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  • 第14回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第14回大会記 2010.9.25・26 早稲田大学 統一論題 非営利法人制度改革と市民社会ガバナンス 公認会計士 清水貴之 非営利法人研究学会の第14回大会は、2010年9月25日・26日の両日、早稲田大学8号館(大会委員長:小林麻理氏)において開催され、100名を超える会員が参集した。その前日(9月24日)には常任理事会及び理事会が開かれた。 大会1日目は事辞典刊行委員会、会員総会に引き続き、本大会の統一論題「非営利法人制度改革と市民社会ガバナンス」に関するキーノートスピーチの後、パネリストよりそれぞれの立場から報告が行われ、柴健次氏(関西大学)の司会の下に討論が行われた。 【統一論題報告と討論】 キーノートスピーチは、大内俊身氏(元東京高等裁判所民事部総括判事・前内閣府公益認定等委員会委員)が「非営利法人制度の現状と課題」について行った。旧民法法人(公益法人)制度に対する批判と、そうした課題に対応した主たる立法の動きについて触れた後、新しい非営利法人制度の概要として、一般法人と公益法人の内容及び先の課題が解消されたか等について述べられた。旧民法法人制度において問題であった権利能力のない社団・財団が、準則主義の採用により一般法人としての設立が可能となった点は、画期的なことであると指摘された。 統一論題報告では、吉田忠彦氏(近畿大学)氏が、ガバナンス論の観点から「社会ガバナンスとNPO」について報告した。ガバナンス論には、政府によるコントロールの修正又は代替方法としての国家単位のネットワーク・ガバナンス論とマネジメントの上位概念としての組織単位のコーポレート・ガバナンス論があると分類した上で、現在、ガバナンスが問題となっているのは中央政府が機能不全を来していることが原因であるとした。 入山映氏(サイバー大学)は、市民セクターの社会における重要性を強調する観点から、「公益法人制度改悪 その根底にあるもの」について報告した。その中で公益とは、現在の公益法人制度においては、非営利かつ不特定多数とされているが、ガバナンスとは自分のことは自分で決め、その上で責任も自分で取るということであり、そもそも公益概念への適否の枠組みを政府が決定すること自体が間違っていると指摘した。公益概念に基づく現公益法人制度は廃し、非営利法人という制度に一本化すべきであると提言された。 髙山昌茂氏(公認会計士)は、予算がガバナンスにおいて果たす機能の観点から「公益法人制度改革とガバナンス 損益予算について」の論題で報告した。公益法人の予算に関する取扱いは、昭和52年策定の会計基準及び昭和60年会計基準の予算準拠主義による収支予算書から、平成16年会計基準の内部管理事項としての収支予算書、そして、平成20年会計基準の損益予算へと変遷してきたが、損益予算ではガバナンスの観点からは限界があり、公益法人にとって真に必要な予算とは収支予算ではないかと指摘された。 討論においては、今般の公益法人制度改革において、準則主義による法人設立の意義については共通の認識が得られたものの、公益認定制度のあり方やNPO法人との関係などについて活発な質疑・討論が行われた。 【自由論題報告】 大会2日目午前中は、4会場に分かれて15の自由論題報告が行われた、各会場の報告者及び論題は以下のとおりである。 第1会場[司会:齋藤真哉氏(横浜国立大学)] ⑴村山秀幸氏(公認会計士)「公益認定法の収支相償規定の意味と実務的対応の検討」、⑵竹内拓氏(自由が丘産能短期大学)「ファンドレイジングの変遷とその対応策」、⑶田中弥生氏(大学評価・学位授与機構)/馬場英朗氏(愛知学泉大学)/石田祐氏(明石工業高等専門学校)「新しい公共と税制優遇―認定NPO 法人は寄付文化を促進するか?―」 第2会場[司会:会田一雄氏(慶応義塾大学)] ⑴小野英一氏(東北公益文科大学大学院)「NPM(ニュー・パブリック・マネジメント)を活かした非営利組織マネジメントについて」、⑵川野祐二氏(下関市立大学)「公益志向の近代市民結社とイノベーション:自治的アソシエーションの拡大と民主主義」、⑶八島雄士氏(九州共立大学)「行政とNPO の協働におけるバランスト・スコアカードの適用可能性」、⑷大原昌明氏(北星学園大学)/鈴木克典氏(北星学園大学)「『自転車タクシー事業の現状と課題』―事業者へのヒアリング調査に基づいて―」 第3会場[司会:江田寛氏(公認会計士)] ⑴古市雄一朗氏(福山大学)「非営利組織の会計における貸借対照表の意義」、⑵馬場英朗氏(愛知学泉大学)「3省庁からみた民間非営利組織への事業積算―イコール・フッティングは考慮されているか?―」、⑶兵頭和花子氏(兵庫県立大学)「非営利組織の財務的基盤とその会計」、⑷佐久間義浩氏(富士大学)「非営利組織における内部統制の現状―公的医療機関における内部統制に関するアンケート調査による分析―」 第4会場[司会:富永さとる氏(パブリック・ベネフィット研究所)] ⑴伊藤葵氏(早稲田大学大学院)「日本型地域プラットフォームの形成―行政とNPOの連携による効果的なガバナンスに向けて―」、⑵角谷嘉則氏(立命館大学)「ボランティアの専門性の高度化―障害者の就労支援を事例として―」、⑶東郷寛氏(近畿大学)「公民パートナーシップ(PPP)のマネジメント:先行研究レビュー」、⑷初谷勇氏(大阪商業大学)「非営利法人制度改革と市民社会の安全」 【特別講演】 午後からは、田中羊子氏(ワーカーズコープセンター事業団・専務理事)による「『新しい公共』の創造と協同労働の可能性」と題する特別講演が行われた。田中氏は、協同労働の協同組合という新しい就労機会創出の仕組みとしてのワーカーズコープのこれまでの活動内容を紹介され、事業者が、利用者や地域と協同して事業を行なうことにより、「新しい公共」の場が創出されるとともに利用者や地域のニーズに合ったサービス提供が行われると指摘された。 【研究部会報告】 特別講演の質疑終了後、東日本研究部会[主査:小林麻理氏(早稲田大学)]と西日本研究部会[主査:藤井秀樹氏(京都大学)]からそれぞれの部会報告が行われ、最後に大会準備委員長の小林麻理氏の閉会挨拶により盛況のうちに閉幕した。

  • 第8回学会賞・学術奨励賞 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    学会賞・学術奨励賞の審査結果 第8回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成21年9月26日 非営利法人研究学会 審査委員長:大矢知浩司 ​ 非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第8回学会賞(平成20年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成20年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果、今次は残念ながら学術奨励賞に該当する論文はなく、下記の論文を学会賞に値するものと認め選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞 伊藤研一(摂南大学)・道明義弘(奈良大学〔名誉教授〕)「大統領府創設の“ねらい”ー行政組織の効率測定と予算配分:サイモンとバーナードー」(平成20年度非営利法人研究学会全国大会報告、於・日本大学、『非営利法人研究学会誌』VOL.11所収) 【受賞論文の特徴と受賞理由】 本稿は、先に第10回全国大会統一論題で報告され、その報告をベースに纏められた論考「アメリカ行政府の構造改革ー組織論はF. D. ローズベルトを助けたか?ー」(『非営利法人研究学会誌』VOL.9所収)で論じられた1939年のローズベルト米大統領による行政府の構造改革についての概括的な説明をさらに押し進め、行政府の効率測定と予算配分問題を、詳細かつ出来るだけ具体的に明らかにしようとするものである。この課題は、伊藤の初期サイモン研究において、サイモンの研究課題が社会的な背景の下において実行されており、1930年代の社会的経済的な状況の解明が必須であることを明らかにしてきているが、サイモンにおける理論形成の背景を社会的な全体状況の下で解明し、サイモン理論の創造・形成の過程を、社会的な行動との関係の下で明らかにしようとする試みは、この伊藤の試みを除けば、ほとんどなされたことがないと思われる。このような試みを通じて、理論が時代の子であることを伊藤は具体的に明らかにするとともに、時代の変遷において、理論がどのように位置づけられるかを解明できるという。この初期サイモンを研究する過程の一環として、先の論稿と本稿がある。 効率測定については、ローズベルト大統領の構造改革以前には、1916年に連邦政府は、後に予算局に吸収されることになる効率局を設置して、行政府の効率測定を実行しようとしている。本稿では、効率局による年次の報告書を手掛かりに、効率局の行動を要約し、その行動が予算局にどのように結びつき、予算局においては、どのような行動が期待されていたのかを明らかにしようとしている。1933年に予算局に吸収された効率局については、わが国ではこれまで注目されることがなく、したがって、その行動が紹介されることはなかったが、現在、わが国の行政において重要な課題とされている行政の縦割り問題を解決し、行政における効率を高めるためには、改めてこの効率局の行動を見直す必要があろうと論者は言う。 効率局においては、人事における効率評定システムの作成と評価の実行、各省の業務遂行についての調査と効率化、業務の重複についての調査、統計資料の作成と管理という職務を実行していたが、効率局を予算局に吸収した理由の1つは、予算配分にこの効率局において蓄積したノウハウを利用しようとすることにある。効率局の行動を予算局との関係の下において明らかにしたのは、本稿が最初であろう。 大恐慌を経て、アメリカの時代的な要請であった効率問題の解決は、また、このような時代背景の下において生み出されてきているサイモン理論に大きな影響を与えており、サイモン理論の理論的な基礎は一貫して「効率」にあると、伊藤・道明は喝破している。時代と切り結ぶことによって、サイモンは、時代の中から、その要請に応えるべく彼の理論を構成していることが明らかになっている。連邦政府における構造改革は、効率問題を通じて、サイモンの理論と結びついている。サイモンにとって、連邦政府の構造改革に辣腕を振るったブラウンロー委員会の構成メンバーであるメリアムはシカゴ大学の恩師であり、また、ギューリックとは効率研究を通じて、リドレーを介して知悉の関係にある。後日、サイモンは、ギューリックに対して、構造改革の理論的基礎が伝統理論であるとして激しい論難を浴びせたが、この論難がサイモンの効率測定研究の成果に基づくことを、伊藤・道明は明らかにしようとするものであった。 本稿においては、ブラウンロー委員会の提案のうち予算局に関する部分を取り上げ、1939年の構造改革における変革をGovernment Manualの組織図を示すことによって詳細に跡づけるとともに、担当官の氏名を明らかにすることで、その中にサイモンの知己が任命されていることを見出している。予算局が大統領府に移管されるとともに、その権限は大きく変化し、予算配分と情報管理という枢要な職能を果たすようになる。そこにサイモンは知人を有していたし、また、他の政府機関にも知己を持っている。このように、当時のサイモンは、政府の中心的な機関に属する人物との関係を有しており、彼の理論形成には、当時の時代的な全体状況が色濃く反映しているという。 ブラウンロー委員会の提案において示されている予算局の大統領府への移管と、その職能の拡大は、そのまま1939年の構造改革において実行されていることが明らかにされている。ブラウンロー委員会における予算局に関する提案と、ローズベルト大統領の議会への提案Reorganization Plan No.1 of 1939 とは、軌を一にするものであり、大統領は、委員会の提案どおりに予算局を大統領府へ移管し、予算局の職能を拡大するという提案を行っていることが分かる。経営管理の腕として、大統領は予算局の行動には極めて重要な役割を期待した。これは、ギューリックの考え方を具体化したものであり、伝統的な経営理論の成果の1つとみなすことができる。そこでの理論的なバックボーンは、管理原則論であり、管理過程論であった。 このギューリックの理論に対して、激しい論難を浴びせたサイモンの考え方の基礎には、彼自身の効率研究成果が横たわっている。本稿においては、その論難へ至る研究成果、効率測定問題の研究過程を詳細に追跡しており、リドレーとの共同研究において、リドレーの有効性を重視しつつも、サイモンは独自に効率重視の考え方を提示し、共同研究をリードしたことを明らかにしている。サイモンは、効率測定を操作可能なものとして提示することが必要と考えており、そのフレームワークを案出しようとしている。このようにして生み出された効率の考え方が、生涯を通じて、サイモンの研究成果における通奏低音となっているというのが、伊藤・道明の見解である。 ローズベルト大統領は、大恐慌を克服し、民主主義を守り抜くために必要な要件として、効率を掲げているが、この考え方は、ギューリックにもサイモンにも共通したものであった。しかし、ギューリックには、操作可能な形での効率概念のフレームワークが欠けていたのに対して、サイモンにおいては、不完全ではあるが、操作可能な形で、そのフレームワークを提示できたという自負が見られるとともに、時代の要請に応えるという充足感が溢れている。同時代のバーナードも、時代とともに歩み、有効性と効率性を組み合わせた評価フレームワークを提示している。 本稿では、ローズベルト大統領がニュー・ディール政策を実行し、効率を求めて、連邦行政府の構造改革を断行する時代にあって、サイモンの初期研究においても、効率問題が主要な関心事であり、時代と切り結びつつ、サイモンは自分の考え方をまとめていっていることを、構造改革に関する文献とサイモン・リドレーが著している文献とに基づきつつ詳細に明らかにしている。時代の動きを描きつつ、それにシンクロする形で、サイモンという研究者の自らの理論形成の過程を明らかにしており、両者に共通するキーワードとして、効率という概念を見出しているところに、本稿の特徴が見られる。 以上から、問題指摘の独創性、文献渉猟、論述展開の緻密さ、効率性と予算との関係を明確にした現代的意義づけ等、極めて優れた大作であり、審査委員会は一致して、学会賞にふさわしい論文に選定した。 2. 学術奨励賞 該当者なし

  • 各種規程 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    定款 会費等に関する規則 部会運営規程 (令和4年12月27日改正) 分野別研究会運営規程 ( 令和4年12月27日改正) 特別委員会運営規程 (令和4年12月27日新設) 学会誌に関する規程 ( 令和5年9月15日改正) 学会誌以外の著作物に関する申し合わせ​ 学会賞及び学術奨励賞等に関する規程 ワーキングペーパー投稿規程 ​スタディグループ運営規程 ​研究倫理規程 ​全国大会運営規定 (令和4年12月27日改正) ​自由論題報告申込書(Word) ​(PDF) ​各種規程

  • 経過報告(大学等学校法人研究会) | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    非営利法人研究学会 大学等学校法人研究会 【2018年度 研究経過報告】

  • 受賞者一覧 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    学会賞・学術奨励賞の受賞者一覧 ■学会賞受賞者一覧 (号、受賞日、氏名、受賞著書または論文名、発行所・掲載誌) 第1号 平成14年7月27日 堀田和宏 非営利事業の社会的機能と責任 学会誌Vol.4 第2号 平成16年9月4日 小島廣光 政策形成とNPO法―問題、政策、そして政治 有斐閣 第3号 平成18年9月1日 藤井秀樹 非営利組織の制度進化と新しい役割 学会誌Vol.8 第4号 平成21年9月26日 伊藤研一・道明義弘 大統領府創設の“ねらい”―行政組織の効率測定と予算配分:サイモンとバーナード 学会誌Vol.11 第5号 平成28年9月17日 李 庸吉 医療紛争の法的分析と解決システム―韓国法からの示唆― 晃洋書房 第6号 令和元年9月15日 黒木 淳 非営利組織会計の実証分析 中央経済社 ■学術奨励賞受賞者一覧 (号、受賞日、氏名、受賞著書または論文名、発行所・掲載誌) 第1号 平成14年7月27日 梅津亮子 看護サービスの活動レベルの原価標準設定 学会誌Vol.4 第2号 平成15年10月11日 今枝千樹 非営利組織の業績評価と会計情報拡張の必要性 学会誌Vol.5 第3号 平成15年10月11日 江頭幸代 環境コストと撤去コスト 学会誌Vol.5 第4号 平成17年9月10日 吉田初恵 介護保険制度改革に向けての論点 学会誌Vol.7 第5号 平成20年9月4日 池田享誉 非営利組織会計概念形成論 森山書店 第6号 平成23年9月14日 佐久間義浩 非営利組織における内部統制の現状―自治体病院におけるアンケート調査による分析― 学会誌Vol.13 第7号 平成25年9月21日 深山誠也 社会福祉法人の競争戦略と組織―高齢者介護組織を対象とする実証研究― 学会誌Vol.15 第8号 平成26年9月10日 後藤祐一 戦略的協働の経営 白桃書房 第9号 平成28年9月17日 佐藤 恵 非営利組織会計の純資産区分に関する試論―財務的弾力性の観点から― 学会誌Vol.18 ​ ■学術奨励賞特賞受賞者一覧 (号、受賞日、氏名、受賞著書または論文名、発行所・掲載誌) 第1号 平成22年9月4日 江田 寛 NPO会計基準を民間で作成することの意義 学会誌Vol.12

  • 第18回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第18回大会記 2014.9.10-11 横浜国立大学 統一論題 公益性の判断基準 税理士 上松公雄 非営利法人研究学会第18回大会が、横浜国立大学(大会準備委員長:齋藤真哉〔横浜国立大学〕)において、平成26年9月10日から11日までの2日間に渡って開催された。 前日の常任理事会及び理事会、1日目の総会の開催に引き続いて、統一論題「非営利法人に係る公益性の判断基準」(司会:佐藤倫正氏〔愛知学院大学〕)の報告が行われた。 ​ 【統一論題報告】 第1報告の岡村勝義氏(神奈川大学)「一般社団・財団法人の公益性判断基準」においては、公益性判断基準について、公益認定基準のうち、1号基準(事業目的)、6号基準(収支相償)、8号基準(公益目的事業比率)、9号基準(遊休財産保有制限)と旧制度の「指導監督基準」との比較が行われ、「指導監督基準」を承継しつつ、独自なものとして、公益目的事業について不特定多数条項(不特定多数の者の利益の増進に寄与するもの)による質的規制(1号基準)と財務三基準(6・8・9号基準)による財務的側面からの量的規制の強化が付加されていることが明らかにされた。また、それぞれの問題点として、質的規制については、不特定多数条項の判断において裁量の余地があり判断にズレが生ずる恐れがあること、財務三基準については、税制上の優遇措置との連動性までも強化されたため、財務三基準=税制優遇措置の適用基準となっていることの指摘がなされた。 第2報告の初谷勇氏(大阪商業大学)「特定非営利活動法人の公益性判断基準」においては、法人制度の沿革について行政システムの集権・分権等との観点と関連せしめて整理された上で、公益法人(公益社団・財団法人)とNPO法人における公益性判断主体及び公益性判断基準、そして、公益増進性判断主体及び公益増進性判断基準の転換状況と相違点について報告された。すなわち、公益性判断基準については、公益法人制度は、公益性判断基準の「統一化への伏流」から基準の「消失」であり、NPO法人制度は「法定」からその「拡充」とされた。また、公益増進性判断基準については、公益法人制度では、「自由裁量」から「法定・統一化」であるのに対し、NPO法人制度では、「根拠法の転換と基準緩和の昂進」であるとされた。 NPO法人の場合のこれらの相違は、認証主義、あるいは、行政主導の下での地方分権・分散化と対象の拡充に向けた対応の深まりという「程度」の問題と捉えることができるものとされた。 第3及び第4報告は、諸外国における公益性判断基準に対する研究であり、第3報告の金子良太氏(國學院大學)「アメリカの非営利法人の公益性判断基準」においては、内国歳入法501(C)⑶団体を対象に、その特徴及び連邦税の非課税団体の認定の仕組みについて解説された。501(C)⑶団体については、パブリック・チャリティ(PC)とプライベート・ファウンデーション(PF)の区分があり、さらに、PCには、①宗教・学校医療・公立大学後援団体等の連邦・州で認可を得た法人、②PST等の審査に合格した団体、③事業型PSTに合致した団体、④パブリック・チャリティ支援型組織の4類型が存し、それぞれについて、公益性の認定基準が異なり、かつまた、租税の特典の内容も異なることが明らかにされた。日本と比較した特徴として、広く一般から寄附を集める団体の優遇は大きいものの、特定者からの寄附で成立するPFには租税回避を防止するための規制等が存することが紹介された。 第4報告の尾上選哉氏(大原大学院大学)「英国チャリティの公益性判断基準」では、所轄庁であるチャリティ委員会の公益性認定の判断基準をチャリティの登録時を中心として考察された。 2006年チャリティ法以後、チャリティとは、専らチャリティの目的のために設立された組織として定義され、チャリティ目的であるためには、①目的記述要件(組織の目的〔使命〕がチャリティ法に規定する13の目的記述に該当するかどうか)と②パブリック・ベネフィット・テスト(目的が有益であるかどうか及び公に便益をもたらすかどうか)を充足するかどうかについて、チャリティ委員会が決定することが確認された。 以上の4報告を基に、パネル・ディスカッションへと進み、まず、コメンテーターの江田寛氏(公認会計士)は公益性判断に係る視点として将来社会に貢献するか否かの点、また、課税の優遇措置に関しても将来の豊かさを獲得するという積極的視点の必要性が説かれ、報告者に対して、公益認定基準におけるパネル・ディスカッションは学際的な議論となった公益・一般法人 No.879 2014.10.154財務三要件、チャリティ委員会方式による公益性判断において将来性判断が可能かどうかの見解を問う質問がなされた。 続いて、同じくコメンテーターの馬場英朗氏(関西大学)から、公益認定に係る制度の狙いが、当初は、民間の主体性の発揮及び客観的判断基準(恣意性の排除)にあったものが、運用の過程において、税制上の優遇措置との関係から、新規事業を開始するに際して行政(課税当局)の判断を仰ぐこととなり、判断主体がシフトしてしまっているのではないかとの問題提起がなされ、報告者の見解が問われた。 さらに、フロアから日米英の人口比と各国における公益性を有する法人の比が大きく異なっていることの原因となる制度の違いについてなど複数の質問が寄せられ活発な質疑応答が行われた。 最終日は、午前に、特別セッション「非営利組織の会計枠組み構築に向けて」(司会:齋藤真哉氏)が行われた。 ​ 【特別セッション】 森洋一氏(日本公認会計士協会)による基調報告において「非営利組織の会計枠組み構築に向けて(日本公認会計士協会非営利法人委員会研究報告第25号)」(以下、研究報告25号という。)の概要について説明された。すなわち、非営利組織の範囲について、事業活動を通じて稼得した利益を分配することを目的としない組織であると定義し、会計枠組み構築に向けては、①会計の基本的枠組みの共有、②モデル会計基準の開発、③会計基準の統合化という段階的アプローチが提案された。そして、基本的枠組みを構築するためには、これを一元的に取り扱う体制が不可欠であるとし、この場合の会計基準設定主体に求められる要件について、利害関係者の参画と代表性、独立性、透明性とガバナンス、正当性、専門性、財政基盤が挙げられた。その上で、会計基準設定主体として、①行政内に設置、②民間新団体を設立、③民間の会計基準設定組織内に設置の3方式が考えられるところ、課題は当然あるものの、③の民間の会計基準設定組織内に設置の方式が望ましいものとされた。紙幅の都合上、詳細に触れることはできないが、研究報告25号の報告に係る研究に取り組まれた背景としての非営利セクターに対する期待と課題、わが国の情報開示と会計の状況についても丁寧な説明が行われた。 続くパネル・ディスカッションにおいては、まず、報告者に対して、パネリストの鷹野宏行氏(武蔵野大学)から①アメリカの非営利法人会計に係る概念フレームワーク及び会計基準とのあり方及び②会計基準設定主体の資金調達についての見解を問う質問及びコメントがなされた。次いで、同じくパネリストの古庄修氏(日本大学)は、研究報告25号の意義、機能についてコメントされた後、①比較可能性についての情報ニーズ、会計プロフェッションにおける統一化の実需、②非営利法人の範囲(非営利性の定義)、③非財務報特別セッションの司会は今大会実行委員長の齋藤真哉氏公益・一般法人 No.879 2014.10.15学会ニュース 5告の開示の進め方について質問された。 さらに、フロアの会員と一体となって、①非営利組織の範囲、②フレームワークと会計基準との関係、③非財務情報の役割、④会計基準設定主体について、活発な質疑応答、議論が行われた(時間切れとなり、③、④の問題点は割愛となった)。 ​ 【西日本部会報告】 大会プログラムの最後は、西日本部会(九州部会)報告として「地域における行政、医療及び福祉の現状と課題」(司会:早坂毅氏〔税理士・行政書士〕)の最終報告が行われた。 冒頭に森美智代氏(熊本県立大学)から最終報告書の提出に係る報告と関係者への謝辞が述べられた。引き続いて、渡辺亨氏(熊本市都市政策研究所)より「熊本地域の地下水保全事業におけるNPOの役割」についての報告が行われた。 報告においては、NPOが関係した官民協働に係る成功事例(熊本地域の地下水保全事業〔かんくまセミコンモデル〕)が紹介され、官民協働におけるNPOの役割について確認された。すなわち、官民協働においてNPOがモデルケースを構築し、その成功事例を示すことで、行政や企業の参入を促す起爆剤となり得ることの指摘がなされた。 ​ 【自由論題報告】 自由論題報告は、第一会場(司会:船越洋之氏(湘北短期大学))において、髙屋雅彦氏(近畿大学)「病院と公益性に関して-精神科診療を例として-」、河谷はるみ氏(九州看護福祉大学)「在宅医療を担う医療体制の在り方」、森美智代氏「非営利法人組織における会計の役割-日独における医療改革をとおして-」、第二会場(司会:竹内拓氏(自由が丘産能短期大学))において、黒木誉之氏(熊本県立大学)「内発的発展による地域再生-水俣市の「もやい直し」を主軸とした市民協働の地域づくり-」、井寺美穂氏(熊本県立大学)「行政倫理システムの機能および逆機能-政府における取組みを中心に-」、西村友幸氏(釧路公立大学)「非営利組織はアドホクラシーか?」、第三会場(司会:江頭幸代氏(関東学院大学))において、菊池遼氏(東北大学大学院生)「NPO 法人の新認定制度に関する一考察-認定NPO法人へのインタビュー調査から-」、藤井誠氏(日本大学)「非営利法人課税の本質」、出口正之氏(国立民族学博物館)「学校法人・社会福祉法人創設における制度改革との比較における公益法人制度改革」の全報告が行われた(各報告に対するコメンテーターについては省略した)。

  • 第21回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第21回大会記 2017.9.5-6 神戸学院大学 ​ 統一論題 非営利法人の収入と支出に係る会計諸課題 ​ 前 年に第20回記念大会を、欅並木が美しい成蹊大学で迎えた非営利法人研究学会は、本年9月5日(火)から6日(水)の日程で、会場を神戸ポートアイランドのオーシャン・フロントに位置する神戸学院大学に移して開催された。今大会の統一テーマは「非営利法人の収入と支出に係る会計諸課題」であり、98名の参加者が集まった。今般の非営利組織運営において重要視される課題のひとつは、「収入」を出来る限り「支出」して余剰金を生じさせないことにある。一般には「収支相償」問題と呼ばれるものである。本大会では、学会を代表する研究者4 人により当該問題と関連した統一論題報告が行われ、参加者を交えた活発な議論が展開された。なお、9月4日(月)には、常任理事会及び理事会が開催された。 ​ 大会第1日目 ​ 大会1日目には、まず会員総会が開催され、冒頭、会長である堀田和宏氏(近畿大学)による挨拶の後、担当者より種々の会務報告が行われた。このなかで、次回大会の開催校が武蔵野大学に決定し、実行委員長として同学教授の鷹野宏行氏が選任された。 統一論題報告 本大会の統一論題報告は、統一テーマを「非営利法人の収入と支出に係る会計諸課題」とし、総合司会に齋藤真哉氏(横浜国立大学)を迎えて行われた。まず、出口正之氏(国立民族学博物館)より「公益認定における収支相償に係る諸問題」の報告があり、次に石津寿惠氏(明治大学)より「非営利法人における内部留保」の報告があった。最後に柴健次氏(関西大学)より「非営利法人(会計)における収入の意義」が報告された。 ​ 記念講演 統一論題報告に続いて、大会開催校の名誉教授である戸田博之氏(神戸学院大学)による記念講演が行われた。題目は「非営利的組織とカメラ―ル簿記」であり、講演者における長年の研究成果の一端が披露された。 大会第2日目 ​ 大会第2日目は、午前中に自由論題報告が行われた。自由論題は2 つの会場に分かれて計8 本が報告された。各会場の報告者及び報告タイトルは以下のとおりである。 自由論題報告 第1会場 B204教室 司会:鷹野宏行氏(武蔵野大学) ・報告① 津曲達也氏(九州大学大学院博士課程)「大学同窓会における大学と卒業生のつながりの実態」 ・報告② 岩崎保道氏(高知大学)「民事再生手続きによる学校法人再建の可能性」 司会:橋本俊也氏(税理士) ・報告③ 今枝千枝氏(愛知産業大学)/藤井秀樹氏(京都大学)「 地域創生活動における中間支援組織の役割と課題―広島神楽・東濃地歌舞伎の事例研究―」 ・報告④ 吉田忠彦氏(近畿大学)「京都市市民活動総合センターの設立をめぐって」 第2会場 B205教室 司会:吉田初恵氏(関西福祉科学大学) ・報告① 川野祐二氏(下関市立大学)「『創業者統治』の機能からみる法人格選択とミッション経営」 ・報告② 東郷 寛氏(近畿大学)「公民パートナーシップ施行過程の分析枠組の検討」 司会:成道秀雄氏(成蹊大学) ・報告③ 金子良太氏(國學院大学)「セクター中立会計の可能性と課題―諸外国の事例をふまえて―」 ・報告④ 越智信仁氏(尚美学園大学)「地方創生に資する『地域社会益法人』承認を巡る考察―情報の非対称性を緩和する視点から―」 大会第2日目の午後からは、本学会に設置されている2 委員会の研究報告が行われ、続いて統一論題のシンポジウムが開催された。委員会報告では、公益法人会計研究委員会を代表して江田寛氏(公認会計士)、藤井秀樹氏(京都大学)、古庄修氏(日本大学)、新公益法人制度普及啓発委員会を代表して吉田忠彦氏(近畿大学)、岡村勝義氏(神奈川大学)より、委員会設立の趣旨及び全国公益法人協会創立50周年記念事業の一環として実施された委託研究報告が行われた。次にシンポジウムでは、参加者からの質疑に対するパネリストの応答を基本形式としつつ、予定時間を超過して活発な議論が行われた。 ​ 委員会報告 ・公益法人会計研究委員会(委員長:江田寛氏、副委員長:藤井秀樹氏、委員:古庄修氏) ・新公益法人制度普及啓発委員会(委員長:吉田忠彦氏、副委員長:岡村勝義氏) 統一論題シンポジウム 司会:齋藤真哉氏(横浜国立大学) パネリスト:出口正之氏(国立民族学博物館)/石津寿惠氏(明治大学)/柴 健次氏(関西大学)

  • 資料室 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    資料室 研究の「原液」となるのは、さまざまな「資料」です。また、研究の成果は新しい「資料」となって結実し、それがさらには次なる研究の「原液」となります。ここでは、非営利法人研究に欠かせない各種資料へとご案内します。 ■各種資料一覧 資料名:ワーキングペーパー2023-001 ソーシャル・サービスの「連携推進法人」を巡る現状分析と課題整理 資料公表日:2023年9月28日 公表機関:非営利法人研究学会 ワーキンググループ(座長:國見真理子氏) 公開中 資料名:公益・一般法人研究会2022年度最終報告 資料公表日:2022年10月1日 公表機関:非営利法人研究学会 公益・一般法人研究会​​ 公開中 資料名:公益・一般法人研究会2017年度最終報告 資料公表日:2018年9月9日 公表機関:非営利法人研究学会 公益・一般法人研究会​​ 公開中 資料名:大学等学校法人研究会2018年度経過報告 資料公表日:2018年9月9日 公表機関:非営利法人研究学会 大学等学校法人研究会 公開中 資料名:公益法人会計研究委員会 最終報告『非営利組織会計の研究』 資料公表日:2017年9月5日 公表機関:全国公益法人協会 ※この報告は全国公益法人協会からの委託研究によって得られた研究成果です。 詳細はこちら 資料名:新公益法人制度普及啓発委員会 最終報告書 資料公表日:2017年9月5日 公表機関:全国公益法人協会 ※この報告は全国公益法人協会からの委託研究によって得られた研究成果です。 詳細はこちら 資料名:公益・一般法人研究会2016年度中間報告 資料公表日:2017年9月5日 公開期限:2018年3月31日 公表機関:非営利法人研究学会 公益・一般法人研究会 公開終了 資料名:日本学術会議ニューズレター 資料公表日:2015年4月30日 公表機関:日本学術会議 リンク 資料名:出口正之「公益法人制度改革を総括する―移行期間終了を目前に控えて―」(発表資料) 資料公表日:2013年9月21日 公表機関:非営利法人研究学 会 資料名:大内俊身「非営利法人制度の現状と課題」(レジュメ) 資料公表日:2010年9月25日 公表機関:非営利法人研究学会

  • 第6回学会賞・学術奨励賞 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    学会賞・学術奨励賞の審査結果 第6回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成19年9月8日 非営利法人研究学会 審査委員長:大矢知浩司 非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第6回学会賞(平成18年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)及び学術奨励賞(平成18年度全国大会の報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。 1. 学会賞 該当作なし 2. 学術奨励賞 該当作なし ​

  • 第20回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第20回大会記 2016.9.17-18 成蹊大学 統一論題 非営利法人研究の回顧と展望 成蹊大学 成道秀雄 記念すべき非営利法人研究学会第20回大会は、平成28年9 月17日(土) から18日(日)の日程で、欅並木が秋色を帯びた成蹊大学にて開催された。今大会の統一テーマは「非営利法人研究の回顧と展望」として、102名の参加者が集まった。非営利法人研究学会(学会創設当初の名称は「公益法人研究学会」) が創立して、はや20年が経ち、総括的な意味でこの20年を振り返ると共に、将来の展望を、制度・経営・会計・税務の4 つの領域から探求することとし、白熱した議論が展開された。なお、前日の9 月16日(金)には、常任理事会及び理事会が開催された。 ​ 大会第1日目 大会1日目には、まず会員総会が開催され、冒頭、会長である堀田和宏氏(近畿大学)による挨拶の後、担当者より種々の会務報告がなされた。このなかで次回大会の開催地が神戸学院大学とされ、その実行委員長として同学教授の宮本幸平氏が選任された。 また、学会賞及び学術奨励賞等の選考結果として、学会賞に李庸吉氏(龍谷大学)の単著『医療紛争の法的分析と解決システム―韓国法からの示唆―』(晃洋書房)、学術奨励賞に佐藤恵氏(千葉経済大学)の論文「非営利組織会計の純資産区分に関する試論―財務的弾力性の観点から―」(『非営利法人研究学会誌』Vol.18所収)を選定した旨を発表し、授賞式を執り行った。 これに加え、研究学会創立20周年を記念して、創設時より継続して支援を行ってきた全国公益法人協会への感謝状及び記念品の贈呈式も行われた(次頁写真)。統一論題報告 統一論題報告は、総合司会に小島廣光氏(星城大学)を迎えて行われた。まず、吉田忠彦氏(近畿大学)から総論として「非営利法人制度の変遷と今後の課題」の報告があり、次に各論として江田寛氏(公認会計士)の「民間非営利法人の経営/実務家的視点からのアプローチ」、藤井秀樹氏(京都大学)の「非営利法人会計制度の回顧と展望―公益法人会計基準の検討を中心に―」、橋本俊也氏(税理士)の「非営利法人に対する税制と課題」が報告された。 続いて20周年の記念講演として非営利法人研究学会会長である堀田和宏氏(近畿大学)の「非営利法人研究学会の20年を振り返る」が行われた。 大会第2日目 大会2 日目は午前中に自由論題報告が行われた。自由論題は3つの会場に分かれ計8本の報告が行われた。各会場の報告者及び報告タイトルは以下のとおりである。 第1会場 401号室司会:尾上選哉氏(大原大学院大学) ・報告① 日野修造氏(中村学園大学) 「FASB非営利組織体会計基準改定案の検討 ―純資産の分野を中心として―」 ・報告② 林 兵磨氏(常葉大学) 「日本の学校法人会計基準を巡る検討 ―大学の分野別考察から―」 第2会場 402号室司会:吉田初恵氏(関西福祉科学大学) ・報告① 千葉正展氏(独立行政法人福祉医療機構・法政大学) 「社会福祉法人改革の背景と諸問題」 ・報告② 髙屋雅彦氏(近畿大学) 「 精神科病院における医療圏間の偏在と医療圏内のヒエラルキーの形成 ―医療法人における可視的な 内部及び外部コントロールとの関連―」 ・報告③ 李 庸吉氏(龍谷大学) 「 裁判外紛争解決手続における公正性と専門性―韓国における医療ADRを素材に―」 第3会場 403号室司会:齋藤真哉氏(横浜国立大学) ・報告① 出口正之氏(国立民族学博物館) 「法人格から見たチャリティ資格の国際比較」 ・報告② 古市雄一朗氏(大原大学院大学) 「 公益認定取消しとモニタリングについての諸問題」 ・報告③ 西村友幸氏(小樽商科大学) 「組織間分析の独立性基準」 午後からは第1日目の統一テーマを受けてのシンポジウムが行われた。総合司会の小島廣光氏のもと、活発な質疑応答が行われた。

  • 第26回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第26回大会記 2022年10月1日~2日 國學院大學 ​ 1. はじめ に 非 営利法人研究学会第26回全国大会が、2022年10月1 日(土)14時30分より、國學院大學渋谷キャ ンパス1号館1階1103教室を会場に行われた。90名以上の参加者を迎え、金子良太 大会準備委員長 (國學院大學教授)から挨拶があった後、研究報告・討論会が行われた。 第26回目を迎える本大会では、新型コロナの異常事態の中だからこそ、非営利組織が運営基盤の確立とミッションの達成を両立しうることを願い、統一論題のテーマを「非営利組織の財政基盤の確立へ向けて―ミッション達成と両立する取り組み―」と設定し、それぞれ報告と討論会を行うこととした。また、大会中は3名の統一論題報告、5名の自由論題報告、分野別研究会及び受託研究報告、スタディ・グループ報告が行われた。 昨年の全国大会終了後も新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、対面開催が危ぶまれたが、 本大会は久々の対面開催となった。 非営利組織もまた、その使命を全うするために日々努力されているが、コロナ禍において資金があっても十分な活動ができないケース、また社会的課題に立ち向かう必要性が認識されながらも資源が不足するなどの制約でミッションを達成する活動が大きな制約を受けるケースもある。非営利組織が運営基盤の確立とミッションの達成を両立しうることを願って、統一論題を「非営利組織の財政基盤の確立へ向けて―ミッション達成と両立する取り組み―」とした。 ​ 2. 統一論題 (1) 石津寿惠氏(司会・明治大学) 統一論題のテーマに基づき、以下の3報告に共通するミッション達成と両立するための取り組みとして、非営利組織の財政基盤の特徴、ミッションと事業そして評価を巡る状況整理と問題提起がなされた。これに続き、各パネリストから以下の研究報告がなされた。 ​ (2) 馬場英朗氏(関西大学) テーマ「成果の可視化と非営利のミッション―PFS・SIB・休眠預金等活用・社会的投資などの視点から」 成果の可視化の観点からミッションの達成の評価方法の課題について、日本のPFS事業例の紹介 やアメリカやイギリスと日本の非営利組織の事業評価方法の比較検討やSIB、休眠預金口座の活用とその評価等に関するご報告があった。 ​ (3) 金子良太氏(國學院大學) テーマ「非営利組織におけるクラウドファンディングやファンドレイジング費用の会計的課題―」 非営利組織の経営上重要な寄付手段としてのクラウドファンディング(CF)に関する課題として、 寄付型CFの会計処理の特徴、そして会計的に事業性をどう捉えるのかという論点整理、そして海外の非営利組織への現地調査結果を踏まえた報告があった。 ​ (4) 千葉正展氏(独立行政法人福祉医療機構) テーマ「非営利組織における経営基盤の強化と法人間の連携―社会福祉法人のミッションと社会福祉連携推進法人の動向等に着目して」 社会福祉法人のミッションを巡り、戦後に政府主導で認可された社会福祉法人制度創設前後の状況、そして最近の社会福祉連携推進法人創設といった社会福祉法人制度の歴史的展開を踏まえたご報告がなされた。 ​ 3. シンポジウム(分野別研究会 ワークショップ) 尾上選哉 氏(日本大学)のファシリテーションの下、座長の藤井 誠 氏(日本大学)の方から「公益・一般法人における税務問題の実務視点からの研究」に関するご報告があった。これを受けて江田 寛 氏(公認会計士)からオンラインでコメントが寄せられた。 ​ ​ 4. 記念講演 非営利用語辞典編集代表の堀田和宏 氏(非営利法人研究学会前会長)から、本辞典を取りまとめるにあたり多くの執筆者の協力で本企画が実現できたことに対する感謝の言葉がビデオメッセージ で寄せられた。 ​ ​ 5. 分野別報告(中間報告) 森美智代 氏(熊本県立大学)の司会の下、3つの研究会から研究活動報告がなされた。 ​ (1) 「NPO法人研究会」(座長 初谷 勇氏(大阪商業大学) NPO法人の研究意義から再検討を行い、本研究会の方向性についてメンバー間で議論・再確認しあった結果、核となる議題としてNPO法人と非営利組織との存在意義の連動性、寄附税制との関係、外部環境変化への対応、市民自治や地域自治に整理した点や4回の活動内容についてのご報告があった。 ​ (2) 「医療福祉系法人研究会」(座長 鷹野宏行氏(武蔵野大学) 最近の研究会開催状況やZOOM会議映像公開に関するご説明等がなされた。 ​ (3) 「大学等学校法人研究会」(座長 柴 健次氏(関西大学) 従前のテーマであった「大学のガバナンスとアカウンタビリティ」を引き継ぎつつ、更に「経営体としての大学に求められること」を主題に掲げ、6つの研究報告を収録した中間報告書の議論を中心としたご報告がなされた。 ​ ​ 6. 受託研究報告 「非営利法人の会計に関わる試験に関する研究」(最終報告) 大原昌明 氏(北星学園大学)の司会の下、座長の故成川正晃 氏に代わり座長代行の齋藤真哉 氏(横 浜国立大学)を中心に研究メンバー(生島和樹 氏・石田万由里 氏・黒木 淳 氏。石田晴美 氏は当日欠席)の方から、非営利法人の会計試験を巡る状況として、公益法人検定試験の意義と課題、社会福祉法人会計簿記検定試験の現状と課題、そして試験を利用する法人や合格者へのアンケート調査結果に関する研究成果についてのご報告がなされた。 ​ ​ 7. スタディ・グループ報告 「非営利組織の持続可能性と連携:ソーシャル・サービスの連携推進の発展可能性をめぐる多角的検討」 大原昌明 氏(北星学園大学)の司会の下、國見真理子 氏(田園調布学園大学)を座長とするスタ ディ・グループから、法律・会計・経営・海外制度比較・社会保障等の多角的側面からの分析を通じて、非営利組織のソーシャル・サービスの連携推進の発展可能性を明らかにするご報告がなされた。 ​ ​ 8. 自由論題報告 (1) 自由論題報告① 柴 健次 氏(関西大学)の司会の下、第1報告・第2報告がなされた。 ​ 第1報告 「NPOにおける「社会投資収益率(SROI)」評価の問題点考察―費用便益分析との比較において―」 宮本幸平 氏(神戸学院大学) ​ 社会投資収益率(SROI)の評価におけるインパクトの評価について、費用便益分析における評価と対比しながら、問題点の指摘や代替案の導出に関するご報告がなされた。 ​ 第2報告 「人口減少社会における私立大学の維持と役割について」 林 兵磨 氏(京都西山短期大学) ​ 人口減少社会における私立大学、とりわけ中小規模大学の維持と役割について国の私学助成金制度のあり方等の観点からご報告がなされた。 ​ (2) 自由論題報告② 初谷 勇 氏(大阪商業大学)の司会の下、第3報告・第4報告がなされた。 ​ 第3報告 「マルチステークホルダー・プロセスにおける境界連結単位の役割」 伊藤 葵 氏(富山国際大学) ​ 地域課題課題にむけた活動プロセスがどのようにマネジメントされていくのか、またマネジメントの主体はどのような特性や機能を有する必要があるかについてのご報告がなされた。 ​ 第4報告 「企業家の社会事業と公益観―石橋正二郎を中心に」 川野祐二 氏(下関市立大学) ​ 石橋正二郎の自伝『水明荘夜話』とその実質的な執筆者である佐野朝男について、石橋正二郎の公益観と社会貢献意欲に関する思想を明らかにするご報告がなされた。 ​ ​ (3) 自由論題報告③ 吉田初恵 氏(関西福祉科学大学)の司会の下、第5報告がなされた。 ​ 第5報告 「地方私立大学における地域貢献の意義と運営体制に関する考察」 渡辺 亨 氏(日本経済大学) ​ 私立大学の地域貢献とその課題について、実際の事例を通じて、取り組みの阻害要因と課題の解決に向けた協働体制の構築方法に関するご報告がなされた。 ​ ​ 9. 統一論題討論 事前に寄せられた質問に対して各パネリストからのコメントと当日フロアから寄せられた質問に 対する応答等を通じて、活発な討論が行われた。 ​ 大会は、10月2日(日)17時30分に終了した。大会準備委員長として、スムーズな運営にご協力 いただいた事務局、参加者の皆様、運営のお手伝いをいただいた学生に心から感謝申し上げます。 ​ 2023年1月4日 非営利法人研究学会第26回全国大会準備委員会 準備委員長 金子 良太(國學院大學) 委員 國見真理子(田園調布学園大学) 中田 有祐(國學院大學) ​ ​

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    書 名:非営利法人経営論 執筆者:岩﨑保道[編著] 所属機関:高知大学評価改革機構 発行所:大学教育出版 発行年月:2014年10月 総ページ数:190 ​ 書 名:非営利組織のソーシャル・アカウンティング― 社会価値会計・社会性評価のフレームワーク構築に向けて ― 執筆者:馬場英朗 所属機関:関西大学 発行所:日本評論社 発行年月:2013年10月 総ページ数:218 ​ 書 名:ボランティアの今を考える 執筆者:桜井政成[編著] 所属機関:立命館大学 発行所:ミネルヴァ書房 発行年月:2013年9月 総ページ数:222 ​ 書 名:戦略的協働の経営 執筆者:後藤祐一 所属機関:長崎大学 発行所:白桃書房 発行年月:2013年4月 総ページ数:140 ​ 書 名:非営利組織の理論と今日的課題 執筆者:堀田和宏 所属機関:近畿大学 発行所:公益情報サービス 発行年月:2012年3月 総ページ数:917 ​ 書 名:非営利組織の理論と今日的課題 執筆者:堀田和宏 所属機関:近畿大学 発行所:公益情報サービス 発行年月:2012年3月 総ページ数:917 ​ 書 名:市民社会政策論―3・11後の政府・NPO・ボランティアを考えるために― 執筆者:田中弥生 所属機関:(独法)大学評価・学位授与機構 発行所:明石書店 発行年月:2011年8月 総ページ数:384 ​ 書 名:現代企業簿記会計 執筆者:横山和夫 所属機関:東京理科大学 発行所:中央経済社 発行年月:2002年9月 総ページ数:504 ​ 書 名:非営利組織体の会計 執筆者:杉山 学 他 編著 所属機関:青山学院大学 発行所:中央経済社 発行年月:2002年9月 総ページ数:330 文献四季報 このページは本学会会員が発表した図書・学術論文を収録するものです。会員の研究学績を広く社会に紹介するために設けました。情報がありましたらメール等にてお寄せください。 なお、執筆者の所属機関は発表当時のものです。 ■図書の部

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