
学会賞・学術奨励賞・学術奨励賞特賞の審査結果
(第11回~第20回)
第20回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告
令和3年9月24日
非営利法人研究学会
審査委員長:堀田和宏
非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第19回学会賞(令和2年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(令和2年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(令和2年度全国大会における報告に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。
1. 学会賞
該当作なし
2. 学術奨励賞
該当作なし
3. 学術奨励賞特賞
該当作なし
第19回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告
令和2年9月26日
非営利法人研究学会
審査委員長:堀田和宏
非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第19回学会賞(令和元年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(令和元年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(令和元年度全国大会における報告に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。
1. 学会賞
該当作なし
2. 学術奨励賞
該当作なし
3. 学術奨励賞特賞
該当作なし
第18回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告
令和元年9月15日
非営利法人研究学会
審査委員長:堀田和宏
非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第18回学会賞(平成30年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(平成30年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(平成30年度全国大会における報告に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。
1. 学会賞
黒木 淳『非営利組織会計の実証分析』(中央経済社、2018年3月刊)
【概要及び受賞理由】
本書は、日本の非営利組織、とりわけ公益社団・財団法人、社会福祉法人および学校法人(私立大学)の自発的な会計ディスクロージャーに着目し、「好業績である非営利組織ほど受益者などの情報利用者に対して自発的に会計ディスクロージャーを行う」というシグナリング仮説を実証分析することを目的とするものである。
これまで日本では非営利組織を対象とした実証的な会計研究は非常に少なく、本書はその萌芽的研究としてそれだけでも理論研究の発展に貢献しているが、これまで規範的研究が経験的あるいは直観的に認識してきた事実を、アーカイバル・データを手入力などにより地道に集計し、また海外の実証研究の丹念なサーベイに基づいて、その方法や仮説を日本の非営利組織に応用し、検証している点は、これまで類例がほとんどなかっただけに、その独創性を高く評価しうるところである。
特に本書においては、情報の経済学に依拠したシグナリングの観点に基づいて、非営利組織の会計ディスクロージャーを分析する際の視座や問題意識が極めて明確であり、一つひとつの議論を丁寧に積み上げていく本書の構成とともに、他の理論的アプローチも把握したうえで、これを決して否定していない点も高評価を得た。
著者は、「好業績」(または低業績)に係る財務指標を「効率性」と「財務健全性」の二つの概念に求めている。すなわち、公益法人においては、理事者が少なく、寄附者に依存しているほど公益目的事業比率が高められること、また社会福祉法人においては、人的支出と内部留保の関連性に着目し、内部留保が過大となる要因について、私立大学では、帰属収支差額が将来の教育研究経費の削減に最も予測能力を有すること、などを分析している。本書の発見事項は、「好業績」を示す財務指標が非営利組織の経営者や受益者などの利害関係者にとって有用であり、加えて当該財務指標の活用の仕方にも一定の示唆を与える結論を得ている。
他方で、本書の課題を指摘するならば、本書においてはシグナリング仮説が支持されており、当該仮説検証の結果はロバスト・チェックにより頑健であることが主張されているが、萌芽的研究であるがゆえに、例えば、サンプル選択に係る各法人の範囲、「効率性」や「財務健全性」が非営利組織の「好業績」の指標となりうるのか、などについては審査委員会においても議論になった。また、「自発的開示」と「好業績」のリンケージに他の変数を介在させた場合などの検証や、非営利組織の会計基準の統一をめぐる議論などの具体的課題に対する政策的なインプリケーションについては若干の物足りなさもある。しかし、著者自身、今後の課題を明確に自覚しており、本書は一つの通過点であることが示唆されている。実証研究に見落とされがちな日本の非営利法人制度や会計基準についても要領よく説明されており、著者の旺盛な研究意欲に支えられて今後の研究の発展も大いに期待されるところである。
したがって、本書は、総合的に極めてすぐれた非営利組織会計の研究書であり、審査委員会は、本書が「学会賞」を受賞するに値するものと決定した。
2. 学術奨励賞
該当作なし
3. 学術奨励賞特賞
該当作なし
第17回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告
平成30年9月8日
非営利法人研究学会
審査委員長:堀田和宏
非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第17回学会賞(平成29年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(平成29年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(平成29年度全国大会における報告
に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。
1. 学会賞
該当作なし
2. 学術奨励賞
該当作なし
3. 学術奨励賞特賞
該当作なし
第16回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告
平成29年9月5日
非営利法人研究学会
審査委員長:堀田和宏
非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第16回学会賞(平成28年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(平成28年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(平成28年度全国大会における報告
に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。
1. 学会賞
該当作なし
2. 学術奨励賞
該当作なし
3. 学術奨励賞特賞
該当作なし
第15回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告
平成28年9月17日
非営利法人研究学会
審査委員長:堀田和宏
非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第15回学会賞(平成27年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(平成27年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(平成27年度全国大会における報告
に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。
1. 学会賞
李 庸吉(龍谷大学)『医療紛争の法的分析と解決システム―韓国法からの示唆―』(晃洋書房)
【概要及び受賞理由】
本書は、医療紛争の「予防」と「解決」をキーワードに医療における民事責任とそれに伴う賠償システムに関連する日韓比較研究の成果をまとめたものである。特に医師の説明義務、過失と因果関係の証明責任、紛争解決プロセスの中での鑑定のあり方と医療ADR(Alternative Dispute Resolution)における被害救済に焦点を当て、その制度的枠組みにつき韓国法と日本法を比較しつつ論じている。
具体的には、日韓における医師の説明義務法理の生成と確立過程並びにその適用状況をフォローし、紛争解決の場面においてどのように機能的役割を果たしているか、またアドホックな紛争解決に尽きず、そのフィードバックによる反射的効果はどうなのかを確認し、説明義務では解決できな
い部分を、裁判外紛争解決システムでは、どのように対処が可能なのかも併せて考察すべく、これらを共通の枠組みで検討することを試みているところに斬新性がある。
まず第1章での予備的考察において、説明義務をこのような視点から捉えることの意味を明らかにし、次いで、検討の素材を韓国医事法と紛争解決システムに求めた関係で、まず社会状況の把握とその違いによって考慮すべき要素を確認するため、第2章において歴史的視点も交えて韓国医療並びに韓国における医療紛争の実情を紹介し、その動向と問題状況を整理し検討を行っている。第3章では、日韓における医師の説明義務法理形成過程をフォローしながら、各々の特徴並びに共通項を炙り出せるよう努め、説明義務の規範構造とそこから導き出せる機能の新たな局面を提示し、第4章では、韓国においてもホットイシューであり、かつ、新たな医療紛争調停法制定論議において紛糾を極めた過失と損害との間の因果関係の証明問題につき、韓国の判例・学説を紹介し、その特徴的なロジックにつき詳細な分析と日本との比較を交えた考察を試みている。さらに第5 章では、韓国における旧来の制度と対比しつつ2011年3 月、23年間の紆余曲折の末、ようやく日の目を見ることになったとされる新たな紛争解決制度の導入過程と新法施行後の歩みをフォローしている。最後に第6章ではこれらの整理と帰結から医療紛争が他の一般事件と違うところは、医学・医療専門家の行為の中で発生する関係上、一般責任法上の法理による解決は自ずと限界がある点、そこには情報の非対称性による格差といった構造上の問題が横たわっており、説明義務はこれをある程度解消する機能を有するのは間違いないが、場合によっては、裁判手続きによるよりも第三者機関によるADRによる方が実効的な効果が得られることが期待できる点を説く。その場合、専門性と公正性、さらに独立性(第三者性)がいかに担保されるかがポイントで、その点、韓国は、日本にはまだないスタイルの制度を出帆させたが、日本からすれば立法の研究としての意義は大きく、今後を展望する上でも互いのフィードバックが継続されることが望まれるとする。
このようにわが国より一歩先んじた韓国の取組みを含む著者の研究は、日本の政策にとっても大いに参考となり、社会状況の過去と現在、理論と実践、そして日本と韓国を架橋し、国を問わず直面する医療紛争の解決と予防への取組みにつき新たな視点を提示するものであり、本書は日韓双方
の理論と実務に大いに寄与するものと思われ、今後さらなる発展が期待される。
2. 学術奨励賞
佐藤 恵(千葉経済大学)「非営利組織会計の純資産区分に関する試論―財務的弾力性の観点から―」(『非営利法人研究学会誌』Vol.18収録)
【概要及び受賞理由】
平成28年度の「学術奨励賞」は、佐藤恵氏の「非営利組織会計の純資産区分に関する試論―財務的弾力性の観点から―」を選考対象とした。本論文は、『非営利法人研究学会誌』Vol.18において厳格なレフェリー制度を経て掲載されている。
本論文は、非営利組織の会計基準の統一化に向けた主要論点のひとつとして、これまで議論されてきた純資産の区分に関する問題に主題を限定し、特に財務的弾力性の概念に着目している。先行研究ならびに純資産の区分に係る制度の到達点と最近の動向を踏まえてこれを丁寧に考察しており、実証的・経験的な内容ではなく、あくまでも思考実験としながら、ストック情報の在り方を見据えた表示区分に係る一定の結論を導き出している点は高く評価することができる。すなわち、本論文は、「純資産情報のみならず資産情報を参照することで一時拘束区分と自己拘束区分を画すること」、および「純資産の区分と資産の区分を対応させることで、永久拘束・一時拘束・自己拘束・非拘束が表示でき、さらに自己拘束を二区分することで、財務的弾力性の範囲と程度をより忠実に反映する」と論じている。
法人形態ごとに異なる資産の区分に係る当該表示方法の適用可能性(許容範囲)や、当該研究のひとつの展開としてフロー情報を用いた財務的弾力性の評価等、今後の検討課題を著者は明示しているが、本論文では非営利組織会計が財務的弾力性の適正表示を第一義とすることを前提として、
文献研究に基づいて論理的に議論が積み重ねられており、また純資産と資産情報を連係して捉えた純資産の区分に係る結論についても一貫した議論の下で有益な示唆を与えている。従前からある論点に対してストック情報にのみ焦点を当てたものではあるが、先行研究を財務的弾力性の観点から
改めて捉え直し、議論を整理している点は、研究に対する姿勢だけでなく、本学会において共有されるべき研究成果として評価しうるところである。
本論文は、上述のように非営利組織会計の第一義の目的が財務的弾力性の適正表示にあるとの仮定に基づいており、当該仮定の妥当性自体の検討がなされておらず、読者に委ねられている等の問題も指摘しうるところだが、非営利法人研究学会学会誌に掲載するにあたり、複数のレフェリーの
意見を真摯に受け止め、これを丁寧に反映させた結果、論旨や表現がより明快になった過程を承知していることも申し添えたい。
3. 学術奨励賞特賞
該当作なし
第14回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告
平成27年9月16日
非営利法人研究学会
審査委員長:堀田和宏
非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第14回学会賞(平成26年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(平成26年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(平成26年度全国大会における報告
に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。
1. 学会賞
該当作なし
2. 学術奨励賞
該当作なし
3. 学術奨励賞特賞
該当作なし
第13回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告
平成26年9月10日
非営利法人研究学会
審査委員長:堀田和宏
非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第13回学会賞(平成25年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(平成25年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(平成25年度全国大会における報告
に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。
1. 学会賞
該当作なし
2. 学術奨励賞
後藤 祐一『戦略的協働の経営』(白桃書房、2013年4月刊)
【概要及び受賞理】
平成25年度「学術奨励賞」は、後藤祐一氏の著書『戦略的協働の経営』が選考されました。本書は、2013年4月に白桃書房から刊行されています。この著書の第3章の事例研究は、『非営利法人研究学会誌』第11巻に収録されている同氏の単著論文「戦略的協働を通じた車粉問題の解決プロセス」にもとづいて執筆されています。
本書は、NPO、政府、企業という異なるセクターに属する3つの主体の協働によって、困難な社会的課題の解決に成功した2つの先駆的事例を詳細に分析することによって、戦略的協働が形成・実現・展開されるプロセスの解明を試みたものです。
以下、本書の内容を簡単に紹介します。序章では、本研究の背景と目的が説明されています。
第1章では、はじめに、戦略的協働とは、「異なるセクターに属する主体が協調し、個々の主体だけでは解決が困難な社会的課題の解決に向けて活動するプロセス」であると定義されています。次に、先行研究の検討が行われ、戦略的協働を分析するための枠組である「協働の窓モデル」が説
明されています。「協働の窓モデル」は、著者が参加した非営利法人研究学会・東日本研究部会によって提示された分析モデルです。このモデルは、協働が形成・実現・展開されていくプロセスを経時的・動態的に記述・分析することを可能とする概念枠組です。
この「協働の窓モデル」にもとづき、第2章では、ツール・ド・北海道における戦略的協働の事例研究が、第3章では、車粉問題の解決における戦略的協働の事例研究がそれぞれ試みられています。具体的には、まず、2つの事例が4期に区分され、それぞれの事例が記述されています。次に、年代記分析が適用され、2つの戦略的協働が「なぜ」また「どのように」して形成・実現・展開されたかが分析されています。
第4章では、第2章で行われたツール・ド・北海道における戦略的協働の事例研究の分析結果と、第3章で行われた車粉問題の解決における戦略的協働の事例研究の分析結果にもとづいて、2つの戦略的協働の共通点が明らかにされ、10の仮説命題が導出されています。
終章では、本研究の要約、研究の意義および今後の課題が示されています。
本研究の第1に評価すべき点は、戦略的協働という複雑な社会的現象が「なぜ」また「どのように」して形成・実現・展開されるのかを実証的に解明しようとした点です。近年、「協働」を分析対象とする研究が少しずつ試みられるようになってきました。
しかし、既存の研究は、事例や制度を単に紹介したものがほとんどであり、戦略的協働という現象の実態は必ずしも十分に解明されてきませんでした。
第2に評価すべき点は、「協働の窓モデル」が、戦略的協働の一連のプロセスを分析する上で極めて有用な枠組であることを示した点です。本研究では、「協働の窓モデル」にもとづく2つの事例研究を試みることにより、戦略的協働に関する10の仮説命題が導出されています。
第3に評価すべき点は、第2の点とも関連しますが、社会的課題の解決を目的とした戦略的協働を行う際の具体的指針を提示している点です。すなわち、本研究によって導出された戦略的協働の実現可能性に関する8つの仮説命題は、それぞれ実践的意義を有しています。
しかし、本研究にも問題点がない訳ではありません。
第1に、本研究で分析された2つの事例の記述は、コンパクトに要領よくまとめられてはいますが、他方で2事例を併せても約50ページに過ぎません。事実に関するもう少し詳細かつ具体的な情報が提供されていれば、内容により深みがでたのではなかろうかという点です。
第2に、これは少数事例を対象とする定性的研究の宿命ではありますが、本研究から導出された仮説命題は、2つの事例研究から導出されたものに過ぎず、命題の一般化可能性については弱みが残る点です。したがって今後、本書で提示されている仮説的命題は、より多くの戦略的協働を対象
とした事例研究、あるいは定量的な研究を通じて検証される必要があるでしょう。
以上のように、本書は、著者自らが参加した共同研究の成果にもとづいて、著者自らが選択した2つの戦略的協働の形成・実現・展開の一連のプロセスを実証的に解明した先駆的で手堅い研究成果であるといえます。
したがって、審査委員会は、全員一致で、本書が「学術奨励賞」を受賞するに値するものと決定いたしました。
3. 学術奨励賞特賞
該当作なし
第12回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告
平成25年9月21日
非営利法人研究学会
審査委員長:堀田和宏
非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第12回学会賞(平成24年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(平成24年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(平成24年度全国大会における報告に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果、今次は学会賞、学術奨励賞特賞に該当する論文はなく、下記の論文を学術奨励賞に値するものと認め選定しましたので、ここに報告いたします。
1. 学会賞
該当作なし
2. 学術奨励賞
深山誠也「社会福祉法人の競争戦略と組織―高齢者介護組織を対象とする実証研究―」(平成24年度非営利法人研究学会全国大会自由論題報告、於:北星学園大学、『非営利法人研究学会誌』Vol.15所収)
【受賞理由】
【論文の概要及び授賞理由】
平成25年度「学術奨励賞」は、深山誠也氏の論文「社会福祉法人の競争戦略と組織―高齢者介護組織を対象とする実証研究―」が選考されました。なお、本論文は、本年8月に刊行されました『非営利法人研究学会誌』第15巻に収録されています。
本論文は、北海道において高齢者介護事業を展開している全部で394の社会福祉法人のうちの298法人から得られた質問票調査データにもとづいて、社会福祉法人の競争戦略と組織特性の相互関係を実証的に解明した研究です。
本論文の内容を簡単に紹介します。
Ⅰ 節において、本論文の目的が、社会福祉法人の環境-競争戦略-組織特性-組織成果間の相互関係の解明であることを述べています。具体的には、⑴社会福祉法人はいかなる競争戦略を採用しているのか、⑵競争戦略は固有の組織特性を備えているのか、⑶競争戦略と組織特性が適合的である場合、組織成果は高いのか、の3点を明らかにすることである。
Ⅱ節において、この分野の先行研究を検討し、それらの問題点を明らかにしています。
Ⅲ節において、競争戦略と組織特性の相互関係を実証的に解明するための準備として、まず検証されるべき3つの仮説を提示するとともに、これら3つの仮説間の関係を示す理論的枠組を明らかにしています。さらに、仮説を構成する概念の測定方法を定義しています。
Ⅳ節において、①調査対象と②調査方法が示されています。
Ⅴ節において、調査結果の詳細な定量的分析が試みられています。
最後のⅥ節において、本研究の意義と今後の課題が明らかにされています。
本研究の第1に評価すべき点は、従来、経営学ではほとんど注目されてこなかった社会福祉法人を分析対象として取りあげていることです。高齢者介護の進展や介護保険制度の導入等によって、高齢者介護事業を展開している社会福祉法人の効果的・効率的経営は、益々求められています。したがって、社会福祉法人の経営の実態の解明は、極めて重要な課題であるといえます。
第2に評価すべき点は、第1の点とも関連しますが、高齢者介護事業を展開している社会福祉法人の経営全体の包括的な分析を試みていることです。この分野の数少ない先行研究は、もっぱら介護老人福祉施設の運営を分析するものがほとんどであり、その分析項目は、施設長のリーダーシップ等に限定されていました。
第3に評価すべき点は、この社会福祉法人の経営全体の包括的な実証分析の結果、次の4点を明らかにしていることです。⑴社会福祉法人においては、有効な3つの競争戦略(コスト志向戦略、差別化志向戦略、差別化・コスト併用戦略)が存在する。⑵環境不確実性の認知が異なる場合、採用される競争戦略が異なる。⑶競争戦略が異なる場合、採用される組織特性は異なる。⑷競争戦略
が異なる場合、有効な組織特性の組み合わせは異なる。
しかし、本論文にも問題点がない訳ではありません。これら環境-競争戦略-組織特性-組織成果間の相互関係が、「なぜ」「どのよう」にして形成されたのか、すなわち、競争戦略と組織特性の形成プロセスについては、本論文では必ずしも解明されていません。この点で、本研究は静態的な分析に止まっています。研究が静態的分析に止まっている点に関しては、筆者も認識しており、今後の研究課題として、競争戦略と組織特性の動態的分析の必要性があげられています。
以上のように、本論文は、高齢者介護事業を展開している社会福祉法人の経営の実態を組織論の研究方法にもとづいて解明した非常に手堅い研究成果であるといえます。
したがって、審査委員会は、全員一致で、本論文が「学術奨励賞」を受賞するに値するものと決定いたしました。
3. 学術奨励賞特賞
該当作なし
第11回学会賞・学術奨励賞の審査結果に関する報告
平成24年8月25日
非営利法人研究学会
審査委員長:堀田和宏
非営利法人研究学会学会賞・学術奨励賞審査委員会は、第11回学会賞(平成23年度全国大会の報告に基づく論文及び刊行著書)、学術奨励賞(平成23年度全国大会における報告に基づく大学院生並びに若手研究者等の論文及び刊行著書)及び学術奨励賞特賞(平成23年度全国大会における報告
に基づく実務者の論文及び刊行著書)の候補作を慎重に選考審議した結果についてここに報告いたします。
1. 学会賞
該当作なし
2. 学術奨励賞
該当作なし
3. 学術奨励賞特賞
該当作なし
