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中村学園大学教授 日野修造
キーワード:
FASB JICPA SDGs SFAC第4号 SFAC第6号 概念・モデル基準 学校法人会計基準 サービス提供可能資源正味残高増減額 社会・贈与資本 活動計算書 資本と収益の区別 収支差額 純利益の測定
要 旨:
資本と収益の区別問題は、営利企業の会計で議論されてきた。本稿は、この議論を非営利 組織会計の分野に適用し検討している。そしてその結果を、企業会計に振り戻して検討し、 脱炭素化社会の実現を目指す新時代の企業会計について考察している。
統一論題報告では、非営利組織会計においても資本と収益の区別と純利益(収支差額)の 測定が重要であることを明らかにした。そして、非営利組織会計のあるべき純資産の区分に ついて提言を行った。本稿では、統一論題報告に更に新たな論点を付加し、企業会計にまで 発展させた検討を行っている。
構 成:
I はじめに
II FASBの純資産概念とアンソニーの提言
III 非営利組織の純利益(収支差額)と純資産の区分
IV 企業会計への展開
Ⅴ おわりに
Abstract
The issue of distinguishing between capital and income has been discussed in corporate accounting. This paper applies this discussion to the field of not-for-profit accounting. The results are then reviewed by looking back on corporate accounting, and the new era of corporate accounting aiming for the realization of a decarbonized society is considered. The report on the unified thesis clarified the importance of distinguishing between capital and income and measuring net income(balance)even in not-for-profit accounting. The authors then offered a proposal concerning the classification of net assets in not-for-profit accounting. In this paper, we considered adding new issues to the unified thesis report and developing it into corporate accounting.
Ⅰ はじめに
2021年9月に非営利法人研究学会第25回全国大会が実施され、統一論題は「非営利法人の理念と制度」であった。本稿は、同大会統一論題 報告を基に加筆・修正を行ったものである。報告は、主にそれまでの研究を踏まえて、特に日野[2021b]と日野[2022a](掲載決定は2021年8月)に基づいて問題提起を行った。
本稿は、第1章から第3章で構成されている。 そのうちの第1章および第2章が学会報告に基づく内容である。続く第3章は、非営利組織会計が中心であった大会での議論を、企業会計にまで広げて検討している。報告では、アンソニー の提言を受けて非営利組織会計においても資本と収益の区別と純利益(収支差額)の測定が重要であることを明らかにした。そして、非営利 組織会計のあるべき純資産の区分について私見を述べた。また、この純資産概念は企業会計に まで拡張させる可能性を秘めていると論じた。ただし報告は、企業会計への展開可能性を示唆したところまでであった。したがって、ここに第3章を新たに加筆し、企業会計まで発展させて検討を行っている。
資本と収益の区別問題は、営利企業の会計で議論されてきた。本稿ではこの議論を非営利組織会計の分野に適用し検討する。そしてその結果を、企業会計に振り戻して検討し、脱炭素化社会の実現を目指す新時代の企業会計について考察するものである。
Ⅱ FASBの純資産概念とアンソニー の提言
本章では、まず第1節で非営利組織会計において主流となっている純資産概念について、特に純資産の区分に焦点を当てて検討を行う。次いで第2節で、その主流となっている概念に対して批判的な見解を示しているロバート N.アンソニー(以下、アンソニーと略称する)の批判と提言について検討を行う。
1 純資産概念
⑴ アンソニー報告書とFASB概念の関係性
アメリカの財務会計基準審議会(以下、FASB と略称する)は、非営利組織会計概念フレームワーク作成に先立ち、ハーバード・ビジネス・ スクールのアンソニー教授に非営利組織会計の現状調査を依頼している。そして、アンソニー は、その調査結果を報告書としてまとめている (Anthony[1978]:以下、アンソニー報告書と略称する)。 この報告書を基点としてFASBは非営利組織会計概念フレームワークを作成することになる。アンソニー報告書の公表が1978年で、 FASBが公表した最初の非営利組織会計概念フレームワークが2年後の1980年である。それは、財務会計概念フレームワーク第4号『非営利組織の財務報告の基本目的』(以下、SFAC第4号と略称する)として公表された。そしてその5年後の1985年に、財務会計概念フレームワーク 第6号『財務諸表の構成要素』(以下、SFAC第 6号と略称する)が公表された。これは同じく 財務諸表の構成要素について記されていた第3号が、営利企業のみを対象としたものであったため、それを非営利組織まで拡張したステートメントである。
このようにアメリカにおける非営利組織会計概念フレームワーク作成プロジェクトは、アンソニー報告書(1978年)を基点として、SFAC 第4号(1980年)そしてSFAC第6号へと継続した。
⑵ FASB概念書・基準書の区分
① FASB旧基準の純資産
上述のような経緯を辿ってFASBは非営利組織の純資産を「非拘束純資産」、「一時拘束純資産」および「永久拘束純資産」に区分する会計概念を導出している。非拘束純資産はサービス提供のためであれば組織体の自由意思で消費・ 支出できる資源である。一時拘束純資産とは、 拘束が一時的なもので、建物や設備を取得するという使途の拘束がある寄付金や、特定のプロ ジェクトに支出が限定された寄付金などである。そして、永久拘束純資産とは永久に維持すべき資産に相当するもので、例えば組織設立の際に、土地や設備等に投下され基盤となった投入額や、博物館などに寄付された美術品などの芸術作品などである。
② FASB現行基準の純資産
上述のように当初は3区分であった純資産 を、FASBは2016年8月に「拘束がない純資産」 と「拘束がある純資産」の2区分に改訂している。拘束がない純資産は非拘束純資産と同じであるが、拘束がある純資産は一時拘束と永久拘束とが一つにまとめられている。永久と一時の区別が難しく、複雑であることなどが理由であった。
このFASBの改定純資産は、我が国の公益法 人会計基準の純資産区分とほぼ同じになっている。実のところ公益法人会計基準も中間報告の段階では、FASBの旧基準と同じで、非拘束・ 一時拘束・永久拘束の3区分とする案が示されていた。
③ JICPA概念・モデル基準の純資産
次に我が国に目を移す。日本公認会計士協会 (以下、JICPAと略称する)は2019年7月に『非営利組織の財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~』およびその附属資料1・2(JICPA[2019a-c]:以下、概念・モデ ル基準と略称する)を公表している。JICPAの概念・モデル基準では、純資産を「基盤純資産」、 「使途拘束純資産」および「非拘束純資産」に 区分している。FASBの旧基準で示されていた区分に近い形式である。
いずれにしても、非営利組織会計における純資産の区分は、資源提供者の提供資源に対する使途の拘束に従って区分することが有用であるとする考えが主流であると考えられる。
2 アンソニー概念
⑴ FASB分類と慣習的分類
アンソニーはFASB分類について、「FASBの分類は営業上の流入と資本流入という慣習的分類と一致するものではなく、FASB分類は慣習 的分類と調和させることはできない」(Anthony [1989], p.55)と述べている。そして、アンソニー は、「FASB『類型』と慣習的な『営業』と『資本』 の分類との間に1項目に対する1項目の一致があるとしたら、実際に有用であろう」(Anthony [1989], p.56)と述べている。
特にアンソニーは、一時拘束純資産の問題点を指摘している。非拘束純資産は拘束がないため、サービスの提供において、自由に消費・支出できる。そして、永久拘束純資産はそのような消費や支出ができない。ところが一時拘束純資産には、設備等の取得に限定された寄付と特定のプロジェクトに支出するための寄付が存在することを指摘している。つまり、支出する時点で考えると、前者は資本的支出に該当し、後者は収益的支出に該当するとして、FASBの拘束概念には問題があることをアンソニーは指摘している1)。
⑵ 概念ステートメント第4号と第6号について
さらにアンソニーは、FASBはSFAC第4号 (1980年)で、「財務報告は、活動に関係している資源フローと関係していない資源フローとを区別しなければならない」(FASB [1980], par.49; 平松・広瀬[2002]、p.182)と述べている。またアンソニーは、資源提供者は、「一期間中の組織体の純資源の変動をより完全に理解するために、組織体の基本財産や施設の変動についての情報を必要としている」ことが述べられていたことを指摘している(Anthony [1089], pp.53-54)。
そして、第4号の5年後の1985年に公表された「概念ステートメント第6号では営業に関係する資源フローと関係していない資源フローの区別について何も述べていない」(Anthony [1989], p.54)と指摘している。
この指摘の根底には、非営利組織においても純利益の測定が重要であるというアンソニーの信念がある。アンソニーは「会計の最も重要な業務は純利益を測定し、損益計算書でそれを報告することである」(Anthony [1989], p.30)と述べている。
1978年のアンソニー報告書公表の直後の1980年に公表されたSFAC第4号は、アンソニーの影響を強く受けているが、その5年後の第6号はアンソニーの影響が薄れたと考えられる。それはFASBの概念フレームワークは資産負債アプローチであるが、アンソニーのアプローチは収益費用アプローチであることから、相容れないものがあったからだと推察される。水面下にあった相容れないアプローチの相違が、5年の歳月を経て表面化したと考えられる。
またアンソニーは、基本財産について、「組織体は法的にそのような贈与の元金を営業活動に運用できないが、元金の利息から利益を得ることができる」(Anthony [1989], p.58)と述べている。つまり前者は維持・拘束すべきものであるが、後者はサービスの提供に消費・支出することが可能であるということである。そして、 アンソニーは、FASB概念ではすべての寄付(贈与)が純資産の変動という概念の下で、収益と解釈されてしまうと指摘している。
Ⅲ 非営利組織の純利益(収支差額)と純資産の区分
本章では、まず第1節でアンソニーの提言を受けて、未だ明確にされていない非営利組織の純利益にメスを入れる。非営利組織が多額の純利益(収支差額)を計上すると、サービスの提供を疎かにし、私腹を肥やしていると批判される。果たしてそうであろうか。まずはこの問題について検討を行い、非営利組織が稼得する純利益(収支差額)は、将来のサービス提供可能資源の獲得であることを明らかにする。次いで第2節で、非営利組織会計において資本と収益を区別し、純利益(収支差額)を正しく測定するための会計を開発する糸口が企業会計原則の贈与剰余金にあるとして、黒澤[1950]、高松 [1956b]、山下[1968]といった先人の論考 を辿り検討を行う2)。
1 非営利組織の純利益(サービス提供可能財源)と提供すべき情報
⑴ 資本・収益の区別と維持(拘束)すべき資源・サービス提供可能資源の区別
アンソニーの提言を整理すると、次のようになると考えられる。FASBの非営利組織会計概念は,資本と収益の区別ができていない([Anthony 1989], p.55)。換言すると、資本相当額として維持・拘束すべき純資産と、サービス提供に消費・支出が可能な資産に相当する純資産を峻別すべきという提言だと考えられる。
またアンソニーは、非営利組織も営利企業と同様に純利益は重要であると主張(Anthony [1989], p.48)している。この提言も、企業会計で配当可能利益の計算が重要視されるように、 非営利組織会計においてもサービス提供可能資源正味残高増減額の計算が重要であるとの提言であると考えられる。
⑵ 純利益測定の意義と特徴
日野[2021a]・[2021b]ては、認定NPO法人の純損益(収支差額)について、10年間(2009年度~2018年度)の推移を調査している3)。そこでは、調査したほとんどすべての組織が、純利益と純損失の繰り返しであるという結果か出ている。つまり、赤字を出しても非営利組織が継続できるのは、利益を上げた年度の余剰を赤字年度に支出しているからだと考えられる。そのように考えると非営利組織の純利益とは、サービス提供可能資源正味残高の増減額といえると考えられる4)。
⑶ 純資産の区分と提供すべき情報
純利益(収支差額)、すなわちサービス提供可能資源正味残高増減額をマイナスにならないように確保する根拠を得るために、ここで、非営利組織会計が提供すべき情報について確認をしておく。
非営利組織会計が提供すべき情報は、日野 [2018]・[2021b]などの検討により、アメリカでは①サービス提供継続能力、②財務的弾力性、③受託責任、④財務業績の4項目であることを明らかにしている。また、これら4項目をJICPAの提供すべき情報に照らしてみても、ほとんど同じであることも明らかにしている。
JICPAは、①継続的活動能力、②資源提供目的との整合性、および③組織活動の3つを挙げている。①はサービス提供継続能力に、②は受託責任に、そして③は財務業績に該当すると考えられる。③について補足すると、組織活動は非財務情報として提供される側面があるが、会計として提供する情報という視点で考えると、 それは財務業績になると考えられる。
このように、提供すべき情報は4つの項目になると考えられる5)。
⑷ 純利益測定の意義と特徴
次いで、純利益の獲得、すなわちサービス提供可能資源正味残高の増加がこれら4つの提供情報評価に及ぼす影響について考えてみる6)。 業績評価は、①サービス提供継続能力、②財務的弾力性、③受託責任、および④財務業績の観点から行う。まず純利益の獲得で財務業績を測ると仮定すると、純利益すなわちサービス提供可能資源正味残高増加額を確保すると、それだけ資源が増えるので①サービス提供継続能力 が上昇する。また、この財源には拘束がないので、財務的弾力性も向上する。受託責任とは関係はないが、4つの内の3つの評価と深く関わりを持つことになる。
ここで、課題として純利益の獲得を良しとする判断の根拠を更に検討する必要があると考えられる。また、受託責任評価の問題も残る。まず純利益の獲得、すなわちサービス提供可能資源正味残高が増加した場合については、サービ ス提供資源処分計算書を作成するなどして、将来の利益還元計画を開示すべきことを日野 [2021a]・日野[2021b]第4章などで提案している(次章の図表7を参照)。そこでは蓄えた利益を将来において社会に還元することを約束した財務書類を開示することで、受託責任を果たすことができることを述べている。また日野 [2021a・b]では、獲得した純利益の帰属先についても検討し、それが法的に見て国家や社会 のものであることを明らかにしている。つまり、 稼得した純利益(収支差額)は、国や社会から受託したサービス提供可能な資源であり、国や社会に対する受託責任を有する資源であることを明らかにしている7)。
これまでの検討で明らかになったように、純利益(正確には収支差額の黒字)、すなわちサービス提供可能資源正味残高増減額を計算するためには、資本と収益を区別すべきというアンソニーの提言を、非営利組織会計にも取り入れる必要があると考えられる。また、そもそもアンソニーの会計概念は営利・非営利共通の会計概念である8)。そこで、アンソニーの提言を取り入れ解決するための糸口が、企業会計原則にあ ると考えた。企業会計原則には営利・非営利に 共通する会計志向が存在する。それは贈与剰余金に対する会計志向である。したがって次節で、 企業会計原則で考えられていた贈与剰余金について、検討を行う9)。
2 企業会計原則の贈与剰余金
⑴ 投下資本
かつて企業会計原則が会計の拠り所であった時代に、黒澤教授は、企業の投下資本(黒澤 [1950]、p.730;藤井[2019]、p.274)には、払込資本、評価替剰余金、贈与剰余金の3つがあると述べられていた。しかし、非営利組織には、所有者がいないため払込資本は存在しない。また、非営利組織はサービスを提供する組織であるため、評価替剰余金を認識したとしても,それは実現していないので、サービスの提供に用いることも組織の基盤を支える資源とも考えられない。すると、この中では贈与剰余金(受贈資本)が,非営利組織会計の分野では特に注目される投下資本だと考えられる。
⑵ 持分の本質と主体持分
また、貸借対照表の貸方をすべて持分とするという考え方がある。高松教授は「誰が投資したものであるか,を明らかにするのが『持分』 問題なのである」(高松[1959b]、p.47)と述べられている。そして、「持分のなかには、いかなる利害者集団にも直接にただちに帰属しない部分がある」(高松[1959b]、p.54)と述べられ ている。結果それは、「『企業体持分』あるいは主体持分である」(高松[1959b]、p.54)と指摘されている。 さらに高松教授は、贈与剰余金について「本 来は利害者集団から企業体になされた投資であるが、利害者集団はこの投資に対する請求権を 放棄してしまっているので、すべて企業体に帰属するにいたった部分であるということができる」(高松[1959b]、p.57)と述べられている。そして、企業体持分は「資本取引から生ずる企業体持分と、留保利益からなる企業体持分とに大別することができる」(高松[1959b]、p.54) と指摘されている。 これら企業体持分に関連して、山下教授は「第 三持分として考えることが許される」(山下 [1968]、p.199)と述べられている。山下教授は、 「企業財産に対する伝統的な持分としての債権者持分と株主持分とから明確に区別され,いわゆる債権者持分でもなく、そうかといって株主持分としても認識されず、その中間要因として 企業自体、従業員、国家持分という 「第三持分関係」 の成立が認識される」(山下[1968]、p.199) と述べられている。
これらは非営利組織へ提供される設備等に関する寄付や補助金にも適用できる考えであると思われる。これらの寄付や補助金のほとんどが組織の基盤を支えるためのものである。少なくともサービス提供のために消費・支出すること が予定されていない資源だといえる。これらは企業会計でいえば、資本取引から生じた剰余金と考えられる。
⑶ JICPA概念・モデル基準の純資産概念
そこで、我が国の非営利組織への流入資源について考えてみる。ここでは、JICPAの概念・ モデル基準と公益法人会計基準に記されている流入資源について確認する。まずJICPAから行 う10)。
流入資源には、基盤純資産・使途拘束純資産・ 非拘束純資産を増大させる資源流入がある。基盤純資産には、法令上,純資産の区分保持が定められているものが相当する。そして、使途拘束純資産には、特定目的のための支出が前提である寄付・補助金等で、固定資産の取得に限定されたものなどが、これに相当する。また、特定のサービス提供プログラムに限定されたものもある。前者は、企業会計原則がいう贈与剰余金に相当すると考えられ、後者はサービス提供可能な資源に相当すると考えられる。残る非拘束純資産は使命を果たすために自ら使途を決定できる資源に相当するので、サービス提供可能な資源ということになる。
⑷ 公益法人会計基準の純資産概念
次に公益法人会計基準の流入資源を確認する。固定資産には、基本財産・特定資産があり、 それは、組織の維持・継続の基盤となるもので, 設立時の寄付行為や定款で基本財産と定めた土地・建物とされている。また、特定目的のため の預金・有価証券等が記されている。特定目的とは、建物・土地、あるいは特定のサービス提供プログラムのために使用するという目的である。前者が贈与剰余金相当で、後者がサービス提供可能資源相当ということになる。
このように、非営利組織には企業会計原則において資本相当と考えられる資源の流入と、収益相当と考えられる資源の流入があることが確認できる。
⑸ 非営利組織の流入資源
JICPA概念・モデル基準および公益法人会計基準、いずれも贈与剰余金に相当する資源が流入していることを踏まえての基準設定となっている。ただし、受託責任の観点から、目的と拘束がない贈与に留意する必要があることを踏まえた上での基準設定となっている。
これまでの検討から、非営利組織会計における純資産概念は、図表2に示すようになると考えられる。まず非営利組織の純資産は、「基盤純資産」、「贈与純資産」、「その他の純資産」に区分され、さらに、それぞれの区分ごとに、拘束と非拘束に細区分されると考えられる。このように区分すれば、拘束性による区分を除くと、 企業会計と共通の純資産概念が形成される可能性があると考えられる。次章で、この点について検討を行うことにする。
図表1 非営利組織の業績評価
出典:日野[2021a]図表2より
図表2 非営利組織の純資産の構造
出典:日野[2022]図表5を加筆修正し、筆者作成
Ⅳ 企業会計への展開
本章では、まず第1節で、今世界が脱炭素化社会の実現に向けて動き出している様子を概観する。そして、それに伴って企業目的が変容しつつあることを確認する。次いで第2節で、そのような脱炭素化社会を目指す新時代の会計について考察し、提言を行う。
1 脱炭素化社会と企業目的の変容
⑴ カーボンニュートラルとSDGs
2020年10月、菅義偉首相(当時)は所信表明 演説において「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と宣言した。それは、『2050年カーボンニュートラル』の実現を目指すというものである。続いて、経済産業省(資源エネルギー庁)が、温室効果ガスの排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目標に掲げた。現在、我が国は脱炭素化社会の実現へと舵を取っている。
今なお、コロナの収束は見えてこない中、世界各国は危機を克服するための取り組みを必死で行っている。SDGsもそんな世界の危機克服のための取り組みの1つである。
SDGsとは「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)の略である。2015年9月に国際連合が採択した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で示された目標である。具体的には、「貧困をなくそう」、「すべての人に健康と福祉を」、「住み続けられる町作り」、「景気変動に具体的な対策を」などである11)。 日本政府はこの国連の目標を受けて、2016年5月に「持続可能な国際目標推進本部」を設置した。そして、SDGsへの取り組みの推進を図る政策を採っている。
⑵ 企業目的の変容
SDGs採択の後、2015年12月の国連のパリ会議 (「国連気候変動枠組条約締約国会議・通称COP)で、 気候変動に対するパリ協定が締結された。また、 2019年8月にアメリカの経営者団体ビジネス・ ラウンドテーブル(以下、BRと略称する)が、「企業の目的に関する声明」と題する公開書簡を発表した(https://www.dhbr.net/articles/-/6147)。 BRの声明では、「企業が説明責任を負う相手は、 顧客、従業員、サプライヤー、コミュニティ、 株主の5者であり、株主はその一つにすぎない」 と述べられている12)。
1970年にフリードマンが、『ニューヨーク・ タイムズ』紙で、「企業の社会的責任は利益を増やすことにある」と断言してから約50年、世 界の状況は大きく変化している。BRの声明は、 この世界観に反論しているのである13)。
2 営利・非営利共通概念
⑴ 新たな純資産概念
今日、SDGsやカーボンニュートラルを目指すといった新時代を迎え、資本主義のあり方が問われている。これまで企業会計は、所有者の利益を計算するという会計観(所有主観)に傾注していた感がある。今後は、企業会計の分野においても所有主観ではなく、エンティティ観に基づいた会計観が見直される可能性がある。
利益剰余金を株主だけの請求権とする株主持分に区分するのではなく、新たに会社持分を設定し、内部留保(利益剰余金)をステークホルダーや社会のために活用(佐藤[2014]、小栗[2021]) する仕組みが必要とされる時代が到来していると思えてならない。それは、純資産を①払込資本、②社会・贈与資本、③利益剰余金に区分する新たな会計観である。
前章末で、図表2として純資産の区分を提案した。それは非営利組織会計における純資産の区分は、基盤純資産・贈与純資産・その他の純資産とする提案である。この区分案を企業会計に置き換えると、図表3に示すように、それぞれ資本金(払込資本)・社会・贈与資本・その他の純資産となる。この内の社会・贈与資本とその他の純資産が主体持分14)(会社持分)となる。 主体持分とは、株主とは切り離して、企業が自らの意思でステークホルダーや社会のために活用できる持分である。したがって、これらの資源の用途については、国や社会に対して受託責任を果たす義務を、営利・非営利組織は有することになる。
図表3 非営利組織会計の純資産と企業会計の純資産対応表
⑵ 非営利組織の社会還元計画
前述のように日野[2021b]では、非営利組織の活動計算書末尾で社会還元計画を追記する提案を行っている(日野[2021b]、p.206)。図表4の通りである。
図表4では、非営利組織の活動計算書で、営業活動と営業外活動に区別した損益計算が実行され、前者の非拘束列で計算された純資産の変動額50万円のうちの45万円に拘束を課した様子が示されている。そして、そこで修正されたボトムラインの金額が、貸借対照表の各純資産区分へと転記される構造が示されている。
この社会還元計画は、企業のSDGsやカーボンニュートラル実現への取り組みとして計画することも可能であると考えられる。図表4の財務諸表を企業会計まで拡張させることによって、脱炭素化社会を目指す新時代の企業会計制度の構築が可能となると考えられる。この点については第4項で検討するとして、次項で学校法人会計について見ておきたい。学校法人会計にも同様の手掛かりを見出することができる。
図表4 社会還元計画を加味した修正活動計算書
出典:日野[2021b]、p.206より
3 学校法人会計基準からの示唆
⑴ 学校法人会計における基本金組入
学校法人会計において活動計算書(損益計算書)は図表5に示すように、教育活動・教育外活動・特別活動に区分して、それぞれ収支差額が計算される。そして、基本金組入前収支差額が明らかにされる。さらに、この基本金組入前収支差額から各基本金へと組入が行われる(学校法人会計基準第五号様式)。
また、ボトムラインの当期収支差額は、貸借対照表の純資産の部における翌年度繰越収支差額へ振り替えられる。これは企業会計において、 損益計算書で算出された当期純利益が貸借対照表の繰越利益剰余金へ振り替えられるのと同じ計算構造である。「利益」と「収支差額」と呼称は異なるが、サービス提供可能な資源という意味では同じである。
このように学校法人会計では、将来において社会に還元するための資源として、各基本金が確保されていると解釈できる。
図表5 学校法人会計基準の収支計算
出所:学校法人会計基準 第五号様式より筆者作成
⑵ 貸借対照表との関係性
このように、事業活動収支計算書で示された基本金組入額・取崩額は、貸借借対照表の純資産の該当する基本金に加減される。そこで、注目していただきたいのが、借方側に例示している「第2号基本金引当特定資産」16)である。貸方側と借方側との紐付けが行われている。
学校法人会計基準では、基本金組入額と特定資産の紐付けがある。この問題についてJICPAは、「本検討では、情報利用者のニーズを満たす観点から重要な情報に限定して情報提供することに主眼を置くため、純資産の拘束別区分表 示と拘束の対象となる資産との紐付けは求めないと結論付けた」(JICPA [2019a], p.21)と述べ ている。しかし、学校法人会計は、自らが基本金として拘束しているため、受託責任・社会的責任から考えると、組み入れた基本金と特定資産の紐付けは必要であると考えられる。学校法人には、これらの特定資産を管理・運用する受託責任・社会的責任がある。その責任を、借方側で見える形で開示することに大きな意義があると考えられる。
これらの各基本金を筆者提案の純資産区分に対応させると、図表7のようになると考えられる。
図表6 学校法人会計基準の貸借対照表
図表7 純資産・基本金対応表
出典:日野[2022b]図表7より
4 企業会計への展開
第2・3項で検討した会計処理や財務報告は、非営利組織が獲得した収支差額(サービス提供可能資源正味残高増加額)を、将来のサービス提供可能な資源として、組織自らが拘束し、その資源を将来社会に還元する会計だといえる。その仕組みは、収支差額を活動計算書(収支計算書) で計算・開示し、その残高を目的に応じて貸借対照表の純資産に加減する。そして、貸借対照表の借方では目的に応じて特定資産項目を設けて開示するという仕組みである。
損益計算書で計算された税引前当期利益から、法人税が控除される前に、社会・贈与資本 組入として、環境対策のための資源が控除される。そしてそれは、貸借対照表の社会・贈与資本に加えられる。さらに貸借対照表の借方側では、「地域・環境資産」17)などの名称で、目的に応じて、他の資産とは区別して開示する。
我が国が2050年までにカーボンニュートラルを実現するためには、それなりの財源措置と企業意識の変革が必要である。そのための方策として、図表8では、税引前当期純利益から社会・ 贈与資本組入額を控除した残額を課税所得として法人税を課すようにしている。こうすることにより、企業努力を誘発し、脱炭素化社会へ向けた企業の取り組みをへと向かわせることが期待できると考えられる。
そして、組み入れられた資源は、貸借対照表上で社会・贈与資本として開示され、同時に借方側で「地域・環境資産」などの名称を用いて開示される。小栗[2021]では、脱炭素化社会を目指すこれからの会計はステークホルダーのための会計を志向する必要があるとして、前述のように、利益剰余金を株主だけに請求権を認める株主持分に区分するのではなく、新たに会社持分を設置し、環境対策を講じる時代に来ていることが述べられている。また、小栗[2021] では、そのための基盤となる資産を貸借対照表上で表示する必要があるとして、「地域・環境資産」などの名称で、地域社会や環境保全のための投資(設備投資等)を計上することが提案されている(小栗[2021]、p.21)。
ただし、このような計算構造や財務報告を実現させるためには、法制度や会計制度の変革を伴うなど障壁は多いと考えられる。また、社会・ 贈与資本組入が利益操作や脱税などに利用されない仕組みも構築しなければならないであろう。さらには、「地域・環境資産」組入額に一定の制限を課すことも必要であろう。例えば、 「税引前当期純利益のX%を超えない額とする」 などの措置が考えられる18)。
図表8 新時代の会計処理・財務諸表
出所:筆者作成
Ⅴ おわりに
今、SDGsやカーボンニュートラルといった 新時代の資本主義のあり方が問われている。これまで企業会計は、所有者の利益を計算するという会計観(所有主観)に傾注していた感がある。 今後は、企業会計の分野においても、エンティティ観に基づいた会計観が見直される可能性がある。その際にもし、本稿で検討したような新しい記録と計算構造に基づく財務報告手法が受け入れられたとすれば、営利・非営利共通の会計概念や財務報告手法の開発が可能となるであ ろう。
具体的には、非営利組織会計における純資産 を「基盤純資産」、「贈与純資産」および「その他の純資産」とすることが受け入れられ、かつ、 企業会計をも取り込むためには、基盤純資産が 「払込資本」、贈与純資産が「社会・贈与資本」、 そして、その他の純資産が「利益剰余金を含む その他の純資産」へと転換することが受け入れられる必要がある。また、「贈与・社会資本組入」 と「地域・環境資産」などの計上も受け入れられなければならい。そして、法制度・会計制度 の見直しを行うことになるであろう。本稿では、 これら障壁を取り除くための検討までには至っていない。これらは、今後の課題である。
[注]
1)本項で述べているアンソニーの主張や提言は、日野[2016]第2章・日野[2019]・日野[2021b]第5章などで詳細に検討している。
2)企業会計原則の贈与剰余金については、日野 [2022a]でより詳細に検討を行っているので、 参照していただきたい。
3)日野[2021a]・日野[2021b]第4章で検討を行っている。データはまず、福岡市が管轄する認定NPO法人の中で、認定が最も古いものから50の組織を取り上げた。そして、そ の中から更に単純無作為に20の組織を抽出し、最大の純利益相当額と、最大の純損失相当額との差額を計算した。そして、その差額を降順にソートし、中間層の5団体をグラフ化している。規模が異なるので、20団体すべてを一つの折れ線グラフで示すことは出来ないためである。これは20団体のどの層で抽出しても、ほぼ同じ形状を示す。つまり、収支差額のプラスとマイナスを繰り返す折れ線グラフとなっている。
4)解釈など詳細については、日野[2021a]・日野[2021b]第4章を参照していただきたい。
5)非営利組織会計が提供すべき情報については 日野[2018]・日野[2021b]で詳細に検討を行っているので、参照していただきたい。
6)非営利組織会計における利益測定の意義については、日野[2018]・日野[2021b]で詳細に検討を行っているので、参照していただ きたい。
7)法人が解散した場合の財産の帰属先について検討を行った。根拠法として特定非営利活動促進法の第32条、一般社団法人及び一般財団 法人に関する法律の第139条、医療法人法第 56条を確認した。いずれも解散した場合の財産は、国又は地方公共団体、あるいは他の非 営利法人に帰属するようになっている。したがって、非営利組織の財産は国や社会のもの であると結論づけた。
8)アンソニー概念が営利非営利に共通する概念であることについては、日野[2021b]第3章を参照していただきたい。
9)第2節での検討は、日野[2022a]第4節での検討に基づくものである。日野[2022a] では更に詳細なる検討を行っているので、参照していただきたい。
10)同様の検討は日野[2022]では、より詳細に検討を行っているので、参照していただきたい。
11)SDGsについては、日野[2021a]、pp.1-2において、我が国の取り組みも含めて述べているので、参照していただきたい。
12)「企業の目的に関する声明」 https://www.businessroundtable.org/
business-roundtable-redefines-the-purpose-ofa-corporation-to-promote-an-economy-thatserves-all-americans
13)Business Roundtable[2019]Business Roundtable Redefines the Purpose of a Corporation to Promote ‘An Economy That Serves All Americans’
business-roundtable-redefines-the-purpose-of-acorporation-to-promote-an-economy-that-serves-all-americans)
14)主体持分とは、アンソニー会計概念(Anthony [1984])で述べられているもので、株主持分が株主に帰属するように、主体持分は企業または組織それ自体に帰属するというものである。
15)第1号基本金……組織活動の基盤となる資源
・設立当初に取得した固定資産の額
・新たな学校の設置、若しくは学校規模の拡大
・教育の充実向上のために取得した固定資産の額
第2号基本金……将来取得する固定資産に備える資源
・新たな学校の設置資金として充当
・学校規模の拡大・教育の充実向上のために将来取得する固定資産への充当額
第3号基本金……基金に相当する資源
・基金として継続的に保持し、かつ、運用する金銭その他の資産の額
第4号基本金……恒常的に保持すべき資源
・経営を継続するために日常的に必要な支払い準備資金の額(文部科学大臣の定め) (学校法人会計基準第30条第1号~4号より)
16)特定資産については「第〇号基本金引当特定資産」、「〇〇引当特定資産」として、それぞれの目的に応じて、計上されている。
17)「地域・環境資産」とは、小栗[2021]、p.21 で述べられている名称を借用している。この名称については、目的とする環境対策等に応じて様々な名称が考えられる。
18)ここでX%としたのは、何%が適切であるかの議論を行ってないからである。組入制限については、今後の課題である。
[引用および参考文献]
小栗崇資[2021]「SDGs・ステークホルダー資 本主義と新たな会計」『会計理論学会年報』 第35号、pp.20-22。
黒澤清[1950]『会計学』改訂増補版,千倉書房。
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日野修造[2021b]『非営利組織会計の基礎概念―利益測定の計算構造と財務報告―』中央経済社。
日野修造[2022a]「非営利組織会計における純 資産概念の検討―維持・拘束すべき純資産とサービス提供可能純資産の峻別―」『財務会計研究』第15号(論稿提出時点では未公表)。
日野修造[2022b]「非営利組織会計統一へ向 けて―学校法人会計と統一会計概念・基準の 検討―」『佐賀大学経済論集―木戸田力教授 退職記念号―』第54巻第4号。
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Financial Accounting Standards Board[1993], Statement of Financial Accounting Standards No.117, Financial Statement of Not-for-Profit Organizations.
(論稿提出:令和4年1月23日)
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