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- 2025WP(特別委員会・大学) | 公益社団法人 非営利法人研究学会
非営利法人研究学会 高等教育機関(大学)特別委員会 ワーキングペーパー(2025年3月) 高等教育機関(大学)特別委員会中間間報告におけるRQ の解説
- 第3回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会
国士舘大学 戸田容弘・臼田正利 統一論題 公益法人の課題と21世紀への期待 1 ミッションベイスト・マネジメント 2 独立行政法人の創設について 3 公益活動における継続事業の概念 4 非営利組織の評価の課題 第3回大会記 1999.10.2 国士舘大学 1999年10月2日(土)、午前10時から公益法人研究学会第3回全国大会が国士舘大学・世田谷キャンパスにおいて開催された。80数名の参加者を得、活発な報告と討論が展開され、最後に懇親会を経て閉会した。 本大会の統一論題は「公益法人の課題と21世紀への期待—公益活動におけるミッションを巡る諸問題—」であり、司会・座長=堀田和宏氏(近畿大学)のもとに4題の研究報告並びに討論が行われた。 自由論題報告は2つの会場に分かれて行われた。A会場では、永島公朗氏(日本大学)の司会のもと、若林茂信氏(公認会計士)「公益法人会計にも国際化の洗礼を」、立岡 浩氏(広島国際大学)「NPO及び組織間関係NPOにおけるマネジメント研究」、B会場では、竹内 拓氏(産能短期大学)の司会のもと、高橋選哉氏(青山学院大学)「NPO法人税制の現状と課題」、樽見弘紀氏(北海学園大学) 「共同募金システムの中心課題〜米国ユナイテッド・ウェイの<ドナー・チョイス>をめぐって〜」の計4題の報告が行われた。 記念講演として、本会会長の守永誠治氏(静岡産業大学)に「大航海時代より大公開時代へ」を講演していただいた。大公開時代に備えて今後の公益法人の発展のためには、本公益法人研究学会の研究とその実務への適用が期待される。 統一論題の報告要旨及び討論は以下のとおりである。 なお、以下の報告要旨のまとめについては、国士舘大学の戸田容弘氏及び臼田正利氏によるものである。 1 ミッションベイスト・マネジメント 報告:島田 恒氏(龍谷大学) 公益法人の存在と活動の本質はそのミッションであり、またその組織発展の原理もミッションに根ざすものである。 したがって、公益法人は、自らの卓越した意図をミッションに表現し、それを成果に獲得して「もう一つの社会」に貢献していく。 20世紀「産業社会」を歴史的に掘り下げ、その発展と限界をDruckerやSimonの所説を説明しながら、自由主義産業社会では、産業の発展、経済の発展は人々に物的豊かさをもたらしはしたが、政治は経済発展を優先し、文化価値が経済的交換価値で値踏みされ、教育は偏差値序列で評価され、「あまりにも経済」という病理を社会にもたらした、と指摘する。そこで、非営利組織の存在の座標を、効率性や公平性・画一性原理ではなく、人間性・市民性・社会性の原理に基づかせ、非常利組織の存在の意義を確保している。 本来ミッションとは、人間を変え社会を変えていくキリスト教の根源的使命を表現する言葉であり、島田氏が関係する日本キリスト教海外医療協力会や(財)アジア保健研修財団のミッションの実践を通して、 独自性と多様性のある非営利組織の第3セクターとして存在感を深めている実証を示した。 それには、絶えす、ミッションを見直し、問い直し、金ではなく、人による協力、 草の根の協力に徹することを確認した。それを支えるものがボランティアとスタッフ、ボラン夕リズムの重要性であり、その源泉はミッションに対する共鳴にほかならない、と指摘している。 2 独立行政法人の創設について 報告:岡本義朗氏(中央省庁等改革推進本部) 平成11年4月27日、「中央省庁等改革推進に関する方針」が中央省庁等改革推進本部(全閣僚により構成)で決定された。それに基づき、独立行政法人(独法と略称)制度が設けられ、その基本となる共通法律事項は、独立行政法人通則法に規定され、本年7月8日国会で成立した。この独法制度の特徴は、第一に、国の事務・事業の実施部門を国家行政組織から独立させた。第二に、国の事務・事業の実施部門に対して、民間の企業経営における長所をとりいれた(独法の特性に応じた形での企業会計原則の導入、自己責任に基づく業務運営の目玉としての評価システムの導入)制度設計である。 この独法には、本来的に追求すべき3つの価値(公共性、自主性、透明性)がある。つまり、公共上の見地から確実に実施され、適性・効率的に運営され、運営の自主性は十分に配慮され、その業務内容を公表して組織及び運営の状況を国民に明らかにすることである。そのため、独法の制度には、①業務運営では、自己責任、目標管理、事後評価(客観性の確保)を導入、②人事管理システムでは、業績給与の導入、役員の公募制、解任の仕組み等を導入、③アカウンタビリティとディスクロージャーの仕組みでは、広範かつ徹底したディスクロージャーのもとに、独法の業務内容、業績、評価等に関する広範な事項を国民に公表する、㈬財務会計制度(国からの予算措置、弾力的な執行、企業会計原則の導入等)により、発生主義の考え方や、複式簿記に従った会計処理が行われ、財務諸表として貸借対照表、損益計算書が作成される。また、その適正性、客観性を担保するため、原則として会計監査人の監査を義務づけた。 企業会計原則導入に伴う主要論点として、①アカウンタビリティの確保、㈪業績評価の観点、課題として、(ア)企業会計における収益と費用の関係、(イ)資本と利益の区別の原則には、独法の制度上の特性に応じて必要な修正を加えて理解する。 特に、運営費交付金、施設費、減価償却の取扱い及び独法の損益計算について、 現時点での意義をこの制度の設定主体者側の立場から論じ、報告している。 3 公益活動における継続事業の概念 報告:小宮 徹氏(公認会計士) 公益事業体は、設立目的そのものが公益的貢献であり使命であるので、社会ニーズに可能な限り応えていくことが公益活動の命題であり、継続事業の存続要件である。 ゴーイング・コンサーンとしての公益事業体は、公益活動を維持・遂行するため収入と支出を伴う。収支の均衡・不均衡は事業体の財産状態に影替を与える。財政的基盤としての純財産(正味財産)は公益活動に必要であり、その適正水準は保持されなければならない。公益事業体は収入面に制約があり、支出面が優先されるので、企業経営よりさらに厳しいチェックアンドバランスの管理手法が適用されるべきであろう。 「公益法人会計基準」では、貸借対照表の作成は取得原価主義に拠るべきことを定めているが、過去の記録である取得原価によって作成される貸借対照表にはその情報的価値に限界がある。公益法人会計でも、貸借対照表は時価主義によって作成することが望ましい。 公益法人の内部留保の計算方式は、総資産から公益法人に必須の財産と純負債(引当資産を控除した後の)を差し引く方式であり、合理的である。 財政安定のため支出は収入の範囲にとどめ、特に長期収入と長期支出の均衡を図る。正味財産の増減は長期財政収支の均衡を示す。長期事業計画に基づき長期予算を編成し財政収支の行先を見通し、採算性の維続的維持を図る。長期予算編成には、予算による計数管埋が不可欠で、①長期事業方針、②収入予測、③資金調達計画が特に重要でめる。 公益活動の成果は、公益事業体が提供するサービスとして、その受益者等の利害関係者から評価される。しかし、その質的成果や量的評価は難しい。公益活動の社会的貢献の尺度を計測可能な財務的数値に求めるとすれば、その成果は、資金を如何に効果的に公益活動に投下したかで評価され得る。資金財源の調達、公益活動のコストの負担も評価の一面である。 それらの社会的評価のもとで、公益事業体は、ゴーイング・コンサーンとして支持を得、存続する、と指摘している。 4 非営利組織の評価の課題 報告:石崎忠司氏(中央大学) 非営利組織の評価は財政の評価だけでは不十分である。多面的な評価判断が必要である。非営利組織の評価を営利組織の評価との比較によって検討している。 1 非営利組繊のミッションと経済合理性の両立 組織目的・形態からみた不経済性では、経済合理性、コスト、品質、時間を戦略要因と認識した経営戦略をとっているか。経済合理性が組織の存続を左右し、組織存続のためには戦略が重要である。 2 非営利組織の評価体系 営利企業の業績評価が多元化しており、この背景が非営利組織の評価にも影響を与えている。その評価体系には、㈰「成果評価」=ミッションの達成度の評価、㈪「組織評価」=組織の多面的な総合評価、を指摘する。「成果評価」としての有効性、公益性、経済性の評価では、「公益性の良否は有効性の良否を左右する」、「有効性の良否は経済性の良否を左右する」、「経済性の良否は公益性を左右する」という関係にある。 3 有効性(ミッションの達成度)の評価方法——成果評価 資金が拠出されている場合にはガバナンスが生じる。ミッションの成果の要因分析においては、①ミッションの妥当性、②顧客ニーズの把握の妥当性、③ミッション遂行計画の妥当性を挙げている。 4 公益性(ミッションの戦略・計画)評価方法 5 経済性(資金の制約)の評価方法 非営利組織の会計制度の体系化が進んでいないため、経済効率の評価、財務安全性の評価、組織間比較に困難性がある。 6 非営利組織の組織評価 複数の指標による総合評価=効果性、公益性、経済性をまとめた多様な総合評価の必要性を指摘している。 また、評価の課題として、情報の公開、第三者機関による評価、評価指標の開発と標準値の算定・公開、社会性、環境パフォーマンスの評価方法の確立など多様な課題を指摘している。 討論会では座長:堀田和宏氏(近畿大学)の司会のもと、発表者4人の報告に基づいて、以下の諸先生から、社会的ニーズとしてのミッションの在り方、ミッションベイスト・マネジメントの評価、ボランティア組織のガバナンス、非営利組織の成果評価、企業会計原則の導入と公会計原則の在り方、減価償却の取扱いなどについて 質疑応答があり、熱心な討論が行われた。質問者は次のとおりである。 臼田克昌氏(日本赤十字社)、吉田忠彦氏(近畿大学豊岡短大)、亀岡保夫氏(公認会計士)、岡村勝義氏(神奈川大学短期大学部)、会田一雄氏(慶應義塾大学)、菊谷正人氏(国士舘大学)、斎藤真哉氏(青山学院大学)、小島廣光氏(北海道大学)、立岡 浩氏(広島国際大学)、守永誠治氏(静岡産業大学)、江田 寛氏(公認会計士)、高橋選哉氏(青山学院大学)、服部信男氏(静岡産業大学)、樽見弘紀氏(北海学園大学)、武田昌輔氏(成蹊大学)、早坂 毅氏(関東学院大学)、保谷六郎氏(聖学院大学)、松葉邦敏氏(国士舘大学)、薄井正徳氏(目黒寄生虫館)。 統一論題発表報告・討論終了後、5号館学生ホールにおいて懇親会が開催された。 開催校を代表して国士舘大学・三浦信行学長の挨拶があり、 なごやかな雰囲気のなか19時30分終了した。
- 学会誌 | 公益社団法人 非営利法人研究学会
学会誌 非営利法人研究学会誌 学会誌購入 非営利法人研究学会では、毎年、機関誌として『非営利法人研究学会誌』を発行しています。 ここでは、最新号及びバックナンバーの内容をご紹介します。 ■ 最新号(第25号)目次 まえがき 齋藤真哉 【特集】非営利組織の財政基盤の確立へ向けて ―ミッション達成と両立する取り組み― 非営利組織の財政基盤の確立 ―ミッションへの共感醸成の重要性― 石津寿惠 成果の可視化と非営利活動のミッション ―PFS・SIB・休眠預金等活用・社会的投資などの視点から― 馬場英朗 非営利組織におけるクラウドファンディングや ファンドレイジング費の会計的課題 金子良太 第21回学会賞等の審査結果に関する報告 第26回大会記(2022) あとがき 古庄 修 バックナンバー一覧 ■第24号目次 まえがき 齋藤真哉 【特集】非営利法人の理念と制度 非営利団体は、今、どこにいるのか: ―市民社会論の視角から― 岡本仁宏 非営利組織会計における資本と収益の検討から新時代の企業会計へ: ―営利・非営利会計の共通性の探求・アンソニーの提言を受けて― 日野修造 【査読付論文】 NPO支援組織と制度ロジック変化: ―アリスセンターのケース― 吉田忠彦 クライシス下における信用保証協会の役割: ―中小企業支援に着目して― 櫛部幸子 オーケストラ団体における活動財源の構造と 予測可能性に関する実証分析 武田紀仁 第20回学会賞等の審査結果に関する報告 第25回大会記(2021) 関西大学 あとがき 古庄修 ■ 第23号目次 まえがき 齋藤真哉 【特集】 非営利組織のガバナンス問題 ― 現状と課題 ― 社会福祉法人のガバナンスの現状と課題―ガバナンス・コードを視野に― 吉田初恵 地方自治体の内部統制の現状と課題―パブリック・ガバナンスの充実強化に向けて― 石川恵子 【論文】 公益法人の財務三基準に関するシステム論的理解:認定制度の趣旨と収支相償の解釈 久保秀雄/出口正之 同一説と相違説:非営利会計の本質を考える国内外の議論の視点 出口正之 NPO法人による交通空白地有償運送の効率性評価 小熊 仁 非営利組織における課税事業に対する費用移転の 【研究ノート】 大阪市の孤立死の現状と2地域における孤立死対策の比較 小川寛子 第19回学会賞等の審査結果に関する報告 第24回大会記(2020) 古庄 修 あ とがき 吉田忠彦 ■ 第22号目次 【特集】 公益法人制度改革10周年 ― 公益法人の可能性と課題を探る ― 公益法人税制優遇のルビンの壺現象 出口正之 会計からみる公益法人制度改革の課題と可能性 尾上選哉 公益法人の拡充のために公益法人税制が果たすべき機能の考察 苅米 裕 【報告】 非営利組織における財務報告の検討に関する報告 松前江里子 【論文】 地方創生における地域資源の戦略的活用とその成功要因 今枝千樹・藤井秀樹 市民活動支援をめぐる施設、組織、政策 吉田忠彦 子ども食堂におけるドメインの定義 菅原浩信 【研究ノート】 民事再生手続による学校法人再建の可能性 岩崎保道 災害とソーシャル・キャピタルに関する一考察 黒木誉之 第18回学会賞等の審査結果に関する報告 第23回大会記(2019) 齋藤真哉 あとがき 大原昌明 ■ 第21号目次 まえがき 堀田和宏 【特集】NPO法施行20年〜その回顧と展望 非営利法人研究学会第22回全国大会 統一論題の開催に寄せて 鷹野宏行 NPO(非営利法人)と市民社会・市場経済 井出亜夫 ― 特定非営利法人活動促進法の制定とわが国民法思想、21世紀の市場経済システム― NPO法人会計基準の考え方と2017年12月改正の方向性 江田 寛 法律専門家からみたNPO法20年 濱口博史 【論文】 社会的投資によるコミュニティ再生 今井良広 ― 英国のコミュニティ・シェアーズを事例に ― NPO経営者におけるアカウンタビリティの質的データ分析 中嶋貴子 マルチステークホルダー理論に基づく考察 岡田 彩 一般社団法人の非営利性と非分配制約についての検討 古市雄一朗 第17回学会賞等の審査結果に関する報告 第22回大会記(2018) 鷹野宏行 あとがき 小島廣光 ■ 第20号目次 まえがき 堀田和宏 【特集】非営利法人の収入と支出に係る会計諸課題 「理念の制度」としての財務三基準の有機的連関性の中の収支相償論 出口正之 非営利組織の内部留保 石津寿惠 非営利法人(会計)における収入の意義 柴 健次 【論文】 決定プロセスの構造化理論: 京都市市民活動総合センターの設立プロセスを事例として 吉田忠彦 セクター中立会計の課題と可能性 金子良太 地方創生に資する「地域社会益法人」認証を巡る考察 越智信仁 【研究ノート】 同窓会誌情報を活用した大学と卒業生間の紐帯の強さの定量分析 津曲達也 第16回学会賞等の審査結果に関する報告 堀田和宏 第21回大会記(2017) 宮本幸平 あとがき 小島廣光 ■第19号目次 まえがき 堀田和宏 【特集】非営利法人研究の回顧と展望 非営利法人会計制度の回顧と展望 藤井秀樹 ―公益法人会計基準の検討を中心に― 非営利法人制度をめぐる諸活動とそのロジック 吉田忠彦 非営利法人に対する税制の現状と課題 橋本俊也 【論文】 法人形態から見た「チャリティ・公益法人制度」の国際比較: 非営利の法人制度と会計を巡っての政策人類学的比較研究 出口正之 社会福祉法人制度改革の背景と諸問題 千葉正展 ―社会福祉充実残額算定の問題点を中心に― 公益認定取消しと公益認定制度についての再検討 古市雄一朗 病院の公益性の実現と効率の評価に関する試論 髙屋雅彦 ―医療法人立精神科病院を例として― 裁判外紛争解決手続における公正性と専門性 李 庸吉 ―韓国における医療ADRを素材に― 【研究ノート】 学校法人会計基準における2つの収支計算書の役割を巡る検討 林 兵磨 【回顧筆録】非営利法人研究学会の20年を振り返る 堀田和宏 第15回学会賞等の審査結果に関する報告 堀田和宏 第20回大会記(2016) 成道秀雄 あとがき 小島廣光 ■第18号目次 まえがき 堀田和宏 【特集】非営利組織会計と営利組織会計との相互関係 非営利組織会計と企業会計の統一的表示基準 宮本幸平 非営利組織会計と営利組織会計との相互関係 髙山昌茂 ―「非営利組織の財務報告の在り方に関する論点整理」 論点9 連結情報の開示についての考察― 【論文】 非営利組織会計の純資産区分に関する試論 佐藤 恵 ―財務的弾力性の観点から― “クリープ現象” としての収支相償論 出口正之 医療法人におけるガバナンスとアクティビティ 髙屋雅彦 ―精神科病院における実証分析序論― 【研究ノート】 収益事業課税に関する裁判例を踏まえた法人税法上の収益事業と課税要件の問題整理 永島公孝 第14回学会賞等の審査結果に関する報告 堀田和宏 第19回大会記(2015) 兵藤和花子 あとがき 小島廣光 ■第17号目次 まえがき 堀田和宏 【特集】非営利法人に係る公益性の判断基準 一般社団・財団法人の公益認定基準の検討 岡村勝義 非営利法人の公益性判断基準 初谷 勇 米国の非営利組織の公益性判断基準 金子良太 英国チャリティの公益性判断基準 尾上選哉 【論文】 公益法人制度の昭和改革と平成改革における組織転換の研究 出口正之 非営利法人組織における会計の役割 森美智代 非営利組織はアドホクラシーか? 西村友幸 非営利法人課税の本質 藤井 誠 【研究ノート】 日本における病院制度の進化と公益性に関する考察 髙屋雅彦 国立大学における全学同窓会の運営あり方 高田英一 第13回学会賞等の審査結果に関する報告 堀田和宏 第18回大会記(2014) 上松公雄 あとがき 小島廣光 ■第16号目次 まえがき 堀田和宏 【特集】非営利法人における制度・会計・税制の改革を総括する 公益法人制度改革における公益認定等委員会のパターナリズムの傾向 出口正之 一般社団・財団法人への移行期間を終えての税制課題 成道秀雄 非営利法人制度の現状と課題 齋藤真哉 非営利法人会計基準の統一問題―英国における財務報告制度改革の到達点に基づく考察― 古庄 修 【論文】 東日本大震災における義捐金の行政的配分の問題点と民間非営利活動―善意の効率的配分を目指して― 藤井秀樹 企業会計との統一化を指向した非営利組織会計の表示妥当性考察 宮本幸平 非営利組織のディスクロージャーと資源提供者の行動の関係 尾上選哉・古市雄一朗 非営利組織の財務情報と情報利用者の属性に関する実証研究―会計知識とボランティア経験が与える影響― 石田 祐・馬場英朗 NPO法人会計基準の現状と普及に向けた課題 橋本俊也 訪問看護サービスにおける医療保険と介護保険の関係―報酬体系を中心に― 河谷はるみ 【資料】 国立大学における全学同窓会の設立及び活動の実態と課題―同窓会担当理事に対するアンケート調査の結果を中心に― 高田英一 学校法人における倒産事件の課題整理 岩崎保道 第12回学会賞等の審査結果に関する報告 堀田和宏 第17回大会記(2013) 古庄 修 あとがき 小島廣光 ■第15号目次 まえがき 堀田和宏 【特集】地域活性化と非営利活動―事例研究を中心にして― 北海道における自治体とNPOのパートナーシップの実際―主として福祉系サービスNPOの 事例研究― 杉岡直人 地域社会雇用創造事業による社会起業創出の考察―14名の道内社会起業家への聞き取り調査 の結果から― 河西邦人 行政の視点から見た非営利活動と地域活性化―住民参加型まちづくり事業の効果と課題― 早瀬京太 【論文】 社会福祉法人の競争戦略と組織―高齢者介護組織を対象とする実証研究― 深山誠也 わが国の大学における全学単位での同窓会の現状について―全学同窓会の規約の分析を中心に― 高田英一 NGOの監査とガバナンス─資金拠出制度による指導機能と私的自治─ 馬場英朗 英国におけるアセット・トランスファーの政策的展開―公有資産のコミュニティ組織への移転― 今井良広 観光分野における公民間コラボレーションの理論―非営利組織の果たす役割― 小熊 仁 コミュニティとシティズン・ガバナンス 黒木誉之 【研究ノート】 民間非営利組織のプリンシパル=エージェント関係―香港における帳簿検査への消極性― 水谷文宣 大学を中心とした産官学民連携による地域活性化―亀岡カーボンマイナスプロジェクトの事例を中心に ― 高田英一 NGOの監査とガバナンス─資金拠出制度による指導機能と私的自治─ 野口寛樹・定松 功・大石尚子 第16回大会記(2012) 大原昌明 あとがき 小島廣光 ■第14号目次 まえがき 石崎忠司 【特集】地域の公共サービスと非営利活動―医療・福祉・介護の理論と実際― 非営利セクターとのパートナーシップによる公共サービスの提供 ―多元的福祉サービス提供におけるサード・セクターの重要性― 小林麻理 2012年の介護保険制度改正をめぐる諸課題―給付と負担の関係を中心として― 吉田初恵 【論文】 新しい公共と地域のガバナンス 澤田道夫 医療機関におけるリスクマネジメント 佐久間義浩 NPO法人の会計情報と寄付金に関する実証分析 五百竹宏明 自非営利組織の成長性と安定性に関する実証分析 中嶋貴子・馬場英朗 社会福祉サービスの質の保障と第三者評価事業 河谷はるみ 第15回大会記(2011) 澤田道夫 あとがき 藤井秀樹 ■第13号目次 まえがき 石崎忠司 【論文】 社会ガバナンスと非営利組織 吉田忠彦 非営利法人制度改革と市民社会の安全 初谷 勇 新しい公共と認定NPO法人制度 田中弥生他 自転車タクシー事業の現状と課題 大原昌明他 非営利組織における内部統制の現状 佐久間義浩 非営利組織における事業積算とフルコスト回収 馬場英朗 行政とNPOの協働におけるバランスト・スコアカードの適用可能性 八島雄士 NPMを活かしたマネジメント・システムについての分析 小野英一 【研究ノート】 市民参加型パートナーシップ研究の批判的検討 東郷 寛 ボランティアの専門性の高度化 角谷嘉則 第14回大会記(2010) 清水貴之 あとがき 藤井秀樹 ■第12号目次 まえがき 石崎忠司 【特集】非営利法人の会計基準統一の可能性をさぐる 公益法人会計基準にみる非営利法人会計の基礎概念 川村義則 NPO会計基準を民間で作成することの意義 江田 寛 非営利法人における会計基準統一化の可能性 藤井秀樹 【論文】 協同組合における事業分量配当金(割戻金)の会計的性格−事業分量配当金(割戻金)の出資金振替処理を巡って− 鷹野宏行 正味財産と資産対応の意義と展開−公益法人会計基準の変遷に関係させて− 岡村勝義 ソーシャルビジネスとその制度設計に関する研究 金川幸司 ソーシャル・キャピタルと管理会計に関する一考察−公園行政の事例を手がかりとして− 八島雄士 コミュニティ・ユース・バンクmomoの挑戦−市民活動を支えるNPOバンク− 馬場英明・木村真樹・荻江大輔・中山 学・三村 聡 非営利組織体の業績評価に関するディスクロージャーについて−バランスト・スコアカードの利用を通じて− 葛西正輝 社会的企業のソーシャル・アカウンティング 青木孝弘・馬場英明 【資料】 英国チャリティの会計−SORPの発展とチャリティの財務報告− 上原優子 第8回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 第11回大会記(2009) 橋本俊也 学会誌編集委員会規程 学術賞及び学術奨励賞に関する規程 「投稿論文執筆に関する申合せ」について あとがき 藤井秀樹 ■第11号目次 まえがき 大矢知浩司 非営利組織の業績測定・評価に関する多角的アプローチ—組織有効性の測定・評価の包括的 フレームワーク— 堀田和宏 サービスの原価と見えない価値 梅津亮子 非営利組織の公益性評価—公益認定の基準を踏まえて— 齋藤真哉 図書館政策とNPO 初谷 勇 NPO支援組織の役割の変化 吉田忠彦 非営利法人に対する金融資産収益課税における問題点—非営利型法人に対する金融資産収益課税を中心として— 上松公雄 大統領府創設の“ねらい”—行政組織の効率測定と予算配分:サイモンとバーナード— 伊藤研一・道明義弘 非営利研究機関におけるアカウンタビリティと知的財産ディスクロージャー 北口成行 「事業型NPO」の特徴とその発展課題—京都府NPO法人事業報告書データ分析から— 桜井政成 非営利組織の財務評価—NPO法人の財務指標分析及び組織評価の観点から— 馬場英朗 企業会計と非営利の会計—財務会計研究からみた非営利組織の会計を考える— 興津裕康 アンゾフESO概念における非営利組織の位置づけと意義 戴 曼捷 営利組織体におけるBalancedScorecard導入に伴う問題点—ChristopherD.Ittnerらの2003年実地調査を中心として— 葛西正輝 非営利組織の業績測定・評価—顧客満足度と組織運営、人事の視点から— 棚橋雅世 京都府NPO法人の内部留保に関する考察—2005年度財務データを素材として— 久保友美 NPOにおける組織能力の可能性—委託、補助・助成金を得るために— 野口寛樹 【事例研究】 戦略的協働を通じた車粉問題の解決プロセス 後藤祐一 【研究ノート】 NPO法人のコーポレート・ガバナンスに関する事例研究 山田國雄 第7回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 第12回大会記 堀江正之 学会誌編集委員会規程 学術賞及び学術奨励賞に関する規程 「投稿論文執筆に関する申合せ」について あとがき 堀田和宏 ■第10号目次 まえがき 大矢知浩司 非営利組織のミッションと財務報告の課題 藤井秀樹 非営利組織経営学の課題と可能性 島田 恒 新たな公益法人税制への要望 成道秀雄 経営環境の変化と会計方針の変更 伊藤 務 非営利・営利組織のサービスの質に関する比較検討—介護保険市場を例にー 桜井政成 非営利組織の経営管理論に基づく組織発展仮説 河口弘雄 NPO法人の財政実態と会計的課題—「NPO法人財務データベース」構築への取組みから— 山内直人・馬場英朗・石田 祐 中間法人と公益法人制度改革 初谷 勇 非営利組織の情報開示と資源の源泉の関係 古市雄一朗 知識創造の条件整備としての公民パートナーシップ—コープロダクションの視点から— 東郷 寛 英国パートナーシップの10年 —理論と実践— 今井良広 【事例研究】 まちづくりにおける「つなぎ役」の役割—アート・イン・ナガハマを事例として— 角谷嘉則 指定管理者制度とNPO—NPO支援センターの活動を事例として— 金川幸司 奨学金財団と人材育成事業の役割 八木 章 回顧筆録◆学会の10年を振り返って 大矢知浩司 第10回大会記(2006年) 吉田忠彦 学会誌編集委員会規程 学術賞及び学術奨励賞に関する規程 「投稿論文執筆に関する申合せ」について あとがき 堀田和宏 ■第9号目次 まえがき 大矢知浩司 公益法人制度の抜本改革について—公益活動の一層の発展に向けて— 中藤 泉 租税法律主義とネット・サイズ理論—非営利法人制度改革における現実と理念の架橋の重要 性— 出口正之 アメリカ行政府の構造改革—組織論はF.D.ローズベルトを助けたか?— 伊藤研一・道明 義弘・井澤裕司 包括外部監査と行政裁量権の濫用—判例理論の活用可能性を中心に— 吉川了平 公益法人課税における租税法律主義 永島公孝 非営利組織における収支計算書の展開—公益法人会計を中心に— 梅津亮子 公益法人会計における「正味財産」の検証と展望 岡村勝義 結社型による近代報徳運動の発展と組織運営に関する研究序論 川野祐二 日本におけるNPO支援ナショナルセンターの生成と展開 吉田忠彦 コミュニティ・ガバナンスの制度的展開について—イングランドの地区委員会等を事例として— 今井良広・金川幸司 行政とNPOの協働関係における資金提供モデルについて—英国のFUNDINGにおける近年の動向を中心に— 金川幸司・今井良広 【研究ノート】 健康問題に関する地域活動を目的としたボランティア組織形成過程—ピンクリボン運動を中心として— 内海文子 第5回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 第10回大会記(2006年) 小島廣光 学会誌編集委員会規程 学術賞及び学術奨励賞に関する規程 「投稿論文執筆に関する申合せ」について あとがき 堀田和宏 ■第8号目次 まえがき 松葉邦敏 非営利組織の制度進化と新しい役割 藤井秀樹 非営利組織の失敗—その原因と予防装置— 島田 恒 新たな非営利法人税制への提言 成道秀雄 イングランドにおける地域協定(LAAs)の意義と役割—非営利セクターの活動基盤として の可能性— 今井良広 非営利法人における委員会手当の所得区分—判例を中心として— 永島公孝 e‐ヘルス構築についての一考察 —データ利用を中心にして— 丸山真紀子 NPO支援センターの類型と課題 吉田忠彦 環境会計とライフサイクル・コスティング —営利企業の環境対応— 江頭幸代 官民協働事業と非営利組織の「見えざる資産」 東郷 寛 非営利組織におけるキャッシュ・フロー計算書の問題点—目的と基本理念— 王姝※(字形=䒑の下に二) 【研究ノート】 ミッション評価の必要性とその実態—特定非営利活動法人を中心として— 兵頭和花子 社団法人における賛助会員に関する考察 成田伸一 社会福祉法人の経営課題 小笠原修身 第4回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 第9回大会記(2005年) 岡村勝義 学会誌編集委員会規程 学術賞及び学術奨励賞に関する規程 「投稿論文執筆に関する申合せ」について あとがき 堀田和宏 ■第7号目次 まえがき 松葉邦敏 NPO法人のガバナンス 小島廣光 非営利組織の活動状況開示 梅津亮子 公益法人会計基準の改訂と今後の課題 加古宜士 非営利組織のガバナンスとアカウンタビリティ—経営機関の統制と規制の強化— 堀田和宏 医療法人における出資額限度法人制度の導入を巡る問題点 依田俊伸 認定NPO法人の認定要件の検討 成道秀雄 介護保険制度改革に向けての論点—介護サービスの特質と介護サービス市場からの一考察— 吉田初恵 パブリック・アカウンタビリティと業績評価 原田 隆 非営利組織体の活動報告 高橋選哉 アソシエーションの中の官僚制—厚生労働省所管の社団法人における職員数の規定因— 西村友幸 非営利組織における理事会役割の分析枠組み—社会福祉法人のデータを用いた検証— 桜井政成 非営利組織体における財務報告の目的とディスクロージャー 橋本俊也 多国籍企業現地子会社の情報開示 —現地国との調和— 于 佳 【研究ノート】 高齢者ケアの二国間比較 —日本とスウェーデン— 野口房子 地域開発と公益活動のバランス 用丸るみ子 第3回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 第8回大会記(2004年) 金川一夫 学会誌編集委員会規程 学術賞及び学術奨励賞に関する規程 「投稿論文執筆に関する申合せ」について あとがき 堀田和宏 ■第6号目次 まえがき 松葉邦敏 非営利組織とNPO法 小島廣光 非営利組織の社会貢献—「合理的な愚か者」経済理論批判として— 作間逸雄 非営利組織の業績評価と中間支援組織の役割 今枝千樹 非営利組織と公民パートナーシップ—NPOサポート施設を巡って— 吉田忠彦 自律協働体系としてのボランタリー組織 西村友幸 【研究ノート】 収益事業課税における資本取引及び損益取引概念の検討 江田 寛 現物寄付の会計処理とその問題点 早坂 毅 第2回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 第7回大会記(2003年) 成道秀雄 学会誌編集委員会規程 学術賞及び学術奨励賞に関する規程 「投稿論文執筆に関する申合せ」について あとがき 堀田和宏 ■第5号目次 まえがき 守永 誠治 非営利組織体のアカウンタビリティとディスクロージャー−英国チャリティの検討を中心と して− 古庄 修 民法法人の収支予算制度と業績評価 江田 寛 非営利組織のリスクとアカウンタビリティ 瓦田太賀四 環境コストと撤去コスト−ダムのライフサイクル・コスティングを中心として− 江頭幸代 助成型公益組織の近現代史序説−福府義倉とトヨタ財団を事例として− 川野祐二 行政補完型公益法人のアカウンタビリティ 伊藤 務 地域開発と公益関連活動の展開−鹿児島県を中心として− 用丸るみ子 NPOとPFI—CSO型PPPの構築を目指して 立岡 浩 非営利組織の業績評価と会計情報拡張の必要性−SEA報告の適用をめぐる議論とその先駆的実施例の検討− 今枝千樹 非営利組織体における資源提供者の意思決定−American Red Crossを事例として− 兵頭和花子 公益法人の財務的生存力と受託管理責任 若林茂信 【研究ノート】 アメリカにおける非営利組織体の結合会計 橋本 俊也 第1回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 第6回大会記(2002年) 藤井秀樹 公益法人研究学会設立趣意書 公益法人研究学会会則 役員名簿 公益法人研究学会会員名簿 学会誌編集委員会規程 学術賞及び学術奨励賞に関する規程 あとがき 堀田和宏 ■第4号目次 まえがき 守永 誠治 非営利事業の社会的機能と責任 堀田和宏 非営利組織の存在理由と活動環境−情報利用者指向的会計論に基づく検討− 藤井秀樹 公益法人の社会的役割と情報公開−会計情報を中心として− 亀岡保夫 看護サービスの活動レベルの原価標準設定 梅津 亮子 公益法人情報開示の新展開−第三セクターに関連して− 岡村勝義 介護保険の給付と負担について−自治体間格差の実証研究 吉田初恵 公益法人会計基準の見直しに関する中間報告の問題点の検討 若林茂信 【研究ノート】 フランスにおける福祉施設系の公共・非営利組織(GO&NPO)マネジメント 立岡 浩 第5回大会記(2001年) 依田 俊伸 公益法人研究学会設立趣意書 公益法人研究学会会則 役員名簿 公益法人研究学会会員名簿 学会誌編集委員会規程 学術賞及び学術奨励賞に関する規程 あとがき 堀田和宏 ■第3号目次 まえがき 守永 誠治 公益活動の舞台としての公益法人 吉田忠彦 今日的視点から見た「公益」の多様性 渋谷幸夫 公益法人の公益性−情報公開の観点から− 岡村勝義 非営利組織の効率性と有効性の測定・評価 大矢知浩司 規制緩和・競争導入と公益 佐々木弘 公的介護保険制度導入後の問題点−制度と現実のギャップ− 吉田初恵 介護老人福祉施設等に係る経営分析指標のあり方に関する試論 千葉正展 法人における公益性 依田 俊伸 米国会計検査院の業績監査事例 後 千代 第4回大会記(2000年) 戸田博之 公益法人研究学会設立趣意書 公益法人研究学会会則 役員名簿 公益法人研究学会会員名簿 学会誌編集委員会規程 あとがき 堀田和宏 ■第2号目次 まえがき 守永 誠治 ミッションベイスト・マメジメント 島田 恒 独立行政法人の創設と会計上の論点について 岡本義朗 公益活動における継続事業の概念 小宮 徹 非営利組織の評価の課題 石崎忠司 公益活動の歴史的展開−大航海時代から大公開時代へ− 守永誠治 公益法人にも国際化の洗礼を 若林茂信 NPO及び組織間関係NPOにおけるマネジメント研究 立岡 浩 共同募金システムの中心問題−米国ユナイテッド・ウエイの<ドナー・チョイス>をめぐって− 樽見弘紀 NPO法人税制の現状と課題 高橋選哉 第3回大会記(1999年) 佐藤俊夫 公益法人研究学会設立趣意書 公益法人研究学会会則 役員名簿 公益法人研究学会会員名簿 学会誌編集委員会規程 あとがき 堀田和宏 ■創刊号目次 まえがき 守永 誠治 「公益性」の概念に関する論点 渋谷幸夫 公益法人の事業戦略 田口敏行 非営利組織の経営 小島廣光 非営利組織における理事会と経営者の役割-ハーマン=ヘイモービックスの所説にもとづい て- 吉田忠彦 シニア研究の視点-心理学的研究から見た老人問題のあれこれ- 柿木昇治 第2回大会記 杉山 学 公益法人研究学会設立趣意書 公益法人研究学会会則 役員名簿 公益法人研究学会会員名簿 学会誌編集委員会規程 あとがき 堀田和宏
- 学会賞・学術奨励賞(第21~第24回) | 公益社団法人 非営利法人研究学会
学会賞・学術奨励賞の審査結果 第24回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 令和7年10月10日 公益社団法人 非営利法人研究学会 学会賞等審査委員長 齋藤真哉 非営利法人研究学会学会賞等審査委員会は、第24回学会賞(令和6 年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(令和6 年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(令和6 年度全国大会における報告に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。 1. 学会賞 森美智代(熊本県立大学)『日独医療機関の組織再編と会計』(森山書店、2024年12月刊) 【概要及び受賞理由】 日本では、国家財政難のために、財政再建の一環として、医療制度の改革が2000年代初頭からおこなわれてきた。本書は、かかる医療制度の改革において、高度な医療を社会に提供していくためには、医療経営の効率化が求められているとの現状認識に立脚し、その効率化のために導入される企業会計で培われてきた思考や処理方法等(本書では「企業会計制度」と称されている。)がどのような役割を果たしていくのかを探求することを目的としている。そして日本と同様にすべての国民の医療費負担の一部を財政で支える社会制度を有し、かつ先行して公的医療機関の民営化を進めてき たドイツの状況とを比較しつつ、論が展開されている。 本書は、第Ⅰ部「わが国の国公立病院経営改革の動向」、第Ⅱ部「ドイツ医療経営改革(日独比較を踏まえて)」 および第Ⅲ部「ドイツにおける自治体会計制度改革の病院会計制度への影響(会計制度構造から制度改革への影響)」により構成されている。日本については 「公立病院改革ガイドライン」を素材とした議論に焦点が当てられており、そのためドイツについても公的医療機関の民営化の観点から検討が加えられている。 その研究課題を論証するために、数多くの資料が渉猟されており、本書の構成から非常に慎重かつ地道な整理がなされていることが理解される。本書の主題が医療の質保証に係る公的医療機関の効率化に向けた民営化とこれに伴う会計の企業会計化を基軸とすることは明確であり、日独の保険制度等の相違を踏まえつつも、日独における医療機関の会計が、企業会計の思考や会計処理を導入することで、医療経営に効率性の評価をもたらし、経営改善の役割を担っていることが論証されている。さらに企業会計との相違として、「資本の部」が組織再編によって生じる損益の調整勘定として機能させることになる点にも言及されている。なお本書については、コロナ禍を経た近年の動向についての検討や、経営の効率性に関連して管理会計からの検討が含まれることが望まれる。筆者には、さらなる研究成果を期待するところである。 そこで、日独における2000年代初頭に始まる医療制度改革と企業会計制度が果たした役割を歴史的に実証した側面も持ち合わせており、日独における当該改革に係る共通点と相違点が明確にされたことは、他に類書がなく、その学術的貢献は大きい。これらの理由から、審査委員会は、本書を、当学会の学会賞を授与することを決定した。 2. 学術奨励賞 該当作なし 3. 学術奨励賞特賞 該当作なし 第23回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 令和6年10月5日 公益社団法人 非営利法人研究学会 学会賞等審査委員長 齋藤真哉 非営利法人研究学会学会賞等審査委員会は、第23回学会賞(令和5 年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(令和5 年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(令和5 年度全国大会における報告に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。 1. 学会賞 該当作なし 2. 学術奨励賞 該当作なし 3. 学術奨励賞特賞 該当作なし 第22回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 令和5年9月15日 公益社団法人 非営利法人研究学会 学会賞等審査委員長 齋藤真哉 非営利法人研究学会学会賞等審査委員会は、第22回学会賞(令和4年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(令和4年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(令和4年度全国大会における報告に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。 1. 学会賞 該当作なし 2. 学術奨励賞 該当作なし 3. 学術奨励賞特賞 該当作なし 第21回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 令和4年9月30日 公益社団法人 非営利法人研究学会 学会賞等審査委員長 堀田和宏 非営利法人研究学会学会賞等審査委員会は、第21回学会賞(令和3年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(令和3年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(令和3年度全国大会における報告に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。 1. 学会賞 該当作なし 2. 学術奨励賞 該当作なし 3. 学術奨励賞特賞 該当作なし
- 情報公開 | 公益社団法人 非営利法人研究学会
定款・役員名簿(法人概要を参照) 第九期(2022年8月1日~2023年7月31日) 貸借対照表 第八期(2021年8月1日~2022年7月31日) 貸借対照表 第七期(2020年8月1日~2021年7月31日) 貸借対照表 第六期(2019年8月1日~2020年7月31日) 貸借対照表 第五期(2018年8月1日~2019年7月31日) 貸借対照表 第四期(2017円11月1日~2018 年7月31日 )※公益認定後 貸借対照表 第三期(2017年8月1日~2017年10月31日)※公益認定前 貸借対照表 第二期(2016年8月1日~2017年7月31日 ) 貸借対照表 第一期(2016年1月7日~2016年7月31日 ) 貸借対照表 情報公開
- 経過報告(大学等学校法人研究会) | 公益社団法人 非営利法人研究学会
非営利法人研究学会 大学等学校法人研究会 【2018年度 研究経過報告】
- 関東部会報告 | 公益社団法人 非営利法人研究学会
地域部会報告 非営利法人研究学会には、学会内で地域別に活動するスタディグループがあります。将来 的には、複数のスタディグループとスタディグループが連携して活動していくことを目指しています。 ●下の地図上の部会名をクリックすると、部会別の報告ページに移動します。 関東部会報告 ■第32回関東部会記 日時:2022年3月21日(月・祝)13時〜 場所:Zoomミーティング(テレビ・Web会議ツール) 1. はじめに 非営利法人研究学会第32回関東部会が、2022年3月21日(祝)13時より、ビデオ会議システム zoom を用いて開催された。約30名の参加者を迎え、古庄修関東部会長(日本大学教授)から挨拶があった後、参加者の近況報告が行われた。その後、金子良太関東部会幹事の司会のもと、部会報告・討論会が行われた。 2. 部会報告 (1)「ドイツ公的医療機関の組織再編と会計制度・実務―日本の公立病院改革との比較を踏まえて」 森 美智代氏 (熊本県立大学名誉教授) 本報告は、ドイツの公的医療機関・民間医療機関の組織再編について詳細に検討した後に、日独の医療機関の医療経営改革の背景と現状、日本の公立病院改革の方向性まで幅広い内容にわたって行われた。 森氏からは、最近のコロナ禍における現状や、日独双方の具体的事例についても報告があった。 フロアからは、各種の用語の定義や日独の違い等、多くの質問が行われた。 (2)「非営利研究組織の社会価値についてー(一財)日本自動車研究所の経験からー」 半田 茂氏 ((一財)日本自動車研究所 前代表理事・専務理事) 本報告は、半田氏の所属していた日本自動車研究所 (JARI)の概要や歴史、非営利組織たる研究機関の研究活動の価値、そして他団体との連携や活動の広報等を通じた価値を発信し、社会から理解を得る必要性についてのものであった。 フロアからは非営利組織の社会的価値等について多くの質問があった。多くのコメントがあり、予定時間の15時30分頃に終了した。 3.次回の予定 次回の部会は、武蔵野大学の主催で2022年5月(開始時間未定)に久々の対面開催予定(詳細は、決定次第非営利法人研究学会のホームページ・メーリングリストに掲載されます。今後の状況により、開催方法や日時が変更される可能性があります)。 文責:金子良太(國學院大學) ■第31回関東部会(北海道合同部会)記 日時:2021年7月31日(土)13時〜17時 場所:Zoomミーティング(テレビ・Web会議ツール) 1. はじめに 非営利法人研究学会北海道部会・関東部会の合同部会が、2021年7月31日(土)13時より、ビデオ会議システムZoomを用いて開催された。26名の参加者を迎え、古庄修関東部会長(日本大学教授)が司会をされた。大原昌明北海道部会長(北星学園大学教授)による開会の挨拶の後、特別講演、研究報告が行われ、活発な議論が行われた。 2. 特別講演会 「多元社会における非営利組織の役割に関する一試論 —『理念』の創造性をめぐって—」 三井泉氏(日本大学経済学部教授) 経営理念研究そしてフォレットの学説研究で著名な三井氏に、多元社会の下での非営利組織の意義についてご講演頂いた。 講演においてフォレットそしてドラッカーの視点から、多元社会について言及され、異なる世界観や価値観を持つ個々人から成り立つのが多元社会であり、多元社会においては、各人の異質性を排除するのではなく、この異質性を受け入れながら社会秩序を維持し、社会を発展させていくことが目指されるとの主張がなされた。 また、経営理念研究の視点から、経営理念は営利組織・非営利組織を問わず、あらゆる経営行動の根幹であり、人々をより創造的・主体的に行動させることを可能にするものであると主張された。そして、この経営理念は、その時々の状況に適応すべく変容することで、組織の創造力の源泉としての機能を長期的に発揮し続けていく可能性を秘めていると言及された。企業とは異質な非営利組織の存在、また無数に存在する非営利組織がそれぞれの経営理念をよりよく機能させることで、よりよい社会が実現される可能性に言及され、講演を締めくくられた。講演後の質疑応答では。営利組織および非営利組織で「理念」が果たすドライビングフォースとしての意義等が議論され、多様なバックグラウンドを持つ研究者による活発な意見交換が行われた。 3. 部会報告 第1報告 「オーケストラ団体における活動財源の集中度と予測可能性に関する実証研究」 武田紀仁氏(日本大学 経済学研究科博士後期課程) 本報告では、オーケストラ団体のサンプルを用いて、収入源の種類が団体の持続性に及ぼす影響について分析が行われた。その結果、収入源と持続性の関係を分析するうえでは、収入源の種類や集中度に加えて、収入源の予測可能性を考慮することが有用である点が説明された。また、収入源の予測可能性は、収入源の性質や団体の属性と関係性があることが指摘され、団体 の存続のための財務的な対策として、団体の特徴を考慮した戦略的な資金調達計画の重要性が示唆された。 参加者からは、統計分析の手法の精緻化に向けての意見交換や、分析対象として文化・芸術系の団体をその対象とした意義について活発な議論が行われた。 第2報告 「クライシスの中小企業支援において信用保証協会が果たした役割―兵庫県信用保証 協会を中心に―」 櫛部幸子氏(鹿児島国際大学) コロナ禍の中小企業の資金繰り支援における会計情報の活用状況についてアフターコロナにおけるデフォルトリスクを指摘し、過去のクライシス(阪神・淡路大震災と東日本大震災)において実施された「信用保証協会の保証」のデフォルトの状況を調査し、過去の信用保証協会の「信用保証」において、どのような施策がデフォルトを軽減・回避することにつながったのかについて、コロナ渦における支援の状況との比較分析による報告が行われた。 参加者からは、デフォルトが最終的に社会に与える影響や平時と非常時で中小企業への与信にどのような影響があるかについての質問がされ、活発な議論が行われた。 部会の最後に齋藤真哉学会長(横浜国立大学教授)より、本学会の研究が多様性をもって活性化しており、今後の更なる研究の発展が期待できる点が述べられ、合同部会は盛会のうちに終了した。 文責:村田大学(大原大学院大学)・古市雄一朗(大原大学院大学) ■第30回関東部会記 日時 : 2021年3月20日(土) 場所 :Zoomミーティング(テレビ・Web会議ツール) 1. はじめに 非営利法人研究学会第30回関東部会が、2021年3月20日(土)10時30分より、ビデオ会議システム zoom を用いて開催された。31名の参加者を迎え、古庄修関東部会長(日本大学教授)から挨拶があった後、古庄部会長の司会のもと、研究報告・討論会が行われた。 2. 部会報告 第1報告 「課題としてのファンドレイジング・パラドックスと、その解決のための地域性と共感のメカニズムについての考察ー横浜市における事例研究を中心としてー」 瀬上 倫弘氏 (横浜市立大学大学院都市社会文化研究科共同研究員) 本報告は、非営利活動促進のための経済的考察として、横浜市における事例研究を中心に、NPO法人が行うファンドレイジングにおける課題と、それを解決する効果的なファンドレイジングの要素を探求するものであった。 瀬上氏からはNPOにおける寄付の必要性について説明があった後、ファンドレイジングの成功要因を探る入口として、ファンドレイジングの必要性につきNPOの存在論に遡って考察が示された。事例として、「共感と地域性におけるメカニズム」を基礎概念として横浜市における中小規模団体が示された。最後に、2019年8月10日 非営利法人研究学会 第25回関東部会研究発表 における瀬上氏の発表に対する各種の質問に対して回答する形で前回報告後の研究の進展が示された。 フロアからは、横浜市の事例を選択した理由、他地域における事例にも着目する必要性等、多くの質問が行われた。 第2報告 「非営利組織会計の国際的枠組み」 金子良太氏(國學院大學) 私 金子からは、英国の職業的専門家団体であるCIPFA(英国勅許公共財務会計協会)より、同じく英国の非営利組織の支援団体であるHumentumの協力を得て公表された非営利組織会計の国際的枠組みの形成を目指すConsultation Paper (CP)「International Financial Reporting for Non-Profit Organizations (非営利組織の国際的財務報告)」について報告した。 2021年1月に公表されたCPの目的、全体構成、今後の課題について示した。 フロアからは非営利組織における国際的枠組みが本当に必要なのか、また日本への適用可能性や今後の方向性等について多くの質問があった。多くのコメントがあり、予定時間を超過した12時40分頃に終了した。 文責:金子良太(國學院大學) ■第29回関東部会(北海道合同部会)記 日時 : 2020年7月26日(日) 場所 :Zoomミーティング(テレビ・Web会議ツール) 1. はじめに 2020年7月26日(日)午後1時より、今年度第二回目となる非営利法人研究学会北海道・関東合同部会が開催された。今回も前回に引き続き、ビデオ会議システムzoomを用いて行われた。形式的な主催校として武蔵野大学が引き受け、私、鷹野宏行が司会の任を仰せつかった。 今回も北海道・関東以外の全国からの会員の参加者があり、総勢32名に上り、活況な研究会が行われた。以後、研究報告・討論等の概要を記すこととする。 2. 部会報告 第1報告 「非営利組織のガバナンスが租税回避行動に与える影響に関する実証分析」 黒木淳氏(横浜市立大学准教授)・夏吉裕貴氏(横浜市立大学大学院後期博士課程1年) 黒木・夏吉両氏の発表の目的は、わが国非営利組織で収益事業を通じた租税回避行動が行われているか調査し、もし行われているならば、非営利組織のガバナンスが同行動にいかなる影響を及ぼしているかを明らかにすることに主眼が置かれるものである。 米国における先行研究をペースとして、わが国非営利組織に実証研究を試みる。 結論としては、わが国の非営利組織にも租税回避行動はみられるが、米国の先行研究より著しく小さく、その行動が小さい原因として、非常勤理事、寄付者、規制の3つがモニタリングし、その抑制に寄与しているとした。 第2報告 「コミュニティ病院を所有する米国非営利組織の財務諸表に関する一考察 −メイヨー・クリニックを題材として−」 谷光透氏(川崎医療福祉大学講師) 谷光氏の発表は、米国の新しい非営利組織会計基準の内容を吟味し、その基準がすでに適用の段階に入っている、米国において著名な病院であるメイヨー・クリニックで実際に作成された財務諸表(連結を含む)を考察する。 この考察の過程において、我が国の非営利組織会計の在り方、非営利組織共通の会計の枠組み、病院を所有する非営利組織固有の情報開示の在り方を探るべく、持論を展開する。 氏によれば、病院の規模に応じて、missionに応じた純資産の区分、費用の機能別表、連結情報等の開示が必要であるとする。 第3報告 「「一般法人会計基準案」の策定経緯とその論点について」 髙山昌茂氏 (協和監査法人代表社員・公認会計士) 高山氏は、非営利法人研究学会において組成された「一般法人への公益法人会計基準適用の研究会委員会」の活動についての中間報告として今回の発表を位置付け、以下のような発表を行った。まず、現在まで7回開催された研究会の議事録を公表した。途中、いわゆる「モデル会計基準」の公開を前後して、1年間の休会があったことも報告された。 続いて、草案として策定されている「一般法人会計基準」(案)について説明があった。なお、本発表の最終的な報告は、今年度の全国大会で行われる旨の説明があった。 文責:鷹野宏行(武蔵野大学) ■第28回関東部会(北海道合同部会)記 日時 : 2020年6月14日(日) 場所 :Zoomミーティング(テレビ・Web会議ツール) 1. はじめに (公社)非営利法人研究学会北海道・関東合同部会が、2020年6月14日(日)14時より、Zoomミーティング(テレビ・Web会議ツール)を用いて開催された。25名の参加者を迎え、大原昌明北海道部会長(北星学園大学教授)・古庄修関東部会長(日本大学教授)から挨拶があった後、関東部会幹事の筆者、金子良太の司会のもと、研究報告・討論会が行われた。 2. 部会報告 第1報告 「日中戦争までの米中からの日本の民間非営利組織会計への影響−コンバージェンスについての示唆を得るための学説史−」 水谷文宣氏 (関東学院大学) 本報告はトップ・ダウンのアプローチが民間非営利組織会計のコンバージェンスに必要か否かの示唆を得ることを目的とする。 アドプションには、IASBのような特定の機関が主導して会計基準を普及させることがほぼ必須である。トップ・ダウンのアプローチと言える。企業会計について日本では複数の会計基準を競争させるべし、などの形でトップ・ダウンのコンバージェンスに反対する意見がある。 報告では、戦前・戦中の民間非営利組織会計に関する資料から、寄附に関する言及が非常に少ないこと、多くは課税当局のために執筆された資料であることを明らかにした。そして、寄附への関心の欠如は、彼らの関心が複式簿記による資本増殖の反映にあったためと思われるとの報告者の考察が示された。 フロアからはテーマに関する質問等が積極的に行われた。 第二部 討論会 新型コロナウイルスが非営利組織・会計・経営に与える影響について 非営利組織は、新型コロナウイルスの影響から無縁ではいられない。今回のセッションでは、25名の参加者が発言できる形で新型コロナウイルスの影響についての実体験・課題等が話し合われた。 最初に、今回の事態を受けての公益法人における社員総会対応等について質疑応答が行われた。次に、将来の見通しが立ちにくい中での収益事業の取扱い、会計上の減損や繰延税金の取扱いについても課題提起がなされた。 また、医療・福祉分野の経営に与える影響や資金繰りへの対応策等も話し合われた。多くのコメントがあり、16時20分頃に終了した。 文責:金子良太(國學院大學) ■第27回関東部会記 日時 : 2019年10月26日(土) 場所 : 國學院大学 渋谷キャンパス 1. はじめに 非営利法人研究学会第27回関東部会が、2019年10月26日(土)14時より、國學院大学渋谷キャンパス(3号館3404室)において開催された。8名の参加者を迎え、金子良太氏(國學院大学)の司会の下、2つの報告が行われた。 2. 部会報告 第1報告 「宗教法人法の体系的特質~同法による規制の範囲と限界~をめぐって」(2018年度非営利法人研究学会関東部会短期研究) 竹内拓氏(非営利法人経営管理研究会) 竹内氏は、⑴宗教法人の実態、⑵宗教法人法の目的、⑶宗教法人法の規制範囲、⑷法的規制の沿革と現行法への影響、⑸宗教法人法の特徴、⑹宗教法人法改正の経緯と主な改正点の構成により報告された。 まず、宗教法人法は、宗教施設の管理に重点を置き、また、同法は宗教団体の目的を達成するための業務及び事業を行うことに資することを目的としていることを確認された。ただ、規制の面に関しては、憲法で保障される「信教の自由」を尊重すべきものとされているため、その規制の対象は宗教行為以外の領域となると述べられた。なお、非宗教法人には、実際に宗教活動を行っている団体に対しても、宗教法人法の適用はなく、規制の対象外となっていることも指摘された。 続いて、宗教団体に対する法制の沿革について触れ、宗教法人令において、宗教法人の設立を届出制としたことによって生じた各種の問題点の反省から宗教法人法においては認証制(準則主義)が採用されたとの見解を示された。なお、認証制度に関して、一般に申請後3月以内に認証が下りるものとされているが、複数年分(3年以上)の会計書類と宗教施設の存在、礼拝の実施の有無などの実績が問われるため、申請までに相応の時日を要することが紹介された。 この認証制度のほか、責任役員制度と公告制度が宗教法人法における特徴点(これまでの法令に存在しなかったもの)であるとされ、責任役員制度は宗教法人における必置機関として法人の業務及び事業の運営に当たるが、伝統的宗教活動団体においては、責任役員とは別に、総代、長老などの役員が置かれ、その下で慣習による支配が行われることによる運営上の調整の問題が起こり得ることに言及された。 さらに、公告制度と並び財産目録及び収支計算書の作成、備置き、閲覧並びに所定の書類に関する所轄庁への提出が定められていることで、いわば公衆の監督が機能するため、この点が宗教法人において監事を必置機関としない理由のひとつとなっているとの見解を述べられた。なお、監事が必置機関とされていない理由については、宗教行為が監査対象に及ぶ恐れがあることも挙げられた。 最後に、宗教法人に関する認証の問題と関連して、宗教団体が宗教法人としての認証を受ける手数等を回避することを意図して、一般社団法人あるいは一般財団法人の類型を選択する可能性の有無についての問題提議があった。 この点は参加者との質疑応答における論題として引き継がれ、参加者からは、宗教団体が一般社団法人あるいは一般財団法人の類型を選択することは制度的には可能であり、現に、古くからある地域の祠を保存することを目的とした公益財団法人が存在することなどが紹介された。ただし、一般社団法人あるいは一般財団法人には、宗教法人と異なり税制上の利点がないことが指摘され、類型の採用は限られるとされた。 第2報告「「私立大学版ガバナンス・コード」の設定と課題」 古庄修氏(日本大学経済学部) 古庄氏は、ご自身が部会長を務める大学等学校法人研究部会における活動状況に触れられた後に、わが国の非営利法人に係る「ガバナンス・コード」の策定を巡る議論として、まず、アベノミクス成長戦略の一環として営利企業における導入経緯を紹介され、その広がりを受けて、次のとおり、非営利法人の領域、とりわけ私立大学においても策定に向けた動きが活発化している状況について紹介された。 ⑴ 2017年3月:大学監査協会による「大学ガバナンスコード(案)」の公表 ⑵ 2019年1月:文部科学省大学設置・学校法人審議会学校法人分科会学校法人制度改善検討小委員会公表の「学校法人制度の改善方策について」において「「私立大学版ガバナンス・コード」(自主的行動基準)の策定の推進」の明示 ⑶ 2019年3月:日本私立大学協会私立大学基本問題研究委員会・大学事務研究委員会による「日本私立大学協会憲章「私立大学版ガバナンス・コード(中間報告)」」の公表 「私立大学版ガバナンス・コード」の構成は、①私立大学の自主性・自律性(特色ある運営)の尊重、②安定性・継続性、③教学ガバナンス、④公共性・信頼性、⑤透明性の確保であり、このうち、透明性の確保(情報公開)において自主的な公開の範囲として、「理事の経歴および役員報酬基準」が含まれている点に注目された。ただし、私立学校のガバナンス体制に係る情報公開などは含まれておらず、営利企業、上場企業におけるガバナンス・コードとの相違があるとされ、また、「私立大学版ガバナンス・コード」に対しては、「情報公開の更なる促進」が求められるなどの批判が存在することが紹介された。 さらに、2019年6月28日に自由民主党行政改革推進部・公益法人等のガバナンス改革検討チームから公表された「公益法人等のガバナンス改革検討チームの提言とりまとめ」の中から、「学校法人制度に対する8の提言」について採り上げられ、ここでは、自主的なプリンシプルベースの行動規範の策定が期待されているものと解説された。 最後に、大学における統合報告の現状について触れられ、何と何が統合した報告書なのかが明確になるまで安易に「統合」というべきではないとの見解が示されたが、一方で、大学監査協会が2014年に公表した「大学法人のディスクロージャー-その目的と体系化-」は、大学の事業報告書の「統合報告」化に係るモデル試案を他に先駆けて提示したことは特筆すべきとされた。 以上の報告を受け、参加者からは、「私立学校法がルールベースを採用しているのに、なぜ、学校法人のガバナンス・コードはプリンシプルベースとなるのか」「ガバナンス・コードは内部自治の標準化を目指すものなのか」「現況は、日本私立大学協会のみが策定作業を行っているのか」「今後、別の団体においても策定が進むのか」「ガバナンス・コードとESGとの関係」「コンプライアンスとガバナンスの捉え方の違い」に関する質問が出された。 文責:上松公雄(大原大学院大学) ■第26回関東部会記 日時 : 2019年8月23日(金) 場所 : (一財)日本自動車研究所 2階会議室 1. はじめに 非営利法人研究学会第26回関東部会が、2019年8月23日(金)13時より、一般財団法人日本自動車研究所2階会議室において開催された。約10名の参加者を迎え、関東部会長の齋藤真哉氏(横浜国立大学)の司会のもと、3つの報告が行われた。 加えて、日本自動車研究所内の研究施設の見学会も行われ、各自動車メーカーの新車開発などの秘匿性の高い実験が行われる施設のため、一般には公開されていない場所の見学という稀有な機会に恵まれた。 2. 部会報告 第一部 非営利法人の現場との交流 第1報告 森田明芳氏(一般財団法人日本自動車研究所事務局) 一般財団法人日本自動車研究所(以下、「JARI」とする。)は、自動車に関する技術の試験・評価を行う総合的な研究機関である。1961年設立の財団法人自動車高速試験場をその前身として、1969年よりは同試験場を自動車に関する総合的な研究機関として改組して発足した、とのことである。 2003年には、財団法人日本電動車両協会及び財団法人自動車走行電子技術協会と統合し、自動車及び関連産業、エネルギー、電機、情報・通信など幅広い関連産業との連携を深めるとともに、事業領域の拡大、未来を的確にとらえた先導的な研究の推進、次世代自動車の普及の促進を図ることをミッションと据える。2012年には一般法人に移行して、新生、一般財団法人日本自動車研究所として新たにスタートしたとのことである。 近年、地球環境問題への対応、自動車のAI・IoT化の進展、自動車に対するニーズの多様化などを背景に、自動車産業は大きな転換期を迎えており、JARIは「環境・エネルギー」「安全」「自動運転・IT・エレクトロニクス」の3つの主要な研究分野として先進的な研究に取り組んでいるとのことである。JARIの収入源泉は多岐にわたり、受託研究からの収入、補助金収入、寄付収入、会費収入、事業収入、不動産収入などである。総収入は概ね90億円程度で、安定的に推移している。従業員は379名(2019年4月現在)であり、都内に2か所の事務所と、本つくば研究施設のほか、茨城県城里町に城里テストセンターという広大な実験施設を保有する。 つくばエクスプレス研究学園駅はかつての敷地であり、城里テストセンターへの施設移転前の実験施設の跡地であるとのことで、現在でも同駅周辺に広大な敷地を保有しているということである。また、つくば市役所に賃貸している敷地もJARIのものであり、広大な敷地に恵まれた研究施設であるとの印象をもった。 法人の概要の説明があったのち、同施設内の見学を企画していただけた。見学したのは、特異環境試験場という施設である。雨や霧、逆光といった実際の交通環境で想定される走行状況を再現し、車両の周辺環境(信号灯や標識、歩行者)などを認識するセンサー・カメラ等の性能評価を行うことが可能な施設である。この施設は世界に唯一無二の施設であり、外国の自動車メーカーからも実験の依頼が来るような最先端最新鋭の実験施設であるとのことである。実際に、降雨実験や噴霧実験をしていただくことができ、大変に貴重な体験をさせていただくことができた。 第二部 研究会 第2報告「会計から見る公益法人制度改革の課題と可能性」 尾上選哉氏(大原大学院大学) 尾上氏からは、本年度の非営利法人研究学会全国大会の統一論題にて披露される発表の事前発表として、会計の観点から、公益法人制度改革の趣旨に照らして、新公益法人制度が有効な社会システムとして機能しているか現状を把握し、改善すべき課題を明らかにするとともに、今後の公益法人制度の発展に会計がどのように寄与しうるかを論じたいとの問題意識のもと報告が行われた。 概ね次のような発表の構成であった。まず、「Ⅰ.公益法人制度の現状」、「Ⅱ.公益法人会計の課題と可能性」、「Ⅲ.「民による公益」の増進に向けて」である。尾上氏は、公益法人と一般法人に場合分けしながら、整理していく手法をとった。統一論題での発表の試論とのことであり、フロアからは本発表に向けた様々なアドバイスや意見が供出され闊達な議論が行われた。 第3報告「子ども食堂におけるドメインの定義」 菅原浩信氏(北海学園大学) 菅原氏からは、子どもの貧困に対する民間発の取組みとして注目されている「子ども食堂」について、その数の拡大とともに長期的継続的な運営に関する研究が必要であるという問題意識のもと報告があった。 氏の発表は概ね、先行研究調査、事例研究(新潟県内6施設)、分析(4つのグループへの分類化)、考察という手法により、展開された。今後の研究に関しては、本調査が新潟県内に限定され、調査施設の数も限定的であり、この調査手法を拡大して、分析事例を増やすことにより、経営戦略や組織特性等の抽出を試みていきたいとのことである。 文責:鷹野宏行(武蔵野大学) ■第25回関東部会記 日時 : 2019年8月10日(土) 場所 : 横浜国立大学 みなとみらいキャンパス 1. はじめに 非営利法人研究学会第25回関東部会が、2019年8 月10日(土)14時より、横浜国立大学みなとみらいキャンパスにおいて開催された。15名の参加者を迎え、齋藤真哉氏(横浜国立大学)の司会のもと、2 つの報告が行われた。 2. 部会報告 第1報告 「非営利法人におけるファンドレイジングの課題と地域性との関係性についての考察 」 瀬上倫弘氏(特定非営利活動法人国際連合世界食糧計画WFP協会事業部マネジャー・横浜市立大学大学院都市社会文化研究科博士後期課程) 瀬上氏は、現在、作成中の博士論文に基づいて報告をされた。 まず、ファンドレイジングはなぜ必要なのか?NPOの存在意義について、旧来からの「市場の失敗」「比較優位性からの存在意義」とは別に「対自発的感性主義」という新しい観点からNPOの存在意義について説かれ、続いて、ファンドレイジングについて「社会的課題の理解と共感」と定義された。さらに、活動資金が不足していること、そのためにファンドレイジングによる資金獲得が必要であるが、逆説的にそのファンドレイジングを実施するための資金も高額で用意することが難しい点をファンドレイジング・パラドックスとし、その課題と位置づけられた。そして、この課題の解決のために事例研究が必要となるとした上で、個人・企業のそれぞれからのファンドレイジングの成功事例の紹介と事例研究に対する分析結果について述べられた。 まず、個人からのファンドレイジングの成功事例としては、「かながわ寄付toカタログ」が紹介され、分析結果として「『地域性』がファンドレイジングの成功要因のひとつの鍵」であること、並びに、地域性が「『ファンドレイジング・パラドックス』の克服に資する」ことが報告された。 次に、企業からのファンドレイジングの成功事例のうち、WFPに関連する事例として「よこはまウォーキングポイント」が紹介され、また、企業を対象としたファンドレイジングと寄付に応じた企業の視点を明らかにするものとして「日本補助犬情報センター」と「SHAKE SHACK」による事例が紹介された。 この企業を対象としたファンドレイジングの事例研究に対する分析結果としては「個人の場合と同様に企業の場合にもファンドレイジングの成功要因として『地域性』という要素が影響していると推察することができた」とまとめられたが、「地域性」には強弱の差があること、個人と企業とにおいての捉え方が異なることが付言された。 最後に、地域を志向したファンドレイジングを「地域ファンドレイジング」と呼び、「地域ファンドレイジング」が海外支援においても有効であるかについての検討として「国連NPOの財務分析」「財務分析からの考察」が行われ、現時点における「仮説」がまとめられた。 以上の報告を受け、参加者からは、「ファンドレイジング・パラドックスについては、統計などに基づいて検証されているか?」「国連NPOの財務分析の結果としては、ファンドレイジング・コスト率が高く、寄付を効率的に使えていない団体がよいとされてしまうが、これは適当か?」「カントによる共感なき寄付との関連はどうか?」「共感の定義は、なにか?」「経済学的分析の観点から1,000のうちの6 つの事例だけで分析となるか?」「非営利法人を対象とするのであれば、他の法人形態についてもサンプルとして取り上げるべきでは?」「『地域性』や『共感』について、個人と企業がそれぞれに考える『地域性』『共感』があるのではないか?」など、多岐多様な質問が出され、活発な議論が展開された。質疑応答を含めて報告は2 時間を超えるものとなった。 第2報告「英国チャリティをめぐる近年の動向と制度対応 」 古庄 修氏(日本大学経済部) 古庄氏は、ご自身が2014年以後に公表された英国チャリティの財務報告に関連する6 篇の論考及び解説の内容を基に、その動向について報告された。 報告においてはまず、FRS第102号の公表に至る過程において、公益目的事業体(PBE)向け財務報告基準(FRSPBE)の設定が議論されたものの、FRSPBEは設定されず、英国においては、企業会計と非営利組織の会計の制度的枠組みを共通化したことの経緯について触れられた上で、企業会計との共通化、非営利組織間の会計基準の共通化の形態として、英国においては、2 つの概念フレームの上に1 つの財務会計基準(UKGAAP)があってそのなかにPBEに対する会計基準が含まれる形で位置付けられており、これと結びつきながらモジュール・アプローチとしてチャリティSORPが存在する3 層構造となっていることが確認された。 次いで、今回の報告の主題となる英国チャリティを巡り近年、発覚、発生した「Mrs Olive Cookeのケース」について紹介された。「Mrs Olive Cookeのケース」は寄付者を追い詰める寄付勧誘や断ることのできない(強制的な)寄付の存在を明らかにする事例であり、この一件が契機となって2016年にチャリティ法の改正が行われ、これにより新設された開示規定の概要について報告された。 さらに、2018年4 月に『公益・一般法人』に掲載された解説記事に基づいて、2017年7 月に改訂されたソフト・ローである英国チャリティのガバナンス・コード(チャリティ・コード)について、改訂の狙いと内容についての確認が行われた。また、チャリティ・コードにおいてApply or Explain(適用せよ、そうでなければ説明せよ)アプローチが採用されていることを前提として、その【推奨される実務】のなかから注目すべき点の抜粋確認が行われた。なお、チャリティ・コード改訂の背景には「Kids Companyの破綻」の存在などがあることが示された。 最後に、2020年度の本学会全国大会における統一論題の主題として、①東京五輪開催に合わせた競技団体のガバナンスとインテグリティ、②非営利法人におけるガバナンスをめぐる論点などを主催校として検討している旨が述べられた。 出席者からは、「チャリティ・コードの適用形式を区分する基準と外部監査の要否」「チャリティSORPにおける中小向けIFRSの適用可否」「チャリティ・コードにおける存続可能性について」「寄付勧誘から悲劇を生まないためのファンドレイジングを行う側の倫理規程のあり方」などの質問が出され、第1 報告に続いて第2 報告においても活発な質疑応答が展開された。質疑応答を含めて1時間半に及ぶ報告となった。 最後に今後の学会開催予定等について報告があり、18時10分頃、閉会した。 文責:上松公雄(大原大学院大学) ■第24回関東部会記 日時 : 2019年7月20日(土) 場所 : 日本大学 経済学部7号館(東京都千代田区) 1. はじめに 非営利法人研究学会第24回関東部会が、2019年7月20日(土)13時より、日本大学経済学部7号館2階講堂(東京都千代田区神田三崎町)において開催された。約40名の参加者を迎え、古庄修氏(日本大学経済学部)の司会のもと、3つの報告が行われた。 今回は、日本簿記学会簿記実務研究部会及び税務会計研究学会特別委員会との共催となった。これら3学会の各部会・委員会は、いずれも非営利組織の会計をテーマにしている点で一致し、今回の合同開催に至った。 2. 部会報告 最初に、非営利法人研究学会の齋藤関東部会長より、非営利組織の会計をテーマとして様々な観点から検討する3学会が合同で研究会を発表する意義が示された。 第一部 研究会 第1 報告「非営利法人の特質~会計・税務の観点から~」 齋藤 真哉氏(横浜国立大学) 齋藤氏は、会計を考察する前提として、まず近年の日本における非営利法人をめぐる環境制約の変化として、行政からの補助の削減や非営利法人において生じた不正について言及された。また、日本における非営利法人をめぐる会計や税務の動向を概観された。 次に、非営利法人の特徴としての特定のミッションの存在、残余財産に対する請求権者の不在、直接的反対給付を要しない財・サービスの受領の可能性等についてより詳細に報告された。 その他にも多くの点について詳細な報告がなされた後、まとめに入られた。特に非営利法人会計では、企業会計と同じ基礎概念で整理できるのか、何が同じで何が異なるのかについての明確化の必要性を強調された。合わせて、諸外国の基準をそのまま導入するのではなく、会計理論や日本の実情に照らして基準の内容の十分な検討が必要であるとされた。 第2報告「非営利組織体の簿記の現状把握と課題」 小野 正芳氏(千葉経済大学) 日本簿記学会簿記実務研究部会部会長である小野氏からは、非営利組織体における複式簿記の役立ちという観点から報告がなされた。部会では、パブリックセクターに含まれる地方自治体、地方三公社、独立行政法人、国立大学法人、公立大学法人とプライベートセクターの公益法人、NPO法人、医療法人、私立学校法人、社会福祉法人、宗教法人、農業協同組合まで広範囲にわたって研究がなされている。 非営利組織体への複式簿記導入の経緯として、⑴ 当初から非営利組織による複式簿記が求められている組織体、⑵ 収支計算及び財産目録の作成のための簿記処理から複式簿記による簿記処理へ移行した組織体、⑶ 未だ複式簿記による簿記処理が求められていない組織体とに区分して詳細な報告がなされた。また、簿記学会ということで、複式簿記の具体的な会計処理にも言及された。 第3報告「 非営利法人の課税をめぐる課題」 尾上 選哉氏(大原大学院大学) 税務会計研究学会特別委員会委員長の尾上氏からは、非営利法人の税務に係る各種の課題について報告がなされた。具体的には、以前の公益法人税制、新たな公益法人税制、非営利法人への所得課税の検討、法人税以外の特別措置等について言及された。 非営利法人には各種の税制優遇措置が採られているが、その理由が必ずしも明確でなかったり、様々な措置の間での整合性が不十分であったりする課題が示された。 第3報告終了後、齋藤真哉氏をコーディネーターとして、討論会・意見交換会が行われた。 フロアと発表者との間では、企業における複式簿記と非営利法人における複式簿記との違い、複式記入と複式簿記との違い、使途の指定された財産の受入れにかかる会計処理等をめぐり活発なやりとりがあった。 最後に今後の学会開催予定等について報告があり、17時30分頃、閉会した。 文責:金子良太(國學院大学) ■第23回関東部会記 日時 : 2019年5月11日(土) 場所 : 武蔵野大学 有明キャンパス(東京都江東区) 1. はじめに 非営利法人研究学会第23回関東部会が、2019年5 月11日(土)14時より、武蔵野大学有明キャンパス(東京都江東区)において開催された。18名の参加者を迎え、開催校の鷹野宏行氏(武蔵野大学)の司会のもと、1つの報告及びラウンドテーブルが行われた。 2. 部会報告 第一部 研究会 第1 報告「宗教法人法における機関の特徴―宗教法人法における機関の特徴から生ずる税務上の問題点に関する一考察―」(2018年度非営利法人研究学会関東部会短期研究)」 上松公雄氏(税理士・大原大学院大学) 上松氏より、宗教法人における機関の特徴の観点から、宗教法人法上の役員でない者が法人税法上の役員となる可能性があるため、宗教法人法において役員の範囲を明確にする必要性に関する報告がなされた。 宗教法人における機関を、一般社団法人、社会福祉法人、学校法人と比較検討を行い、以下の4つの特徴をあげた。①合議制機関及び監事が必置機関とはなっていない。②役員の範囲が明確ではない。③職務・権限について規定されているのは責任役員及び代表役員のみである。④登記すべき者は代表権を有する者となっている。このような特徴が宗教法人法の役員と法人税法上の役員との範囲が異なる要因となっている可能性を示唆した。また、法人税法上の役員の範囲は①役員の例示及び②実質的経営従事者という2つの観点を判断基準とするが、宗教法人の機関は法人税法上の役員の例示には該当しない。このため、実質的経営従事者であるかどうかによって法人税法上の役員該当性を判断すべきことになり、代表役員に関しては職務・権限の内容から法人税法上の役員に該当するものと判断されるが、責任役員については法人の規則において定める職務・権限の内容に基づいて判断する必要がある。さらには、宗教法人は設置すべき機関が不明確であり、理事及び監事が存在しないため、他の非営利法人とガバナンスの有効性と役員の課税について不公平が生じる可能性が否めない。 フロアからの主な質問とそれに対する回答は以下のとおりである。 旧宗教法人令の施行下において宗教団体か否かの線引きの根拠はどこにあったのかという質問に対しては、旧宗教團體法の定めるところが前提とされていたものと理解されるとの回答であった。 宗教法人はガバナンスが有効に機能しておらず、特定の者が優遇されている可能性があること及び、本来役員でない者が税法上の役員として認定されてしまい税務上不合理に扱われている可能性があるという問題があると理解してよろしいかという質問には、そのような理解で問題ないとの回答があった。 なぜ宗教法人法に監事に関する規定が明文化されていないのかという質問については、今後、竹内先生との共同研究で明らかにしていくとの回答であった。 宗教法人法の機関に関する課題が浮き彫りになり、フロアからの質問も宗教法人に関する本質的な議論となり活発な質疑応答となった。 第二部 ラウンドテーブル 第2報告「非営利組織の財務報告~JICPA非営利組織会計検討会の提案~」 齋藤真哉氏(横浜国立大学) 齋藤氏から2019年4月にJICPAから公表された「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」(公開草案)に関する報告がなされた後にディスカッションが行われた。 非営利組織の社会的役割期待の大きさや自立した運営の必要性、さらには監督官庁ごとに異なる会計基準が作られている会計コストを考えると、非営利組織に関する会計基準の統一化を図ろうとすることには一定の意義があるとされた。 齋藤氏より次の問題点も指摘された。財務報告には、財務情報と非財務情報を含むとされているが、その質的特性や財務諸表の構成要素等に非財務情報がいかに反映されているのか不明である。多様な情報利用者と基礎概念との関係にもあいまいさが残る。財務諸表の構成要素に純資産が含まれているのに、活動計算書により計算される純資産増減額が含まれないのか。 報告の後、フロアも含めたディスカッションが、次の論点等について行われた。財務諸表の構成要素について、基本金のように非営利法人の資本や余剰について別の定義づけや異なる勘定科目を設定することは有用であり、基本財産額や余剰のような概念を用いてステークホルダーの理解に資することが必要ではなかろうか。また、純資産の拘束別区分に関しては、 3区分とされたことに関して、拘束の程度によって分けるべきであるが、時代の変遷や寄付者の死亡等により寄付の意図を確認できなくなること等のために、ガバナンス上は寄付者の意図は管理するべきであるものの、拘束性を3区分として表示することはほとんど不可能であり、別資料として開示する方法も有用ではなかろうか。この論点については、アメリカ基準が3区分から2区分へ変更した理由や歴史的背景を交えて議論が交わされた。 ディスカッションは活発に行われ17時15分頃、閉会した。 文責:榮田悟志(武蔵野大学) ■第22回関東部会、北海道(合同開催)記 日時 : 2019年3月8日(金) 場所 : (一財)産業経理協会(東京都千代田区) 1. はじめに 非営利法人研究学会北海道・関東合同部会が、2019年3 月8 日(金)13時より、一般財団法人産業経理協会2 階会議室(東京都千代田区神田淡路町)において開催された。約20名の参加者を迎え、関東部会長の齋藤真哉氏(横浜国立大学)の司会のもと、4 つの報告が行われた。 2. 部会報告 第一部 非営利法人の現場との交流 第1 報告「非営利法人の現場との交流」 田代恭之氏(一般財団法人産業経理協会 事業部マネージャー) 産業経理協会は、会社、その他諸団体における財務、経理等の研究、調査及び普及を行う目的で活動している団体である。1941年9月13日に日本原価計算協会の名称で発足してから現在まで80年近くに及ぶ活動を重ねている。1946年に財団法人産業経理協会と改称し、その後公益法人制度改革のもとで2013年4 月1 日より一般財団法人産業経理協会へ組織変更し、現在に至っている。2017年6 月より、会計学者の安藤英義氏が会長に就いている。会計学者を始めとする大学教員が、多く理事や評議員に就いていることも特徴的である。 田代氏からは、法人の各種事業について説明があった。主要事業としてセミナー(役員・幹部向け)、短期講習会(実務担当者向け)、講座(実務担当者向け)、研究会(専門領域に応じて現在9 の研究会)、機関紙(産業経理を年4 回発刊)がある。いずれも非常に歴史の長いもので、多くの企業が会員となっている。もっとも、リーマン・ショック以降は法人会員が減少しその後も会員数は伸び悩みの傾向がある。近年は法人へ向けての営業活動を強化していること、様々な類型の賛助会員制度を設けていることが説明された。 産業経理協会は、筆者も『産業経理』に寄稿したことがあり、会計学研究者には非常に身近な存在で、参加者による様々な質問が行われた。学会会場として会議室を提供いただいたことにも、感謝申し上げたい。 第二部 研究会 第2報告「 Fiscal SponsorshipとPro Bono」 早坂 毅氏(早坂毅税理士事務所) 早坂氏からは、非営利組織の不祥事防止研究会のプロジェクトとして、2018年12月2 日~12日の行程でアメリカ西海岸の非営利組織や法律事務所を調査した報告があった。早坂氏ら3 名は、非営利団体の活動が活発であるアメリカ西海岸、とりわけ先進地区として有名なサンフランシスコ市内でのインタビュー調査を企画、実施した。 Fiscal Sponsorshipは、非営利組織が他の小規模非営利組織の後方事務や組織運営支援、具体的には財務、コンプライアンス、助成金管理、人事管理や社会保険等のサービスを提供することで組織運営を支援するものである。早坂氏は、多くの非営利組織を支援するTidesへの訪問調査事例を報告された。Tidesは、環境、医療、労働問題、移民の権利、同性愛者の権利、女性の権利等の分野で先進的な政策を推進する団体であると同時、多くの小規模組織の支援も行っている。非常に安価な対価で、多くの組織の広範な後方支援を行っている。 このほか、早坂氏からはPro Bonoの先進的事例として法律事務所のMorrison and Foerster法律事務所が仕事の5 %をPro Bonoへ使うよう奨励されている事例も示された。 参加者からは、Fiscal Sponsorshipについての質問や、日本での実態等を巡って様々な質問が交わされた。 第3報告「18世紀の懐徳堂の帳簿」 水谷文宣氏(関東学院大学) 水谷氏からは、日本の実務における資本維持計算の必要性を現金主義の時代から探るという問題意識のもと、18世紀の帳簿について報告があった。 報告で使用された帳簿は教育を行う組織の『懐徳堂義金簿』であり、1781年(天明元年)にさかのぼるという。そして現在は、大阪大学の懐徳堂文庫に大量の資料が保存されている。水谷氏は、大阪大学を訪問して調査を行った。そして、それらを踏まえた上で資本維持計算は民間非営利組織でも必要であり、減価償却が必要である旨を報告された。 参加者からは、「資本維持」の意義や、減価償却の目的等をはじめ多くの質問がなされた。 第3報告「 地場産業産地における商工共同システムの変化 有田焼産地を事例として」 東郷 寛氏(近畿大学) 東郷氏からは、商工協業システムたる「事業システム」の変容の視点から有田焼産地の発展過程を明らかにすることを目的にした研究として、業界レベルでの産地発信型・事業システムについての報告があった。そして、有田を出自とする新興商業者や新興窯元集団による新たな事業システム(有田焼のブランド化を企図)の構築が明らかにされた。 参加者からは、本報告と非営利組織・活動との関係、有田焼産地の近年の動き等の質問があった。 文責:金子良太(國學院大學) ■第21回関東部会、医療・福祉系法人研究会(合同開催)記 日時 : 2018年7月7日(土) 場所 : 國學院大学渋谷キャンパス(東京都渋谷区) 1. はじめに 非営利法人研究学会第21回関東部会、医療・福祉系法人研究会(合同開催)が、2018年7月7日(土)14時より、國學院大学渋谷キャンパス(東京都渋谷区)において開催された。17名の参加者を迎え、開催校の金子良太氏(國學院大学)の司会のもと、2つの報告が行われた。 2. 部会報告 第一部 非営利法人の実務報告 第1 報告「日本体育施設協会が実施する指定管理者外部評価の実務」 本間 基照氏 (MS&ADインターリスク総研株式会社) 本間氏より、体育施設を外部者の立場から評価する指定管理者という実務家の視点から、指定管理者の必要性、実施している業務の概要及び外部評価の課題に関して説明があった。 指定管理者外部評価を受けるか否かは原則として自由であり受ける目的も様々であるが、安全な利用を目的として、地方自治体は評価を受けることを義務付けている場合がある。体育施設の管理を適切に行い、利用者数を多くすることを目的とすることや、床が剥がれて利用者が怪我をするような施設の老朽化による事故が起こることを未然に防ぐとういう観点からも外部評価の意味は大きいといえる。また、指定管理者制度による評価の目的の一つとして、民間企業が体育施設に関する入札に参加することができる参入障壁を下げることにもある。いわゆる外郭団体のみで体育施設を運営するのではなく、スケールメリットが得やすく、経営のノウハウを持っている民間企業も体育施設の運営に参加を促すことによって、利用者の効用を高めることにも資すると考えられる。 評価実施項目として、安定的経営姿勢・運営実施体制、コンプライアンス、施設の効用の最大限発揮、安全管理、地域交流などがある。 フロアからの質問とそれに対する回答は以下の通りである。評価は時代や利用者のターゲットの別で行っているのか、また、時代に応じて評価を変化する予定があるのかという質問に対しては、年度末に項目の見直しを行っており、今後も考慮していかなければならないとの回答であった。温水プールに関して、近くにごみの焼却場がある場合とない場合では、燃料費がかなり違うが、置かれている環境制約によって評価も変化させているのかという質問には、1人あたりの利用料などで評価しているので、環境制約は考慮していないので今後の課題としたいとの回答であった。評価指標においては、公益目的を念頭においた指標を設けるほうが良いのではないだろうかという意見があった。地方と都心では利用者や集客力が大きく異なるので、施設の可変性(観客席、女子トイレと男子トイレの数など)等は評価項目として重要視されるべきではないかという意見があがった。 実務の現場の実情と課題がわかる大変興味深い発表であり、フロアからの質問も評価項目に関する本質的な議論となり活発な質疑応答となった。 第二部 研究会 第2報告「社会福祉法人充実残額の算定傾向に関する分析」 千葉正展氏 (独立行政法人福祉医療機構) 千葉氏からは、社会福祉法人の社会福祉充実残額の算定に関して、厚生労働省の示した算定式では内部留保以外の要因の混在や特例計算などによって、過大もしくは過小評価されている可能性があることから、充実残額算定式の見直しの要否に資する傾向分析に関する報告がなされた。例えば、建物等の耐用年数は借入金の借入期間を超過していることにより、借入金完済後から耐用年数到来の期間の減価償却費による回収資金が内部留保に混在しているため充実残額が過大評価される可能背がある。また、特例計算によって充実残額が過小評価される可能性も指摘される。この計算方法については、施行後の実施状況を踏まえ検討することとされ、算定制度の傾向分析を行う必要がある。そのほか充実残額については検証機能がないため、算出された金額の正確性に関して保証されていないというという制度上の問題点の指摘がなされた。 フロアからは、そもそも、社会福祉法人の内部留保に関する批判はなぜ出てしまったのか、という質問があがった。これは数字的根拠なき批判であったため、内部留保である社会福祉充実額につき充実計画の策定及び実行がなされることになったという経緯の説明がなされた。内部留保そのものに関する社会的な見解の問題ともいえる本質的な議論である。また、社会福祉充実額の数値の正確性に関する質問では、充実計画は充実額がプラスの場合にのみ作成すればよく、マイナスの場合には作成されず、作成されない場合には会計監査対象外であり、充実残額の算定課程におけるマイナスされる金額の適正性は担保されないという監査の盲点も明らかとなった。 各報告とも多くの質疑応答や質疑に基づく議論が活発になされ、議論は予定時間終了後も続き、17時20分頃、閉会した。 文責:榮田悟志(武蔵野大学) ■第20回関東部会記 日時 : 2018年5月19日(土) 場所 : 武蔵野 大学有明キャンパス 1. はじめに 非営利法人研究学会第20回関東部会が、2018年5月19日(土)14:00より、武蔵野大学有明キャンパスにおいて開催された。18名の参加者を迎え、開催校の鷹野宏行氏(武蔵野大学)の司会のもと、三つの報告が行われた。 2. 部会報告 第1 報告「一般法人の非営利性についての再検討」 古市雄一朗氏(大原大学院大学) 古市氏より、まず、一般法人(一般社団・財団法人)は非分配制約を満たしていないのではないかという問題認識に関する説明があった。次に、非分配制約の意義、非営利組織に非分配制約が徹底されない事の問題点に関する検討の説明があった。前者の非分配制約の意義としては、非営利法人と営利法人を区別するメルクマールとして機能すること、契約の失敗を解消することなどがあげられた。後者の問題点としては、非営利性のある法人とそうでない法人が混在している法人が混在していること、非営利を謳いながら非営利法人として活動する恩典を用いて活動し利益を蓄積した上で特定の個人に対して利益を提供する余地が残されていることなどがあげられた。帰結として、残余財産の分配の可能性を残している一般法人は、厳密な意味での非営利性を有していない可能性があることが指摘された。 フロアーより、残余財産の分配の余地が残されている法人が非営利法人として一般法人の中に含められている制度的背景などに関して質問がなされ、活発な議論が展開された。 第2報告「非営利組織に関する一考察」 松原由美氏(早稲田大学) 松原氏より、まず、「非営利組織とはどういう組織か」というテーマに関する説明があった。次に、非営利組織の定義、非営利組織の利益概念を検討した内容が説明された。非営利組織の定義に関する検討は、非分配性を捉えた一般的な定義には問題があるとし、営利ではないことを捉えた定義とすべきとの提案がなされた。また、非営利組織の利益概念の検討では、非営利の利益概念と営利の利益概念を対峙させ、前者を将来のコスト、後者を儲けとして研究されている。考察として必要利益(許容範囲)の概念、将来の建替えコストなどの将来の非営利事業のためのコストに対する引当金設定の導入、さらに実質配当禁止の措置をもって、非営利組織の名にふさわしい経営を実現することが示唆された。 フロアーより、許容範囲設定のあとの処理はどうなるのか、提案された定義がいかなる問題を解決するか、などの質問がなされ、活発な議論が展開された。 第3 報告「収支相償の判断における調整項目の検討~特定費用準備資金の取り扱いを中心として~」 榮田悟志氏(武蔵野大学) 榮田氏より、まず、特定費用準備資金の利用の低さに関する問題点の説明があった。次に、収支相償の判断を伴う特定費用準備資金の利用に関する考察があり、どのような条件であれば特定費用準備資金の利用が高まるかについての検討がなされた。帰結として収支相償計算の調整項目としての特定費用準備資金の使用に関して、第一段階と第二段階で繰入れの意味合いが異なるため異なる取り扱いをすること、また公益目的事業で儲けた分は公益に還元するという考えにより、特定費用準備資金を利用しやすい環境整備が提起された。しかしながら、収支相償を求める場合には、会費、寄付金、補助金等を経常収益として収支相償の判断の計算に含めるか否かなども議論の余地があり、特定費用準備資金の繰入れと取崩しなどと総合的に議論されるべきであることも主張された。 フロアーより、特定費用準備金の利用が20%という内閣府公表の数値に対して、その利用により収支相償を達成する必要がある法人に限れば60%を大きく上回る数値となるという指摘もあった。また、制度の運用に関して、監督官庁及び公益法人との間に認識のずれが生じている可能性もあるなどの指摘もあり、活発な議論が展開された。 文責:山田和宏(横浜国立大学博士課程後期) ■第18回関東部会記 日時 : 2017年11月26日(月) 場所 : 武蔵野 大学有明キャンパス 1. はじめに 非営利法人研究学会第18回関東部会が、 2017年11月26日(日)13時30分より、武蔵野 大学有明キャンパス 1 号館(東京都江東区有明)において開催された。約20名の参加者を迎え、開催校の鷹野宏行氏(武蔵野大学)の司会のもと、3つの報告が行われた。 2. 部会報告 第一部 非営利法人の現場との交流 第1 報告 中村英正氏(公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 CFO) 2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの準備及び運営を担うことを目的に設立された公益財団法人である。日本オリンピック協会と東京都とが1 億5 千万円ずつを出捐して2014年に発足し、その後東京都は57億円の追加出捐を行っている。 中村氏からは、実務家の立場から、組織の活動内容や公益法人の課題について報告があった。まず、2020年のオリンピックを成功させることを目的とした団体で、大会終了後は清算が予定されている点が(他の公益法人と異なる)大きな特徴である。また、役員数はオリンピック・パラリンピックが国、自治体、スポンサー企業、スポーツ団体等多くの関係者を巻き込んでいくイベントだけあって、35名と非常に多い。通常3 か月に1 回で開催される理事会の開催日程の調整には大変な苦労を伴うが、多くの理事が多忙な日程をやりくりして参加されているとのことであった。また、財団に勤務する職員も、東京都、国、スポンサー企業、スポーツ団体等の出身である。当然出身母体ごとに仕事のやり方は大きく異なっており、その点での調整の苦労もうかがい知ることができた。もっとも、「オリンピック・パラリンピックを成功させる」という使命(ミッション)が極めて明確な組織であり、いわゆる「アイデンティティ・クライシス」に陥ることはないとのことであった。 フロアからは2020年のオリンピックを開催するまでの毎年度の収支相償をどう考えるか、オリンピック終了後の清算において不足や剰余が発生した時の取扱いをどうするのか等、多くの質問が提起され、質問は14時半頃まで続いた。1 時間半近くにわたる中村氏の説明と質疑応答は、公益法人の運営のみならず東京オリンピック・パラリンピックへの興味をかきたてるに十分なものであった。 第二部 研究会 第2報告「非営利組織とはどのような組織か」 松原由美氏(早稲田大学) 松原氏は、まず「非営利」そして「非営利 組織」の定義が抱える問題点について明らか にされた。また、営利組織と非営利組織の利 益は似て非なるものであり、これを同一視して議論することは適切ではないと主張された。 また、非営利組織の利益概念の特徴についても言及された。特に通説に対する異論や、非営利組織に対する一般的な誤解を問題意識として報告がなされた。 フロアからは、「非営利」や「利 益」の定義をめぐって質問があり、その後活発な議論 が交わされた。 第3 報告「韓国のフードバンクと現物寄付の評価」 上原優子氏(立命館アジア太平洋大学) 上原氏からは、近年わが国でも注目が高まっているフードバンクを主題とした発表が行われた。フードバンクとは、様々な理由で処分されてしまう食品を、食べ物に困っている人に届ける活動である。米国での活動が盛んであるが、近年わが国でも活動が活発化している。発表は韓国のフードバンクに焦点を当て、韓国では経済の停滞や貧富の格差によりそれを必要とする人が増加し、政府がフードバンクの活動に深くかかわっていることが報告された。また、韓国では(米国と異なり)基本的に単式簿記で収支計算を行い、財務諸表は一般に公開はしていない。ただし、寄付食品の利用状況については公表しているとのことであった。 今後わが国でもフードバンクの会計上の取扱い、寄付食品の評価等が課題となるという課題が提起され、発表が締めくくられた。 フロアからは、寄付食品の評価の方法や米国のフードバンクとの違い等について質問があった。 各報告とも活発な質疑応答があり、16時50分頃、閉会した。 文責:金子良太(國學院大学) ■第17回関東部会記 日時 : 2017年8月20日(日) 場所 : 横浜国立大学みなとみらいキャンパス 1. はじめに 非営利法人研究学会第17回関東部会が、2017年8 月20日(日)13時より、横浜国立大学みなとみらいキャンパス(神奈川県横浜市西区みなとみらい)において開催された。15名の参加者を迎え、開催校の齋藤真哉氏(横浜国立大学)の司会のもと、3つの報告が行われた。 2. 部会報告 第一部 非営利法人の現場との交流 第1 報告「社会福祉法改正後初めての決算を実務から振り返る」 船山 奨氏(税理士法人みらいコンサルティング) 船山氏より、税理士という実務家の立場から、社会福祉法改正の背景、趣旨及び課題に関して説明があった。まず、経営組織のガバナンス強化の観点から理事・理事長に対する牽制機能及び一定規模以上の社会福祉法人に対する公認会計士等による法定監査の義務付けの説明があった。これに関連して、厚生労働省及び日本公認会計士協会と連携して専門家の活用による法定監査対象外の社会福祉法人に対する事務処理体制を向上する目的の支援実施報告書を日本税理士会連合会会長から税理士会会長宛に周知のお願いが公表されたことが説明された。事業運営の透明性の確保に関しては、役員報酬基準及び役員区分ごとの報酬総額の記載に関する説明があった。また、社会福祉法人は公益性が強い事業を営んでいるため、本業については法人税を非課税とするべきではなかろうかとの意見も示された。 フロアからは、法定監査における公認会計士の独立性の問題、税理士の行う支援業務との住み分けに関する問題や、行政監査との比較などの議論が交わされた。また、理事の報酬に関しては、評議員会での承認が必要となり透明性が確保されているが、個人別の開示がなされていないなど問題が多く残っている点が指摘された。さらには充実計画に関する説明に対して実務ではどのような取扱いがなされているのか、残額がある法人の割合はどの程度なのかという実務の現場に関する質問も寄せられるなど、大変興味深い実務家の観点からの発表であった。 第二部 研究会 第2報告「非営利組織の内部留保」 石津寿惠氏(明治大学) 石津氏からは、公益法人、学校法人、社会福祉法人に関する内部留保に関して、会計情報として適切に開示することの必要性と、その仕組みとしての短期的な単年度の収支バランス(収支相償:公益法人、収支均衡:学校法人、社会福祉充実計画:社会福祉法人)と会計情報がリンクされることの必要性が示された。これにより社会から批判が多い非営利組織の内部留保の状況を明らかにし、会計情報として適切に開示することができると示唆された。 また、短期的なバランスとは、資金収支ではなく発生主義による収支であることが示された。 フロアからは、公益法人、学校法人、社会福祉法人の異なる法人に適用される会計基準を同じ土俵に上げて論じることに関する質問があがり、収支バランスと内部留保のリンクに関するさらなる説明がなされ、非営利組織の社会的意義に立ち返った議論も交わされた。 第3 報告「セクター中立会計の課題と可能性」 金子良太氏(國學院大学) 金子氏からは、ニュージーランドは20年の間にセクター中立会計を導入したがそれを廃棄したという事例が紹介され、セクター中立会計及び非営利組織会計の統一的枠組みを考えていく方向性や、多様な利害関係者の利害調整に関する研究の必要性が示唆された。営利組織、非営利組織、公的組織といった各セクターについてひとつの会計基準を共有するという極論を検討することにより、非営利組織の会計に関する位置づけや問題点を明らかにするといった意義があることや、営利・非営利・政府といった組織目的が異なることが会計の違いにはつながらないというアンソニーの主張が紹介された。 フロアからは、ニュージーランドがセクター中立会計を廃棄した経緯について、IFRS自体の問題なのか、IFRSの適用には限界があることは分かっていたが最終的に諦めたのかという質問がなされ、IFRSを適用することができる組織などに関する議論が行われた。また、セクター中立会計を現時点で導入している国はあるのかという質問に対して、完全ではないが、オーストラリアやイギリスなどがある旨が回答された。 各報告とも多くの質疑応答があり、議論は予定時間終了後も続き、17時40分頃、閉会した。 文責:榮田悟志(武蔵野大学) ■第16回関東部会記 日時 :2017年7月8日(土) 場所 :日本大学経済学部7号館 非営利法人研究学会第16回関東部会が、2017年7 月8 日(土)13時より、日本大学経済学部7 号館(東京都千代田区三崎町)において開催された。20名以上の参加者を迎え、開催校の古庄修氏(日本大学)の司会のもと、3 つの報告が行われた。 ■第1部 非営利法人の現場との交流 ■第1報告 浅川伸氏(公益財団法人 日本アンチ・ドーピング機構 通称JADAJapan Anti-Doping Agency) JADAは、ドーピング検査やドーピングに関する啓発活動を行う機関である。日本オリンピック委員会(JOC)、日本体育協会(JASA)、日本プロスポーツ協会(JPSA)を中心にして、2001年(平成13年)に創立された。浅川氏から、実務家の立場から、組織の活動内容や公益認定をめぐる課題について話があった。まず、数年前に大きな話題となったロシアによる組織的なドーピング問題と、その後の経過について話があった。ドーピングによって、オリンピック等の競技大会の信頼性は失われ、ルールを守って参加するアスリートに不公平な結果となってしまう。2020年の東京オリンピックを成功させるためには、ドーピングを絶対に認めない毅然とした態度と違反を摘発する仕組みの強化が必要であることを認識させられた。 公益法人の運営に当たっては、理事会や評議員会といった法人運営の方向性を決める会議が頻繁に行われない中で、日々の業務運営を行う常勤職員には運営の決定権限があまりないことが、スピード感のある法人運営を難しくしていることが示された。特に、多くのステイクホルダーを抱える組織においては理事会等が肥大化する傾向にある。ドーピングなど日々刻々と動く事態に対応していくために、また基本財産(JADAの場合、基本財産は6,700万円)の運用収益が極めて限定的となっている現状では、社会のニーズに応えて法人が存続していくために素早い意思決定や現場への権限移譲が不可欠であるとの説明があった。 JADAの公益財団法人化に際しては、法人の意思決定や業務運営がスピード感・緊張感をもってなされるよう組織変革が行われたとのことである。 フロアからはJADAの収支や世界的組織(WADA)との関係、公益財団法人化がもたらした影響等、多くの質問が提起され、質問は15時頃まで続いた。2 時間近くにわたる浅川氏の説明と質疑応答は、公益法人の運営のみならず東京オリンピック等への興味をかきたてるに十分なものであった。 ■第2部 研究会 ■第2報告 猫崎隆之氏(ニッシントーア・岩尾株式会社)「公益法人会計基準における意義と課題」 猫崎氏からは、公益法人会計基準が改正された経緯、その後の公益法人制度改革と会計基準との関係等について、報告がなされた。そして、特に平成20年改正の会計基準には理解可能性に問題があること、内訳表の作成など現場にも多くの負担がかかっていることが説明された。また、公益法人会計には説明責任の履行が期待されていることが示された。 フロアからは、公益法人会計基準の「意義」と「課題」をより明確にすることが必要であるとの助言があった。 ■第3報告 伊藤 葵氏(富山国際大学)「非営利セクターにおける中間支援組織の重要性」 伊藤氏からは、公共サービス提供における中間支援組織の重要性について、組織間関係論の視点に基づき、報告がなされた。中間支援組織では多様なステイクホルダーをつなぐセクター間調整機能が弱い傾向にあると推測され、この機能の拡充が課題であることが示された。 フロアからは、中間支援組織の定義づけや公的サービス提供という視点から研究を行った理由等について質問がなされた。 各報告とも多くの質疑応答があり、議論は予定時間終了後も続き、17時40分頃、閉会し た。 文責:金子良太(國學院大学) ■第13回関東部会記 日時 :2016年5月14日(土) 場所 :武蔵野大学有明キャンパス 1. はじめに 第13回関東部会が武蔵野大学有明キャンパスを会場に開催された。齋藤真哉部会長の挨拶後、部会長(第1 報告)及び鷹野宏行氏(第2・3報告)の司会により研究報告が行われた。 2. 部会報告 ■第1報告 榮田悟司・鷹野宏行氏(武蔵野大学)「産後ケア施設をめぐる制度・運営・組織形態研究序説」 榮田・鷹野両氏の報告では、出産直後の産褥期における母子に対する産後ケア施設の制度設計を検討するために、今回は世田谷区が武蔵野大学に土地を提供し事業運営を委託している「武蔵野大学付属産後ケアセンター桜新町」を題材として採り上げ、産後ケア施設の実態を明らかにし、法的整備の必要性が検討された。 まず、少子化対策が社会問題となっている昨今にあって、産褥期における母親の精神的・肉体的ケアの重要性が指摘された。そして、現在では多くの自治体等において、産後ケア事業や産後ケア施設への補助が行われるようになっているが、産後ケア事業・施設の認知度、自治体の補助、施設等の利用率に地域差が存在すると同時に、産後ケア・サービスそのものにも大きなバラツキがあることが問題の所在として採り上げられた。 そして、今後の産後ケア施設の拡充のために課題となる法的な整備についての検討が加えられた。今回の報告はタイトルにもあるように「序説」であり、今後、自治体へのアンケート調査、産後ケアの先進国といわれる韓国の産後ケア施設への訪問や実態調査などを行い研究を取りまとめていきたいとのことであった。 ■第2報告 金子良太氏(國學院大學)「非営利組織における規模別の会計基準導入の可能性」 金子氏の報告では、非営利組織には中小組織が多く、会計規制においては規模別の配慮が必要であるとの問題意識から、ニュージーランド(以下、NZ)で導入された非営利組織の規模別会計を例として挙げ、規模別会計基準導入の可能性の検討が行われた。 まず、NZの非営利組織の会計について、歴史的経緯を含めた概要が紹介された。NZでは2000年代に入ると企業会計に基づくセクター中立会計が、そして2007年からはNZ版IFRSが非営利組織に適用されていたが、2011年にその廃止が決定され、2015年4月から「事業費用」を基準とする非営利組織の規模別会計基準が導入された。なぜこのような会計枠組みの大幅な変更を伴う改革が行われたかについて、従来の会計基準は非営利組織に順守されておらず、順守される規制構築の必要性があったと報告者の見解が明らかにされた。 次いで、事業費用の金額により4区分された規模別会計基準の概要が紹介され、各区分での財務報告の実態が明らかにされた。 最後に、公益法人会計基準における「中小組織版」会計基準の検討結果を踏まえ、法人類型別に非営利組織の会計基準が設定されているわが国の現状で、NZのような規模別会計基準の策定の是非などが議論された。 ■第3報告 千葉正展氏(独立行政法人福祉医療機構)「社会福祉法人制度改革の背景と諸問題」 千葉氏の報告では、近時の社会福祉法人制度改革の背景及び内容の概括をし、制度改革で未解決となっている課題の検討が行われた。 まず、制度改革の背景として、次の5 つが挙げられた。①会社法の創設や公益法人制度改革等が進む中で、社会福祉法人の他の法人と比較したガバナンスレベルの相対的低下、②世論などにおける社会福祉法人の内部留保に対する批判、③社会福祉事業から「社会福祉事業と福祉サービス」という新しい公共概念(福祉の範囲の変化)、④公益法人等に対する法人税課税の議論、⑤不適正事案の発生。 そして、「経営組織のガバナンスの強化」、「事業運営の透明性の向上」、「財務規律の強化」、「地域における公益的な取組みを実施する責務」、「行政の関与のあり方」という視点で制度改革が進んでいることが指摘された。 制度改革における課題として、①会計監査人監査の費用対効果、②社会福祉充実残額の算定、③社会福祉充実事業、地域における公益的取組の責務と財源、④法人の経営管理機能(ガバナンス)強化と財源を採り上げて検討が行われた。特に、世論の内部留保批判に対応するためには、社会福祉法人の余裕財産の明確化が必要であり、そのために「社会福祉充実残額」という概念を用いて分析が行われた。 文責:尾上選哉(大原大学院大学) 関東部会報告 アンカー 1
- 受賞者一覧 | 公益社団法人 非営利法人研究学会
学会賞・学術奨励賞の受賞者一覧 ■学会賞受賞者一覧 (号、受賞日、氏名、受賞著書または論文名、発行所・掲載誌) 第1号 平成14年7月27日 堀田和宏 非営利事業の社会的機能と責任 学会誌Vol.4 第2号 平成16年9月4日 小島廣光 政策形成とNPO法―問題、政策、そして政治 有斐閣 第3号 平成18年9月1日 藤井秀樹 非営利組織の制度進化と新しい役割 学会誌Vol.8 第4号 平成21年9月26日 伊藤研一・道明義弘 大統領府創設の“ねらい”―行政組織の効率測定と予算配分:サイモンとバーナード 学会誌Vol.11 第5号 平成28年9月17日 李 庸吉 医療紛争の法的分析と解決システム―韓国法からの示唆― 晃洋書房 第6号 令和元年9月15日 黒木 淳 非営利組織会計の実証分析 中央経済社 第7号 令和7年10月10日 森美智代 日独医療機関の組織再編と会計 森山書店 ■学術奨励賞受賞者一覧 (号、受賞日、氏名、受賞著書または論文名、発行所・掲載誌) 第1号 平成14年7月27日 梅津亮子 看護サービスの活動レベルの原価標準設定 学会誌Vol.4 第2号 平成15年10月11日 今枝千樹 非営利組織の業績評価と会計情報拡張の必要性 学会誌Vol.5 第3号 平成15年10月11日 江頭幸代 環境コストと撤去コスト 学会誌Vol.5 第4号 平成17年9月10日 吉田初恵 介護保険制度改革に向けての論点 学会誌Vol.7 第5号 平成20年9月4日 池田享誉 非営利組織会計概念形成論 森山書店 第6号 平成23年9月14日 佐久間義浩 非営利組織における内部統制の現状―自治体病院におけるアンケート調査による分析― 学会誌Vol.13 第7号 平成25年9月21日 深山誠也 社会福祉法人の競争戦略と組織―高齢者介護組織を対象とする実証研究― 学会誌Vol.15 第8号 平成26年9月10日 後藤祐一 戦略的協働の経営 白桃書房 第9号 平成28年9月17日 佐藤 恵 非営利組織会計の純資産区分に関する試論―財務的弾力性の観点から― 学会誌Vol.18 ■学術奨励賞特賞受賞者一覧 (号、受賞日、氏名、受賞著書または論文名、発行所・掲載誌) 第1号 平成22年9月4日 江田 寛 NPO会計基準を民間で作成することの意義 学会誌Vol.12
- 第17回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会
第17回大会記 2013.9.21-22 近畿大学 統一論題 非営利法人における制度・会計・税制の改革を総括する 日本大学大学 古庄 修 非営利法人研究学会第17回大会は、本年9月21日(土)から9月22日(日)の日程で、大阪府東大阪市の近畿大学(大会実行委員長 吉田忠彦近畿大学教授)において開催された。 本大会の統一論題は、「非営利法人における制度・会計・税制の改革を総括する」であり、大会初日の理事会等に引き続き、2日間にわたり会員各位の多彩な研究成果が披瀝された。 以下、ここでは本学会プログラムのなかで統一論題報告、部会報告および特別公開セッションにおける報告と討論の概要をお伝えする。16篇に及ぶ個人または共同研究に基づく自由論題報告については、いずれも研究意欲旺盛かつ学会の発展に資する内容であったが、紙幅の都合上、割愛させて頂く。 なお、会員総会の開会に先立ち、本研究学会の常任理事として草創期の学会運営ならびに学会誌の編集に一方ならぬご尽力を賜った故川崎貴嗣氏のご冥福を祈り、氏に対する感謝とともに黙祷が捧げられたことを付記したい。 【統一論題報告】 大会2日目に、本大会を記念し、出口正之氏(国立民族学博物館教授)による基調講演「公益法人制度改革を総括する—移行期間終了を目前に控えて—」が行われた。出口氏は、内閣府公益認定等委員会の第1期(非常勤)および第2期(常勤)の6年間にわたり当該委員を務められた。氏の見識と深い洞察に基づく公益法人制度改革の経緯の詳細な説明と総括を受けて、広く非営利法人をめぐる税制、会計および制度の各観点から、上記統一論題報告が行われた。 登壇した3名の報告者とテーマは、①成道秀雄氏(成蹊大学教授)「非営利法人税制の今後の課題」、②古庄 修(日本大学教授)「非営利法人会計基準の統一問題—わが国における財務報告制度改革を指向して—」、③齋藤真哉氏(横浜国立大学教授)「非営利法人制度の現状と課題」であった。 成道氏は、平成20年度における非営利法人課税の大改正をふまえて、問題点の整理と今後の課税の在り方について議論を展開された。氏は、非営利型法人の要件充足を確認する制度を設けるべきこと、一般社団・財団法人法第131条に基づく基金の課税上の性格が検討されるべきことを提言するとともに、公益認定法人と非営利型法人に対するみなし寄附金の取扱い、法人形態の変更時における累積所得金額の課税制度、収益事業課税、金融収益課税および宗教法人・学校法人等に対する本来の事業に対する課税等、課税の在り方をめぐる論点を明示し、非営利法人が事業を安定的に継続していくために、非課税とすべき範囲の拡張に繋がる見直しを主張された。 古庄(筆者)は、英国における財務報告制度の再編成とそのなかに組み込まれた非営利法人(英国では公益目的事業体(PBE)と定義する)の会計基準をめぐる議論の経緯と到達点をふまえて、わが国における非営利法人会計(基準)の現在を相対化して捉えることにより、これまで主張されてきた非営利法人に横断的な会計基準の必要性と可能性を改めて検討した。企業会計と非営利法人会計の相克の歴史を乗り越えて、現在まで「セクター中立」に基づいて両者が接近し、共通化が進められてきたとしても、両者の間にある距離感を適切に保持する必要もある。かかる観点から、最近日本公認会計士協会から公表された研究報告書を素材として、横断的かつ首尾一貫した「会計枠組み構築」の必要性、統一的な非営利法人会計基準と法人別会計指針の相互の連係および会計基準設定主体の在り方に係る論点を考察するとともに、当該統一会計基準の設定をめぐる学会の役割と課題を示した。 齋藤氏は、非営利法人の本質を捉えて、非営利法人の存在意義とその変化の理由を市場の失敗と政府の失敗を論拠として説明されたうえで、新たな制度への移行が進められている一般社団・財団法人、公益社団・財団法人をはじめとする非営利法人制度全体を総括し、その現状をふまえた課題を検討された。氏は、準則主義(登記主義)と認可主義の理解をふまえて、許可主義を採用した旧公益法人制度の問題を指摘するとともに、準則主義における非営利法人の自立と自律の必要性を強調された。また、公益の意味を税制優遇との関係において再確認したうえで、公益性の認定における収支相償をめぐる課題、および特例民法法人から一般社団・財団法人への移行、合併等の組織変更に伴う課題として非営利法人のミッションの見直しが必要となる問題を具体的な事例を示して明快に説明された。 各報告直後に行われた討論においては、吉田忠彦氏を座長として、非営利法人制度の現状認識を共有し、当該制度改革の到達点と課題について活発な質疑が交わされた。 【部会報告】 大会3日目に開催された研究部会報告においては、東日本部会として岡村勝義氏(神奈川大学)を委員長とする「日本及び諸外国における非営利法人制度に関する研究—制度史・制度設計・報告制度・税制度等を中心として—」と、西日本部会として森 美智代氏(熊本県立大学)を委員長とする「地域における行政、医療及び福祉の現状と課題」の各報告が行われた。 東日本部会報告については、わが国において新たに施行された非営利法人制度を諸外国の非営利法人制度の歴史的経緯、制度設計の方法および制度自体の特徴を主としてガバナンスや財務報告制度と関連させて検討することにより、非営利法人制度の在り方に論究した最終報告書が示された。本報告書には、「公益法人の制度転換と会計枠組みの変化」、「NPO法人会計基準の検討」、「わが国学校法人会計基準のこれまでの展開と最近の動向」、「協同組合持分会計に関する研究」、「英国チャリティの会計—チャリティ会計とチャリティ委員会の役割—」、「英国の非営利組織—非営利法人制度と財務報告の制度的枠組み—」、「米国における非営利組織の類型と会計基準設定の現状」および「米国における寄付に係る会計基準—1992年改訂公開草案—」の各論考が、収録されている。当日は、尾上選哉氏(大原大学院大学准教授)が米国における寄付に関する会計基準について、特に収集品の会計処理の特徴と論点を検討された。 もう一つの西日本部会報告については、地域における行政をめぐる環境の変化と地域の連係とガバナンスの在り方、そして地域における医療と福祉の在り方に焦点をあて、熊本県等における具体的な事例研究に基づいて報告書が一貫した主題の下にまとめられた。本報告書には、地域における行政の現状を考察した「環境の変化と自治体職員像の変容」、「地域の公共を担う地縁組織—その重要性と活性化のあり方—」、「コミュニティと自治—中山間地域における地域ガバナンス—」が、また地域における医療と福祉問題に論究し、「大学のミッションと財務報告の役割」、「公立病院の医療改革の現状」、「地域包括ケアシステムの現状と課題—定期巡回・随時対応サービスを中心に—」の各論考が収録されている。 なお、本学会総会において地域部会が再編成され、今後、北海道、関東、中部、関西および九州に各部会が配置されることが決定した。研究者と実務家の双方向の議論の場として、学会の底上げに繋がる各部会のより一層の発展を祈念したい。 【特別公開セッション】 本年度の学会では、特別セッションとして、江田寛氏(公認会計士)を座長とするパネルディスカッション「善意は被災者に届いているか—東日本大震災の寄付の大半が行政的配分に委ねられた理由を探る—」が企画された。本セッションは、会員の研究成果を外部に公開し、議論の場を積極的に提供することにより社会に貢献することを目的としており、当日の登壇者は、岩永清滋氏(公認会計士)、大久保朝江氏(NPO法人杜の伝言板ゆるる代表理事)、藤井秀樹氏(京都大学教授)、牧口一二氏(NPO法人ゆめ風基金代表理事)の4名であった。 被災者に分配される義援金は公共的配分手続きに基づき、公平・平等を旨とするが、他方で、被災後4か月が経過した時点で義援金は3,000億円に達していたにもかかわらず、被災者に配分されたのはその25%である775億円にすぎなかった。また、被災者支援の資金となる支援金も一部に集中し、その他の団体が資金不足となる等、いびつな偏りが見られたという。本セッションにおいては、義援金と支援金の定義およびその相違点について理解を深めるところから始まり、寄附が義援金に集中した理由や、NPOの現場における支援金の調達方法等、明確な問題意識をもって「善意」の効率的な配分システムの在り方とその構築に向けた熱情に溢れた活発な議論が展開された。
- 学会誌の購入 | 公益社団法人 非営利法人研究学会
学会誌の購入 『非営利法人研究学会誌』のご注文は、右の注文書PDFをダウンロード。もしくは下の注文書画像をプリントして必要事項をご記入の上、弊会事務局(宛先:03-6631-4285)までFAXしてください。 学会誌購入
- 学会賞・学術奨励賞(第1~第10回) | 公益社団法人 非営利法人研究学会
学会賞・学術奨励賞・学術奨励賞特賞の審査結果 (第1回~第10回) 第10回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成23年9月14日 非営利法人研究学会 審査委員長:石崎忠司 非営利法人研究学会学会賞審査委員会は、第10回学会賞、学術奨励賞、学術奨励賞特賞の候補作を慎重に選考審議した結果、今次は下記の論文を学術奨励賞に値するものと認め、選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞 該当作なし 2. 学術奨励賞 佐久間義浩「非営利組織における内部統制の現状―自治体病院におけるアンケート調査による分析―」 【受賞理由】 本論文は,全国の自治体病院を対象にアンケート調査を実施し,内部統制の構築・運用の実態を明らかにするとともに,調査データの統計分析を通じて自治体病院における内部統制の導入要因の検証を試みたものである。本論文における調査・分析の結果,回答した病院の6割弱がすでに内部統制を導入していること,そして内部統制の導入要因としては病院の規模が相対的に強く作用していることが,明らかにされている。 今日,患者のニーズに対応したきめ細かい医療サービスの提供が今まで以上に強く求められる一方で,自治体病院をはじめとした医療機関の財政問題が深刻化している。しかし,これまで医療機関の管理運営においては「経営」や「ガバナンス」といった視点からのアプローチがなされることは極めて稀であり,そうした事情が,医療機関における情報開示制度の未成熟性と相俟って,社会科学分野での研究の進展を阻む要因となってきた。本論文は,こうした制約を持つ未開拓分野の研究に真正面から取り組んだものであり,学界に大きな一石を投じる好著に仕上がっている。本論文は,医療機関の経営分析を手掛ける後続の研究が必ず踏まえなくてはならない先行研究になるであろう。これが本論文の第1の功績である。 また,本論文では,実態の解明に際して周到な実証研究の手続きがとられており,研究の貢献と課題が明確に提示されている。こうした本格的な実証研究論文が本学会誌に掲載されたのは本論文が最初であり,その意味で本論文は,非営利組織研究の新しい分野を切り拓いたものと位置づけることができる。本学会のとりわけ若手会員の今後の研究を活性化する貴重な先行事例となるであろう。これが本論文の第2の功績である。 本論文では,医療機関が抱える固有の経営問題への言及がなく,また実証分析を通じて得られた知見も常識の域を出ないなどの問題点もあるが,それらは,著者の今後の研究課題を示すものであって,本論文の学術的価値をいささかも損なうものではない。以上の理由から,本論文は,学術奨励賞授賞に相応しい著作であると,審査委員会は全会一致で認めた。 3. 学術奨励賞特賞 該当作なし 第9回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成22年9月25日 非営利法人研究学会 審査委員長:石崎忠司 非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第9回学会賞(平成21年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(平成21年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(平成21年度全国大会における報告 に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。 1. 学会賞 該当作なし 2. 学術奨励賞 該当作なし 3. 学術奨励賞特賞 江田 寛(公認会計士)「NPO会計基準を民間で作成することの意義」(平成21年度非営利法人研究学会全国大会統一論題報告、於・名古屋大学,『非営利法人研究学会誌』Vol.12所収) 【論文の概要と授賞理由】 1998年に特定非営利活動促進法(NPO法)が施行されて,10年余が経過した。その間,NPO法人は質量の両面にわたって飛躍的な発展を遂げ,今やわが国の経済社会にとって無くてはならない存在となった。ところがその会計制度については,NPO法に若干の関連規定があるのみで,計算書類作成のための包括的な基準は現在に至るまで存在しない。 こうした不正常な状態を改めるとともに,NPO法人の今後のさらなる発展の制度的基盤を整備するべく,NPO法人の支援団体等が中心となって2009年3月にNPO法人会計基準の策定作業を開始した。著者は,その策定主体であるNPO法人会計基準策定委員会の委員長を務めた。本稿は,そうした立場にあった著者の視点から,NPO法人会計基準策定作業の経緯と意義を取りまとめたものである。 本稿の主たる貢献は,以下の2点にある。第1は,「NPO会計基準を民間で作成することの意義」を,当事者の観点から明らかにしていることである。他の非営利法人会計基準の事例が示すように,行政主導の基準設定は,行政目的を優先した作業となりがちである。その弊害として,基準が法人の活動実態から乖離したものになる傾向があり,またそのことから,資源提供者や国民に対する説明責任(アカウンタビリティ)の視点が弱くなるという問題も,派生することになる。著者によれば,これらの弊害を回避しながらその会計制度を整備拡充することが,NPO法人の今後の発展にとっては避けて通れない課題の1つとなるのである。 第2は,NPO-GAAPの形成に向けた独自の洞察を行うとともに,その具体的な実践経験を報告していることである。民間主導で基準設定を行った場合,上掲のような弊害を回避することが可能となる一方で,基準の法制度的な強制力はまったく期待できないという難問が新たに生じることになる。そのような状況下で,新しく策定する基準がNPO-GAAP(一般に認められたNPO会計原則)となるためには,当該基準は,「少なくともNPO法人の過半数が自主的に採用してくれるものでなければならない」(江田論文12頁)。その可能性を担保するのは,「この会計基準が,市民参加型のオープンなプロセスで作られたという事実」(同20頁)であると,著者はいう。 策定委員会の「論点報告」に収録された9項目の論点の第1番目に「小規模法人に対する配慮」が掲げられていることは,一見すると奇異に映るかもしれないが,こうした論点整理が,上掲のような趣旨にもとづいて組織された「市民参加型のオープンなプロセス」における関係者の激論をふまえたものであることを理解すれば,そこには極めて重要な意味合いが込められていることが看取されるのである。すなわち,このような「配慮」が,民間の力でNPO-GAAPを形成するうえで,欠かせない課題だったのである。そしてまた,このような「配慮」のもとで初めて,複式簿記の採用を前提とした画期的なNPO法人会計基準を策定することが可能となったのである。 策定委員会が策定した会計基準(2010年7月公表)は,わが国のNPO法人制度史上初めて成立した包括的なNPO法人会計基準となる。策定委員会は,その作業を民間の力で完遂したのである。本論文の学術的意義は上述の通りであるが,それに加えて,策定委員会のそうした基準設定活動を指導した著者の実務者としての功績は,独自の社会的貢献を示すものであり,特段の評価に値する。それは,わが国のNPO法人制度史に残る偉業といってよいであろう。 以上の理由から,本論文は,非営利法人の制度又は実務に携わる実務者を対象にその業績を顕彰することを趣旨として本年度から創設された学術奨励賞特賞授賞に相応しい著作であると,審査委員会は全会一致で認めた。 第8回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成21年9月26日 非営利法人研究学会 審査委員長:大矢知浩司 非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第8回学会賞(平成20年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成20年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果、今次は残念ながら学術奨励賞に該当する論文はなく、下記の論文を学会賞に値するものと認め選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞 伊藤研一(摂南大学)・道明義弘(奈良大学〔名誉教授〕)「大統領府創設の“ねらい”ー行政組織の効率測定と予算配分:サイモンとバーナードー」(平成20年度非営利法人研究学会全国大会報告、於・日本大学、『非営利法人研究学会誌』VOL.11所収) 【受賞論文の特徴と受賞理由】 本稿は、先に第10回全国大会統一論題で報告され、その報告をベースに纏められた論考「アメリカ行政府の構造改革ー組織論はF. D. ローズベルトを助けたか?ー」(『非営利法人研究学会誌』VOL.9所収)で論じられた1939年のローズベルト米大統領による行政府の構造改革についての概括的な説明をさらに押し進め、行政府の効率測定と予算配分問題を、詳細かつ出来るだけ具体的に明らかにしようとするものである。この課題は、伊藤の初期サイモン研究において、サイモンの研究課題が社会的な背景の下において実行されており、1930年代の社会的経済的な状況の解明が必須であることを明らかにしてきているが、サイモンにおける理論形成の背景を社会的な全体状況の下で解明し、サイモン理論の創造・形成の過程を、社会的な行動との関係の下で明らかにしようとする試みは、この伊藤の試みを除けば、ほとんどなされたことがないと思われる。このような試みを通じて、理論が時代の子であることを伊藤は具体的に明らかにするとともに、時代の変遷において、理論がどのように位置づけられるかを解明できるという。この初期サイモンを研究する過程の一環として、先の論稿と本稿がある。 効率測定については、ローズベルト大統領の構造改革以前には、1916年に連邦政府は、後に予算局に吸収されることになる効率局を設置して、行政府の効率測定を実行しようとしている。本稿では、効率局による年次の報告書を手掛かりに、効率局の行動を要約し、その行動が予算局にどのように結びつき、予算局においては、どのような行動が期待されていたのかを明らかにしようとしている。1933年に予算局に吸収された効率局については、わが国ではこれまで注目されることがなく、したがって、その行動が紹介されることはなかったが、現在、わが国の行政において重要な課題とされている行政の縦割り問題を解決し、行政における効率を高めるためには、改めてこの効率局の行動を見直す必要があろうと論者は言う。 効率局においては、人事における効率評定システムの作成と評価の実行、各省の業務遂行についての調査と効率化、業務の重複についての調査、統計資料の作成と管理という職務を実行していたが、効率局を予算局に吸収した理由の1つは、予算配分にこの効率局において蓄積したノウハウを利用しようとすることにある。効率局の行動を予算局との関係の下において明らかにしたのは、本稿が最初であろう。 大恐慌を経て、アメリカの時代的な要請であった効率問題の解決は、また、このような時代背景の下において生み出されてきているサイモン理論に大きな影響を与えており、サイモン理論の理論的な基礎は一貫して「効率」にあると、伊藤・道明は喝破している。時代と切り結ぶことによって、サイモンは、時代の中から、その要請に応えるべく彼の理論を構成していることが明らかになっている。連邦政府における構造改革は、効率問題を通じて、サイモンの理論と結びついている。サイモンにとって、連邦政府の構造改革に辣腕を振るったブラウンロー委員会の構成メンバーであるメリアムはシカゴ大学の恩師であり、また、ギューリックとは効率研究を通じて、リドレーを介して知悉の関係にある。後日、サイモンは、ギューリックに対して、構造改革の理論的基礎が伝統理論であるとして激しい論難を浴びせたが、この論難がサイモンの効率測定研究の成果に基づくことを、伊藤・道明は明らかにしようとするものであった。 本稿においては、ブラウンロー委員会の提案のうち予算局に関する部分を取り上げ、1939年の構造改革における変革をGovernment Manualの組織図を示すことによって詳細に跡づけるとともに、担当官の氏名を明らかにすることで、その中にサイモンの知己が任命されていることを見出している。予算局が大統領府に移管されるとともに、その権限は大きく変化し、予算配分と情報管理という枢要な職能を果たすようになる。そこにサイモンは知人を有していたし、また、他の政府機関にも知己を持っている。このように、当時のサイモンは、政府の中心的な機関に属する人物との関係を有しており、彼の理論形成には、当時の時代的な全体状況が色濃く反映しているという。 ブラウンロー委員会の提案において示されている予算局の大統領府への移管と、その職能の拡大は、そのまま1939年の構造改革において実行されていることが明らかにされている。ブラウンロー委員会における予算局に関する提案と、ローズベルト大統領の議会への提案Reorganization Plan No.1 of 1939 とは、軌を一にするものであり、大統領は、委員会の提案どおりに予算局を大統領府へ移管し、予算局の職能を拡大するという提案を行っていることが分かる。経営管理の腕として、大統領は予算局の行動には極めて重要な役割を期待した。これは、ギューリックの考え方を具体化したものであり、伝統的な経営理論の成果の1つとみなすことができる。そこでの理論的なバックボーンは、管理原則論であり、管理過程論であった。 このギューリックの理論に対して、激しい論難を浴びせたサイモンの考え方の基礎には、彼自身の効率研究成果が横たわっている。本稿においては、その論難へ至る研究成果、効率測定問題の研究過程を詳細に追跡しており、リドレーとの共同研究において、リドレーの有効性を重視しつつも、サイモンは独自に効率重視の考え方を提示し、共同研究をリードしたことを明らかにしている。サイモンは、効率測定を操作可能なものとして提示することが必要と考えており、そのフレームワークを案出しようとしている。このようにして生み出された効率の考え方が、生涯を通じて、サイモンの研究成果における通奏低音となっているというのが、伊藤・道明の見解である。 ローズベルト大統領は、大恐慌を克服し、民主主義を守り抜くために必要な要件として、効率を掲げているが、この考え方は、ギューリックにもサイモンにも共通したものであった。しかし、ギューリックには、操作可能な形での効率概念のフレームワークが欠けていたのに対して、サイモンにおいては、不完全ではあるが、操作可能な形で、そのフレームワークを提示できたという自負が見られるとともに、時代の要請に応えるという充足感が溢れている。同時代のバーナードも、時代とともに歩み、有効性と効率性を組み合わせた評価フレームワークを提示している。 本稿では、ローズベルト大統領がニュー・ディール政策を実行し、効率を求めて、連邦行政府の構造改革を断行する時代にあって、サイモンの初期研究においても、効率問題が主要な関心事であり、時代と切り結びつつ、サイモンは自分の考え方をまとめていっていることを、構造改革に関する文献とサイモン・リドレーが著している文献とに基づきつつ詳細に明らかにしている。時代の動きを描きつつ、それにシンクロする形で、サイモンという研究者の自らの理論形成の過程を明らかにしており、両者に共通するキーワードとして、効率という概念を見出しているところに、本稿の特徴が見られる。 以上から、問題指摘の独創性、文献渉猟、論述展開の緻密さ、効率性と予算との関係を明確にした現代的意義づけ等、極めて優れた大作であり、審査委員会は一致して、学会賞にふさわしい論文に選定した。 2. 学術奨励賞 該当者なし 第7回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成20 年9月4日 非営利法人研究学会 審査委員長:大矢知浩司 非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第7回学会賞(平成19年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成19年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に審議した結果、学会賞に該当する論文又は著作物はなく、学術奨励賞に下記の著作を選定しましたので、ここにご報告いたします。 1. 学会賞 該当者なし 2. 学術奨励賞 池田享誉(青森公立大学)『非営利組織会計概念形成論』(A5判、185頁、森山書店、2007年7月) 【受賞作の特徴と受賞理由】 本書は、わが国会計学界に多大なインパクトを与えたアメリカの「FASB概念フレームワーク」(以下「SFAC」という。)のうち、特に非営利会計の概念フレームワークに焦点を当て、・「FASBの非営利会計概念フレームワークの成立過程を方法論かつ歴史的に吟味し、FASBの非営利会計諸概念の成立過程を検討すること」及び・営利会計と非営利会計の「統合的概念フレームワーク」の適否を評価し、検討することの2点にその目的があるとしている。この研究テーマを解明するに当たって、論者はSFACの方法論的基礎である「意思決定有用性アプローチ」と「資産・負債視角」を前提として、内在的批判を試みているのが特徴である。 第1のテーマでは、ASOBATをはじめ、AAA第一次フリーマン委員会報告書(第2章)、第二次・第三次フリーマン委員会報告書(第3章)及びアンソニー報告書(第4章)の内容を詳細に分析し、各報告書間における矛盾を摘出するとともに継承された部分を明確化し、非営利会計概念フレームワーク(第5章)を導き出している。 第2のテーマに関しては、SFAC第4号はアンソニー報告書の提起した「財務資源源泉アプローチ」を継承し、Bタイプ非営利組織のみをノンビジネス組織とし、営利企業と独立採算型組織(Aタイプ)とを共通の適用対象とした結果、「統合的概念フレームワーク」が生まれる一因となったと指摘している。しかし、これはSFAC第4号と第6号との間に矛盾が生ずる一因ともなっている。 SFAC第4号・第6号を内在的に批判し、分析検討した結果、論者は次のような問題点があると結論づけている。すなわち、 ・ 営利・非営利統合的概念フレームワークを採用した結果、非営利会計に固有の諸要素を主要情報として要求していないので、非営利会計の概念フレームワークとして不十分である。 ・ SFAC第6号は、㈰非営利組織に固有の財務諸表構成要素を1つも追加しなかったため、非営利組織の業績情報を提供するものとなっていない、㈪資産を将来のキャッシュ・フローと結びつく「将来の経済的便益」と定義しているが、非営利組織の資産は必ずしも将来のキャッシュ・フローをもたらすものではない、㈫収益を営利・非営利に共通の財務諸表構成要素としたが、非営利組織の収益はサービスの提供の成果ではなく、純資産の源泉情報を表すものである、㈬非営利会計に固有の部分として新たに追加されたのは拘束情報のみに過ぎない。 ・ SFAC第4号では、「効率性と有効性」に対する情報ニーズを認識しながら、「サービス提供成果」情報の提供は軽視されている。 わが国ではこれまでSFACに関する論文が多数見受けられたが、本書ほど精緻にかつ批判的に分析された論文は少ない。 以上から、分析視点、問題意識の明確性、内在的批判による矛盾点の摘出、論理展開の精緻化等を総合的に評価し、学術奨励賞にふさわしい論考として選定することに審査委員の一致した見解を得た。 第6回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成19年9月8日 非営利法人研究学会 審査委員長:大矢知浩司 非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第6回学会賞(平成18年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成18年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。 1. 学会賞 該当作なし 2. 学術奨励賞 該当作なし 第5回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成18年9月1日 非営利法人研究学会 審査委員長:松葉邦敏 非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第5回学会賞(平成17年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成17年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文)の候補作を慎重に審議した結果、今次は学術奨励賞に該当する論文はなく、下記の論文を学会賞に値するものとして認め選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞 藤井秀樹(京都大学大学院教授)「非営利組織の制度進化と新しい役割」(平成17年度非営利法人研究学会第9回全国大会統一論題報告、於・神奈川大学、『非営利法人研究学会誌』VOL.8所収) 【受賞論文の論旨と特徴】 今回の行政改革の一環としての公益法人制度改革は、市場原理主導型の制度設計を指向したもので、具体的には、交換関係の概して高くないサービスを市場原理に依拠しつつ提供する非営利組織を育成することがその主眼となっているが、その方向は新しい制度進化と新しい役割を期待できるものとして肯定することができる。その際に、これを肯定する論拠として、比較制度分析の分析・論理の方法を用いることによって、制度変更の経済合理性は、制度的補完性と資源の効率的配分の観点から評価されるとする立場から、今回の公益法人制度改革は、制度的補完性および資源の効率的配分の点で経済合理性に適ったものとなっており、したがって、その限りでそれは、現行制度の現実的かつ合理的な改革スキームであるとする。 ただ、このような制度改革には、改めて1)ドラッカーの主張するような成果重視型マネジメントの視点を非営利法人と公益性の判断主体が共有すること、つまり、顧客満足の追求という点では市場指向的であるが、提供するサービスの交換関係は概して高くないという点では「倫理的」であるメネジメントの姿勢である。非営利法人と公益性の判断主体が、このような成果重視型マネジメントの視点を共有することによって、市場原理と公益性を整合的に融合させる1つの有力な可能性を得ることができると考えられる。2)非営利法人の事業領域で競争的環境を創出・整備すること、つまり非営利法人のモラル・ハザードの可能性を減ずることが、寄付や補助金も含めた資源の効率的配分を実現するうえで欠かせない問題として残るが、この問題の解決を図るためには、価格支配者の排除(市場の不完全性の解消)と、情報の非対称性の解消(市場の不完備性の解消)が必要となる。特に非営利法人においては後者の解消が当面の現実的な課題であり、制度的な施策としては、新公益法人会計基準(2004年)の適用と当該基準に基づくディスクロージャーをすべての非営利法人(ここでは、社団・財団の公益法人)において徹底させること、情報も含めた活動資源をサービス需要者、支援者、寄付者、他の非営利法人やNPO等に仲介する「中間支援組織」の普及・発展を官民一体となって促進することである。 【 受賞の理由】 論者は、特に「公企業会計をはじめ非営利組織会計」研究について、既に確固たる位置を占めるものであるが、あえて経済学的手法—比較制度分析等—を用いて、公益法人制度改革に対して制度変更の経済合理性を問うという問題に直接挑戦したことがともかく賞賛されるべきである。 以上の論旨と理由から、本論文は問題の視角、問題の分析、問題の解決について的確であることはもちろん、経済学的手法を用いて斬新であり、それぞれの間の整合性が認められるので、高く評価することができる。さらに、問題把握の独創性、論述展開の克明性はもとより優れており、理論化過程から生まれた具体的な制度改革への示唆などにおいても、極めて示唆に富む内容を持ち、本学会の学会賞にふさわしい論文として選定することに審査委員の一致した見解を得た。 2. 学術奨励賞 該当論文なし 第4回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成17年9月10日 非営利法人研究学会 審査委員長:松葉邦敏 公益法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第4回学会賞(平成16年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成16年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文)の候補作を慎重に審議した結果、今次は学会賞に該当する論文又は刊行著書はなく、下記の論文を学術奨励賞に値するものと認め選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞 該当作なし 2. 学術奨励賞 吉田初恵(関西福祉科学大学助教授)「介護保険制度改革に向けての論点—介護サービスの特質と介護サービス市場からの一考察—」(平成16年度公益法人研究学会全国大会自由論題報告、於・九州産業大学、『非営利法人研究学会誌』VOL.7所収) 【受賞作の特徴と受賞理由】 論者の一貫した研究対象は「公的介護保険制度」の創設前後から、この制度の基本的かつ実践的な問題点を指摘して、そのあるべき、かつ具体的な改善策を提言することであった。今回の受賞対象となった本論文は、後に付言するように、このための一連のスペキュトラム(spectrum)の1つである。 本論文に限れば、その内容はおよそ次のとおりである。 今日の介護保険制度の見直し論は、介護サービスの利用量が膨張することによる財源の破綻をどのようにするかを中心に議論されている。すなわち、予防給付を盛り込むなどの施策による介護給付額の抑制と、施設サービスに対するホテルコストの徴収などの施策による保険料収入の増加を図る見直しである。しかしながら、この介護保険制度の見直しは、負担を増やし給付を抑制する施策による財政の均衡だけで終るべきではない。したがって、本論文はまず、現在検討中の「改革案」の方向と内容は、年金改革と同じような「負担増の中での給付削減」にすぎない。この「改革案」のままであれば、サービス受給者の福祉ではなくて、行政主導の改悪の方向であるとする。 次に、介護サービスの基本的な特質は、サービスの不確実性とサービスの質の測定不能性にある。したがって、たとえ組織の効率性が劣っているとしても、従来は政府関連機関や非営利組織が市場優位を占めざるを得なかった。このような営利企業が参入しない特殊な市場(契約の失敗)において、「公的介護保険制度」が制度化され、併せて営利企業に相当程度の自由参入を認める「規制緩和政策」が採られたために、営利企業の参入が認められた結果「供給者誘発需要」を惹き起し、このことが給付額増大の元凶である可能性があるとする。そこで、むしろ介護サービスの特性を踏まえて、(主としてサービス受給者に不利となる)特性を克服する「制度の改革」こそを検討すべきであると論じている。 最後に、したがって、介護保険制度の見直しは「負担増の給付削減」の弥縫策に求めるのではなくて、問題の根源にある「供給者誘発需要」の抑制策として監督・規制の強化を検討すべきであると主張する。 以上の諸点から、論者は具体的な総合政策として、次のように提言している。 1.給付については、改革の方向は、(イ)量より質を評価し、質の保全を保証する給付体系を構築すること、(ロ)質の確保を遵守する「事業者」を事前に選別する制度を作ること、(ハ)施設やサービスの選択は利用者の介護サービスに求める質量のレベル、所得格差、家庭の状況等極めて多様であるので、利用者の裁量を多く認めるように規制を緩和することである。 2.負担については、改革の方向は、(イ)世代間の公平性を高めること、(ロ)低所得者や障害者の救済施策を国のレベルで行うことである。 要するに、規制緩和による自由選択制度の原則論を是正して、むしろ規制・指導・監督を強化する部分と利用者の選択に委ねる部分を区別して適用し、経営形態の特徴を生かした公的・準公的機関、非営利組織、営利企業の間の「棲み分け」を積極的に導入する方向と内容に改めることを主張しているのである。 以上から、本論文は問題の視角、問題の分析、問題の解決について的確かつ斬新であり、それぞれの間の整合性が認められるので、高く評価することができる。論者は既に内外の一定の評価を受けているものであるが、さらに向後の研鑽を期待して学術奨励賞を授与するに適当である、とする審査委員会の一致した見解を得た。 最後に付言すべきことは、ここに至るまでの諸論考には見るべきものがあり、特に『非営利法人』誌上で3回にわたり連載された長論文「介護サービスを供給する経営諸形態の共存—営利企業と非営利組織の棲み分けについて—」(No.710〜712、全国公益法人協会)が評価されることである。論者は、保険制度の導入に伴う規制緩和政策が従来の公的・準公的な機関による事業経営から民間事業の参入を奨励するシステムが定着したが、介護サービスという特殊なサービス事業において、果して社会的に有効に機能するのかどうかに焦点を当ててきた。公的・準公的(いわゆる非営利)セクターそして私的セクターの三者が共存できるかどうか、共存するとすれば、それはどのような共存のあり方なのかである。少なくともわが国ではこの種の研究は初めての試みであって、既に高い評価を得ている。このような一連の諸論考を含めて、今回全体として評価を行ったことを附記しておく。何故なら、特に学術奨励賞においては、問題意識が明確であり、その中で研究活動が連続体をなしていることにおいて業績が評価されるものと考えられるからである。 第3回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成16年9月4日 非営利法人研究学会 審査委員長:松葉邦敏 公益法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第3回学会賞(平成15年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成15年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文)の候補作を慎重に審議した結果、残念ながら学術奨励賞に該当する論文はなく、下記の刊行著書を学会賞に選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞 小島廣光(北海道大学)『政策形成とNPO法−問題,政策,そして政治』(A5判、276頁、有斐閣、2003年11月) 【受賞論文の内容と受賞理由】 本書は、その必要性はほとんど一般に理解されていたNPO法が、阪神・淡路大震災を契機として、短時日に「なぜ」しかも「どのようにして」政策形成・立法化されたのかを解明することが著者の直接の動機となり、これを明らかにすることがその目的となったものである。 したがって、その内容は、分析方法としての「改訂・政策の窓モデル」を用いながら(第2章)、NPOの政策形成・立法過程に関わる参加者が輻輳し、それぞれが利害と思惑を異にする中で、どのような過程を踏んで立法化が進捗したか、詳細かつ丹念に事実関係を跡づけ、分析・解明している(第3章から第5章)。さらに、この分析・解明は単に事実を分析・解明しそれを説明するにとどまらず、このNPO法成立過程を評価し、かつ問題点を指摘して将来のあるべき市民立法への提言まで展開している(第6章)。 著者は非営利組織研究の第一線にあるとはいえ、少なくとも経営学の学徒として、異質の政治の世界における政策形成・立法過程の問題に直接挑戦したことはまず賞賛されるべきである。しかも、従来の分析方法(例えば、政策の窓モデル)よりさらに組織的知識創造モデルの視点を取り入れた独自の「改訂・政策の窓モデル」の方法に基づいて立法過程を視ている点が注目される。特に著者が本書において注力した方法である。さらに、方法論において斬新であるばかりでなく、多数の膨大なデータを駆使して政策形成の分析・解明を行い、理論と実証の双方に裏付けられた理論化を試みた点で高く評価される。そのうえで、具体的なNPOの政策形成過程を民法施行(1898年)から阪神・淡路大震災の発生前(1994年)までを1期として、その後のNPO法(優遇税制立法を含む)成立(2001年)までの短期間(6年間)を細かく分けて全6期にわたる詳細な年代記を記述したうえで、独自の方法論によってそれぞれの期間の特質を見事に摘出している。最後に、これは重要な点であるが、本書が立法過程において十分に評価される点と今後の何らかの立法において留意すべき点、さらには市民立法への提言をしていることである。今日すでに、政治と行政、それらと既存の団体と一般市民団体の間に繰り広げられている「公益法人改革」の問題の諸側面を考察し、問題の在処を探る場合に多くの示唆を与えてくれる。 以上から、問題把握の独創性、論述展開の克明性、理論化過程から生まれた具体的な提言などにおいて、極めて優れた著作であり、本学会の学会賞にふさわしい論考として選定することに審査委員の一致した見解を得た。 2. 学術奨励賞 該当論文なし 第2回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成15年10月11日 非営利法人研究学会 審査委員長:守永誠治 公益法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第2回学会賞(平成14年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成14年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者の論文)の候補作を慎重に審議した結果、今回は学会賞に該当する論文または刊行著書はなく、学術奨励賞として次の2つの論文を選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞 該当者なし 2. 学術奨励賞 今枝千樹(京都大学大学院経済学研究科博士後期課程)「非営利組織の業績評価と会計情報拡張の必要性—SEA報告の適用をめぐる議論とその先駆的実施例の検討—」(平成14年度公益法人研究学会全国大会自由論題報告、於・京都大学、『公益法人研究学会誌』VOL.5掲載) 【受賞論文の内容と受賞理由】 非営利組織における業績評価の問題は、社会的関心の極めて高いトピックでありながら、そのリサーチが困難であるとする観点から、わが国ではこれまでに必ずしも十分な成果をみることができなかった。このような研究環境の中で、本論文は、アメリカでの議論と経験から生み出された成果を手掛かりとしながら、この問題に取り組もうとする意気込みがみられる。この点を最初に評価できる。 非営利組織は、その固有の使命の達成を目的として活動し、資源提供者はその使命の遂行に対する関心に基づいて非営利組織に資源を提供している。したがって、非営利組織の業績は基本的には、その使命をどのように達成したかというその達成度によって評価する必要がある。ところが、非営利組織の設立・運営に関する経験が最も豊富に蓄積されたアメリカにおいてさえ、現行の会計基準では、財務的業績情報の提供を要求するにとどまっている点に留意する必要がある。本論文は、幅広い関連文献の詳細な検討を通じて以上の問題点を明らかにすると同時に、非営利組織会計の制度的整備を図るためには、非営利組織における使命の達成度の評価に役立つ情報を含める方向で会計情報を拡張する必要があることを主張するに至っている。 政府機関は、その活動環境において交換関係(exchange relationship)を欠き、単一の利益指標で業績が測定できないなど、非営利組織と極めて類似した特徴を持つ。アメリカにおいては、そうした特徴を持つ政府機関の業績評価に役立つ情報を提供する手段としてSEA報告を導入することが政府会計基準審議会(GASB)によって提唱されている。本論文では、SEA報告の特徴を、GASB概念書を手掛かりとしながら明らかにしたうえで、非営利組織における会計情報拡張の具体策としてSEA報告の非営利組織への適用を提案し、当該提案の必要性と可能性を、アメリカの非営利組織におけるSEA報告の先駆的実施例の紹介と検討を交えつつ、論証を試みている。 本論文は、非営利組織における業績評価という取扱い難い問題を、関連文献と一次資料の丹念な分析・検討に基づいて論じたものであり、その論理構成と論旨は極めて明快である。本論文が、非営利組織研究における業績評価の問題点の集約と、今後の方向に道を備える貢献は、大であると言える。今後の成果を期待するに十分なものである。ただ、現段階では、アメリカにおける議論と経験に関する検討に、やや難無しとは言えない側面も散見されるが、さりとて本論文の学術的価値を損なうほどのものでもない。むしろ、本論文は、非営利組織の業績評価に対する問題の着眼点とそれに対するアプローチから判断して、学術奨励賞に値するに十分なものであるとの審査委員の一致した見解を得た。 以上の点から、本論文を学術奨励賞に選定した。 3. 学術奨励賞 江頭幸代(広島商船高等専門学校)「環境コストと撤去コスト—ダムのライフサイクル・コスティングを中心として—」(平成14年度公益法人研究学会全国大会自由論題報告、於・京都大学、『公益法人研究学会誌』VOL.5掲載) 【受賞論文の内容と受賞理由】 ライフサイクル・コスティングは、アメリカ国防総省による軍需品の購入コスト・運用コスト全体の最少化要請に対応するところから生まれた原価管理手法であり、近年では日本の防衛庁や国土交通省でも導入されている。トップレベルの営利組織では、開発・設計、調達・生産・物流、リサイクル・撤退といった製品ライフサイクルの中で、製品ライフサイクル・コストの把握と計算が実施されている。文献データベースを検索すれば、膨大な文献がみられるところである。しかし、寡聞ではあるが工学関係の文献も含めて、明確な定義に基づき一定の体系のもとにライフサイクル・コスティングを展開している研究は、比較的少ないようである。また、ライフサイクル・コストに含めるべきコストの範囲も明確ではない。 本論文の第1の特徴は、ライフサイクル・コスティングを製品一生涯のコストの見積計算であり、管理手法であると定義し、2つの製品ないしは事業のライフサイクルを明確に区分して展開していることである。すなわちとしては、ユーザーにおける製品(ないしは事業)の開発から生産ないしは販売、その後製品を市場から撤退させてサービスを終了する時点までのライフサイクルであり、としては、製品の販売からユーザーの手に移り、ユーザーが製品を廃棄するに至るライフサイクルである。この2つのライフサイクルを明確に区分することにより、使用コスト・維持コスト・撤退ないしは破棄コスト・環境コスト等の位置づけが異なってくる。ライフサイクルを2つに区分することは、本論文のすぐれた着想として評価できる。 本論文の第2の特徴は、のライフサイクルを前提にライフサイクル・コストの範囲、特に撤去コスト・環境コストを明確にしていることである。本論文の取り上げるダムの事例は、日本一の氾濫川を制御する国土交通省直轄鶴田ダムと日本初の撤去が決った熊本県営荒瀬ダム(50年の水利権期限切れ)である。鶴田ダムの事例から後背地完全緑化、湖水循環、ダム周辺観光地化、河口海水溯上による取水口付替等広範囲なコストを示している。また熊本県営荒瀬ダムからは、泥土撤去、コンクリート処理地、ダム撤去による環境変化対応コスト等を示している。 ライフサイクル・コスティングの本来の目的からしても、環境コスト・撤去または撤退コストを企画設計段階で考慮してコスト計算に組み込むべきであり、取り上げた事例は的確であると言えよう。従来のライフサイクル・コスティングに関する文献では、ライフサイクル・コスティングの概略ないしはそれによる管理方法の説明に終始し、データ作成のプロセスないしは具体的なコストの例示が少ない。できる限り事例を収集・検討して、そのコストの範囲を明確にし、その発生確率の研究に歩を進めなければならない段階にきている。ただ、本論文の範囲外ではあるが、企画設計段階でダムのコスト・ベネフィットを考慮するとして、その現在価値を計算するとき、50年ないしは100年といったタイムスパンでは、物価変動率と過去の平均利子率を利用できないのではないかと審査委員は判断した。著者の今後の研究に期待したい。 いずれにしても、2つのライフサイクルを区別してライフサイクル・コストの範囲を環境コスト・撤去ないしは撤退コストにまで拡大したライフサイクル・コスティングを展開する本論文は、研究の体系化、問題の着眼点、現代的意義(たとえば海外事業、撤退をあまり考慮しない体質を持つ非営利組織への適用)からみて学術奨励賞に十分値するとの審査委員の一致した見解を得た。 以上の点から本論文を学術奨励賞に選定した。 第1回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成14年7月27日 非営利法人研究学会 審査委員長:守永誠治 公益法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、学会賞(平成13年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成13年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者の論文)の候補作品を慎重に審議した結果、つぎの2点の論文を受賞論文として選定しましたので、ここに報告いたします。なお、著書については学会賞に該当するものはありませんでした。 1. 学会賞 堀田和宏(近畿大学)「非営利事業の社会的機能と責任」(平成13年度公益法人研究学会全国大会統一論題報告、於・中央大学、『公益法人研究学会誌』VOL.4掲載) 【受賞論文の内容と受賞理由】 もともと、非営利事業の責任は、それぞれのもつミッションを持続的に遂行するということにあり、このミッションに信頼を寄せて集まる寄付者、政府・地方自治体、購入者、利用者、ボランティアなどの利害関係者の信頼と期待に応えることである。そのために、非営利事業に求められている社会経済的機能とその責任を明らかにし、その結果、どこに解決すべき問題があるかを明らかにしようとする。本論文の出発点がここにある。 非営利事業の社会経済的機能とその責任について、つぎの4つのカテゴリーが示されている。つまり、非営利組織特有の寄付行為者とミッションに対する受託責任、サービス測定・評価に弱いクライアントの信頼に応える責任、準公共財のサービス供給に対するいわゆる社会公共的責任、組織自体の継続性確保のための組織維持責任がこれである。これが、期待と信頼になるのであるが、このような期待と信頼に反して、意外とも思われるマイナスの機能、つまりモラルハザードをもつ可能性が出てくることを指摘している。非営利事業なるがゆえに生ずるモラルハザードを分析し、信頼性のゆえに、この種のモラルハザードを防ぐ手だて—公共の規制、利害関係者の統治力や競争促進制度—が十分に整備されていないため、この中で自己生産的な経営が制度化されていると指摘する。 このような問題を克服するために、まず第1に、外部からの「統治力」を補強することが急務であり、第2にこの「統治力」を保証するための経営者側の「アカウンタビリティ」を拡大・深化させるべきであると考えている。第1の点は、本論文の強調するNPOガバナンスのあり方を再構築する方向である。また、第2の点は、「今日のアカウンタビリティは、多様な利害関係者がそれぞれなりの経営への統治力を確保できるように、経営の透明性と公正性を証明する責任」としてこれを展開、つまり拡大・深化する必要があることを力説する。 本論文は、非営利事業に求められる社会経済的機能とその責任を明らかにし、非営利事業なるがゆえに生ずるモラルハザードを取り上げ、これを克服するためにNPOガバナンスの再構築とそれを可能にするアカウンタビリティを拡大・深化させる必要性を明らかにしようとしている点に特徴がみられ、問題の着眼点、分析方法と検討内容、提言など論文の展開を通じて卓越した非営利事業研究に対する姿勢を窺うことができる。このような研究は、受賞者の長年にわたる研究生活の中から生み出されたものであって、一朝一夕にして成し遂げられるものでないことは何人も認めるところである。同時に、この研究が非営利事業研究の今後の発展に寄与するところ大であるとの審査委員の一致した見解を得た。 以上の点から本論文を学会賞として選定した。 2. 学術奨励賞 梅津亮子(九州産業大学大学院博士後期課程)「看護サービスの活動レベルの原価標準設定」(平成13年度公益法人研究学会全国大会自由論題報告、於・中央大学、『公益法人研究学会誌』VOL.4掲載) 【受賞論文の内容と受賞理由】 本論文は、無形サービス活動の効率性(efficiency)と有効性(effectiveness)の測定・評価という枠組みの中で、これまで独自の研究領域として認識されていない看護サービスを対象とした原価計算モデルの開発を試みたものである。 論者が取り上げる原価計算モデルは、活動レベルの標準と患者レベルの標準から看護サービスを捉えることにあるが、本論文は、原価計算モデルの基礎的な部分を構成する看護サービスの活動レベルでの原価標準設定を中心に論述したものである。 原価計算を一般化できるような測定尺度とするためには、異なる環境のもとでの利用が難しい実際原価ではなく、標準原価が望ましいと考えている。看護サービスの測定・評価体系の中で標準を設けるということは、看護サービスとりわけ看護活動を測定可能なように具現化することを意味する。それ故に、本論文では、看護活動という単位によって原価標準を実証的に測定することを試みている。 そのため膨大な看護サービス関係及び活動基準原価計算関係の文献を渉猟した上で、看護サービス活動を115活動に分類して「看護活動標準調査表」を作成し、国立N病院の協力を求め全6病棟でデータを実際に収集している(本論文では呼吸器病棟の事例を提示している)。調査事項は、病棟ごとの患者1人に対して1つの看護活動を1回行う場合の保険点数、材料品目と費用、活動プロセス、作業時間等である。作業時間については、各活動を準備・説明・実施・後片付けに分けて測定している。この区分はクリティカル・パス分析に資するためという。また、説明を特に独立させているのは、この作業がInformed Consentと患者の満足を高める重要な作業と考えているからである。 本論文では、看護サービスを看護活動という具体的な行動に細分化することによって、その活動の現場における原価を把握し、看護必要度分類別の患者1人当たり原価とを統合することで、看護サービスについての原価標準の計算が可能であることを明らかにし、また、その結果はモデルの妥当性と可能性を示すものとなっている点に、これまでの研究にない貢献が見られるところである。特に、看護サービスに関する原価計算は、これまで十分に論じられることがなく、また、ここで示された方法は、他の無形サービスの分析においても利用可能である点にも注目すべきであろう。「看護サービスの効率性と有効性の測定・評価」という、いわば長編小説の構成部分を短編論文という形にしているため多少の難点も指摘できるであろうが、その研究体系・オリジナリティ・文献渉猟の確かさ・その努力からみて学術奨励賞に十分値するとの審査委員の一致した見解を得た。 以上の点から学術奨励賞に本論文を選定した。
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非営利法人研究学会 公益・一般法人研究会 公益・一般法人制度の研究【2022年度最終報告】 公益・一般法人における税務問題の実務視点からの研究
