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    ページ TOP ページ TOP 学会からお知らせ・更新情報 ​ ◆2022年全国大会の詳細が公表されました。(2022/7/29) こちらからご確認ください。​(クリック) ​ ◆2022年度全国大会・自由論題募集のご案内(2022/6/6) 詳細はこちら をご覧ください。(自由論題申込書はこちら ) 【非営利法人研究学会全国大会】※プログラムは現在調整中です。 自由論題報告日程:2022年10月2日(日)​ 会場:國學院大學 準備委員長:金子良太(國學院大學) ​ ◆主催校より全国大会に関するご案内(2022/6/5) ご案内はこちら(クリック) ​ ◆今年度の全国大会の日程(2022/5/30) 全国大会の日程が10月1日(土)2日(日)で決定いたしました。 ​ 主催校からのお知らせ(クリック) ​ ​ ◆会員名簿の記載事項について(2022/5/25) 本会の会員名簿は個人情報保護の観点から氏名と所属機関(資格)のみの掲載でしたが、本年度以降は会員皆様の交流や情報交換を目的に(1)氏名、(2)所属機関(資格)の他、(3)住所(自宅or所属機関)、(4)電話番号、(5)メールアドレスの掲載をさせていただきます。※(3)~(5)は掲載許諾のある項目のみ掲載します。 会員の皆様はこのアンケートフォーム(クリック) からご回答いただきますようお願いいたします。 回答期限:2022年6月末日 ​ ◆非営利用語辞典の発刊について(2022/3/30) 当会が編集に携わりました非営利用語辞典(発行所:全国公益法人協会)が2022年3月20日に発刊されました。 ​ 多くの会員の皆様にご協力いただきましたこと心より御礼申し上げます。 ​ ​ 詳細(クリック) ​ ​ ◆スタディ・グループの公募について(2021/3/1) 昨年9月に制定されたスタディ・グループ運営規程に基づきまして、スタディ・グループの公募を行います。 詳細は会員メーリングをご確認ください。​​ ​ ◎[一般法人会計研究委員会]より受託研究最終報告書(委託元:全国公益法人協会)が公表されました。 詳細はこちら (2020/09/16) ​ ◆役員の改選について ​ 2019年9月に役員改選がありました。新役員はコチラ からご確認ください。 ​ ◎​[公益・一般法人研究会]より2017年度最終報告書、[大学等学校法人研究会]より2018年度経過報告書が公表されました。 詳細はこちら (2018/09/09)※会員専用ページからダウンロードが可能です。 ​ ◆当会の公益認定が全国公益法人協会の機関誌『公益・一般法人』No.954(2017年12月1日号)で紹介されました。詳細はこちら ​ ◆「会員専用資料室」運用開始のお知らせ(2017/09/13) 本サイトに「会員専用資料室」を開設しました。会員の皆様がご活用いただける資料を掲載させていただきます。パスワードについては会員メーリングリストでお知らせいたしますが、ご不明な方は学会事務局までお問い合わせください。 ​ ◎非営利法人研究学会[公益法人会計研究委員会]と[新公益法人制度普及啓発委員会]から最終報告書が公表されました。​(2017/09/13) ​ 開催スケジュール ​ ​ ​ 地域部会についてのお知らせ ​ ◆7月23日開催予定関東部会(武蔵野大学)延期について◆ (2022/7/8) 非営利法人研究学会関東部会では、7月23日に武蔵野大学を主催校として関東部会を開催させていただく予定でしたが、残念ながら報告希望の先生がいらっしゃらなかったため、7月23日の開催は延期させていただくこととなりました ご参加を予定されていた先生方には申し訳ございませんが、何卒ご容赦ください。 非営利法人研究学会関東部会 ​ ◆2022年度 国際公会計学会北海道部会・非営利法人研究学会北海道部会による合同部会開催のご案内◆(2022/6/17) 開催日時:2022年8月7日(日)15時開始 開催方法:Zoomによるリアルタイム・オンライン形式 申込期限:2022年7月23日(土) 申込先:北海道部会長 大原昌明 ohara※hokusei.ac.jp(※は@にしてください) ※メール本文にご所属・お名前および報告タイトル(仮のものでも可)を記載してください。 ※今年度の非営利法人研究学会全国大会への申込期限は7月15日までとなっております。全国大会での報告を希望する方は、申込期限に関わらず7月15日以前にお申し込みください。 ※この部会は、全国の皆さまの報告が可能です。 ※開催案内は、締切後、改めてお知らせします。 ※不明な点はお問い合わせください。 ​ ​ ◆7/23関東部会・北海道部会の報告者募集のお知らせ◆(2022/5/24) 開催日時:2022年7月23日(土曜日) 13:00から15:30(予定) ※報告希望者数により終了時間が変わります。 ご理解の程,何卒宜しくお願い申し上げます。 場所: 武蔵野大学有明キャンパス(東京都江東区有明3丁目3−3 詳細な場所・教室については開催通知にて改めてご連絡します) ※ご報告希望者には、原則として武蔵野大学有明キャンパスへお越しいただいてのご報告をお願い致します。 《報告者の募集方法》 メールの件名を「7月23日開催北海道・関東部会の報告希望」とし、下記の連絡先あてに, お名前とともに「ご所属」および「論題」をお知らせ下さい。 部会の開催通知に記載させて頂きます。 報告時間はおよそ30分でお願いいたします。 なお、ご報告希望の受付の締切日は 「2022年7月3日(日曜日)」とさせて頂きます。 報告希望メールには5日以内に必ず返信させていただきますので、メール不着等のトラブル防止のため、返信も併せてご確認ください。 連絡先:金子 良太(関東部会幹事) hieirikantou※yahoo.co.jp ※を@に変えてメールをご送信ください。 ​ ◆6/25(土)中部・関西・九州合同部会 報告者募集◆(2022/5/12) *次回の3部会合同の部会での報告を募集いたします。 日 時: 2022年6月25日(土) 13:30~16:30(予定) 場 所: Zoomによるオンライン形式 司 会:宮本幸平(神戸学院大学・関西部会幹事) 募集件数:2件 申し込み方法 氏名、所属、報告タイトル、概要(200字程度)を明記の上、下記の世話役までメールでお申込みください。 お申込み・お問い合わせ先:吉田忠彦(近畿大学)メール tdhkysd*gmail.com (*を@に直してご送信ください) ​ ​ ◆5/14(土)中部・関西・九州合同部会◆(2022/5/12) ​ 日 時: 2022年5月14日(土) 13:30~16:30 場 所: Zoomによるオンライン形式 報 告1(13:30~14:20) 川野祐二(下関市立大学) 「企業フィランソロピーの社会的機能-日本型CSRと財団の経験」 報 告2(14:30~15:20) 渡辺 亨(日本経済大学) 「私立大学の地域貢献活動の意義についての考察:建学の精神(ミッション)に注目して(仮)」 報 告3(15:30~16:20) 林 兵磨(京都西山短期大学) 「少子化傾向における私立大学のビヘイビアと会計制度の関係 -特に学部増設に関連して-」 司 会:伊佐 淳(久留米大学;九州部会長) ​ ※開催の詳細情報は会員MLでご案内しています。 ​ ◆5/7(土)関東部会開催延期のお知らせ◆(2022/4/21) ​ 5月7日に武蔵野大学にて関東部会の開催を予定していましたが、 報告希望者がいなかったため5月の開催は延期させていただくこととなりました なお、次の部会開催は7月16日(土曜日)を予定しております。 現時点ではオンラインを想定しています。 全国大会前の部会の開催は、7月の部会が最後となります。 7月部会の報告者募集については、 時期が近くなりましたら改めてご連絡させていただきます。 ​ ​ ◆報告募集:中部・関西・九州3部会合同部会◆(2022/4/20) 中部・関西・九州3部会合同部会での報告の募集をいたします。 Zoomでのオンライン開催ですので、会員であれば 所属部会に関係なくどなたでもご報告いただけます。 大会での報告エントリーも部会での報告が要件となっていますので 奮ってお申込みください。 ​ 日 時: 2022年6月25日(土) 13:30~16:30(予定) 場 所: Zoomによるオンライン形式 司 会:宮本幸平(神戸学院大学・関西部会幹事) 募集件数:2件から3件 申し込み方法 氏名、所属、報告タイトル、概要(200字程度)を明記の上、 下記の世話役までメールでお申込みください。 お申込み先:吉田忠彦(近畿大学)メール tdhkysd*gmail.com (*を@に直してご送信ください) ​ ​ ◆第22回中部部会の報告者募集のお知らせ◆(2022/4/3) ​ 5月14日(土)の午後から、ZOOMでの関西部会と 九州部会と合同部会の開催を予定しております。 つきましては、中部部会からの報告者を募集しています。 報告希望の受付の締切日は「2022年4月15日(金曜日)」と させて頂きます。 皆様には奮ってご報告、部会ご参加をお願いいたします。 ​ また、6月25日あたりで次回の開催を計画しております。 こちらの報告者についても募集させて頂きますので、よろしくお願い致します。 ​ 中部部会長 橋本 俊也 hashimoto-tax※gol.com ​ ​ ◆第33回関東部会の報告者募集のお知らせ◆(2022/4/3) 開催日時:2022年5月7日(土曜日) 13:00から15:30(予定) ※報告希望者数により終了時間が変わります。 ご理解の程,何卒宜しくお願い申し上げます。 場所: 武蔵野大学有明キャンパス1号館13階13-A会議室 (東京都江東区有明3丁目3−3) ※ご報告希望者には、原則として武蔵野大学へ お越しいただいてのご報告をお願い致します。 《報告者の募集方法》 メールの件名を「第33回関東部会の報告希望」とし、 下記の連絡先あてに, お名前とともに「ご所属」および「論題」をお知らせ下さい。 部会の開催通知に記載させて頂きます。 なお、ご報告希望の受付の締切日は 「2022年4月15日(金曜日)」とさせて頂きます。 報告希望メールには3日以内に必ず返信させていただきますので、 メール不着等のトラブル防止のため、返信も併せてご確認ください。 連絡先:金子 良太(関東部会幹事) hieirikantou※yahoo.co.jp ​ ◆第32回関東部会 開催のお知らせ(2022/2/28) 開催日時:2022年3月21日(月・祝)13:00 ~15:30 場所:Zoomによるリモート開催 報告者: (1)森 美智代氏 (熊本県立大学名誉教授)研究報告 テーマ「ドイツ公的医療機関の組織再編と会計制度・実務 ―日本の公立病院改革との比較を踏まえて」 (2)半田 茂氏 ((一財)日本自動車研究所 前代表理事・専務理事)実務報告 テーマ「非営利研究組織の社会価値についてー (一財)日本自動車研究所の経験からー」 ​ 参加方法: コチラからご確認ください。 ​ ​ ◆関東合同部会の報告者募集のお知らせ(2/22締切)◆ 開催日時:2022年3月21日(月曜日、春分の日) 13:00から17:30(予定) ※報告希望者数により終了時間が変わります。 ご理解の程,何卒宜しくお願い申し上げます。 場所:ビデオ会議システムzoomによる開催 ※ご報告希望者には、ご自身のPCを用い, 画面共有によりご報告をお願い致します。 《報告者の募集方法》 メールの件名を「第32回関東部会の報告希望」とし、 下記の連絡先あてにお名前とともに「ご所属」および「論題」をお知らせ下さい。 締切:2022年2月22日(火)​ 連絡先:金子 良太(國學院大学経済学部) hieirikantou※yahoo.co.jp (*を@に変えて入力して下さい) ​ ​ ◆7/31(土)北海道・関東合同部会のお知らせ◆ このたび非営利法人研究学会北海道部会・関東部会の合同部会を 7月31日(土)13:00より開催することになりました。 詳細はコチラ をご覧ください。 ​ ​ ◆7/31 非営利法人研究学会・西日本部会のお知らせ◆ 日時: 2021年7月31日(土) 13:30~17:30 場所: Zoomによるオンライン形式 報告1(13:30~14:20) 吉永 光利(公益財団法人倉敷市スポーツ振興協会) 「非営利組織における自己組織性の実証的研究 ~公益法人を対象とした調査に基づいて~」 報告2(14:30~15:20) 吉田 忠彦(近畿大学) 「NPO支援組織と制度ロジック変化 ―アリスセンターのケース―」 報告3(15:30~16:20) 井寺 美穂(熊本県立大学) 「地方自治体における内部統制と公務員倫理」 報告4(16:30~17:30) 出口 正之(国立民族学博物館) 「公益法人をめぐるサードセクター論とビジネスセントリズム/ ガバメントセントリズム」 問合せ先 吉田忠彦(近畿大学) tdhkysd*gmail.com (*を@に直してご送信ください) ​ ​ ◆北海道部会開催・報告者募集のお知らせ◆ 説明:【北海道部会開催概要】 開催日時:7月10日(土)15時開始(18時終了予定) 申込締切:6月20日(日) 報告時間:40分(質疑応答20分) 開催方法:MS Teamsによるリモート 参加費:無料 共催学会:国際公会計学会北海道部会、非営利法人研究学会北海道部会、北日本会計研究会 準備委員長:川島和浩(東北工業大学) 申込先:準備委員長 川島先生 kawashima※tohtech.ac.jp (※→@に変更ください。) 7月は、上記の10日と31日の関東部会との合同部会と、2回部会を開催します。 ​ ​ ◆第31回関東合同部会の報告者募集のお知らせ◆ 開催日時:2021年7月31日(土曜日)13:00から17:30(予定) ※但し,報告者多数の場合,当日の開始時刻を午前中に設定する場合もあります。ご理解の程,何卒宜しくお願い申し上げます。 場所:ビデオ会議システムzoomによる開催 ※ご報告希望者には、ご自身のPCを用い,画面共有によりご報告をお願い致します。 《報告者の募集方法》 メールの件名を「第31回北海道・関東合同部会の報告希望」とし、下記の連絡先あてに, お名前とともに「ご所属」および「論題」をお知らせ下さい。 申し込み締め切り:7月4日(日) 連絡先:尾上選哉(日本大学経済学部) onoe.eliya※nihon-u.ac.jp (*を@に変えて入力して下さい) ​ ​ ◆西日本合同部会(7/31)報告者募集のお知らせ(6/3 応募締切) 開催日時:2021年7月31日(土) 13:00~17:00(予定) 場所:Zoomによるオンライン形式(後日URL等お知らせします) 《報告者募集》 報告を3件程度募集いたします。 《報告エントリーの方法》 メールの件名を「7月31日西日本部会報告希望」とし、 以下の連絡先あてに「ご所属」および「報告のタイトル」を本文でお知らせ 下さい。 申し込み締め切り:6月3日(木) 連絡先:吉田忠彦(関西部会長) tdhkysd※gmail.com (*を@に変えて入力して下さい)​ ​ ​ ◆​関東北海道合同部会(5/8)開催中止のお知らせ 5月8日に予定していた関東北海道合同部会は残念ながら中止となりました。 次回は7月31日(土)を予定しています。 ​ ​ ◆関東北海道合同部会(5/8)報告者募集のお知らせ(4/9 応募締切) 開催日時:2021年5月8日(土曜日) 13:00~(または14:00~) 場所:ビデオ会議システム zoom を用いての開催となります。(報告希望者の方には、ご自身のPCを用いてご報告を行っていただくこととなりますので、zoomアプリ・webカメラの使用が可能であることをご確認ください) 《報告者の募集方法》 メールの件名を「北海道・関東合同部会の報告希望」とし、以下の連絡先あてに「ご所属」および「報告のタイトル」を本文でお知らせ下さい。(学会の開催通知にご所属および報告タイトルを記載させていただきます) なお、ご報告希望の受付の締切は 「2021年4月9日金曜日」とさせていただきます。 連絡先:金子良太(関東部会幹事)hieirikantou※yahoo.co.jp (*を@に変えて入力して下さい) ​ ​◆関東合同部会(3/20) 開催日時:2021年3月20日(土・春分の日)10:30~ 場所:ビデオ会議システム zoom オンライン会議システムzoomでの開催となり、事前の出席連絡は不要です。 改めて3/18までに会員の専用メーリングリストにてIDとパスワードをお伝えします。詳細は、こちら をご覧ください。 ​​ ​​​​​​​​​​​​​​​​​ ◆関東合同部会(3/20)報告者募集のお知らせ(2/12 応募締切) 開催日時:2021年3月20日(土・春分の日) 13:00~(または14:00~) 場所:ビデオ会議システム zoom を用いての開催となります。(報告希望者の方には、ご自身のPCを用いてご報告を行っていただくこととなりますので、zoomアプリ・webカメラの使用が可能であることをご確認ください) 《報告者の募集方法》 メールの件名を「第30回関東合同部会の報告希望」とし、以下の連絡先あてに「ご所属」および「報告のタイトル」を本文でお知らせ下さい。(学会の開催通知にご所属および報告タイトルを記載させていただきます) なお、ご報告希望の受付の締切は 「2021年2月12日金曜」とさせていただきます。 連絡先:金子良太(関東部会幹事)hieirikantou※yahoo.co.jp (*を@に変えて入力して下さい) ​ ​ ​ ​ ​

  • 第10回学会賞・学術奨励賞 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    学会賞・学術奨励賞の審査結果 第10回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告 平成23年9月14日 非営利法人研究学会 審査委員長:石崎忠司 ​ 非営利法人研究学会学会賞審査委員会は、第10回学会賞、学術奨励賞、学術奨励賞特賞の候補作を慎重に選考審議した結果、今次は下記の論文を学術奨励賞に値するものと認め、選定しましたので、ここに報告いたします。 1. 学会賞 該当作なし 2. 学術奨励賞 佐久間義浩「非営利組織における内部統制の現状―自治体病院におけるアンケート調査による分析―」 【受賞理由】 本論文は,全国の自治体病院を対象にアンケート調査を実施し,内部統制の構築・運用の実態を明らかにするとともに,調査データの統計分析を通じて自治体病院における内部統制の導入要因の検証を試みたものである。本論文における調査・分析の結果,回答した病院の6割弱がすでに内部統制を導入していること,そして内部統制の導入要因としては病院の規模が相対的に強く作用していることが,明らかにされている。 今日,患者のニーズに対応したきめ細かい医療サービスの提供が今まで以上に強く求められる一方で,自治体病院をはじめとした医療機関の財政問題が深刻化している。しかし,これまで医療機関の管理運営においては「経営」や「ガバナンス」といった視点からのアプローチがなされることは極めて稀であり,そうした事情が,医療機関における情報開示制度の未成熟性と相俟って,社会科学分野での研究の進展を阻む要因となってきた。本論文は,こうした制約を持つ未開拓分野の研究に真正面から取り組んだものであり,学界に大きな一石を投じる好著に仕上がっている。本論文は,医療機関の経営分析を手掛ける後続の研究が必ず踏まえなくてはならない先行研究になるであろう。これが本論文の第1の功績である。 また,本論文では,実態の解明に際して周到な実証研究の手続きがとられており,研究の貢献と課題が明確に提示されている。こうした本格的な実証研究論文が本学会誌に掲載されたのは本論文が最初であり,その意味で本論文は,非営利組織研究の新しい分野を切り拓いたものと位置づけることができる。本学会のとりわけ若手会員の今後の研究を活性化する貴重な先行事例となるであろう。これが本論文の第2の功績である。 本論文では,医療機関が抱える固有の経営問題への言及がなく,また実証分析を通じて得られた知見も常識の域を出ないなどの問題点もあるが,それらは,著者の今後の研究課題を示すものであって,本論文の学術的価値をいささかも損なうものではない。以上の理由から,本論文は,学術奨励賞授賞に相応しい著作であると,審査委員会は全会一致で認めた。 ​ 3. 学術奨励賞特賞 該当作なし

  • 会長挨拶 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    ページ TOP ページ TOP ​会長挨拶 2019年9月開催の第23回大会での役員改選により、新会長に選出されました。前会長である堀田和宏先生が取り組まれてきた学会のプレゼンスを高めるための方向性を継承しつつ、開かれた学会であることを堅持しなければならないという重責を強く感じております。 ​ 周知のとおり、人々の価値観の多様化により、提供が求められる社会的サービスが多岐にわたるようになってきています。いわば、画一的な行政サービスでは対応しきれない状況が生み出されており、そのために非営利法人の活動を期待する領域がますます拡大してきています。また近年、非営利法人に対する金銭等の寄附だけではなく、その活動にボランティアとして参加する人数や機会も大きく増加しているように思われます。いわば、非営利法人の社会的かつ経済的役割の重要性が一層高まってきています。 ​ 本学会の目的は、社会的に重要性が高まっている非営利法人に関わる諸問題を、多様な側面から研究し、その研究成果を社会に還元することにあると存じます。この目的を踏まえて、研究の支援、関連学会等との連携・交流、非営利法人の現場との交流、意見発信、非営利法人に関する啓発や人材育成等に積極的に取り組むことで、会員の先生方のご協力を得ながら、本学会のさらなる発展と飛躍に資するために尽力申し上げたいと存じます。 会長 齋藤真哉

  • 中間報告(公益・一般法人研究会) | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    非営利法人研究学会 公益・一般法人研究会 公益・一般法人制度の研究【2016年度中間報告】 -日・英・米の制度の比較研究-

  • 第24回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第24回大会記 2020.9.25-26 日本大学 ​ 統一論題 非営利組織のガバナンス問題―現状と課題― ​ 2020年(令和2 年) 9 月26日(土)から27日(日)の日程で、非営利法人研究学会第24回全国大会が日本大学を主催校として開催された。統一論題は「非営利組織のガバナンス問題―現状と課題―」であった。 本年度の全国大会は、日本国内においても新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が増加し、その終息について大変不透明な状況下にあって、熟慮に熟慮を重ねた結果、対面開催を断念し、本学会においては初めての試みとして、オンデマンド配信とライブ配信を組み合わせたオンライン大会として実施することになった。また、本大会は2 日間のプログラムを編成し、25日の常任理事会および理事会に続き、26日に会員総会、統一論題報告および討論をはじめとするすべての研究報告等を集約した。 特に、本年度は、コロナ禍にあってその尊い使命を果たされている公益社団法人日本看護協会常任理事の鎌田久美子氏にご講演をお願いした。 なお、本大会においては、本学会に所属する日本大学の会員が、学部の垣根を越えて「オール日大」として大会準備委員会に名を連ね、大会運営に係る役割を果たしたことも併せて記しておきたい。 本大会の概要は以下のとおりである。 ​ 統一論題報告(Zoomによるリモート開催・LIVE) 趣旨 日本の上場企業によるコーポレート・ガバナンス改革の進展を背景として、最近では非営利組織においても「ガバナンス」の問題が取り上げられるようになった。そこでは、非営利組織の不正や不祥事、あるいは不適切な運営の実態を踏まえて、制度的な枠組みの中で非営利組織のガバナンスの在り方を規制する動きも強まっており、さらに「非営利組織版ガバナンス・コード」の設定も議論され始めている。 統一論題においては、吉見 宏氏(北海道大学)に座長をお願いした。特に公益法人、社会福祉法人におけるガバナンスをめぐる問題についてその現状を分析するとともに、ひとつの座標軸として地方自治体における議論にも視野を広げることにより、非営利組織と営利組織あるいは地方自治体との共通点と異同点を浮き彫りにし、非営利組織独自のガバナンス問題の論点と課題について其々の観点から考察し、質疑応答が行われた。 第1 報告 「地方自治体の内部統制の現状と課題―パブリック・ガバナンスの充実強化に向けて―」( 石川恵子氏・日本大学) 本報告は、地方自治体の内部統制の現状と課題を取り上げ、パブリック・ガバナンスの充実強化に向けた展望について議論することを目的とした。本報告においては、その出発点として地方自治体における人手不足が内部統制に及ぼす影響を考察した。次に、小規模な市町村で顕在化した職場環境内におけるガバナンス上の課題を抽出したうえで、2020年4 月より施行された内部統制の整備・運用について、その制度化に至る議論の整理と事例の紹介が行われた。 第2 報告 「公益法人におけるガバナンスの現状と課題」( 岡村勝義氏・神奈川大学) 本報告は、新公益法人制度がその施行から10年を迎えたことを機に、公益法人のガバナンスをめぐる様々な指摘や関心の高まりに着目し、とりわけ公益法人においてガバナンスの機能不全を引き起こしている3 つの要因、すなわち①公益法人制度それ自体に内在する要因、②公益法人制度の使い手たる法人側の要因、および③公益法人制度に対する社会(国民)の側の要因を明示した。また、ガバナンス機能の改善・強化に向けた諸要因に対するアプローチについて具体的な検討が行われた。 ​ 第3 報告 「社会福祉法人のガバナンスの現状と課題」( 吉田初恵氏・関西福祉科学大学) ​ 本報告は、社会福祉法人の実態と法人経営に共通する諸問題を整理するとともに、公益法人制度改革を参考にした社会福祉法人制度改革のポイントを説明したうえで、ガバナンス強化の必要性が主張された。すなわち、①評議員会・理事会、②情報公開、③法人規模の各観点から社会福祉法人のガバナンスの課題を指摘するとともに、行政指導・監査の強化およびガバナンス・コードの策定や公益を担保するためのマルチステークホルダーとの対話・協働等の新たなガバナンスの方向性が示された。 ​ ​ 特別講演会(オンデマンド配信) ​ 「公益社団法人 日本看護協会の使命とコロナ禍における取り組み」( 鎌田久美子氏・日本看護協会) 特別講演会として、これまで人々の人間としての尊厳を維持し、健康な生活の実現に貢献されてきた公益社団法人日本看護協会の鎌田久美子氏をお招きした。日本看護協会の基本理念と基本戦略、および看護の将来ビジョン等についてご説明頂いたうえで、新型コロナウイルス感染症に関する現下の取り組みと成果について、看護職員の確保、現場支援、国への要望等について詳細かつ具体的に解説していただいた。「新しい生活様式」の広がりに向けて看護職の働きを支える公益法人としての同協会の使命と役割について学ぶ貴重な機会となった(なお、同協会のご理解を賜り、学会終了後も一定期間、本学会ホームページにおいてオンデマンド配信による視聴をお認めいただいたことに厚く御礼を申し上げたい)。 ​ ​ 委託研究報告(Zoomによるリモート開催・LIVE) 「「一般社団・財団法人が公益法人会計基準を適用する場合の諸課題とその解決策の検討」について」 ( 髙山昌茂氏・公認会計士/一般法人会計研究委員会) 本研究報告は、委託研究として組織された「一般法人への公益法人会計基準の適用に関する研究委員会」の研究報告である。旧特例民法法人ではない一般法人や公益目的支出計画を終了した一般法人が公益法人会計基準を適用する場合に如何なる問題が存在するかを洗い出し、どのような改善策を講じることが可能かを調査・研究することを目的として設置された。当該研究報告は、本研究委員会を代表して髙山昌茂氏が行った。 当日は、本研究委員会における議論の経緯について概説するとともに、まったく新しい「一般法人」会計基準を策定するのではなく、公益法人会計基準を補完する会計基準を策定する観点から、20年基準のマイナーチェンジ版を目指し、日本公認会計士協会が公表した「モデル会計基準」との主な差異を踏まえた各論点に係る検討の結果が示され、その後質疑が行われた。 ​ ​ 自由論題報告(報告:オンデマンド配信 質疑応答:Zoomによるリモート開催・LIVE) ​ 第1 報告 「非営利組織における租税回避行動に関する実証分析」( 黒木 淳氏・横浜市立大学、夏吉裕貴氏・横浜市立大学大学院) 本報告は、16,487の公益法人を対象として、租税回避行動を目的とした費用配分の実態および費用配分に対するガバナンスの影響について調査することを目的とするものである。検証の結果、日本の一部の公益法人において収益事業を通じた租税回避行動が行われているが、米国に比べてその規模が小さいこと、また非常勤理事、寄付者、規制によるモニタリングが租税回避行動を抑制していると考えられること等を見出している。 第2 報告 「孤立死の量的・質的分析と二地域における孤立死対策への取り組み比較」( 小川寛子氏・京都産業大学大学院) 本報告は、急速な高齢化の進展のなかで、社会的孤立や孤立死が大きな社会的問題となっていることを背景として、孤立状況で発見された自宅独居死亡者(孤立死相当)について、量的・質的な検討を行うものである。孤立死に係る高リスク要因を特定するとともに、孤立死対策に取り組んでいる複数の地域を取り上げ、対策に至る状況や内容を調査した。その結果を踏まえて、各地域における取り組みに共通する点や相違点を比較・整理している。 第3 報告 「コミュニティ病院を所有する米国非営利組織の財務諸表に関する一考察―メイヨークリニックを題材として―」 ( 谷光 透氏・川崎医療福祉大学) 本報告は、日本の非営利組織会計が影響を受けている米国における非営利組織の新会計基準の経緯を確認したうえで、特にコミュニティ病院を所有する米国のメイヨークリニックを取り上げ、その連結財務諸表における開示内容を検討した。かかる考察を基礎として、日本の非営利組織に共通する会計枠組みへの示唆を得るとともに、病院を所有する日本の非営利組織特有の情報開示の在り方を考察することを意図した。 ​ 第4 報告 「NPO法人による交通空白地有償運送の効率性評価」 ( 小熊 仁氏・高崎経済大学) 本報告は、交通空白地有償運送が地域住民の交通手段として継続的な役割を担うためには、これに携わる非営利組織がいかに効率的なサービスを提供できるかが重要になるとの観点から、内閣府NPOホームページから得られた30件のNPO法人を対象に、包括分析法(DEA)に基づいて交通空白地有償運送のサービス供給に関する効率性の評価を行った。実際に非効率が生じているとの分析結果から、金銭的支援や人的支援の必要性や近接する団体間の連携・統合等を指摘している。 第5 報告 「公益法人の財務三基準のシステム論的理解」( 久保秀雄氏・京都産業大学、出口正之氏・国立民族学博物館) 本報告は、公益法人制度における収支相償について、ガイドライン策定時にはなかった批判が年を追うごとに大きくなっているとの認識に基づいて、収支相償を含めた財務三基準をシステム論的に捉え直し、公益法人をめぐる規制と制度の趣旨である公益の増進との関係について考察するものである。システムである財務三基準を要素還元主義的に緩和しようとして規制強化が生じているとの解釈について議論を展開するとともに、システム論の見地から実証を要する課題が示されている。 第6 報告 「相違説に基づく非営利会計の本質と国際的非営利会計基準の議論」( 出口正之氏・国立民族学博物館) 本報告は、非営利法人会計を考えるにあたって起点となる二つの立場として、非営利法人会計と企業会計を同一である点を原則として考察する「同一説」と、両者の相違点を原則として考察する「相違説」を掲げるとともに、どちらにデフォルトを置くかによって非営利法人会計における議論の方法が変わることを論じている。また、今般の「国際非営利会計基準」(IFR4NPO)」の公表の経緯と意義について相違説を支持しつつ、その評価を行った。 第7 報告 「中間支援組織が主体となるマルチステークホルダー型実践的課題解決の取組み―福(副)業の可能性を探る―」 ( 平尾剛之氏・特定非営利活動法人きょうとNPOセンター、吉田忠彦氏・近畿大学) ​ 本報告は、中間支援組織である特定非営利活動法人きょうとNPOセンターによる副業支援の取り組みについて説明が行われた。すなわち、公益財団法人トヨタ財団の「そだてる助成」を受けて、中間支援組織であるNPO法人が主体となってマルチステークホルダー型で構成している「副業推進プロジェクト」を通じてその研究成果がまとめられた経緯、その中で副業支援において相談機能、研修機能および広報機能等を果たす中間支援組織の意義が示された。 ​ 補足 本大会のリモート開催に至る経緯について 第24回全国大会の開催にあたり、準備委員会は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスクを想定した準備を進めていたが、大学事務局の指示により、感染拡大防止の観点から、大学キャンパス内の施設を会場として使用することができなくなった。 これを受けて、準備委員会は学外の施設を借用し、会場を設営するための検討を重ねたが、当時においてCOVID-19の終息はまったく不透明であり、しかも感染者が増加傾向にある中で、会場内においていわゆる「3 密回避」を徹底したとしても、会場までの会員の移動や、会場内での感染リスクを完全に排除することは不可能であるとの結論に至った。 また、大学内においては対面授業に代わりオンライン授業が行われており、学生との接触も厳しく制限されていたため、大会運営のために学生を動員し、会場に配置すること自体、大きな非難を受けるであろうこと等、熟慮に熟慮を重ねた結果、本学会の常任理事会との議論を重ねる中で、齋藤会長をはじめとする常任理事の理解とご支援を受けて、「完全リモート」での開催を決断した。 今回初めての試みとなったオンデマンド配信とライブ配信を組み合わせたオンライン大会にもかかわらず、多数の自由論題報告者と参加者を得たことに対しては、ここに改めて御礼を申し上げたい。 また、オンライン大会の運営に係るマニュアル等が一切なかった中で、すべての技術的な問題を解決し、大きな問題もなく予定のプログラムを最後まで進行できたのは、ひとえに大会準備委員であった日本大学経済学部の尾上選哉氏ならびに日本大学商学部の藤井 誠氏のおかげである。大会記に覚えて感謝の意を表したい。 ​

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    入会のご案内 ■会員区分と年会費 正会員(個人会員) 10,000 円 学生会員※1 5,000 円 賛助会員(個人・法人・団体) 30,000 円 名誉会員 8,000円 シニア会員※2 5,000円 ​ ※令和元年9月15日の理事会で会費金額が変更となりました。詳しくは「会費等に関する規則」 をご覧ください。 ​ ※1 学生会員は会費を納付する毎に在学証明書を提出いただきます。 ※2 正会員は、本学会に正会員として10 年以上在籍し、本人の年齢が70 歳に達した場合、事務局に届け出ることによりシニア会員になることができます。 ​ ■会員特典 ・学会誌その他の資料送付 ・地域部会・各研究会・全国大会への参加・発表 ・学会ML(メーリングリスト)への登録 ・学会誌への投稿(査読付) ・ワーキングペーパーへの投稿 ​ ■お申込み方法 入会のお申込みは申込書(Word文書又はPDFファイル)をダウンロードし、必要事項をご記入のうえ、弊会事務局までFAX(宛先:03-6631-4285)もしくはEメール(宛先:office@npobp.or.jp)にてご送付下さい。 入会申込み書

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    学会からお知らせ・更新情報 ​ ◆ワーキングペーパー公表(23/9/28) ​スタディ・グループ(座長:國見真理子氏)からワーキングペーパーが公表されました。資料の確認はこちら(クリック) ​ ◆新役員(23/9/18) 9/16(土)の定時社員総会で理事が選任され、その後の理事会で会長、副会長、常任理事が決定いたしました。確認はコチラ(クリック) ​ ◆規程の一部改正について(23/9/18) 9/15(金)に開催された理事会で「学会誌に関する規程」の一部が改訂されました。規程はコチラ(クリック) ​ ◆全国大会ご参加の御礼(23/9/18) 第27回全国大会が大阪商業大学で開催され、盛況裡に閉会いたしました。ご参加された皆様、準備委員の先生方、誠に有難うございました。 ​ ◆訃報のお知らせ(23/9/7) 本学会初代会長で名誉会長の守永誠治先生が令和5年6月5日にご逝去されましたので、謹んでお知らせいたします。 ご葬儀等はすでに近親者のみにて執り行われているとのことです。 守永先生のご冥福をお祈り申し上げます。 ​ ◆第27回全国大会プログラムの一部変更(23/9/1) 「大会開催概要及び大会プログラム」のうち、9月17日午前に予定されている分野別研究会報告(3)(最終報告)「医療福祉系法人研究会」について、座長より、個別論題の1つについて報告者及び報告論題の変更届がありました。 ​ ご参加予定の方には個別にご連絡を送っています。 ​ ◆第27回全国大会について(2023/08/19) 本大会は「日本公認会計士協会CPD認定研修」及び「近畿税理士会認定研修」に認定されています。 詳細は下記をクリック ●日本公認会計士協会CPD認定研修 →履修単位の詳細については、別紙参照(クリック) ●近畿税理士会認定研修 ​ ◆大会報告資料の提出先について(2023/08/12) ​ 第27回全国大会の報告資料の提出先について、自由論題報告以外の報告資料は「2023taikai※npobp.info(※を@に変えてください)」までお送りください。 ​ ​ ◆【重要】第27回全国大会(大阪商業大学)の詳細が公表されました。 大会概要・プログラムはこちら(クリック) からご確認ください。 ​ (2023/7/18) ​ ​ ◆【重要】全国大会・自由論題報告募集期限について 本年度の全国大会の自由論題報告の応募期限が6/30までとなっております。多くの皆様からのご応募をお待ち申し上げております。 ​ 募集の詳細はこちら(クリック) をご覧ください。(自由論題申込書はこちら ) ​ ​ ◆(会員の皆さまにお願い)会員名簿記載内容について (2023/4/28) 会員登録情報の変更及び名簿の記載可否に関してはコチラ(クリック) からご回答をお願いします。 ​ ​ ◆2023年度全国大会・自由論題募集のご案内(2023/4/12) 本年度の大会主催校(大阪商業大学)より自由論題報告募集のお知らせがあります。 募集の詳細はこちら(クリック) をご覧ください。(自由論題申込書はこちら ) 【第27回全国大会】 自由論題報告日程:2023年9月16日(土)PM 9月17日(日)PM ​ 統一論題テーマ:調整中 ​ プログラム:調整中 会場:大阪商業大学 準備委員長:初谷勇(大阪商業大学) ​ ※テーマ・プログラムは決定後にお知らせいたします。 ​ ◆当会の[全国大会運営規程][地域部会運営規程][分野別研究会運営]が一部改正されました。また、新たに[特別委員会運営規程]が制定されました。(2023/3/8) ▶詳細は、こちらからご確認ください。​(クリック) ​ ​ ◆ 非営利法人研究学会誌第24号が学会Web(クリック) にて一般公開されました。(2023/2/28) ​ ​ ◆非営利法人研究学会誌第24号が発行されました。(2022/8/17) ▶詳細は、こちらからご確認ください。​(クリック) ​ ​ ​ ◆非営利用語辞典の発刊について(2022/3/30) 当会が編集に携わりました非営利用語辞典(発行所:全国公益法人協会)が2022年3月20日に発刊されました。 多くの会員の皆様にご協力いただきましたこと心より御礼申し上げます。 ▶https://koueki.jp/pub/hieiriyougo/ ​ ​ 地域部会についてのお知らせ ​ ​ ◆スタディ・グループの公募(24/4/10) 【公募要領】 1.目的:規程及び設立趣旨をご覧ください。 2.構成員: 3名以上の会員。なお、研究課題の性質等を 考慮して、常任理事会の承認を得ることで会員以外の方を 研究協力者とすることができます。 3.活動期間:原則2年 4.活動費:15万円 5.申請方法: 添付のスタディグループ設立申請書に必要事項をご入力後、 会長宛(送付先 事務局:office※npobp.or.jp)にご提出ください。 6.申請締め切り:令和6年4月末日まで 7.申請書の審査から発足までの流れ: 令和6年5月 常任理事会審査 令和6年6月 理事会審議 令和6年8~9月 正式発足 ​ ▶スタディグループ運営規程 ▶スタディグループ設置趣旨 ▶設立申請書 ​ ◆東日本部会の今後の予定(24/3/25) 2024年度 東日本部会 第一回 令和6年5月25日(土)午後2時より 会場 武蔵野大学(有明キャンパス) 東京都江東区有明3-3-3 第二回 令和6年8月3日(土)午後2時より 会場 北星学園大学 札幌市厚別区大谷地西2-3-1 ​ ※詳細は決定次第、ご案内します。 ​ ◆西日本部会報告者募集のお知らせ(24/3/13) ​ 日時:2024年4月14日(日)13:00~17:00(予定) 会場:Zoomによるリモート開催 《報告者の募集方法》 メールの件名を「西日本部会の報告希望」とし、下記の連絡先あてに お名前とともに「ご所属」および「論題」をお知らせ下さい。 なお、ご報告希望の受付の締切日は 「2024年4月7日(日)」とさせて頂きます。 連絡先 nishi-nihon※npobp.info (※を@にしてください。) ​ ​内容の詳細はコチラ(クリック) からご確認ください。 ​ ◆第4回 東日本部会開催通知のお知らせ(24/2/19) 第4回東日本部会を3月2日(土)に開催いたします。レジュメ・懇親会会場の準備の都合上、ご出席希望の方は2月27日(火)までに、 連絡先:higashi-nihon※npobp.info(※を@にしてください。)までお知らせください。 ​ 開催日時・会場​・報告内容の詳細はコチラ(クリック) からご確認ください。 ​ ​ ◆第4回 東日本部会報告者募集のお知らせ(23/12/11) ​ 日時:2024年3月2日(土)14:00~(予定) 会場: 東北工業大学(宮城県仙台市) (詳細な場所・教室については開催通知にて改めてご連絡します) 《報告者の募集方法》 メールの件名を「東日本部会の報告希望」とし、下記の連絡先あてに お名前とともに「ご所属」および「論題」をお知らせ下さい。 報告時間はおよそ30分でお願いいたします。 なお、ご報告希望の受付の締切日は 「2024年2月17日(土)」とさせて頂きます。 連絡先 higashi-nihon※npobp.info (※を@にしてください。) ​ ​ ◆ 東日本部会開催通知のお知らせ(23/11/20) 第3回東日本部会を12月2日(土)に開催いたします。レジュメ・懇親会会場の準備の都合上、ご出席希望の方は11月27日(月)までに、 連絡先:higashi-nihon※npobp.info(※を@にしてください。)までお知らせください。 ​ 開催日時・会場​・報告内容の詳細はコチラ(クリック) からご確認ください。 ​ ​ ◆ 東日本部会報告者募集期間延長のお知らせ(23/11/7) 第3回 東日本部会の報告者募集期限を「11月18日(土)」まで延長いたします。会員の皆様からのご応募をお待ちしております。 連絡先: higashi-nihon※npobp.info (※を@にしてください。) ◆第3回 東日本部会報告者募集のお知らせ(23/9/27) ​ 日時:2023年12月2日(土)14:00~(予定) 会場: 日本大学経済学部 (詳細な場所・教室については開催通知にて改めてご連絡します) 《報告者の募集方法》 メールの件名を「東日本部会の報告希望」とし、下記の連絡先あてに お名前とともに「ご所属」および「論題」をお知らせ下さい。 報告時間はおよそ30分でお願いいたします。 なお、ご報告希望の受付の締切日は 「2023年10月31日(火)」とさせて頂きます。 連絡先 higashi-nihon※npobp.info (※を@にしてください。) ​ ​ ​​

  • 第23回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第23回大会記 〈2019年9 月15〜16日 久留米大学〉 統一論題 公益法人制度改革10周年―公益法人の可能性と課題を探る― 齋藤真哉 横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授 令和元年9 月15日(日)より16日(月)の日程で、非営利法人研究学会第23回全国大会が、久留米大学(御井キャンパス・本館)において行われた。 大会1 日目に、「公益法人制度改革10周年―公益法人の可能性と課題を探る―」を統一論題とする研究報告及びディスカッションが行われた。当該論題は、「民による公益の増進」を目的として、公益法人制度改革関連三法が平成20年12月に施行されてから10年が経過したことを機に、その制度改革の目的が達成されているのか、制度上の今後の課題は何かという問題意識に基づいて、さらには公益法人が果たす社会的役割に対する今後の展望についても検討すべきとの趣旨から設定されたものであり、制度と会計、税務の各観点から公益法人制度を見直すことを内容とした。 登壇した3 名の報告者とテーマは、①出口正之氏(国立民族学博物館)「税制優遇のルビンの壺:価値的多様性と手段的多様性の奨励」、②尾上選哉氏(大原大学院大学)「会計からみる公益法人制度改革の課題と可能性」、③苅米裕氏(苅米裕税理士事務所)「公益法人の拡充のために公益法人税制が果たすべき機能の考察」であった。なおコーディネーター(座長)は、齋藤真哉(横浜国立大学)が務めた。 ​ 統一論題報告 第1 報告 「税制優遇のルビンの壺:価値的多様性と手段的多様性の奨励」(出口正之・国立民族学博物館) 出口氏は、公益法人制度の改革における公益法人制度改革関連三法の立法趣旨が、「民間による公益の増進」にあったことを再確認し、そこでの重要な要素として「多様性」と「機動性」があったと整理された。そして民間における公益を増進するためには、行政の関与が最小限に止められる必要があるとの認識が示された。そして、その例として研究助成の場合を取り上げて、もし研究助成を民間に任せるとしても行政が統一された基準等により制約を掛けるならば、民間においても事務費等が掛かるため、たとえば日本学術振興会だけが研究助成を決定した方が効率的であることを説明された。そこで民間の公益法人の行為等を税制優遇等により規制することは、かえってパレート最適を妨げることが考えられるとの見解が示された。ルビンの壺とは、背景に黒地を用いて白地で壺を描いた図であり、白地に注目すれば壺に見え、黒地に注目すれば向かい合った2 人の顔に見えるというものである。官のロジックになじまない領域にそれを持ち込んでいることを、「ルビンの壺現象」と呼び、そもそも多様性のある民間に税制優遇を根拠としてそうした多様性を消し去るような官の介入があることが、本来の立法趣旨である「民間による公益の増進」を阻害する結果を導いているという問題点が指摘された。 ​ 第2 報告 「会計からみる公益法人制度改革の課題と可能性」(尾上選哉・大原大学院大学) 尾上氏は、会計の観点から、公益法人制度改革の趣旨に照らして、改革後の制度が有効な社会的システムとして機能しているのか、改善すべき課題は何か、今後の公益法人制度の発展に会計がどのように寄与しうるのかについて論じられた。改革後の制度の有効性については、制度改革により公益認定された法人の数よりも、一般法人の数の増加が著しい(後者が前者の約100倍)現状を踏まえて、制度改革が公益の増進に直結したのかについては疑問があるとの含意が示された。そして公益法人制度を支える柱としての会計について、公益法人に適した会計基準・会計制度になっているのかについて、課題が提示された。すなわち、1 つには、持分権者不在の公益法人(非営利法人)に対して、資本主理論に立脚する企業会計の理論と手法を導入していること、今1 つには、資源提供者に対する受託責任に関する会計情報の量・質の低下である。それらの課題に対して、公益法人の会計を法人主体理論に立脚して構築すること、またそうした理論に基づいた貸借対照表の表示方法の組換えや財産目録の活用、規模別の会計基準の適用が提唱された。さらに、一般法人の情報開示の検討や一般法人に適用される会計基準が必要であるとの見解が示された。そうすることで、情報開示と法人自治が推進され、一般法人をも含めた民による公益の増進が期待できると主張された。 第3 報告 「公益法人の拡充のために公益法人税制が果たすべき機能の考察」(苅米裕・苅米裕税理士事務所) 苅米氏は、制度改革により「公益的活動の健全な発展を促進し、一層活力ある社会の実現を図る」という課題の解決に寄与できたのかという問題意識に基づいて、税制の観点から制度改革後の税制について検討を加えられた。まず改革以降の法人税の課税を、公益認定された法人及び一般法人の両方について概括的に説明された。すなわち、税法上は、公益法人等と非営利型法人、普通法人との分類により、収益事業課税か全所得課税か、また公益目的事業に対する非課税措置、みなし寄附金制度等について整理された。その上で、財産相続に関わる節税スキームとして一般社団法人等が利用されているとの指摘をされた。具体的には、相続財産を一般法人に移転させることで、その所有権は喪失するものの、自ら又は子供が理事に就任することで、実質的な支配を継続することができるという内容である。特に非営利型の場合、寄附金収入は非課税となる点も確認された。こうしたスキームに対して一定の場合に相続税が課されることが紹介された。加えて、税制とも関わる公益認定の財務三基準や公益目的支出計画について言及された。それらを踏まえて、公益法人等に対しては全所得課税を前提として公益活動支出を即時償却扱いとする方法や、非営利型法人に対して公益活動等に使用しない純資産の一部に追加課税する方法等を取り上げて検討がなされた。 各研究報告に続いて行われたディスカッションにおいては、公益法人をめぐる諸課題、具体的には公益認定のあり方、監督やガバナンス(自律性)、情報開示、税制優遇に関して、活発な質疑応答が行われた。 ​ 特別企画 日本公認会計士協会「非営利組織における財務報告の検討〜財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案〜」に関する報告及びパネルディスカッションは、会田一雄(慶應義塾大学)をコーディネーターとして実施された。 まず、松前江里子氏(日本公認会計士協会)により、環境変化に応じて非営利セクター全体に共通の会計枠組の必要性を背景に、非営利組織における財務報告の基礎概念とモデル会計基準について、プロジェクトの活動経過を踏まえて、報告がなされた。続いてパネルディスカッションに入り、藤井秀樹氏(京都大学)より今回のプロジェクトの社会的意義及び組織特性から導出されたモデル会計基準の特質について、また、日野修造氏(中村学園大学)より純資産の区分とフロー財務表の表示形式に焦点を向け、米国FASと比較しながらモデル会計基準により作成される情報内容が論じられた。さらに、会場からの質問に対して、報告者及びパネリストからの回答及び討論が活発に展開され、今後の非営利セクター内での会計基準統合化の途を展望し、本報告を総括した(文責:会田一雄)。 ​ 自由論題報告 自由論題報告第1 会場 第1 報告 「副(福)業の可能性を拓く―福祉職の人材基盤強化にむけた中間支援組織の挑戦」(平尾剛之・きょうとNPOセンター、吉田忠彦・近畿大学) 65歳以上の人口の割合が全人口の21%を占めている社会、いわゆる「超高齢社会」を先進国の中で最初に日本が迎えている。生産労働人口が減少し、これまでの「当たり前」では対応できない、また多様な働き方が求められている現状において、中間支援組織であるきょうとNPOセンターは公益財団法人トヨタ財団の助成を得て、福祉現場での副業によるキャリア形成を推進するための福業推進プロジェクトを形成し、福祉職への就労機会の創出や社会支援基盤の強化にむけた取組みに挑戦している(文責:吉田忠彦)。 第2 報告 「非営利組織におけるコア・スタッフの育成と確保のための人的資源管理施策―中間支援組織を事例として」 (東郷寛、團泰雄・近畿大学) 日本の支援型NPOの多くは経営基盤が不安定であるために、コア・スタッフのリテンションが困難であるという課題を抱えているが、ミッションを具現化するための経営課題にうまく対処するためにはコア・スタッフのリテンションやそれに伴う人的資源管理(HRM)施策の整備が不可欠である。従来のNPOにおけるHRMに関する研究ではこの点が十分に論じられていない。 そこで、本研究ではHRMの視点から、3 つの支援型NPOの事例分析をもとに、支援型NPOが社会的価値を生み出すための条件に関する以下の仮説を導出した。①共通の経営環境下にある組織間でも、社会的価値創造を支える戦略的行為能力に差が見られる、②コア・スタッフの確保と育成面での違いが、戦略的行為能力の違いを生み出している、③組織の成長とHRMの仕組み化の程度がコア・スタッフのリテンションの程度とスタッフの組織内キャリア形成の促進の程度を規定する、④組織内の知識と情報の循環が活性化するとスタッフのエンゲージメントが高まり、スタッフの成長ひいてはコア・スタッフのリテンションに影響を与える。 また、事例分析からはコア・スタッフの役割の重要性やエンゲージメントを高める施策の重要性が明らかとなり、今後はコア・スタッフの育成施策が能力向上や組織成果につながるメカニズムの特定などが課題となることを示した(文責:東郷寛)。 第3 報告 「NPO支援をめぐる施設、組織、政策―アクターネットワーク・セオリーの視点から」(吉田忠彦・近畿大学) わが国のNPO支援をめぐる施設、組織、政策の相互作用について、ラトゥールらによって推進されるアクターネットワーク・セオリーの視点から分析することを目的として、神奈川県によって1996年に設立された「かながわ県民活動サポートセンター」の設立プロセスと「かながわボランタリー活動推進基金21」の設置プロセスをケースとして取り上げた。 センターも基金も、当時の知事の強いリーダーシップによって導かれたが、それだけでは実現しなかった。その背景となる要素があった。神奈川県では米軍基地があることで住民運動が盛んであったし、神奈川県や横浜市では長年にわたって革新自治体が強く、行政と市民活動とはある程度の相互依存関係もあった。さらに、その長年にわたる革新自治体によって行政の財政事情が悪化しており、それが元大蔵官僚であった知事を生むことになった。またもう1 つ大きな点は、横浜駅から徒歩数分という利便性の高い所に県の行財政改革の対象となる県民センターという箱モノがあったことである。日本の社会全体の流れにおいても、阪神・淡路大震災が発生し、ボランティア革命と呼ばれるような動きがあり、NPO法成立に向けてのさまざまな場所での活動が活発化していた。これらの諸要素が相互作用していたのである。決してワンマンな知事の意向や力だけでセンターや基金はできたわけではなく、基本の計画でさえその後にも市民団体との間で交渉が続けられ、変化していったのである(文責:吉田忠彦)。 自由論題報告第2 会場 第1 報告 「地方創生と公民協働のまちづくり」(澤田道夫・熊本県立大学) 「地方創生」の取り組みについては、2015年に地方版総合戦略が策定されて以降、全国でさまざまな取り組みが展開されている。しかし、そもそも「地方創生」が始まったきっかけについてはあまり知られていない。地方創生の取り組みが始まったのは日本創成会議が2014年に発表したレポート(いわゆる増田レポート)からである。同レポートにおいて、今後の人口減少社会の中で市区町村の半数に当たる896の自治体が「消滅可能性都市」という指摘を受け、全国にショックが広がった。これに対処するために国が始めたのが「地方創生」である。 ではなぜ「消滅可能性都市」なのか。同レポートでは若年女性が2010年から2040年までの30年間に50%以上減少する自治体を消滅可能性都市と呼んだ。若年女性が域外に流出してしまうことが次世代の人口を減少させ、地域の持続可能性を低下させる。すなわち、地方創生の鍵を握るのは若い世代の雇用・出産・子育て等に関する支援ということになる。しかし多くの市町村ではこの事実を理解しないまま、既存の地域振興策のマイナーチェンジに終始しているのが実態であろう。 この点において、本学会が研究対象とする非営利法人は、若年女性の活躍の場となるケースも多く、地方創生にとって重要な役割を果たしている。今後自治体が地方創生の取り組みを進めるに当たり、非営利法人との協働が必要であろう(文責:澤田道夫)。 第2 報告 「民間非営利活動と地域資源活用に関する経済学的考察―広島安芸高田神楽の事例研究―」 (今枝千樹・愛知産業大学、藤井秀樹・京都大学) 地方創生につながる地域資源を開発するには、資源の戦略的な重点配分が不可欠であり、そのためには地域資源の提供者と支援者の間の情報の非対称を緩和する必要がある。かかる問題意識から広島安芸高田神楽のケーススタディを行い、以下の知見を得た。第1 に、事情に精通したマルチプレイヤーが情報の非対称性の緩和に大きく貢献し、支援の傾斜配分を可能にしていることである。第2 に、地域資源として活用可能な神楽団の選抜にあたり、競演大会での優勝実績がシグナリングとして機能していることである。第3 に、神楽が地域資源として実質的に機能していることである。第4 に、持続可能な取組みとするには人材の育成が大きな鍵になることである(文責:今枝千樹)。 第3 報告 「中山間地域を支える非営利法人の地域おこし活動―その意義と活動構造を中心に―」 (井寺美穂・熊本県立大学) 本報告は、耕作放棄地の増加や地域づくりの衰退など多くの課題を抱える中山間地域のひとつである熊本県山鹿市の岳間地域において、地域おこし活動を積極的に展開する特定非営利活動法人(NPO法人)-岳間ほっとネット-の活動事例を分析対象としながら、地域における法人活動の意義やその活動構造について考察を試みるものである。地域担当職員制度の効果により、きめ細やかな行政メニューが提供され、積極的な活動展開が行われているという仮説のもと、研究を展開している。 結論としては、①活動の中心である少人数のブレーンが役割分担をしながら、地域内外の他団体とのパイプ役を果たし、団体間連携が図られていること、②「当事者志向」の地域担当職員が「地域係」という担当業務を担いながら地域支援を行うことにより、NPO法人の積極的な活動展開につながっていることを明らかにしている(文責:井寺美穂)。 自由論題報告第3 会場 第1 報告 「子ども食堂におけるドメインの定義」(菅原浩信・北海学園大学) 本報告は、子ども食堂において、どのようなドメインの定義がなされているのかを明らかにすることを目的としている。具体的には、新潟県内の6 つの子ども食堂を分析対象として採り上げ、当該子ども食堂の運営団体の代表者等に対する聴取調査を実施し、その結果についての分析及び考察を試みている(文責:菅原浩信)。 第2 報告 「NPO法人の認定制度からみえてきた問題点について―支援団体からの聞き取りを通じて―」(川村基・四国大学) 本報告は、わが国において、NPO法人の数に比して認定NPO法人の数が少ない理由を、支援団体への聞き取り調査から明らかにすることを目的としている。認定NPO法人が少ない理由として、①認定制度の問題点と②NPO法人のマネジメントの2 つが指摘された(文責:川村基)。 第3 報告 「災害とソーシャル・キャピタルに関する一考察」(黒木誉之・長崎県立大学) 本報告は、熊本地震の熊本県益城町と東日本大震災の宮城県南三陸町の現地調査の結果から、被災者による取り組みをソーシャル・キャピタルの視点から分析したものである。分析の結果、次の3 点が明らかにされた。①平時期には祭りなどが重要である。②災害期にはサードプレイスが必要である。③復旧期以降には緩やかなネットワークを形成するサードプレイスが必要である(文責:黒木誉之)。 自由論題報告第4 会場 第1 報告 「18世紀の懐徳堂から考察する資本維持」(水谷文宣・関東学院大学) 現代日本における高橋(2003)は資本維持のためにも減価償却は根拠がないとする。アメリカにおいてはSFAC No.6が資本維持は必要と唱えている。日本の実務家からあるかもしれない反応は、日本ではどうか、実務ではどうかというものである。研究手法としては、アーカイバル・メソッドを採用した。懐徳堂は18世紀に大阪で設立された私立学校であり、武士ではなく町人が経営していた。大阪大学総合図書館の懐徳堂文庫に大量の史料が保管されている。本報告では現存する最古の『懐徳堂義金簿』を活用した。1781年に前書きが書かれている。 修繕が必要となり懐徳堂は存続の危機となった。学校において建物はサービス提供能力に直結する。収入が支出を超過していることが実体資本維持の達成を示す。イギリスの複会計システムと相性が良いのは取替法であり、『懐徳堂義金簿』には取替という言葉が登場していた。ただし当時の日本は鎖国中であった。古典的にはシュミットが物価変動を考慮した実体資本維持を提唱していた。齋藤(2016)はシュミットとは異なる実体資本維持を提唱している。懐徳堂は齋藤(2016)の言う実体資本維持はしていたと言える。学校法人会計基準には基本金概念があり資本維持の発想がある。残された課題は、シュミットの実体資本維持が懐徳堂でも現代会計でも採られていない理由は何かということである(文責:水谷文宣)。 第2 報告 「非営利法人会計における公正価値情報の有用性の考察」(宮本幸平・神戸学院大学) 報告では、非営利法人会計において、近年新たに導入された公正価値会計の情報が有用となるかにつき、経済学の分析ツールである「比較制度分析」を援用して分析を行った。 まず、非営利法人会計の「基本目的」(objectives)につき、非営利法人会計概念書に基づいて整理された。非営利法人会計の「基本目的」(objectives)に関して、FASB概念書第4 号によれば、資源提供者その他の情報利用者が、用役を提供し続ける組織体の能力を評価するのに役立つこととされる。このようなFASBの規定につき、非営利法人会計の概念として措定すべき重要なものが、財務的に保持していかなければならない能力である「財務的生存力」であることが説明された。 次に、非営利法人会計において公正価値評価を導入することの、会計理論的問題点が明らかにされた。保有する金融商品や有形固定資産が公正価値で評価されることになれば、未実現損益が認識されて、財務的生存力の査定に影響を及ぼす可能性がある。公益法人会計/貸借対照表に対し、不確実性及び非客観性が実現利益と比べて強い公正価値評価額が誘導されれば、社会福祉法人会計や学校法人会計よりも、財務生存力を査定する能力の点で劣ることになることが指摘された。 さらに、「比較制度分析」による、非営利法人における、公正価値会計導入の要因分析が行われた。公正価値会計情報を適正に表示して資金提供を受け続けている「非営利法人」の期待将来利得の割引価値をV a、現在資金提供を受けていない「非営利法人」の期待将来利得の割引価値をViuと(i =h、C )とすると、次の式が導出される。 ​ そしてこれをもとに、非営利法人が、公正価値会計情報を表示しないインセンティブを持たない、以下の条件式が導出された。 ​ ​ ​ ​ ​ 式より、αと3 つの小カッコの中がいずれも正であるため、WはπC及びπhの値に依存している。ここでπCの値が低いときは、損失非表示を行ったことによる再契約率が低いことを示す。そして、πCの値が低い場合には、「非営利法人」が将来に得られたはずの利得を失う確率( 1 -πC)が高くなり、この場合に「非営利法人」の利得Wが小さくなる。したがって、非営利法人が公正価値会計情報を適正に表示すれば利得が増加することが、本ゲーム・モデルから導出される式によって明らかになると結論付けた(文責:宮本幸平)。 第3 報告 「英国の小規模チャリティと会計」(上原優子・立命館アジア太平洋大学) わが国の非営利・公益法人の中で、小規模なものは多い。これらの法人では組織的体力が弱いために、十分な管理体制や適切な財務諸表の作成が困難な状況にあるものが存在する。NPO法人も公益法人も、そもそもの法人の趣旨から考えれば、社会に貢献する組織が数多く成長し、活性化することが望まれている。 英国のチャリティも同様に、小規模な組織は多いが、その組織規模の負担を考慮した制度が存在する。財務諸表の作成に関しては、一定規模以下のチャリティには、現金主義での財務諸表の作成が認められている。専門性を必要とする会計について、負担を感じている組織も多いことが予想されるわが国の小規模法人の状況を考えると、英国のように段階的な会計処理を検討することには意義があると考える(文責:上原優子)。 NPO法人研究部会ワークショップ「現場の声に耳を傾ける」 NPO法人研究部会報告というタイトルではあるが、せっかく地方で実施する大会なので大会実行委員会から「ご当地企画」として現場の声を実際に聞きたいという要望があり、異例の形のセッションとなった。 大会委員長の伊佐淳氏から上記の意図が述べられた後、公益財団法人佐賀未来創造基金専務理事吉村興太郎氏から、設立の経緯、公益法人への道、現在の広範なプログラムの説明がなされた。その後、事業拡大のために行政庁を佐賀県から内閣府へ変更しようとしたところ、佐賀県認定なのに熊本地震でボランティアを派遣したことを責められるなどして結局諦めた経緯が語られた。次に、認定NPO法人ピースウィンズジャパンをはじめ非営利組織での経験豊富である、宮原信孝氏が一般財団法人を立ち上げたばかりの筑後川コミュニティ財団の設立の経緯を報告した。久留米には市民団体が約400近くあり、寄付をしてもよいという人もいるが、鍵は税控除だと言われているので何としても公益を目指したいと決意が語られた。 次に、ファシリテーターの出口から、行政は細かな対応に流れるからこそ有識者による第三者機関が制度として入っているのであって、有識者といわれる人たちの能力が、制度が求める以下の場合の時についてはそれを指摘する責任がアカデミックコミュニティには存在すると締めくくった(文責:出口正之)。

  • 第5回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第5回大会記 2001.10.5-6 中央大学 統一論題 公益法人の社会的機能と責任 国士舘大学大学院 依田俊伸 2001年10月6日、午前9時50分から第5回公益法人研究学会全国大会が中央大学市ヶ谷キャンパスにおいて開催された。約100名の参加者を得て、活発な報告と討論が展開された。ちなみに本大会は、日本公認会計士協会によるCPE研修指定を受けた。 現在の大きな社会経済の構造改革の中にあって、公益法人に対しても、社会的責任を忘れたり効率を軽視しているものが少なくないとして改革が求められているという状況に鑑み、本大会の統一論題は、「公益法人の社会的機能と責任」と定められた。 自由論題報告は、3会場で行われた。第1会場〔司会:小宮 徹氏(公認会計士)〕では千葉正展氏(社会福祉・医療事業団)「介護利用型軽費老人ホーム等の経営診断指標について」、若林茂信氏(公認会計士)「公益法人会計基準の見直しに関する中間報告の問題点の検討」、第2会場〔司会:松倉達夫氏(ルーテル学院大学)〕では、吉田初恵氏(関西福祉科学大学)「介護保険の負担と給付について—自治体間格差の実証研究—」、立岡 浩氏(花園大学)「NPOとしての社会福祉法人の戦略・統治・リーダーシップ」、第3会場〔司会:佐藤俊夫氏(国士舘大学)〕では、梅津亮子氏(九州産業大学大学院)「病院看護サービスの原価測定—九州中規模病院のケーススタディを中心として—」、岡村勝義氏(神奈川大学)「公益法人情報開示の新展開—第三セクターに関連して—」の計6題の報告が行われ、それぞれ熱心な質疑応答が交わされた。 研究部会中間報告は、2会場で行われた。第1会場では、戸田博之氏(神戸学院大学)の司会のもと、西日本部会報告「非営利組織におけるマネジメントの多角的検討」の報告がなされた。第2会場では、杉山 学氏(青山学院大学)の司会のもと、東日本部会報告「わが国の公益法人会計に関する研究—社会福祉法人会計の現状と問題点—」の報告が行われた。 午後に入り、会員総会の後、興津裕康氏(近畿大学)の司会のもと、4氏による統一論題報告が行われた。報告者名、論題及びその要旨は次のとおりである。 論題1:公益法人の社会的役割と情報公開—会計情報を中心として— 亀岡保夫氏(公認会計士) 公益法人は、その活動を通じて社会福祉、学術、芸術等の分野における一定の社会的必要性を充足するという「社会的機能」を営んでいるものであり、その活動が、主として民間私人の創意工夫に基づき、かつ、社会の発展に絶えず寄与しているという点において存在意義を有している。 公益法人の本来の役割は、「不特定多数の者の利益」の実現にあるが、特に生命や生活という人間の根源的な営みに関する「不特定多数の者の利益」の実現への公益性の追求において公益法人は中核的な役割を果たしている。 そもそも公益法人(民法第34条に基づいて設立される法人)については、既に「公益法人の設立許可及び指導監督基準」により、特定の情報の公開が定められ、一定程度の公開が達成されている。しかし、今日の市場重視型の経済システムにおいては、財源の効率的、経済的利用が重要となり、それを判断する市場(国民、市民)に対してさらに一層の情報が提供されなければならない。公益法人がその事業の内容や活動の成果について、対外的に情報公開を行うことにより社会的に高い評価を得ていくことが、法人の事業の発展・存続のために必要である。情報公開において中心となるのは財務に関する情報である。さらに、公開される情報の信頼性を担保するために公認会計士等の監査が大変有効かつ効果的である。 以上を踏まえ、公益法人は、指導監督基準で定められているからではなく、自ら積極的に情報公開していくことが大切であり、また、監査についても、要請されるのではなく、自ら積極的に外部監査を導入していくことが望まれる。 論題2:公益法人への社会の期待—社会的機能と責任— 会田一雄氏(慶應義塾大学) 現在のわが国のように、ある程度社会が成熟し、しかも行財政改革を進めるに当たり、パブリックセクターのウエイトを軽減しなければならない環境下では、公益法人制度のあり方についてはもはや行政に委ねるのではなく、社会全体で議論すべき時期を迎えている。 公益法人の社会的機能を論じるに当たっては、まず組織の本質を解明しておく必要があり、本報告では、公益性と非営利性の意義を再確認し、社会が公益法人全体に対して何を求めているかを論じる。公益性とは、不特定多数の者の利益の実現であるが、これは法人の事業内容そのものの性格を表している。この点で、株式会社はその目的が富の最大化であるため、公益的な活動を行っていても公益性を云々されることはないが、反公益的活動を行う場合には指弾され排除される。非営利性とは、利益の獲得を目的とせず、利益を分配しないということである。したがって、非営利性においては支出の内容が十分に吟味されなければならず、特に、当該支出が資産か経費に該当するかという資産性の検討が重要となる。費用に該当する場合には、その適正性が要求される。 次に、法人が社会から付託された機能を果たすために、いかに社会との関係性を築き、また社会との接点を見出していくのかについてのアプローチを探る。公益法人が社会の期待に応える方法として、他の法人に対して税の支援措置や補助金といった優位性を持つとするとその優位性をどのように付与するかが問題になる。これには、アメリカ型とイギリス型があるが、どのような場合であれ、社会が期待するのは、民間主体であり、行政から独立した公益法人の存在である。公益法人が社会の期待に応えるためには、アカウンタビリティ(説明責任)を十分に果たす必要がある。そのためにはディスクロージャーが不可欠である。 ディスクロージャーの内容としては、組織目的・事業内容、財務内容が挙げられる。ディスクロージャーの方法にも様々なものが考えられるが、継続的かつタイムリーな情報公開が必要である。公益法人は社会全体により支えられると同時に社会の期待に応えるという責務を負っているのである。 論題3:公益法人・非営利組織の存在理由と活動環境 藤井秀樹氏(京都大学) 本報告は、財務会計論の立場から、非営利組織の存在理由とその活動環境について検討することを目的とするが、ここでいう「非営利組織」とは、公式に設立された組織であること、民間組織であること、利益分配をしないこと、組織内部で自主的に管理されていること、運営や管理にボランティアを含むこと、公共の利益に奉仕すること、という6つの特徴を備えた組織と定義する。 非営利組織の存在理由を大別すると、経済的機能に関わるものと、社会的価値に関わるものの2系統に分類できる。前者には市場の失敗、政府の失敗があり、後者には多元的価値と自由がある。そこで、上記2系統の存在理由の関係及び非営利組織に固有の存在理由は何かが問題となる。経済的機能に関わる存在理由は、非営利組織が経済社会において存在するための前提条件と言える。それに対して社会的価値に関わる存在理由こそ非営利組織に固有の存在理由である。というのは、社会的価値に関わる存在理由には上記の特徴が深く作用しているが、このうちのボランタリズムを不可欠の特徴とする組織は、非営利組織以外に見当たらないからである。 ここから、非営利組織における2つのパラドックス、すなわち「非市場性のパラドックス」(非営利組織は、その非市場的資源配分機能を市場経済の中で遂行せざるを得ない。)及び「非営利性のパラドックス」(非営利組織は、財務的基盤を自律的に確保しなければならない。)が発生する。ここにプロフェッショナリズムとボランタリズムとの両立が不可避の課題となる。 プロフェッショナリズムとボランタリズムとの両立を図るには、まずプロフェッショナリズムの向上が必要である。その環境整備のための方策として、会計学の観点から、資源調達制度の拡充とりわけ寄付の活性化と情報開示の強化を提案したい。この場合、会計は「修正された市場メカニズム」を期待どおりに機能させる情報システムとして活用されることになる。その意味で、非営利組織における会計の役割は今後ますます高まっていくものと思われる。 論題4:非営利事業の社会的機能と責任 堀田和宏氏(近畿大学) 非営利事業のあるべき経済社会的機能は、政府事業の限界の補完と営利企業の市場の失敗の補完にある。したがって、個別事業としての非営利事業は、政府機関とは異なる独自性・自立性ならびに効率性を発揮する経営と営利企業とは異なる有効性と信頼性に応える経営をするべき機能を持つ。 非営利事業の固有の責任とは、ミッションに信頼を寄せて集まる、それぞれのコンスティチューエンシー(寄付者・政府・購入者・ボランティア等)の信頼と期待に応えることである。そのためには、経営行動の意思決定の仕組みと事前計画・管理活動の過程(ガバナンス)に対する監視・評価方法と情報開示のあり方(アカウンタビリティ)を構築する必要がある。 しかし、非営利事業においては、営利企業が持つ基本的な責任メカニズムを持たないことから、モラルハザードの危険が大きい。そこで、委任を受けた寄付者/助成者への受託責任及びクライアント/利用者への社会公共的責任を遂行するためには、まずNPOガバナンスの再構築が必要である。 NPOガバナンスにおいては、寄付者・理事会と経営者の適正な役割分担という法的組織構造と現実の乖離の解決という問題及び外部との寄付/助成委託関係、内部の階層関係、非階層関係(ボランティア)にそれぞれガバナンスのあり方を再構築するためのガバナンスに参加させるネットワークの編成、監視・参加制度や社会勢力の監視活動の保証・促進という問題がある。ガバナンスにとって受託義務その他の義務履行責任と義務履行の説明責任はその基本的構成要素である。 最近のアカウンタビリティが求められる背景から、アカウンタビリティが多様化かつ複雑化している。さらにアカウンタビリティの内容が財務アカウンタビリティからプロセス監視・プログラム評価のアカウンタビリティへと拡大している。 以上から、単なる事後の説明責任ではなく、経営機関の行動と経営管理の監視(事前統制)、業績達成のモニタリング(経営管理プロセス・プログラムの監視・評価)、社会的責任の達成度を評価するメカニズムの構築、監視体制と社会的責任を問う具体的な制裁措置の構築、が必要とされる。 シンポジウムでは、大矢知浩司氏(九州産業大学)の司会のもと、上記4氏の報告を踏まえ、公益法人・非営利組織の固有の存在理由、公益法人におけるガバナンスのモラルハザード、ディスクロージャーの3つの観点から質疑応答が整理され、熱心な討論が行われた。質問者は以下のとおりである。 島田 恒氏(龍谷大学)、坂本倬志氏(神戸学院大学)、川崎貴嗣氏(公益情報サービス)、千葉正展氏(社会福祉・医療事業団)、吉田初恵氏(関西福祉科学大学)、吉田 寛氏(神戸商科大学)、杉山 学氏(青山学院大学)、永島公朗氏(公認会計士)、松葉邦敏氏(国士舘大学) ​ シンポジウム終了後、6階2611号教室において懇親会が開催された。本学会会長守永誠治氏の挨拶があり、和やかな雰囲気のなか19時10分散会した。

  • 第6回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第6回大会記 2002.7.26-27 京都大学 統一論題 非営利組織の業績評価とアカウンタビリティ 近畿大学 吉田忠彦 公益法人研究学会第6回全国大会は、2002年7月26日(金)の理事会に続いて、7月 27日(土)に「非営利組織の業績評価とアカウンタビリティ」を統一論題とし、京都大学で開催された。 ​ 午前中は9つの自由論題報告が、3つの会場に別れて行われた。第一会場では、柴 健次氏(関西大学)の司会で、江頭幸代氏(九州産業大学大学院)、川野祐二氏(財・助成財団センター)、伊藤 務氏(財・平安建都千二百年記念協会)、第二会場では、松本敏 史氏(同志社大学)の司会で、用丸るみ子氏(鹿児島国際大学大学院)、橋本敏也氏(税理士)、立岡 浩氏(花園大学)、第三会場では、吉田忠彦(近畿大学)の司会で、今枝 千樹氏(京都大学大学院)、兵頭和花子氏(神戸大学大学院)、若林茂信氏(公認会計士)の報告が行われた。午前9時30分スタートの第一報告から、立ち見が出る会場もあり、討論とも大変な盛り上がりを見せた。 その後会場を大会議室に移し、吉田 寛氏(神戸商科大学)の司会によって研究部会報 告が行われ、東日本部会が「わが国の公益法人会計に関する研究」(座長・松葉邦敏氏)を、西日本部会が「非営利組織におけるマネジメントの多角的検討」(座長・堀田和宏氏) を報告した。 午後からは会員総会が行われ、学術研究団体登録申請の経過報告もなされた。さらに、 第1回学会賞および学術奨励賞の発表もあった。学会賞は堀田和宏氏(近畿大学)、学術奨励賞は梅津亮子氏(九州産業大学大学院)がそれぞれ受賞された。 ​ 統一論題の概要 統一論題は会田一雄氏(慶應義塾大学)が司会をつとめられ、古庄 修氏(亜細亜大学 短期大学部)、江田 寛氏(公認会計士)、瓦田太賀四氏(神戸商科大学)の三氏の報告の後、討論という形で進められた。 古庄 修氏(亜細亜大学 短期大学部)の報告「非営利組織のアカウンタビリティとディスクロージャー−英国チャ リティの検討を中心として−」では、イギリスにおけるチャリティ制度とその会計について概略が説明された後、チャリティの実務勧告書(SORP)の設定経緯、米国会計基準と比較した財務報告の特徴が説明され、チャリティを対象にしたアニュアル・リポート表彰制度などの動向から、記述方法が利益尺度を持たないチャリティでは財務情報の補完以上の役割を有するといった示唆がなされた。 続いて江田 寛氏(公認会計士)の報告「民法法人の収支予算制度と業績評価」は日本の公益法人を中心にしたもの。昭和61年の『公益法人の運営に関する指導監督基準』(指導監督基準)では、事業計画と収支予算による事前審査と、事業結果及び収支計算の結果との比較によって事業執行の妥当性を検証するという業績評価が主務官庁によってなされ るというものであったのに対し、1996年の新指導監督基準においては、法人情報、事業情 報及び会計情報を一般の閲覧に供することとされ、主務官庁ばかりでなく、不特定多数の国民を意識した運営管理と業績評価のあり方が必要になったと指摘する。事業計画および 収支予算を中心とする管理や業績評価は、自発的な事業を趣旨とするタイプの非営利組織には適さないものである。また、業績評価にはサービスの内容、提供された資源の使い方、 運営方法、財務的生存力などの視点が必要であると主張された。 最後の瓦田太賀四氏(神戸商科大学)の報告「非営利組織のリスクとアカウンタビリテ ィ」では、アカウンタビリティが資金提供者のリスクという視点から検討され、サービスの代価を支払う事業型であれば、モニター可能であるために合理的行動がとれるため、リ スクはせいぜい一時的であること。サービス代価が支払われない福祉型では、支払手は事 業の社会的意義から資金を拠出し、配当や残余財産の分配などを求めないため、そもそも リスクという考え方が当てはまらないことが指摘された。そこから、そうしたリスクに対して「説明義務」を果たす、すなわちアカウンタビリティ解除を達成するという視点では なく、与えられた役割に対して積極的に説明の可能性を開く「説明可能性」という視点でアカウンタビリティを捉える必要があると主張された。 3氏の報告の後、フロアから寄せられた質問紙に応答しながら討論に入った。公益目的 の事業を担う組織の多様化に伴って、業績評価とアカウンタビリティの問題は、より複雑性を増しているが、他方で現実の社会や政策が、少子高齢化や行財政改革の流れを背景に、 民間非営利セクターへの依存の度合いを高めている。こうしたタイミングであるだけに、非常に活発な討論となった。質問およびコメントは、興津裕康氏(近畿大学)、大矢知浩司氏(九州産業大学)、岡村勝義氏(神奈川大学)、柴 健次氏(関西大学)、村井秀樹氏(日本大学)、陳 氏(神戸商科大学)、早坂 毅氏(税理士)、橋本俊也氏(税理士)、大峠理沙氏(神戸商科大学大学院)の諸氏から寄せられた。 ​ その後、場所を同大学の生協中央食堂に移し、懇親会が催された。今回創設された学会 賞・学会奨励賞の受賞者のスピーチも交え、終始なごやかなうちに会員の親睦がはかられた。

  • 第17回大会記 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    第17回大会記 2013.9.21-22 近畿大学 統一論題 非営利法人における制度・会計・税制の改革を総括する 日本大学大学 古庄 修 非営利法人研究学会第17回大会は、本年9月21日(土)から9月22日(日)の日程で、大阪府東大阪市の近畿大学(大会実行委員長 吉田忠彦近畿大学教授)において開催された。 本大会の統一論題は、「非営利法人における制度・会計・税制の改革を総括する」であり、大会初日の理事会等に引き続き、2日間にわたり会員各位の多彩な研究成果が披瀝された。 以下、ここでは本学会プログラムのなかで統一論題報告、部会報告および特別公開セッションにおける報告と討論の概要をお伝えする。16篇に及ぶ個人または共同研究に基づく自由論題報告については、いずれも研究意欲旺盛かつ学会の発展に資する内容であったが、紙幅の都合上、割愛させて頂く。 なお、会員総会の開会に先立ち、本研究学会の常任理事として草創期の学会運営ならびに学会誌の編集に一方ならぬご尽力を賜った故川崎貴嗣氏のご冥福を祈り、氏に対する感謝とともに黙祷が捧げられたことを付記したい。 ​ 【統一論題報告】 大会2日目に、本大会を記念し、出口正之氏(国立民族学博物館教授)による基調講演「公益法人制度改革を総括する—移行期間終了を目前に控えて—」が行われた。出口氏は、内閣府公益認定等委員会の第1期(非常勤)および第2期(常勤)の6年間にわたり当該委員を務められた。氏の見識と深い洞察に基づく公益法人制度改革の経緯の詳細な説明と総括を受けて、広く非営利法人をめぐる税制、会計および制度の各観点から、上記統一論題報告が行われた。 登壇した3名の報告者とテーマは、①成道秀雄氏(成蹊大学教授)「非営利法人税制の今後の課題」、②古庄 修(日本大学教授)「非営利法人会計基準の統一問題—わが国における財務報告制度改革を指向して—」、③齋藤真哉氏(横浜国立大学教授)「非営利法人制度の現状と課題」であった。 成道氏は、平成20年度における非営利法人課税の大改正をふまえて、問題点の整理と今後の課税の在り方について議論を展開された。氏は、非営利型法人の要件充足を確認する制度を設けるべきこと、一般社団・財団法人法第131条に基づく基金の課税上の性格が検討されるべきことを提言するとともに、公益認定法人と非営利型法人に対するみなし寄附金の取扱い、法人形態の変更時における累積所得金額の課税制度、収益事業課税、金融収益課税および宗教法人・学校法人等に対する本来の事業に対する課税等、課税の在り方をめぐる論点を明示し、非営利法人が事業を安定的に継続していくために、非課税とすべき範囲の拡張に繋がる見直しを主張された。 古庄(筆者)は、英国における財務報告制度の再編成とそのなかに組み込まれた非営利法人(英国では公益目的事業体(PBE)と定義する)の会計基準をめぐる議論の経緯と到達点をふまえて、わが国における非営利法人会計(基準)の現在を相対化して捉えることにより、これまで主張されてきた非営利法人に横断的な会計基準の必要性と可能性を改めて検討した。企業会計と非営利法人会計の相克の歴史を乗り越えて、現在まで「セクター中立」に基づいて両者が接近し、共通化が進められてきたとしても、両者の間にある距離感を適切に保持する必要もある。かかる観点から、最近日本公認会計士協会から公表された研究報告書を素材として、横断的かつ首尾一貫した「会計枠組み構築」の必要性、統一的な非営利法人会計基準と法人別会計指針の相互の連係および会計基準設定主体の在り方に係る論点を考察するとともに、当該統一会計基準の設定をめぐる学会の役割と課題を示した。 齋藤氏は、非営利法人の本質を捉えて、非営利法人の存在意義とその変化の理由を市場の失敗と政府の失敗を論拠として説明されたうえで、新たな制度への移行が進められている一般社団・財団法人、公益社団・財団法人をはじめとする非営利法人制度全体を総括し、その現状をふまえた課題を検討された。氏は、準則主義(登記主義)と認可主義の理解をふまえて、許可主義を採用した旧公益法人制度の問題を指摘するとともに、準則主義における非営利法人の自立と自律の必要性を強調された。また、公益の意味を税制優遇との関係において再確認したうえで、公益性の認定における収支相償をめぐる課題、および特例民法法人から一般社団・財団法人への移行、合併等の組織変更に伴う課題として非営利法人のミッションの見直しが必要となる問題を具体的な事例を示して明快に説明された。 各報告直後に行われた討論においては、吉田忠彦氏を座長として、非営利法人制度の現状認識を共有し、当該制度改革の到達点と課題について活発な質疑が交わされた。 ​ 【部会報告】 大会3日目に開催された研究部会報告においては、東日本部会として岡村勝義氏(神奈川大学)を委員長とする「日本及び諸外国における非営利法人制度に関する研究—制度史・制度設計・報告制度・税制度等を中心として—」と、西日本部会として森 美智代氏(熊本県立大学)を委員長とする「地域における行政、医療及び福祉の現状と課題」の各報告が行われた。 東日本部会報告については、わが国において新たに施行された非営利法人制度を諸外国の非営利法人制度の歴史的経緯、制度設計の方法および制度自体の特徴を主としてガバナンスや財務報告制度と関連させて検討することにより、非営利法人制度の在り方に論究した最終報告書が示された。本報告書には、「公益法人の制度転換と会計枠組みの変化」、「NPO法人会計基準の検討」、「わが国学校法人会計基準のこれまでの展開と最近の動向」、「協同組合持分会計に関する研究」、「英国チャリティの会計—チャリティ会計とチャリティ委員会の役割—」、「英国の非営利組織—非営利法人制度と財務報告の制度的枠組み—」、「米国における非営利組織の類型と会計基準設定の現状」および「米国における寄付に係る会計基準—1992年改訂公開草案—」の各論考が、収録されている。当日は、尾上選哉氏(大原大学院大学准教授)が米国における寄付に関する会計基準について、特に収集品の会計処理の特徴と論点を検討された。 もう一つの西日本部会報告については、地域における行政をめぐる環境の変化と地域の連係とガバナンスの在り方、そして地域における医療と福祉の在り方に焦点をあて、熊本県等における具体的な事例研究に基づいて報告書が一貫した主題の下にまとめられた。本報告書には、地域における行政の現状を考察した「環境の変化と自治体職員像の変容」、「地域の公共を担う地縁組織—その重要性と活性化のあり方—」、「コミュニティと自治—中山間地域における地域ガバナンス—」が、また地域における医療と福祉問題に論究し、「大学のミッションと財務報告の役割」、「公立病院の医療改革の現状」、「地域包括ケアシステムの現状と課題—定期巡回・随時対応サービスを中心に—」の各論考が収録されている。 なお、本学会総会において地域部会が再編成され、今後、北海道、関東、中部、関西および九州に各部会が配置されることが決定した。研究者と実務家の双方向の議論の場として、学会の底上げに繋がる各部会のより一層の発展を祈念したい。 ​ 【特別公開セッション】 本年度の学会では、特別セッションとして、江田寛氏(公認会計士)を座長とするパネルディスカッション「善意は被災者に届いているか—東日本大震災の寄付の大半が行政的配分に委ねられた理由を探る—」が企画された。本セッションは、会員の研究成果を外部に公開し、議論の場を積極的に提供することにより社会に貢献することを目的としており、当日の登壇者は、岩永清滋氏(公認会計士)、大久保朝江氏(NPO法人杜の伝言板ゆるる代表理事)、藤井秀樹氏(京都大学教授)、牧口一二氏(NPO法人ゆめ風基金代表理事)の4名であった。 被災者に分配される義援金は公共的配分手続きに基づき、公平・平等を旨とするが、他方で、被災後4か月が経過した時点で義援金は3,000億円に達していたにもかかわらず、被災者に配分されたのはその25%である775億円にすぎなかった。また、被災者支援の資金となる支援金も一部に集中し、その他の団体が資金不足となる等、いびつな偏りが見られたという。本セッションにおいては、義援金と支援金の定義およびその相違点について理解を深めるところから始まり、寄附が義援金に集中した理由や、NPOの現場における支援金の調達方法等、明確な問題意識をもって「善意」の効率的な配分システムの在り方とその構築に向けた熱情に溢れた活発な議論が展開された。

  • 関東部会報告 | 公益社団法人 非営利法人研究学会

    地域部会報告 非営利法人研究学会には、学会内で地域別に活動するスタディグループがあります。将来的には、複数のスタディグループとスタディグループが連携して活動していくことを目指しています。 ●下の地図上の部会名をクリックすると、部会別の報告ページに移動します。 関東部会報告 ​ ■第32回関東部会記 ​ 日時:2022年3月21日(月・祝)13時〜 場所:Zoomミーティング(テレビ・Web会議ツール) ​ 1. はじめに 非営利法人研究学会第32回関東部会が、2022年3月21日(祝)13時より、ビデオ会議システム zoom を用いて開催された。約30名の参加者を迎え、古庄修関東部会長(日本大学教授)から挨拶があった後、参加者の近況報告が行われた。その後、金子良太関東部会幹事の司会のもと、部会報告・討論会が行われた。 2. 部会報告 (1)「ドイツ公的医療機関の組織再編と会計制度・実務―日本の公立病院改革との比較を踏まえて」 森 美智代氏 (熊本県立大学名誉教授) 本報告は、ドイツの公的医療機関・民間医療機関の組織再編について詳細に検討した後に、日独の医療機関の医療経営改革の背景と現状、日本の公立病院改革の方向性まで幅広い内容にわたって行われた。 森氏からは、最近のコロナ禍における現状や、日独双方の具体的事例についても報告があった。 フロアからは、各種の用語の定義や日独の違い等、多くの質問が行われた。 ​ (2)「非営利研究組織の社会価値についてー(一財)日本自動車研究所の経験からー」 半田 茂氏 ((一財)日本自動車研究所 前代表理事・専務理事) 本報告は、半田氏の所属していた日本自動車研究所 (JARI)の概要や歴史、非営利組織たる研究機関の研究活動の価値、そして他団体との連携や活動の広報等を通じた価値を発信し、社会から理解を得る必要性についてのものであった。 フロアからは非営利組織の社会的価値等について多くの質問があった。多くのコメントがあり、予定時間の15時30分頃に終了した。 3.次回の予定 次回の部会は、武蔵野大学の主催で2022年5月(開始時間未定)に久々の対面開催予定(詳細は、決定次第非営利法人研究学会のホームページ・メーリングリストに掲載されます。今後の状況により、開催方法や日時が変更される可能性があります)。 文責:金子良太(國學院大學) ​ ​ ■第31回関東部会(北海道合同部会)記 日時:2021年7月31日(土)13時〜17時 場所:Zoomミーティング(テレビ・Web会議ツール) ​ 1. はじめに 非営利法人研究学会北海道部会・関東部会の合同部会が、2021年7月31日(土)13時より、ビデオ会議システムZoomを用いて開催された。26名の参加者を迎え、古庄修関東部会長(日本大学教授)が司会をされた。大原昌明北海道部会長(北星学園大学教授)による開会の挨拶の後、特別講演、研究報告が行われ、活発な議論が行われた。 2. 特別講演会 「多元社会における非営利組織の役割に関する一試論 —『理念』の創造性をめぐって—」 三井泉氏(日本大学経済学部教授) 経営理念研究そしてフォレットの学説研究で著名な三井氏に、多元社会の下での非営利組織の意義についてご講演頂いた。 講演においてフォレットそしてドラッカーの視点から、多元社会について言及され、異なる世界観や価値観を持つ個々人から成り立つのが多元社会であり、多元社会においては、各人の異質性を排除するのではなく、この異質性を受け入れながら社会秩序を維持し、社会を発展させていくことが目指されるとの主張がなされた。 また、経営理念研究の視点から、経営理念は営利組織・非営利組織を問わず、あらゆる経営行動の根幹であり、人々をより創造的・主体的に行動させることを可能にするものであると主張された。そして、この経営理念は、その時々の状況に適応すべく変容することで、組織の創造力の源泉としての機能を長期的に発揮し続けていく可能性を秘めていると言及された。企業とは異質な非営利組織の存在、また無数に存在する非営利組織がそれぞれの経営理念をよりよく機能させることで、よりよい社会が実現される可能性に言及され、講演を締めくくられた。講演後の質疑応答では。営利組織および非営利組織で「理念」が果たすドライビングフォースとしての意義等が議論され、多様なバックグラウンドを持つ研究者による活発な意見交換が行われた。 3. 部会報告 第1報告 「オーケストラ団体における活動財源の集中度と予測可能性に関する実証研究」 武田紀仁氏(日本大学 経済学研究科博士後期課程) 本報告では、オーケストラ団体のサンプルを用いて、収入源の種類が団体の持続性に及ぼす影響について分析が行われた。その結果、収入源と持続性の関係を分析するうえでは、収入源の種類や集中度に加えて、収入源の予測可能性を考慮することが有用である点が説明された。また、収入源の予測可能性は、収入源の性質や団体の属性と関係性があることが指摘され、団体 の存続のための財務的な対策として、団体の特徴を考慮した戦略的な資金調達計画の重要性が示唆された。 参加者からは、統計分析の手法の精緻化に向けての意見交換や、分析対象として文化・芸術系の団体をその対象とした意義について活発な議論が行われた。 第2報告 「クライシスの中小企業支援において信用保証協会が果たした役割―兵庫県信用保証 協会を中心に―」 櫛部幸子氏(鹿児島国際大学) コロナ禍の中小企業の資金繰り支援における会計情報の活用状況についてアフターコロナにおけるデフォルトリスクを指摘し、過去のクライシス(阪神・淡路大震災と東日本大震災)において実施された「信用保証協会の保証」のデフォルトの状況を調査し、過去の信用保証協会の「信用保証」において、どのような施策がデフォルトを軽減・回避することにつながったのかについて、コロナ渦における支援の状況との比較分析による報告が行われた。 参加者からは、デフォルトが最終的に社会に与える影響や平時と非常時で中小企業への与信にどのような影響があるかについての質問がされ、活発な議論が行われた。 部会の最後に齋藤真哉学会長(横浜国立大学教授)より、本学会の研究が多様性をもって活性化しており、今後の更なる研究の発展が期待できる点が述べられ、合同部会は盛会のうちに終了した。 文責:村田大学(大原大学院大学)・古市雄一朗(大原大学院大学) ​ ​ ■第30回関東部会記 日時 : 2021年3月20日(土) 場所 :Zoomミーティング(テレビ・Web会議ツール) ​ 1. はじめに 非営利法人研究学会第30回関東部会が、2021年3月20日(土)10時30分より、ビデオ会議システム zoom を用いて開催された。31名の参加者を迎え、古庄修関東部会長(日本大学教授)から挨拶があった後、古庄部会長の司会のもと、研究報告・討論会が行われた。 2. 部会報告 第1報告 「課題としてのファンドレイジング・パラドックスと、その解決のための地域性と共感のメカニズムについての考察ー横浜市における事例研究を中心としてー」 瀬上 倫弘氏 (横浜市立大学大学院都市社会文化研究科共同研究員) 本報告は、非営利活動促進のための経済的考察として、横浜市における事例研究を中心に、NPO法人が行うファンドレイジングにおける課題と、それを解決する効果的なファンドレイジングの要素を探求するものであった。 瀬上氏からはNPOにおける寄付の必要性について説明があった後、ファンドレイジングの成功要因を探る入口として、ファンドレイジングの必要性につきNPOの存在論に遡って考察が示された。事例として、「共感と地域性におけるメカニズム」を基礎概念として横浜市における中小規模団体が示された。最後に、2019年8月10日 非営利法人研究学会 第25回関東部会研究発表 における瀬上氏の発表に対する各種の質問に対して回答する形で前回報告後の研究の進展が示された。 フロアからは、横浜市の事例を選択した理由、他地域における事例にも着目する必要性等、多くの質問が行われた。 ​ 第2報告 「非営利組織会計の国際的枠組み」 金子良太氏(國學院大學) 私 金子からは、英国の職業的専門家団体であるCIPFA(英国勅許公共財務会計協会)より、同じく英国の非営利組織の支援団体であるHumentumの協力を得て公表された非営利組織会計の国際的枠組みの形成を目指すConsultation Paper (CP)「International Financial Reporting for Non-Profit Organizations (非営利組織の国際的財務報告)」について報告した。 2021年1月に公表されたCPの目的、全体構成、今後の課題について示した。 フロアからは非営利組織における国際的枠組みが本当に必要なのか、また日本への適用可能性や今後の方向性等について多くの質問があった。多くのコメントがあり、予定時間を超過した12時40分頃に終了した。 ​ 文責:金子良太(國學院大學) ​ ​ ■第29回関東部会(北海道合同部会)記 日時 : 2020年7月26日(日) 場所 :Zoomミーティング(テレビ・Web会議ツール) ​ 1. はじめに 2020年7月26日(日)午後1時より、今年度第二回目となる非営利法人研究学会北海道・関東合同部会が開催された。今回も前回に引き続き、ビデオ会議システムzoomを用いて行われた。形式的な主催校として武蔵野大学が引き受け、私、鷹野宏行が司会の任を仰せつかった。 今回も北海道・関東以外の全国からの会員の参加者があり、総勢32名に上り、活況な研究会が行われた。以後、研究報告・討論等の概要を記すこととする。 2. 部会報告 第1報告 「非営利組織のガバナンスが租税回避行動に与える影響に関する実証分析」 黒木淳氏(横浜市立大学准教授)・夏吉裕貴氏(横浜市立大学大学院後期博士課程1年) 黒木・夏吉両氏の発表の目的は、わが国非営利組織で収益事業を通じた租税回避行動が行われているか調査し、もし行われているならば、非営利組織のガバナンスが同行動にいかなる影響を及ぼしているかを明らかにすることに主眼が置かれるものである。 米国における先行研究をペースとして、わが国非営利組織に実証研究を試みる。 結論としては、わが国の非営利組織にも租税回避行動はみられるが、米国の先行研究より著しく小さく、その行動が小さい原因として、非常勤理事、寄付者、規制の3つがモニタリングし、その抑制に寄与しているとした。 ​ 第2報告 「コミュニティ病院を所有する米国非営利組織の財務諸表に関する一考察 −メイヨー・クリニックを題材として−」 谷光透氏(川崎医療福祉大学講師) 谷光氏の発表は、米国の新しい非営利組織会計基準の内容を吟味し、その基準がすでに適用の段階に入っている、米国において著名な病院であるメイヨー・クリニックで実際に作成された財務諸表(連結を含む)を考察する。 この考察の過程において、我が国の非営利組織会計の在り方、非営利組織共通の会計の枠組み、病院を所有する非営利組織固有の情報開示の在り方を探るべく、持論を展開する。 氏によれば、病院の規模に応じて、missionに応じた純資産の区分、費用の機能別表、連結情報等の開示が必要であるとする。 ​ 第3報告 「「一般法人会計基準案」の策定経緯とその論点について」 髙山昌茂氏 (協和監査法人代表社員・公認会計士) 高山氏は、非営利法人研究学会において組成された「一般法人への公益法人会計基準適用の研究会委員会」の活動についての中間報告として今回の発表を位置付け、以下のような発表を行った。まず、現在まで7回開催された研究会の議事録を公表した。途中、いわゆる「モデル会計基準」の公開を前後して、1年間の休会があったことも報告された。 続いて、草案として策定されている「一般法人会計基準」(案)について説明があった。なお、本発表の最終的な報告は、今年度の全国大会で行われる旨の説明があった。 文責:鷹野宏行(武蔵野大学) ​ ​ ■第28回関東部会(北海道合同部会)記 日時 : 2020年6月14日(日) 場所 :Zoomミーティング(テレビ・Web会議ツール) ​ 1. はじめに (公社)非営利法人研究学会北海道・関東合同部会が、2020年6月14日(日)14時より、Zoomミーティング(テレビ・Web会議ツール)を用いて開催された。25名の参加者を迎え、大原昌明北海道部会長(北星学園大学教授)・古庄修関東部会長(日本大学教授)から挨拶があった後、関東部会幹事の筆者、金子良太の司会のもと、研究報告・討論会が行われた。 2. 部会報告 第1報告 「日中戦争までの米中からの日本の民間非営利組織会計への影響−コンバージェンスについての示唆を得るための学説史−」 水谷文宣氏 (関東学院大学) 本報告はトップ・ダウンのアプローチが民間非営利組織会計のコンバージェンスに必要か否かの示唆を得ることを目的とする。 アドプションには、IASBのような特定の機関が主導して会計基準を普及させることがほぼ必須である。トップ・ダウンのアプローチと言える。企業会計について日本では複数の会計基準を競争させるべし、などの形でトップ・ダウンのコンバージェンスに反対する意見がある。 報告では、戦前・戦中の民間非営利組織会計に関する資料から、寄附に関する言及が非常に少ないこと、多くは課税当局のために執筆された資料であることを明らかにした。そして、寄附への関心の欠如は、彼らの関心が複式簿記による資本増殖の反映にあったためと思われるとの報告者の考察が示された。 フロアからはテーマに関する質問等が積極的に行われた。 ​ 第二部 討論会 新型コロナウイルスが非営利組織・会計・経営に与える影響について 非営利組織は、新型コロナウイルスの影響から無縁ではいられない。今回のセッションでは、25名の参加者が発言できる形で新型コロナウイルスの影響についての実体験・課題等が話し合われた。 最初に、今回の事態を受けての公益法人における社員総会対応等について質疑応答が行われた。次に、将来の見通しが立ちにくい中での収益事業の取扱い、会計上の減損や繰延税金の取扱いについても課題提起がなされた。 また、医療・福祉分野の経営に与える影響や資金繰りへの対応策等も話し合われた。多くのコメントがあり、16時20分頃に終了した。 ​ 文責:金子良太(國學院大學) ​ ​ ■第27回関東部会記 日時 : 2019年10月26日(土) 場所 : 國學院大学 渋谷キャンパス ​ 1. はじめに 非営利法人研究学会第27回関東部会が、2019年10月26日(土)14時より、國學院大学渋谷キャンパス(3号館3404室)において開催された。8名の参加者を迎え、金子良太氏(國學院大学)の司会の下、2つの報告が行われた。 2. 部会報告 第1報告 「宗教法人法の体系的特質~同法による規制の範囲と限界~をめぐって」(2018年度非営利法人研究学会関東部会短期研究) 竹内拓氏(非営利法人経営管理研究会) 竹内氏は、⑴宗教法人の実態、⑵宗教法人法の目的、⑶宗教法人法の規制範囲、⑷法的規制の沿革と現行法への影響、⑸宗教法人法の特徴、⑹宗教法人法改正の経緯と主な改正点の構成により報告された。 まず、宗教法人法は、宗教施設の管理に重点を置き、また、同法は宗教団体の目的を達成するための業務及び事業を行うことに資することを目的としていることを確認された。ただ、規制の面に関しては、憲法で保障される「信教の自由」を尊重すべきものとされているため、その規制の対象は宗教行為以外の領域となると述べられた。なお、非宗教法人には、実際に宗教活動を行っている団体に対しても、宗教法人法の適用はなく、規制の対象外となっていることも指摘された。 続いて、宗教団体に対する法制の沿革について触れ、宗教法人令において、宗教法人の設立を届出制としたことによって生じた各種の問題点の反省から宗教法人法においては認証制(準則主義)が採用されたとの見解を示された。なお、認証制度に関して、一般に申請後3月以内に認証が下りるものとされているが、複数年分(3年以上)の会計書類と宗教施設の存在、礼拝の実施の有無などの実績が問われるため、申請までに相応の時日を要することが紹介された。 この認証制度のほか、責任役員制度と公告制度が宗教法人法における特徴点(これまでの法令に存在しなかったもの)であるとされ、責任役員制度は宗教法人における必置機関として法人の業務及び事業の運営に当たるが、伝統的宗教活動団体においては、責任役員とは別に、総代、長老などの役員が置かれ、その下で慣習による支配が行われることによる運営上の調整の問題が起こり得ることに言及された。 さらに、公告制度と並び財産目録及び収支計算書の作成、備置き、閲覧並びに所定の書類に関する所轄庁への提出が定められていることで、いわば公衆の監督が機能するため、この点が宗教法人において監事を必置機関としない理由のひとつとなっているとの見解を述べられた。なお、監事が必置機関とされていない理由については、宗教行為が監査対象に及ぶ恐れがあることも挙げられた。 最後に、宗教法人に関する認証の問題と関連して、宗教団体が宗教法人としての認証を受ける手数等を回避することを意図して、一般社団法人あるいは一般財団法人の類型を選択する可能性の有無についての問題提議があった。 この点は参加者との質疑応答における論題として引き継がれ、参加者からは、宗教団体が一般社団法人あるいは一般財団法人の類型を選択することは制度的には可能であり、現に、古くからある地域の祠を保存することを目的とした公益財団法人が存在することなどが紹介された。ただし、一般社団法人あるいは一般財団法人には、宗教法人と異なり税制上の利点がないことが指摘され、類型の採用は限られるとされた。 第2報告「「私立大学版ガバナンス・コード」の設定と課題」 古庄修氏(日本大学経済学部) 古庄氏は、ご自身が部会長を務める大学等学校法人研究部会における活動状況に触れられた後に、わが国の非営利法人に係る「ガバナンス・コード」の策定を巡る議論として、まず、アベノミクス成長戦略の一環として営利企業における導入経緯を紹介され、その広がりを受けて、次のとおり、非営利法人の領域、とりわけ私立大学においても策定に向けた動きが活発化している状況について紹介された。 ⑴ 2017年3月:大学監査協会による「大学ガバナンスコード(案)」の公表 ⑵ 2019年1月:文部科学省大学設置・学校法人審議会学校法人分科会学校法人制度改善検討小委員会公表の「学校法人制度の改善方策について」において「「私立大学版ガバナンス・コード」(自主的行動基準)の策定の推進」の明示 ⑶ 2019年3月:日本私立大学協会私立大学基本問題研究委員会・大学事務研究委員会による「日本私立大学協会憲章「私立大学版ガバナンス・コード(中間報告)」」の公表 「私立大学版ガバナンス・コード」の構成は、①私立大学の自主性・自律性(特色ある運営)の尊重、②安定性・継続性、③教学ガバナンス、④公共性・信頼性、⑤透明性の確保であり、このうち、透明性の確保(情報公開)において自主的な公開の範囲として、「理事の経歴および役員報酬基準」が含まれている点に注目された。ただし、私立学校のガバナンス体制に係る情報公開などは含まれておらず、営利企業、上場企業におけるガバナンス・コードとの相違があるとされ、また、「私立大学版ガバナンス・コード」に対しては、「情報公開の更なる促進」が求められるなどの批判が存在することが紹介された。 さらに、2019年6月28日に自由民主党行政改革推進部・公益法人等のガバナンス改革検討チームから公表された「公益法人等のガバナンス改革検討チームの提言とりまとめ」の中から、「学校法人制度に対する8の提言」について採り上げられ、ここでは、自主的なプリンシプルベースの行動規範の策定が期待されているものと解説された。 最後に、大学における統合報告の現状について触れられ、何と何が統合した報告書なのかが明確になるまで安易に「統合」というべきではないとの見解が示されたが、一方で、大学監査協会が2014年に公表した「大学法人のディスクロージャー-その目的と体系化-」は、大学の事業報告書の「統合報告」化に係るモデル試案を他に先駆けて提示したことは特筆すべきとされた。 以上の報告を受け、参加者からは、「私立学校法がルールベースを採用しているのに、なぜ、学校法人のガバナンス・コードはプリンシプルベースとなるのか」「ガバナンス・コードは内部自治の標準化を目指すものなのか」「現況は、日本私立大学協会のみが策定作業を行っているのか」「今後、別の団体においても策定が進むのか」「ガバナンス・コードとESGとの関係」「コンプライアンスとガバナンスの捉え方の違い」に関する質問が出された。 ​ 文責:上松公雄(大原大学院大学) ​ ​ ■第26回関東部会記 日時 : 2019年8月23日(金) 場所 : (一財)日本自動車研究所 2階会議室 ​ 1. はじめに 非営利法人研究学会第26回関東部会が、2019年8月23日(金)13時より、一般財団法人日本自動車研究所2階会議室において開催された。約10名の参加者を迎え、関東部会長の齋藤真哉氏(横浜国立大学)の司会のもと、3つの報告が行われた。 加えて、日本自動車研究所内の研究施設の見学会も行われ、各自動車メーカーの新車開発などの秘匿性の高い実験が行われる施設のため、一般には公開されていない場所の見学という稀有な機会に恵まれた。 2. 部会報告 第一部 非営利法人の現場との交流 第1報告 森田明芳氏(一般財団法人日本自動車研究所事務局) 一般財団法人日本自動車研究所(以下、「JARI」とする。)は、自動車に関する技術の試験・評価を行う総合的な研究機関である。1961年設立の財団法人自動車高速試験場をその前身として、1969年よりは同試験場を自動車に関する総合的な研究機関として改組して発足した、とのことである。 2003年には、財団法人日本電動車両協会及び財団法人自動車走行電子技術協会と統合し、自動車及び関連産業、エネルギー、電機、情報・通信など幅広い関連産業との連携を深めるとともに、事業領域の拡大、未来を的確にとらえた先導的な研究の推進、次世代自動車の普及の促進を図ることをミッションと据える。2012年には一般法人に移行して、新生、一般財団法人日本自動車研究所として新たにスタートしたとのことである。 近年、地球環境問題への対応、自動車のAI・IoT化の進展、自動車に対するニーズの多様化などを背景に、自動車産業は大きな転換期を迎えており、JARIは「環境・エネルギー」「安全」「自動運転・IT・エレクトロニクス」の3つの主要な研究分野として先進的な研究に取り組んでいるとのことである。JARIの収入源泉は多岐にわたり、受託研究からの収入、補助金収入、寄付収入、会費収入、事業収入、不動産収入などである。総収入は概ね90億円程度で、安定的に推移している。従業員は379名(2019年4月現在)であり、都内に2か所の事務所と、本つくば研究施設のほか、茨城県城里町に城里テストセンターという広大な実験施設を保有する。 つくばエクスプレス研究学園駅はかつての敷地であり、城里テストセンターへの施設移転前の実験施設の跡地であるとのことで、現在でも同駅周辺に広大な敷地を保有しているということである。また、つくば市役所に賃貸している敷地もJARIのものであり、広大な敷地に恵まれた研究施設であるとの印象をもった。 法人の概要の説明があったのち、同施設内の見学を企画していただけた。見学したのは、特異環境試験場という施設である。雨や霧、逆光といった実際の交通環境で想定される走行状況を再現し、車両の周辺環境(信号灯や標識、歩行者)などを認識するセンサー・カメラ等の性能評価を行うことが可能な施設である。この施設は世界に唯一無二の施設であり、外国の自動車メーカーからも実験の依頼が来るような最先端最新鋭の実験施設であるとのことである。実際に、降雨実験や噴霧実験をしていただくことができ、大変に貴重な体験をさせていただくことができた。 第二部 研究会 第2報告「会計から見る公益法人制度改革の課題と可能性」 尾上選哉氏(大原大学院大学) 尾上氏からは、本年度の非営利法人研究学会全国大会の統一論題にて披露される発表の事前発表として、会計の観点から、公益法人制度改革の趣旨に照らして、新公益法人制度が有効な社会システムとして機能しているか現状を把握し、改善すべき課題を明らかにするとともに、今後の公益法人制度の発展に会計がどのように寄与しうるかを論じたいとの問題意識のもと報告が行われた。 概ね次のような発表の構成であった。まず、「Ⅰ.公益法人制度の現状」、「Ⅱ.公益法人会計の課題と可能性」、「Ⅲ.「民による公益」の増進に向けて」である。尾上氏は、公益法人と一般法人に場合分けしながら、整理していく手法をとった。統一論題での発表の試論とのことであり、フロアからは本発表に向けた様々なアドバイスや意見が供出され闊達な議論が行われた。 ​ 第3報告「子ども食堂におけるドメインの定義」 菅原浩信氏(北海学園大学) 菅原氏からは、子どもの貧困に対する民間発の取組みとして注目されている「子ども食堂」について、その数の拡大とともに長期的継続的な運営に関する研究が必要であるという問題意識のもと報告があった。 氏の発表は概ね、先行研究調査、事例研究(新潟県内6施設)、分析(4つのグループへの分類化)、考察という手法により、展開された。今後の研究に関しては、本調査が新潟県内に限定され、調査施設の数も限定的であり、この調査手法を拡大して、分析事例を増やすことにより、経営戦略や組織特性等の抽出を試みていきたいとのことである。 ​ ​ 文責:鷹野宏行(武蔵野大学) ​ ​ ■第25回関東部会記 日時 : 2019年8月10日(土) 場所 : 横浜国立大学 みなとみらいキャンパス ​ 1. はじめに 非営利法人研究学会第25回関東部会が、2019年8 月10日(土)14時より、横浜国立大学みなとみらいキャンパスにおいて開催された。15名の参加者を迎え、齋藤真哉氏(横浜国立大学)の司会のもと、2 つの報告が行われた。 2. 部会報告 第1報告 「非営利法人におけるファンドレイジングの課題と地域性との関係性についての考察 」 瀬上倫弘氏(特定非営利活動法人国際連合世界食糧計画WFP協会事業部マネジャー・横浜市立大学大学院都市社会文化研究科博士後期課程) ​ 瀬上氏は、現在、作成中の博士論文に基づいて報告をされた。 まず、ファンドレイジングはなぜ必要なのか?NPOの存在意義について、旧来からの「市場の失敗」「比較優位性からの存在意義」とは別に「対自発的感性主義」という新しい観点からNPOの存在意義について説かれ、続いて、ファンドレイジングについて「社会的課題の理解と共感」と定義された。さらに、活動資金が不足していること、そのためにファンドレイジングによる資金獲得が必要であるが、逆説的にそのファンドレイジングを実施するための資金も高額で用意することが難しい点をファンドレイジング・パラドックスとし、その課題と位置づけられた。そして、この課題の解決のために事例研究が必要となるとした上で、個人・企業のそれぞれからのファンドレイジングの成功事例の紹介と事例研究に対する分析結果について述べられた。 まず、個人からのファンドレイジングの成功事例としては、「かながわ寄付toカタログ」が紹介され、分析結果として「『地域性』がファンドレイジングの成功要因のひとつの鍵」であること、並びに、地域性が「『ファンドレイジング・パラドックス』の克服に資する」ことが報告された。 次に、企業からのファンドレイジングの成功事例のうち、WFPに関連する事例として「よこはまウォーキングポイント」が紹介され、また、企業を対象としたファンドレイジングと寄付に応じた企業の視点を明らかにするものとして「日本補助犬情報センター」と「SHAKE SHACK」による事例が紹介された。 この企業を対象としたファンドレイジングの事例研究に対する分析結果としては「個人の場合と同様に企業の場合にもファンドレイジングの成功要因として『地域性』という要素が影響していると推察することができた」とまとめられたが、「地域性」には強弱の差があること、個人と企業とにおいての捉え方が異なることが付言された。 最後に、地域を志向したファンドレイジングを「地域ファンドレイジング」と呼び、「地域ファンドレイジング」が海外支援においても有効であるかについての検討として「国連NPOの財務分析」「財務分析からの考察」が行われ、現時点における「仮説」がまとめられた。 以上の報告を受け、参加者からは、「ファンドレイジング・パラドックスについては、統計などに基づいて検証されているか?」「国連NPOの財務分析の結果としては、ファンドレイジング・コスト率が高く、寄付を効率的に使えていない団体がよいとされてしまうが、これは適当か?」「カントによる共感なき寄付との関連はどうか?」「共感の定義は、なにか?」「経済学的分析の観点から1,000のうちの6 つの事例だけで分析となるか?」「非営利法人を対象とするのであれば、他の法人形態についてもサンプルとして取り上げるべきでは?」「『地域性』や『共感』について、個人と企業がそれぞれに考える『地域性』『共感』があるのではないか?」など、多岐多様な質問が出され、活発な議論が展開された。質疑応答を含めて報告は2 時間を超えるものとなった。 第2報告「英国チャリティをめぐる近年の動向と制度対応 」 古庄 修氏(日本大学経済部) 古庄氏は、ご自身が2014年以後に公表された英国チャリティの財務報告に関連する6 篇の論考及び解説の内容を基に、その動向について報告された。 報告においてはまず、FRS第102号の公表に至る過程において、公益目的事業体(PBE)向け財務報告基準(FRSPBE)の設定が議論されたものの、FRSPBEは設定されず、英国においては、企業会計と非営利組織の会計の制度的枠組みを共通化したことの経緯について触れられた上で、企業会計との共通化、非営利組織間の会計基準の共通化の形態として、英国においては、2 つの概念フレームの上に1 つの財務会計基準(UKGAAP)があってそのなかにPBEに対する会計基準が含まれる形で位置付けられており、これと結びつきながらモジュール・アプローチとしてチャリティSORPが存在する3 層構造となっていることが確認された。 次いで、今回の報告の主題となる英国チャリティを巡り近年、発覚、発生した「Mrs Olive Cookeのケース」について紹介された。「Mrs Olive Cookeのケース」は寄付者を追い詰める寄付勧誘や断ることのできない(強制的な)寄付の存在を明らかにする事例であり、この一件が契機となって2016年にチャリティ法の改正が行われ、これにより新設された開示規定の概要について報告された。 さらに、2018年4 月に『公益・一般法人』に掲載された解説記事に基づいて、2017年7 月に改訂されたソフト・ローである英国チャリティのガバナンス・コード(チャリティ・コード)について、改訂の狙いと内容についての確認が行われた。また、チャリティ・コードにおいてApply or Explain(適用せよ、そうでなければ説明せよ)アプローチが採用されていることを前提として、その【推奨される実務】のなかから注目すべき点の抜粋確認が行われた。なお、チャリティ・コード改訂の背景には「Kids Companyの破綻」の存在などがあることが示された。 最後に、2020年度の本学会全国大会における統一論題の主題として、①東京五輪開催に合わせた競技団体のガバナンスとインテグリティ、②非営利法人におけるガバナンスをめぐる論点などを主催校として検討している旨が述べられた。 出席者からは、「チャリティ・コードの適用形式を区分する基準と外部監査の要否」「チャリティSORPにおける中小向けIFRSの適用可否」「チャリティ・コードにおける存続可能性について」「寄付勧誘から悲劇を生まないためのファンドレイジングを行う側の倫理規程のあり方」などの質問が出され、第1 報告に続いて第2 報告においても活発な質疑応答が展開された。質疑応答を含めて1時間半に及ぶ報告となった。 最後に今後の学会開催予定等について報告があり、18時10分頃、閉会した。 文責:上松公雄(大原大学院大学) ​ ​ ■第24回関東部会記 日時 : 2019年7月20日(土) 場所 : 日本大学 経済学部7号館(東京都千代田区) ​ 1. はじめに 非営利法人研究学会第24回関東部会が、2019年7月20日(土)13時より、日本大学経済学部7号館2階講堂(東京都千代田区神田三崎町)において開催された。約40名の参加者を迎え、古庄修氏(日本大学経済学部)の司会のもと、3つの報告が行われた。 今回は、日本簿記学会簿記実務研究部会及び税務会計研究学会特別委員会との共催となった。これら3学会の各部会・委員会は、いずれも非営利組織の会計をテーマにしている点で一致し、今回の合同開催に至った。 2. 部会報告 ​ 最初に、非営利法人研究学会の齋藤関東部会長より、非営利組織の会計をテーマとして様々な観点から検討する3学会が合同で研究会を発表する意義が示された。 第一部 研究会 第1 報告「非営利法人の特質~会計・税務の観点から~」 齋藤 真哉氏(横浜国立大学) 齋藤氏は、会計を考察する前提として、まず近年の日本における非営利法人をめぐる環境制約の変化として、行政からの補助の削減や非営利法人において生じた不正について言及された。また、日本における非営利法人をめぐる会計や税務の動向を概観された。 次に、非営利法人の特徴としての特定のミッションの存在、残余財産に対する請求権者の不在、直接的反対給付を要しない財・サービスの受領の可能性等についてより詳細に報告された。 その他にも多くの点について詳細な報告がなされた後、まとめに入られた。特に非営利法人会計では、企業会計と同じ基礎概念で整理できるのか、何が同じで何が異なるのかについての明確化の必要性を強調された。合わせて、諸外国の基準をそのまま導入するのではなく、会計理論や日本の実情に照らして基準の内容の十分な検討が必要であるとされた。 第2報告「非営利組織体の簿記の現状把握と課題」 小野 正芳氏(千葉経済大学) 日本簿記学会簿記実務研究部会部会長である小野氏からは、非営利組織体における複式簿記の役立ちという観点から報告がなされた。部会では、パブリックセクターに含まれる地方自治体、地方三公社、独立行政法人、国立大学法人、公立大学法人とプライベートセクターの公益法人、NPO法人、医療法人、私立学校法人、社会福祉法人、宗教法人、農業協同組合まで広範囲にわたって研究がなされている。 非営利組織体への複式簿記導入の経緯として、⑴ 当初から非営利組織による複式簿記が求められている組織体、⑵ 収支計算及び財産目録の作成のための簿記処理から複式簿記による簿記処理へ移行した組織体、⑶ 未だ複式簿記による簿記処理が求められていない組織体とに区分して詳細な報告がなされた。また、簿記学会ということで、複式簿記の具体的な会計処理にも言及された。 ​ 第3報告「 非営利法人の課税をめぐる課題」 尾上 選哉氏(大原大学院大学) 税務会計研究学会特別委員会委員長の尾上氏からは、非営利法人の税務に係る各種の課題について報告がなされた。具体的には、以前の公益法人税制、新たな公益法人税制、非営利法人への所得課税の検討、法人税以外の特別措置等について言及された。 非営利法人には各種の税制優遇措置が採られているが、その理由が必ずしも明確でなかったり、様々な措置の間での整合性が不十分であったりする課題が示された。 第3報告終了後、齋藤真哉氏をコーディネーターとして、討論会・意見交換会が行われた。 フロアと発表者との間では、企業における複式簿記と非営利法人における複式簿記との違い、複式記入と複式簿記との違い、使途の指定された財産の受入れにかかる会計処理等をめぐり活発なやりとりがあった。 最後に今後の学会開催予定等について報告があり、17時30分頃、閉会した。 文責:金子良太(國學院大学) ​ ​ ■第23回関東部会記 日時 : 2019年5月11日(土) 場所 : 武蔵野大学 有明キャンパス(東京都江東区) ​ 1. はじめに 非営利法人研究学会第23回関東部会が、2019年5 月11日(土)14時より、武蔵野大学有明キャンパス(東京都江東区)において開催された。18名の参加者を迎え、開催校の鷹野宏行氏(武蔵野大学)の司会のもと、1つの報告及びラウンドテーブルが行われた。 2. 部会報告 第一部 研究会 第1 報告「宗教法人法における機関の特徴―宗教法人法における機関の特徴から生ずる税務上の問題点に関する一考察―」(2018年度非営利法人研究学会関東部会短期研究)」 上松公雄氏(税理士・大原大学院大学) 上松氏より、宗教法人における機関の特徴の観点から、宗教法人法上の役員でない者が法人税法上の役員となる可能性があるため、宗教法人法において役員の範囲を明確にする必要性に関する報告がなされた。 宗教法人における機関を、一般社団法人、社会福祉法人、学校法人と比較検討を行い、以下の4つの特徴をあげた。①合議制機関及び監事が必置機関とはなっていない。②役員の範囲が明確ではない。③職務・権限について規定されているのは責任役員及び代表役員のみである。④登記すべき者は代表権を有する者となっている。このような特徴が宗教法人法の役員と法人税法上の役員との範囲が異なる要因となっている可能性を示唆した。また、法人税法上の役員の範囲は①役員の例示及び②実質的経営従事者という2つの観点を判断基準とするが、宗教法人の機関は法人税法上の役員の例示には該当しない。このため、実質的経営従事者であるかどうかによって法人税法上の役員該当性を判断すべきことになり、代表役員に関しては職務・権限の内容から法人税法上の役員に該当するものと判断されるが、責任役員については法人の規則において定める職務・権限の内容に基づいて判断する必要がある。さらには、宗教法人は設置すべき機関が不明確であり、理事及び監事が存在しないため、他の非営利法人とガバナンスの有効性と役員の課税について不公平が生じる可能性が否めない。 フロアからの主な質問とそれに対する回答は以下のとおりである。 旧宗教法人令の施行下において宗教団体か否かの線引きの根拠はどこにあったのかという質問に対しては、旧宗教團體法の定めるところが前提とされていたものと理解されるとの回答であった。 宗教法人はガバナンスが有効に機能しておらず、特定の者が優遇されている可能性があること及び、本来役員でない者が税法上の役員として認定されてしまい税務上不合理に扱われている可能性があるという問題があると理解してよろしいかという質問には、そのような理解で問題ないとの回答があった。 なぜ宗教法人法に監事に関する規定が明文化されていないのかという質問については、今後、竹内先生との共同研究で明らかにしていくとの回答であった。 宗教法人法の機関に関する課題が浮き彫りになり、フロアからの質問も宗教法人に関する本質的な議論となり活発な質疑応答となった。 ​ 第二部 ラウンドテーブル 第2報告「非営利組織の財務報告~JICPA非営利組織会計検討会の提案~」 齋藤真哉氏(横浜国立大学) 齋藤氏から2019年4月にJICPAから公表された「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」(公開草案)に関する報告がなされた後にディスカッションが行われた。 非営利組織の社会的役割期待の大きさや自立した運営の必要性、さらには監督官庁ごとに異なる会計基準が作られている会計コストを考えると、非営利組織に関する会計基準の統一化を図ろうとすることには一定の意義があるとされた。 齋藤氏より次の問題点も指摘された。財務報告には、財務情報と非財務情報を含むとされているが、その質的特性や財務諸表の構成要素等に非財務情報がいかに反映されているのか不明である。多様な情報利用者と基礎概念との関係にもあいまいさが残る。財務諸表の構成要素に純資産が含まれているのに、活動計算書により計算される純資産増減額が含まれないのか。 報告の後、フロアも含めたディスカッションが、次の論点等について行われた。財務諸表の構成要素について、基本金のように非営利法人の資本や余剰について別の定義づけや異なる勘定科目を設定することは有用であり、基本財産額や余剰のような概念を用いてステークホルダーの理解に資することが必要ではなかろうか。また、純資産の拘束別区分に関しては、 3区分とされたことに関して、拘束の程度によって分けるべきであるが、時代の変遷や寄付者の死亡等により寄付の意図を確認できなくなること等のために、ガバナンス上は寄付者の意図は管理するべきであるものの、拘束性を3区分として表示することはほとんど不可能であり、別資料として開示する方法も有用ではなかろうか。この論点については、アメリカ基準が3区分から2区分へ変更した理由や歴史的背景を交えて議論が交わされた。 ディスカッションは活発に行われ17時15分頃、閉会した。 文責:榮田悟志(武蔵野大学) ​ ​ ■第22回関東部会、北海道(合同開催)記 日時 : 2019年3月8日(金) 場所 : (一財)産業経理協会(東京都千代田区) ​ 1. はじめに 非営利法人研究学会北海道・関東合同部会が、2019年3 月8 日(金)13時より、一般財団法人産業経理協会2 階会議室(東京都千代田区神田淡路町)において開催された。約20名の参加者を迎え、関東部会長の齋藤真哉氏(横浜国立大学)の司会のもと、4 つの報告が行われた。 2. 部会報告 第一部 非営利法人の現場との交流 第1 報告「非営利法人の現場との交流」 田代恭之氏(一般財団法人産業経理協会 事業部マネージャー) 産業経理協会は、会社、その他諸団体における財務、経理等の研究、調査及び普及を行う目的で活動している団体である。1941年9月13日に日本原価計算協会の名称で発足してから現在まで80年近くに及ぶ活動を重ねている。1946年に財団法人産業経理協会と改称し、その後公益法人制度改革のもとで2013年4 月1 日より一般財団法人産業経理協会へ組織変更し、現在に至っている。2017年6 月より、会計学者の安藤英義氏が会長に就いている。会計学者を始めとする大学教員が、多く理事や評議員に就いていることも特徴的である。 田代氏からは、法人の各種事業について説明があった。主要事業としてセミナー(役員・幹部向け)、短期講習会(実務担当者向け)、講座(実務担当者向け)、研究会(専門領域に応じて現在9 の研究会)、機関紙(産業経理を年4 回発刊)がある。いずれも非常に歴史の長いもので、多くの企業が会員となっている。もっとも、リーマン・ショック以降は法人会員が減少しその後も会員数は伸び悩みの傾向がある。近年は法人へ向けての営業活動を強化していること、様々な類型の賛助会員制度を設けていることが説明された。 産業経理協会は、筆者も『産業経理』に寄稿したことがあり、会計学研究者には非常に身近な存在で、参加者による様々な質問が行われた。学会会場として会議室を提供いただいたことにも、感謝申し上げたい。 ​ 第二部 研究会 第2報告「 Fiscal SponsorshipとPro Bono」 早坂 毅氏(早坂毅税理士事務所) 早坂氏からは、非営利組織の不祥事防止研究会のプロジェクトとして、2018年12月2 日~12日の行程でアメリカ西海岸の非営利組織や法律事務所を調査した報告があった。早坂氏ら3 名は、非営利団体の活動が活発であるアメリカ西海岸、とりわけ先進地区として有名なサンフランシスコ市内でのインタビュー調査を企画、実施した。 Fiscal Sponsorshipは、非営利組織が他の小規模非営利組織の後方事務や組織運営支援、具体的には財務、コンプライアンス、助成金管理、人事管理や社会保険等のサービスを提供することで組織運営を支援するものである。早坂氏は、多くの非営利組織を支援するTidesへの訪問調査事例を報告された。Tidesは、環境、医療、労働問題、移民の権利、同性愛者の権利、女性の権利等の分野で先進的な政策を推進する団体であると同時、多くの小規模組織の支援も行っている。非常に安価な対価で、多くの組織の広範な後方支援を行っている。 このほか、早坂氏からはPro Bonoの先進的事例として法律事務所のMorrison and Foerster法律事務所が仕事の5 %をPro Bonoへ使うよう奨励されている事例も示された。 参加者からは、Fiscal Sponsorshipについての質問や、日本での実態等を巡って様々な質問が交わされた。 ​ 第3報告「18世紀の懐徳堂の帳簿」 水谷文宣氏(関東学院大学) 水谷氏からは、日本の実務における資本維持計算の必要性を現金主義の時代から探るという問題意識のもと、18世紀の帳簿について報告があった。 報告で使用された帳簿は教育を行う組織の『懐徳堂義金簿』であり、1781年(天明元年)にさかのぼるという。そして現在は、大阪大学の懐徳堂文庫に大量の資料が保存されている。水谷氏は、大阪大学を訪問して調査を行った。そして、それらを踏まえた上で資本維持計算は民間非営利組織でも必要であり、減価償却が必要である旨を報告された。 参加者からは、「資本維持」の意義や、減価償却の目的等をはじめ多くの質問がなされた。 ​ 第3報告「 地場産業産地における商工共同システムの変化 有田焼産地を事例として」 東郷 寛氏(近畿大学) 東郷氏からは、商工協業システムたる「事業システム」の変容の視点から有田焼産地の発展過程を明らかにすることを目的にした研究として、業界レベルでの産地発信型・事業システムについての報告があった。そして、有田を出自とする新興商業者や新興窯元集団による新たな事業システム(有田焼のブランド化を企図)の構築が明らかにされた。 参加者からは、本報告と非営利組織・活動との関係、有田焼産地の近年の動き等の質問があった。 文責:金子良太(國學院大學) ​ ​ ■第21回関東部会、医療・福祉系法人研究会(合同開催)記 日時 : 2018年7月7日(土) 場所 : 國學院大学渋谷キャンパス(東京都渋谷区) ​ 1. はじめに 非営利法人研究学会第21回関東部会、医療・福祉系法人研究会(合同開催)が、2018年7月7日(土)14時より、國學院大学渋谷キャンパス(東京都渋谷区)において開催された。17名の参加者を迎え、開催校の金子良太氏(國學院大学)の司会のもと、2つの報告が行われた。 2. 部会報告 第一部 非営利法人の実務報告 第1 報告「日本体育施設協会が実施する指定管理者外部評価の実務」 本間 基照氏 (MS&ADインターリスク総研株式会社) 本間氏より、体育施設を外部者の立場から評価する指定管理者という実務家の視点から、指定管理者の必要性、実施している業務の概要及び外部評価の課題に関して説明があった。 指定管理者外部評価を受けるか否かは原則として自由であり受ける目的も様々であるが、安全な利用を目的として、地方自治体は評価を受けることを義務付けている場合がある。体育施設の管理を適切に行い、利用者数を多くすることを目的とすることや、床が剥がれて利用者が怪我をするような施設の老朽化による事故が起こることを未然に防ぐとういう観点からも外部評価の意味は大きいといえる。また、指定管理者制度による評価の目的の一つとして、民間企業が体育施設に関する入札に参加することができる参入障壁を下げることにもある。いわゆる外郭団体のみで体育施設を運営するのではなく、スケールメリットが得やすく、経営のノウハウを持っている民間企業も体育施設の運営に参加を促すことによって、利用者の効用を高めることにも資すると考えられる。 評価実施項目として、安定的経営姿勢・運営実施体制、コンプライアンス、施設の効用の最大限発揮、安全管理、地域交流などがある。 フロアからの質問とそれに対する回答は以下の通りである。評価は時代や利用者のターゲットの別で行っているのか、また、時代に応じて評価を変化する予定があるのかという質問に対しては、年度末に項目の見直しを行っており、今後も考慮していかなければならないとの回答であった。温水プールに関して、近くにごみの焼却場がある場合とない場合では、燃料費がかなり違うが、置かれている環境制約によって評価も変化させているのかという質問には、1人あたりの利用料などで評価しているので、環境制約は考慮していないので今後の課題としたいとの回答であった。評価指標においては、公益目的を念頭においた指標を設けるほうが良いのではないだろうかという意見があった。地方と都心では利用者や集客力が大きく異なるので、施設の可変性(観客席、女子トイレと男子トイレの数など)等は評価項目として重要視されるべきではないかという意見があがった。 実務の現場の実情と課題がわかる大変興味深い発表であり、フロアからの質問も評価項目に関する本質的な議論となり活発な質疑応答となった。 第二部 研究会 第2報告「社会福祉法人充実残額の算定傾向に関する分析」 千葉正展氏 (独立行政法人福祉医療機構) 千葉氏からは、社会福祉法人の社会福祉充実残額の算定に関して、厚生労働省の示した算定式では内部留保以外の要因の混在や特例計算などによって、過大もしくは過小評価されている可能性があることから、充実残額算定式の見直しの要否に資する傾向分析に関する報告がなされた。例えば、建物等の耐用年数は借入金の借入期間を超過していることにより、借入金完済後から耐用年数到来の期間の減価償却費による回収資金が内部留保に混在しているため充実残額が過大評価される可能背がある。また、特例計算によって充実残額が過小評価される可能性も指摘される。この計算方法については、施行後の実施状況を踏まえ検討することとされ、算定制度の傾向分析を行う必要がある。そのほか充実残額については検証機能がないため、算出された金額の正確性に関して保証されていないというという制度上の問題点の指摘がなされた。 フロアからは、そもそも、社会福祉法人の内部留保に関する批判はなぜ出てしまったのか、という質問があがった。これは数字的根拠なき批判であったため、内部留保である社会福祉充実額につき充実計画の策定及び実行がなされることになったという経緯の説明がなされた。内部留保そのものに関する社会的な見解の問題ともいえる本質的な議論である。また、社会福祉充実額の数値の正確性に関する質問では、充実計画は充実額がプラスの場合にのみ作成すればよく、マイナスの場合には作成されず、作成されない場合には会計監査対象外であり、充実残額の算定課程におけるマイナスされる金額の適正性は担保されないという監査の盲点も明らかとなった。 ​ 各報告とも多くの質疑応答や質疑に基づく議論が活発になされ、議論は予定時間終了後も続き、17時20分頃、閉会した。 文責:榮田悟志(武蔵野大学) ​ ​ ■第20回関東部会記 日時 : 2018年5月19日(土) 場所 : 武蔵野 大学有明キャンパス ​ 1. はじめに 非営利法人研究学会第20回関東部会が、2018年5月19日(土)14:00より、武蔵野大学有明キャンパスにおいて開催された。18名の参加者を迎え、開催校の鷹野宏行氏(武蔵野大学)の司会のもと、三つの報告が行われた。 2. 部会報告 第1 報告「一般法人の非営利性についての再検討」 古市雄一朗氏(大原大学院大学) 古市氏より、まず、一般法人(一般社団・財団法人)は非分配制約を満たしていないのではないかという問題認識に関する説明があった。次に、非分配制約の意義、非営利組織に非分配制約が徹底されない事の問題点に関する検討の説明があった。前者の非分配制約の意義としては、非営利法人と営利法人を区別するメルクマールとして機能すること、契約の失敗を解消することなどがあげられた。後者の問題点としては、非営利性のある法人とそうでない法人が混在している法人が混在していること、非営利を謳いながら非営利法人として活動する恩典を用いて活動し利益を蓄積した上で特定の個人に対して利益を提供する余地が残されていることなどがあげられた。帰結として、残余財産の分配の可能性を残している一般法人は、厳密な意味での非営利性を有していない可能性があることが指摘された。 フロアーより、残余財産の分配の余地が残されている法人が非営利法人として一般法人の中に含められている制度的背景などに関して質問がなされ、活発な議論が展開された。 第2報告「非営利組織に関する一考察」 松原由美氏(早稲田大学) 松原氏より、まず、「非営利組織とはどういう組織か」というテーマに関する説明があった。次に、非営利組織の定義、非営利組織の利益概念を検討した内容が説明された。非営利組織の定義に関する検討は、非分配性を捉えた一般的な定義には問題があるとし、営利ではないことを捉えた定義とすべきとの提案がなされた。また、非営利組織の利益概念の検討では、非営利の利益概念と営利の利益概念を対峙させ、前者を将来のコスト、後者を儲けとして研究されている。考察として必要利益(許容範囲)の概念、将来の建替えコストなどの将来の非営利事業のためのコストに対する引当金設定の導入、さらに実質配当禁止の措置をもって、非営利組織の名にふさわしい経営を実現することが示唆された。 フロアーより、許容範囲設定のあとの処理はどうなるのか、提案された定義がいかなる問題を解決するか、などの質問がなされ、活発な議論が展開された。 第3 報告「収支相償の判断における調整項目の検討~特定費用準備資金の取り扱いを中心として~」 榮田悟志氏(武蔵野大学) 榮田氏より、まず、特定費用準備資金の利用の低さに関する問題点の説明があった。次に、収支相償の判断を伴う特定費用準備資金の利用に関する考察があり、どのような条件であれば特定費用準備資金の利用が高まるかについての検討がなされた。帰結として収支相償計算の調整項目としての特定費用準備資金の使用に関して、第一段階と第二段階で繰入れの意味合いが異なるため異なる取り扱いをすること、また公益目的事業で儲けた分は公益に還元するという考えにより、特定費用準備資金を利用しやすい環境整備が提起された。しかしながら、収支相償を求める場合には、会費、寄付金、補助金等を経常収益として収支相償の判断の計算に含めるか否かなども議論の余地があり、特定費用準備資金の繰入れと取崩しなどと総合的に議論されるべきであることも主張された。 フロアーより、特定費用準備金の利用が20%という内閣府公表の数値に対して、その利用により収支相償を達成する必要がある法人に限れば60%を大きく上回る数値となるという指摘もあった。また、制度の運用に関して、監督官庁及び公益法人との間に認識のずれが生じている可能性もあるなどの指摘もあり、活発な議論が展開された。 文責:山田和宏(横浜国立大学博士課程後期) ​ ​ ■第18回関東部会記 日時 : 2017年11月26日(月) 場所 : 武蔵野 大学有明キャンパス ​ 1. はじめに 非営利法人研究学会第18回関東部会が、 2017年11月26日(日)13時30分より、武蔵野 大学有明キャンパス 1 号館(東京都江東区有明)において開催された。約20名の参加者を迎え、開催校の鷹野宏行氏(武蔵野大学)の司会のもと、3つの報告が行われた。 2. 部会報告 第一部 非営利法人の現場との交流 第1 報告 中村英正氏(公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 CFO) 2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの準備及び運営を担うことを目的に設立された公益財団法人である。日本オリンピック協会と東京都とが1 億5 千万円ずつを出捐して2014年に発足し、その後東京都は57億円の追加出捐を行っている。 中村氏からは、実務家の立場から、組織の活動内容や公益法人の課題について報告があった。まず、2020年のオリンピックを成功させることを目的とした団体で、大会終了後は清算が予定されている点が(他の公益法人と異なる)大きな特徴である。また、役員数はオリンピック・パラリンピックが国、自治体、スポンサー企業、スポーツ団体等多くの関係者を巻き込んでいくイベントだけあって、35名と非常に多い。通常3 か月に1 回で開催される理事会の開催日程の調整には大変な苦労を伴うが、多くの理事が多忙な日程をやりくりして参加されているとのことであった。また、財団に勤務する職員も、東京都、国、スポンサー企業、スポーツ団体等の出身である。当然出身母体ごとに仕事のやり方は大きく異なっており、その点での調整の苦労もうかがい知ることができた。もっとも、「オリンピック・パラリンピックを成功させる」という使命(ミッション)が極めて明確な組織であり、いわゆる「アイデンティティ・クライシス」に陥ることはないとのことであった。 フロアからは2020年のオリンピックを開催するまでの毎年度の収支相償をどう考えるか、オリンピック終了後の清算において不足や剰余が発生した時の取扱いをどうするのか等、多くの質問が提起され、質問は14時半頃まで続いた。1 時間半近くにわたる中村氏の説明と質疑応答は、公益法人の運営のみならず東京オリンピック・パラリンピックへの興味をかきたてるに十分なものであった。 第二部 研究会 第2報告「非営利組織とはどのような組織か」 松原由美氏(早稲田大学) 松原氏は、まず「非営利」そして「非営利 組織」の定義が抱える問題点について明らか にされた。また、営利組織と非営利組織の利 益は似て非なるものであり、これを同一視して議論することは適切ではないと主張された。 また、非営利組織の利益概念の特徴についても言及された。特に通説に対する異論や、非営利組織に対する一般的な誤解を問題意識として報告がなされた。 フロアからは、「非営利」や「利 益」の定義をめぐって質問があり、その後活発な議論 が交わされた。 第3 報告「韓国のフードバンクと現物寄付の評価」 上原優子氏(立命館アジア太平洋大学) 上原氏からは、近年わが国でも注目が高まっているフードバンクを主題とした発表が行われた。フードバンクとは、様々な理由で処分されてしまう食品を、食べ物に困っている人に届ける活動である。米国での活動が盛んであるが、近年わが国でも活動が活発化している。発表は韓国のフードバンクに焦点を当て、韓国では経済の停滞や貧富の格差によりそれを必要とする人が増加し、政府がフードバンクの活動に深くかかわっていることが報告された。また、韓国では(米国と異なり)基本的に単式簿記で収支計算を行い、財務諸表は一般に公開はしていない。ただし、寄付食品の利用状況については公表しているとのことであった。 今後わが国でもフードバンクの会計上の取扱い、寄付食品の評価等が課題となるという課題が提起され、発表が締めくくられた。 フロアからは、寄付食品の評価の方法や米国のフードバンクとの違い等について質問があった。 各報告とも活発な質疑応答があり、16時50分頃、閉会した。 ​ 文責:金子良太(國學院大学) ​ ​ ■第17回関東部会記 日時 : 2017年8月20日(日) 場所 : 横浜国立大学みなとみらいキャンパス ​ 1. はじめに 非営利法人研究学会第17回関東部会が、2017年8 月20日(日)13時より、横浜国立大学みなとみらいキャンパス(神奈川県横浜市西区みなとみらい)において開催された。15名の参加者を迎え、開催校の齋藤真哉氏(横浜国立大学)の司会のもと、3つの報告が行われた。 2. 部会報告 第一部 非営利法人の現場との交流 第1 報告「社会福祉法改正後初めての決算を実務から振り返る」 船山 奨氏(税理士法人みらいコンサルティング) 船山氏より、税理士という実務家の立場から、社会福祉法改正の背景、趣旨及び課題に関して説明があった。まず、経営組織のガバナンス強化の観点から理事・理事長に対する牽制機能及び一定規模以上の社会福祉法人に対する公認会計士等による法定監査の義務付けの説明があった。これに関連して、厚生労働省及び日本公認会計士協会と連携して専門家の活用による法定監査対象外の社会福祉法人に対する事務処理体制を向上する目的の支援実施報告書を日本税理士会連合会会長から税理士会会長宛に周知のお願いが公表されたことが説明された。事業運営の透明性の確保に関しては、役員報酬基準及び役員区分ごとの報酬総額の記載に関する説明があった。また、社会福祉法人は公益性が強い事業を営んでいるため、本業については法人税を非課税とするべきではなかろうかとの意見も示された。 フロアからは、法定監査における公認会計士の独立性の問題、税理士の行う支援業務との住み分けに関する問題や、行政監査との比較などの議論が交わされた。また、理事の報酬に関しては、評議員会での承認が必要となり透明性が確保されているが、個人別の開示がなされていないなど問題が多く残っている点が指摘された。さらには充実計画に関する説明に対して実務ではどのような取扱いがなされているのか、残額がある法人の割合はどの程度なのかという実務の現場に関する質問も寄せられるなど、大変興味深い実務家の観点からの発表であった。 第二部 研究会 第2報告「非営利組織の内部留保」 石津寿惠氏(明治大学) 石津氏からは、公益法人、学校法人、社会福祉法人に関する内部留保に関して、会計情報として適切に開示することの必要性と、その仕組みとしての短期的な単年度の収支バランス(収支相償:公益法人、収支均衡:学校法人、社会福祉充実計画:社会福祉法人)と会計情報がリンクされることの必要性が示された。これにより社会から批判が多い非営利組織の内部留保の状況を明らかにし、会計情報として適切に開示することができると示唆された。 また、短期的なバランスとは、資金収支ではなく発生主義による収支であることが示された。 フロアからは、公益法人、学校法人、社会福祉法人の異なる法人に適用される会計基準を同じ土俵に上げて論じることに関する質問があがり、収支バランスと内部留保のリンクに関するさらなる説明がなされ、非営利組織の社会的意義に立ち返った議論も交わされた。 第3 報告「セクター中立会計の課題と可能性」 金子良太氏(國學院大学) 金子氏からは、ニュージーランドは20年の間にセクター中立会計を導入したがそれを廃棄したという事例が紹介され、セクター中立会計及び非営利組織会計の統一的枠組みを考えていく方向性や、多様な利害関係者の利害調整に関する研究の必要性が示唆された。営利組織、非営利組織、公的組織といった各セクターについてひとつの会計基準を共有するという極論を検討することにより、非営利組織の会計に関する位置づけや問題点を明らかにするといった意義があることや、営利・非営利・政府といった組織目的が異なることが会計の違いにはつながらないというアンソニーの主張が紹介された。 フロアからは、ニュージーランドがセクター中立会計を廃棄した経緯について、IFRS自体の問題なのか、IFRSの適用には限界があることは分かっていたが最終的に諦めたのかという質問がなされ、IFRSを適用することができる組織などに関する議論が行われた。また、セクター中立会計を現時点で導入している国はあるのかという質問に対して、完全ではないが、オーストラリアやイギリスなどがある旨が回答された。 各報告とも多くの質疑応答があり、議論は予定時間終了後も続き、17時40分頃、閉会した。 ​ 文責:榮田悟志(武蔵野大学) ​ ■第16回関東部会記 日時 :2017年7月8日(土) 場所 :日本大学経済学部7号館 ​ 非営利法人研究学会第16回関東部会が、2017年7 月8 日(土)13時より、日本大学経済学部7 号館(東京都千代田区三崎町)において開催された。20名以上の参加者を迎え、開催校の古庄修氏(日本大学)の司会のもと、3 つの報告が行われた。 ​ ■第1部 非営利法人の現場との交流 ■第1報告 浅川伸氏(公益財団法人 日本アンチ・ドーピング機構 通称JADAJapan Anti-Doping Agency) JADAは、ドーピング検査やドーピングに関する啓発活動を行う機関である。日本オリンピック委員会(JOC)、日本体育協会(JASA)、日本プロスポーツ協会(JPSA)を中心にして、2001年(平成13年)に創立された。浅川氏から、実務家の立場から、組織の活動内容や公益認定をめぐる課題について話があった。まず、数年前に大きな話題となったロシアによる組織的なドーピング問題と、その後の経過について話があった。ドーピングによって、オリンピック等の競技大会の信頼性は失われ、ルールを守って参加するアスリートに不公平な結果となってしまう。2020年の東京オリンピックを成功させるためには、ドーピングを絶対に認めない毅然とした態度と違反を摘発する仕組みの強化が必要であることを認識させられた。 公益法人の運営に当たっては、理事会や評議員会といった法人運営の方向性を決める会議が頻繁に行われない中で、日々の業務運営を行う常勤職員には運営の決定権限があまりないことが、スピード感のある法人運営を難しくしていることが示された。特に、多くのステイクホルダーを抱える組織においては理事会等が肥大化する傾向にある。ドーピングなど日々刻々と動く事態に対応していくために、また基本財産(JADAの場合、基本財産は6,700万円)の運用収益が極めて限定的となっている現状では、社会のニーズに応えて法人が存続していくために素早い意思決定や現場への権限移譲が不可欠であるとの説明があった。 JADAの公益財団法人化に際しては、法人の意思決定や業務運営がスピード感・緊張感をもってなされるよう組織変革が行われたとのことである。 フロアからはJADAの収支や世界的組織(WADA)との関係、公益財団法人化がもたらした影響等、多くの質問が提起され、質問は15時頃まで続いた。2 時間近くにわたる浅川氏の説明と質疑応答は、公益法人の運営のみならず東京オリンピック等への興味をかきたてるに十分なものであった。 ■第2部 研究会 ■第2報告 猫崎隆之氏(ニッシントーア・岩尾株式会社)「公益法人会計基準における意義と課題」 猫崎氏からは、公益法人会計基準が改正された経緯、その後の公益法人制度改革と会計基準との関係等について、報告がなされた。そして、特に平成20年改正の会計基準には理解可能性に問題があること、内訳表の作成など現場にも多くの負担がかかっていることが説明された。また、公益法人会計には説明責任の履行が期待されていることが示された。 フロアからは、公益法人会計基準の「意義」と「課題」をより明確にすることが必要であるとの助言があった。 ■第3報告 伊藤 葵氏(富山国際大学)「非営利セクターにおける中間支援組織の重要性」 伊藤氏からは、公共サービス提供における中間支援組織の重要性について、組織間関係論の視点に基づき、報告がなされた。中間支援組織では多様なステイクホルダーをつなぐセクター間調整機能が弱い傾向にあると推測され、この機能の拡充が課題であることが示された。 フロアからは、中間支援組織の定義づけや公的サービス提供という視点から研究を行った理由等について質問がなされた。 各報告とも多くの質疑応答があり、議論は予定時間終了後も続き、17時40分頃、閉会し た。 文責:金子良太(國學院大学) ■第13回関東部会記 日時 :2016年5月14日(土) 場所 :武蔵野大学有明キャンパス 1. はじめに 第13回関東部会が武蔵野大学有明キャンパスを会場に開催された。齋藤真哉部会長の挨拶後、部会長(第1 報告)及び鷹野宏行氏(第2・3報告)の司会により研究報告が行われた。 ​ 2. 部会報告 ■第1報告 榮田悟司・鷹野宏行氏(武蔵野大学)「産後ケア施設をめぐる制度・運営・組織形態研究序説」 榮田・鷹野両氏の報告では、出産直後の産褥期における母子に対する産後ケア施設の制度設計を検討するために、今回は世田谷区が武蔵野大学に土地を提供し事業運営を委託している「武蔵野大学付属産後ケアセンター桜新町」を題材として採り上げ、産後ケア施設の実態を明らかにし、法的整備の必要性が検討された。 まず、少子化対策が社会問題となっている昨今にあって、産褥期における母親の精神的・肉体的ケアの重要性が指摘された。そして、現在では多くの自治体等において、産後ケア事業や産後ケア施設への補助が行われるようになっているが、産後ケア事業・施設の認知度、自治体の補助、施設等の利用率に地域差が存在すると同時に、産後ケア・サービスそのものにも大きなバラツキがあることが問題の所在として採り上げられた。 そして、今後の産後ケア施設の拡充のために課題となる法的な整備についての検討が加えられた。今回の報告はタイトルにもあるように「序説」であり、今後、自治体へのアンケート調査、産後ケアの先進国といわれる韓国の産後ケア施設への訪問や実態調査などを行い研究を取りまとめていきたいとのことであった。 ■第2報告 金子良太氏(國學院大學)「非営利組織における規模別の会計基準導入の可能性」 金子氏の報告では、非営利組織には中小組織が多く、会計規制においては規模別の配慮が必要であるとの問題意識から、ニュージーランド(以下、NZ)で導入された非営利組織の規模別会計を例として挙げ、規模別会計基準導入の可能性の検討が行われた。 まず、NZの非営利組織の会計について、歴史的経緯を含めた概要が紹介された。NZでは2000年代に入ると企業会計に基づくセクター中立会計が、そして2007年からはNZ版IFRSが非営利組織に適用されていたが、2011年にその廃止が決定され、2015年4月から「事業費用」を基準とする非営利組織の規模別会計基準が導入された。なぜこのような会計枠組みの大幅な変更を伴う改革が行われたかについて、従来の会計基準は非営利組織に順守されておらず、順守される規制構築の必要性があったと報告者の見解が明らかにされた。 次いで、事業費用の金額により4区分された規模別会計基準の概要が紹介され、各区分での財務報告の実態が明らかにされた。 最後に、公益法人会計基準における「中小組織版」会計基準の検討結果を踏まえ、法人類型別に非営利組織の会計基準が設定されているわが国の現状で、NZのような規模別会計基準の策定の是非などが議論された。 ■第3報告 千葉正展氏(独立行政法人福祉医療機構)「社会福祉法人制度改革の背景と諸問題」 千葉氏の報告では、近時の社会福祉法人制度改革の背景及び内容の概括をし、制度改革で未解決となっている課題の検討が行われた。 まず、制度改革の背景として、次の5 つが挙げられた。①会社法の創設や公益法人制度改革等が進む中で、社会福祉法人の他の法人と比較したガバナンスレベルの相対的低下、②世論などにおける社会福祉法人の内部留保に対する批判、③社会福祉事業から「社会福祉事業と福祉サービス」という新しい公共概念(福祉の範囲の変化)、④公益法人等に対する法人税課税の議論、⑤不適正事案の発生。 そして、「経営組織のガバナンスの強化」、「事業運営の透明性の向上」、「財務規律の強化」、「地域における公益的な取組みを実施する責務」、「行政の関与のあり方」という視点で制度改革が進んでいることが指摘された。 制度改革における課題として、①会計監査人監査の費用対効果、②社会福祉充実残額の算定、③社会福祉充実事業、地域における公益的取組の責務と財源、④法人の経営管理機能(ガバナンス)強化と財源を採り上げて検討が行われた。特に、世論の内部留保批判に対応するためには、社会福祉法人の余裕財産の明確化が必要であり、そのために「社会福祉充実残額」という概念を用いて分析が行われた。 ​ 文責:尾上選哉(大原大学院大学) 関東部会報告 アンカー 1

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