口より徒歩12分2019年4月OPEN  旅館・錦水→御井キャンパスに最も近く、徒歩18~20分程。  萃香園ホテル→明治15年創業の由緒あるホテル、西鉄久留米駅までタクシーにて5分。

  • 入会のご案内 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    入会のご案内 ■会員区分と年会費  正会員(個人会員)     10,000 円  学生会員※1          5,000 円  賛助会員(個人・法人・団体) 30,000 円  名誉会員           8,000円  シニア会員※2        5,000円 ※令和元年9月15日の理事会で会費金額が変更となりました。詳しくは「会費等に関する規則」 をご覧ください。 ※1 学生会員は会費を納付する毎に在学証明書を提出いただきます。 ※2 正会員は、本学会に正会員として10 年以上在籍し、本人の年齢が70 歳に達した場合、事務局に届け出ることによりシニア会員になることができます。 ■会員特典  ・学会誌その他の資料送付  ・各研究会・全国大会への参加・発表  ・学会ML(メーリングリスト)への登録  ・学会誌への投稿(査読付)  ・ワーキングペーパーへの投稿 ■お申込み方法  入会のお申込みはWEBフォーム(クリック) からご入力いただくか、申込書(Word文書・クリック) をダウンロードし、必要事項をご記入のうえ、弊会事務局までFAX(宛先:03-6631-4285)もしくはEメール(宛先:office@npobp.or.jp )にてご送付下さい。 入会申込みフォーム(クリック)

  • 第3回学会賞・学術奨励賞 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    学会賞・学術奨励賞の審査結果 第3回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成16年9月4日 非営利法人研究学会 審査委員長:松葉邦敏  公益法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第3回学会賞(平成15年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成15年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文)の候補作を慎重に審議した結果、残念ながら学術奨励賞に該当する論文はなく、下記の刊行著書を学会賞に選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞 小島廣光(北海道大学)『政策形成とNPO法−問題,政策,そして政治』(A5判、276頁、有斐閣、2003年11月) 【受賞論文の内容と受賞理由】 本書は、その必要性はほとんど一般に理解されていたNPO法が、阪神・淡路大震災を契機として、短時日に「なぜ」しかも「どのようにして」政策形成・立法化されたのかを解明することが著者の直接の動機となり、これを明らかにすることがその目的となったものである。  したがって、その内容は、分析方法としての「改訂・政策の窓モデル」を用いながら(第2章)、NPOの政策形成・立法過程に関わる参加者が輻輳し、それぞれが利害と思惑を異にする中で、どのような過程を踏んで立法化が進捗したか、詳細かつ丹念に事実関係を跡づけ、分析・解明している(第3章から第5章)。さらに、この分析・解明は単に事実を分析・解明しそれを説明するにとどまらず、このNPO法成立過程を評価し、かつ問題点を指摘して将来のあるべき市民立法への提言まで展開している(第6章)。  著者は非営利組織研究の第一線にあるとはいえ、少なくとも経営学の学徒として、異質の政治の世界における政策形成・立法過程の問題に直接挑戦したことはまず賞賛されるべきである。しかも、従来の分析方法(例えば、政策の窓モデル)よりさらに組織的知識創造モデルの視点を取り入れた独自の「改訂・政策の窓モデル」の方法に基づいて立法過程を視ている点が注目される。特に著者が本書において注力した方法である。さらに、方法論において斬新であるばかりでなく、多数の膨大なデータを駆使して政策形成の分析・解明を行い、理論と実証の双方に裏付けられた理論化を試みた点で高く評価される。そのうえで、具体的なNPOの政策形成過程を民法施行(1898年)から阪神・淡路大震災の発生前(1994年)までを1期として、その後のNPO法(優遇税制立法を含む)成立(2001年)までの短期間(6年間)を細かく分けて全6期にわたる詳細な年代記を記述したうえで、独自の方法論によってそれぞれの期間の特質を見事に摘出している。最後に、これは重要な点であるが、本書が立法過程において十分に評価される点と今後の何らかの立法において留意すべき点、さらには市民立法への提言をしていることである。今日すでに、政治と行政、それらと既存の団体と一般市民団体の間に繰り広げられている「公益法人改革」の問題の諸側面を考察し、問題の在処を探る場合に多くの示唆を与えてくれる。  以上から、問題把握の独創性、論述展開の克明性、理論化過程から生まれた具体的な提言などにおいて、極めて優れた著作であり、本学会の学会賞にふさわしい論考として選定することに審査委員の一致した見解を得た。 2. 学術奨励賞 該当論文なし

  • 第13回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第13回大会記 2009.9.26-27 名古屋大学 統一論題 非営利法人の会計基準統一の可能性をさぐる 税理士  橋本俊也 はじめに  非非営利法人研究学会の第13回全国大会は、2009年9月26日・27日の両日、名古屋大学野依記念学術交流館(準備委員長:佐藤倫正)において開催された。その前日(9月25日)には理事会が開催され、事務局からの会務報告のほか、会員総会に提出するための平成20年度決算案、平成22年度予算案等の議案承認が行われた。  大会1日目は会員総会に引き続き、松葉邦敏氏(成蹊大学)の司会の下に、本大会の統一論題「非営利法人の会計基準統一の可能性をさぐる」の報告と討論が行われた。統一論題の各氏の報告要旨は、以下のとおり。 【統一論題報告要旨】 (1)川村義則氏(早稲田大学)「公益法人会計基準にみる非営利法人会計の基準」  現行の公益法人会計基準の設定プロセスから、非営利法人会計の基礎概念を抽出し、企業会計と非営利法人会計を統合する基礎概念を模索することが必要であると述べられた。その上で統合を考えた場合には、企業会計を中心に非営利法人会計(さらに公会計)との統合を進めることよりも、上位の会計一般の考え方に照らして非営利法人会計のあり方を探っていくことが重要であると指摘された。 (2)江田 寛氏(公認会計士)「NPO会計基準を民間で作成することの意義」  国民生活審議会総合企画部報告において、「特定非営利活動法人制度の見直しに向けて」が公表され、民間主体で会計基準を作成する必要性が強調された。これを受けて、平成21年3月31日に全国のNPO支援センターが集まり、NPO会計基準協議会を結成し、NPO法人の会計基準を策定する試みがスタートしたという経緯を述べられた。そして、NPO会計基準協議会では、それぞれのNPO法人が公表する会計報告の重要性を考える基盤を提供して行きたいと主張された。 (3)水口 剛氏(高崎経済大学)「NPO法人会計基準の策定の動向と課題」  NPO法人会計基準を「どのように」策定すべきかを考察する方法としては、「演繹的アプローチ」と「帰納的アプローチ」の2つのアプローチがあること、そして、「演繹的アプローチ」を採用した場合には、現場感覚と懸け離れた産物となる危険があり、また、「帰納的アプローチ」を採用した場合にも、現場の実務が成熟していない状況で、経験の蒸留という方法で帰納的に策定することは困難であることを指摘された。さらに、制度としてNPO法人会計を考える場合には、①NPO側の納得感、②情報利用者側の納得感、③各NPOの対応能力、④社会インフラ(教育、テキスト、会計ソフト、人材等)、㈭他の組織の会計基準との整合性、が必要であると主張された。 (4)藤井秀樹氏(京都大学)「非営利法人の会計基準統一の可能性」  わが国においては、非営利法人と国民の接点が増大し、非営利法人の財務報告の利用者が今後増加することが予想されるため、非営利法人のアカウンタビリティの向上を図るとともに、財務情報の比較可能性を確保し、改善することが必要であると主張された。そして、非営利法人会計基準の統一の可能性は、設立根拠法の異なる非営利法人間での会計目的の統一化の可能性に依存すると述べられた。さらに、健全な事業運営に資することを会計の基本目的とする場合には、財産計算と有機的に連携した成果計算が、基本的機能として重視されると強調、その機能をより完成された形態で具備されているのはアメリカ(FASB)基準であると指摘された。 4氏の報告後、多数の会員から寄せられた質問への回答を踏まえて、活発な討論が行われた。統一論題討議後、名古屋大学レストラン花の木において、懇親会が開催された。大会準備委員長の佐藤倫正氏の挨拶に続いて、会長の大矢知浩司氏による謝辞のあと、会員を中心に終始和やかな雰囲気のなか進められ、20時に散会した。 大会2日目午前中は、4会場に分かれて会員による自由論題報告が行われた。論題及び報告者は以下のとおりである。 【自由論題報告要旨】 第1会場〔司会:会田一雄氏(慶應義塾大学)〕  ①鷹野宏行氏(大原大学院大学)「協同組合における事業分量配当金(割戻金)の会計的性格−事業分量配当金(割戻金)の出資金振替処理を巡っ て−」、②岡村勝義氏(神奈川大学)「正味財産と資産対応の課題と展望」、③上原優子氏(青山学院大学大学院)「英国非営利組織における会計」、④葛西正輝氏(青山学院大学大学院)「非営利組織体の業績評価に関するディスクロージャーに関して」 第2会場〔司会:小島廣光氏(北海道大学)〕  ①桜井政成氏(立命館大学)「NPOにおける組織ネットワークの類型と意義−NPO法人を対象とした探索的調査から−」、②後藤祐一氏(北海道大学大学院)「戦略的協働の比較研究_ツール・ド・北海道と車粉問題の事例」、③野口寛樹氏(京都大学大学院)「行政から見るNPOに求めるものとは−行政サービス供給多様性の視点から−」、④小田切康彦氏(同志社大学)「非営利組織と自治体の協働に伴うサービスの質およびコストの変化」 第3会場〔司会:原田満範氏(松山大学)〕  ①馬場英朗氏(愛知学泉大学)/青木孝弘氏(東北公益文科大学大学院)「社会的企業のソーシャルアカウンティング−福祉サービス事業の事例から−」、②金川幸司氏(岡山理科大学)「社会的企業の概念規定とその政策的枠組み」、③八島雄士氏(九州共立大学)「ソーシャル・キャピタルと管理会計に関する_考察−公園行政の事例を手がかりとして−」 第4会場〔司会:堀田和宏氏(近畿大学)〕  ①永島公孝氏(税理士)「共通経費−公益認定と法人税−」、②河口弘雄氏(学習院大学)「M.P.フォレットの調整理論と非営利組織」、③東郷寛氏(近畿大学)「英国の公民パートナーシップ組織のマネジメント」、④川野祐二氏(下関市立大学)「近代市民結社群にみる組織間関係と中間組織の機能」  午後からは、馬場英朗氏の司会の下、市民活動を支える新たな仕組みとしての「NPOバンク」をテーマに荻江大輔氏、中山学氏、三村聡氏の3氏による特別講演が行われた。  さらに、その後、岡村勝義氏の司会の下で、東日本研究部会報告「公益認定に関する諸問題」〔主査:小林麻理氏(早稲田大学)〕が行われ、研究部会報告に対する質疑応答を経て、午後3時30分に大会は盛況のうちに幕を閉じた。

  • 2022最終報告(公益・一般法人研究会) | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    非営利法人研究学会 公益・一般法人研究会  公益・一般法人制度の研究【2022年度最終報告】 公益・一般法人における税務問題の実務視点からの研究

  • 第5回学会賞・学術奨励賞 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    学会賞・学術奨励賞の審査結果 第5回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成18年9月1日 非営利法人研究学会 審査委員長:松葉邦敏  非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第5回学会賞(平成17年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成17年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文)の候補作を慎重に審議した結果、今次は学術奨励賞に該当する論文はなく、下記の論文を学会賞に値するものとして認め選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞 藤井秀樹(京都大学大学院教授)「非営利組織の制度進化と新しい役割」(平成17年度非営利法人研究学会第9回全国大会統一論題報告、於・神奈川大学、『非営利法人研究学会誌』VOL.8所収) 【受賞論文の論旨と特徴】  今回の行政改革の一環としての公益法人制度改革は、市場原理主導型の制度設計を指向したもので、具体的には、交換関係の概して高くないサービスを市場原理に依拠しつつ提供する非営利組織を育成することがその主眼となっているが、その方向は新しい制度進化と新しい役割を期待できるものとして肯定することができる。その際に、これを肯定する論拠として、比較制度分析の分析・論理の方法を用いることによって、制度変更の経済合理性は、制度的補完性と資源の効率的配分の観点から評価されるとする立場から、今回の公益法人制度改革は、制度的補完性および資源の効率的配分の点で経済合理性に適ったものとなっており、したがって、その限りでそれは、現行制度の現実的かつ合理的な改革スキームであるとする。  ただ、このような制度改革には、改めて1)ドラッカーの主張するような成果重視型マネジメントの視点を非営利法人と公益性の判断主体が共有すること、つまり、顧客満足の追求という点では市場指向的であるが、提供するサービスの交換関係は概して高くないという点では「倫理的」であるメネジメントの姿勢である。非営利法人と公益性の判断主体が、このような成果重視型マネジメントの視点を共有することによって、市場原理と公益性を整合的に融合させる1つの有力な可能性を得ることができると考えられる。2)非営利法人の事業領域で競争的環境を創出・整備すること、つまり非営利法人のモラル・ハザードの可能性を減ずることが、寄付や補助金も含めた資源の効率的配分を実現するうえで欠かせない問題として残るが、この問題の解決を図るためには、価格支配者の排除(市場の不完全性の解消)と、情報の非対称性の解消(市場の不完備性の解消)が必要となる。特に非営利法人においては後者の解消が当面の現実的な課題であり、制度的な施策としては、新公益法人会計基準(2004年)の適用と当該基準に基づくディスクロージャーをすべての非営利法人(ここでは、社団・財団の公益法人)において徹底させること、情報も含めた活動資源をサービス需要者、支援者、寄付者、他の非営利法人やNPO等に仲介する「中間支援組織」の普及・発展を官民一体となって促進することである。 【 受賞の理由】  論者は、特に「公企業会計をはじめ非営利組織会計」研究について、既に確固たる位置を占めるものであるが、あえて経済学的手法—比較制度分析等—を用いて、公益法人制度改革に対して制度変更の経済合理性を問うという問題に直接挑戦したことがともかく賞賛されるべきである。 以上の論旨と理由から、本論文は問題の視角、問題の分析、問題の解決について的確であることはもちろん、経済学的手法を用いて斬新であり、それぞれの間の整合性が認められるので、高く評価することができる。さらに、問題把握の独創性、論述展開の克明性はもとより優れており、理論化過程から生まれた具体的な制度改革への示唆などにおいても、極めて示唆に富む内容を持ち、本学会の学会賞にふさわしい論文として選定することに審査委員の一致した見解を得た。 2. 学術奨励賞 該当論文なし

  • 全国大会の歩み | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    大会     開催日          開催場所    統一論題 第29回大会  令和7年10月11・12日  熊本学園大学  地方創生と災害復興:非営利法人がつなぐ復興と発展の未来 第28回大会  令和6年10月5・6日  明治大学    公益法人改革の方向性―非営利組織や社会への影響― 第27回大会  令和5年9月15・16日  大阪商業大学  非営利法人(非営利組織)の振興と支援 第26回大会  令和4年10月1・2日  國學院大學   非営利組織の財政基盤の確立へ向けて―ミッション達成と両立する取り組み― 第25回大会  令和3年9月25・26日  関西大学    非営利法人の理念と制度 第24回大会  令和2年9月26・27日  日本大学    非営利組織のガバナンス問題―現状と課題― 第23回大会  令和元年9月15・16日  久留米大学   公益法人制度改革10周年―公益法人の可能性と課題を探る― 第22回大会  平成30年9月7・8日  武蔵野大学   NPO法施行20年~その回顧と展望~ 第21回大会  平成29年9月5・6日  神戸学院大学  非営利法人の収入と支出に係る会計諸課題 第20回大会  平成28年9月17・18日  成蹊大学    非営利法人研究の回顧と展望 第19回大会  平成27年9月16・17日  神戸大学    非営利組織会計と営利組織会計との相互関係 第18回大会  平成26年9月10・11日  横浜国立大学  公益性の判断基準 第17回大会  平成25年9月21・22日  近畿大学    非営利法人における制度・会計・税制の改革を総括する 第16回大会  平成24年8月25・26日  北星学園大学  地域活性化と非営利活動 第15回大会  平成23年9月14・15日  熊本県立大学  地域の公共サービスと非営利活動 第14回大会  平成22年9月25・26日  早稲田大学   非営利法人制度改革と市民社会ガバナンス 第13回大会  平成21年9月26・27日  名古屋大学   非営利法人の会計基準統一の可能性をさぐる 第12回大会  平成20年9月5・6日  日本大学    非営利組織の業績測定・評価に関する多角的アプローチ 第11回大会  平成19年9月8・9日  近畿大学    非営利組織研究の課題と展望 第10回大会  平成18年9月1・2日  北海道大学   非営利法人制度改革の動向と問題点 第9回大会  平成17年9月9・10日  神奈川大学   非営利組織の今日的課題と展望 第8回大会  平成16年9月3・4日  九州産業大学  非営利組織のガバナンスと活動のディスクロージャー 第7回大会  平成15年10月10・11日  成蹊大学    非営利組織の経営と課題 第6回大会  平成14年7月26・27日  京都大学    非営利組織のアカウンタビリティと業績評価 第5回大会  平成13年10月5・6日  中央大学    公益法人の社会的機能と責任 第4回大会  平成12年10月6・7日  神戸学院大学  あらためて『公益』を問う 第3回大会  平成11年10月1・2日  国士舘大学   公益法人の課題と21世紀への期待 第2回大会  平成10年10月2・3日  近畿大学    公益法人のレーゾン・デートル 第1回大会  平成9年10月3・4日  青山学院大学  公益法人研究の現状と課題  非営利法人研究学会では、毎年全国大会を開催。固有の課題のもと、活発な議論を行い、研究を深めています。 全国大会 大会の歩み

  • 第18回学会賞・学術奨励賞 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    学会賞・学術奨励賞の審査結果 第18回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 令和元年9月15日 非営利法人研究学会 審査委員長:堀田和宏  非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第18回学会賞(平成30年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(平成30年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(平成30年度全国大会における報告に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。 1. 学会賞  黒木 淳『非営利組織会計の実証分析』(中央経済社、2018年3月刊) 【概要及び受賞理由】  本書は、日本の非営利組織、とりわけ公益社団・財団法人、社会福祉法人および学校法人(私立大学)の自発的な会計ディスクロージャーに着目し、「好業績である非営利組織ほど受益者などの情報利用者に対して自発的に会計ディスクロージャーを行う」というシグナリング仮説を実証分析することを目的とするものである。  これまで日本では非営利組織を対象とした実証的な会計研究は非常に少なく、本書はその萌芽的研究としてそれだけでも理論研究の発展に貢献しているが、これまで規範的研究が経験的あるいは直観的に認識してきた事実を、アーカイバル・データを手入力などにより地道に集計し、また海外の実証研究の丹念なサーベイに基づいて、その方法や仮説を日本の非営利組織に応用し、検証している点は、これまで類例がほとんどなかっただけに、その独創性を高く評価しうるところである。  特に本書においては、情報の経済学に依拠したシグナリングの観点に基づいて、非営利組織の会計ディスクロージャーを分析する際の視座や問題意識が極めて明確であり、一つひとつの議論を丁寧に積み上げていく本書の構成とともに、他の理論的アプローチも把握したうえで、これを決して否定していない点も高評価を得た。  著者は、「好業績」(または低業績)に係る財務指標を「効率性」と「財務健全性」の二つの概念に求めている。すなわち、公益法人においては、理事者が少なく、寄附者に依存しているほど公益目的事業比率が高められること、また社会福祉法人においては、人的支出と内部留保の関連性に着目し、内部留保が過大となる要因について、私立大学では、帰属収支差額が将来の教育研究経費の削減に最も予測能力を有すること、などを分析している。本書の発見事項は、「好業績」を示す財務指標が非営利組織の経営者や受益者などの利害関係者にとって有用であり、加えて当該財務指標の活用の仕方にも一定の示唆を与える結論を得ている。  他方で、本書の課題を指摘するならば、本書においてはシグナリング仮説が支持されており、当該仮説検証の結果はロバスト・チェックにより頑健であることが主張されているが、萌芽的研究であるがゆえに、例えば、サンプル選択に係る各法人の範囲、「効率性」や「財務健全性」が非営利組織の「好業績」の指標となりうるのか、などについては審査委員会においても議論になった。また、「自発的開示」と「好業績」のリンケージに他の変数を介在させた場合などの検証や、非営利組織の会計基準の統一をめぐる議論などの具体的課題に対する政策的なインプリケーションについては若干の物足りなさもある。しかし、著者自身、今後の課題を明確に自覚しており、本書は一つの通過点であることが示唆されている。実証研究に見落とされがちな日本の非営利法人制度や会計基準についても要領よく説明されており、著者の旺盛な研究意欲に支えられて今後の研究の発展も大いに期待されるところである。  したがって、本書は、総合的に極めてすぐれた非営利組織会計の研究書であり、審査委員会は、本書が「学会賞」を受賞するに値するものと決定した。 2. 学術奨励賞  該当作なし  3. 学術奨励賞特賞  該当作なし

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