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  • 学会誌の購入 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    学会誌の購入  『非営利法人研究学会誌』のご注文は、右の注文書PDFをダウンロード。もしくは下の注文書画像をプリントして必要事項をご記入の上、弊会事務局(宛先:03-6631-4285)までFAXしてください。 学会誌購入

  • 第28回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第28回大会記 2024年10月 5 日~ 6 日 明治大学 統一論題 「公益法人改革の方向性―非営利組織や社会への影響―」 1 はじめに  (公社)非営利法人研究学会第28回全国大会が、2024(令和 6 )年10月 5 日(土)・ 6 日(日)の両日、明治大学駿河台キャンパスのリバティータワーを会場として開催され、活発な議論が行われた。  本大会では、公益法人の大改革が進められている現下の状況に鑑み、統一論題を「公益法人改革の方向性―非営利組織や社会への影響―」と設定した。まず特別講演で改革の全体像について報告いただいた後、改革の柱である①「財務規律の柔軟化・明確化」、②「行政手続きの簡素化・合理化」、 ③「自律的ガバナンスの充実・透明性向上」のうち12については統一論題で学術的な面から掘り下げ、2については実務的な面から企画ワークショップで取り上げて議論を深めた。また、自由論題報告(11件)、特別委員会報告( 1 件)、分野別研究会報告( 1 件)、スタディ・グループ報告(2 件)が行われ、充実したプログラムとなった。  なお、大会前日の10月 4 日(金)に常任理事会と理事会が、 5 日(土)には社員総会が開催された。 2 特別公演(10/ 5 )  「令和 5 年度公益法人の会計に関する諸課題の検討状況について」の行間から読み解く、令和 7 年公益法人会計基準改正の方向性」 高山昌茂 氏(公認会計士、協和監査法人代表社員)  内閣府「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」の座長代理を務める高山 氏から、まず、同会議のそれまでの活動についての説明がなされた後、令和 5 年度公益法人の会計に関する諸課題に関する検討状況の解説があった。続いて、「貸借対照表関係(特定資産の取り扱いについて)」、「活動計算書関係[財源区分別内訳表表示、振替処理(負債もしくは内部取引)、 6 号財産に区分される果実について]」、「有価証券評価損益の取り扱い」の 3 つの論点からの説明の後、令和 7 年度公益法人会計基準改正の方向性が示唆された。 3 統一論題報告・討論(10/ 5 ) 【報告】 (1) 解題 座長:金子良太 氏(早稲田大学)    公益法人改革は、税、会計、ガバナンスに大きな影響を与え、改革が関係者にとって使いやすい制度であることはもちろんであるが、税制優遇等を不当に利用しようとする動きやガバナンスの課題を抱えているという問題意識が示され、下記の報告が行われた。 (2) 「公益法人改革と法人税非課税の考察」 苅米 裕 氏(税理士)  公益法人改革に関して、基本的考え方や財務三基準等からの説明の後、改革と法人税非課税に関する論点整理・考察が行われた。 (3) 「公益法人改革における財務規律と情報開示」 兵頭和花子氏(大阪経済大学)  公益法人改革を受け、財務規律を順守していることを示すと同時に信頼性の高まる情報開示(説明責任の履行につながる情報開示)について、公益法人の会計に関する研究会の提案についての考察を踏まえた報告がなされた。 (4) 「公益法人改革とガバナンス」 溜箭将之 氏(東京大学)  公益法人改革とガバナンスに関する背景等の説明、事例紹介が行われた後、ガバナンス手法の機能向上、ステークホルダーの意見・利益の反映、リソースの調達とガバナンスへの配分などについて報告がなされた。 【討論】  上記の報告を踏まえ、ガバナンスに関連してガバナンス・コードの実効性や理事会・評議員会等の役割に対する質問、会計に関連して中小規模法人の定義や指定・一般の区分表示に関する質問、税に関連して課税理論と立法論それぞれについて、原則課税・非課税のいずれであるかなどの質問があり、終了時間まで活発な質疑が行われ、討論が終了した。 4 自由論題報告 ⑴  1 日目 (10/ 5 )第 1 会場 司会:鷹野宏行 氏(武蔵野大学) ①「医療機関におけるホスピタリティ・マネジメントの概念化と意義―関係性のマネジメントの観点から―」 山下智佳 氏(明治大学)    患者は医療サービスの意思決定過程における当事者であり、主体的にその過程に関与するべき存在であるにも関わらず、医療サービスの生産、提供過程においては医療提供者と患者の関係には問題があるとされてきた。そこで、関係性改善のマネジメントに資する概念としてホスピタリティに注目し、トライアド・モデルを使用して両者の関係性改善のための事例検討を行った。これに対して、トライアド・モデルの「ホスト」と、「ゲスト」である患者との間の関係性はどうなるのか等の質問が出された。 ②「離島航空におけるソーシャルキャピタルの経済評価」 小熊 仁 氏(高崎経済大学)    離島航空がもたらす様々な社会的便益の中でソーシャルキャピタル(SC)に着目し、その経済価値とこれをもたらす環境的要因について評価することを目的としてアンケート調査を行った。その結果、離島航空が相当額のSC創出に貢献しているが、排他性や人間関係の希薄性を生み出すといった問題があることが判明した。こういった航空サービスに対する支援の在り方や航空サービスの価値について地域全体で見直す必要があるとされた。これに対して、アンケート対象者の範囲などについての質疑が行われた。 ③「財務情報のWeb開示が文化芸術団体の獲得する寄付金収入に与える影響」 武田紀仁 氏(日本大学)    文化芸術団体が獲得する寄付金について、Webサイトによる情報開示と寄付金収入の関係について、財務情報が寄付の意思決定に与える影響に関するフレームワーク(先行研究)に基づき実証的に分析を行った。その結果、寄付金収入とWebサイトによる情報開示の間には正の関連性がある一方で、文化芸術団体においてはその正の影響が緩和されており、寄付者の意思決定のために財務情報に加えて追加的な情報を提供する必要性が示唆された。これに対して、追加的情報の内容等に関する質疑が行われた。 ⑵  1 日目 (10/ 5 )第 2 会場 司会:日野修造 氏(熊本学園大学) ①「非営利研究組織の社会価値向上について」 半田 茂 氏(非営利法人研究学会)    研究組織自体が自己の生み出す社会価値を十分に意識せず、それがサンクコストにつながるという問題意識の下、問題意識の整理、解明に取り組んだ。報告では、新技術の社会受容性向上活動についての事例が示され、それらに共通する特徴が示された。これについて、非営利組織としての社会的通念の捉え方、非営利法人の代替不可能性についての見解、研究所が保有する厖大なテーマの捉え方等に関する質疑・意見交換が行われた。 ②「「地域レベルの市民活動」の顕出と振興:「特定非営利活動」(特定非営利活動促進法別表第20号) の設定および運用を事例として」 初谷 勇 氏(大阪商業大学)、藤澤浩子 氏(関東学院大学地域創生実践研究所)    わが国における「市民活動」の概念および普及について整理し、NPO法が定める「特定非営利活動」と「市民活動」の関係を確認するとともに、民間非営利セクターにおける「地域レベルの市民活動団体」の定位について検討した。そして、条例による「特定非営利活動」の独自設定の意義を確認し、事例分析が説明された。これらから、第20号に基づく条例設定の意義と課題、課題への対応の方策について述べられた。 ⑶  2 日目 (10/ 6 )第 1 会場 司会:大原昌明 氏(北星学園大学) ①「非営利組織における金融商品投資規制と会計報告」 李 焱 氏(駒澤大学)    非営利組織においては、金融商品への投資についてどこまで認められるべきか、そして、その投資活動がどのように会計報告に反映されるべきかという点について、非営利組織が金融商品を保有する場合の会計情報のあり方をリスクテイキングの観点から検討した。その結果、非営利組織では投資行動に対するガバナンスが十分に機能しないことから、投資行動の規律方法として、事前情報開示の追加が有効であるとされた。これに対して、事前情報開示が事業計画や予算の開示とどう関係するのか等の質問が出された。 ②「地方自治体における工数管理手法を通じたマネジメントの実践―第一報:準備から初年度実施まで―」 山田敦弘 氏(株式会社日本総合研究所)    地方自治体の業務負担は増加しており、職員の人手不足と業務量の増加は内部統制の脆弱化を招く事象の 1 つであるとされている。そこで、民間企業では多くの実績がある「工数管理」の手法を活用し、この状況へ対応することを試みた。その結果、全職員を対象にした工数管理の取組には、職員の理解と見返りとなる効果を生むことが期待されること、業務と組織のマネジメントの視点から有効なツールとなることが判明した。そして、どのようなマネジメントを実施していくのか明確に定義して取り組むことの必要性も述べられた。 ③「公益財団法人の資産と公正市場価値(Fair Market Value)」 出口正之 氏(国立民族学博物館)、工藤栄一郎 氏(西南学院大学)    文化財は、博物館という文脈において、保存価値と会計価値という2 つの異なるベクトルのグローバル化と交差している。本研究は、文化財が博物館の所有物となったときの会計情報の時系列的変遷を〈標本・会計調査考査法(CACROS)〉というオリジナルのフィールド調査の手法で明らかにする。その結果、博物館には、保存性収蔵品と売却可能性収蔵品があり、後者には公正価値による資産評価が必要であり、前者には保存に関わる費用が明確な場合には資産か負債かという課題が浮かび上がる等と述べられた。 ⑷  2 日目 (10/ 6 )第 2 会場 司会:藤井 誠 氏(日本大学) ①「非営利組織における人的資源管理アーキテクチャの移行メカニズム」 東郷 寛 氏(近畿大学)、團 泰雄 氏(近畿大学)    支援型NPOの事例分析を通じて、HR施策の束であるHRMアーキテクチャの移行メカニズムに係る命題の導出を試みることを目的とし、HRMアーキテクチャの変化する経路をモデルに組み込んで、ケース分析を行った。研究の結果、HRMアーキテクチャの詳細な特定、支援型NPOにおけるHRMアーキテクチャの移行経路に関す命題の導出が行われた。さらに、その移行が組織の持続可能性に影響を受けやすく、新規事業を開拓できるコア人材がどの程度確保できているかに依存するという点が示された。 ②「地域産業再生の事業とシステム:佐賀県有田焼産地をケースとして」 吉田忠彦 氏(近畿大学)、山田雄久 氏(近畿大学)    伝統産業や地場産業など衰退している地域産業再生のためにどのような事業システムが必要かを分析することを目的として、報告者が長期にわたり佐賀県の有田焼産地で行っている調査を踏まえた分析を行った。有田におけるこれまでの経緯や各主体の役割などを分析した上で、事業者を中心とした事業システムだけでなく、また特定の産業だけではない「地域産業システム」というより拡張した概念の提示を行った。 ③「自治体外郭団体におけるゆらぎとは何か―事例分析による仮説生成―」 吉永光利 氏(公益財団法人倉敷市スポーツ振興協会)    報告者の実務経験、自治体外郭団体を取り巻く状況を踏まえ、自己組織性の鍵概念(揺らぎ、秩序、組織体制)について 6 つの団体に対する質問調査による仮説生成型の研究の結果報告が行われた。これにより、自治体外郭団体で働く人々の意識・行動についての一定の状況把握がなされた。また、今次調査によりゆらぎの確率的、確定的な事象に区分する思考の整理はある程度行えたものの、どのように実践的に還元するのか等といった今後の課題も示された。 5 分野別研究会報告(最終報告)(10/ 5 ) 「公益・一般法人等における寄付をめぐる多角的検討」 座長・司会:尾上選哉 氏(日本大学) 報 告:尾上選哉 氏(日本大学)、櫛部幸子 氏(大阪学院大学)、中嶋貴子 氏(大阪商業大学)    座長の尾上 氏より、本研究は寄付について多角的な視点から検討した結果の最終報告であると述べられた後、櫛部 氏からは、使途制限のある寄付を純資産に計上するか否かにより寄付者への情報に影響が生じるかという点について、純資産の表示の違いのみならず、資産の部の表示区分の有無、貸方と借方の連携の有無により影響が生じることが報告された。  中嶋 氏からは、非営利組織への資金供給についての近年の変化の潮流と主要な動向について、民間助成、休眠預金、企業財団の動向とデータ分析から、今後における資金獲得競争に対応する経営基盤・資金調達力、人財育成の必要性、および資金供給の継続性・持続性についての変化可能性を見据えておく必要性について報告された。 6 特別委員会報告(中間報告)(10/ 6 ) 「大学の経営とガバナンス」 座長・司会:柴 健次 氏(関西大学) 報告:柴 健次 氏(関西大学)、工藤栄一郎 氏(西南学院大学)、青木志帆 氏(東京大学)、 竹中 徹 氏(京都文教大学)、亀岡保夫 氏(公認会計士)、小林麻理 氏(早稲田大学)  まず、座長の柴 氏より本研究の目的として、大学のミッション(教育と研究)とマネジメント(経営とガバナンス)を交差させ、マネジメント軸に重点を置いて整理、検討することであると述べられたのち、さらに柴 氏より「大学の経営とガバナンス」、そして工藤 氏より「私立大学の制度形成と規制の変遷」、青木 氏より「東京大学が目指す財務経営の高度化と課題」、竹中 氏から「私立大学をめぐる環境変化と対応課題」、亀岡 氏から「私立学校法改正に伴う学校法人会計基準と会計監査の動向」、小林 氏から「管理会計思考による大学経営」が報告された。 7  スタディ・グループ報告(10/ 6 ) ⑴ 「中小企業等協同組合のガバナンスに関わる研究~情報開示による社会的モニタリングを含んで~」 座長・司会・報告:境 裕治 氏(第一勧業信用組合)    座長の境 氏より、本スタディ・グループによる研究が、「中小企業等共同組合」に着目して、持分権者による法人内でのガバナンスについて検討を行うものであることが述べられた。次に、中間報告として、「中小企業等共同組合に係るガバナンスの問題点と今後の検討課題」が報告された。 ここでは、中小企業等共同組合には市場によるガバナンスが存在しないため、組織の機関によるガバナンス強化の必要性があるが、現在の組織内におけるガバナンス強化の動きが十分であるかが課題であること、また、税制上の優遇措置が取られている点から、社会的モニタリングの必要性があり、情報開示の必要性が課題であることが指摘された。 ⑵ 「非営利組織の持続可能性と連携:ソーシャル・サービスの連携推進の発展可能性をめぐる多角的検討」 座 長・司会:國見真理子 氏(田園調布学園大学) 報告:國見真理子 氏(田園調布学園大学)、榎本芳人 氏(文京学院大学・厚生労働省)    まず、これまでの中間報告の内容(非営利組織の連携可能性と日本の制度、米国の制度、米国のヘルスケア事業体の会計)を踏まえ、本最終報告では社会福祉連携推進法人、地域医療連携推進法人の意義や訪問調査の報告をするとされた。訪問結果を踏まえたうえで、連携推進法人のメリットや課題を明らかにし、特に地方部においては、人口減少や高齢化、労働人口の減少を踏まえ組織間連携は不可欠な状況であることが報告された。 8 企画ワークショップ(10/ 6 ) 「公益法人における行政手続きの簡素化・合理化の方向性とその影響」 司会:古庄 修 氏(青山学院大学、神奈川県公益認定等審議会会長)    本テーマに関する古庄 氏による解題の後、高角 氏から特別報告がなされた。それを受けて西村 氏、 茂木 氏、脇坂 氏の 3 人のパネリストと高角 氏との質疑が行われた。 【特別報告】 「2024年公益法人制度改革における行政手続の簡素化・合理化」 高角健志 氏(内閣府公益認定等委員会事務局長・公益法人行政担当室長)    まず、これまでの公益法人制度の変遷、公益法人の現状を踏まえて今次の公益認定法改正の概要について行政手続きの簡素化・合理化を中心に説明がなされた。特に変更手続きの見直しの考え方「届出」への変更事項、提出・公表書類の見直しなどについて、申請書記載事項の標準化のイメージ図なども用いて具体的でわかりやすい説明がなされた。 【質疑】  高角 氏に対して、西村拓哉 氏(元京都府公益認定審議会事務局・公認会計士)からは認定申請を受ける審議会事務局の立場から、茂木夏子 氏(公益財団法人生協総合研究所(総務、経理、機関運営担))からは申請を行う公益法人の立場から、脇坂誠也 氏(脇坂税務会計事務所所長、認定NPO法人NPO会計税務専門家ネットワーク理事長、税理士)からは申請の際の支援を行う立場から、それぞれ経験に基づく具体的な質疑が活発に行われた。 9 謝辞    今大会の準備は、2023年12月に開催した 1 回目の打合せ会からスタートいたしました。開催校は明治大学ですが、準備委員会は専門領域、所属等が異なる会員 5 名で組織し、力を合わせて進めてまいりました。開催までの間、方向性等についての常任理事会でのご助言、自由論題報告に関する東西両部会長のご支援などを頂きましたことに感謝いたします。当日は上記のような多彩なプログラムが展開され、司会者、講演者、報告者、そしてご参集の皆様のご協力により充実した報告と活発な議論が展開され、また、CPD研修にも対応することができたことをありがたく思っております。    100人以上の方々にご参加いただき、大過なく運営することができましたこと、関係の皆様に重ねて心より感謝申し上げます。なお、開催・運営にあたっての不都合がございましたら、それは実行委員長の不手際によるものですので、この場をお借りいたしましてお詫びいたします。最後になりますが、全国公益法人協会の桑波田様、薗田様はじめ皆様に懇切なご支援を頂き、また同協会より多大な協賛をいただきましたことに御礼申し上げます。 2024年11月20日                     (公社)非営利法人研究学会第28回全国大会準備委員会   準備委員長 石津 寿惠 (明治大学)          委員    石田万由里 (玉川大学)   金子 友裕 (東洋大学)        金子 良太(早稲田大学) 依田 俊伸 (東洋大学)   

  • 資料室 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    資料名:日本学術会議ニューズレター 資料公表日:2015年4月30日 公表機関:日本学術会議 リンク 資料室  研究の「原液」となるのは、さまざまな「資料」です。また、研究の成果は新しい「資料」となって結実し、それがさらには次なる研究の「原液」となります。ここでは、非営利法人研究に欠かせない各種資料へとご案内します。 ■各種資料一覧 資料名:ワーキングペーパー2025-第1号(No.2)高等教育機関(大学)特別委員会 中間間報告におけるRQ の解説 資料公表日:2025年3月 公表機関:非営利法人研究学会 高等教育機関(大学)特別委員会 公開中 資料名:公益・一般法人研究会2024年度最終報告 資料公表日:2024年10月 公表機関:非営利法人研究学会 公益・一般法人研究会 公開中 資料名:NPO法人研究会2023年度最終報告 資料公表日:2024年5月 公表機関:非営利法人研究学会 NPO法人研究会 公開中 資料名:ワーキングペーパー2023-001 ソーシャル・サービスの「連携推進法人」を巡る現状分析と課題整理 資料公表日:2023年9月28日 公表機関:非営利法人研究学会 ワーキンググループ(座長:國見真理子氏) 公開中 資料名:公益・一般法人研究会2022年度最終報告 資料公表日:2022年10月1日 公表機関:非営利法人研究学会 公益・一般法人研究会 公開中 資料名:公益・一般法人研究会2017年度最終報告 資料公表日:2018年9月9日 公表機関:非営利法人研究学会 公益・一般法人研究会 公開中 資料名:大学等学校法人研究会2018年度経過報告 資料公表日:2018年9月9日 公表機関:非営利法人研究学会 大学等学校法人研究会 公開中 資料名:公益法人会計研究委員会 最終報告『非営利組織会計の研究』 資料公表日:2017年9月5日 公表機関:全国公益法人協会 ※この報告は全国公益法人協会からの委託研究によって得られた研究成果です。 詳細はこちら 資料名:新公益法人制度普及啓発委員会 最終報告書 資料公表日:2017年9月5日 公表機関:全国公益法人協会 ※この報告は全国公益法人協会からの委託研究によって得られた研究成果です。 詳細はこちら 資料名:公益・一般法人研究会2016年度中間報告 資料公表日:2017年9月5日 公開期限:2018年3月31日 公表機関:非営利法人研究学会 公益・一般法人研究会 公開終了 資料名:出口正之「公益法人制度改革を総括する―移行期間終了を目前に控えて―」(発表資料) 資料公表日:2013年9月21日 公表機関:非営利法人研究学 会 資料名:大内俊身「非営利法人制度の現状と課題」(レジュメ) 資料公表日:2010年9月25日 公表機関:非営利法人研究学会

  • 第23回全国大会の詳細 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    非営利法人研究学会、第23回全国大会の詳細  9月15日(日)から16日(月・敬老の日)にかけて、公益社団法人非営利法人研究学会(会長:堀田和宏近畿大学名誉教授)の全国大会が久留米大学御井キャンパスにて開催される。  第23回目を迎える本大会では、「⺠による公益の増進」を目的として公益法⼈制度改⾰関連三法が平成20年12⽉に施⾏されてから10年が経過したのを機に、統一論題のテーマを「公益法人制度改革10周年―公益法人の可能性と課題を探る―」と設定し、併せて、日本公認会計士協会(非営利組織会計検討会)「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」と題した特別企画を設け、それぞれ報告とパネルディスカッションを行うこととした。また、大会2日目には、4会場において12の自由論題報告と、NPO法人研究部会ワークショップ、分野別研究会報告が行われる予定である。  以下に全国大会のプログラムを掲載したので参照されたい。 非営利法人研究学会 第23回全国大会 統一論題      公益法人制度改革10周年―公益法人の可能性と課題を探る― 開催日       令和元年9月15日(日)・16日(月・敬老の日) 開催場所      久留米大学(御井キャンパス・本館)           福岡県久留米市御井町1635 費用:参加費3,000円 懇親会費4,000円 弁当代(9/15・16)1,600円※どちらか1日分であれば800円。 ※振り込み先口座  銀行名:ジャパンネット銀行  支店名:ビジネス営業部  預金種目:普通  口座:2524425 口座名義:公益社団法人非営利法人研究学会全国大会準備委員会 ※ 銀行振込は通信欄がないため、大学名で振り込む場合は、大変お手数ですが、メールの題名を「学会参加申込み」とし、本文に「参加費、懇親会費、お弁当代の内訳と合計の金額」を記載のうえ、大会準備委員長宛にご連絡をお願いします。 ※ 令和元年9 月4日(水)までに下記宛にご送金下さい。ご入金の確認と申込者名の確認をもちまして参加申込みの受付とさせて頂きます。尚、参加取消による返金はご容赦下さいますようお願い申し上げます。 ※ ご参加の際に名札用として「名刺」を1 枚お持ち頂きますようお願い致します。 ※ キャンパス内の学食は15日と16日の両日休業予定のためご注意ください。(コンビニエンス・ストアは3店舗あります。) 問合せ先:第23回全国大会準備委員会 準備委員長 伊佐 淳(久留米大学)      isa.atsushi*gmail.com → *を@に変えてください。 申込要領 9月14日(土)久留米大学(御井キャンパス本館3階132教室) 常任理事会 14:00〜15:00 【本館3階132教室】 理事会 15:00〜17:00 【本館3階132教室】 理事会等のご案内 <1日目> :9月15日(日) 参加受付 11:00〜17:30【本館1階】 社員総会 12:30〜13:20【本館3階13A教室】 統一論題報告及びパネルディスカッション  13:30〜16:00【本館3階13A教室】  「公益法人制度改革10周年―公益法人の可能性と課題を探る―」    コーディネーター 齋藤真哉(横浜国立大学)    パネリスト 尾上選哉(大原大学院大学)         「会計からみる公益法人制度改革の課題と可能性」          苅米 裕(苅米裕税理士事務所)         「公益法人の拡充のために公益法人税制が果たすべき機能の考察」          出口正之(国立民族学博物館)         「税制優遇のルビンの壺:価値的多様性と手段的多様性の奨励」  【特別企画】  日本公認会計士協会(非営利組織会計検討会)「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」に関する報告及びパネルディスカッション  16:10〜17:40【 本館3階13A教室 】   日本公認会計士協会『非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~』に関する報告」     松前江里子(日本公認会計士協会研究員)   パネルディスカッション    コーディネーター     会田一雄(慶應義塾大学・非営利組織会計検討会座長)    パネリスト     藤井秀樹(京都大学)     日野修造(中村学園大学)     松前江里子(日本公認会計士協会研究員) 懇親会 18:00〜20:00【本館8階スカイラウンジB・C】 <2日目> :9月16日(月) 自由論題報告<第1会場>【本館3階130教室】 司会  川野祐二(下関市立大学) 9 :30〜10:20 ⑴ 「副(福)業の可能性を拓く―福祉職の人材基盤強化にむけた中間支援組織の挑戦」  平尾剛之(きょうとNPOセンター)・吉田忠彦(近畿大学) 10:30〜11:20 ⑵  「非営利組織におけるコア・スタッフの育成と確保のための人的資源管理施策―中間支援組織を事例として」  東郷寛・團泰雄(近畿大学) 11:30~12:20 (3) 「NPO支援をめぐる施設、組織、政策―アクターネットワーク・セオリーの視点から」  吉田忠彦(近畿大学) 自由論題報告<第2会場>【本館3階131教室】 司会  森 美智代(熊本県立大学) 9 :30〜10:20 ⑴ 「地方創生と公民協働のまちづくり」  澤田道夫(熊本県立大学) 10:30〜11:20 ⑵  「民間非営利活動と地域資源活用に関する経済学的考察―広島安芸高田神楽の事例研究―」  今枝千樹(愛知産業大学)・藤井秀樹(京都大学) 11:30~12:20 (3) 「中山間地域を支える非営利法人の地域おこし活動―その意義と活動構造を中心に―」  井寺美穂(熊本県立大学) 論題報告<第3会場>【本館3階132教室】 司会  小島廣光(星城大学) 9 :30〜10:20 ⑴ 「子ども食堂におけるドメインの定義」  菅原浩信(北海学園大学) 10:30〜11:20 ⑵  「NPO法人の認定制度からみえてきた問題点について―支援団体からの聞き取りを通じて―」  川村基(四国大学) 11:30~12:20 (3) 「災害とソーシャル・キャピタルに関する一考察」  黒木誉之(長崎県立大学) 論題報告<第4会場>【本館3階133教室】 司会  日野修造(中村学園大学) 9 :30〜10:20 ⑴ 「18世紀の懐徳堂から考察する資本維持」  水谷文宣(関東学院大学) 10:30〜11:20 ⑵ 「非営利法人会計における公正価値情報の有用性の考察」  宮本 幸平 (神戸学院大学) 11:30~12:20 (3) 「英国の小規模チャリティと会計」  上原優子(立命館アジア太平洋大学) 12:30~13:30 休憩・昼食 NPO法人研究部会ワークショップ「現場の声に耳を傾ける」  13:30〜15:10【本館3階13A教室】 ファシリテーター 出口正之(国立民族学博物館・NPO法人研究部会座長)          伊佐 淳(久留米大学)   報告者 吉村興太郎(公益財団法人佐賀未来創造基金専務理事)       宮原信孝(認定NPO法人ピースウィンズジャパン・Asia Pacific Alliance for Disaster Management(A-PAD)上席顧問、一般財団法人筑後川コミュニティ財団理事長) 分野別研究会報告 15:20〜16:50【本館3階13A教室】  医療・福祉系法人研究会  公益・一般法人研究会  大学等学校法人研究会  NPO法人研究会 ―交通のご案内― 久留米大学御井キャンパスまでの交通アクセス http://www.kurume-u.ac.jp/soshiki/3/access.html 久留米大学御井キャンパス本館の配置図 http://www.kurume-u.ac.jp/uploaded/attachment/5544.pdf ―宿泊につきまして―  御井キャンパスへは西鉄久留米駅前より西鉄バスに乗車するのがお薦めです(御井キャンパスまで15~25分)。  ハイネスホテル久留米→西鉄久留米駅東口の目の前にあるホテル  久留米ホテル・エスプリ→西鉄久留米駅西口より徒歩1分  東横イン西鉄久留米駅東口→西鉄久留米駅東口より徒歩3分  ホステル・イルファーロ久留米→西鉄久留米駅西口より徒歩1~2分  久留米ワシントンホテルプラザ→西鉄久留米駅西口より徒歩5分  ホテルニュープラザ久留米→西鉄久留米駅西口より徒歩7分  ホテルセントラルイン→西鉄久留米駅西口より徒歩8分、夕食&朝食無料  グリーンリッチホテル久留米【天然温泉六ツ門の湯】→西鉄久留米駅西口より徒歩12分2019年4月OPEN  旅館・錦水→御井キャンパスに最も近く、徒歩18~20分程。  萃香園ホテル→明治15年創業の由緒あるホテル、西鉄久留米駅までタクシーにて5分。

  • 第18回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第18回大会記 2014.9.10-11 横浜国立大学 統一論題 公益性の判断基準 税理士  上松公雄  非営利法人研究学会第18回大会が、横浜国立大学(大会準備委員長:齋藤真哉〔横浜国立大学〕)において、平成26年9月10日から11日までの2日間に渡って開催された。  前日の常任理事会及び理事会、1日目の総会の開催に引き続いて、統一論題「非営利法人に係る公益性の判断基準」(司会:佐藤倫正氏〔愛知学院大学〕)の報告が行われた。 【統一論題報告】  第1報告の岡村勝義氏(神奈川大学)「一般社団・財団法人の公益性判断基準」においては、公益性判断基準について、公益認定基準のうち、1号基準(事業目的)、6号基準(収支相償)、8号基準(公益目的事業比率)、9号基準(遊休財産保有制限)と旧制度の「指導監督基準」との比較が行われ、「指導監督基準」を承継しつつ、独自なものとして、公益目的事業について不特定多数条項(不特定多数の者の利益の増進に寄与するもの)による質的規制(1号基準)と財務三基準(6・8・9号基準)による財務的側面からの量的規制の強化が付加されていることが明らかにされた。また、それぞれの問題点として、質的規制については、不特定多数条項の判断において裁量の余地があり判断にズレが生ずる恐れがあること、財務三基準については、税制上の優遇措置との連動性までも強化されたため、財務三基準=税制優遇措置の適用基準となっていることの指摘がなされた。  第2報告の初谷勇氏(大阪商業大学)「特定非営利活動法人の公益性判断基準」においては、法人制度の沿革について行政システムの集権・分権等との観点と関連せしめて整理された上で、公益法人(公益社団・財団法人)とNPO法人における公益性判断主体及び公益性判断基準、そして、公益増進性判断主体及び公益増進性判断基準の転換状況と相違点について報告された。すなわち、公益性判断基準については、公益法人制度は、公益性判断基準の「統一化への伏流」から基準の「消失」であり、NPO法人制度は「法定」からその「拡充」とされた。また、公益増進性判断基準については、公益法人制度では、「自由裁量」から「法定・統一化」であるのに対し、NPO法人制度では、「根拠法の転換と基準緩和の昂進」であるとされた。  NPO法人の場合のこれらの相違は、認証主義、あるいは、行政主導の下での地方分権・分散化と対象の拡充に向けた対応の深まりという「程度」の問題と捉えることができるものとされた。   第3及び第4報告は、諸外国における公益性判断基準に対する研究であり、第3報告の金子良太氏(國學院大學)「アメリカの非営利法人の公益性判断基準」においては、内国歳入法501(C)⑶団体を対象に、その特徴及び連邦税の非課税団体の認定の仕組みについて解説された。501(C)⑶団体については、パブリック・チャリティ(PC)とプライベート・ファウンデーション(PF)の区分があり、さらに、PCには、①宗教・学校医療・公立大学後援団体等の連邦・州で認可を得た法人、②PST等の審査に合格した団体、③事業型PSTに合致した団体、④パブリック・チャリティ支援型組織の4類型が存し、それぞれについて、公益性の認定基準が異なり、かつまた、租税の特典の内容も異なることが明らかにされた。日本と比較した特徴として、広く一般から寄附を集める団体の優遇は大きいものの、特定者からの寄附で成立するPFには租税回避を防止するための規制等が存することが紹介された。 第4報告の尾上選哉氏(大原大学院大学)「英国チャリティの公益性判断基準」では、所轄庁であるチャリティ委員会の公益性認定の判断基準をチャリティの登録時を中心として考察された。  2006年チャリティ法以後、チャリティとは、専らチャリティの目的のために設立された組織として定義され、チャリティ目的であるためには、①目的記述要件(組織の目的〔使命〕がチャリティ法に規定する13の目的記述に該当するかどうか)と②パブリック・ベネフィット・テスト(目的が有益であるかどうか及び公に便益をもたらすかどうか)を充足するかどうかについて、チャリティ委員会が決定することが確認された。   以上の4報告を基に、パネル・ディスカッションへと進み、まず、コメンテーターの江田寛氏(公認会計士)は公益性判断に係る視点として将来社会に貢献するか否かの点、また、課税の優遇措置に関しても将来の豊かさを獲得するという積極的視点の必要性が説かれ、報告者に対して、公益認定基準におけるパネル・ディスカッションは学際的な議論となった公益・一般法人 No.879 2014.10.154財務三要件、チャリティ委員会方式による公益性判断において将来性判断が可能かどうかの見解を問う質問がなされた。  続いて、同じくコメンテーターの馬場英朗氏(関西大学)から、公益認定に係る制度の狙いが、当初は、民間の主体性の発揮及び客観的判断基準(恣意性の排除)にあったものが、運用の過程において、税制上の優遇措置との関係から、新規事業を開始するに際して行政(課税当局)の判断を仰ぐこととなり、判断主体がシフトしてしまっているのではないかとの問題提起がなされ、報告者の見解が問われた。  さらに、フロアから日米英の人口比と各国における公益性を有する法人の比が大きく異なっていることの原因となる制度の違いについてなど複数の質問が寄せられ活発な質疑応答が行われた。  最終日は、午前に、特別セッション「非営利組織の会計枠組み構築に向けて」(司会:齋藤真哉氏)が行われた。 【特別セッション】  森洋一氏(日本公認会計士協会)による基調報告において「非営利組織の会計枠組み構築に向けて(日本公認会計士協会非営利法人委員会研究報告第25号)」(以下、研究報告25号という。)の概要について説明された。すなわち、非営利組織の範囲について、事業活動を通じて稼得した利益を分配することを目的としない組織であると定義し、会計枠組み構築に向けては、①会計の基本的枠組みの共有、②モデル会計基準の開発、③会計基準の統合化という段階的アプローチが提案された。そして、基本的枠組みを構築するためには、これを一元的に取り扱う体制が不可欠であるとし、この場合の会計基準設定主体に求められる要件について、利害関係者の参画と代表性、独立性、透明性とガバナンス、正当性、専門性、財政基盤が挙げられた。その上で、会計基準設定主体として、①行政内に設置、②民間新団体を設立、③民間の会計基準設定組織内に設置の3方式が考えられるところ、課題は当然あるものの、③の民間の会計基準設定組織内に設置の方式が望ましいものとされた。紙幅の都合上、詳細に触れることはできないが、研究報告25号の報告に係る研究に取り組まれた背景としての非営利セクターに対する期待と課題、わが国の情報開示と会計の状況についても丁寧な説明が行われた。  続くパネル・ディスカッションにおいては、まず、報告者に対して、パネリストの鷹野宏行氏(武蔵野大学)から①アメリカの非営利法人会計に係る概念フレームワーク及び会計基準とのあり方及び②会計基準設定主体の資金調達についての見解を問う質問及びコメントがなされた。次いで、同じくパネリストの古庄修氏(日本大学)は、研究報告25号の意義、機能についてコメントされた後、①比較可能性についての情報ニーズ、会計プロフェッションにおける統一化の実需、②非営利法人の範囲(非営利性の定義)、③非財務報特別セッションの司会は今大会実行委員長の齋藤真哉氏公益・一般法人 No.879 2014.10.15学会ニュース 5告の開示の進め方について質問された。  さらに、フロアの会員と一体となって、①非営利組織の範囲、②フレームワークと会計基準との関係、③非財務情報の役割、④会計基準設定主体について、活発な質疑応答、議論が行われた(時間切れとなり、③、④の問題点は割愛となった)。 【西日本部会報告】  大会プログラムの最後は、西日本部会(九州部会)報告として「地域における行政、医療及び福祉の現状と課題」(司会:早坂毅氏〔税理士・行政書士〕)の最終報告が行われた。  冒頭に森美智代氏(熊本県立大学)から最終報告書の提出に係る報告と関係者への謝辞が述べられた。引き続いて、渡辺亨氏(熊本市都市政策研究所)より「熊本地域の地下水保全事業におけるNPOの役割」についての報告が行われた。  報告においては、NPOが関係した官民協働に係る成功事例(熊本地域の地下水保全事業〔かんくまセミコンモデル〕)が紹介され、官民協働におけるNPOの役割について確認された。すなわち、官民協働においてNPOがモデルケースを構築し、その成功事例を示すことで、行政や企業の参入を促す起爆剤となり得ることの指摘がなされた。 【自由論題報告】  自由論題報告は、第一会場(司会:船越洋之氏(湘北短期大学))において、髙屋雅彦氏(近畿大学)「病院と公益性に関して-精神科診療を例として-」、河谷はるみ氏(九州看護福祉大学)「在宅医療を担う医療体制の在り方」、森美智代氏「非営利法人組織における会計の役割-日独における医療改革をとおして-」、第二会場(司会:竹内拓氏(自由が丘産能短期大学))において、黒木誉之氏(熊本県立大学)「内発的発展による地域再生-水俣市の「もやい直し」を主軸とした市民協働の地域づくり-」、井寺美穂氏(熊本県立大学)「行政倫理システムの機能および逆機能-政府における取組みを中心に-」、西村友幸氏(釧路公立大学)「非営利組織はアドホクラシーか?」、第三会場(司会:江頭幸代氏(関東学院大学))において、菊池遼氏(東北大学大学院生)「NPO 法人の新認定制度に関する一考察-認定NPO法人へのインタビュー調査から-」、藤井誠氏(日本大学)「非営利法人課税の本質」、出口正之氏(国立民族学博物館)「学校法人・社会福祉法人創設における制度改革との比較における公益法人制度改革」の全報告が行われた(各報告に対するコメンテーターについては省略した)。

  • 第23回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第23回大会記 〈2019年9 月15〜16日 久留米大学〉 統一論題 公益法人制度改革10周年―公益法人の可能性と課題を探る― 齋藤真哉  横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授  令和元年9 月15日(日)より16日(月)の日程で、非営利法人研究学会第23回全国大会が、久留米大学(御井キャンパス・本館)において行われた。   大会1 日目に、「公益法人制度改革10周年―公益法人の可能性と課題を探る―」を統一論題とする研究報告及びディスカッションが行われた。当該論題は、「民による公益の増進」を目的として、公益法人制度改革関連三法が平成20年12月に施行されてから10年が経過したことを機に、その制度改革の目的が達成されているのか、制度上の今後の課題は何かという問題意識に基づいて、さらには公益法人が果たす社会的役割に対する今後の展望についても検討すべきとの趣旨から設定されたものであり、制度と会計、税務の各観点から公益法人制度を見直すことを内容とした。  登壇した3 名の報告者とテーマは、①出口正之氏(国立民族学博物館)「税制優遇のルビンの壺:価値的多様性と手段的多様性の奨励」、②尾上選哉氏(大原大学院大学)「会計からみる公益法人制度改革の課題と可能性」、③苅米裕氏(苅米裕税理士事務所)「公益法人の拡充のために公益法人税制が果たすべき機能の考察」であった。なおコーディネーター(座長)は、齋藤真哉(横浜国立大学)が務めた。 統一論題報告 第1 報告 「税制優遇のルビンの壺:価値的多様性と手段的多様性の奨励」(出口正之・国立民族学博物館)  出口氏は、公益法人制度の改革における公益法人制度改革関連三法の立法趣旨が、「民間による公益の増進」にあったことを再確認し、そこでの重要な要素として「多様性」と「機動性」があったと整理された。そして民間における公益を増進するためには、行政の関与が最小限に止められる必要があるとの認識が示された。そして、その例として研究助成の場合を取り上げて、もし研究助成を民間に任せるとしても行政が統一された基準等により制約を掛けるならば、民間においても事務費等が掛かるため、たとえば日本学術振興会だけが研究助成を決定した方が効率的であることを説明された。そこで民間の公益法人の行為等を税制優遇等により規制することは、かえってパレート最適を妨げることが考えられるとの見解が示された。ルビンの壺とは、背景に黒地を用いて白地で壺を描いた図であり、白地に注目すれば壺に見え、黒地に注目すれば向かい合った2 人の顔に見えるというものである。官のロジックになじまない領域にそれを持ち込んでいることを、「ルビンの壺現象」と呼び、そもそも多様性のある民間に税制優遇を根拠としてそうした多様性を消し去るような官の介入があることが、本来の立法趣旨である「民間による公益の増進」を阻害する結果を導いているという問題点が指摘された。 第2 報告 「会計からみる公益法人制度改革の課題と可能性」(尾上選哉・大原大学院大学)  尾上氏は、会計の観点から、公益法人制度改革の趣旨に照らして、改革後の制度が有効な社会的システムとして機能しているのか、改善すべき課題は何か、今後の公益法人制度の発展に会計がどのように寄与しうるのかについて論じられた。改革後の制度の有効性については、制度改革により公益認定された法人の数よりも、一般法人の数の増加が著しい(後者が前者の約100倍)現状を踏まえて、制度改革が公益の増進に直結したのかについては疑問があるとの含意が示された。そして公益法人制度を支える柱としての会計について、公益法人に適した会計基準・会計制度になっているのかについて、課題が提示された。すなわち、1 つには、持分権者不在の公益法人(非営利法人)に対して、資本主理論に立脚する企業会計の理論と手法を導入していること、今1 つには、資源提供者に対する受託責任に関する会計情報の量・質の低下である。それらの課題に対して、公益法人の会計を法人主体理論に立脚して構築すること、またそうした理論に基づいた貸借対照表の表示方法の組換えや財産目録の活用、規模別の会計基準の適用が提唱された。さらに、一般法人の情報開示の検討や一般法人に適用される会計基準が必要であるとの見解が示された。そうすることで、情報開示と法人自治が推進され、一般法人をも含めた民による公益の増進が期待できると主張された。 第3 報告 「公益法人の拡充のために公益法人税制が果たすべき機能の考察」(苅米裕・苅米裕税理士事務所)  苅米氏は、制度改革により「公益的活動の健全な発展を促進し、一層活力ある社会の実現を図る」という課題の解決に寄与できたのかという問題意識に基づいて、税制の観点から制度改革後の税制について検討を加えられた。まず改革以降の法人税の課税を、公益認定された法人及び一般法人の両方について概括的に説明された。すなわち、税法上は、公益法人等と非営利型法人、普通法人との分類により、収益事業課税か全所得課税か、また公益目的事業に対する非課税措置、みなし寄附金制度等について整理された。その上で、財産相続に関わる節税スキームとして一般社団法人等が利用されているとの指摘をされた。具体的には、相続財産を一般法人に移転させることで、その所有権は喪失するものの、自ら又は子供が理事に就任することで、実質的な支配を継続することができるという内容である。特に非営利型の場合、寄附金収入は非課税となる点も確認された。こうしたスキームに対して一定の場合に相続税が課されることが紹介された。加えて、税制とも関わる公益認定の財務三基準や公益目的支出計画について言及された。それらを踏まえて、公益法人等に対しては全所得課税を前提として公益活動支出を即時償却扱いとする方法や、非営利型法人に対して公益活動等に使用しない純資産の一部に追加課税する方法等を取り上げて検討がなされた。  各研究報告に続いて行われたディスカッションにおいては、公益法人をめぐる諸課題、具体的には公益認定のあり方、監督やガバナンス(自律性)、情報開示、税制優遇に関して、活発な質疑応答が行われた。 特別企画  日本公認会計士協会「非営利組織における財務報告の検討〜財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案〜」に関する報告及びパネルディスカッションは、会田一雄(慶應義塾大学)をコーディネーターとして実施された。  まず、松前江里子氏(日本公認会計士協会)により、環境変化に応じて非営利セクター全体に共通の会計枠組の必要性を背景に、非営利組織における財務報告の基礎概念とモデル会計基準について、プロジェクトの活動経過を踏まえて、報告がなされた。続いてパネルディスカッションに入り、藤井秀樹氏(京都大学)より今回のプロジェクトの社会的意義及び組織特性から導出されたモデル会計基準の特質について、また、日野修造氏(中村学園大学)より純資産の区分とフロー財務表の表示形式に焦点を向け、米国FASと比較しながらモデル会計基準により作成される情報内容が論じられた。さらに、会場からの質問に対して、報告者及びパネリストからの回答及び討論が活発に展開され、今後の非営利セクター内での会計基準統合化の途を展望し、本報告を総括した(文責:会田一雄)。 自由論題報告 自由論題報告第1 会場 第1 報告 「副(福)業の可能性を拓く―福祉職の人材基盤強化にむけた中間支援組織の挑戦」(平尾剛之・きょうとNPOセンター、吉田忠彦・近畿大学)   65歳以上の人口の割合が全人口の21%を占めている社会、いわゆる「超高齢社会」を先進国の中で最初に日本が迎えている。生産労働人口が減少し、これまでの「当たり前」では対応できない、また多様な働き方が求められている現状において、中間支援組織であるきょうとNPOセンターは公益財団法人トヨタ財団の助成を得て、福祉現場での副業によるキャリア形成を推進するための福業推進プロジェクトを形成し、福祉職への就労機会の創出や社会支援基盤の強化にむけた取組みに挑戦している(文責:吉田忠彦)。 第2 報告 「非営利組織におけるコア・スタッフの育成と確保のための人的資源管理施策―中間支援組織を事例として」 (東郷寛、團泰雄・近畿大学)   日本の支援型NPOの多くは経営基盤が不安定であるために、コア・スタッフのリテンションが困難であるという課題を抱えているが、ミッションを具現化するための経営課題にうまく対処するためにはコア・スタッフのリテンションやそれに伴う人的資源管理(HRM)施策の整備が不可欠である。従来のNPOにおけるHRMに関する研究ではこの点が十分に論じられていない。  そこで、本研究ではHRMの視点から、3 つの支援型NPOの事例分析をもとに、支援型NPOが社会的価値を生み出すための条件に関する以下の仮説を導出した。①共通の経営環境下にある組織間でも、社会的価値創造を支える戦略的行為能力に差が見られる、②コア・スタッフの確保と育成面での違いが、戦略的行為能力の違いを生み出している、③組織の成長とHRMの仕組み化の程度がコア・スタッフのリテンションの程度とスタッフの組織内キャリア形成の促進の程度を規定する、④組織内の知識と情報の循環が活性化するとスタッフのエンゲージメントが高まり、スタッフの成長ひいてはコア・スタッフのリテンションに影響を与える。  また、事例分析からはコア・スタッフの役割の重要性やエンゲージメントを高める施策の重要性が明らかとなり、今後はコア・スタッフの育成施策が能力向上や組織成果につながるメカニズムの特定などが課題となることを示した(文責:東郷寛)。 第3 報告 「NPO支援をめぐる施設、組織、政策―アクターネットワーク・セオリーの視点から」(吉田忠彦・近畿大学)  わが国のNPO支援をめぐる施設、組織、政策の相互作用について、ラトゥールらによって推進されるアクターネットワーク・セオリーの視点から分析することを目的として、神奈川県によって1996年に設立された「かながわ県民活動サポートセンター」の設立プロセスと「かながわボランタリー活動推進基金21」の設置プロセスをケースとして取り上げた。  センターも基金も、当時の知事の強いリーダーシップによって導かれたが、それだけでは実現しなかった。その背景となる要素があった。神奈川県では米軍基地があることで住民運動が盛んであったし、神奈川県や横浜市では長年にわたって革新自治体が強く、行政と市民活動とはある程度の相互依存関係もあった。さらに、その長年にわたる革新自治体によって行政の財政事情が悪化しており、それが元大蔵官僚であった知事を生むことになった。またもう1 つ大きな点は、横浜駅から徒歩数分という利便性の高い所に県の行財政改革の対象となる県民センターという箱モノがあったことである。日本の社会全体の流れにおいても、阪神・淡路大震災が発生し、ボランティア革命と呼ばれるような動きがあり、NPO法成立に向けてのさまざまな場所での活動が活発化していた。これらの諸要素が相互作用していたのである。決してワンマンな知事の意向や力だけでセンターや基金はできたわけではなく、基本の計画でさえその後にも市民団体との間で交渉が続けられ、変化していったのである(文責:吉田忠彦)。 自由論題報告第2 会場 第1 報告 「地方創生と公民協働のまちづくり」(澤田道夫・熊本県立大学)  「地方創生」の取り組みについては、2015年に地方版総合戦略が策定されて以降、全国でさまざまな取り組みが展開されている。しかし、そもそも「地方創生」が始まったきっかけについてはあまり知られていない。地方創生の取り組みが始まったのは日本創成会議が2014年に発表したレポート(いわゆる増田レポート)からである。同レポートにおいて、今後の人口減少社会の中で市区町村の半数に当たる896の自治体が「消滅可能性都市」という指摘を受け、全国にショックが広がった。これに対処するために国が始めたのが「地方創生」である。 ではなぜ「消滅可能性都市」なのか。同レポートでは若年女性が2010年から2040年までの30年間に50%以上減少する自治体を消滅可能性都市と呼んだ。若年女性が域外に流出してしまうことが次世代の人口を減少させ、地域の持続可能性を低下させる。すなわち、地方創生の鍵を握るのは若い世代の雇用・出産・子育て等に関する支援ということになる。しかし多くの市町村ではこの事実を理解しないまま、既存の地域振興策のマイナーチェンジに終始しているのが実態であろう。 この点において、本学会が研究対象とする非営利法人は、若年女性の活躍の場となるケースも多く、地方創生にとって重要な役割を果たしている。今後自治体が地方創生の取り組みを進めるに当たり、非営利法人との協働が必要であろう(文責:澤田道夫)。 第2 報告 「民間非営利活動と地域資源活用に関する経済学的考察―広島安芸高田神楽の事例研究―」 (今枝千樹・愛知産業大学、藤井秀樹・京都大学)  地方創生につながる地域資源を開発するには、資源の戦略的な重点配分が不可欠であり、そのためには地域資源の提供者と支援者の間の情報の非対称を緩和する必要がある。かかる問題意識から広島安芸高田神楽のケーススタディを行い、以下の知見を得た。第1 に、事情に精通したマルチプレイヤーが情報の非対称性の緩和に大きく貢献し、支援の傾斜配分を可能にしていることである。第2 に、地域資源として活用可能な神楽団の選抜にあたり、競演大会での優勝実績がシグナリングとして機能していることである。第3 に、神楽が地域資源として実質的に機能していることである。第4 に、持続可能な取組みとするには人材の育成が大きな鍵になることである(文責:今枝千樹)。 第3 報告 「中山間地域を支える非営利法人の地域おこし活動―その意義と活動構造を中心に―」 (井寺美穂・熊本県立大学)  本報告は、耕作放棄地の増加や地域づくりの衰退など多くの課題を抱える中山間地域のひとつである熊本県山鹿市の岳間地域において、地域おこし活動を積極的に展開する特定非営利活動法人(NPO法人)-岳間ほっとネット-の活動事例を分析対象としながら、地域における法人活動の意義やその活動構造について考察を試みるものである。地域担当職員制度の効果により、きめ細やかな行政メニューが提供され、積極的な活動展開が行われているという仮説のもと、研究を展開している。  結論としては、①活動の中心である少人数のブレーンが役割分担をしながら、地域内外の他団体とのパイプ役を果たし、団体間連携が図られていること、②「当事者志向」の地域担当職員が「地域係」という担当業務を担いながら地域支援を行うことにより、NPO法人の積極的な活動展開につながっていることを明らかにしている(文責:井寺美穂)。 自由論題報告第3 会場 第1 報告 「子ども食堂におけるドメインの定義」(菅原浩信・北海学園大学)  本報告は、子ども食堂において、どのようなドメインの定義がなされているのかを明らかにすることを目的としている。具体的には、新潟県内の6 つの子ども食堂を分析対象として採り上げ、当該子ども食堂の運営団体の代表者等に対する聴取調査を実施し、その結果についての分析及び考察を試みている(文責:菅原浩信)。 第2 報告 「NPO法人の認定制度からみえてきた問題点について―支援団体からの聞き取りを通じて―」(川村基・四国大学)  本報告は、わが国において、NPO法人の数に比して認定NPO法人の数が少ない理由を、支援団体への聞き取り調査から明らかにすることを目的としている。認定NPO法人が少ない理由として、①認定制度の問題点と②NPO法人のマネジメントの2 つが指摘された(文責:川村基)。 第3 報告 「災害とソーシャル・キャピタルに関する一考察」(黒木誉之・長崎県立大学)  本報告は、熊本地震の熊本県益城町と東日本大震災の宮城県南三陸町の現地調査の結果から、被災者による取り組みをソーシャル・キャピタルの視点から分析したものである。分析の結果、次の3 点が明らかにされた。①平時期には祭りなどが重要である。②災害期にはサードプレイスが必要である。③復旧期以降には緩やかなネットワークを形成するサードプレイスが必要である(文責:黒木誉之)。 自由論題報告第4 会場 第1 報告 「18世紀の懐徳堂から考察する資本維持」(水谷文宣・関東学院大学)  現代日本における高橋(2003)は資本維持のためにも減価償却は根拠がないとする。アメリカにおいてはSFAC No.6が資本維持は必要と唱えている。日本の実務家からあるかもしれない反応は、日本ではどうか、実務ではどうかというものである。研究手法としては、アーカイバル・メソッドを採用した。懐徳堂は18世紀に大阪で設立された私立学校であり、武士ではなく町人が経営していた。大阪大学総合図書館の懐徳堂文庫に大量の史料が保管されている。本報告では現存する最古の『懐徳堂義金簿』を活用した。1781年に前書きが書かれている。  修繕が必要となり懐徳堂は存続の危機となった。学校において建物はサービス提供能力に直結する。収入が支出を超過していることが実体資本維持の達成を示す。イギリスの複会計システムと相性が良いのは取替法であり、『懐徳堂義金簿』には取替という言葉が登場していた。ただし当時の日本は鎖国中であった。古典的にはシュミットが物価変動を考慮した実体資本維持を提唱していた。齋藤(2016)はシュミットとは異なる実体資本維持を提唱している。懐徳堂は齋藤(2016)の言う実体資本維持はしていたと言える。学校法人会計基準には基本金概念があり資本維持の発想がある。残された課題は、シュミットの実体資本維持が懐徳堂でも現代会計でも採られていない理由は何かということである(文責:水谷文宣)。 第2 報告 「非営利法人会計における公正価値情報の有用性の考察」(宮本幸平・神戸学院大学)  報告では、非営利法人会計において、近年新たに導入された公正価値会計の情報が有用となるかにつき、経済学の分析ツールである「比較制度分析」を援用して分析を行った。  まず、非営利法人会計の「基本目的」(objectives)につき、非営利法人会計概念書に基づいて整理された。非営利法人会計の「基本目的」(objectives)に関して、FASB概念書第4 号によれば、資源提供者その他の情報利用者が、用役を提供し続ける組織体の能力を評価するのに役立つこととされる。このようなFASBの規定につき、非営利法人会計の概念として措定すべき重要なものが、財務的に保持していかなければならない能力である「財務的生存力」であることが説明された。  次に、非営利法人会計において公正価値評価を導入することの、会計理論的問題点が明らかにされた。保有する金融商品や有形固定資産が公正価値で評価されることになれば、未実現損益が認識されて、財務的生存力の査定に影響を及ぼす可能性がある。公益法人会計/貸借対照表に対し、不確実性及び非客観性が実現利益と比べて強い公正価値評価額が誘導されれば、社会福祉法人会計や学校法人会計よりも、財務生存力を査定する能力の点で劣ることになることが指摘された。  さらに、「比較制度分析」による、非営利法人における、公正価値会計導入の要因分析が行われた。公正価値会計情報を適正に表示して資金提供を受け続けている「非営利法人」の期待将来利得の割引価値をV a、現在資金提供を受けていない「非営利法人」の期待将来利得の割引価値をViuと(i =h、C )とすると、次の式が導出される。  そしてこれをもとに、非営利法人が、公正価値会計情報を表示しないインセンティブを持たない、以下の条件式が導出された。  式より、αと3 つの小カッコの中がいずれも正であるため、WはπC及びπhの値に依存している。ここでπCの値が低いときは、損失非表示を行ったことによる再契約率が低いことを示す。そして、πCの値が低い場合には、「非営利法人」が将来に得られたはずの利得を失う確率( 1 -πC)が高くなり、この場合に「非営利法人」の利得Wが小さくなる。したがって、非営利法人が公正価値会計情報を適正に表示すれば利得が増加することが、本ゲーム・モデルから導出される式によって明らかになると結論付けた(文責:宮本幸平)。 第3 報告 「英国の小規模チャリティと会計」(上原優子・立命館アジア太平洋大学)  わが国の非営利・公益法人の中で、小規模なものは多い。これらの法人では組織的体力が弱いために、十分な管理体制や適切な財務諸表の作成が困難な状況にあるものが存在する。NPO法人も公益法人も、そもそもの法人の趣旨から考えれば、社会に貢献する組織が数多く成長し、活性化することが望まれている。  英国のチャリティも同様に、小規模な組織は多いが、その組織規模の負担を考慮した制度が存在する。財務諸表の作成に関しては、一定規模以下のチャリティには、現金主義での財務諸表の作成が認められている。専門性を必要とする会計について、負担を感じている組織も多いことが予想されるわが国の小規模法人の状況を考えると、英国のように段階的な会計処理を検討することには意義があると考える(文責:上原優子)。 NPO法人研究部会ワークショップ「現場の声に耳を傾ける」  NPO法人研究部会報告というタイトルではあるが、せっかく地方で実施する大会なので大会実行委員会から「ご当地企画」として現場の声を実際に聞きたいという要望があり、異例の形のセッションとなった。  大会委員長の伊佐淳氏から上記の意図が述べられた後、公益財団法人佐賀未来創造基金専務理事吉村興太郎氏から、設立の経緯、公益法人への道、現在の広範なプログラムの説明がなされた。その後、事業拡大のために行政庁を佐賀県から内閣府へ変更しようとしたところ、佐賀県認定なのに熊本地震でボランティアを派遣したことを責められるなどして結局諦めた経緯が語られた。次に、認定NPO法人ピースウィンズジャパンをはじめ非営利組織での経験豊富である、宮原信孝氏が一般財団法人を立ち上げたばかりの筑後川コミュニティ財団の設立の経緯を報告した。久留米には市民団体が約400近くあり、寄付をしてもよいという人もいるが、鍵は税控除だと言われているので何としても公益を目指したいと決意が語られた。 次に、ファシリテーターの出口から、行政は細かな対応に流れるからこそ有識者による第三者機関が制度として入っているのであって、有識者といわれる人たちの能力が、制度が求める以下の場合の時についてはそれを指摘する責任がアカデミックコミュニティには存在すると締めくくった(文責:出口正之)。

  • 第7回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第7回大会記 2003.10.10–11 成蹊大学 統一論題 非営利組織の経営と課題  1 非営利組織とNPO法  2 非営利組織の社会貢献  3 非営利組織の業績評価をめぐる諸問題の会計学的考察  4 非営利組織の税務に関する諸問題 白鴎大学  鷹野宏行  公益法人研究学会第7回全国大会は、2003年10月10日(金)〜11日(土)の日程で、成蹊大学において開催された。両日ともに秋らしい好天に恵まれた。第1日目は理事会の開催に当てられた。以下では、第2日目の研究報告大会の模様を中心に、学会開催状況を紹介することにする。 自由論題  午前中は3会場に分かれて自由論題が行われた。自由論題報告の報告者と報告テーマは、以下のとおりである。連休初日、かつ午前中の開催にもかかわらず、多数の会員の参加を得て、各会場で熱心な質疑応答が交わされた。 第一会場 司会・永島公朗氏(公認会計士) 1. 江田 寛氏(公認会計士)「収益事業課税における資本取引及び損益取引概念の検討」 2. 早坂 毅氏(税理士)「現物給付と割引販売−わが国の非営利法人会計における取り扱いの現実とその望ましい姿−」 第二会場 司会・松倉達夫氏(ルーテル学院大学) 1. 渡辺孝雄氏(第一福祉大学)「福祉サービスにおける成果主義にもとづく目標管理の導入について」 2. 大森 信氏(城西国際大学)「福祉ビジネスに関する研究−訪問介護ビジネスを展開する企業間比較−」 3. 吉田忠彦氏(近畿大学)「非営利組織のパートナーシップ政策」 第三会場 司会・島田 恒氏(龍谷大学) 1. 東海林邦彦氏(北海道大学)「非営利組織法制改革・試案−総論的部分に限定して」 2. 西村友幸氏(釧路公立大学)「自律協働体系としてのボランタリー組織」 研究部会報告  引き続いて、興津裕康氏(近畿大学)の司会により、研究部会報告が行われた。研究テーマは以下のとおりである。 1. 東日本部会 主査・松葉邦敏氏(国士舘大学)       「わが国の公益法人会計に関する研究」 2. 西日本部会 主査・堀田和弘氏(近畿大学)       「非営利組織におけるマネジメントの多角的検討」 総 会  昼食・休憩の後、会員総会より午後の部のプログラムにはいった。本学会事務局・常任理事の川崎貴嗣氏(公益情報サービス)から、会務報告、会計報告等が行われ、理事会提案は総会においてすべて承認された。続いて、昨年より創設された学会賞及び学術奨励賞の発表が行われた。第2回学会賞は該当者なし、第2回学術奨励賞には江頭幸代氏(広島商船専門学校)「環境コストと撤去コスト」、及び今枝千樹氏(京都大学大学院)「非営利組織の業績評価と会計情報拡張の必要性」を選定したことが審査委員会から報告され、審査委員長の守永誠治氏より賞状と副賞が授与された。 統一論題報告・統一論題シンポジウム  総会終了後、統一論題報告・統一論題シンポジウムが石崎忠司氏(中央大学)の総合司会のもと行われた。報告者と報告要旨は以下のとおりである。 1.小島廣光氏(北海道大学)「非営利組織とNPO法」  小島氏の発表は、わが国において長い間、必要性が認識されながらも立法化されてこなかったNPO法が、阪神・淡路大震災の発生からわずか6年間で「なぜ」そして「どのように」して立法化されたのかについて焦点を当て検討がなされた。小島氏はまず、NPO法の立法過程を分析するための理論的枠組みとして「改訂・政策の窓モデル」を導出する。その後、NPO法の全立法過程を6つの期間に区分し、詳細な年代記分析を試みている。そして、立法過程の実態を17の命題として整理され、その命題は、①如何なる参加者が、NPO法に対する思いをまず自らの信念として認識したのか、②如何なる政策アクティビストが、その信念を具体的に固め、法律案骨子を社会的に創造したのか、③如何なる場で、そのような法律案骨子の創造が行われたのか、④その法律案骨子が、より大きな場で法律案として提示された結果、如何にしてNPO法の立法問題が「政府・国会のアジェンダ」における高い優先順位を獲得したのか、という4つの問に対する答えになっていると主張した。 2.作間逸雄氏(専修大学)「非営利組織の社会貢献」  作間氏の発表は、標準的経済理論を「合理的な愚か者」の理論として批判することにより、「公共性」の観点から非営利組織の社会貢献の可能性を検討することに主眼が置かれた。作間氏に主張では、「合理的な愚か者」の理論とは、ノーベル経済学賞受賞のセン教授により展開された理論で、正統派規範理論は個人が持つ選好を唯一の繊細な道具として、「個人の私的利害の追求」、「個人の厚生の評価」、「個人の選択行動の合理化」という3つの異なるタイプの問題に対処しようとしているとするもので、選好、利害、厚生、選択を必然的に連結する正統派規範理論は、人間行動の動機の多様性をすべて捨象して、人間をたった1つの選好に隷属する「合理的な愚か者」として処遇するものであるとセン教授の批判するところを引き合いに出される。そして作間氏は、セン教授の「機能」と「ケイパビリティー」という概念を援用して、分析を試みられた。 3.今枝千樹氏(京都大学大学院)「非営利組織の業績評価をめぐる諸問題の会計学的考察」  今枝氏の発表は、非営利組織における業績の考え方について整理したうえで、アメリカの非営利組織における業績評価の現状、とりわけ非営利組織に対する第三者評価機関の視点及び役割について、整理検討することに焦点が当てられた。まず、今枝氏は、非営利組織に対しての3E(economy,efficiency,effectiveness)評価の適用可能性について、肯定的な視点で議論を展開される。そして、アメリカにおけるインターミディアリ(intermediary)の存在について紹介し、その評価の視点と役割について、複数の団体の事例を引き合いに出して、その評価基準ついても敷衍する。インターミディアリによる外部評価は、非営利組織自らが行う内部評価に関する情報に信頼性を付与することによって、非営利組織と寄附者を結び付ける役割を果していると結論づけた。 4.畑山 紀氏(札幌学院大学)「非営利組織の税務に関する諸問題」  畑山氏は大会直前に体調を崩され欠席された。急遽、大会準備委員長の成道秀雄氏(成蹊大学)よりレジュメの代読が行われた。内容については上記事情に鑑み省略する。 以上の報告の後に、シンポジウムが開催され、統一論題報告に対する多数の質問が寄せられた。高橋選哉氏(福山大学)、保谷六郎氏(社会経済研究会)、江田 寛氏(公認会計士)、山田康裕氏(滋賀大学)、千葉正展氏(福祉医療機構)、菊池章夫氏(岩手県立大学)、橋本俊也氏(税理士)、藤井秀樹氏(京都大学)、東海林邦彦氏(北海道大学)などから質問が寄せられ、活発な討論が行われた。 懇親会  統一論題報告・統一論題シンポジウム終了後、成蹊大学10号館12階ホールにて懇親会が開催された。大会準備委員長の成道秀雄氏(成蹊大学)からの開会の辞に続き、成蹊大学経済学部長の高木新太郎氏から式辞が述べられた。続いて、新会長に選出された松葉邦敏氏(国士舘大学)による挨拶があり、戸田博之氏(神戸学院大学)の乾杯の発声により懇親会が始められた。懇親会は終始和やかな雰囲気のもと執り行われ、19時00分に散会した。

  • 発行物への投稿 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    学会誌への投稿  『非営利法人研究学会誌』は年に一度、8月上旬の発行となっております。投稿の締切は前年の12月中旬となっておりますので、投稿を希望される方はお早めにお申込み下さい。 学会賞及び学術奨励賞等に関する規程 投稿論文執筆に関する申合せ 原稿執筆要領 ワーキングペーパーへの投稿  本学会では、非営利分野の発展に寄与することを目的として『ワーキングペーパー』を発行しています。投稿は随時受付を行っています。 ワーキングペーパー投稿規程

  • 法人概要 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    公益社団法人 非営利法人研究学会について  非営利法人研究学会は、公益法人研究学会として平成9年6月に設立。その後、民間非営利活動の拡大に合わせ、対象範囲を拡げて、平成17年9月に非営利法人研究学会と改称し、平成28年1月に一般社団法人となりました。その後、平成29年11月には内閣総理大臣より公益認定を受け、公益社団法人として活動を続けています。  現在は、会長・古庄修(青山学院大学)を筆頭に顧問2名、副会長3名、常任理事9名、理事12名、監事2名で構成。今後、さらなる活動の充実を図っていくべく、志を共有する方の参加を広く求めています。 沿  革  平成 9年 6月26日 公益法人研究学会(任意団体)として設立       平成14年 9月13日 学術研究団体(経営学部門)に登録       平成17年 9月10日 非営利法人研究学会と改称       平成28年 1月 7日 一般社団法人に移行       平成29年11月 1日 内閣総理大臣より公益認定を受けて、公益社団法人に移行 回顧筆録  特別座談会◆創立10周年を迎えての「温故知新」 (全国公益法人協会[2007]『月刊公益法人』Vol.38)       回顧筆録:学会の10年を振り返って (非営利法人研究学会誌10号:2008年)       回顧筆録:学会の20年を振り返って (非営利法人研究学会誌19号:2017年) 会  長  古庄 修(青山学院大学大学院教授) 事  業  一 研究発表会、学術講演会、報告会等の開催       二 学会誌その他の資料の刊行       三 研究の奨励及び研究業績の表彰       四 調査、研究、見学及び視察実施       五 研究成果及び研究に基づく意見の公表       六 内外の関連学会等との連携及び交流       七 非営利法人に関する啓発及び広報活動       八 その他前条の目的を達成するために必要な事業 事 務 局   〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3-6-1 栄信ビル9階       TEL:03-6273-7783 FAX:03-6631-4285 名誉会長 堀田和宏 近畿大学 顧  問 齋藤真哉 横浜国立大学       吉田忠彦 近畿大学 会  長 古庄 修 青山学院大学 副 会 長  大原昌明 北星学園大学      尾上選哉 日本大学      伊佐 淳 久留米大学 常任理事 上松公雄 大原大学院大学      金子良太 早稲田大学      亀岡保夫 公認会計士      川島和浩 東北工業大学      桑波田直人 全国公益法人協会      鷹野宏行 武蔵野大学      高山昌茂 公認会計士      藤井 誠 法政大学      吉田初恵 天理大学 理  事 石田晴美 文教大学      國見真理子 武蔵野大学      久保秀雄 京都産業大学      東郷 寛 近畿大学      永島公孝 税理士      橋本俊也 税理士      馬場英朗 関西大学      日野修造 熊本学園大学      兵頭和花子 大阪経済大学      松前江里子 公認会計士      宮内 章 全国公益法人協会      宮本幸平 神戸学院大学 監  事 苅米 裕 税理士      濱本 明 日本大学 <委員会> 学会賞審査委員長 齋藤真哉 学会誌編集委員長 尾上選哉 審査・編集委員  伊佐 淳          上松公雄          大原昌明          金子良太          國見真理子          久保秀雄          古庄 修      組織委員長    大原昌明  同 委 員   亀岡保夫          川島和浩          石田晴美 <地域部会> 東日本部会長   鷹野宏行  同運営委員   川島和浩          藤井 誠  西日本部会長   日野修造  同運営委員   宮本幸平          橋本俊也          東郷 寛  役員名簿 定款 国と特に密接な関係性がある公益法人への該当性

  • 第26回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第26回大会記 2022年10月1日~2日 國學院大學 1. はじめ に  非 営利法人研究学会第26回全国大会が、2022年10月1 日(土)14時30分より、國學院大學渋谷キャ ンパス1号館1階1103教室を会場に行われた。90名以上の参加者を迎え、金子良太 大会準備委員長 (國學院大學教授)から挨拶があった後、研究報告・討論会が行われた。  第26回目を迎える本大会では、新型コロナの異常事態の中だからこそ、非営利組織が運営基盤の確立とミッションの達成を両立しうることを願い、統一論題のテーマを「非営利組織の財政基盤の確立へ向けて―ミッション達成と両立する取り組み―」と設定し、それぞれ報告と討論会を行うこととした。また、大会中は3名の統一論題報告、5名の自由論題報告、分野別研究会及び受託研究報告、スタディ・グループ報告が行われた。  昨年の全国大会終了後も新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、対面開催が危ぶまれたが、 本大会は久々の対面開催となった。  非営利組織もまた、その使命を全うするために日々努力されているが、コロナ禍において資金があっても十分な活動ができないケース、また社会的課題に立ち向かう必要性が認識されながらも資源が不足するなどの制約でミッションを達成する活動が大きな制約を受けるケースもある。非営利組織が運営基盤の確立とミッションの達成を両立しうることを願って、統一論題を「非営利組織の財政基盤の確立へ向けて―ミッション達成と両立する取り組み―」とした。 2. 統一論題 (1) 石津寿惠氏(司会・明治大学)   統一論題のテーマに基づき、以下の3報告に共通するミッション達成と両立するための取り組みとして、非営利組織の財政基盤の特徴、ミッションと事業そして評価を巡る状況整理と問題提起がなされた。これに続き、各パネリストから以下の研究報告がなされた。 (2) 馬場英朗氏(関西大学) テーマ「成果の可視化と非営利のミッション―PFS・SIB・休眠預金等活用・社会的投資などの視点から」  成果の可視化の観点からミッションの達成の評価方法の課題について、日本のPFS事業例の紹介 やアメリカやイギリスと日本の非営利組織の事業評価方法の比較検討やSIB、休眠預金口座の活用とその評価等に関するご報告があった。 (3) 金子良太氏(國學院大學) テーマ「非営利組織におけるクラウドファンディングやファンドレイジング費用の会計的課題―」  非営利組織の経営上重要な寄付手段としてのクラウドファンディング(CF)に関する課題として、 寄付型CFの会計処理の特徴、そして会計的に事業性をどう捉えるのかという論点整理、そして海外の非営利組織への現地調査結果を踏まえた報告があった。 (4) 千葉正展氏(独立行政法人福祉医療機構) テーマ「非営利組織における経営基盤の強化と法人間の連携―社会福祉法人のミッションと社会福祉連携推進法人の動向等に着目して」  社会福祉法人のミッションを巡り、戦後に政府主導で認可された社会福祉法人制度創設前後の状況、そして最近の社会福祉連携推進法人創設といった社会福祉法人制度の歴史的展開を踏まえたご報告がなされた。 3.   シンポジウム(分野別研究会 ワークショップ)   尾上選哉 氏(日本大学)のファシリテーションの下、座長の藤井 誠 氏(日本大学)の方から「公益・一般法人における税務問題の実務視点からの研究」に関するご報告があった。これを受けて江田 寛 氏(公認会計士)からオンラインでコメントが寄せられた。 4. 記念講演  非営利用語辞典編集代表の堀田和宏 氏(非営利法人研究学会前会長)から、本辞典を取りまとめるにあたり多くの執筆者の協力で本企画が実現できたことに対する感謝の言葉がビデオメッセージ で寄せられた。 5. 分野別報告(中間報告)   森美智代 氏(熊本県立大学)の司会の下、3つの研究会から研究活動報告がなされた。 (1) 「NPO法人研究会」(座長 初谷 勇氏(大阪商業大学)  NPO法人の研究意義から再検討を行い、本研究会の方向性についてメンバー間で議論・再確認しあった結果、核となる議題としてNPO法人と非営利組織との存在意義の連動性、寄附税制との関係、外部環境変化への対応、市民自治や地域自治に整理した点や4回の活動内容についてのご報告があった。 (2) 「医療福祉系法人研究会」(座長 鷹野宏行氏(武蔵野大学)  最近の研究会開催状況やZOOM会議映像公開に関するご説明等がなされた。 (3) 「大学等学校法人研究会」(座長 柴 健次氏(関西大学)  従前のテーマであった「大学のガバナンスとアカウンタビリティ」を引き継ぎつつ、更に「経営体としての大学に求められること」を主題に掲げ、6つの研究報告を収録した中間報告書の議論を中心としたご報告がなされた。 6. 受託研究報告 「非営利法人の会計に関わる試験に関する研究」(最終報告)  大原昌明 氏(北星学園大学)の司会の下、座長の故成川正晃 氏に代わり座長代行の齋藤真哉 氏(横 浜国立大学)を中心に研究メンバー(生島和樹 氏・石田万由里 氏・黒木 淳 氏。石田晴美 氏は当日欠席)の方から、非営利法人の会計試験を巡る状況として、公益法人検定試験の意義と課題、社会福祉法人会計簿記検定試験の現状と課題、そして試験を利用する法人や合格者へのアンケート調査結果に関する研究成果についてのご報告がなされた。 7. スタディ・グループ報告 「非営利組織の持続可能性と連携:ソーシャル・サービスの連携推進の発展可能性をめぐる多角的検討」  大原昌明 氏(北星学園大学)の司会の下、國見真理子 氏(田園調布学園大学)を座長とするスタ ディ・グループから、法律・会計・経営・海外制度比較・社会保障等の多角的側面からの分析を通じて、非営利組織のソーシャル・サービスの連携推進の発展可能性を明らかにするご報告がなされた。 8. 自由論題報告 (1) 自由論題報告①   柴 健次 氏(関西大学)の司会の下、第1報告・第2報告がなされた。 第1報告 「NPOにおける「社会投資収益率(SROI)」評価の問題点考察―費用便益分析との比較において―」 宮本幸平 氏(神戸学院大学)  社会投資収益率(SROI)の評価におけるインパクトの評価について、費用便益分析における評価と対比しながら、問題点の指摘や代替案の導出に関するご報告がなされた。 第2報告 「人口減少社会における私立大学の維持と役割について」 林 兵磨 氏(京都西山短期大学)  人口減少社会における私立大学、とりわけ中小規模大学の維持と役割について国の私学助成金制度のあり方等の観点からご報告がなされた。 (2) 自由論題報告②  初谷 勇 氏(大阪商業大学)の司会の下、第3報告・第4報告がなされた。 第3報告 「マルチステークホルダー・プロセスにおける境界連結単位の役割」 伊藤 葵 氏(富山国際大学)  地域課題課題にむけた活動プロセスがどのようにマネジメントされていくのか、またマネジメントの主体はどのような特性や機能を有する必要があるかについてのご報告がなされた。 第4報告 「企業家の社会事業と公益観―石橋正二郎を中心に」 川野祐二 氏(下関市立大学)  石橋正二郎の自伝『水明荘夜話』とその実質的な執筆者である佐野朝男について、石橋正二郎の公益観と社会貢献意欲に関する思想を明らかにするご報告がなされた。 (3) 自由論題報告③  吉田初恵 氏(関西福祉科学大学)の司会の下、第5報告がなされた。 第5報告 「地方私立大学における地域貢献の意義と運営体制に関する考察」 渡辺 亨 氏(日本経済大学)  私立大学の地域貢献とその課題について、実際の事例を通じて、取り組みの阻害要因と課題の解決に向けた協働体制の構築方法に関するご報告がなされた。 9. 統一論題討論   事前に寄せられた質問に対して各パネリストからのコメントと当日フロアから寄せられた質問に 対する応答等を通じて、活発な討論が行われた。  大会は、10月2日(日)17時30分に終了した。大会準備委員長として、スムーズな運営にご協力 いただいた事務局、参加者の皆様、運営のお手伝いをいただいた学生に心から感謝申し上げます。 2023年1月4日 非営利法人研究学会第26回全国大会準備委員会 準備委員長 金子 良太(國學院大學) 委員 國見真理子(田園調布学園大学) 中田 有祐(國學院大學)  

  • 学会賞・学術奨励賞(第1~第10回) | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    学会賞・学術奨励賞・学術奨励賞特賞の審査結果 (第1回~第10回) 第10回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成23年9月14日 非営利法人研究学会 審査委員長:石崎忠司  非営利法人研究学会学会賞審査委員会は、第10回学会賞、学術奨励賞、学術奨励賞特賞の候補作を慎重に選考審議した結果、今次は下記の論文を学術奨励賞に値するものと認め、選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞  該当作なし 2. 学術奨励賞  佐久間義浩「非営利組織における内部統制の現状―自治体病院におけるアンケート調査による分析―」 【受賞理由】  本論文は,全国の自治体病院を対象にアンケート調査を実施し,内部統制の構築・運用の実態を明らかにするとともに,調査データの統計分析を通じて自治体病院における内部統制の導入要因の検証を試みたものである。本論文における調査・分析の結果,回答した病院の6割弱がすでに内部統制を導入していること,そして内部統制の導入要因としては病院の規模が相対的に強く作用していることが,明らかにされている。  今日,患者のニーズに対応したきめ細かい医療サービスの提供が今まで以上に強く求められる一方で,自治体病院をはじめとした医療機関の財政問題が深刻化している。しかし,これまで医療機関の管理運営においては「経営」や「ガバナンス」といった視点からのアプローチがなされることは極めて稀であり,そうした事情が,医療機関における情報開示制度の未成熟性と相俟って,社会科学分野での研究の進展を阻む要因となってきた。本論文は,こうした制約を持つ未開拓分野の研究に真正面から取り組んだものであり,学界に大きな一石を投じる好著に仕上がっている。本論文は,医療機関の経営分析を手掛ける後続の研究が必ず踏まえなくてはならない先行研究になるであろう。これが本論文の第1の功績である。  また,本論文では,実態の解明に際して周到な実証研究の手続きがとられており,研究の貢献と課題が明確に提示されている。こうした本格的な実証研究論文が本学会誌に掲載されたのは本論文が最初であり,その意味で本論文は,非営利組織研究の新しい分野を切り拓いたものと位置づけることができる。本学会のとりわけ若手会員の今後の研究を活性化する貴重な先行事例となるであろう。これが本論文の第2の功績である。  本論文では,医療機関が抱える固有の経営問題への言及がなく,また実証分析を通じて得られた知見も常識の域を出ないなどの問題点もあるが,それらは,著者の今後の研究課題を示すものであって,本論文の学術的価値をいささかも損なうものではない。以上の理由から,本論文は,学術奨励賞授賞に相応しい著作であると,審査委員会は全会一致で認めた。 3. 学術奨励賞特賞   該当作なし 第9回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成22年9月25日 非営利法人研究学会 審査委員長:石崎忠司  非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第9回学会賞(平成21年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(平成21年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(平成21年度全国大会における報告 に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。 1. 学会賞  該当作なし 2. 学術奨励賞  該当作なし  3. 学術奨励賞特賞   江田 寛(公認会計士)「NPO会計基準を民間で作成することの意義」(平成21年度非営利法人研究学会全国大会統一論題報告、於・名古屋大学,『非営利法人研究学会誌』Vol.12所収) 【論文の概要と授賞理由】  1998年に特定非営利活動促進法(NPO法)が施行されて,10年余が経過した。その間,NPO法人は質量の両面にわたって飛躍的な発展を遂げ,今やわが国の経済社会にとって無くてはならない存在となった。ところがその会計制度については,NPO法に若干の関連規定があるのみで,計算書類作成のための包括的な基準は現在に至るまで存在しない。  こうした不正常な状態を改めるとともに,NPO法人の今後のさらなる発展の制度的基盤を整備するべく,NPO法人の支援団体等が中心となって2009年3月にNPO法人会計基準の策定作業を開始した。著者は,その策定主体であるNPO法人会計基準策定委員会の委員長を務めた。本稿は,そうした立場にあった著者の視点から,NPO法人会計基準策定作業の経緯と意義を取りまとめたものである。  本稿の主たる貢献は,以下の2点にある。第1は,「NPO会計基準を民間で作成することの意義」を,当事者の観点から明らかにしていることである。他の非営利法人会計基準の事例が示すように,行政主導の基準設定は,行政目的を優先した作業となりがちである。その弊害として,基準が法人の活動実態から乖離したものになる傾向があり,またそのことから,資源提供者や国民に対する説明責任(アカウンタビリティ)の視点が弱くなるという問題も,派生することになる。著者によれば,これらの弊害を回避しながらその会計制度を整備拡充することが,NPO法人の今後の発展にとっては避けて通れない課題の1つとなるのである。  第2は,NPO-GAAPの形成に向けた独自の洞察を行うとともに,その具体的な実践経験を報告していることである。民間主導で基準設定を行った場合,上掲のような弊害を回避することが可能となる一方で,基準の法制度的な強制力はまったく期待できないという難問が新たに生じることになる。そのような状況下で,新しく策定する基準がNPO-GAAP(一般に認められたNPO会計原則)となるためには,当該基準は,「少なくともNPO法人の過半数が自主的に採用してくれるものでなければならない」(江田論文12頁)。その可能性を担保するのは,「この会計基準が,市民参加型のオープンなプロセスで作られたという事実」(同20頁)であると,著者はいう。  策定委員会の「論点報告」に収録された9項目の論点の第1番目に「小規模法人に対する配慮」が掲げられていることは,一見すると奇異に映るかもしれないが,こうした論点整理が,上掲のような趣旨にもとづいて組織された「市民参加型のオープンなプロセス」における関係者の激論をふまえたものであることを理解すれば,そこには極めて重要な意味合いが込められていることが看取されるのである。すなわち,このような「配慮」が,民間の力でNPO-GAAPを形成するうえで,欠かせない課題だったのである。そしてまた,このような「配慮」のもとで初めて,複式簿記の採用を前提とした画期的なNPO法人会計基準を策定することが可能となったのである。  策定委員会が策定した会計基準(2010年7月公表)は,わが国のNPO法人制度史上初めて成立した包括的なNPO法人会計基準となる。策定委員会は,その作業を民間の力で完遂したのである。本論文の学術的意義は上述の通りであるが,それに加えて,策定委員会のそうした基準設定活動を指導した著者の実務者としての功績は,独自の社会的貢献を示すものであり,特段の評価に値する。それは,わが国のNPO法人制度史に残る偉業といってよいであろう。  以上の理由から,本論文は,非営利法人の制度又は実務に携わる実務者を対象にその業績を顕彰することを趣旨として本年度から創設された学術奨励賞特賞授賞に相応しい著作であると,審査委員会は全会一致で認めた。 第8回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成21年9月26日 非営利法人研究学会 審査委員長:大矢知浩司  非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第8回学会賞(平成20年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成20年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果、今次は残念ながら学術奨励賞に該当する論文はなく、下記の論文を学会賞に値するものと認め選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞 伊藤研一(摂南大学)・道明義弘(奈良大学〔名誉教授〕)「大統領府創設の“ねらい”ー行政組織の効率測定と予算配分:サイモンとバーナードー」(平成20年度非営利法人研究学会全国大会報告、於・日本大学、『非営利法人研究学会誌』VOL.11所収) 【受賞論文の特徴と受賞理由】  本稿は、先に第10回全国大会統一論題で報告され、その報告をベースに纏められた論考「アメリカ行政府の構造改革ー組織論はF. D. ローズベルトを助けたか?ー」(『非営利法人研究学会誌』VOL.9所収)で論じられた1939年のローズベルト米大統領による行政府の構造改革についての概括的な説明をさらに押し進め、行政府の効率測定と予算配分問題を、詳細かつ出来るだけ具体的に明らかにしようとするものである。この課題は、伊藤の初期サイモン研究において、サイモンの研究課題が社会的な背景の下において実行されており、1930年代の社会的経済的な状況の解明が必須であることを明らかにしてきているが、サイモンにおける理論形成の背景を社会的な全体状況の下で解明し、サイモン理論の創造・形成の過程を、社会的な行動との関係の下で明らかにしようとする試みは、この伊藤の試みを除けば、ほとんどなされたことがないと思われる。このような試みを通じて、理論が時代の子であることを伊藤は具体的に明らかにするとともに、時代の変遷において、理論がどのように位置づけられるかを解明できるという。この初期サイモンを研究する過程の一環として、先の論稿と本稿がある。  効率測定については、ローズベルト大統領の構造改革以前には、1916年に連邦政府は、後に予算局に吸収されることになる効率局を設置して、行政府の効率測定を実行しようとしている。本稿では、効率局による年次の報告書を手掛かりに、効率局の行動を要約し、その行動が予算局にどのように結びつき、予算局においては、どのような行動が期待されていたのかを明らかにしようとしている。1933年に予算局に吸収された効率局については、わが国ではこれまで注目されることがなく、したがって、その行動が紹介されることはなかったが、現在、わが国の行政において重要な課題とされている行政の縦割り問題を解決し、行政における効率を高めるためには、改めてこの効率局の行動を見直す必要があろうと論者は言う。  効率局においては、人事における効率評定システムの作成と評価の実行、各省の業務遂行についての調査と効率化、業務の重複についての調査、統計資料の作成と管理という職務を実行していたが、効率局を予算局に吸収した理由の1つは、予算配分にこの効率局において蓄積したノウハウを利用しようとすることにある。効率局の行動を予算局との関係の下において明らかにしたのは、本稿が最初であろう。  大恐慌を経て、アメリカの時代的な要請であった効率問題の解決は、また、このような時代背景の下において生み出されてきているサイモン理論に大きな影響を与えており、サイモン理論の理論的な基礎は一貫して「効率」にあると、伊藤・道明は喝破している。時代と切り結ぶことによって、サイモンは、時代の中から、その要請に応えるべく彼の理論を構成していることが明らかになっている。連邦政府における構造改革は、効率問題を通じて、サイモンの理論と結びついている。サイモンにとって、連邦政府の構造改革に辣腕を振るったブラウンロー委員会の構成メンバーであるメリアムはシカゴ大学の恩師であり、また、ギューリックとは効率研究を通じて、リドレーを介して知悉の関係にある。後日、サイモンは、ギューリックに対して、構造改革の理論的基礎が伝統理論であるとして激しい論難を浴びせたが、この論難がサイモンの効率測定研究の成果に基づくことを、伊藤・道明は明らかにしようとするものであった。  本稿においては、ブラウンロー委員会の提案のうち予算局に関する部分を取り上げ、1939年の構造改革における変革をGovernment Manualの組織図を示すことによって詳細に跡づけるとともに、担当官の氏名を明らかにすることで、その中にサイモンの知己が任命されていることを見出している。予算局が大統領府に移管されるとともに、その権限は大きく変化し、予算配分と情報管理という枢要な職能を果たすようになる。そこにサイモンは知人を有していたし、また、他の政府機関にも知己を持っている。このように、当時のサイモンは、政府の中心的な機関に属する人物との関係を有しており、彼の理論形成には、当時の時代的な全体状況が色濃く反映しているという。  ブラウンロー委員会の提案において示されている予算局の大統領府への移管と、その職能の拡大は、そのまま1939年の構造改革において実行されていることが明らかにされている。ブラウンロー委員会における予算局に関する提案と、ローズベルト大統領の議会への提案Reorganization Plan No.1 of 1939 とは、軌を一にするものであり、大統領は、委員会の提案どおりに予算局を大統領府へ移管し、予算局の職能を拡大するという提案を行っていることが分かる。経営管理の腕として、大統領は予算局の行動には極めて重要な役割を期待した。これは、ギューリックの考え方を具体化したものであり、伝統的な経営理論の成果の1つとみなすことができる。そこでの理論的なバックボーンは、管理原則論であり、管理過程論であった。  このギューリックの理論に対して、激しい論難を浴びせたサイモンの考え方の基礎には、彼自身の効率研究成果が横たわっている。本稿においては、その論難へ至る研究成果、効率測定問題の研究過程を詳細に追跡しており、リドレーとの共同研究において、リドレーの有効性を重視しつつも、サイモンは独自に効率重視の考え方を提示し、共同研究をリードしたことを明らかにしている。サイモンは、効率測定を操作可能なものとして提示することが必要と考えており、そのフレームワークを案出しようとしている。このようにして生み出された効率の考え方が、生涯を通じて、サイモンの研究成果における通奏低音となっているというのが、伊藤・道明の見解である。  ローズベルト大統領は、大恐慌を克服し、民主主義を守り抜くために必要な要件として、効率を掲げているが、この考え方は、ギューリックにもサイモンにも共通したものであった。しかし、ギューリックには、操作可能な形での効率概念のフレームワークが欠けていたのに対して、サイモンにおいては、不完全ではあるが、操作可能な形で、そのフレームワークを提示できたという自負が見られるとともに、時代の要請に応えるという充足感が溢れている。同時代のバーナードも、時代とともに歩み、有効性と効率性を組み合わせた評価フレームワークを提示している。  本稿では、ローズベルト大統領がニュー・ディール政策を実行し、効率を求めて、連邦行政府の構造改革を断行する時代にあって、サイモンの初期研究においても、効率問題が主要な関心事であり、時代と切り結びつつ、サイモンは自分の考え方をまとめていっていることを、構造改革に関する文献とサイモン・リドレーが著している文献とに基づきつつ詳細に明らかにしている。時代の動きを描きつつ、それにシンクロする形で、サイモンという研究者の自らの理論形成の過程を明らかにしており、両者に共通するキーワードとして、効率という概念を見出しているところに、本稿の特徴が見られる。  以上から、問題指摘の独創性、文献渉猟、論述展開の緻密さ、効率性と予算との関係を明確にした現代的意義づけ等、極めて優れた大作であり、審査委員会は一致して、学会賞にふさわしい論文に選定した。 2. 学術奨励賞 該当者なし 第7回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成20 年9月4日 非営利法人研究学会 審査委員長:大矢知浩司  非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第7回学会賞(平成19年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成19年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に審議した結果、学会賞に該当する論文又は著作物はなく、学術奨励賞に下記の著作を選定しましたので、ここにご報告いたします。 1. 学会賞 該当者なし 2. 学術奨励賞 池田享誉(青森公立大学)『非営利組織会計概念形成論』(A5判、185頁、森山書店、2007年7月) 【受賞作の特徴と受賞理由】  本書は、わが国会計学界に多大なインパクトを与えたアメリカの「FASB概念フレームワーク」(以下「SFAC」という。)のうち、特に非営利会計の概念フレームワークに焦点を当て、・「FASBの非営利会計概念フレームワークの成立過程を方法論かつ歴史的に吟味し、FASBの非営利会計諸概念の成立過程を検討すること」及び・営利会計と非営利会計の「統合的概念フレームワーク」の適否を評価し、検討することの2点にその目的があるとしている。この研究テーマを解明するに当たって、論者はSFACの方法論的基礎である「意思決定有用性アプローチ」と「資産・負債視角」を前提として、内在的批判を試みているのが特徴である。  第1のテーマでは、ASOBATをはじめ、AAA第一次フリーマン委員会報告書(第2章)、第二次・第三次フリーマン委員会報告書(第3章)及びアンソニー報告書(第4章)の内容を詳細に分析し、各報告書間における矛盾を摘出するとともに継承された部分を明確化し、非営利会計概念フレームワーク(第5章)を導き出している。  第2のテーマに関しては、SFAC第4号はアンソニー報告書の提起した「財務資源源泉アプローチ」を継承し、Bタイプ非営利組織のみをノンビジネス組織とし、営利企業と独立採算型組織(Aタイプ)とを共通の適用対象とした結果、「統合的概念フレームワーク」が生まれる一因となったと指摘している。しかし、これはSFAC第4号と第6号との間に矛盾が生ずる一因ともなっている。  SFAC第4号・第6号を内在的に批判し、分析検討した結果、論者は次のような問題点があると結論づけている。すなわち、 ・ 営利・非営利統合的概念フレームワークを採用した結果、非営利会計に固有の諸要素を主要情報として要求していないので、非営利会計の概念フレームワークとして不十分である。 ・ SFAC第6号は、㈰非営利組織に固有の財務諸表構成要素を1つも追加しなかったため、非営利組織の業績情報を提供するものとなっていない、㈪資産を将来のキャッシュ・フローと結びつく「将来の経済的便益」と定義しているが、非営利組織の資産は必ずしも将来のキャッシュ・フローをもたらすものではない、㈫収益を営利・非営利に共通の財務諸表構成要素としたが、非営利組織の収益はサービスの提供の成果ではなく、純資産の源泉情報を表すものである、㈬非営利会計に固有の部分として新たに追加されたのは拘束情報のみに過ぎない。 ・ SFAC第4号では、「効率性と有効性」に対する情報ニーズを認識しながら、「サービス提供成果」情報の提供は軽視されている。  わが国ではこれまでSFACに関する論文が多数見受けられたが、本書ほど精緻にかつ批判的に分析された論文は少ない。 以上から、分析視点、問題意識の明確性、内在的批判による矛盾点の摘出、論理展開の精緻化等を総合的に評価し、学術奨励賞にふさわしい論考として選定することに審査委員の一致した見解を得た。 第6回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成19年9月8日 非営利法人研究学会 審査委員長:大矢知浩司    非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第6回学会賞(平成18年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成18年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。 1. 学会賞  該当作なし 2. 学術奨励賞  該当作なし  第5回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成18年9月1日 非営利法人研究学会 審査委員長:松葉邦敏  非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第5回学会賞(平成17年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成17年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文)の候補作を慎重に審議した結果、今次は学術奨励賞に該当する論文はなく、下記の論文を学会賞に値するものとして認め選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞 藤井秀樹(京都大学大学院教授)「非営利組織の制度進化と新しい役割」(平成17年度非営利法人研究学会第9回全国大会統一論題報告、於・神奈川大学、『非営利法人研究学会誌』VOL.8所収) 【受賞論文の論旨と特徴】  今回の行政改革の一環としての公益法人制度改革は、市場原理主導型の制度設計を指向したもので、具体的には、交換関係の概して高くないサービスを市場原理に依拠しつつ提供する非営利組織を育成することがその主眼となっているが、その方向は新しい制度進化と新しい役割を期待できるものとして肯定することができる。その際に、これを肯定する論拠として、比較制度分析の分析・論理の方法を用いることによって、制度変更の経済合理性は、制度的補完性と資源の効率的配分の観点から評価されるとする立場から、今回の公益法人制度改革は、制度的補完性および資源の効率的配分の点で経済合理性に適ったものとなっており、したがって、その限りでそれは、現行制度の現実的かつ合理的な改革スキームであるとする。  ただ、このような制度改革には、改めて1)ドラッカーの主張するような成果重視型マネジメントの視点を非営利法人と公益性の判断主体が共有すること、つまり、顧客満足の追求という点では市場指向的であるが、提供するサービスの交換関係は概して高くないという点では「倫理的」であるメネジメントの姿勢である。非営利法人と公益性の判断主体が、このような成果重視型マネジメントの視点を共有することによって、市場原理と公益性を整合的に融合させる1つの有力な可能性を得ることができると考えられる。2)非営利法人の事業領域で競争的環境を創出・整備すること、つまり非営利法人のモラル・ハザードの可能性を減ずることが、寄付や補助金も含めた資源の効率的配分を実現するうえで欠かせない問題として残るが、この問題の解決を図るためには、価格支配者の排除(市場の不完全性の解消)と、情報の非対称性の解消(市場の不完備性の解消)が必要となる。特に非営利法人においては後者の解消が当面の現実的な課題であり、制度的な施策としては、新公益法人会計基準(2004年)の適用と当該基準に基づくディスクロージャーをすべての非営利法人(ここでは、社団・財団の公益法人)において徹底させること、情報も含めた活動資源をサービス需要者、支援者、寄付者、他の非営利法人やNPO等に仲介する「中間支援組織」の普及・発展を官民一体となって促進することである。 【 受賞の理由】  論者は、特に「公企業会計をはじめ非営利組織会計」研究について、既に確固たる位置を占めるものであるが、あえて経済学的手法—比較制度分析等—を用いて、公益法人制度改革に対して制度変更の経済合理性を問うという問題に直接挑戦したことがともかく賞賛されるべきである。 以上の論旨と理由から、本論文は問題の視角、問題の分析、問題の解決について的確であることはもちろん、経済学的手法を用いて斬新であり、それぞれの間の整合性が認められるので、高く評価することができる。さらに、問題把握の独創性、論述展開の克明性はもとより優れており、理論化過程から生まれた具体的な制度改革への示唆などにおいても、極めて示唆に富む内容を持ち、本学会の学会賞にふさわしい論文として選定することに審査委員の一致した見解を得た。 2. 学術奨励賞 該当論文なし 第4回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成17年9月10日 非営利法人研究学会 審査委員長:松葉邦敏  公益法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第4回学会賞(平成16年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成16年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文)の候補作を慎重に審議した結果、今次は学会賞に該当する論文又は刊行著書はなく、下記の論文を学術奨励賞に値するものと認め選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞 該当作なし 2. 学術奨励賞 吉田初恵(関西福祉科学大学助教授)「介護保険制度改革に向けての論点—介護サービスの特質と介護サービス市場からの一考察—」(平成16年度公益法人研究学会全国大会自由論題報告、於・九州産業大学、『非営利法人研究学会誌』VOL.7所収) 【受賞作の特徴と受賞理由】  論者の一貫した研究対象は「公的介護保険制度」の創設前後から、この制度の基本的かつ実践的な問題点を指摘して、そのあるべき、かつ具体的な改善策を提言することであった。今回の受賞対象となった本論文は、後に付言するように、このための一連のスペキュトラム(spectrum)の1つである。  本論文に限れば、その内容はおよそ次のとおりである。  今日の介護保険制度の見直し論は、介護サービスの利用量が膨張することによる財源の破綻をどのようにするかを中心に議論されている。すなわち、予防給付を盛り込むなどの施策による介護給付額の抑制と、施設サービスに対するホテルコストの徴収などの施策による保険料収入の増加を図る見直しである。しかしながら、この介護保険制度の見直しは、負担を増やし給付を抑制する施策による財政の均衡だけで終るべきではない。したがって、本論文はまず、現在検討中の「改革案」の方向と内容は、年金改革と同じような「負担増の中での給付削減」にすぎない。この「改革案」のままであれば、サービス受給者の福祉ではなくて、行政主導の改悪の方向であるとする。  次に、介護サービスの基本的な特質は、サービスの不確実性とサービスの質の測定不能性にある。したがって、たとえ組織の効率性が劣っているとしても、従来は政府関連機関や非営利組織が市場優位を占めざるを得なかった。このような営利企業が参入しない特殊な市場(契約の失敗)において、「公的介護保険制度」が制度化され、併せて営利企業に相当程度の自由参入を認める「規制緩和政策」が採られたために、営利企業の参入が認められた結果「供給者誘発需要」を惹き起し、このことが給付額増大の元凶である可能性があるとする。そこで、むしろ介護サービスの特性を踏まえて、(主としてサービス受給者に不利となる)特性を克服する「制度の改革」こそを検討すべきであると論じている。  最後に、したがって、介護保険制度の見直しは「負担増の給付削減」の弥縫策に求めるのではなくて、問題の根源にある「供給者誘発需要」の抑制策として監督・規制の強化を検討すべきであると主張する。  以上の諸点から、論者は具体的な総合政策として、次のように提言している。 1.給付については、改革の方向は、(イ)量より質を評価し、質の保全を保証する給付体系を構築すること、(ロ)質の確保を遵守する「事業者」を事前に選別する制度を作ること、(ハ)施設やサービスの選択は利用者の介護サービスに求める質量のレベル、所得格差、家庭の状況等極めて多様であるので、利用者の裁量を多く認めるように規制を緩和することである。 2.負担については、改革の方向は、(イ)世代間の公平性を高めること、(ロ)低所得者や障害者の救済施策を国のレベルで行うことである。  要するに、規制緩和による自由選択制度の原則論を是正して、むしろ規制・指導・監督を強化する部分と利用者の選択に委ねる部分を区別して適用し、経営形態の特徴を生かした公的・準公的機関、非営利組織、営利企業の間の「棲み分け」を積極的に導入する方向と内容に改めることを主張しているのである。  以上から、本論文は問題の視角、問題の分析、問題の解決について的確かつ斬新であり、それぞれの間の整合性が認められるので、高く評価することができる。論者は既に内外の一定の評価を受けているものであるが、さらに向後の研鑽を期待して学術奨励賞を授与するに適当である、とする審査委員会の一致した見解を得た。  最後に付言すべきことは、ここに至るまでの諸論考には見るべきものがあり、特に『非営利法人』誌上で3回にわたり連載された長論文「介護サービスを供給する経営諸形態の共存—営利企業と非営利組織の棲み分けについて—」(No.710〜712、全国公益法人協会)が評価されることである。論者は、保険制度の導入に伴う規制緩和政策が従来の公的・準公的な機関による事業経営から民間事業の参入を奨励するシステムが定着したが、介護サービスという特殊なサービス事業において、果して社会的に有効に機能するのかどうかに焦点を当ててきた。公的・準公的(いわゆる非営利)セクターそして私的セクターの三者が共存できるかどうか、共存するとすれば、それはどのような共存のあり方なのかである。少なくともわが国ではこの種の研究は初めての試みであって、既に高い評価を得ている。このような一連の諸論考を含めて、今回全体として評価を行ったことを附記しておく。何故なら、特に学術奨励賞においては、問題意識が明確であり、その中で研究活動が連続体をなしていることにおいて業績が評価されるものと考えられるからである。 第3回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成16年9月4日 非営利法人研究学会 審査委員長:松葉邦敏  公益法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第3回学会賞(平成15年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成15年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文)の候補作を慎重に審議した結果、残念ながら学術奨励賞に該当する論文はなく、下記の刊行著書を学会賞に選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞 小島廣光(北海道大学)『政策形成とNPO法−問題,政策,そして政治』(A5判、276頁、有斐閣、2003年11月) 【受賞論文の内容と受賞理由】 本書は、その必要性はほとんど一般に理解されていたNPO法が、阪神・淡路大震災を契機として、短時日に「なぜ」しかも「どのようにして」政策形成・立法化されたのかを解明することが著者の直接の動機となり、これを明らかにすることがその目的となったものである。  したがって、その内容は、分析方法としての「改訂・政策の窓モデル」を用いながら(第2章)、NPOの政策形成・立法過程に関わる参加者が輻輳し、それぞれが利害と思惑を異にする中で、どのような過程を踏んで立法化が進捗したか、詳細かつ丹念に事実関係を跡づけ、分析・解明している(第3章から第5章)。さらに、この分析・解明は単に事実を分析・解明しそれを説明するにとどまらず、このNPO法成立過程を評価し、かつ問題点を指摘して将来のあるべき市民立法への提言まで展開している(第6章)。  著者は非営利組織研究の第一線にあるとはいえ、少なくとも経営学の学徒として、異質の政治の世界における政策形成・立法過程の問題に直接挑戦したことはまず賞賛されるべきである。しかも、従来の分析方法(例えば、政策の窓モデル)よりさらに組織的知識創造モデルの視点を取り入れた独自の「改訂・政策の窓モデル」の方法に基づいて立法過程を視ている点が注目される。特に著者が本書において注力した方法である。さらに、方法論において斬新であるばかりでなく、多数の膨大なデータを駆使して政策形成の分析・解明を行い、理論と実証の双方に裏付けられた理論化を試みた点で高く評価される。そのうえで、具体的なNPOの政策形成過程を民法施行(1898年)から阪神・淡路大震災の発生前(1994年)までを1期として、その後のNPO法(優遇税制立法を含む)成立(2001年)までの短期間(6年間)を細かく分けて全6期にわたる詳細な年代記を記述したうえで、独自の方法論によってそれぞれの期間の特質を見事に摘出している。最後に、これは重要な点であるが、本書が立法過程において十分に評価される点と今後の何らかの立法において留意すべき点、さらには市民立法への提言をしていることである。今日すでに、政治と行政、それらと既存の団体と一般市民団体の間に繰り広げられている「公益法人改革」の問題の諸側面を考察し、問題の在処を探る場合に多くの示唆を与えてくれる。  以上から、問題把握の独創性、論述展開の克明性、理論化過程から生まれた具体的な提言などにおいて、極めて優れた著作であり、本学会の学会賞にふさわしい論考として選定することに審査委員の一致した見解を得た。 2. 学術奨励賞 該当論文なし 第2回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成15年10月11日 非営利法人研究学会 審査委員長:守永誠治  公益法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第2回学会賞(平成14年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成14年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者の論文)の候補作を慎重に審議した結果、今回は学会賞に該当する論文または刊行著書はなく、学術奨励賞として次の2つの論文を選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞 該当者なし 2. 学術奨励賞 今枝千樹(京都大学大学院経済学研究科博士後期課程)「非営利組織の業績評価と会計情報拡張の必要性—SEA報告の適用をめぐる議論とその先駆的実施例の検討—」(平成14年度公益法人研究学会全国大会自由論題報告、於・京都大学、『公益法人研究学会誌』VOL.5掲載) 【受賞論文の内容と受賞理由】   非営利組織における業績評価の問題は、社会的関心の極めて高いトピックでありながら、そのリサーチが困難であるとする観点から、わが国ではこれまでに必ずしも十分な成果をみることができなかった。このような研究環境の中で、本論文は、アメリカでの議論と経験から生み出された成果を手掛かりとしながら、この問題に取り組もうとする意気込みがみられる。この点を最初に評価できる。  非営利組織は、その固有の使命の達成を目的として活動し、資源提供者はその使命の遂行に対する関心に基づいて非営利組織に資源を提供している。したがって、非営利組織の業績は基本的には、その使命をどのように達成したかというその達成度によって評価する必要がある。ところが、非営利組織の設立・運営に関する経験が最も豊富に蓄積されたアメリカにおいてさえ、現行の会計基準では、財務的業績情報の提供を要求するにとどまっている点に留意する必要がある。本論文は、幅広い関連文献の詳細な検討を通じて以上の問題点を明らかにすると同時に、非営利組織会計の制度的整備を図るためには、非営利組織における使命の達成度の評価に役立つ情報を含める方向で会計情報を拡張する必要があることを主張するに至っている。  政府機関は、その活動環境において交換関係(exchange relationship)を欠き、単一の利益指標で業績が測定できないなど、非営利組織と極めて類似した特徴を持つ。アメリカにおいては、そうした特徴を持つ政府機関の業績評価に役立つ情報を提供する手段としてSEA報告を導入することが政府会計基準審議会(GASB)によって提唱されている。本論文では、SEA報告の特徴を、GASB概念書を手掛かりとしながら明らかにしたうえで、非営利組織における会計情報拡張の具体策としてSEA報告の非営利組織への適用を提案し、当該提案の必要性と可能性を、アメリカの非営利組織におけるSEA報告の先駆的実施例の紹介と検討を交えつつ、論証を試みている。  本論文は、非営利組織における業績評価という取扱い難い問題を、関連文献と一次資料の丹念な分析・検討に基づいて論じたものであり、その論理構成と論旨は極めて明快である。本論文が、非営利組織研究における業績評価の問題点の集約と、今後の方向に道を備える貢献は、大であると言える。今後の成果を期待するに十分なものである。ただ、現段階では、アメリカにおける議論と経験に関する検討に、やや難無しとは言えない側面も散見されるが、さりとて本論文の学術的価値を損なうほどのものでもない。むしろ、本論文は、非営利組織の業績評価に対する問題の着眼点とそれに対するアプローチから判断して、学術奨励賞に値するに十分なものであるとの審査委員の一致した見解を得た。  以上の点から、本論文を学術奨励賞に選定した。 3. 学術奨励賞 江頭幸代(広島商船高等専門学校)「環境コストと撤去コスト—ダムのライフサイクル・コスティングを中心として—」(平成14年度公益法人研究学会全国大会自由論題報告、於・京都大学、『公益法人研究学会誌』VOL.5掲載) 【受賞論文の内容と受賞理由】   ライフサイクル・コスティングは、アメリカ国防総省による軍需品の購入コスト・運用コスト全体の最少化要請に対応するところから生まれた原価管理手法であり、近年では日本の防衛庁や国土交通省でも導入されている。トップレベルの営利組織では、開発・設計、調達・生産・物流、リサイクル・撤退といった製品ライフサイクルの中で、製品ライフサイクル・コストの把握と計算が実施されている。文献データベースを検索すれば、膨大な文献がみられるところである。しかし、寡聞ではあるが工学関係の文献も含めて、明確な定義に基づき一定の体系のもとにライフサイクル・コスティングを展開している研究は、比較的少ないようである。また、ライフサイクル・コストに含めるべきコストの範囲も明確ではない。  本論文の第1の特徴は、ライフサイクル・コスティングを製品一生涯のコストの見積計算であり、管理手法であると定義し、2つの製品ないしは事業のライフサイクルを明確に区分して展開していることである。すなわちとしては、ユーザーにおける製品(ないしは事業)の開発から生産ないしは販売、その後製品を市場から撤退させてサービスを終了する時点までのライフサイクルであり、としては、製品の販売からユーザーの手に移り、ユーザーが製品を廃棄するに至るライフサイクルである。この2つのライフサイクルを明確に区分することにより、使用コスト・維持コスト・撤退ないしは破棄コスト・環境コスト等の位置づけが異なってくる。ライフサイクルを2つに区分することは、本論文のすぐれた着想として評価できる。  本論文の第2の特徴は、のライフサイクルを前提にライフサイクル・コストの範囲、特に撤去コスト・環境コストを明確にしていることである。本論文の取り上げるダムの事例は、日本一の氾濫川を制御する国土交通省直轄鶴田ダムと日本初の撤去が決った熊本県営荒瀬ダム(50年の水利権期限切れ)である。鶴田ダムの事例から後背地完全緑化、湖水循環、ダム周辺観光地化、河口海水溯上による取水口付替等広範囲なコストを示している。また熊本県営荒瀬ダムからは、泥土撤去、コンクリート処理地、ダム撤去による環境変化対応コスト等を示している。 ライフサイクル・コスティングの本来の目的からしても、環境コスト・撤去または撤退コストを企画設計段階で考慮してコスト計算に組み込むべきであり、取り上げた事例は的確であると言えよう。従来のライフサイクル・コスティングに関する文献では、ライフサイクル・コスティングの概略ないしはそれによる管理方法の説明に終始し、データ作成のプロセスないしは具体的なコストの例示が少ない。できる限り事例を収集・検討して、そのコストの範囲を明確にし、その発生確率の研究に歩を進めなければならない段階にきている。ただ、本論文の範囲外ではあるが、企画設計段階でダムのコスト・ベネフィットを考慮するとして、その現在価値を計算するとき、50年ないしは100年といったタイムスパンでは、物価変動率と過去の平均利子率を利用できないのではないかと審査委員は判断した。著者の今後の研究に期待したい。  いずれにしても、2つのライフサイクルを区別してライフサイクル・コストの範囲を環境コスト・撤去ないしは撤退コストにまで拡大したライフサイクル・コスティングを展開する本論文は、研究の体系化、問題の着眼点、現代的意義(たとえば海外事業、撤退をあまり考慮しない体質を持つ非営利組織への適用)からみて学術奨励賞に十分値するとの審査委員の一致した見解を得た。  以上の点から本論文を学術奨励賞に選定した。 第1回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成14年7月27日 非営利法人研究学会 審査委員長:守永誠治  公益法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、学会賞(平成13年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成13年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者の論文)の候補作品を慎重に審議した結果、つぎの2点の論文を受賞論文として選定しましたので、ここに報告いたします。なお、著書については学会賞に該当するものはありませんでした。 1. 学会賞 堀田和宏(近畿大学)「非営利事業の社会的機能と責任」(平成13年度公益法人研究学会全国大会統一論題報告、於・中央大学、『公益法人研究学会誌』VOL.4掲載) 【受賞論文の内容と受賞理由】   もともと、非営利事業の責任は、それぞれのもつミッションを持続的に遂行するということにあり、このミッションに信頼を寄せて集まる寄付者、政府・地方自治体、購入者、利用者、ボランティアなどの利害関係者の信頼と期待に応えることである。そのために、非営利事業に求められている社会経済的機能とその責任を明らかにし、その結果、どこに解決すべき問題があるかを明らかにしようとする。本論文の出発点がここにある。  非営利事業の社会経済的機能とその責任について、つぎの4つのカテゴリーが示されている。つまり、非営利組織特有の寄付行為者とミッションに対する受託責任、サービス測定・評価に弱いクライアントの信頼に応える責任、準公共財のサービス供給に対するいわゆる社会公共的責任、組織自体の継続性確保のための組織維持責任がこれである。これが、期待と信頼になるのであるが、このような期待と信頼に反して、意外とも思われるマイナスの機能、つまりモラルハザードをもつ可能性が出てくることを指摘している。非営利事業なるがゆえに生ずるモラルハザードを分析し、信頼性のゆえに、この種のモラルハザードを防ぐ手だて—公共の規制、利害関係者の統治力や競争促進制度—が十分に整備されていないため、この中で自己生産的な経営が制度化されていると指摘する。  このような問題を克服するために、まず第1に、外部からの「統治力」を補強することが急務であり、第2にこの「統治力」を保証するための経営者側の「アカウンタビリティ」を拡大・深化させるべきであると考えている。第1の点は、本論文の強調するNPOガバナンスのあり方を再構築する方向である。また、第2の点は、「今日のアカウンタビリティは、多様な利害関係者がそれぞれなりの経営への統治力を確保できるように、経営の透明性と公正性を証明する責任」としてこれを展開、つまり拡大・深化する必要があることを力説する。  本論文は、非営利事業に求められる社会経済的機能とその責任を明らかにし、非営利事業なるがゆえに生ずるモラルハザードを取り上げ、これを克服するためにNPOガバナンスの再構築とそれを可能にするアカウンタビリティを拡大・深化させる必要性を明らかにしようとしている点に特徴がみられ、問題の着眼点、分析方法と検討内容、提言など論文の展開を通じて卓越した非営利事業研究に対する姿勢を窺うことができる。このような研究は、受賞者の長年にわたる研究生活の中から生み出されたものであって、一朝一夕にして成し遂げられるものでないことは何人も認めるところである。同時に、この研究が非営利事業研究の今後の発展に寄与するところ大であるとの審査委員の一致した見解を得た。  以上の点から本論文を学会賞として選定した。 2. 学術奨励賞 梅津亮子(九州産業大学大学院博士後期課程)「看護サービスの活動レベルの原価標準設定」(平成13年度公益法人研究学会全国大会自由論題報告、於・中央大学、『公益法人研究学会誌』VOL.4掲載) 【受賞論文の内容と受賞理由】   本論文は、無形サービス活動の効率性(efficiency)と有効性(effectiveness)の測定・評価という枠組みの中で、これまで独自の研究領域として認識されていない看護サービスを対象とした原価計算モデルの開発を試みたものである。  論者が取り上げる原価計算モデルは、活動レベルの標準と患者レベルの標準から看護サービスを捉えることにあるが、本論文は、原価計算モデルの基礎的な部分を構成する看護サービスの活動レベルでの原価標準設定を中心に論述したものである。  原価計算を一般化できるような測定尺度とするためには、異なる環境のもとでの利用が難しい実際原価ではなく、標準原価が望ましいと考えている。看護サービスの測定・評価体系の中で標準を設けるということは、看護サービスとりわけ看護活動を測定可能なように具現化することを意味する。それ故に、本論文では、看護活動という単位によって原価標準を実証的に測定することを試みている。  そのため膨大な看護サービス関係及び活動基準原価計算関係の文献を渉猟した上で、看護サービス活動を115活動に分類して「看護活動標準調査表」を作成し、国立N病院の協力を求め全6病棟でデータを実際に収集している(本論文では呼吸器病棟の事例を提示している)。調査事項は、病棟ごとの患者1人に対して1つの看護活動を1回行う場合の保険点数、材料品目と費用、活動プロセス、作業時間等である。作業時間については、各活動を準備・説明・実施・後片付けに分けて測定している。この区分はクリティカル・パス分析に資するためという。また、説明を特に独立させているのは、この作業がInformed Consentと患者の満足を高める重要な作業と考えているからである。  本論文では、看護サービスを看護活動という具体的な行動に細分化することによって、その活動の現場における原価を把握し、看護必要度分類別の患者1人当たり原価とを統合することで、看護サービスについての原価標準の計算が可能であることを明らかにし、また、その結果はモデルの妥当性と可能性を示すものとなっている点に、これまでの研究にない貢献が見られるところである。特に、看護サービスに関する原価計算は、これまで十分に論じられることがなく、また、ここで示された方法は、他の無形サービスの分析においても利用可能である点にも注目すべきであろう。「看護サービスの効率性と有効性の測定・評価」という、いわば長編小説の構成部分を短編論文という形にしているため多少の難点も指摘できるであろうが、その研究体系・オリジナリティ・文献渉猟の確かさ・その努力からみて学術奨励賞に十分値するとの審査委員の一致した見解を得た。  以上の点から学術奨励賞に本論文を選定した。

  • 全国大会の歩み | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    大会     開催日          開催場所    統一論題 第29回大会  令和7年10月11・12日  熊本学園大学  地方創生と災害復興:非営利法人がつなぐ復興と発展の未来 第28回大会  令和6年10月5・6日  明治大学    公益法人改革の方向性―非営利組織や社会への影響― 第27回大会  令和5年9月15・16日  大阪商業大学  非営利法人(非営利組織)の振興と支援 第26回大会  令和4年10月1・2日  國學院大學   非営利組織の財政基盤の確立へ向けて―ミッション達成と両立する取り組み― 第25回大会  令和3年9月25・26日  関西大学    非営利法人の理念と制度 第24回大会  令和2年9月26・27日  日本大学    非営利組織のガバナンス問題―現状と課題― 第23回大会  令和元年9月15・16日  久留米大学   公益法人制度改革10周年―公益法人の可能性と課題を探る― 第22回大会  平成30年9月7・8日  武蔵野大学   NPO法施行20年~その回顧と展望~ 第21回大会  平成29年9月5・6日  神戸学院大学  非営利法人の収入と支出に係る会計諸課題 第20回大会  平成28年9月17・18日  成蹊大学    非営利法人研究の回顧と展望 第19回大会  平成27年9月16・17日  神戸大学    非営利組織会計と営利組織会計との相互関係 第18回大会  平成26年9月10・11日  横浜国立大学  公益性の判断基準 第17回大会  平成25年9月21・22日  近畿大学    非営利法人における制度・会計・税制の改革を総括する 第16回大会  平成24年8月25・26日  北星学園大学  地域活性化と非営利活動 第15回大会  平成23年9月14・15日  熊本県立大学  地域の公共サービスと非営利活動 第14回大会  平成22年9月25・26日  早稲田大学   非営利法人制度改革と市民社会ガバナンス 第13回大会  平成21年9月26・27日  名古屋大学   非営利法人の会計基準統一の可能性をさぐる 第12回大会  平成20年9月5・6日  日本大学    非営利組織の業績測定・評価に関する多角的アプローチ 第11回大会  平成19年9月8・9日  近畿大学    非営利組織研究の課題と展望 第10回大会  平成18年9月1・2日  北海道大学   非営利法人制度改革の動向と問題点 第9回大会  平成17年9月9・10日  神奈川大学   非営利組織の今日的課題と展望 第8回大会  平成16年9月3・4日  九州産業大学  非営利組織のガバナンスと活動のディスクロージャー 第7回大会  平成15年10月10・11日  成蹊大学    非営利組織の経営と課題 第6回大会  平成14年7月26・27日  京都大学    非営利組織のアカウンタビリティと業績評価 第5回大会  平成13年10月5・6日  中央大学    公益法人の社会的機能と責任 第4回大会  平成12年10月6・7日  神戸学院大学  あらためて『公益』を問う 第3回大会  平成11年10月1・2日  国士舘大学   公益法人の課題と21世紀への期待 第2回大会  平成10年10月2・3日  近畿大学    公益法人のレーゾン・デートル 第1回大会  平成9年10月3・4日  青山学院大学  公益法人研究の現状と課題  非営利法人研究学会では、毎年全国大会を開催。固有の課題のもと、活発な議論を行い、研究を深めています。 全国大会 大会の歩み

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